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( 令和3年度 ) |
( 資料提供 )
目指せ!絶滅危惧種ミヤマシロチョウの復活
1 要旨
ふじのくに地球環境史ミュージアムの岸本年郎研究員(昆虫分類学、生物地理学)が参加した研究グループは、絶滅危惧種ミヤマシロチョウの遺伝解析から、野生個体群の復活に適した再導入源を明らかにした。
2 内容
(1) | 研究プロジェクトの概要
・長野県、山梨県、静岡県の各地域5集団(八ヶ岳、浅間山系、赤石山脈)からミヤマシロチョウのサンプルを収集し、遺伝解析を実施した。
・解析の結果、いずれの地域においても遺伝的な違いは非常に小さく、どの地域から移動させてもミヤマシロチョウのもともとの遺伝子を乱す恐れが小さく、調査した地域はすべて一つの保全単位として考えられることが示された。
・今後、八ヶ岳をはじめ、ミヤマシロチョウが絶滅した可能性の高い生息地への再導入を検討する際の重要な情報となる。
・絶滅危惧種の保全単位を設定した国内の研究例は、昆虫では少ないことから、遺伝情報の重要性を普及するうえでも重要な研究成果となった。
・本研究の成果は2022年1月10日に国際科学誌「Journal of Insect Conservation」の電子版に掲載された。
<共同研究者> 代表 中M直之(兵庫県立大学兼兵庫県立人と自然の博物館)
花岡敏道(浅間山系ミヤマシロチョウの会)、伊藤建夫(信州大学)、岸本年郎(ふじのくに
地球環境史ミュージアム)、大脇淳(山梨県富士山科学研究所)、松尾歩(東北大学)、
北原正彦(山梨県富士山科学研究所)、宇佐美真一(信州大学)、陶山佳久(東北大学)、
須賀丈(長野県環境保全研究所) |
(2) | ふじのくに地球環境史ミュージアムとの関わり
・本研究に使用した静岡県産データは、ふじのくに地球環境史ミュージアムに保存されている2010年代に採集された標本からDNAを抽出したものである。
・ふじのくに地球環境史ミュージアムでは、2022年3月24日(木)から4月10日(日)まで、本研究の紹介と日本と世界のミヤマシロチョウの仲間の標本展示を行う。 |
◎ | ミヤマシロチョウ
・長野県、群馬県、山梨県、静岡県の亜高山帯に分布するシロチョウ科の蝶類で、生息地の開発による消失や植生遷移による食樹の減少から、近年は絶滅の危険が増大しており、環境省及び各県レッドリストで絶滅危惧1B類(※)に選定されている。(群馬県は絶滅危惧1類)
・長野県と山梨県にまたがる八ヶ岳では、2010年代後半からほとんど確認できなくなり、絶滅が危惧されている。
・静岡県においては大井川源流部域に残存しており、全国的に見ても貴重な生息域となっている。
※レッドリストのカテゴリーの一つ。1A類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの。(環境省HP) | ミヤマシロチョウの成虫
(花岡敏道氏撮影) |
研究内容の詳細は添付資料を御覧ください。
■ 添付資料
目指せ!絶滅危惧種ミヤマシロチョウの復活: |
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( 149KB ) |
目指せ!絶滅危惧種ミヤマシロチョウの復活(添付資料)
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( 481KB ) |
提供日 |
2022年3月23日 |
担 当 |
スポーツ・文化観光部 ふじのくに地球環境史ミュージアム学芸部 |
連絡先 |
岸本 TEL 054-260-7843
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