本会議会議録
質問文書
令和6年決算特別委員会総務分科会 質疑・質問
![]() | 質疑・質問者: | 鈴木 澄美 議員 |
![]() | 質疑・質問日: | 10/29/2025 |
![]() | 会派名: | 自民改革会議 |
○鈴木(澄)委員
分割質問方式で伺います。
最初に、主要な施策の成果及び予算の執行実績についての説明書8ページ、知事直轄組織の主要施策の総括から伺います。
ふじのくにのフロンティアを拓く取組の推進の項目に、デジタル技術等を活用しながら地域資源の活用と循環を図り環境と社会経済を両立させる、複数市町連携型など3圏域7市町を認定し累計5圏域14市町となったとの説明があります。
このデジタル技術の活用事例と複数市町連携型の事例についてまずお聞きします。
○三浦フロンティア推進室長
ふじのくにのフロンティアを拓く取組のうち、まずデジタル技術の活用事例についてお答えします。
御殿場市において、森林保全により生み出したJクレジットをデジタル通貨を使って市民活動に対して付与するポイントの財源に充てる計画があります。また伊豆東海岸の伊東市、下田市などでは、豊かな自然環境の中で誰もが安全で快適な生活を享受できる先進技術実証都市を形成するコンセプトで取組を進めており、ドローンを使った交通僻地への物資や医薬品の輸送などデジタル技術を活用した効率的なシステムの実装化を目指しています。いずれもデジタル技術を活用して環境と経済の好循環を生み出す取組です。
次に、フロンティアを拓く取組のうち複数市町連携型の事例です。
フロンティア地域循環共生圏の取組は、単独市町による単独型と複数市町による複数市町連携型の大きく2つの方法がございますが、複数市町連携型を推進するため補助率のかさ上げ等を行い、支援を厚くしております。
具体的な取組としては、先ほど申し上げましたJクレジットの取組を含む御殿場市、裾野市、小山町との連携によるエコガーデンシティの取組、そのほか牧之原市、菊川市による茶園再生と新たな農業ビジネスの創出事業、また藤枝市、南伊豆町、松崎町、西伊豆町による再生可能エネルギーの相互流通事業などがございます。
○鈴木(澄)委員
紹介のあった御殿場市のデジタル技術の活用事例は、当委員会の県内視察でお伺いし話を聞いております。
複数市町連携型は広がりがある方法だと思いますが、市町同士の連携の調整は市町同士でやるのか、あるいは仲介的な立場で県が入っているのか確認します。
○三浦フロンティア推進室長
3番委員御指摘のとおり、県は複数市町の連携を目指していますが、それぞれの市町が抱える課題ややりたいことは違っております。
県としては、地域循環共生圏の形成については県内35の全ての市町で取り組んでいただきたいと対話を重ねておりますが、実感としては連携に向けて県がかなり汗をかかなければ実現は難しいと考えております。
○鈴木(澄)委員
私の地元においても、市町同士の連携は大きな課題ですので県にお力添え頂きたいと思っています。次年度の事業に反映していただきたいと要望します。
次に、説明資料11ページ、イ県民・民間・市町と連携した行政の推進として広聴アドバイザー制度の新設とあります。設置の目的とどういう方がやられているか、また成果についてお聞きしたいと思います。
○望月広聴広報課長
まず、広聴アドバイザー制度の目的は、県に寄せられるクレームや苦情等について担当職員からの相談に応じ助言を行い、今後の対応の道筋を示すことを目的としております。
アドバイザーの人材につきましては、県弁護士会の推薦を頂き法律や苦情処理の専門的知識を持つ弁護士を毎年度広聴アドバイザーとして委嘱しています。
成果については、令和5年度は10件の相談がありました。例えばカスハラと認識してよいかの確認や所属長名での謝罪文要求に対する対応、物損に関する精神的被害への補償義務などの具体的な事案について弁護士が助言を行っております。相談した担当課からは今後の対応の参考になったとの感想がありました。
○鈴木(澄)委員
社会が非常に複雑化、多様化していく中でジャンルの絞り込みよりも、いろんなことに備える体制づくりは非常に大事だと思います。これまでも様々なクレームや苦情があった中で、その支援体制として広聴アドバイザー制度を新設したということですが、これからどう発展させていくのかを考えるとともに、令和5年度の成果を見ながら体制の強化をお願いしたいと思います。
次に、説明資料30ページ(4)関係人口の創出・拡大、(6)民間企業等との包括的協働の推進についてお聞きします。
まず、関係人口の創出・拡大について県外学生をターゲットとした新たなモデルを創出する事業の内容と効果、また令和4年度に構築したモデルと今回の新たなモデルとの関係についてもお聞きしたいと思います。
2つ目は、民間企業等との包括的協働の推進について、説明資料には地域の安全・安心の確保、災害時の支援、県政情報などと書かれており、多くの分野で協働を進めるということですが、まずこれらのテーマはどうやって選定したのか。
また、テーマに沿った対応ができる民間企業25社と包括連携協定を結んでいるのか、あるいは協定を締結した企業がテーマに対応して行う予定事業なのかについて協定締結企業の選定条件も含めてお聞きしたいと思います。
○民谷総合政策課長
初めに、関係人口の創出、拡大に向けた取組について、令和5年度は大学の研究室やゼミのフィールドワーク、長期インターンシップなどを活用し、県外学生との継続的な関係づくりを目指す取組を実施いたしました。具体的には地域づくり団体から広く提案を募集し、例えば焼津市では駅前商店街に県外の学生を招いて学生自身のアイデアに基づき商売をしていただくなど5つの取組を展開いたしました。こうした取組には合計で100名を超える学生が参加し、今後につながる継続的な関係を構築できたと考えております。
また、令和4年度構築モデルと新たなモデルとの関係ですが、令和3年度から令和5年度にかけて毎年度ターゲットを変えながら関係人口の創出、拡大に向けた多様な取組を実施してまいりました。令和5年度は今申し上げた学生参加型の取組でしたが、令和4年度は宿泊施設の利用者に地元の地域づくりに参加していただき関係性を構築する取組なども展開しました。実施した取組は3年間で15件ございますので、今後はこうした取組をモデル化し地域づくり団体の中で横展開を図って拡大してまいりたいと考えております。
次に、民間企業等との包括的協働の推進について、民間企業等との包括連携協定は複数の行政分野にわたって連携事業を実施することを条件に結んでおります。
具体的には、防災、教育、子育て、健康増進など10の行政分野のうち6分野以上で連携が合意できた場合に締結することとしており、連携事業の例としては企業の業態に合わせて、例えば災害時における必要な物資の提供、店舗等における県施策のPR、県産品の消費拡大に向けた積極的な利用などでございます。
○鈴木(澄)委員
関係人口の創出、拡大に向けた取組については、毎年度ターゲットを変えているとのことですけれども、そこで培った関係をどうやってほかに波及するか。せっかくつくった関係人口がその年だけで終わってしまわない仕組みをどう構築しているのか気になるので、その点についてもう一度お聞きしたいと思います。
それから、民間企業等との包括的協働の推進については状況は分かりました。ただ県政における優先課題もあろうかと思います。行政全体をどう見るかの枠組みは変わらないにしても新しいテーマは出てくると思うんですね。優先課題という捉え方だとそれに沿った連携を企業と取っていかなきゃいけないと思っているのですが、そこはどのように対応していくのか、もう一度お聞きしたいと思います。
○民谷総合政策課長
初めに、関係人口の創出、拡大に向けた取組についてですが、今申し上げたとおり15件の取組はいろいろなタイプがございます。例えば学生が関係する取組からは学生にどう声をかけるかといったノウハウが得られており、それらをモデルとして取りまとめ、各地域団体に提供して取組の拡大につなげていきます。今年度から地域団体を集めて勉強会を開いたり意見交換する場を設けておりますので、そういった場を活用してモデル化した事例を展開してまいりたいと思っております。
次に、民間企業等との包括連携協定につきましては、テーマは非常に幅広い分野で設定しており実際の取組については各部局と企業の担当者が毎年度協議を行い、今年度はこういった事業を展開しようと打合せして決めております。その都度、必要な事業について打合せし実施する形でタイムリーな展開を図ってまいりたいと思っております。
○鈴木(澄)委員
質問した2つには、毎年度テーマを決めるという同じ課題があるように思いますが、年度を越えて継続的にやっていかないといけないものもあろうかと思います。例えば人口減少対策は1年間で結論が出るならもっと前進しているはずですよね。そういうものをどう継続しながら成果につなげていくかは非常に大事だと思いますので、ぜひしっかり考えて展開していただきたいと思います。
次に、財政課の関係です。
説明資料35ページの令和5年度補正予算を見てみますと、4月、6月、12月と物価高騰への対応を3回行ったとあります。財源を見返すと、国が体制をつくってくれたから対応を取ってきた感じがしますが、我が会派にも物価高騰に対する様々な要望が寄せられています。国や県が考える支援策だけでは十分でなく、どうすれば要望に応えられる仕組みになっていくかについて私たちも皆さんと議論しながら進めてきた経緯があると思います。県民から上がってきた要望に対して県が単独で対応した事例があれば教えていただきたいと思います。
○鈴木財政課長
物価高騰対策につきましては、国からの重点支援交付金を活用し、国制度を補完する支援策をはじめ県民生活を支え県内事業者の経済活動のさらなる安定化に向けた支援を展開してまいりました。
このため、県の一般財源を活用して単独で対策を実施したものはございませんが、国からの交付金を最大限活用しまして、物価高騰の影響を受ける中小企業者をはじめ、医療、福祉、教育分野の事業者等に対する支援のほか、畜産関係や漁業者等に対する燃料代の支援など県として必要な対策を地域の声を聞きながら実情に応じたきめ細かな支援策を実施してきたところです。
国の対策に沿った県としての支援策を通じて、県民生活や事業活動の下支えに一定の貢献ができたと考えております。
○鈴木(澄)委員
国が手当てしてくれないと財源はできにくい、一方で自由度はある程度あったという解釈でよろしいでしょうか。
それによって要望に応えられたということだと思いますが、物価高騰はこれからも続いていくと思われます。
非常に柔軟に対応しないといけないと思いますので、県民の声にしっかり耳を傾けてほしいと思います。
次に、貸借対照表についてです。
令和5年度静岡県財務諸表の概要の2ページ、貸借対照表の下に「貸借対照表に計上される資産は県所有分のみであり、国土交通省名義の河川や農地・林道・治山施設等(所有外管理資産)は市町や土地改良区に譲与されるため計上されない」との記述があり、これも資産と負債のバランスを崩す構造的要因との説明があります。これはどう理解すればいいのか説明をお願いします。
○鈴木財政課長
現行の財務諸表におきましては、県所有でないいわゆる所有外管理資産は資産計上されない一方で、当該資産の整備に活用した県債は負債に計上され貸借対照表上、資産と負債のバランスを崩す要因となっております。
この点は課題であり、現在総務省において所有外管理資産を有形の固定資産として資産計上する方向で検討されています。具体的には本年度中にマニュアルを改定した上で、所有外管理資産を固定資産台帳に登載し令和8年度の決算までに資産計上するよう地方公共団体に対して求めているところです。
こうすることで課題がクリアされますので、本県におきましても総務省が改定するマニュアルに基づき所有外管理資産の資産計上に向けて準備を進めてまいります。
○鈴木(澄)委員
貸借対照表ですから、バランスを崩す仕組みがあること自体がナンセンスだと思いますが、もう声を上げていただいて解決のめどもついているとのことですので、今後の決算特別委員会でどんな形になっていくか見ていきたいと思います。
次に、多文化共生の関係であります。
様々な多文化共生推進事業を展開していただいていますが、資料上では県がこういう仕組みでこういう支援をしていますという話は分かりますけれども、果たして支援やサービスを受けた外国人の皆さんは事業そのものをどう評価しているのか。
やはりそれは県政にフィードバックしないといけないと思うのですが、その仕組みがどうなっているかお聞きします。
○石井多文化共生課長
まず、事業に参加した外国人県民が事業をどう評価しているかですが、アンケート形式で評価しております。
例えば、地域日本語教室では参加した学習者の方に、ブラジル人学校のキャリア支援では参加した学生の方にアンケートをお願いしています。また県多文化共生総合相談センター「かめりあ」が名古屋出入国在留管理局と合同で相談会を行っていますが、その相談会に参加した方にも利用者アンケートを取っております。アンケート結果は好意的なものが多数を占めています。
また、参加された方の感想等をどのようにフィードバックしているかですが、例えば日本語教室ではある市の事業に参加した外国人の方から病院に行くときに言葉が通じなくて困るという話題が出たものですから、その後の教室でこのテーマを入れたり、またほかの市町の日本語教室に対してもこういった話があったのでぜひテーマに入れてくださいとフィードバックしました。
また、昨年度多文化共生総合相談センター「かめりあ」で合同相談会を実施した際に、参加者の方から土曜日に開催してくれると大変参加しやすい、できたら開催回数も増やしてほしいという声があったものですから、今年度も昨年度同様に土曜日に開催し他の関係機関とも相談して開催回数を増やしました。
○鈴木(澄)委員
きめ細かくお話を聞いて支援策にフィードバックしてほしいと思います。
県は外国人県民という表現をしていますが、労働力という観点も含めた中で、外国人の方たちに静岡県を選んでいただかないといけないと思います。外国人に来てほしいという全国的な動きの中で、外国人の方が住みにくいと判断して静岡県を選ばないことがないようぜひとも対応してほしいと思います。
最後に、説明資料162ページ、コンプライアンスリレー研修についてであります。
説明資料には「逢初川土石流災害を教訓に、組織文化の改善に向けて職員一人ひとりの意識改革、行動変容の徹底を図るための研修を、全職員(リレー形式)を対象とし、令和5年7月から9月にかけて実施」とあります。
組織文化の改善については、本会議でもどの会派からも大きく訴えかけており改善しないといけないと感じています。
7月、8月、9月の3か月間でこの研修を実施したとのことですが、大事なのは研修したということだけではなく、どう職員に徹底できたかだと思います。その部分はどうなっているかお聞きします。
○遠藤人事課長
3番委員のおっしゃるとおり、研修を行っただけではあまり意味がないと思っております。この研修は全職員に対して直接対話しつつ意見交換する形で行いましたので、大事なことを再認識する効果はあったのではないかと考えております。
○鈴木(澄)委員
大きな課題がまだまだあろうかと思います。
もうこれ以上質問しませんが、結果として出さないといけないのであり、県民が県をどう見ているかだと思います。
この研修が生かされ現場に定着すると組織文化の改革につながっていくので、職員の意識改革につながる仕組みをぜひとも構築していただきたいと申し上げて質問を終わります。
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