本会議会議録


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令和6年9月定例会建設委員会 質疑・質問
質疑・質問者:中田 次城 議員
質疑・質問日:10/03/2024
会派名:自民改革会議


○中田委員
 それでは、分割質問方式で数点質問させていただきます。よろしくお願いします。
 今6番委員からもございましたし、我が党の小沼議員の代表質問でもありましたが、風水害に強い県土づくりを求めていくためには、しっかりとした予算を確保していかなきゃいけない。これは国がそのような指針を示して国土強靱化を進めていて、県もそれを追いかけるように県土強靱化として県単独の事業費をしっかりとつけていただいていることが前提にあります。
 新しく鈴木知事になられて、浜松市長も経験していますから似たような仕事と言うと失礼だけれども、市長をやっていたことが生きる部分はいっぱいあると思います。しかし浜松市の一地域の市長という立場から、東西に長い静岡県の、中山間地や伊豆半島の端までのそれぞれの地域特性や地形をしっかりと把握した上で県土強靱化の予算を考えなければいけないという認識は改めて知事に求めていきたいと思っています。浜松市は平たんで、もちろん川が氾濫して被害に遭うこともあり、北部の天竜のような地域もあるとはいえ県土全体で見ればもっと大きな視点が必要だと思っています。
 これからいろいろなものをしっかりとやっていってもらうために、改めて検証する意味で質問させていただきます。
 最初は、これまでの県土強靱化でやってきた事業の効果です。
 例えば建設委員会説明資料(交通基盤部)17ページには、それぞれ事業の内容が書かれています。緊急自然災害防止対策事業や豪雨等災害対策緊急事業などが書かれていますが、全国で大きな災害が起きている中で県単の積み上げを5年間続けているからこそ、静岡県は実は効果が発揮されていて県土が守られているんじゃないかと期待しています。予算を5年間ずっとつけてきて、交通基盤部として事業効果をどのように検証しているのかお伺いします。

○西原道路保全課長
 まず、緊急自然災害防止対策事業についてのうち防災事業についてお答えします。
 緊急自然災害防止対策事業及び県土強靱化対策事業は、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の1つである地方財政措置の緊急自然災害防止対策事業債を活用した事業となります。
 緊急自然災害防止対策事業につきましては、土砂災害警戒区域内の道路において県内で47か所ののり面や盛土対策、7か所の冠水対策のほか、道路照明灯のLED化の事業を実施しております。
 事業効果といたしましては、伊東市内では地域の重要な生活道路である県道伊東修善寺線の2か所、県道伊東川奈八幡野線の2か所において落石防護柵の設置などの道路防災対策工事を実施しており、道路利用者に危険を及ぼす災害の防止や軽減につなげております。
 次に、県土強靱化対策事業については、県管理道路の緊急輸送路等において36か所ののり面や盛土対策のほか、冠水対策や照明灯のLED化の事業を実施しております。
 事業効果といたしましては、伊東市内では地域の重要な生活道路である県道池東松原線においてのり面対策工事を実施しており、災害に強い道路の強靱化につなげております。
 引き続き、安心・安全で災害に強い道づくりのため必要な対策を実施してまいります。

○百瀬河川海岸整備課長
 私からは、河川海岸整備課で所管しております緊急自然災害防止対策事業と豪雨等災害対策緊急事業の事業内容と効果について回答させていただきます。
 まず、緊急自然災害防止対策事業につきましては、災害の発生を予防し、または災害の拡大を防止する目的として、国庫補助事業の採択要件を満たさない規模の改修を対象に河川改修を実施するものであります。令和6年度は57河川62か所で護岸工事等の整備を実施しております。
 次に、豪雨等災害対策緊急事業につきましては、集中豪雨に対する緊急的な対策を講じることにより地域住民の安全・安心な生活基盤を確保することを目的として、生活インフラ施設や要配慮者施設など浸水被害が発生するおそれが高い箇所や過去に家屋浸水が発生した箇所を対象として令和5年度から令和6年度までの2か年で改修を進めるものであります。この2か年で37か所の河川改修、8か所の樋門・樋管の無動力化に向けたフラップゲートの整備を実施しています。
 また事業効果につきましては、本年の台風10号では、当事業により整備を実施した河川におきましては河川からの越水や溢水による氾濫は確認されておらず、浸水被害の軽減に効果が発揮されたと考えております。

○杉山砂防課長
 私からは、砂防関係事業についてお答えいたします。
 砂防関係における緊急自然災害防止対策事業は、国庫補助の採択要件を満たさない箇所のうち集落内の道路寸断による孤立化を防ぐ箇所等において、令和6年度は18か所で砂防堰堤や急傾斜の擁壁工などの土砂災害防止施設を緊急的に整備しております。
 次に、豪雨等災害対策緊急事業につきましては、生活インフラ施設や要配慮者利用施設などに被害が生じるおそれのある箇所において、令和6年度は42か所で緊急的な施設整備を実施しております。
 次に、県土強靱化対策事業でございますが、砂防堰堤に堆積した土砂を緊急的に除去することにより、土砂の捕捉機能を回復、強化する取組を令和6年度は22か所で実施しております。
 これまでに、緊急自然災害防止対策事業と豪雨等災害対策緊急事業で46か所の土砂災害防止施設が完成し、令和4年7月の豪雨により浜松市で発生した崖崩れでは、擁壁が崩壊土砂を食い止め人家への被害を防ぐ施設効果を発揮いたしました。また本年の台風第10号でも同様の施設効果が7件確認されたことから、引き続き砂防堰堤等の整備を推進してまいります。

○原田港湾整備課長
 私からは、港湾・漁港の実施状況についてお答えいたします。
 港湾・漁港では、緊急自然災害防止対策事業において、台風などの高波浪時に防波堤や護岸、岸壁などを越えた波が背後地に被害を及ぼすおそれがある箇所を改良することで、自然災害発生の予防や被害拡大を防止するために進めてまいりました。令和6年度は港湾では熱海港や伊東港の防波堤のかさ上げなど11か所、漁港では網代漁港や稲取漁港の防波堤や護岸のかさ上げなど4か所の整備を進めております。
 効果につきましては、当事業では令和元年度から本年度までに港湾は12港42か所、漁港は7港10か所の施設整備を進めており、これまでのところ高波などによる港への被害はなく、港内の静穏度が高まることなどにより今後も減災効果を発揮するものと考えております。
 次に、県土強靱化対策事業では、港湾機能の確保のためのしゅんせつを、交付金事業などで実施できない比較的小規模な箇所を対象に令和4年度から5年度の2か年で御前崎港、松崎港など県内11の港湾において実施しており、令和6年度は9港11か所でしゅんせつを予定しております。
 この効果につきましては、この2年間は集中的かつきめ細やかにしゅんせつを実施できており、港湾を利用する方々から船舶の航行に対する不安が解消され航行しやすくなったとの声を頂くなど御要望にお応えできたと認識しております。

○中田委員
 4人の担当の方から御報告頂きました。私が一番皆さんに分かっていただきたいのは、これだけ時間と予算をかけてやってきたことが大変多くの県民の命や安全を担保しているという事実にもっと自信を持っていただきたいし、常日頃から効果を検証しそれをまとめておいていただきたいということです。そうでないと、何のための県土強靱化で、何のための県単独の事業なのかという意味合いが薄くなってしまう。国の事業の採択基準から漏れるものを拾っていくわけじゃないですか。それがどれだけの県民の命や暮らしを守っていくか。私はこれは大事な事業だと思っています。
 そういう意味で、先ほど6番委員からもお話ありましたし、本会議で我々の会派の代表質問でも予算の確保についてこだわって申し上げるのは、これから初めて鈴木知事の下で予算編成が行われていきます。いい意味でも悪い意味でも鈴木カラーは出してくるわけです。鈴木カラーとは何か、端から端まで県内のことを全部分かって、できるだけ理解していただいた上で県土強靱化対策や県単独事業の意味がどういうものか、知事や財政当局に交通基盤部としてしっかり示していかなきゃならない。それは全くもって無駄なことでも何でもないのですから、胸を張ってやっていくべきなんですよ。
 だからこれについては森本交通基盤部長の所見をお伺いできればと思います。お願いします。

○森本交通基盤部長
 非常に心強い応援だと思っています。ありがとうございます。
 まさしく災害が激甚化、頻発化している中でこのぐらいの被害で済んでいる理由は、今まで蓄積したインフラ整備の効果だと思っています。
 例えば令和4年台風15号で時間的にも継続的にも七夕豪雨以上の雨が降ったときでも、巴川流域についてはかなり浸水域が解消されました。ただ、まだまだ浸水域が残っていること、今後より激甚化、頻発化することを考えれば、安全・安心の防災のために引き続きしっかりやらなくてはならないと認識しています。
 あわせて、国の国土強靱化の予算を確保する中で、これまでの事業効果を出した上でまだ不足する対策をやっていくと国からも言われていますので、国に対しても県民に対してもしっかりと事業効果を示していきたいと思っています。
 土木事務所でも各地域の声を聞いて、防災的に必要なものであったり、身近な道路や川の維持管理に必要なものなどありますが、維持管理を適切にやっていくことが災害を防ぐことにもつながるので、今までやってきたいろいろな防災工事や維持工事含めて今後も継続できるように全力で頑張ってまいりたいと思います。

○中田委員
 ぜひ頑張っていただければと思います。
 質問を変えます。
 さきの6月議会で質問したことの経過を聞きたいのですが、能登半島地震を踏まえた広域道路のネットワーク化について、特に伊豆半島の道路計画について質問させていただいております。
 伊豆半島は伊豆縦貫自動車道が背骨のように通っていますが、肋骨道路について様々な地区から要望なり運動が起きている。私は地元が伊東市ですが、伊豆東海岸につながる道路を含めて、道路の被害想定の見直しや被害想定を踏まえた啓開手順、道路構造対策などを検討していく予定だと答弁をされています。これは3か月前の6月定例会の委員会での話ですが、その後の検討状況についてお聞かせ願えればと思います。

○松岡道路企画課長
 道路被害想定の見直しや啓開手順等の検討でございますが、これは国や県、市町、関係者から成る静岡県東部地域道路啓開検討会で実施しております。
 道路啓開計画の見直しに向け、まずは橋梁や盛土など道路施設の最新の状況を把握する必要がございます。能登半島地震では、耐震対策を実施した橋梁は致命的な被害を回避し復旧の迅速化に寄与した一方、橋台背面の段差や集水地形上に建設された高盛土の崩壊などの被害が生じ交通に著しい障害を及ぼしました。このため検討会では橋梁については耐震対策の状況や橋台背面に設置する踏み掛け版の有無、高盛土については建設時期や周辺の地形、排水対策等のデータを整理し始めたところでございます。

○中田委員
 それぞれの作業が少しずつではありますが進んでいることは理解させていただきます。
 一方で、伊豆半島の各首長が集まって首長サミットみたいなものをやりますよね。7月29日のサミットにおいて、各市町の首長たちからも能登半島地震を踏まえた道路ネットワークの整備等について改めて要望が出されて、知事からも取り組むとお話がありました。伊豆半島はやっぱり能登半島の生き写しな危険性を持っているから、しっかりと見てくださいよという要望です。県も当然そのように考えていると思いますが、交通基盤部としてはどのように考えていますか。

○松岡道路企画課長
 伊豆半島におきましても災害に強い道路ネットワークの計画をつくるべきとのことでございますが、先ほど御発言のありました伊豆半島の7市6町首長会議では、協議会を設置し伊豆の広域防災計画を策定することとしており、県はこの協議会への参加について要請を受けております。この広域防災計画の策定につきましては、防災拠点や道路も含んだ検討を行うはずです。
 県としましては、道路啓開計画の見直しと並行して伊豆半島における災害に強い道路ネットワーク計画について本協議会で議論していきたいと考えております。

○中田委員
 ぜひ伊豆半島のそれぞれの地形、そして効果的なネットワークについていろいろな声を聞いて検証して進めていただければと要望しておきます。

 最後の質問とさせてもらいますが、公共事業が発注された後の工事の在り方について1つ疑問を呈することがあるので申し上げたいと思います。
 県から、夏季いわゆる7月半ばから8月末までは、交通渋滞の関係があるからここでの道路工事はやめてくださいよと通達が出されています。8つの土木事務所のうち例えば熱海土木事務所では135号線と県道の2本が制約を受けることになっていますが、伊豆半島も観光のまちなので海のシーズンに交通渋滞でお客様がいらいらすることがないようにとの判断だったと思います。
 一方で、近年見ると本当に約40日も45日も道路工事をさせないことが、事業量を消化しなければならない建設工事において適当なのかなと疑問に思うようになりました。幹線道路である135号線、海岸沿いのところは百歩譲って抑制する必要があるかもしれませんが、県道である伊東修善寺線や伊東大仁線が45日間も手をつけられないほどの交通渋滞が発生する状態にあるのかというと、必ずしもそうじゃないですよね。私はそこで暮らしているから分かります。
 しかし、こういった通達が出ていると道路工事や舗装工事ができず、この期間を抜かして工事をしなくてはならない状況が起きています。私はもっと柔軟にしたほうがいいと思っています。この通達自体は国の通達を踏まえてやっていることだから間違っているとは言わない。ただし現場土木事務所の職員や建設業者の声などを聞くと、国の通達では8月の10日から8月の18日までなどお盆の時期だけを言っているわけですが、県は土木事務所が7月半ばから8月末までとしているじゃないですか。こういったものは見直していただいて本来ならば期間の短縮ができない工事の期間を短縮するとか、もう1つ提案するのは、場合によっては夜間の工事ができるようにすることで工事を消化しやすくすることも県の手腕だと思います。それについて御答弁頂ければと思います。

○森本交通基盤部長
 まず地域の実情に合わせてインフラ整備をするのが基本ですし、それぞれの地域の実情を把握した上で一番効率的にするべきだと思います。特に伊豆半島は観光地のため道路事業自体を抑制しようと今までは行っていますが、5番委員が言われたとおり交通渋滞の状況も変わってきていると思いますので、各土木事務所でも地域の実情を踏まえどのように抑制するのかしっかりと議論し、地域と調整しながらやっていくべきだと思います。一律ではなく柔軟に対応していくように取り組んでまいりたいと思います。

○沢田委員長
 ここでしばらく休憩とします。
 再開は13時15分とします。

( 休 憩 )

○沢田委員長
 休憩前に引き続いて委員会を再開します。
 質疑等を継続します。
 では発言願います。

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