本会議会議録


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令和7年2月定例会危機管理くらし環境委員会 質疑・質問
質疑・質問者:増田 享大 議員
質疑・質問日:03/06/2025
会派名:自民改革会議


○増田委員
 分割質問方式でお願いします。
 危機管理くらし環境委員会説明資料53ページのリニア中央新幹線静岡工区に係る動きに関して伺います。
 まず、1(1)で第18回地質構造・水資源専門部会においてツバクロ発生土置き場に関して計画は了解されたとありますが、今後必要となる対話、検討事項を教えてください。

○小林水資源課参事兼課長代理
 昨年12月の第18回専門部会におきましては、今後ツバクロ発生土置き場の計画地に断層が存在することを前提として盛土の設計を検討することが合意されております。
 今後は、計画地でどのようにトンネル発生土を盛土していくのかという具体的な設計や盛土の完成後において継続的にどのようにモニタリングしていくか、また盛土の状況等に何らかの変化が生じた場合にどのような対応をするのかというリスク管理などが対応事項となります。

○増田委員
 同専門部会で先進坑が県境から300メートルに達する前までに、その地点以降の掘削に伴うリスク管理について対話し県と合意することが確認されたとありますが、現在の状況を教えてください。

○小林水資源課参事兼課長代理
 本日報道提供を予定しておりますが、来週3月11日に第19回地質構造・水資源専門部会を開催する予定です。
 県境から山梨県側に300メートル以降の先進抗の掘削に伴うリスク管理につきましても、この専門部会の中で対話を行い合意できるよう現在JR東海と調整を進めているところです。

○増田委員
 計画了解後のリスク管理は打ち合わせをして慎重に進めていただいていることは分かります。
 一方で、着実に先進抗とボーリング調査を実施してきて県境から300メートルまでもうじき達するので、どうなるのかがこれから注目されるところだと思います。

 1(2)山梨県内における先進坑の掘削再開に、これまで掘削に伴う湧水量はごく少量にとどまっているとありましたが、当初想定された湧水量に対して少なかったとの見立てでよいですか。

○小林水資源課参事兼課長代理
 現在の先進抗の掘削に伴うトンネル湧水量は最大でも毎秒0.42リットルという状況にあります。
 この先進抗の掘削に当たりましては、事前に高速長尺先進ボーリングが実施されており、その際の湧水量は毎秒0.4リットルから1.7リットルでしたので、現在先進抗と高速長尺先進ボーリング時の湧水量に大きな違いが見られていない状況です。

○増田委員
 分かりました。
 新聞報道など何でもそうですが、いきなり数字が出ると分からない人も多いと思います。想定内だったのか、想定しているよりもかなり低かったのかというニュアンスはとても大事なので、分かりやすく伝えていただけるといいと思います。

 大井川に戻す水の水質が個人的には1つ課題だと思っていますが、砂ろ過装置を追加して管理基準値について合意したとあります。これまでの濁度25からすると、かなり濁度を押さえる基準かと思います。専門部会の委員からすると濁度6はかなり高水準とのコメントを見たことがあります。この濁度に関する感覚を流域の皆さんに伝える場合の言い方があれば教えてください。

○西室くらし・環境部参事(南アルプス自然保護担当)
 2月13日の生物多様性専門部会では、トンネル湧水の濁りについて対話しました。その中でJR東海から水中の浮遊物質量――SSを6ミリグラムパーリットルで管理するとの説明があり、これについて専門部会の委員も妥当であると認め、その値で管理していくことをJR東海と県の双方で了解して合意したものです。
 専門部会で委員から話がありましたが、6ミリグラムパーリットルという濁りは見た限りではほとんど濁っていない状況とのことです。国の有識者会議で示された1つの文献に底生動物の被害が起きない濁度は6であるとの文献があり、それと同等であるので妥当と判断されたものです。

○増田委員
 山梨県で同じように濁った水がトンネルから出てきて、ろ過するところを見ました。きれいには見えたのですが、この水は飲めますかと聞いたら飲まないほうがよいと言われたのが本当に印象に残っています。静岡県は管理基準値を濁度6にしますが、他県の状況を伺います。

○西室くらし・環境部参事(南アルプス自然保護担当)
 JR東海は、静岡県内の南アルプストンネルのトンネル湧水については濁水処理装置において管理基準値25ミリパーリットルとして管理すると国有識者会議で説明してきました。山梨工区や他県の工区でも同様の値を使っていると説明を受けております。

○増田委員
 説明資料にも動物のことは書いてあったのですが、大井川は下流へ行くと食品系の工場が多くあり、掛川市ではイチゴに大井川の水を直接かけます。掛川市民は口に入れる農作物にかける水の水質は、水量とはまた別でかなり関心が高いです。
 そのため、濁度6のかなりきれいにした水を返すことが合意されたことはインパクトを持って伝えたいです。精度の高さをうまく伝えていただくといろいろな臆測などを呼ばないと思います。
 一方では、JR東海が静岡県を濁度6でやるのであれば自分のところもやってほしいとなるかもしれないのは余分な懸念ですが、濁りの少ない水が大井川に戻されることをアピールしていただいたほうが分かりやすいと思いましたのでお願いします。これは意見です。

 専門部会とJR東海との合意と記載されていますが、リニア中央新幹線に対する県の組織体制図では副知事をトップとする対策本部の下に専門部会があり、本部に対し報告、提言を上げる構成になっています。
 そのような体制であるのに、専門部会がいきなりJR東海と合意とあるのが違和感を感じます。本当は県の本部に報告、提言する、そして流域にも報告するので、合意ではなく妥当と思われる、適当だとかぐらいにしておかないと専門部会が全部決めてしまうように捉えかねないと思います。
 流域首長が専門部会を信用しているから任せると言っているのは分からないでもないですが、たまに首長から意見が出ることもあり、専門部会が最終決定を行うのではなく、あくまで県の執行部が決断するための助言や提言をする組織だと思いますので流域にも報告した上で両者が納得したときに合意となるのが本来ではないかと思いますが、所見があれば教えてください。

○渡邉南アルプス担当部長
 5番委員の理解がまさしく正しいと認識しております。
 専門部会はあくまでも科学的、工学的な部分だけを検討しており、そこを見ていただいた上で今度は流域の理解があって県として最終的に判断していくものと考えております。
 説明資料に記載の合意はあくまでも専門部会に与えられている使命の科学的、工学的な部分において部会で合意されるところです。
 5番委員が指摘されたとおり、一方で地域では専門的に判断することがなかなか難しい場合があり、専門部会でしっかり検討してくれとも言われておりますので、この点については合意したと表現しております。

○増田委員
 結果としては、専門部会がよいと言えば大体よいとなるとは思いますが、持っていき方や発表するタイミングは手順を踏んで出すほうがよいと思います。いきなり専門部会とJR東海の間の話が出て後から報告するのは意思の疎通を欠くことにもなりかねないと思います。ぜひ御注意頂けるとありがたいので、今後お努め頂ければと思います。

 対話が大分進んできましたが、未着手となっている項目が4項目あるとのことで、内容と今後の対応方針を教えてください。

○小林水資源課参事兼課長代理
 現在未着手となっている対話項目ですが、水資源の関係で2項目、トンネル発生土置き場の関係で2項目の計4項目となっております。
 まず水資源の関係ですが、いずれもトンネル湧水の全量を大井川へ戻す方策である田代ダム取水抑制案とトンネル湧水を導水路トンネルから大井川へ戻す方策のリスク管理に関する2項目が残っております。
 この2項目につきましては、3月11日の専門部会の中で対話に着手したいと考えております。
 一方、トンネル発生土の関係につきましては想定されるリスクとその要因、対策等を分かりやすく可視化するリスクマトリクス、リスクマップを活用したリスク対策の検討とヒ素等の自然由来の重金属等を含む要対策土の処理の2項目が残っております。
 リスク対策の検討につきましては、3月11日以降の専門部会の中で対話ができるようにJR東海と調整を進めていきたいと考えております。
 なお、要対策土の処理につきましては現在のJR東海の計画は盛土条例上認められない状況ですので、現状では条例の適用除外に関するJR東海からの相談に応じている状況であります。このため条例上の取扱いが整理され次第、専門部会の中で対話を行うことになります。

○増田委員
 JR東海の丹羽社長から話のあった「ひかり」の増便の話も静岡県――静岡駅、浜松駅にとってはよいことだと思います。掛川駅は「こだま」が止まりますが、1時間に2本から3本にならないかなとの声はやはりあるので、交通基盤部の所管だと思いますが、知事にもそういった意識で「ひかり」だけではなく利便性も訴えてもらえるとよいと思っています。
 一方で、利便性の話は出ていても環境保護はまた別問題だと思います。くらし・環境部としては「ひかり」の増便への受け止めをどうお持ちなのか教えてください。

○清水くらし・環境部参事(南アルプス担当)
 JR東海の丹羽社長が明言されたリニア開業に伴う静岡駅と浜松駅に停車する「ひかり」の本数増につきましては、県内に大きな経済波及効果を生むもので県民の皆様においてはリニアの開業が本県にとって一定のメリットがあることについて理解が進むと受け止めております。

○増田委員
 リニア開業によって利便性向上を期待する機運はおのずと高まるわけで、一方では自然環境がどうなっているのかがまた注目されます。要対策土もなかなか大変だと個人的には思っています。ポイントが大分絞られてきているとは思うので、こうならないと環境保護的にはまずいという部分をもう少し分かりやすく伝えていくように、ぜひ努めていただければと思います。

 最後に、説明資料53ページの4知事と中野国土交通大臣との面談で知事も流域10市町の首長もいわゆる恒久的な国の関わりを求めてます。言葉では大臣も言ってくれるとは思いますが、文章をやり取りするところまでは至っていないと思います。もし大井川流域の環境保全対策基金のようなお金を国が用意してくれるとかなら1番分かりやすいと思います。こういう場合は国が支援しますと文書の取り交わしがあるべきだと思うのですが、国の関わりの理想型としてどのようなイメージを持ったらよいか教えてください。

○清水くらし・環境部参事(南アルプス担当)
 まず、5番委員も指摘されるとおりリニアは長期的な事業になるので、水資源に影響が生じた場合に備えて補償等の対応が必要になるため国には何らかの関わりを持っていただく必要があると考えております。そういった中で補償等と考えていったときに、内容については流域市町の意向を踏まえることが重要だと考えておりますので、今現在は流域の市町の意向確認を進めているところであり、今後市町の意向を整理して市町の足並みがそろうように協議を重ねて、まずは流域の意向に沿った補償の考え方を取りまとめようと考えております。
 先ほど5番委員がお話された国の関わり方のスキームにつきましては、現時点ではお示しできるものがないのが正直なところです。今後取りまとめる補償の考え方を踏まえ、どのような形で国に関わっていただくのが最もよいのかを整理した上で国に協議していく必要があると考えております。

○増田委員
 これはやはりすごく難しく、10かゼロみたいな話ではないと思っています。6、4なら御の字、5、5や4、6とかなかなか専門的な話や技術的な話でどちらにしようか決められないところがあります。そういうときに、よく政治的決断みたいな言い方をする人がいますが、そういった力がないと難しいと思っています。
 リスクもあればメリットもあるとなったときに、くらし・環境部は環境保護の観点の専門の部ですので、漏れのないように将来も見据えてメリットはメリットでやってもらって、こちらはこちらでしっかり住民の理解を求めていく姿勢をどうか貫いてください。
 新年度もいろいろ動きが出てくると思いますが、最後になって住民の生活や自然環境に影響が出てしまうのが1番よくないことですので、今までどおりしっかりとやっていっていただきたいと要望します。

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