本会議会議録


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令和6年9月定例会建設委員会 質疑・質問
質疑・質問者:阿部 卓也 議員
質疑・質問日:10/03/2024
会派名:ふじのくに県民クラブ


○阿部委員
 分割質問方式でお聞きします。
 まず都市局からお聞きします。
 我が会派の代表質問では公共交通の在り方、そして鈴木唯記子議員の一般質問ではライドシェアの導入拡大について質問させていただきました。その答弁も踏まえて質問させていただきますが、代表質問の中で森本交通基盤部長から、地域公共交通とは公共インフラであると答弁がありました。これはいわゆる商業輸送ではなくて、ヨーロッパ型のまちを形成する中で、社会生活の基盤として必要なものだという位置づけを明確にされたと感じています。そのとおりだと思っていますし、ヨーロッパはいわゆる日本で言う道路予算とは別に予算を切り分けて鉄道のためだけの予算を設けている国が多くあります。そういった形に変えていかないと日本の鉄道、そして公共交通は守っていけないと考えていますのでぜひお願いしたいと思いますが、その考えに基づいて御質問します。
 鈴木唯記子議員のライドシェアの質問では、9月11日にライドシェア専門部会を設置し今後市町に寄り添った支援を積極的にやっていくと答弁がありました。その専門部会の議事録も取り寄せて拝見したところまだ具体的な議論はされていませんでしたが、実証実験をしたいという市町が今もありますし、やっているところもありますし、これから出てくるところもあります。そこにしっかり助成をしていかなければいけないと思いますが、それに対してどのような準備をしていくのか予算の問題ですので今のうちにしっかり聞いておきます。

 それから、この実証実験をした後それぞれの市町が事業を行いますが、この実証実験は業者や事業主体によってモデルが違います。そのため、それぞれのメリットとデメリットをしっかりと実施自治体と一緒に検証し、整理して全県で共有することが非常に重要だと思います。
 静岡県は1つに統一する必要はないと思います。合うところ、合わないところ、うちの市ではこれをやってみたけれど、実は向こうの市でやったもののほうが合っているなど建設的な議論、検証がなされなければいけないと思いますが見解を伺います。

○片山地域交通課長
 まず予算につきまして、実証に当たっては人件費や車両、それからシステムなどが必要になるため国に対して公共ライドシェアが進むように予算確保を要望していきたいと考えており、8月にも国に働きかけを行いました。今後も国に働きかけをしていきたいと考えております。

 それから、市町によって導入するシステムや取り組む形態が違うので、それぞれのメリットやデメリットを共有する必要があるのではないかと8番委員から御指摘がございました。これにつきましては御指摘のとおりだと思いますので、情報共有はしっかりやっていきたいと思っております。
 システムについては、現在いろいろなものが出ておりますのでどういったメリットやデメリットがあるか、それぞれの市町が検討できるように情報共有をしっかりしていきたいと考えております。

○阿部委員
 分かりました。
 ぜひお願いしたいのですが、予算は国に働きかけていくのが第一義ですが、場合によっては県単独でも細かく目が届くような予算を組むことを来年度予算に向けて考えるべきだと思います。ライドシェア専門部会の挨拶を拝読しましたが、知事も強く言っていますので、ぜひ静岡県が公共ライドシェアの先進県にあるというつもりでお願いしたいと思います。
 国は日本型ライドシェアの方にどうしても比重がいってしまうが、それは都市型だからです。地方の郡部で公共ライドシェアを必要とする静岡県は、そこを国に対して意識づけしていかなくてはならないと思いますし、足らない部分は県単独で組むような形にしていただきたいと思います。要望とします。
 それからシステム等についてはよくお分かりのようなのでこれも要望としますが、今までの事例で言うと自治体のコンピュータやパソコンがいわゆるベンダーロック――業者のひもつきになっていて、いざ統一しようと思ったら統一できなかったという事例が明確にあります。それを繰り返さないようにしていただきたい。業者からしたら、実証実験をやったらそこの市は自分たちのものだとなってしまいます。それは一部の人がよくても、県民全体や使う人に合っていないと不幸なことになるので、厳重に注意しつつ市町とも話をしながら進めていただきたいと思います。

 次の質問に入ります。
 遠州灘海浜公園の球場整備に関わることでありますが、どうしても財源が問題になります。
 その中で今年2月に広島市でエディオンピースウイング広島というサッカースタジアムが開業しました。この整備費を精査すると整備費は総額280億円以上、細かい部分を入れるともっと多いかもしれませんが、この内訳を見ると国庫補助金等の国からの資金が全体の3分の1以上を占める102億円もありました。これは何かと思って調べたところ、エディオンピースウイング広島への国庫補助金のうち63億円が都市構造再編集中支援事業、それから37億円が防災安全交付金でこれは広島市が申請しています。
 浜松市に球場を造るに当たり、財源の問題は県だけのものではなく、この地域をまちとして位置づけるのであれば、浜松市の都市計画を変更し、使える交付金を使うといったことを県側からも提案して浜松市と話し合うべきだと思いますが、所見を伺います。

○熊谷公園緑地課長
 8番委員から御指摘がありましたように、広島市での補助金につきましては、都市構造再編集中支援事業と防災安全交付金を投入したと伺っております。
 都市構造再編集中支援事業につきましては、事業主体は市町、民間事業者等であり、市が策定する立地適正化計画において位置づけされた都市機能誘導区域や居住誘導区域に整備する道路、公園等の公共施設に対して市が活用できるものであります。
 また、防災安全交付金につきましては、当該公園の防災に資する機能が防災拠点避難地として防災計画に位置づけられていることが採択条件となっております。
 遠州灘海浜公園におきましては、現在立地適正化計画と地域防災計画のどちらにも位置づけされた地区がないため、この補助金を活用することができない状況であると認識しております。
 しかしながら、本公園整備においては多額の事業費が必要となることから、8番委員御指摘のように少しでも県、浜松市の財政負担の軽減を図ることが不可欠だと思っております。このため民間投資の可能性やほかの国の補助制度について、国土交通省に限らず他省庁の補助制度等も含め活用の可能性について今後協議会の中で検討していきたいと思っております。

○阿部委員
 今、浜松市及び西部地域の商工会議所から出てきている要望書の内容を見ると、完全に公園の中の単体としての球場整備ではなくて、まちづくりを想定した要望になっています。
 そのため、県として要望に添っていくのであれば、例えば浜松市が都市計画を少し変えればこういった財源も使えるよといった建設的なことを一緒に考えていくことが必要であり、今後そういった少し踏み込んだ議論をしていただくことが答えを見つける早道だと思いますので御尽力をお願いします。

 それでは次の質問に入ります。
 都市計画についてお聞きしますが、政令市を除く県内19都市計画区域の都市計画区域マスタープランの見直しを県は定期的にやってきていますが、次回は来年を予定していると聞いてます。
 このマスタープランは、長期的視点に立った都市計画区域ごとの都市の将来像を明らかにするものであり、近年の社会情勢の変化、人口減少や産業用地の不足を反映した土地利用方針とすることが重要だと思います。
 その中でちょっと絞ってお聞きしますが、さきの球場もそうですが、それぞれの都市の郊外、それから新東名という10年前、20年前にはなかった新しい幹線道路が通りましたので、新東名のスマートインターチェンジも含むインターチェンジ周辺の土地利用の方針及び市町との調整方法について確認します。
 また、このマスタープランを来年設定した後、県内工業用地が不足していることから、工業団地を造りたいと言ったときに、都市計画に関する手続が最短でどのくらいでできるのか確認します。

○海野都市計画課長
 説明資料94ページ3の61、都市計画マスタープランの策定を御覧ください。
 最初に、郊外及びインターチェンジ周辺の土地利用方針についてお答えいたします。
 県では、人口減少が進む中でも持続可能な集約連携型のまちづくりを目指しており、令和5年3月に静岡県全体の都市計画区域マスタープランを策定しました。この中で郊外部の土地利用につきましては、大規模な住宅地や商業地の拡大は抑制すること、一方でインターチェンジ周辺等の交通利便性の高い地区においての工業系の土地利用は引き続き推進する方針を打ち出しております。
 現在、この県全体の方針を各都市計画区域のマスタープランに落とし込む作業を行っているところでございます。
 次に、市町との調整でありますが、都市計画区域ごとに県都市計画課、土木事務所、それから都市計画区域を構成する市町の3者で広域連絡協議会を構成しております。その協議会において地域ごとの特性や課題、ニーズを反映するよう調整を進めマスタープランの素案を策定しているところでございます。
 都市計画手続に要する時間でありますが、工業団地の場合、規模、立地場所、他法令の規制の有無により手続に要する時間を一概に限定することは難しいところですが、例えば20ヘクタール以上の大規模工業団地の場合、市街化区域の編入を行う必要がございます。この場合には、各公共施設管理者等、関係機関協議に大体半年程度、都市計画法に基づく公聴会や案の縦覧等による住民意見の反映や都市計画審議会への付議等の手続に半年程度、並行した国の省庁協議に半年程度で、最短でという御質問でしたが、大規模工業団地の例だと合計で1年半程度かかるのが一般的となります。

○阿部委員
 よく分かりました。
 ここはやはり肝になるところですが、例えば新東名で言うと浜松市、特に私の地元の浜北地区を通過していますが、インターチェンジの周辺は、かつてはいわゆる優良農地でした。そのため、農業部門との調整を市町も含めてやっていかないといけない。例えば特区などを使って進めて後々つじつまが合わなくなるぐらいだったら、もうすっぱりと線引き変更してしまう決断も必要だと思います。そのあたりにしっかり踏み込んで、地域の実情に合わせて市町と調整していただきたいと思いますが確認しておきます。

○海野都市計画課長
 インターチェンジ周辺については工業地の需要が高いことから、区域マスタープランには全て位置づける予定です。
 具体的な線引き編入につきましては、農業部局との調整もさることながら、防災上の安全性や農地を含めた周辺への影響についても同時に適切に対応していくことが必要となります。後追いインフラ整備にならないよう計画的な開発を行うことが必要であることから企業立地推進課等との調整もしっかり行っており、市町の意向に沿って工業系土地利用がこれからも進むよう対応していきたいと考えております。

○阿部委員
 ありがとうございました。
 これは望月都市局長、森本交通基盤部長に申し上げておきますが、おそらくエリアが限られてくると思うので、安易な選択をして後になってしわ寄せが来ることがないよう、しっかりと踏み込んだ議論ができるようにしていただきたいと要望しておきます。

 次の質問に入ります。
 道路局にお聞きしますが、8月に伊豆でAIを使ってトンネル点検をしたという記事を拝見しました。先ほど5番委員もおっしゃったように、能登半島地震の発生を受けた伊豆半島の防災対策として非常に重要であり、まずは伊豆半島の28か所のトンネルの状況を早期に点検するとのことですが、伊豆半島に限らず全県のトンネル点検で進めていくべきと思いますが、今後どのような取組をしていくか確認します。

○西原道路保全課長
 トンネルや橋梁などにつきましては、5年に1回の頻度で定期点検を行っております。
 今後、将来にわたり適切にトンネルを管理していくためには、デジタル技術を用いた高度化、効率化が必要と考えており、今年度から新技術の走行型画像計測技術を活用し伊豆半島の28トンネルで点検を実施しております。
 従来の点検は、通行規制の上、高所作業車を使用し人が直接近接目視でクラック等の変状を確認しながら変状展開図を作成しておりました。新技術では、点検用車両が走行しながら画像を撮影し、AIでクラックを抽出し展開図も自動で作成することが可能となります。また3次元点群データを同時に計測でき、クラック等の分析をデータを用いて行うことができます。
 今後の取組といたしましては、作業効率や点検精度向上等の効果を検証しながら、次年度以降の点検についても積極的に活用してまいります。また同技術を用いた市町との包括的なトンネル点検の実施についても、市町への意向調査なども行いながら検討してまいります。

○阿部委員
 本会議で2番委員が公共施設の老朽化について質問されておられましたが、トンネルに限らず今後避けられないことですので、ぜひこういった技術をしっかりと磨いて全県で普及させていただきたいと思います。要望とします。

 次にトンネル工法についてお聞きします。
 先日、会派として三遠南信道路の青崩トンネルの視察を行いました。青崩トンネルは、中央構造帯が貫く地盤が非常に軟弱かつ不安定なエリアであるため、当初の予定地から変更するなど計画から貫通まで実に40年もの歳月を費やしたトンネルです。今回貫通に当たって行われた工法は、注入式長尺先受工法、略してAGF工法と言うそうですが、これは軟弱な地盤の地山に薬液を注入して地山の崩落を抑制し工事を進めていく工法だそうです。青崩トンネルにおいては、通常の1.5倍の強度を持つように工事を進めたとのことでしたが、それでも土被りが400メートルを超えた辺りから土圧が増大して持ちこたえられず、国内初の超強度コンクリを二重構造、4倍の厚さにしてようやく完工にこぎ着けたとのことでありました。
 先進杭と本杭の間にそのコンクリ厚を見られる場所があったので実際に見てきましたが、あそこまで厚いコンクリは初めて見ました。そこでお聞きしますが、これは県がやった工事ではないのですが、このAGF工法やこれだけの難工事であった青崩トンネル工事から得た知見を、今後同じ構造帯が通るエリアを工事するリニア工事の際に生かして、ここは大丈夫か、どうなっているかというチェックをしていくべきではないかと思います。
 また先ほど7番委員から話のあった大崩海岸トンネルの崩落のこともありますので、この青崩トンネルの工事についてしっかり検証しておくべきだと思いますが、所見を伺います。

○塩澤道路整備課長
 トンネル整備は、土木施設の中でも特に自然を相手にし、それぞれの現場条件に応じて工事を進めていくため一つとして同じものがない特有の施設になります。このためトンネル整備における課題に対しましては、各現場の状況を分析し適切な対策を取る必要があると考えております。
 全国には道路トンネルが約1万本以上ありますけれども、土木学会や各種協会などにおいて様々な知見が取りまとめられております。
 今回、8番委員御発言の青崩峠トンネルも含め、最新の知見を参考にしながら今後進めるトンネル整備に生かしていきたいと考えております。

○阿部委員
 なぜこれを申し上げたかというと、これからリニアの工事が進んでいく中で、県民の皆様の不安を払拭していかなければいけない、そして安全な工事をしていただかなければいけない。そのためには、こういった事例はきちんと関係者の了解も得ながら開示できるものは開示して、何が問題なのか、どこを注視すべきなのかしっかりと情報開示していただきたいと思いますし、専門的なことは我々も全く分かりませんので、ぜひ技術職の皆さんにしっかり勉強していただきたいと思います。これは要望とします。

 青崩トンネルに関連してもう1問お聞きします。
 青崩トンネルにおいては湧水はほとんどなかったとのことでしたが、それでも現地視察をさせていただいた際に、先進抗の中を湧水が小川となって河口に向かって相当の勢いで流れておりました。
 これを見て、量の大小はあれどトンネル工事においては、工事に伴う出水は必ずあるんだなと私なりに理解しました。この現場で会派のほかの議員とも質問する中で、もし大量の湧水が出た場合それを止められますかという質問に対して、止められないので全部排水するしかない、それがトンネル工事の鉄則ですとの回答でした。そのとおりだと思うのですが、リニア工事に関しては岐阜県の事例があるだけに、ただ単に排水してしまえばいいということではないと思います。これは非常に難しいところではありますが、県として技術的にどう捉えていて、もし大量湧水が発生した場合、JR東海がどういった対処をしてその湧水を止めるのか具体的に話し合っていかないと、県民の不安は払拭できないと思いますが、所見を伺います。
 また、岐阜県のJR東海の対応策として、薬液注入の工法で対応するとのことですが、それは直近の鹿児島県の北薩トンネルで失敗したばかりの事例です。これについてどのように捉えているのか、他県のことですので言及はしづらいかもしれないですが、専門的見地からどのように捉えているのか、所見を伺います。

○塩澤道路整備課長
 湧水への対応は、トンネル工事を安全に進めるためにも重要な対策であります。
 先ほど申し上げましたが、湧水対策につきましても、これまでの先行事例がたくさんございますので、それらで得られた知見をしっかり取り入れながら進めていく必要があると考えております。またトンネルを掘る際には、学識経験者等も含め助言を頂きながら現場に即した対策を取っていきたいと考えております。
 また、一般論としての話になりますが、湧水対策としましては、排水する方法と止水する方法の2種類がございます。あらかじめ湧水の発生が想定され外に排水できないということであれば、止水対策を取ることも可能と考えておりますので、湧水の規模にもよりますが対応が排水しかないということではないと考えております。

○阿部委員
 ありがとうございます。
 森本交通基盤部長以下ぜひお願いしたいのですが、県においてはリニアの件はくらし・環境部所管の部分が多いのですが、技術的なところは技術職のいる交通基盤部がきちんと把握していかなければいけないと思います。県が1つになって県民の皆様に情報を開示していくことが、理解と安心・安全をつくることにつながると思いますので、ぜひそういった体制で臨んでいただきたいと思います。生態系の部会など各部会がありますが、会議後に検証をした上で技術的な見地からの発信も必要かと思いますが、コメントがあればお聞きします。

○木村建設政策課長
 リニア工事の関係ですが、現在行われている工事は、国土交通省鉄道局が平成26年にリニアの品川−名古屋間の工事の実施計画を認可するに当たって工法などの技術的な内容を審査しているものと思われます。またトンネルの技術者も委員となっておりますリニア中央新幹線静岡工区モニタリング会議が発足しており、モニタリング会議において先進ボーリングなどの工事に必要なデータや今後の工事進捗を確認することになると思われます。
 いずれにいたしましても、8番委員御発言のとおり、くらし・環境部と協力して、国と連携を取りながら環境保全並びに安全に工事が進められるようJR東海と対話をしてまいります。

○阿部委員
 分かりました。
 くれぐれも私が言いたいのは、私も含めて専門家ではない県民の皆様に分かりやすいように、そして岐阜県のように、後になって違っているじゃないかといったことにならないように、分かりやすく情報開示していただきたいと思います。要望とします。

 次に港湾局に1問聞きますが、国土交通省がかつて作成したポート2030という計画があります。これは日本の港湾の国際競争力が非常に低下したことに対して、8つの方向性を立て日本の港湾の中期政策を示したものです。それに沿って全国の港湾が動いてきていると思うのですが、清水港については今年清水港長期構想をつくっており、ゾーニングはできているのですが、ポートセールスについての戦略が見えないと思っています。
 清水港や御前崎港も含めて県内の港湾を使う荷主企業の皆様のお話を聞くと、荷主企業のニーズはリードタイムを最小化したい、出荷して相手に届くまでの時間を最小化したい。これに対して最近の船主側は効率化するために船体を大型化してコストの縮減を図っており、大型化することによって積む荷物が大きくなるので、荷主側からするとリードタイムが長くなってしまっている。県内の中小企業の皆様からすると、もっと早く出してほしいというニーズがあるので、適正な大きさの船で早く出せないのかという要望も聞こえてきます。これもごもっともだと思うのですが、荷主側と船主側、それぞれ双方の主張がよく分かる話ではあります。
 説明資料にもありますが、清水港のコンテナ取扱量は全国で8位です。これが1位や2位となることはあり得ないと思うのですが、そうであれば静岡県の港湾、清水港の戦略として、大型船ではなくて多少古くても小さめの機動力が高い船、リードタイムを短くできる船を誘致して荷主と船主のそれぞれの思惑が合致するような戦略を打ち出していくことを考えたらどうかと思ったのですが、そういった戦略をお持ちなのか、お聞きします。

○戸谷港湾局長
 8番委員に御指摘頂きましたように世界の海運業界におきましては、スケールメリットを生かしたコスト縮減の観点から、船舶の大型化と寄港地の絞り込みが行われております。中でも北米や欧州航路に関してはその傾向が顕著であり、日本の港湾は海外の主要港とも競合する厳しい環境に置かれております。
 清水港におきましては、日本の5大港と言われる京浜、阪神、名古屋以外で北米や欧州航路を有する日本でも有数の港湾となっております。その一方で、寄港地の絞り込みもある今の世界的な状況の中で、まずはしっかりと清水港への北米、欧州航路を維持できるよう大型船が寄港できるターミナルの整備や航行の安全検討を行いながらポートセールスを行ってきたところでございます。
 一方、アジア航路につきましては、北米、欧州とは異なり割と小さなコンテナ船が寄港しております。清水港がさらに利用しやすい港となるためには、これら多頻度の直行便を増やしていくことが重要になっております。そのため毎年、清水港利用促進協議会という官民から成るメンバーで海外の船社に対してポートセールスを行っており、今年度も台湾のコンテナ商社に清水港の売り込みに行くこととしております。
 清水港のコンテナターミナル内でのリードタイムにつきましては独自の予約システムによって、ゲートに入ってから出るまで17分という日本でも有数の効率的な港となっており、こういったメリットも船会社にPRしていく要素になっております。
 いずれにしても、清水港にさらに多くの船を誘致するためには、清水港で取り扱う貨物量を増大させていく必要があります。令和3年に中部横断自動車道が開通して山梨県方面から清水港へのアクセスが格段に高くなりましたので、これまでほかの港を使っていた山梨県側の企業に対して清水港を使っていただけないかとPRしているところであり、実際に切り替えた荷主もいらっしゃいます。
 清水港を選んでいただくためには、荷主やターミナル事業者、船社のニーズを酌み取りながらいろいろな対策を練っていくことが必要になってまいりますので、これからもそういった方向で取組を進めていきたいと考えております。

○阿部委員
 分かりました。
 戸谷港湾局長は国交省から来ていただいてるので国全体の戦略をよくお分かりだと思います。
 クルーズ船は今非常に順調に増えていますけれども、やはり物を運び入れるコンテナが本筋で、清水港も御前崎港も田子の浦港もそうですが、今おっしゃったようにターゲティングをしっかり行って売り出せば、日本の中での清水港の位置づけ、国際競争力が上がるのではないかというところに着眼して戦略を立てていただきたいと思います。要望とします。

 清水港についてもう1点、港湾施設も道路、橋梁と同様に老朽化が進んでいると思います。これと同時に先ほど新技術も導入されているとの説明がありましたが、港湾施設の荷役の機能向上も必要となります。
 老朽化施設の取扱いについては壊れてから直す事後対処が中心ですが、予防保全計画をしっかり立てて、先ほどのトンネルのようにAIやドローンを導入して予防保全をしていくことが必要だと思います。
 ちょっと苦言を呈すようですが、県の繰越明許額のうち港湾が占める割合は非常に多いですよね。これは天候等との関係もあって致し方ないことはよく分かりますが、建設業と同様に潜水士の不足も言われている中で、早め早めに手を打って予防保全等を計画的にやっていかないと全てが後手になってしまうので、そこをしっかりと戦略的に考えていただきたいと思いますが、所見を伺います。

○原田港湾整備課長
 港湾においては、予防保全にシフトするために施設の点検に効率的な対策が取れないか検討しているところであります。施設数が約1,200に上ることもあり、現在、国に対して点検に要する費用などの補助金化、交付金化の制度要求をさせていただいているところであります。これによって予算を確保し、事後保全から予防保全に変えていきたいと考えております。
 また、港湾において現在活用している新技術としまして、海中の構造物や海底の地形などを3次元データとして計測するナローマルチビーム測量、ドローンを活用した写真撮影、点群データの取得などを行っております。
 8番委員から御指摘のありましたAIを活用した点検につきましては、まだ試行中ではありますがこれらの点群データを活用して構造物のひび割れの状況を確認するなどの調査を行っているところでございます。

○阿部委員
 それだけ取組をお考えであれば、具現化していただければいいと思いますので、ぜひしっかり取り組んでいただくようお願いをして終わります。

 最後に河川砂防局で、地元の案件で申し訳ないのですが、馬込川の下善地域と安間川の若草団地では大雨時に必ず冠水します。若草団地は安間川が越堤して冠水する。下善地区は馬込川はあふれないものの、合流してくる支川の有隣川や関連する市の管理河川が、馬込川の勢いが強過ぎて流れず内水氾濫という形での冠水を毎回繰り返しています。これについてはしっかり計画していくと聞いていますが、常に人命が危険にさらされている地域なので、例えば河川のしゅんせつだけではなく堤防をかさ上げするとか池を造るとか、何らかの方策を浜松市と協働してしっかりと考えていただかなければいけないと思いますが、それぞれの河川についての対応を伺います。

○長谷川河川企画課長
 初めに馬込川の上流域の治水対策についてお答えします。
 8番委員御指摘のとおり、浸水被害が馬込川の上流部で頻発していることから、まず本年3月までに計画の策定を行いました。具体的には、県と浜松市の関連部局から成る協議会を用いまして、それぞれが浸水被害の軽減に対して有効的な対策をまとめていく形で水災害対策プランを策定いたしました。現在その計画に基づき具体的な対策の検討をそれぞれの主体が進めており、今後その検討段階に応じて各主体ごとに事業の進捗調整なども含め調整を行ってまいります。
 先ほど御指摘のありました支川の合流点の処理や排水機場の運用などが具体的な調整の内容に挙げられてくると考えております。
 また安間川の若草団地付近につきましても、安間川と市が管理する河川の合流点付近で浸水被害が発生しております。こちらにつきましても、先ほどと同じ水災害対策プランを本年3月に県と浜松市の関係部局で策定いたしまして、それぞれの対策により浸水被害を軽減していく計画を共有しております。
 安間川につきましては河川に架かる橋梁が少しネック部になっていますので、橋梁の設計と河川の改修計画について調整を行うとともに、周辺地区で局所的な堤防の弱部がないかなどの調査を実施して有効な対策の検討を進めているところとなります。
 こちらにつきましても、浜松市と対策の進度を合わせながら計画的、効果的な対策となるよう、引き続き浸水被害軽減に向けて治水対策を進めてまいります。

○阿部委員
 最後に要望としますが、計画が進んでいるのはよく分かっていますが、毎回人命が危険にさらされているのは紛れもない事実です。計画がまだ具現化できないのであれば、浜松市とよく話し合って早めに避難を呼びかけたり、警察と連携して交通規制をかけるなど、具体的な対策をしないと県も浜松市も何もやっていないことになりますので、そこは被災者、被災が予想される人たちの目線での対応を検討していただきたいと強く要望して質問を終わります。

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