本会議会議録
質問文書
令和7年2月定例会危機管理くらし環境委員会 質疑・質問
![]() | 質疑・質問者: | 田口 章 議員 |
![]() | 質疑・質問日: | 03/06/2025 |
![]() | 会派名: | ふじのくに県民クラブ |
○田口委員
分割質問方式でお尋ねします。
まず、危機管理くらし環境委員会説明資料5ページと19ページ、令和7年度当初予算と2月補正の関係ですが、今年度の事業を踏まえて来年度どうするのかとの観点で質問したいと思います。
私どもの会派では昨年当初予算に向けた歳入歳出の見直しを提案し幾つか具体的な事業名も挙げています。くらし・環境部で令和7年度当初予算で廃止、見直しを行った事業と内容をお聞きしたいと思います。
それから、提言で私たちが述べたのは決算乖離です。当初予算で計上した事業額が決算時点で乖離している事例がかなり多いと思っておりましたので、令和7年度当初予算において見直した特徴的な事業があれば教えていただきたいと思います。
○松本経理課長
まず、令和7年度当初予算で廃止する事業ですが、廃止事業は事業を統合するものを除けば3本になります。
1本目の水道施設耐震化等事業費助成は、令和6年度当初予算では10億180万円計上しておりましたが、国の補助制度が厚生労働省から国土交通省へ移管されることに伴い市町への補助金が直接交付に制度改正されますので、県の予算計上が不要となります。
2本目は、プラスオーの住まい推進事業費に285万円計上しておりましたが、3か年計画の最終年度により今年度で事業を完了するものです。
最後に、南アルプスユネスコエコパーク10周年連携事業費は400万円を計上しておりますが、記念事業であるため今年度限りで終了します。
次に見直した主な事業ですが、まず費用対効果を踏まえた見直しとして脱炭素社会実現推進事業費は先日先議頂いた内容を含めた形ですが、温室効果ガス排出量の削減効果が高まるよう省エネ設備等導入補助の交付先等を見直ししたもので、1億5540万円を見直しました。
次に、財源の見直しの観点からは芝生文化創造プロジェクト事業費は今全額県負担の形で事業を行っておりますが、新たな財源としてふるさと納税による寄附を呼びかけて、大体60万円を目標に県負担を軽減することで見直しを図りました。
決算乖離の観点から見直した事業は、移住・定住促進事業費です。令和5年度の予算の執行率が75.3%であり、減額補正で5880万円減額することでお願いしておりますが、市町からの要望額に満額応える形で計上していた移住・就業支援金を支給実績を踏まえた計算に改めまして、来年度予算については6100万円の見直しを図ったものです。
○田口委員
今の話で事業を廃止したものは意図的に事業をやめたわけではなくて、制度が変わったとか3か年事業の3年目の事業だけが終わってしまっているではないですか。
そういうことではなくて、もうこれだけ財政が厳しいと言われているのだから、この事業についてはほかに変えるなどもっと積極的、能動的にやらないといつまでたっても財源不足のままになってしまうと思うので、ぜひ気をつけてもらいたいと思います。
費用対効果については、空き家バンクの話もありましたが、委員会でのこれまでの議論を踏まえてやってくれたのかなと思いました。
いずれにしても、精度を高めて当初予算を組んでいかないと持続的な財政運営ができなくなってしまうと思いますので、ぜひ心がけていただきたいとまず冒頭にお願いしておきます。
次に、説明資料25ページの移住・定住の促進について、先ほども7番委員の力説を拝聴しておりましたが、少し違う観点で聞きます。
12月定例会の委員会で、アンケート調査を行った報告がありました。非常にユニークなアンケートだと思い、もっと分析をしっかりやって対策を考えてほしいと話をしましたが、アンケートを踏まえた来年度施策への展開は何かあったのか伺います。
○大石企画政策課長
12月定例会の委員会で報告したものから今回再集計したものがあり、移住の決め手の質問項目において就職を選択した方を除いて再集計を行いました。
その結果、全体的に大きな変化は見られませんでしたが、移住を考えた動機や移住の決め手といった項目において移住によって生活コストが下がることを重視する傾向が見られました。実際に物価高騰や東京圏での住宅費が高騰する中で、移住を検討する方々の中には住環境を変えたいといったニーズが一定数ありますので暮らしや生活に関する情報を首都圏と比較する形で伝えられることができればよいと思っております。
○田口委員
それぐらいでしょうか、もっとありませんか。
○大石企画政策課長
これまで東京圏を中心にターゲティング広告を実施してきました。それにも効果はありますが、移住関心層と言われる方々はボリューム層としては結構大きいので、次に中京圏、関西圏へ向けてターゲティング広告を行うことに加えて移住に関心はあるけれどもまだ具体的な行動に移していない移住関心層に向けたセミナーや情報発信を強化していきたいと考えております。
○田口委員
もうちょっと分析できるのではないかと思うのですよね。ぜひまた分析の経過でも結果でもいいので見せてほしいと思います。
押し問答になってしまうと思うので要望にしておきますが、ターゲティング広告はユーチューブなどを見ていたら流れてきますので、もう結構いろいろな自治体でやっているため差別化を図ることが大事だと思います。その差別化の中に先ほど言った生活コストなどを分析して売り込む観点が必要だと思います。
私はもともと車の営業マンですので、私の感覚からいくと、まず製品があって売る拠点があって――その拠点が移住相談センターだったり、そういうポイントかもしれませんが、それからツールがあるんですよね。先ほど移住相談センターの認知度を高める話をしていましたが、そこだけやっても多分駄目だと思います。トータルで見て、例えば群馬県と比較をして何が違うのかを分析しないと多分1位は取り戻せませんよ。
EBPMと言いますが、根拠に基づいてやったほうがよい気がするので、来年度は1位を奪還するために、ぜひそういうことをやっていただきたいと思います。意見、要望だけにしておきます。
次に、説明資料32ページ交通安全対策の推進に関連して、12月定例会の委員会で少しお話した特定小型原動機付自転車の関係です。
いよいよ静岡県内でも先週から一部導入されたので事故が起きないことを祈るだけなのですが、まだ浜松市の町なかに行っても非常に目立たず啓発が決して十分ではないと思っています。
警察の所管になるかもしれませんが、啓発という意味ではくらし・環境部でもやらなければならないでしょうし、道路管理者との関係も重要だと思っていて、トータルで特定小型原付の安全確保を図ることが必要かと思うのですが、事故防止の啓発について所感を伺います。
○入戸野くらし交通安全課長
特定小型原付の道路交通法改正が令和5年7月に行われました。当初県も関係機関と連携して車道通行が原則車道の左側を走ること、歩道では歩行者優先、ヘルメット着用の推奨等、特定小型原付の利用に関する交通ルールを広報啓発するために上り旗を作成し関係機関に配付したり、啓発動画を作成しホームページやSNS、該当のデジタルサイネージで放映等を実施しました。
ただ、これまでシェアリングサービス等は県内で行われておりませんでしたので、今まであまり普及していない状況ですが、今般の浜松市でのシェアリングサービスの開始に伴い、若者層を中心に今度は普及していくのではないかと考えております。
シェアリングサービスの開始を受けて、当課では特定小型原付の啓発チラシを作成し、2月26日にオープニングイベントで警察と市が主でしたが当課も参加して広報啓発活動を行っております。そこで啓発チラシを配布し、ホームページやSNS等で配信しています。また浜松市は浜松駅を中心としたエリアがサービスエリアですので、大学や高校、県警や関係自治体へのチラシの提供を既に行っており、安全利用の啓発を実施しております。
ただ、まだ全ての方に特定小型原付の正しい乗り方や交通ルールについて周知されているとは考えておりませんので、今後も引き続き安全で事故を起こさないように周知徹底していきたいと考えております。
○田口委員
全ての場所を見たわけではないのですが、QRコードを読んでスマートフォンで説明を見るようになっています。ほかに何の説明も書いていないので、例えば特定小型原付で歩道を走れるのかなど疑問に思う人もいるだろうし、歩行者にしてもこれは何かと思うと思います。まだ始まったばかりですから、これから考えていただいてよいと思うのですが、交通事故につながらないようにぜひ予防をしっかりやっていただきたいと思っています。面白いので私もぜひ経験したいと思いますが、利便性と安全性を十分両立できるようにしていただきたいと思います。
次に、先ほど質問がありました説明資料34ページの空き家対策の推進です。
先ほどの御答弁でもありましたが、令和5年住宅・土地統計調査で空き家の総数が10万4800戸という数値がありました。
住生活基本計画の観点から質問しますが、現計画の目標だと2030年に9万5000戸との目標でしたが、既にもうオーバーしている状況ですよね。これから住生活基本計画をまた策定するとありましたが、もう既にオーバーしているので大幅な見直しが必要だと思います。
さらに言うと、基本的には市町の事業だと思うのですが、これだけ件数が増えて広域的な課題になっていると県がある程度サポートしないと市町の取組は進まないと思います。そのあたりについて住生活基本計画の改定という観点からお伺いします。
○稲垣住まいづくり課長
先ほど8番委員の質問にもお答えさせていただきましたが、住生活基本計画の目標値を既にオーバーしていることについて、民間調査会社の推計からも人口が減少する中で新築住宅着工件数がある程度あることから、現在の目標も2030年までの目標の達成は相当厳しいだろうと思っています。その中でも管理不全空き家や特定空き家にしないことが重要だと思っています。
空き家を増やさないためには、使える空き家を有効に活用していくことを積極的に取り組むことが重要であると考えております。そのため市町の計画に基づいて計画の取組を支援していくとともに、県民に対して空き家になったら早めに対処してもらうよう普及啓発を行っていく、さらに空き家の活用促進に向けて民間事業者による取組を積極的に活用していきます。
○田口委員
民間を使うのは非常に有りだと思っていて、ほかの県を見ると民間と連携協定を結んで積極的に取り組んでいる自治体があります。基本は市町村ですが、県でも連携協定を結んでいるところがあり、滋賀県などがそうです。
そういう事例をしっかり展開するのが重要だと思います。今までみたいにセミナーやイベントを民間と連携してやるのではなくて、10万戸を超えている空き家をどうやって減らしていくのか、それからリノベーションしていくのかを根本的に考えていかないといけないと思います。
今回予算の見直しを見ていても、住環境の部分で大幅にいろいろ予算の見直しをしてもらっていますが、注力するとしたらやはりここだと思います。この空き家をこれから何とか改善して減らしていかないと、人口減少社会の中で悪い言い方をすると負の遺産になってしまいますので、ぜひ組立てを考えてもらいたいと思っています。市町任せにするのではなく、県もリードしてあげてくださいとお願いしておきます。
次に、説明資料38ページの県内温室効果ガスの排出状況及び今後の取組です。
先ほど池ケ谷くらし・環境部長の説明の中で2022年の温室効果ガス排出量の速報値が2013年に対して21.2%とおおむね計画どおりとありました。前に言ったことがあるのですが、2020年頃のコロナ禍のときは、経済が停滞しているので温室効果ガスの排出量が下がったと思います。今後順調に減るのかなと私は心配していますが、県の所感を聞きたいと思います。
○佐藤環境政策課長
まず、現状が進んでいるのか遅れているのかという観点では、今年度の実績につきましては2月4日に行われた地球温暖化防止県民会議で議論していただきましたが、目標に向かって仮に各年均等に推移した場合の期待値を今年度はやや下回ったことから、5段階評価でB評価になりました。
9番委員御指摘のとおり、令和4年度は新型コロナウイルスの行動制限が解除され、経済産業活動が再開されたことによる反動により原油消費量が多少増えましたので、これが主たる要因であります。
今年度の状況は多少遅れをとっているものの、決定的な後れを取ったとは考えておりませんが、一方で全く安心はできず、特に我が国が多く依存している化石燃料などにおいては国際情勢に非常に多く影響を受けますし、今のまま削減のペースが維持できる保証も全くありませんので、今後一層気を引き締めて当たる必要があると考えております。
○田口委員
今の総合計画にはエネルギーの観点はありますが、CO₂の排出削減という観点がまだ少ないような気もします。計画に書く必要はないかもしれませんが、個別計画でしっかりCO₂削減をやっていかなければならないと思っています。
先議のときに言いましたが、Scope3などもあるので、金融機関やサプライチェーンをうまく使って排出量を減らしていくのは静岡県にとっては多分有効なやり方だろうと思いますのでぜひうまく活用していただきたいと要望しておきます。
説明資料46ページの使用済紙おむつの再資源化について質問します。
今年度、実証事業ということで掛川市、南伊豆町、富士宮市の2市1町で実施しました。まず成果について教えてください。
それから、研究会にはいろいろな市町の皆さんも来ているので、できれば広がってほしいと思いますが、来年度は同じ市町を支援するのか、また新たな市町を支援するのか状況を教えください。
○西尾廃棄物リサイクル課長
まず、今年度の2市1町の成果についてはまだ一部実証を継続中の市町もありますが、具体的な内容としては例えば介護・保育施設に回収ボックスを設置した市町では住民の方からごみの日に関わらず毎日出せてすごく便利である、ごみ袋代の節約になる等の意見を頂いておおむね好評であるとの情報も踏まえて周辺市町と情報共有し今後の展開を検討したいと報告を受けております。
また、新しい処理技術の開発実証を行った市町からは処理後の再生資源に若干衛生面での課題が見られたものの、この結果を基にまた新たな企業との連携を模索していきたいとの御意見もありました。支援を実施した県としても手応えを感じているところです。
各市町の実証結果については、県が主催する使用済紙おむつリサイクル研究会を通じて各市町に共有していく予定であり、さらなる取組につなげてまいりたいと考えております。
続いて、来年度の新たな市町の支援について各市町においても来年度予算の審議中と思われるので詳細はまだ伺っていません。ただ掛川市においては今年度の実証実験の検証結果を踏まえた取組を進めていきたいとの方針を表明しています。
県の実証事業は募集を通じて実施市町を選考委員会で選定していくものであり、令和6年度に実施した市町に限らず新たな市町の実証への取組を促し支援していきたいと考えております。
○田口委員
非常によい取組だと思います。これから増えていくのは間違いないですし、何とかしていきたいのはまさにサーキュラーエコノミーのよい取組だと思うので、しっかり進めてほしいと思います。
逆説的かもしれませんが、私はよく補助金は見直したほうがよいと言うのですが、導入時はやってよいと思います。ただいつまでも続けることにはどちらかというと否定的です。そういう観点で補助制度はいつまでやるのかなどの計画はありますか。
○西尾廃棄物リサイクル課長
本事業は、令和6年度から令和8年度までの3か年の事業とすることを予定しております。当該期間における実証を通じて効率的な回収方法や新たな再生処理技術方法の確立、再生資源の利活用先の開拓などに関する先進的な事例を蓄積していきたいと考えております。
○田口委員
3か年の事業ということで分かりました。新たな市町についてもこの期間で広げていっていただきたいと思いますし、今説明のあった技術を蓄積して産業として回していくということだと理解しました。くらし・環境部でここまで実施するのはすばらしいことだと思いますので、経済産業部とも連携して静岡県内でサーキュラーエコノミーのサイクルをつくっていただくよう期待しております。
最後に、水道施設の耐震化について説明資料50ページにありますが、耐震化というよりも老朽化も含めた対応について伺います。
管路更新率という指標を昔から追いかけていますが、資料をもらうと相変わらず県下全域で0.63%で全管路の更新には150年かかる計算で更新が追いつきませんので噴き出す水道が増える一方です。
私はこの委員会の中でも、水道行政について今年度から国は国土交通省に所管が変わったので、県もくらし・環境部から移したらどうかと話もしましたが、来年度もくらし・環境部でやるというのでぜひお願いしたいのですが、長期的な経営という観点を持たなければならない時代になっていると思います。
これも資料を頂きますと、国土交通省はそういった観点で考えています。厚生労働省のときには全く出てこなかった水道カルテを示し、県内の自治体についてもいろいろマトリックスを組んで、ここはしっかりやっている、ここはできていませんと明確に出しています。
こういう資料をもっと市町の職員に見てもらい危機感を持って水道経営や管路更新に取り組むよう進めていかないと駄目だと思います。前から言っていますが、まず広域化を進める必要があると思いますが、今後の進め方について県の所見を伺います。
○多米水資源課長
平成28年度以降、行政経営研究会の課題検討会――令和4年度からは静岡県水道広域連携全体会議――で経営管理部市町行財政課と連携して市町等の水道事業の健全な経営について議論を重ねてきました。
9番委員御指摘のとおり、経営的に今すぐに逼迫している状況ではないとの認識を持つ市町が多かったのは事実です。
現在、当課では各水道事業体が進めている経営戦略の見直しに当たり、市町行財政課とともに経営面のアドバイスの中で実際に公表する財政、収支見通しとは別に複数のケースについてもシミュレーションすることで想定を下回るケースにも対応できる経営感覚を持つように促しているところです。
また、本年1月にくらし・環境部と交通基盤部が合同で開催する上下水道合同技術研修会で静岡県水道広域化推進アドバイザーなどの有識者から自らの事業統合や経営改善の事例などを御紹介を頂くとともに、上下水道に携わる職員の意識改革に係る御意見なども頂いているところです。その内容につきましては、今後しっかりと市町とも共有して経営という観点においても意識の醸成に努めてまいりたいと思います。
県の担当においても、施設の整備・管理だけではなく経営に関する知識の習得にも今後努めてまいります。
○田口委員
多米水資源課長から前向きな話をもらいましたが、水道管の管路更新は順番があって、まず広域化だと思います。その次に民間活用があるので、それもセットで議論するタイミングになっていると思います。
先般宮城県の上下水道コンセッション事業者の話を聞いてきたのですが、そこで言われたのは人口10万人規模の自治体は案外危機感が薄いということでした。宮城県の話ですよ。小さな自治体は非常に危機意識を持って様々な対策をしているとの話を聞いたのですが、感覚的に静岡県内でも同じことが起きている気がします。
首長もなかなか水道料金を上げるとか耳障りな施策はやりたくないのでやらないのですが、150年ぐらいのサイクルをかけないと管路更新できない状況は明らかに行政の不作為だと思うので、様々なエビデンスを明らかにしていく必要があると思います。ぜひ県にしっかりやってもらいたいと思います。
○杉本委員長
ここでしばらく休憩します。
再開は14時45分といたします。
( 休 憩 )
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