本会議会議録
質問文書
令和6年9月定例会産業委員会 質疑・質問
![]() | 質疑・質問者: | 野田 治久 議員 |
![]() | 質疑・質問日: | 10/03/2024 |
![]() | 会派名: | 自民改革会議 |
○野田委員
一問一答方式で3つほどお伺いします。
まず、我々の机の上にはいつも情報スクランブルという資料があって産業委員会のニュースがいろいろ載っております。これを見ますと景況感下降超幅拡大、猛暑で消費停滞、7月から9月期がマイナス傾向であると書かれておりますが、産業委員会提出案件の概要及び報告事項10ページの県内経済の動向では、県の景気は一部に足踏みも見られるが緩やかに持ち直していると書いてあります。
経済動向はいろいろな指標でも見ることができると思っておりますが、県の融資制度の利用状況をちょっと見てみたいと思いまして、説明資料の36ページには、中小企業向け県制度融資の利用状況は件数も金額も減っていると。資金別にはコロナ関連資金を含む経済安定資金が件数で24.9%、金額で23.9%減となった一方、新規事業の推進等に利用する特別政策資金は件数で4.6%、金額で70.3%増となった。そして危機対応(経営安定資金)から政策的資金(特別政策資金)へ移行しつつあると記載がありますが、これは状況が非常に好転している内容をうたっているように思うのですが、財務事務所の感想などとは少し違いがあるかと思いましたので、そのあたりを県はどのようにお考えかお伺いします。
○佐藤商工金融課長
コロナや物価高騰などの危機対応も含め売上高の減少等に対して融資する経営安定資金につきましては、ゼロゼロ融資の返済本格化を迎えていた昨年度と比べ資金繰りの状況は落ち着いてきております。
また、政策的な資金として融資を受けられる特別政策資金につきましては、説明資料36ページの下段の円グラフのとおり昨年度の112億円から191億円と79億円増加しており、構成比でも19%から33%と増加してきております。
この資金の目的別では、ファルマバレーやフーズ・ヘルスケアオープンイノベーション等の県のプロジェクトに参加する企業の利用金額が大幅に増加していることから、設備投資や事業拡大等の前向きな取組にシフトしてきていると捉えております。
今後の中小企業の資金繰りや経営状況、国の動向等につきましては、今月中に複数の金融機関や税理士の団体等と意見交換を予定しており、状況把握に努め中小企業の円滑な資金調達を支援してまいります。
○野田委員
最初に申しました夏の猛暑であったり台風、宮崎県の地震で発令された南海トラフ地震の注意情報により、特に海岸沿いの観光業を中心にかなり経営の落ち込みがあったと予想しておりましたが、8月までのコロナ関連資金の借換え実績が15件、2億円と非常に少なかった。これは、経済の支障となる夏の影響があまりなかったと見てよろしいんでしょうか。
○佐藤商工金融課長
ゼロゼロ融資の借換えに利用可能であった国の保証制度に対応したコロナ関連資金が6月末で新規受付を終了しました。その終了に合わせた駆け込み需要が多くあり、6月末までの3か月間で1,983件、347億円と非常に多くの事業者に利用されたところです。
7月から開始した県独自のコロナ借換え資金におきましては、この反動もあり7月、8月の2か月間では利用が少ない状況になっておりますが、今後ゼロゼロ融資の返済を開始する事業者が2,000者以上おり、利用の増加を見込んでおります。
また、金融機関や県の信用保証協会の相談窓口等の状況を聞く限りでは、猛暑等で融資に影響が出ている話は聞いておりません。
○野田委員
経済に影響する不安要素は国内外にいろいろあるのですが、経済が順調に回って県税、法人税が増えて県財政にも非常にいい影響が出る形になっていけばいいなと思っております。
次の質問に入ります。
説明資料の57ページの森の力再生事業等でございます。
前回の委員会でも同じことを聞いて質問がかぶってしまうかもしれませんが、森の力再生事業はまず第1期の10年が終わって、今第2期全体計画の9年目に入っていると思います。
進捗状況は分かり切ったことだと思いますが、2期目の19年目を迎えた時点で必要としている整備に対してどのぐらい整備ができているのか伺います。
○大川井森林計画課長
ただいま第2期の森の力再生事業を実施しておりますが、今年度が9年目で令和7年度が最終年度になります。全体計画で1万1200ヘクタールの事業量がありますけれども、令和6年度計画までで9,741ヘクタールまで進捗する見込みとなっております。全体としては87%の進捗となりほぼ計画どおり進んでおります。
○野田委員
ほぼ計画どおり進んでいるとのことですが、その後も継続してやっていく必要があるのでしょうか。
○大川井森林計画課長
市町や林業経営体などからは、まだ荒廃森林はあるという声を受けております。
現在荒廃森林の調査を実施しており、結果の取りまとめをしているところです。次期計画につきましては、結果が取りまとまり次第、今後の対応を慎重に検討していきます。
○野田委員
よく分かりましたが、そこで森林環境譲与税との兼ね合いになってくるわけです。十分に意味を理解して有効に使っている市町と、まだどうしていいか分からない市町との乖離がかなりあると思っていますが、そのあたりはどう評価されているでしょうか。
○大川井森林計画課長
説明資料の中段にあるとおり、令和4年度までの県全体の執行率は78%となっております。市町別では執行率50%未満が9市町ございまして、執行が進んでいる市町とそうでもない市町のばらつきが見られる状況です。
○野田委員
ばらつきがあるとのことですが、執行率の低い市町に対して今後どのような指導や対策を取っていくおつもりでしょうか。
○大川井森林計画課長
各農林事務所が開催する地域協議会で全国や県内市町の好事例を市町に情報提供して譲与税の有効活用を働きかけています。
また、専門知識を持ったアドバイザーを市町ごとに派遣し、地域課題を整理することで森林整備や木材利用などの具体的な施策に結びつけるよう伴走支援を進めてまいります。
○野田委員
有効に使っていただきたいと思うのですが、前回の委員会でも言いましたが、実は森林だけではなくて道路周辺や地域で雑草が枯れなくて非常に困っています。
森林環境譲与税は目的がちゃんとあってお金の出どころが全然違うわけですが、例えば伊豆地域は国道や県道が非常に多く、前は年2回草刈りができていたところが、今は2年に一遍になっていたり1年に一遍が当たり前です。1年に一遍だと効率よく草刈りをしなければならないので、夏に草を生やすだけ生やしてもうこれ以上膨らまないところで刈るんですね。
これは交通安全上は非常に問題があると思っていまして、森林環境譲与税をそれに回せとは言いませんが、何かそういったうまい転用ができないかなというのが私の思いです。これもまたいろいろ検討していただきたいと思います。
最後に質問します。
説明資料27ページの伊豆ヘルスケア温泉イノベーションプロジェクトです。
8月5日にタイ王国観光局との間で温泉を活用した産業・観光分野での協力に関する覚書締結に出席いたしました。タイ王国にも行ってまいりましたし、タイ王国の皆さんが修善寺温泉に来たので御案内もしていますが、県は今後覚書に基づいてどのような取組を考えているのかお伺いします。
○粂田新産業集積課長
本年8月にタイ王国と結んだ覚書では、温泉施設の管理運営に関する情報交換、温泉を生かした様々な分野の経済交流、人的交流を進めることとしております。
このため、今回のタイ王国関係者の来訪時に美しい伊豆創造センターと連携して、5番委員の地元である修善寺温泉で行ったような伊豆地域の温泉施設の管理運営や周辺の地域文化を学び体験し理解を深める企画、スパをはじめとしたタイ王国のリラクゼーション文化を取り入れた新たなサービスなど温泉を活用した新しいビジネスモデルの創設に取り組んでまいります。
また市町、観光事業者等と連携し優れた観光資源を生かした双方向のインバウンド向けの旅行商品の造成、本県とタイ双方の事業者間のビジネスマッチングなどそれぞれの強みを生かして相互の発展につながる取組を官民一体となって進めたいと考えております。
○野田委員
率直に申し上げまして、タイ王国が静岡県に求めているものと私たちが対応していることに相当温度差があるなと。我々がタイ王国に行ったときは大臣まで対応していただきまして、相当な期待を持っていると。これに対応するには県だけではなくて民間と連携して施策を進めていくべきで難しいと思いますが頑張ってやりましょう。これ以上は聞いても難しいと思いますので聞きません。
それから、地域資源活用アドバイザーを小原嘉元氏に委嘱したとのことですが、なぜこの方を選んだのか、この方のどんな点が優れていてICOIプロジェクトにどのような効果が期待できると考えて委嘱したのか伺います。
○粂田新産業集積課長
小原嘉元氏は、温泉旅館を拠点として地域資源本来の価値を引き出しそれを地域に還元したいというお考えのもと、佐賀県嬉野温泉の和多屋別荘におきまして我が国で初めて温泉旅館を改装したインキュベーションセンターを立ち上げ、スタートアップなど10社以上を誘致しイノベーションを創出するコミュニティーを形成しています。
また、ここを拠点に地元の嬉野茶や肥前吉田焼など地域資源の発信、入居企業の製品を販売するポップアップストアの開設、お茶を軸としたティーツーリズムの展開など自治体や企業等との連携の下地域資源のブランド価値を再構築し地域に還元する先駆者として類いまれなる実績と知見をお持ちになっておられます。
ICOIプロジェクトにおきましても、温泉旅館を生かしたスタートアップの誘致などを通じて地域の新しい価値の創造に取り組むに当たり貴重な御意見、御助言を頂けるものと考え今回委嘱したものであります。
○野田委員
私は小原嘉元さんは存じませんがお父さんの小原健史さんをよく存じ上げており、全旅連の青年部長、会長をやって参議院選挙にも出られて、我々も応援に行った覚えがあります。本当に嬉野温泉を今のすばらしい温泉地にしたのがこの方のお父さんです。
小原嘉元さんは旅館が厳しい状況になったときに、スタートアップみたいなことを立ち上げた実績を持って再建されているようですので、静岡県にもその知見をうまく使わせていただくことはあると思うのですが、ちょっと変な質問ですけれど、民間任せではなく県がどのくらい突っ込んでこの事業をやろうとしているのか、そのあたりをお聞かせください。
○粂田新産業集積課長
地域資源活用アドバイザーを生かした県の事業の進め方についてお答えします。
今後県として、温泉旅館を活用したスタートアップ誘致を進めていきたいと考えており、そのセミナーを今月開催します。
これは温泉旅館や企業、経営者、スタートアップ企業などを対象に小原氏の取り組んできた和多屋別荘での先進事例などを紹介することで、まずは事例を学んでいただく場をつくりたいと考えております。
その後、新しいビジネスモデルの創出に意欲的な温泉旅館を見いだす現地調査や旅館経営者の具体的な事業計画について小原氏のアドバイスを頂き取組の具現化を図ってまいります。
次年度以降にも引き続き、こういったやる気のある意欲的な温泉旅館等においてモデルを構築し、温泉施設へのスタートアップの誘致、コミュニティーの形成、地域の方々と一体となって温泉と歴史、食、スポーツなど豊かな資源を組み合わせた新しいブランド価値の創造につなげてまいります。
県としては、主体的にこの事業を進めて温泉を活用した伊豆地域のさらなる活性化を図ってまいりたいと考えております。
○野田委員
非常に前向きなお答えを頂いたと思います。
私は前から観光は県にとって基幹産業の1つであって経済産業部として扱うべきものだと。そこへわざわざ引っ張ってきたみたいな言い方をしてすみませんが、これは前から持論でありまして、人の動きやイベントは主にスポーツ・文化観光部でやるんだけれども、産業として戦略的に県民が儲けたり潤すためには、やはり観光の一部は経済産業部にあるべきだと思っております。
今議会の一般質問で自民改革会議の杉本議員が知事に組織改編の質問をしました。
もちろんこれは知事の専権事項ですが、これから前向きにいろいろ考えていきたいというお答えでしたが、具体的なものはなかったです。
我々会派としても予算要望とともに組織改編のことを知事に提言しようと思っておりますが、例えば産業委員会が農林水産関係と商工労働関係が一緒になって、それぞれ部長もお2人並ばれている、こんなに大勢の答弁者もいて、物すごく大きな組織になっている。
少し調べたところ、商工労働関係と農林水産関係が一緒になっている都道府県は、実は静岡県と東京都しかない。なぜそうなのかよく分かりませんが、ほとんどのところが分かれている。観光が地域振興とか営業戦略として経済部に入っているところもある。私はぜひ来年以降、知事に組織改編をしていただきたいと思います。
最後になりますが、村松経済産業部長からコメントを頂きたいと思います。
○村松経済産業部長
この問題につきましては、経済産業部でもかなり前からいろいろ議論されていることは承知しております。
また、観光部門についてはいろいろな経緯により一度産業部に移管されたこともあります。そういった意味でメリット、デメリットがあると思います。経営管理部が組織改正をやっておりますけれども、今回新しい総合計画ができる中で計画を推進する上でどういった組織をつくっていくのがベストかというところも踏まえ、私どもとしても幅広い観点から観光の問題、商工と農林水産などについてはしっかりと意見交換しながら進めていきたいと考えております。
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