本会議会議録
質問文書
令和7年2月定例会建設委員会 質疑・質問
![]() | 質疑・質問者: | 阿部 卓也 議員 |
![]() | 質疑・質問日: | 03/06/2025 |
![]() | 会派名: | ふじのくに県民クラブ |
○阿部委員
分割質問方式で質問させていただきます。
まず、今年度で役職定年を迎えられる皆さんが答弁者の中にも5名おいでです。後ほど正式な感謝の言葉等は2番委員からされますが、私からはそれぞれの皆さんに感謝を込めて、御迷惑かもしれませんが質問させていただきたいと思います。
なお吉崎設備課長については、先ほど7番委員から質問させていただきましたので、残りの4名の方々に質問します。
まず石井漁港整備課長におかれましては、全国有数の水揚げを誇る焼津漁港に関して、令和4年6月に国が策定公表した計画期間10年間、計画事業費約100億円の焼津地区特定漁港漁場整備事業計画の整備に非常に尽力されているとお聞きしています。
まずこの計画の概要と現在の進捗状況についてお伺いします。
○石井漁港整備課長
焼津地区特定漁港漁場整備事業計画は、安定した水産物の流通拠点を目指し漁港管理者が行う岸壁や防波堤等の基盤整備費約70億円と、漁業や加工業組合等が行う荷さばき所や冷凍施設の整備費約30億円を合わせた事業費約100億円の計画であります。
これまでに、大規模地震や津波等に備えた焼津南防波堤の粘り強い化と小川南防波堤のかさ上げなどを行っております。また漁船の大型化に対応する岸壁の新設及び増深改良の調査設計等を実施しております。進捗率は、令和6年度補正予算までの事業費ベースで15.4%になります。
○阿部委員
御答弁ありがとうございます。
令和6年度末での事業費ベースの進捗率が15.4%だと、今後計画どおりに事業を進めるためには加速度的に事業費を消化していかなければいけないことが予想されますが、令和7年度以降の見込みと事業進捗を図る上での課題について伺います。
○石井漁港整備課長
今後、岸壁等の設計が完了していくことから、令和7年度以降これらの工事に新規に着手し整備を加速していきたいと考えております。
最大の課題が事業費の確保であり、国に対して積極的に働きかけながら、計画の後半に事業費が集中しないよう可能な限り前倒しし平準化を図るとともに、複数年債務の活用で適切な施工ロットと工期を確保するなど執行体制も整えていきたいと思っております。
今後も、焼津漁港における水産物の生産や流通機能の強化と大規模自然災害に対する施設の安全性の確保を図るため計画的に事業を推進してまいります。
○阿部委員
何事もスタートするときが一番大変ですし、御苦労も多いかと思います。その時期を担われた石井漁港整備課長に心からの敬意と感謝を、またこの事業の完遂に向けて我々も微力を尽くしたいと申し上げてこの質問を終わります。ありがとうございました。
次に、福田土地対策課長にお聞きします。
大変大きな話題になった、また県としても大きな課題でありました第41号議案「静岡県土採取等規制条例を廃止する条例」についてお伺いします。
令和7年5月26日から盛土規制法及び盛土規制法施行条例に基づく規制が始まることに伴い、本条例を廃止します。この条例を廃止する理由は、盛土規制法等の規制内容が本条例の規制内容を包含していて重複を避けるためと認識しています。
その上で3点お聞きします。
まず、土採取等規制条例を廃止することにより切土等の行為の規制に漏れが生じてしまうおそれがないか。
2つ目、条例を廃止する前に既に提出されていた案件について、条例廃止後はどのように取り扱うのか。
3つ目、他県において本県のように条例を廃止する事例があるかお聞きします。
○福田土地対策課長
まず、1つ目の規制漏れが生じないかについては規制対象となる行為の規模が土採取等規制条例では1000平米であるのに対し、盛土規制法では500平米であること、また盛土規制法の規制対象区域が県内全域を隙間なく指定していることから条例の規制は盛土規制法の規制範囲の中に包含され、規制漏れが生じることはないと考えております。
2つ目の土地採取等規制条例廃止後の取扱いですが、条例が廃止される前に既に着手されている土採取等は一定期間内に盛土規制法に基づく届出が受理されるまでは条例の適用を受けます。また違反行為への罰則の適用に3年間の時効を設けており、その他の条例に基づく是正指導を行うことができるなどの経過措置を設けております。
そして3つ目の他県の事例についてですが、大阪府が令和6年4月1日に条例を廃止し、埼玉県が令和7年度中に廃止を予定するなどの事例を把握しております。
○阿部委員
御答弁ありがとうございました。
私もこの盛土規制法施行条例を制定する特別委員会で一緒に議論させていただいた間柄であります。その間、福田土地対策課長が非常に御苦労されたこと、また様々な関係者の心中を思いやり配慮されてきたこと、その上でじっくり話し合って御納得頂いて条例制定までこぎ着けた。これは本当に大きな功績だと思います。心から感謝と御礼を、また大分お疲れになったと思いますので今後の御活躍と御健康をお祈りしたいと思います。本当にありがとうございました。
続いて、吉澤交通基盤部参事(静岡県建設技術監理センター所長)に、若手技術者の技術力とモチベーションの向上についてお伺いします。
少子高齢化、人口減少が深刻さを増していますが、労働力人口が加速度的に減少する中で、官民問わず建設産業界においても大きな問題になっています。近年激甚化、頻発化する災害への対応等によって、土木技術職員の業務が過密化しています。これからが働き盛りと言える若年層において、こういった厳しい状況、環境により離職する方がかなりいらっしゃって、さらに残された皆さんは限られた人員で適正に業務を遂行することが大きな課題になると考えています。
こうした中で、建設技術監理センターでは毎年度土木技術職員の研修計画を立てて、効率的かつ効果的な研修を実施していると認識していますが、特に若手技術者の技術力向上やモチベーション向上に資する支援等について、今後も含めてどのように取り組んでおられるのかお伺いします。
○吉澤交通基盤部参事(静岡県建設技術監理センター所長)
当センターでは、若手技術職員を中心に職員研修を実施しております。
8番委員からも御指摘があったように職員の離職も大きな課題となっており、離職を抑えつつよりよい人材を育成するためには、技術力の向上に加え働きがいにつながる研修内容の見直しが必要不可欠であると考えています。
そのために、土木技術職員として求められる役割と能力を年代別に提示し、研修の必要性や受講のタイミングを再設定することで自己研さんへの意欲を高めるとともに、社会貢献の意識向上につながるような、例えば広報に視点を置いた研修を新設するなどモチベーションアップに向けた研修計画の見直しを進めています。
令和7年度には、新たな研修計画に基づく人材育成を本格的にスタートし、引き続き技術力の向上を図るとともに、職員のモチベーションが向上し働きがいの持てる職場環境の創出に取り組んでまいります。
○阿部委員
なかなか希望者も少なく技術有資格者も少ない中で御苦労も多いかと思いますが、今年も十二分に人材育成に励んでいただけたと思いますし、また吉澤交通基盤部参事におかれましては前職で浜松市に御出向頂きました。特に馬込川の改修については県単独で馬込川本川だけ改修しても駄目で、それに合流してくる市の関連河川の整備を同時並行でやらなければいけないことをきちんと御理解し浜松市を説得していただきました。現在共同作業が進んでいることは、ひとえに吉澤交通基盤部参事の御功績であられたと思います。私はたまたま馬込川流域の県民の1人でありますが、吉澤交通基盤部参事の御英断、また汗をかいていただいたことでどれだけ多くの市民、また県民が安心を得られる日が近くなったかと思いますので心から御礼を申し上げます。
また現場、そして対話を重視されておられました。その姿勢が建設技術監理センターでの職員の育成においても十二分に浸透しているかと思います。そういった職員をこれからも育成していく静岡県であるよう伝統をしっかり伝えていただき、今後とも静岡県に対して御尽力頂ければと思います。心から御礼と感謝を申し上げてこの質問を終わります。ありがとうございました。
次の質問に入ります。
もう1人御退職されるのは森本交通基盤部長であられるのですが、部長には特に質問は設けませんが、この後の質問の中でお答え頂かなければいけない場面が出てまいります。
野球場についてお聞きします。
先ほど来、各議員からも質問が出ておりますが、第1回遠州灘海浜公園利活用推進協議会が1月28日に開催され、そこで決定された合意事項や協議の方針を見ると大切な一文があります。基本計画も踏まえつつあらゆる可能性について検討するとあり、重ねて民間のノウハウを最大限取り入れ集客、収益が見込まれる施設導入の可能性を探るとあります。これはとても好ましいと思っています。なぜならば浜松市と県の協議会は、浜松市からの要望を第一義とする中で可能性を探ることが大切だと捉えています。わざわざできない理由、計画が駄目な理由をあら探しするのではなくて、どうしたらできるのか、可能性を探求することこそが最も重要なことですし、この協議会ですべきことだと私は捉えています。
ただし、先ほど来、各委員が危惧されているようにマイナス面を加味した上での議論でなければならず、逆に言うと最初からつくるための議論であってはいけないと思っております。
その中で1つ御紹介するのが、皆さん御拝読されているかもしれませんが「アンビシャス」という本です。この本はエスコンフィールドを建設するに当たって、関係者の皆さんがどれだけ大変だったかを紹介したノンフィクションの本です。登場人物も全て実名ですのでいわゆるドキュメンタリーに近いのですが、昨年の建設委員会でも実際にエスコンフィールドの視察を行いました。エスコンフィールドのプロジェクトの二本柱である日本ハム球団の前沢本部長、それから北広島市の川村部長のお二人から直接お話をお伺いすることができました。その折に伺ったのは、何度も諦めかけたし何度もこれでおしまいだと思ったが信念を持って貫いて具現化にこぎ着けたと。
今までは、スポーツはするもの、運動場は運動をするためだけの場所と捉えるのが日本の定説でありましたが、そうではなくて野球場を野球をするところだけではなくまちの一部として考えたと。そのように考えたことで、日本における新しいスポーツの可能性を我々は開いたと思ってますよと強く語りかけられ、非常に共感を覚えました。
残念ながらエスコンフィールドと浜松市の新野球場の大きな違いは、プロ野球球団があるかないかであります。逆に言えばスポーツの新しい価値観、新しい可能性を開く意味では、プロ野球球団がなくてもスポーツを中心とした新しいまちをつくるコンセプトで自由に発想できると思えばいいわけです。浜松市が要望している多目的スタジアムであれば、野球だけでなくラグビーもできるし、サッカーもできるし、建設方法によってはバレーボールもできる。これらの競技は全て県内にプロチームがあります。そして野球で言えば、2軍ではありますがくふうハヤテベンチャーズもあります。そういったもの全てを可能性として議論していくことが必要だと思っています。
「アンビシャス」を読んでいただければ分かりますが、スポーツキャピタル――キャピタルだから都市ですね――として構想をスタートさせて、単にインフラ整備をするだけではなくスタジアムを起点にして商業施設や教育文化機関、そして周辺にある自然環境を複合的に集めることで都市をつくる。前沢本部長がおっしゃっていたのは、今まで我々はスポーツを興業主として、実態のないものに価値をつけて売っていたと。その我々がいわゆる虚像的なものではなく実体のあるまちをつくることによって、ファイターズだけでなく新しいスポーツの持つ魅力と生活、スポーツがあることの喜びがあるまちをつくることを考えてこの事業をやったとお話がありました。
ここまで私の持論を述べました。このようなことを議論する場が県と浜松市による協議会だと思いますが、第1回の協議会に出席した森本交通基盤部長に県の協議会に臨む姿勢についてお伺いします。
○森本交通基盤部長
協議会では、県民に愛され地域活性化の拠点となるように、民間のノウハウ等を最大限取り入れ、公園を含む全体的な利活用の構想と構想に基づく具体的な計画について検討するとの目的を示しています。
まず、県民の税金を使って行うインフラ整備なので、当然地域の方や県民の方に喜んで、楽しんで使っていただくことが大事だと思います。そして県民の税金を使って造る以上は、しっかりとメンテナンスができる持続可能な施設にならなくてはいけないと思っています。そのためには民間のノウハウを最大限活用することが必要だと思っております。
また、インフラとは単に施設の拠点だけではなくてまちの機能の1つです。基礎自治体の浜松市と県が一緒になって、民間の活用を最大限取り入れてあらゆる可能性を含めて検討し、検討内容についてはしっかりと県民の方々に透明性をもって示していく。最終的には事業費、維持管理、費用対効果、持続可能性も含めて案を絞っていき、しっかりと議会へ随時報告するとともに、県民の方々にデータを示しながらやっていきたいと思っています。
考え方としては、民間のノウハウを最大限取り入れて、あらゆる可能性を含めて県民に愛される野球場を検討してまいりたいと思っています。
○阿部委員
今のお立場では説明資料に示されている以上の答弁がしづらいと思いますので、半分持論を含めて言っておきます。
野球場の話をする際に札幌ドームがよく比較されることがありますが、これはナンセンスだと思っています。札幌ドームが稼げない施設になったのは、行政が様々な規定や規則であれも駄目、これも駄目とすると民間はそれに乗れないし稼げない。使いづらい施設だからさんざん交渉した挙げ句やむなく移転したのが日本ハム球団です。
だからこそ、札幌ドームを他山の石にすることはあっても、札幌ドームがこうだから駄目だという議論はしてはいけないと思います。それについて所見を伺います。
○熊谷公園緑地課長
8番委員御指摘の札幌ドームについてですが、運営状況や課題なども参考にしながら、今後の協議会で議論を進めていきたいと考えております。
○阿部委員
本当に失礼な言い方ですが、他山の石として失敗例であることは間違いないので参考にしなくてはいけないと思っています。でもそれによって協議会の議論ががんじがらめにならないような県の姿勢をお願いしたいと思います。
事業費がこれだけ膨張している中で、民間にどれだけ参入していただけるかが勝負の事業です。そのための建設的な議論をしなければ、この計画を具現化できるわけがない。だからこそ協議を主導する当事者である県として、柔軟な発想で事業に臨んでいただきたいと要望します。
もう1点事実関係を確認しておきますが、協議会に競技団体が入っていないとの御指摘もあります。競技団体の意見を伺うことも大切ですが、浜松市が篠原地区に野球場整備をしてくれとの要望を始めたときから、浜松市は一般市民の皆様が競技をしたりスポーツを楽しんでいただく球場としては周辺の浜北球場、船明球場や花川公園を整備しメインにしたいと。篠原地区に造る野球場は、あくまで新しいコンセプトの多目的スタジアムを造りたいから県も一緒にやってくれないかとの話だと私は思っています。
このあたりが混同して県民の皆様に伝わってしまっているかと思います。浜松市ともう一度確認して、もちろん市民の方も使えるが市民スポーツをすることを第一義とする競技場とは別枠で、多目的スタジアムを造るとの姿勢をはっきり示していただき、ベクトルを合わせておかないと議論を整理していく上で障害になると思います。この点について所見を伺います。
○飯田交通基盤部理事(都市政策推進担当)
協議会には浜松市にも参加していただいており、浜松市の要望は十分認識しています。協議の方針に書いてあるように、ありとあらゆる可能性を否定せずやっていく原点に立ち、浜松市の要望として多目的ドームがあることと併せて基本計画も踏まえつつスタートしております。その点につきましては協議会に参加する段階で、浜松市にも了解を頂いておりますので、当然一番いいものを造りたいとの我々の総意で検討していきたいと考えてスタートしていることを御理解頂きたいと思います。
○阿部委員
最初にこの「アンビシャス」という本を読んでみてくださいと申し上げたのは、相当強い信念を持ってこの事業に臨まれておられた。だから県も浜松市も強い信念をもって、こういったまちをつくることが将来の静岡県のためになる、浜松市のためになる、西部地域のためになるという大きな大義があって、例えばお金が不足していたらそのお金をどうするか知恵を使う。お金は県だけじゃ無理だから、浜松市だけじゃ無理だから諦めようと安易に結論づけるようだったら、最初からこの事業はやめたほうがいい。そうではなくて、本気でやろうと協議会を立ち上げているわけだから、県も強い意志を持って臨んでいただきたいと思います。
そして繰り返しになりますが、民間が参入しやすくするために、風通しをよくしあまり四角四面のことばかりを言わない。これから税収が少なくなっていくのは目に見えてるわけですから、民間のお金をうまく使って地域経済を回し県民の幸せをつくる、生きたお金になるような使い方をみんなで考える協議会をつくっていただきたいと要望を申し上げてこの質問を終わります。
次の質問をしますが、5番委員から交通基盤部の予算の話が出ました。今回の令和7年度予算編成に当たって、我々ふじのくに県民クラブも、最近の気候変動によって激甚化する自然災害から県民の命を守るためには必要不可欠であろうとのことで復活折衝をやらせていただきました。
その上で、先ほど5番委員からの指摘もあったとおり今後交通基盤部の予算編成は荒っぽい言い方をするとせめぎ合いになります。どこに大義があって予算が必要で、その予算をつけるか否か財政課も知事も決めていくと思いますので、どうしても必要だ、ないと大変なことになってしまうと明示しなければいけない。
各課長や局長に聞くと当然ながら自分の課や局の予算が必要ですと言います。それは分かりますが、全体のバランスもありますので、前列に並んでいらっしゃる理事及び参事の5人に、それぞれの所管の分野での必要予算についてお聞きします。
○梨交通基盤部理事(土木技術担当)
インフラメンテナンスの予算についてお答えいたします。
持続可能なインフラメンテナンスの実現を目指し、昨年の3月に新たな行動方針をつくりました。道路、河川、港湾、都市それぞれの施設について長寿命化計画の見直し作業を行っているところです。
インフラは中期以上の長きにわたって県民の生命と財産を守っていくものです。メンテナンスをこつこつと積み重ねることによって将来の大規模保守や修繕を避けることができ、トータルでインフラ投資の削減にもつながると考えております。
そういったことを県民の皆様や議会の皆様、そして財政当局にも丁寧に説明し御理解頂いた上で、インフラメンテナンス予算の確保については、イの一番に力を込めて取り組んでいきたいと考えております。
○望月交通基盤部理事(防災技術担当)
8番委員から県民の命、財産を守るとの話がございましたので、私からは防災の視点で発言させていただきます。
インフラは中長期の視点を持って整備していくことが非常に大事であることは、交通基盤部の中で共有しているところです。
一方、能登半島地震等を受けて、今年度も伊豆半島を中心に半島防災の切り口で大規模な地震や建設委員会でも度々話の出た激甚化、頻発化する豪雨にどのように対応していくかは重要です。防災や事前防災に加え、災害の際にいかにダメージを小さくするかを考えていかなくてはいけません。まさに早期の復旧・復興の視点を持つことが非常に重要だと思っております。
事実、流域治水の考え方にはそういった視点が柱として上がっております。例えば緊急輸送路の道路や海上の拠点となる港湾、そして都市の防災機能の強化等は防災に直結しますので、それらの整備の予算については確実に確保ができるよう、また、復旧・復興まではイメージが持ちづらいため情報発信に力を入れながら取り組みたいと思います。
○飯田交通基盤部理事(都市政策推進担当)
都市政策関係の予算についてお話します。
都市局では、日々の皆さんの生活に直結する下水道や公共交通の維持管理、支援等と並行して沼津市の鉄道高架事業や街路整備事業といったインフラ整備そのものもやっております。新しいものをつくること及び日々の生活を支える両面から人々の生活を支えています。
公共交通を例に挙げますと、経営状況も県の財政状況も厳しいため、財政当局から非常に厳しい査定を受けています。そういった中で、知事の肝煎りであるライドシェアの取組も始めていますが、根本的には地域公共交通を支えなければいけないため、さらに工夫して必要な予算を確保しなければならないと思っております。
引き続き必要性を訴えながら、人々の生活に密着して支えていけるようにやっていきたいと思いますので、ぜひ議員の皆様のお力も頂きながら予算を確保していきたいと思います。
○羽田交通基盤部理事(交通ネットワーク担当)
私からは、交通ネットワークの視点でお話させていただきます。
3月末に金谷相良道路の一部供用が開始され、陸海空のネットワークがほぼ完成します。
県内の交通ネットワークの大部分が形成されてきていますが、一方で生活交通や作業交通を担っている交通網を維持していかなければいけませんし、まだまだ充足されていないネットワークもあると思います。
静岡県が将来にわたって発展していくためには、インフラをしっかり守ること、生かしていくことが大事だと思います。
先ほど5番委員からも御指摘頂きましたように、予算の確保も当然重要ですが、データに基づいて県民の皆様も含めて御説明できる根拠を持ってやっていかなければならないと思っております。
議員の皆様にも当然御説明させていただきながら、お力添えを頂ければと思っております。
○北川交通基盤部参事(交流・通商担当)
私からは、港湾について御説明させていただきます。
港湾には、物流の面、にぎわいづくりの面、防災の面と3つの面があります。その中でも物流に関しては、清水港をはじめとする国際貿易港として県の経済を支えるためまだまだ整備が必要だと考えております。また令和3年に改訂した港湾計画の中にもまだまだやることが残っていると考えております。
そして、地方の港湾も漁業者の生活を支える場であり非常に重要だと考えております。
にぎわいづくりに関しては、清水港フェリー乗り場の移転工事が3月に完了しますが、港湾、海から静岡県を元気にしていくことが必要だと思っております。
防災に関しては、清水港のエスパルスドリームプラザ前の防潮堤がすごくきれいにできましたが、まだまだ防潮堤がない部分もたくさん残っていますので、着実に進めていかなければならないと考えております。
これからも予算をしっかり確保していくと同時に、同じ予算の中で最大の効果が出るやり方を日々検討しながら事業を進めていきたいと思っております。
○阿部委員
それぞれ御答弁ありがとうございました。
今お聞きしても明確に分かるように、どこも必要な予算があります。
皆さんにお願いしたいのは、どうしても県の縦割り行政機構の中だと、自分の部の予算との意識が強いかもしれません。でも我々議員から見ると、県民生活の中に縦割りはありません。例えば最後に答弁された北川交通基盤部参事の分野は産業に、また防災であれば人の命に、交通ネットワークであれば生活に直結している。
だから県の施策の土台の部分を、皆さんがやっている仕事が担っていることをもっと明快にして、ほかの部にも交通基盤部が抜けたらほかの部の事業はうまくいくのか理解してもらって、一緒に協力して部局の壁を乗り越えた県の施策としてやっていこうとするべきです。それがこれから県に求められる効率化であり、必要な予算をきちんと確保していくための大きな方策、柱になると思います。
ぜひ今後もそういった研究をしていただきたいと申し上げてこの質問を終わりますが、もし森本交通基盤部長から申し添えたいことがあればどうぞ。
○森本交通基盤部長
各理事、参事から答弁させていただきました。10年間の中期財政計画が示され様々例示がありますが、インフラ整備の必要性をしっかりと説明していかなければならないと思います。10年の短期ではなく20年、30年先の将来への投資であり、子供たちへの贈物という信念でやっていくべきだと思います。
その中で、それぞれの必要性を数値をもって示していくことが必要だと思っていますし、その上で県議会の皆様、地域の首長の皆様と一緒になって静岡県全体が安全で魅力的な県土づくりが続いていくように、しっかりと情報発信、連携しながら一体となって進めてまいりたいと思いますので、ぜひ御支援をお願いいたします。
○阿部委員
森本交通基盤部長におかれましては、役職定年をされても外から大局的に御覧になれると思うので、ぜひ今後も県の交通基盤行政について助言をしていただければと思います。御礼と感謝申し上げます。
最後の質問に入ります。
馬込川、安間川についてお伺いします。
現在、両河川の治水対策については、流域治水の考え方を基にして水災害対策プランを策定し、県、浜松市が連携して災害防除事業に当たっていると認識しています。ただ近年の想定を上回る降水量や長時間の集中豪雨の対策として、さらに踏み込んだ施策を考えていくべきだろうと思っています。
まず1つ目に馬込川についてお伺いしますが、以前から私も提言している特定都市河川の指定に向けて前向きに協議が進んでいるかどうか確認します。
また、現時点では浜松市との協議があるので何とも言えないと思いますが、馬込川は静岡市の巴川のように分断して指定することはなかなか難しいと感じます。馬込川全川を指定するのはなかなか大変ではあるものの考えるべきだと思いますが、現時点での県の所見を伺います。
○長谷川河川企画課長
初めに、特定都市河川に係る浜松市との協議状況についてお答えいたします。
浜松市とは、特定都市河川に関する情報の共有を図っており、浜松市の内部で他都市の事例や指定に係る効果、影響などについて研究していただいていると聞いております。
具体的な指定等については、浜松市からは確認しておりません。
2つ目に、馬込川全体の特定都市河川の指定についてお答えいたします。
指定の条件は、例えば流域全体で流出抑制、開発と整備を調整する考え方に基づき、浜松市の意向等も踏まえながら指定について考えていくべきと考えております。
○阿部委員
現時点では協議中だと思いますので、ごもっともな御答弁だと思います。
ただ1つだけお願いしておきたいのは、県が消極的だと捉えられてしまわないように、県民の命に関わる話ですのでぜひ前向きに進められるよう浜松市と協議に当たっていただきたいと思います。これは要望とします。
次に、安間川についてお聞きします。
整備計画策定の中で事業に取り組んでいくと思いますが、以前建設した安間川遊水地に続く対策として、天竜川が比較的近くにありますので天竜川への放水路を建設することは不可能でないと私は考えています。
もちろん天竜川は一級河川のため国との協議が必要ですが、放水路建設についても浜松市と整備計画を立てていく中で検討していくべきだと思いますが、現時点の所見を伺います。
○長谷川河川企画課長
安間川の整備計画につきましては、平成16年に策定しおおむね20年が経過しております。このため計画策定後の流域の変化状況や浸水被害の状況を踏まえ、現在河川整備計画の変更について検討しています。
8番委員御指摘の放水路等は治水対策の1つの手法になりますが、現在の被害状況や治水対策の状況等を踏まえて様々な観点から検討してまいります。
○阿部委員
それぞれ相手もあることですし浜松市の開発計画等もありますので一概に強権的に進められる話ではありませんが、命、財産に関わる話ですので、ぜひ踏み込んだ議論を今後も進めていただきたいとお願いします。
最後に、近年浸水被害軽減に向けて全国で地下空間の活用が具現化しています。昨年の建設委員会では札幌市、今年は広島県の事例を視察しました。
静岡県としては、浸水対策として地下空間の利用についてどのような考えを持っているのか、また場合によっては導入を検討しているのか、現状をお伺いします。
○山田河川砂防局長
現在様々な河川で治水対策を行っていますが、現状では河川拡幅、放水路、遊水地の三本柱で整備を行っており、特にこれまで地下空間を利用した施設を検討した事例はございません。ほかの都道府県でそういった事例があることは承知していますが、当然費用もかかります。最終的に費用と効果のバランスが取れることが前提になってきますので、条件が整ってより効果的だとなれば選択肢になると思います。
具体的にどの河川でどのようなやり方があるかを落とし込んでみないと分かりませんが、河川をつくるときの計画で検討していくことになると思います。
○阿部委員
山田河川砂防局長は当然御存じだと思いますし、百瀬河川海岸整備課長や長谷川河川企画課長は浜松土木事務所にいらっしゃったのでより御存じですが、浜松市は可美公園の地下に貯留地を造るなど県内でも先行事例があります。そういった事例の研究もしながら、道路の下に造るのは先般埼玉県八潮市での事故もあったのでなかなかリスクは伴いますが、公園など人の出入りを制限できるところであれば十分に可能性があると思いますし、そのような形でないとこの気候変動に対応できない。河川の拡張等を今の状況でやっても50年に一度、100年に一度の降雨量が更新される昨今の状況ですから都市局、河川砂防局併せて研究していただきたいと要望して終わります。
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