本会議会議録
質問文書
令和6年9月定例会建設委員会 質疑・質問
![]() | 質疑・質問者: | 田中 照彦 議員 |
![]() | 質疑・質問日: | 10/03/2024 |
![]() | 会派名: | ふじのくに県民クラブ |
○田中委員
それでは分割質問方式にて数点お伺いさせていただきます。
最初に、第129号議案「建築工事の請負契約について(グランシップ大ホール照明設備)」についてお伺いさせていただきます。
脱炭素社会への取組が進む中で、県では2050年までに脱炭素社会の実現を目指すために、第4次静岡県地球温暖化対策実行計画を策定しております。今後新築される建物についてはZEB化するなど環境配慮型への転換を図ることと明示されていますが、県有建築物の省エネルギー化に係る数値目標としては、省エネを促進するために設定された段階的な評価であるZEB Readyを達成するとされています。今後はこのような省エネルギーの新築建築物が順次増えていくものと思われますが、一方で既存の建築物に対する取組について、特にエネルギー消費の大きな大規模施設の省エネ改修が大変重要になってくるのではないかと考えています。
そこで、県は令和5年度から既存建築物の省エネ改修計画の策定を開始しておりますが、その中でもグランシップについては、建設委員会説明資料(交通基盤部)36ページにもありますように、BEI値が改修後0.94と他の建築物に比べると高くなっています。このBEI値の意味と値が高い理由についてお伺いさせていただきます。
○杉山建築企画課長
まず、BEI値とは国が定める省エネ基準からどの程度エネルギー消費量を削減できているかを見る指標になっております。
BEI値は省エネ基準1.0の建築物と対象の建築物の1次エネルギー消費量の比率で示されており、値が低いとその建物のエネルギー効率がよいことを示します。
続きまして、グランシップのBEI値が0.94と高い数値になっている理由でございますが、グランシップにつきましては、説明資料のとおりほかの施設と比較すると省エネ性能が低い数値になっています。ただし現状のグランシップのBEI値が2.15と標準的な建物の2倍以上高い数値になっているため、現状との比較では約56%のエネルギー消費量の削減効果が得られる算定結果になっています。
また、グランシップは御承知のとおり大空間を有し延べ床面積が6万平方メートルを超える特殊な施設でございます。ほかの一般的な建築物と同じような省エネ改修を行うのは非常に難しいこともあり、省エネ性能と改修コストのバランスを考慮した改修を行う結果、0.94という数値になってございます。
○田中委員
ありがとうございました。
説明資料を見ますと、改修内容について空調と照明のみ丸がついていますけれども、それ以外の改修を行わない理由についてお伺いします。
○杉山建築企画課長
グランシップは見た目からも想像できるとは思いますが、外壁や屋根の面積が非常に大きいです。また窓も特殊な形状となっているため、断熱化を図ろうとしますと工事の施工方法や面積の大きさといった理由から膨大な工事費がかかる一方、既存の建物にも一定の断熱効果がございますので膨大な工事費をかけて改修したとしても省エネ効果が低くなります。
そうしたことから、工事費はかなりかかるのですが、大きな省エネ効果が見込まれる空調設備と照明設備を改修することが適していると判断しこのような計画となりました。
○田中委員
今回、議案としては大ホール照明設備のLED化改修工事が提出されていますけれども、その他の設備の改修についてはどのような状況になっているのか教えてください。
○吉崎設備課長
グランシップのその他の設備の改修状況のうち電気設備につきましては、直近では令和2年度から3年度にかけまして特定天井の改修に併せてエントランスホール、ホワイエ、ロビー等の共用部の照明器具をLED照明に更新しております。今回の議案である大ホールの照明改修に引き続き、今年度は中ホール及び芸術劇場の照明改修工事の設計を行っており、工事の実施時期につきましては事業課で検討されております。
機械設備につきましては、冷暖房のための熱源機器の劣化が進んでいることから今後計画的な更新が必要になってくると思われます。その際には今回の省エネ改修計画で検討いたしました省エネ手法の導入を検討したいと思っています。
○田中委員
グランシップのLED化の改修によるCO2削減効果が県のアクションプランの削減量に占める割合とそれについての認識についてお伺いさせていただきます。
○吉崎設備課長
静岡県庁温室効果ガス削減アクションプランでは、2020年度の実績値を踏まえ2030年までに4万6960トンCO2の削減を目指すことがうたわれております。そのうちLED改修工事などの省エネ対策による削減目標は8570トンCO2となっており、今回の工事ではそのうち220トンCO2余りの削減が見込まれます。割合としては約2.5%と考えており、削減目標に対して一定の効果が得られたと認識しております。
○田中委員
これから建物の省エネ化はかなり進んでいくと思いますし、既存の公共施設の省エネ化につきましても、ぜひ民間のお手本になるようなものを県が率先して進めていただけたらと思っております。よろしくお願いいたします。
続きまして、出水対策についてお伺いさせていただきます。
近年の気候変動による災害の激甚化、頻発化の影響で県内各所で浸水等の深刻な被害が多発しており、早急な対策が求められているところです。
今議会の代表質問や一般質問でも取り上げられておりましたが、その答弁にもありますように県は河川改修やしゅんせつ、貯留施設等の対策を進めるとのことであります。河川改修やしゅんせつ等により水を流す対策はもちろん大切だと思いますが、昨今の異常とも言える短時間での降水量を考えたときに、やはり一時的に水をためる対策も重要であると考えます。
私の地元も以前は度々床上・床下浸水の被害が発生しましたが、公園の下に2万5000トンの水を貯留できる施設を整備したところ大幅に被害が減少いたしました。私も昨年実際にこの施設の地下に潜って視察させていただきましたが、ふだん子供たちが集っている公園の下にこんな大きなものがあるのかと本当に驚きました。こういった貯留施設が水害の多い地域に整備されれば、水害対策に大きく寄与するのではと期待するところであります。
しかしながら、整備には莫大な予算が必要なことから理想どおり事が進むかと言えばなかなか困難であると言わざるを得ないと思います。
御紹介しました私の地元の貯留施設も、平成8年当時で40億円の建設費がかかったとのことでした。一方で説明資料63ページ馬込川流域の治水対策のうち浸水被害軽減対策にもありますように、校庭貯留や水田貯留、ため池の有効活用等の施策が検討されています。私は特に学校のような敷地の広い場所での校庭貯留は少なからず効果はあるのかなと考えています。
そこで、まず県内の主要な河川流域における校庭貯留の事例についてお伺いします。
○長谷川河川企画課長
校庭貯留につきましては、市町と連携し市町は主に市町立の小中学校、県は県立の学校施設内で整備を進めております。県内で最も施設整備が進んだ流域は七夕豪雨で大きな被害を受けました巴川流域であり、ほかには市街化の進んだ三島市の大場川流域、磐田市の今之浦川流域、また浜松市の堀留川流域などでも整備を行っております。
具体的には、巴川流域におきましては静岡市内の小中学校、また静岡高校や大学施設などの県立学校を合わせた約60か所で整備を行っております。
○田中委員
かなり進んでいるとのことですね。
校庭貯留の効果についてはどのような認識でおられるのかお伺いします。
○長谷川河川企画課長
校庭貯留は、グラウンド周辺のかさ上げをすることにより貯留機能を持たせるよう改良するものです。学校の敷地に降った雨水を一時的にためることにより、下流側の河川への負担を軽減する効果があります。また河川の水位が上がりやすく水路からの排水が困難になるいわゆる内水氾濫が起きやすい地区におきましては、雨水の集中を軽減する効果があると考えております。
○田中委員
御答弁頂きましたように一定の効果が期待できるとのことであれば、自治体が管理する施設における雨水貯留をぜひ進めていただきたいと思いますが、進める上での課題がありましたらお伺いしたいと思います。
○長谷川河川企画課長
公共施設を利用しました雨水貯留につきましては、例えばグラウンドや公園などの周囲をかさ上げする場合、また駐車場などを活用して地下に貯留施設を整備する場合がございます。いずれの場合も利用者が多い施設の整備となりますことから、例えば建て替えのタイミングに合わせたり利用者が少ない時期に施工するなど施工時期や方法の調整が必要といった課題があります。
また、日常のメンテナンスにつきましても施設を管理される方にお願いすることになりますので、校庭の水はけが悪くなることやグラウンドの土が排水路にたまってしまうといった維持管理についての課題があると認識しております。
○田中委員
昨今の激甚化、頻発化する豪雨に対しては、流域一体となった対策が待ったなしの状況になっていると思います。流域の皆さんの命や財産をしっかり守っていただくために、市町と連携しながらハード、ソフトあらゆる対策を県がリーダーシップを取って進めていただけたらと思いますのでよろしくお願いいたします。
続きまして、県道静岡焼津線(浜当目トンネル)の調査状況について伺います。
説明資料51ページ重点事業の実施状況28にあるように、県道静岡焼津線につきましては大崩海岸の斜面が崩壊して浜当目トンネルの覆工コンクリートにひび割れの拡大が確認されたため、令和6年7月2日に全面通行止めとされています。7月14日には県道静岡焼津線(浜当目トンネル)対策検討会が開催され、トンネルの変状原因の特定に向けた今後の調査等に関して議論が進められたと聞いています。
そこで、現在の調査状況と今後の見通しについてお伺いします。
○西原道路保全課長
県道静岡焼津線(浜当目トンネル)対策検討委員会で検討された調査方針に基づき8月末に山側のボーリング調査に着手いたしました。今後、空中電磁探査やトンネル内の安全を確保した上で坑内からのボーリング調査を実施してまいります。引き続きボーリング調査をはじめ原因究明及び対策の検討に必要な調査を進めるとともに、調査結果を踏まえトンネル変状発生メカニズム及び対策方針を検討し、年内を目標に第2回対策検討会を開催する予定であります。
○田中委員
ありがとうございました。
近くに住まれている皆さんにとっては、通勤や通院といった日常生活に使われている道路だと思いますけれども、皆さんいつこの道路が開通するのかと大変期待していると思います。
もちろん安全第一だと思いますので、安全にしっかり配慮していただきながら、またこういった情報もしっかり住民の皆さんに発信しながら進めていただけたらと思いますのでよろしくお願いいたします。
続きまして、説明資料104ページ遠州灘海浜公園(篠原地区)についてお伺いします。
6月定例会では、県と浜松市、そして必要に応じて民間事業者が入った新たな協議会を設置する旨の答弁がありました。
9月定例会ではある程度どんなものか形が見えてくるかと少し期待していたのですが、本会議初日の知事説明の中で現在浜松市等と事務レベルの調査、調整を進めているとのことであり、思ったより進んでいないとの印象を受けております。
そこで、現在の調査状況と今後の見通しについてお伺いします。
○熊谷公園緑地課長
現在の状況におきましては、協議会設置に向けまして浜松市の要望活動時に知事から浜松市長へ協力を依頼し、了解を頂いているところであります。また課題論点を整理するよう知事から指示を受け、現在浜松市と事務レベルにおいて調整を進めているところであります。
今後は民間の参画を期待しながらやっていきたいと思っておりますので、その辺につきましても協議会の中で協議してまいりたいと思っております。
○田中委員
協議会設置に向けた現在の状況について教えていただけますでしょうか。
○熊谷公園緑地課長
現在は、協議会の設置に向けまして浜松市と事務レベルにおいて調整しているところであり、細かい課題や論点をそれぞれ整理している状況であります。
○田中委員
今の答弁では課題や論点について整理しているとのことですが、具体的に課題や論点とはどういったものか教えていただけますか。
○熊谷公園緑地課長
課題につきましては、公園を含めたエリア全体の利活用が図れるように民間のノウハウを最大限取り入れながら公園計画を策定すること、またその上で民間投資の可能性を検討しながら公園及び公園周辺の整備、整備後の管理運営等に関する県と浜松市、民間の役割分担や費用負担等を整理することだと考えております。
○田中委員
ありがとうございます。
6月定例会の委員会のときも話があったと思いますが、協議会に民間事業者はどういった形で参画するのかお伺いしたいと思います。
○熊谷公園緑地課長
民間の参画につきましては、公平性、透明性を確保することが重要と考えており、公募にて選定したいと考えております。公募に当たりましては、事前にPFI事業の実績を持っている民間事業者にヒアリングを行い本事業への関心度や実現性のある計画提案の可能性等を確認した上で、公募条件を設定したいと考えております。
公募で選定された民間事業者には、協議会において投資の可能性や知見を最大限取り入れた公園の稼働率向上策などについて意見、提案を求めていきたいと考えております。
○田中委員
ありがとうございました。
先日、浜松市商工会議所の主催で静岡ブルーレヴズの山谷社長の講演会があり、私も参加させてもらいましたが浜松市の関係者や議会、経済界の方々が集まって、非常に熱のあるお話で会場もかなり盛り上がっていて期待感をかなりひしひしと感じてきました。そのときに参加者の方ともお話ししたのですが、浜松市の四ツ池にある市営球場もかなり老朽化が進んでいてこの前も照明設備を改修したが、話によると今度はスコアボードも大分傷んできていて、そろそろ改修に入らないといけないとのことでございました。これを改修するとなると照明設備どころじゃなくてかなり大きなお金が動くんじゃないかとのことです。浜松市の今の構想によると、四ツ池公園は今の施設を壊して陸上競技場にしたいとの思いがあるようですから、壊す施設の老朽化対策に税金を投入するよりも新たにできる施設にお金を投入したほうがいいのではないかとの話で、私自身も納得したわけでございます。
ただ、進めるに当たっては丁寧に進めていかなくてはいけないと思っています。
先日札幌ドームに視察に行ってきたのですが、札幌ドームはプロ野球という収益性の高いキラーコンテンツを失ってしまい、現在は大変な努力をしてイベント等を誘致されているようです。稼働率自体は日本ハムファイターズがいたときと大きくは変わっていないようですが、やっぱりプロ野球のように非常に収益率の高いイベントを誘致するのは大変難しいというお話があり苦労されているようでした。
篠原地区については、まず協議会で県と浜松市の役割分担を明確にして民間事業者からも丁寧に意見を伺っていただきたいと思いますし、今お話がありましたけれども、野球場だけではなくて周辺のまちづくりですのでしっかり議論していただきたいと思います。いずれにしても議論の進行を期待いたしまして私からの全ての質問を終わります。
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