本会議会議録
質問文書
令和7年2月定例会建設委員会 質疑・質問
![]() | 質疑・質問者: | 田中 照彦 議員 |
![]() | 質疑・質問日: | 03/06/2025 |
![]() | 会派名: | ふじのくに県民クラブ |
○田中委員
分割質問方式にてお伺いさせていただきます。
最初に、下水道のメンテナンスに関する課題が昨今クローズアップされておりますが、この関係について何点か質問させていただきます。
建設委員会説明資料17ページ、議案第44号の狩野川東部・西部流域下水道の維持管理に係る市町負担金について伺います。
狩野川東部・西部流域下水道の維持管理に要する費用は、各流域関連市町との協定により全額市町負担となっていると聞いています。
維持管理負担金は、流域下水道の健全な維持管理、運営に必要な額を確保することが必須であるため、適正かつ安定した負担金額の設定が重要であります。一方で関連市町の公共下水道経営とも密接に関連することから、市町の負担軽減についても配慮する必要があると思います。
そこで、今回の負担金単価設定の基本的な考え方と関連市町の負担軽減への取組についてお伺いします。
○永野生活排水課長
維持管理負担金は、今後10年間の施設運転に必要な費用を算定し収支均衡が図られるだけの収入を見込むよう設定した年度ごとの単価に、年間の処理水量を掛けて算定しております。
維持管理費用の削減のため、省エネ設備の導入による動力費の削減のほか、汚泥含水率を低減して搬出汚泥量を抑制するなどコスト縮減を図ってまいりました。
今回の単価改定では不測の事態へ対応するため確保することとしていた累積資金の目標額を改めて精査し、超過確保分については関連市町に還元する単価設定として負担軽減を図っております。
○田中委員
次に、下水道管のメンテナンスについてお伺いします。
説明資料128ページにありますように狩野川東部の処理区は1985年に、狩野川西部の処理区は1994年に供用が開始されており、いずれも供用から30年以上経過しています。
管路の点検については、下水道法に基づき5年に1度、腐食のおそれのある箇所の管路内点検を実施しているとのことですが、腐食のおそれのある箇所をどのように抽出しているのかお伺いします。
○永野生活排水課長
下水道法に基づく管路内点検の対象は、コンクリートその他腐食しやすい材料で造られているものであり、流路の勾配が著しく変化する箇所または流路の高低差が著しい箇所、多量の硫化水素の発生により腐食のおそれが大きい箇所とされております。
県の流域については、これらの箇所のみならず全域を5年に1回の点検対象としております。
○田中委員
近年、県管理、市管理合わせて、下水道が原因で発生した県内の道路陥没の状況についてお伺いします。
○永野生活排水課長
近年の下水道に起因する道路陥没は令和元年度からの5年間で91件発生しております。深さが明らかなものでは、深さ3センチメートルの舗装のくぼみから30センチメートル程度の沈下のものがほとんどで、深さ1メートルを超える大きなものに関しましては令和4年度に県の流域下水道で1件発生しております。
○田中委員
埼玉県の道路陥没事故を受けて下水道の緊急点検を行っていますが、実施内容と結果についてお伺いします。
○永野生活排水課長
今回の陥没事故を受けまして県を含む下水道供用済みの県内30団体全てで、道路上あるいはマンホール内からなど何らかの緊急点検を自主的に実施しており、現在までに異常があった旨の報告はございません。
○田中委員
今後の管路点検においては新技術を活用して効率的に実施していかなければならないと思いますが、県の考えをお伺いします。
○永野生活排水課長
新技術として自走式カメラの録画画像からAIが要確認箇所を選定し、その箇所の画像により点検者がじっくりと健全度を判断する方法も開発されてきております。
事前に想定していた箇所に対する健全度判定の精度向上や想定外の箇所に対する注意喚起の効果も期待できることから、これら新技術の採用を検討してまいります。
○田中委員
それでは引き続き、説明資料129ページの道路陥没防止に関する連絡会議について伺います。
先ほどの下水道の質問にも関連しますが、道路の下には多くの占用物件が埋設されており、それぞれの管理者が管理するのが大原則であることは承知しております。ただ道路の下に埋まっている状況を鑑みれば、道路管理者と占用物件の管理者が連携して埼玉県のような事故を起こさないようにしていくべきだと考えます。
今年2月に富士宮市において路面の陥没が発生しており、この原因も道路に埋設された横断管路の漏水だったと聞いています。
そこで、道路陥没防止に関する連絡会議を昨日3月5日に開催したとありますが、この会議の目的と参加メンバーの選定の考え方についてお伺いします。
○西原道路保全課長
道路陥没防止に関する連絡会議は、庁内関係部署が道路陥没の発生を未然に防ぐための情報共有や連携を図ることを目的として設立いたしました。
メンバーの選定につきましては、道路を所管している部署や上下水道管などの占用施設を所管している部署としました。
○田中委員
昨日5日の会議でどのような内容について話し合い、参加者からどのような意見が出たのか伺います。
○西原道路保全課長
昨日の会議では、近年の道路陥没の発生状況や道路及び道路埋設施設の管理状況、埼玉県八潮市の陥没事故を受けた対応について情報共有し、意見交換を行いました。
また参加者からは、路面下空洞調査の連携に関する検討や占用者と道路管理者との連携の重要性、施設管理へのAIや新技術の活用、3次元点群データプラットフォーム上への施設位置情報のひもづけなどの意見が出ております。
○田中委員
今後の対応として第1次緊急輸送路を対象に緊急調査を行うとされていますが、この緊急調査実施路線の選定の考え方と調査をいつまでに実施するのかお伺いします。
○西原道路保全課長
緊急調査の対象は、第1次緊急輸送路のうち県が管理している国道としております。
第1次緊急輸送路は災害時に重要な役割を担う道路であるとともに、平常時においても交通量が多く陥没が発生した場合の影響が大きいため、まずは緊急的に調査を行うものであります。
調査期間は3月5日より開始して3月28日に完了する予定であります。
○田中委員
下水道のメンテナンスは国の動向を注視するとともに、県としても効率的かつ確実なメンテナンスをどのように行っていくかしっかり検討し対応していただきたいと思います。
また、緊急調査を今後進めていくとのことですが、調査結果をしっかり分析していただくとともに、住民が安心して道路を通行できるよう情報発信もお願いしたいと思います。
インフラメンテナンスは今回事故が起きた下水道に限らず今後の日本の大きな課題ですので、住民の安全・安心を確保していただくために、県としても必要な取組、必要な予算の確保をお願いしたいと思います。
次に、遠州灘海浜公園(篠原地区)についてお伺いします。
第1回遠州灘海浜公園(篠原地区)利活用推進協議会が1月28日に開催され協議の方針と今後の進め方について確認したとの説明がありました。
本公園の整備に当たっては、野球場の規模、構造や県、浜松市、民間の役割分担、それから費用負担等が課題であると認識しておりますが、今後協議会において丁寧かつスピード感を持って議論していくことが重要であると考えています。
そこでまず最初に、今回の協議会ではどのような内容を確認したのか改めてお伺いします。
○熊谷公園緑地課長
協議会で確認した内容については、お手元に配付しました遠州灘海浜公園(篠原地区)利活用推進協議会資料の1ページを御覧ください。
協議の方針として、2に記載のとおり公園基本計画を踏まえつつ、あらゆる可能性について検討すること、民間ノウハウを最大限取り入れ集客、収益が見込まれる施設導入の可能性を探ることなど7つの点について確認いたしました。
また、県と浜松市の役割分担等として、3に記載のとおりメイン球場を含む公園東側区域は県が主体、公園西側区域は浜松市が主体となり整備すること、費用負担は民間の提案を踏まえて協議していくことなどを確認いたしました。
○田中委員
この協議会に出席した委員からどのような意見や質疑があったのかお伺いします。
○熊谷公園緑地課長
協議会では、社会情勢等を踏まえた概算事業費の見直しや、協議会は6回開催するが、野球場の規模、構造や役割分担、費用負担等はいつまでに取りまとめるのか等の質問がありました。
概算事業費の見直しにつきましては、物価上昇等も踏まえた最新の数字をお示しすることを説明いたしました。
また、取りまとめ時期につきましては、期限を設けず協議会の中で丁寧に議論していきたいと考えており、現時点ではお示しできない旨をお伝えいたしました。
○田中委員
次に、遠州灘海浜公園(篠原地区)整備に関する現在の状況についてお伺いします。
本会議での我が会派の伴議員からの質問に対して、PFI事業の実績のある民間事業者から民間投資の可能性やノウハウを生かした利活用に関する提案などについてヒアリングを行っているとの答弁がありました。篠原地区をにぎわいをもたらす拠点にするために民間活力の活用は不可欠であり、民間事業者からよりよい提案を引き出すことが重要であると考えています。
そこで、どのような事業者を対象にヒアリングを実施しているのかお伺いします。
○熊谷公園緑地課長
ヒアリングの対象についてですが、PFI事業の実績がある建設、設計、維持管理、ディベロッパー、マネジメント、イベント関連等の企業を対象にヒアリングを行っております。
○田中委員
これまでに実施したヒアリングでどのような意見があったのかお伺いします。
○熊谷公園緑地課長
野球や水泳の合宿ニーズを見込めること、地元企業を核としたコンテンツの導入、立地条件からアーバンスポーツ施設の導入が見込めるなどの意見がありました。また公募条件として提案内容や参加者情報は非公表とすることや、提案準備期間を十分に確保してもらいたいなどの意見もありました。
○田中委員
今の物価状況や資材高騰等の情勢を考えると、公園整備における課題は大きいと実感しています。やはり民間活力を最大に活用することが大変大きなポイントではないかと思います。
協議会がスタートしましたが、浜松市としっかり議論していただくのはもちろん、周辺自治体や野球チーム等の競技団体などから聞き取りを行い利用者目線でどのような施設が望ましいのかを検討頂くとともに、コストの縮減や費用負担についても協議会でじっくり議論していただくようお願いします。
また、今朝の朝刊にも事業費に関する数字が出ていましたが、それは不正確な数字だと私は理解していて、こういった数字が独り歩きしていくのは非常に怖いと感じています。私も浜松市出身で大変強い要望を受けておりますけれども、しっかりとした数字を協議会の中で示して、浜松市の皆さんが要望している多目的ドームなどについて積極的に議論していただくよう要望させていただきます。
それでは、次の質問にまいります。
説明資料67ページ、県道静岡焼津線浜当目トンネルについてお伺いします。
これまでも委員会で度々質問させていただきましたが、大崩海岸の斜面が崩壊し県道静岡焼津線浜当目トンネルの覆工コンクリートにひび割れが生じたことから、令和6年7月2日に全面通行止めとされております。
昨年7月に県道静岡焼津線「浜当目トンネル」対策検討会を設置し、その後検討会の方針に基づくボーリング調査等が完了し昨年12月には第2回の検討会が開催されておりますが、トンネルの変状原因の特定には至ってないとされております。
そこで、今後の進め方についてお伺いします。
○西原道路保全課長
トンネル外側の斜面における地滑り面がある程度推測できたものの、挙動のデータが少ないなど特定に至っておりません。対策検討会で決定した調査方針に基づきボーリング調査等の現地調査や地滑り等の観測を継続して進めております。
今後、パイプひずみ計や孔内傾斜計、地下水位の観測等を継続し、まとまった降雨時による斜面の挙動を確認した上で地滑り面を特定してまいります。また数値解析手法等を用いて地滑りの挙動がトンネルに与える影響を推定してまいります。
引き続き必要な観測及び調査を継続するとともに、トンネル変状の発生メカニズム等を特定し対策の検討を行ってまいります。
○田中委員
トンネル変状の原因となる地滑りの挙動を特定できないと対策を講じることは難しいと思いますが、通行止めがかなり長期化しており地域住民の方々も不安を抱いております。
専門家の意見等も聞きながら、できる限り早く復旧に向けた結論を出すよう要望いたします。
次の質問にまいります。
説明資料86ページから89ページ、令和6年に発生した公共土木施設災害及び土砂災害の発生状況と今後の対応についてお伺いします。
近年、地球温暖化に伴う気候変動の影響により各地で自然災害による被害が激甚化、頻発化しているのは周知のとおりであります。令和6年も8月の台風10号などの豪雨により県内各地で河川や道路など多くの公共土木施設の被害が発生しています。また多くの土砂災害が発生し住宅等への被害など県民生活にも支障が生じたと聞いております。
公共土木施設の被害は住民生活への影響があることから、被災した箇所の早期の復旧工事が求められます。また土砂災害が発生した箇所においては、速やかに現場の復旧や安全の確保に向けた対応をすべきと考えます。
そこで、令和6年の公共土木施設被害の発生状況と復旧に向けた今後のスケジュールについてお伺いします。
○望月土木防災課長
令和6年における交通基盤部の所管する河川、道路、港湾等の公共土木施設におきましては、8月の台風10号による豪雨のほか12回の異常気象により県及び政令市を含む市町が管理する施設のうち合わせて141か所で被害が発生いたしました。そのうち崩土除却や大型土のう設置など緊急処置が必要な55か所について応急対策を実施したところでございます。
今後の対応につきましては、令和7年1月までに141か所全ての箇所において国土交通省と財務省東海財務局による災害査定が完了し、約89億3000万円の査定決定を受けたところです。そのうち県管理におきましては、被害箇所96か所に対して約66億8000万円の決定を受けました。
査定決定を受けた箇所につきましては、用地買収など諸手続が必要な場合を除き、速やかな工事契約を行い早期復旧に努めているところです。
○田中委員
これからまた雨が多くなる季節がやってきますので、現在復旧工事中の箇所につきましては早期に工事が完了するよう努めていただきたいと思います。
また、災害復旧事業に加えて国の補助事業や交付金事業と併せて県土強靱化事業などの県単独事業も組み合わせて、災害に強い県土をつくっていっていただくようよろしくお願いいたします。
最後に、説明資料52ページ脱炭素社会の実現に向けた県有建築物の取組についてお伺いします。
2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、建築管理局においては令和4年度に県有建築物ZEB化設計指針を策定し、新築建築物は原則ZEB Readyとなるよう設計を進めており、令和5年12月定例会の建設委員会で、ZEB Readyの達成だけではなく省エネ性能を維持していくことが重要であり、設計段階で想定したエネルギー使用量とモニタリングした実績値との相違を把握していくとの答弁があったと記憶しています。
カーボンニュートラルの実現には、運用段階において設備機器が設計書のとおり機能して想定したエネルギー使用状況となっているかが重要であることから、エネルギー使用状況を検証し設計や運用改善にフィードバックしていくことが肝要であると思います。
そこで、既に完成した建築物におけるエネルギー使用状況のデータ検証はどのようになっているのか、またその検証結果をどのように分析、評価しているのかお伺いします。
○吉崎設備課長
令和7年2月末現在、建築管理局で設計しZEB Readyを達成した新築建物のうち完成したものは指針の適用過渡期のものを含めて18件ございます。多くは学校と交番であり、代表建物として藤枝東高等学校と静岡中央警察署弥勒本通交番の2件にモニターを設置しエネルギー消費状況のデータを収集しております。
このうち1年間分のデータを収集できた静岡中央警察署弥勒本通交番について、試行的にデータ分析を行いました。その結果、基準となるエネルギー使用量からの省エネ効果は、設計時の53%の削減に対し実績も同じ53%の削減となりました。この結果から設計指針に基づいた設計により運用段階においてもZEB Readyクラスのエネルギー消費量の削減となっており、設計指針がカーボンニュートラルの促進に有効なツールであると評価しております。
○田中委員
かなりの効果があると認識させていただきました。
カーボンニュートラルの実現のために、設備課は今後どのように貢献していくのかお伺いします。
○吉崎設備課長
設備課の業務は、さきにお答えしましたように地道な作業を積み重ね県有施設の省エネに寄与することでカーボンニュートラルの実現に貢献し、間接的ではありますが県民に還元していく県政における縁の下の力持ち的な存在であると考えております。
来年度から設備課は財務部に移管されます。施設の効率的な管理を推進する立場から、取得したデータを根拠に施設管理者に対し今までにも増して運用改善の働きかけができるのではないかと考えております。
○田中委員
県が率先してカーボンニュートラルの実現に向けて積極的に取り組んでいただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。以上で質問を終わります。
○沢田委員長
ここでしばらく休憩とします。
再開は13時30分とします。
( 休 憩 )
○沢田委員長
休憩前に引き続いて委員会を再開します。
質疑等を継続します。
では、発言願います。
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