本会議会議録


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令和元年10月子ども健全育成推進特別委員会 質疑・質問
質疑・質問者:天野 一 議員
質疑・質問日:10/24/2019
会派名:自民改革会議


○天野委員
 県政で、ぜひやってもらいたいということを2つほど。それから、静岡市でやっていて、静岡市では一番何が問題点なのか、この2つ。

○津富宏氏
 実質、県政にやってもらいたいことというと非常に広い気がするんですけど。広い意味でいいですか。
 やっぱり僕自身は、この問題、貧困というのは、経済の状況の反映だと思っていて――経済政策のあり方自体が、先ほどお見せしたように、日本ではかえって貧困をつくり出しているような部分があって。
 この言葉にこだわる必要はないんですけども、私が最近興味を持っているのは社会的連帯経済という、これはスペインだとか緊縮政策が進み過ぎたところで、簡単に言うと、自分たちで身近な人同士でお金を出し合って起業するというようなものなんですけれども、協同組合の草の根版みたいなものです。
 例えばIMFにやられちゃった韓国でも取り組まれていることなんですけれども、要するに、大企業が雇用を絞るというのは世界中どこでも起きていることなんですよね。それにぶら下がって、下請中小企業が苦しくなるということは同じことになっているので、そうじゃないところでお金が回る経済圏をつくることが非常に大事だと思っていて、それを勉強しているんですけども。そういった身近な範囲で身近なお金が回るような、これは地域通貨なんかも含めてですけども、ローカルな経済を立て直すということの仕組みをぜひ。
 海外では、さっきはイギリスへ行けなんて話もありましたけども、僕、それを見にスペインに行ってきたんですけど。学生と一緒に報告会もしたんですが、そういう自分たちの暮らしが守れるような経済を支援するような施策をやっていただきたいなと思います。これがあると、そういうところがうまく働けない人とか失業者を吸収していきます。
 先行している形としては、例えばイタリアの社会的協同組合という、これは法制化されていますけども、それから社会的協働組合B型というのは、障害者だけではなくて、生活困窮者とか、刑務所を出てきた人だとか、薬物依存症とか、そういう方々も雇う企業体とか法人化プランですよね。そこに対して、行政が優遇をかけて、要するに社会的包摂のための雇用体なんですけども、その施策はとっても重要だと思っています。
 私は、ここのところ、ずっとそれを勉強させていただいて、ちょっと脱線ですけども、最近、東京都と埼玉県が障害者のA型事業所を社会的企業と言いかえて、刑務所を出てきた人だとかもとるという政策を出されました。彼らもこういうイタリアとかの勉強しているのを私も知っていますので。それはとっても大事な政策だと思っております。
 ちょっと時間もあるので、静岡市に飛びます。もう1個、思いついたら戻りますけど。
 静岡市は、問題点とまでは思っておりませんが、先ほど御指摘いただいた点ととても近いんですが、うちの学生が静岡市の委託事業をやらせていただいていますけれども、学生も貧困なんですね、すごい単純に言うと。御存じだと思いますけども、バイトが忙し過ぎて学業が逼迫するという子がたくさんいるのが今の大学の実情ですので、やっぱりこういうことをやる学生には、高めのバイト代が出る事業にしていただきたい。ここで、静岡市の人に間接的に言っていただけるのか、どうなるかわかりませんけど、多分、普通のバイト代より安くなっちゃっています、時間で割れば。この事業に対して毎年10%削減というのが静岡市から来ていて。
 非常に恵まれていると思うんです。なぜかというと、学生団体をここまで信用してやらせてくださっているのは全国でも静岡市だけで、僕は一応名前を貸していますけども、実務は学生だというのは静岡市はよく知っているんです。だから、学生団体は100人ぐらいいるんですけども、委託事業で学生団体がここまで大きいことをしているというのは、全国でも静岡市が多分一番だと思っているので、大変ありがたい事業だとは思っていますけれども、じゃあ、それが本当に学生としてはやっぱりボランティアになってしまっているというか――純粋な意味だと――それだと今の学生たちは時間が使えない。だから、そうなると、例えばちょっと遠くの教室があったりすると、往復の時間をあわせるととても間に合わないみたいなことが起きますので、さっきの深澤委員のマンパワーの話とも絡んでくるんですけども、通常、学生のバイトって多分1,000円切って900円とか、普通のやつは1,000円いいよねとか言っていると思うんですけど、1,100円とか1,500円とか、わからないけど、もらえるようなものにすると、お金でやっちゃいけないんですけど、こういうものは。やっちゃいけないんですけど、でもやっぱり結局、学生も本当に切羽詰まっていて、生活が苦しい子がたくさんいますので。
 今、御存じのとおり、給付型の奨学金はほとんど狭くて、対応型の奨学金で学生は学校に来ていますから、平均的に四、五百万の借金で出ていくわけですよね。四、五百万、今用意しろと言われて、出せる一般人はほとんどいない世界ですから、非常にその辺のところを配慮したいなと。いっぱいあると思うんですけど、それが1つです。
 あと、もう1つは、先ほどの御質問と山ア委員の御質問ととても近いんですけども、私、大学で働いていて、意識の分断ってすごく起きていると思っていて。こういう県なんかでいろんな活動をされると、多分、山ア委員に話に来られる学生さんもそうなのかもしれませんけど、いわゆる意識が高いみたいな学生さんは必ずしも貧困をバックグラウンドにしていない、余裕がある。活動できること自体がそうなんですけども、そういう学生さんがどうしても多くなる。ですので、若い人たち自身がそういう問題を意識できるような何らかの啓発、できたら啓蒙的な場づくりをぜひ仕掛けていただきたいなと思います。
 やっぱりこのことを知られていないがために、多くの人がどんどん意識しなくなっていると思うんです。それがよく言う1%と99%みたいな構図をつくり出しがちなので、私も大学では微力ながら努力はしていますけれども、そもそも関心がない学生、別に悪く言っているわけではなくてそれは育ちで仕方がないんですけども、例えばビジネスプランコンテストとかには行くんだけれども、それはそこでそういうところだけ見ているんですよね。また、そういう若者を大人の側が元気いいねといって、ある意味、大切にしたりする。大切にしていただくことは大事なんですけど、その子たちに社会全体が見えてるというようなことを問いかけたり、わかっていくような場づくりがとても必要で、若者の社会参加というときの社会参加って本当に二重の意味で使われていて、元気な子たちがビジネスプランコンテストに来たり、政治に意見を言ったりするような社会参加と、本当に社会に参加できていない子たちが、先に農家に行って、本当にちょっとしたことで涙を拭いながら頑張っているという、社会参加が分断されているところをもう少し私も考えないといけないんですけど、具体的な取り組み、課題として取り上げていくことは必要だなと思っております。よろしいでしょうか。

○天野委員
 はい。

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