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委員会会議録

質問文書

開催別議員別委員会別検索用


令和5年2月定例会産業委員会 質疑・質問
質疑・質問者:阿部 卓也 議員
質疑・質問日:03/01/2023
会派名:ふじのくに県民クラブ


○阿部委員
 それでは、分割質問方式で質問させていただきます。
 まずは、今年で退職をされる4名の方と最後の議論をさせていただきたいということで、4名の方に質問をさせていただきたいと思います。
 まず、花井水産振興課長に御質問させていただきたいんですが、駿河湾深層水のことについてお聞きをします。
駿河湾深層水は、平成13年度に取水給水施設が整備されて20年以上経過していますけれども、この間深層水のブランドマークを利用した関連製品の販売や微生物の利活用研究等々、本県の産業育成に大きく貢献してきたと認識しています。
 その中で、現在県が進めるMaOIプロジェクトが始まりましたが、マリンバイオ産業の創出に対して駿河湾深層水がどのように貢献しているのか、また貢献していくのかお聞きしたいと思います。
 私の深層水の認識は、深層水というのは深海にあって、深過ぎて太陽の光が届かなくて光合成が行われないから硝酸塩とかリン酸塩などの無機栄養塩類といったものが豊富にあって、もろもろに有効なんだという認識でいるんですが、そういう観点からぜひお聞きしたいと思います。

 それからもう1つ、その関連で最近日本で言うと佐賀大学が研究をされていて私も勉強に行ってきたんですが、ちょっとエネルギーの分野に入りますけれども、海洋温度差発電というのがあって、これはいわゆる深層水があるかなり深度が深いところの海水と、表面の温度の高い海水の温度差を利用して発電を行うとのことですが日本では久米島で佐賀大学と商船三井がやっていて、モーリシャスとかハワイでやっているという事例があります。駿河湾でその可能性があるかお聞きをしたいと思います。

○花井水産振興課長
 現在、駿河湾深層水は焼津沖の二層からくみ上げております。県の水産・海洋技術研究所や近くに深層水ミュージアムという施設もございます。またアクアスやいづという健康増進施設にも送水され、また近くの小川漁協にも送水され有効活用が進んでおります。
 水産・海洋技術研究所の中には、駿河湾深層水水産利用施設がございます。ここで深層水の特徴を使いこれを生かした研究が行われています。今9番委員からございました硝酸塩ですとかリン酸塩、これも特徴の1つでございます。それ以外に非常に水がきれいで細菌が少ない、温度が低いという特徴もございます。
 それで私、実はこの施設で研究員をやっておりました。施設の立ち上げにも立ち会わせていただいた経験がございます。そのときに駿河湾深層水をどういうふうに使えるかという研究をさせていただきまして、その駿河湾深層水の中から小さな藻を探して、その藻がアワビの餌になることが分かりましたので、その藻を大量培養してアワビの種苗生産に使う研究をさせていただきました。現在温水利用研究センター沼津分場でその技術を使っていただいているところでございます。
 現在、私の優秀な後輩たちが深層水を使って、例えばキンメダイの種苗生産研究であるとか、本県特産海藻種のサガラメの増養殖研究など精力的にやっていただいております。
 これらの研究を、いずれもMaOI機構あるいは大学といった外部研究機関との共同研究を進めております。外部研究機関が研究に参画するのは、やはりこの駿河湾深層水を使える水産利用施設が大変魅力的な研究リソースだからだと考えております。
 県といたしましては、引き続き駿河湾深層水水産利用施設を使った研究リソースをフル活用して、マリンバイオ産業の創出をリードする研究を全国の研究機関と一緒になって進展して、本県水産振興に尽くしてまいりたいと考えております。

 もう1つ、海洋温度差発電の御質問を頂きました。
 ちょっと言いにくいところもあるんですけれども、実は表面の海水と深層水が平均的に言いますと20度の差がないと効率的な発電ができないことが分かっております。
 残念ながら今、駿河湾では10度で深層水を上げていますので、表面海水30度となると真夏でもなかなか観測できないため、駿河湾では少し難しいのかなと考えております。

○阿部委員
 ありがとうございました。
 海洋温度差発電は残念ですが、先ほどおっしゃった藻というのは、かつて花井水産振興課長からそんなものを見つけたんですよというお話をお伺いしたことがあった記憶があります。先ほど言ったように光合成できない深層水に藻がいるのはちょっと意外なんですが、少しそこも補足してもう一度御説明を頂ければと思います。

○花井水産振興課長
 確かに真っ暗な深海で光も届きませんので、私も実は最初のときはそんな藻がいるはずがないと思っていたんです。ところがここに光を当てると、藻が繁殖してくることを初めて見出しました。
 駿河湾深層水で初めて見出したのは、恐らく私かと思っております。その小さな藻も大量培養すれば水産に役立つんだと、今まで水産といいますとどうしても食べることばかり考えておりましたが、小さな藻であったり今は細菌類ですね、バクテリアのような小さなものもやはり深い海の資源だと、それが静岡の資源の1つだという認識がだんだん広がってきて大変うれしく思っています。そのきっかけが作れたことが一番うれしいと思っております。

○阿部委員
 ありがとうございました。非常に勉強になりました。
 またぜひ、明日改めてはなむけの言葉があると思いますが、私のほうからは今後退職されてもぜひその貴重な御経験と知見を後輩の皆様にお伝え頂いて、まさにマリンバイオの一翼を担われる部分だと思うので今後もご指導頂ければと思っております。ありがとうございました。

 それから次に、川島組合検査課長にお聞きをしたいと思います。
 組合検査というのはなかなかデリケートな部分があると認識しています。なのでしっかり対面して現場を見ながらということが原則だと思うんですが、新型コロナでこの3年間それも十分にできなかったのではないだろうかと思いますが、今後またいわゆる疫病で別のものが発生しないとも限りません。その際に向けてこの3年間で検査に当たってどのような配慮をされ、またどのような工夫をして検査を実施されてきたのか。またその中でどんな課題が見つかったのかお聞きしたいと思います。

○川島組合検査課長
 発言の機会を頂きありがとうございます。
 9番委員から今御質問のありましたことですけれども、農業協同組合等の検査につきましては農業協同組合法等に基づきまして、1組合に対しておおむね2年に1回の周期で原則無通告で行う事前検査と、後日通告による本検査によりましていずれも現地に赴いて実施しております。
 コロナ禍におきまして、緊急事態宣言の期間中は検査を中止または延期とした結果、令和2年度は3組合、令和3年度については2組合の検査を中止することになりました。
 今年度につきましては、計画どおりに検査を行うことができましたが、本来無通告で行う予定の事前検査につきましては、検査日をあらかじめ通告して実施したところでございます。
 こうした状況下におきまして、検査組合に対する配慮と工夫ですが、1つ目が組合側における検査会場の確保が十分な感染対策が困難であることから無通告で行われる事前検査を通告により実施し、また往査――実際検査に出向く支店については大規模支店を中心に選定いたしました。
 2つ目が、いわゆる三密の発生の防止のため、立会いが必要となる金庫室等での現物検査や対面でのヒアリング等は必要最小限にとどめました。
 それから3つ目としまして、令和3年度から今こちら説明員の元にもありますモバイルパソコンを検査日に持参しまして、リアルタイムにメッセージが送受信することができるチャットがシステム上ありますけれども、それを利用することにより検査場所の異なる検査職員が問題点等の検査情報を共有することができるようにしました。
 あと課題につきましては、そういう状況下で無通告検査の中止などの影響により、いわゆる事務ミス等の指摘件数が減少しております。検査は組合に対して適正な事業運営のための牽制となりますが、やはり一定の指摘件数がないと組合の健全な事業運営を促す十分な牽制につながらないと考えております。
 このため、コロナ禍で中止しておりました県信連、共済連という農協の系統組織の上部団体の方々を講師として招き研修会を実施するとか、あと本県と同様に対面で検査を実施することができない他県に現在の検査状況であるとか検査指摘事項の照会確認をし情報収集を行って、組合の事業、業務などに的確にリスクフォーカスを行った上で検査での着眼点を明確にして検査に臨むことが肝要であると考えております。

○阿部委員
 分かりました。ありがとうございます。
 なかなか無通告ができなかったのは、事情はよく理解できます。ぜひ今後は無通告での検査を復活させるでしょうから、各組合により厳しくやっていきますよということを申しおいて御退任頂ければと思います。

 また最後にもう一言だけお伺いするんですが、どうしてもこの経済産業部は華やかなポジションが多い中で、検査とか監査といったものはどうしても地味なポジションにあるんですが、でもその地味なポジションこそとても重要だと私は思っていますので、組合検査課の持つ責務の重要さについてもう一度川島組合検査課長の所見、経験則をお伺いしておきたいと思います。よろしくお願いします。

○川島組合検査課長
 おっしゃられたとおり、地味な仕事であることは間違いありません。今私どもは検査部署、あと指導監督部署というのがそれぞれ水産業協同組合関係であれば水産振興課、あと農業協同組合であれば農業ビジネス課が指導監督部署となっております。そちらの権限に比べたら検査部署というのはやはり検査通知書を持っていかなければ何も検査できないですし、そこがやっぱり指導監督部署と比べればちょっと権限的にも弱いところがあります。ただそうはいっても指導監督部署にはできない業務、先ほど言いましたが無通告の検査であるといったことはできませんので、そういったところでうちはうちのスタンスでやってくというところです。ちょっと回答になってるかどうか分かりませんけれども、一応そういった形で地味な仕事ですけれどもやっていくと、それは常々課の中でもそういう話はしております。

○阿部委員
 ありがとうございました。
 ぜひ、今ちょうど名前が出ましたが、それぞれの農協、漁協の所管課がありますが、あまり言いたくありませんが県内の漁協の中で初の措置命令を出してしまう事態に陥ったところもありますし、また農協に関しては県内農協はそのようなことはないと私は信じていますが、ノルマがきついとか本来の農業振興の部分から外れてしまっているところもありますので、それぞれの組合が健全に機能していくように、独立を保ちながら所管課と連携をして県内の各組合が健全に運営されるように、また後輩諸氏に申し送りをしていただきたいなと思います。本当にありがとうございました。

 続いて、清水経済産業部理事にお伺いしたいと思います。
 国は、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言しましたが、この実現にはまずエネルギー使用量を削減する徹底したエネルギー対策の推進、それから再生可能エネルギーの導入を取り込まなければと思っています。この再生可能エネルギーへの転換をしろといっても、それが難しい分野は必ずあるわけで、そこで発生してしまうCO2は森林などで吸収するしかないと。マリンバイオという海洋で吸収するという手もあり私はとても大切だと思ってますが、まず森林、林業分野の重要な役割について、カーボンニュートラルの実現に向けた県の取組方針をお伺いしたいと思います。

○清水経済産業部理事(林業・森林保全担当)
 地球温暖化の主な原因としましては、大気中に放出されますCO2などの温室効果ガスの増加によるものがあると思います。このためカーボンニュートラルの実現には、1つは大気中からのCO2を取り除くこと、もう1つは大気中へのCO2の放出を減らすこと、この2つの対応が考えられます。
 1点目の大気中からCO2を取り除くためには、樹木の光合成の働きによって森林の中にCO2を吸収、固定する森林の吸収源を確保することが主な役割と捉えています。また木材製品を建築物に利用することは、都市の中に第2の森を作るような働きになりますので、こういった取組も必要だと考えております。
 2点目の大気中へのCO2の放出を減らす観点について、木材そのものは製造、それから加工時に要するエネルギーが少ないので、省エネ効果の高い木材製品を利用促進していくことが重要です。加えて化石燃料の代替となる木質バイオマスの利用に木材を供給していく、こういった方針で取組が必要だと考えております。加えてこれを進めるに当たり新しい技術を取り込まないと達成できないと考えておりますので、今森林・林業分野のイノベーションの取組をFAOIプロジェクトとして取り組んでますので、推進していく必要があると考えております。

○阿部委員
 ありがとうございました。
 今のお答えはいわゆる生業としての林業、商業分野に偏りがあるのかなと思うんですが、森林の役割はそれ以外にも生物多様性の保全、地球環境の保全、水源地の涵養という役目がありとても重要な分野だと思いますので、一番知見の深い清水経済産業部理事でありますので、所見をお伺いしたいと思います。

○清水経済産業部理事(林業・森林保全担当)
 県の森林・林業の部局としましては、森林との共生に取り組んでおります。もう18年前になりますが平成17年に静岡県森林と県民の共生に関する条例を私の先輩が作成して取組を進めております。森林との共生ですが森林を守り、育て、生かすことで今おっしゃられた林業といった経済性だけではなくて、水源の涵養、それから災害の防止、こういった広域的機能を発揮させること、さらに生物多様性といった環境の部分とで経済性、社会性、環境性をバランスよく発揮させることで持続可能な森林経営を進めていこうという観点で取組を進めております。
 林業を通じた山の手入れの促進と併せまして、林業が生業として成り立ちにくいところにつきましては、森林づくり県民税を県民の皆さんに御負担頂き、森の力再生事業をやっていくということで、いろんな事業を組み合わせた形で森林の整備を促進をしているところでございます。

○阿部委員
 ありがとうございました。
 清水経済産業部理事におかれましては深い知見がございます。ちょうど今日は花粉の飛散量が非常に多いようですが、東京農大と協働してやられている花粉の飛散防止の研究とか、静岡県の豊かな森林を生かした様々なこれからの森林とまさに共生する、林業がより良い共生型の林業になる、そういうものの道筋を御存じでいらっしゃいますので、ぜひ後輩たちにそれを残していっていただいて静岡県の林業、また森林を守っていくお力を頂きたいと思いますので、それをお願いして質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 最後に、内野労働委員会事務局長にお聞きをします。
 先ほど説明の中にもありましたけれど、近年労働組合の組織率の低下に伴い労働委員会が取り扱っている事案、事件も以前のような労組と会社間の集団的な労使紛争から個人と会社間の個別労使紛争が主になってきたと承知してます。
 産業委員会提出案件及び報告事項の3ページにありました事件の取扱い状況を見ても、調整事件に比べて個別事件の比率が高いですね。事務局からも高齢者の再雇用の動きの広がりに伴ってトラブルが発生しているお話が先ほどありましたが、昨今このいわゆる雇用形態の多様化がある中で労働委員会をめぐる状況が様々変化してきてると思います。こうした中で労働委員会の役割をどのように認識されていて、今後どう対処していったらいいのか所見をお伺いしたいと思います。

○内野労働委員会事務局長
 9番委員御指摘のとおり、紛争の主体は労働組合から個人へと変遷しまして、また社会情勢においてもデジタル化の進展、新型コロナ禍の長期化の中で雇用形態の多様化、各種ハラスメントの問題、外国人労働者の問題などといったことを背景に労使の紛争も非常に複雑化している現状があります。しかしこのように紛争の主体や社会情勢の変化があったとしても、労働委員会の役割というのは紛争の解決を通じた労使関係の安定にあることには変わりはないと認識しております。
 実際に、私も何度か労使紛争のあっせんの場に立ち会うことがありました。そこでは使用者側の労務管理が不十分であったり、労働者側にも基本的な労働教育が不足している状況がありまして、労使紛争は起こるべくして起こってしまっていると感じられる場面もあります。また一方で、1つの事柄であっても労使双方の認識が異なって様々な価値観が存在する中で、紛争当事者に歩み寄りを促し解決を図っていく労働委員会の活動が非常に難しい取組であるとも感じています。
 こうした中で、労働委員会の役割を最大限果たしていくためには知事部局と連携して今まで積み上げてきた事件処理の実績を還元し、ワークルールの徹底など紛争の未然防止を図っていくこと、それから労働相談から労働委員会の制度の活用に至る流れを周知、PRする効果的な広報を継続していくこと、さらに公、労、使の三者構成のメリットを生かして丁寧なあっせんを行うために多様な価値観が存在することを認識しながら紛争当事者への十分なあっせん前の事前調査を実施することなどが必要であると思っております。
 これらを踏まえ、事件処理に当たり労働委員会としては、事務局と公、労、使の三者の委員が紛争解決に向けた強い意思を持ってチーム力を発揮して迅速的確に、また円滑に紛争解決を図っていくことが最重要事項としていきたいと考えております。

○阿部委員
 ありがとうございました。
 満点答弁だと思います。答弁は満点ですが、これを増田経済産業部長以下、関係する露木労働雇用政策課長、佐野就業支援局長がどう聞くか、そして新たな雇用政策にどうつなげていくかが大切だと思います。ぜひ残りの在任期間で、お三方また関係する人たちにたたき込んでいただいて、より良い政策づくりを最後までお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、次の質問に入ります。
 先ほど5番委員からもありましたが、今朝の静岡新聞の記事、中部農林の間伐問題について私からはちょっと観点を変えてお聞きをします。
 新聞記事によると、そもそも植林目的だと1ヘクタール以上で砂防規制がかかるが、間伐ならかからないと。こういう分かりづらさが行き違いを引き起こしてると思います。現場に出る皆様、それから監督する本庁にいる皆様もそうですが、法令に関しての研修を認識不足が起きないようにしっかりすべきだと思うんですが、どのように考えておられるかまずお聞きします。

 それから、関連で併せて全部聞いちゃいますが、そもそも規制そのものに私は多少疑問を覚えるところなんです。ちょっと私も慌てて今日調べたんですが、安倍川、藁科川上流域っていうのは明治時代から特殊な指定をしたままなんですね。かなり状況が変わってきているはずなので、この規制範囲のままではちょっと無理があるのではないかと。この問題は当然国も入れて、また地権者の方がいらっしゃいますから法務局なんかも入れて、それでこれからしなきゃいけないDX化をして、きちんとデータとしてまとめていかなければいけないと思いますが所見を伺います。そもそも規制そのものに、僕はちょっと疑問を持っていてちょっと変えたほうがいいんじゃないかと。

 それから、今県のホームページを見ると、保安林はここですよという表示が示されていないようですが、多分推測するに台風15号等で被害が出たときに、実は保安林として指定していたはずが、その後地権者が外してくれとかいろいろな理由で変わっちゃってて、そこをなかなか更新できないでいたっていう理由があるんではなかろうかと。私の地元でもそういう例がありました。新聞記事にもあったように所有者自体が砂防指定地と知らなかったということがあったりしますので、そういうことをきちんとみんなが共通認識を持たないがために違反伐採が多く起きてしまってるんじゃないかと思います。この辺りも併せて整理していかないと、そごが生じてきています。
 この事案に対して、私が申し上げたいのは誰が悪いとか、誰の責任かではなく――それはもちろん原因は究明しなきゃいけないですが――いろいろ一回整理をしないと、たまたま今回はこうやってここの部分が出てきているけど、県内全域ひいては国内全域で起こり得る、実際は起きている問題だと思います。そういう意味で保安林の位置表示について広い見地での答弁を求めます。

○浅井森林・林業局長
 まず、3点御質問頂いていると思いますので順番にお答えしたいと思っております。
 まず、法令の研修です。
 私ども森林法を所管しておりますので、森林法の観点でお答えさせていただきたいと思っております。
 様々な開発行為等において、まずは山間地での開発になると木を伐採するところから始まりますので、森林法でいう伐採届、もしくは伐採許可申請といった手続きが必要になってまいります。そういった業務は今市町が担当している部分になっていますので、今9番委員がおっしゃったような法令的なものと照らし合わせも適切に行われれば、ある程度法令の認識不足も未然に防げる部分もあったのかなとは思っております。
 まず行為者が法令に基づいた手続きをするというのは大前提ですが、その中で行政機関が助言もしていくことはこれから求められていくのかと感じております。森林法の観点から市町の担当者については、様々な研修も今後予定していますのでお伝えしていく必要があると考えております。

 それから、2点目の砂防の広域指定の関係については砂防部局の権限になりますので、私どもでちょっとお答えはできませんが、1点目の質問と併せ現在の法令の中の規制がかかってることは事実ですので、その中で適切にやっていかなければならないと森林を所管する部局としても考えているところです。

○小池森林計画課長
 県で公開している森林情報の共有システムがございます。この中で保安林が今表示されていない状況について、9番委員から台風によって保安林の解除等がたくさんあってなかなか対応できないのではないのかというお話があったかと思いますけれども、保安林の解除は基本的には行わないものですからそういう理由ではなく、保安林の指定そのものが地番に基づいて指定しており、これまで参考資料という出し方をしていたんですが、より正確なものが求められている中で、今少しデータの整備をしているところでございます。
 それから、今県で森林情報のクラウド化を進めております。このクラウド化の中では市町が行う伐採の届出の事務といったものをサブシステムとして加えることで、今開発を進めております。9番委員から法令等々に関する共通認識がいろんなところでないんじゃないかというお話があったと思いますが、市町からリアルタイムで伐採の状況がこのクラウドシステムに搭載されることで森林部局と市町との中で情報の共有が図られているということが1点。それから我々森林部局が県全体で運用しております統合の森林GISへ情報を提供する形で、他の法令の所管してる部局とも情報の共有が図られることを考えてございます。
 このクラウドのシステムにつきましては、令和5年度に市町との試験運用を踏まえ、令和6年から本格運用する形になりますので、今言ったようなことがしっかりできるような運用の体制を令和5年の執行の中でしっかり検討していきたいと考えてございます。

○阿部委員
 分かりました。
 最初の研修をしっかりすべきと、それはよく分かります。私も熱海の逢初川の特別委員会の副委員長をやって、この半年間でよくよく分かったのは、やっぱりそれぞれの縦割り、県の中での縦割り、市町との縦割りがこういう問題を引き起こしてしまっている。この教訓を生かすために研修と申し上げたのは、一番大切なのは現場にいる人たち、現場でその作業に当たる方々が、これ例えは悪いかもしれないんですがサッカーをやるにしても野球をやるにしてもルールがあり、そのルールを知らないまま現場に出されちゃってるという可能性が多分にあります。だから市の職員だろうが県の職員だろうが国の職員だろうが、一堂に会して研修をして共通ルールの中で共通認識を持って作業に当たる。これが非常に重要だと思いますので、こういう体制を作ることに早急に取り組むことが重要だと思いますので、それをぜひお願いしたいと思います。
 ですから、これは県だけにとどまらず国、市町も含めてやることだと思いますので、そういう形でお願いしたいと思いますが、これは所見は櫻井農林水産担当部長に伺います。

○櫻井農林水産担当部長
 今御質問頂きました複数の法令が絡む案件等について、関係する機関、部局だけではなくて国、県、市町が連携して対応するような体制づくりという点について、9番委員御指摘のとおりやはり土地利用であるとか開発行為については関係法令が非常に多岐にわたります。そういったものについてはそれぞれ関係する法令の所管が違うので、自分の法令以外のところについては認識がない中で実はほかの法令ではこういったところにかかってくるという認識が低い点がこれまで大きな課題であったと考えています。
 ですから、先ほど話がありましたように研修会等で所管する法令だけではなくて関係法令についてもしっかりと見識を高めるような研修体系を整えることも重要です。またそういった案件に対応する場合について、それぞれの組織が一体的に情報を共有して対応できるような仕組みづくりも大変重要と認識しておりますので、どんな形で進めていくのがいいかの検証も含めて、検討を進めてまいりたいと考えております。

○阿部委員
 重要なことですので、経済産業部を挙げて交通基盤部とも相談して早急に対策を進めていただきたいと思います。

 それでは、最後の質問になると思いますが障害者就労について提言です。
 障害者の皆さんの雇用の新しい形として、いわゆる分身ロボット、車いすで生活されている方などがパソコンを通じて自分の分身としてのロボットがカフェで接客することが今出てきてます。東京にある株式会社オリィ研究所、京都府は商工労働観光部ものづくり課がロボット共生カフェプロジェクトというのを立ち上げてやっています。こういうことをやるべきだと考えてます。
 既にあるのかもしれませんし研究してるのかもしれませんが、所見を伺いたいのが1つ。
 それから、障害をお持ちの方の施設外就労を促進すべきだと思っています。施設外就労でモデルを作ってるのが三重県のMIEモデルという名前だそうですが、就労支援事業所を認定してそこに障害者3人に対して1人の支援スタッフを配置し、また企業とはいわゆる雇用契約じゃなくて請負契約を結んで事業所に支払う形を取っているということですが、こういうやり方もありますのでぜひ検討すべきだと思います。

 もう1つは、重度の身体障害の方でも頭脳明晰であられる方たくさんいらっしゃいます。こういう方々が頭脳労働として、今これだけITが進んでる中で社会の中でお力を頂けることは多分にあると思います。ただその方が普段生活をしたり労働をするにしても、体が動かせないと介助される方が必要で、今現状を見ていくと御家族が介助されている場合が多いと思います。例えばお子さんに重度の障害があって、普段の生活ができないからお父さんかお母さんがついていなきゃいけない。そうすると仕事をしたくてもできない。
 なのでこれを思い切って、家族も一緒になって雇用するシステムを考えたらどうかなと思うんです。障害者の皆様の社会参画を広げ、また雇用を進めることにつながると思うんですが、雇用という観点からぜひそれぞれについてお伺いします。

○露木労働雇用政策課長
 ロボットカフェの関係でございますけれども、県でも令和4年度から障害のある方の活躍の場を増やすために行っている職域拡大になりますが、新たにコーディネーターを3名配置し取り組んでいるほか、例えば拡大読書器だとか、就労支援機器の紹介なども行っております。ですので9番委員御提案のロボットにつきましても、株式会社オリィ研究所でレンタルもできるようですので、令和5年度はそういったものを導入して企業にまずは体験していただくところから始めていきたいなと考えてるところです。

 もう1点につきましては、すみませんがまだちょっと考えがないんですけれども、これからまた国の法定雇用率も上がっていくことになっておりますので、我々もこれまで以上に障害のある方の就労支援をしていく必要がありますので、そういったことも選択肢の1つとして検討してまいりたいと思っております。

○阿部委員
 最後に、意見だけ申し上げます。ロボットカフェについては民間で既にやってるようなところがあるので、そこに試験的に導入していただくのはとてもいいことだと思うんですが、増田経済産業部長に申し上げますが、東アジア文化都市に指定された静岡県ですから、県庁別館の展望フロアで試験的にロボットカフェをやってみる、それも1つの文化です。だからそういうことを他部局と連携してやるとか、それから今申し上げたようなことに関して、それぞれ事例があったりするわけで、最後に申し上げた家族の方も一体っていう事例はないかもしれませんが、そういうことをぜひ雇用という分野でしっかりと検討していく。チームを作るなり、プロジェクトを作る。そういう取組をぜひしていただきたいと申し上げて、質問を終わります。

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