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委員会会議録

委員会補足文書

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平成25年11月富士山保全・活用特別委員会
参考人の意見陳述 都留文科大学 教授、NPO法人グランドワーク三島 専務理事 渡辺豊博氏 【 意見陳述 】 発言日: 11/26/2013 会派名:


○渡辺豊博氏
 どうも皆さんお世話になります。都留文科大学で富士山学を教えております渡辺と申します。あわせてふるさとであります三島で、NPO法人グランドワーク三島の事務局長をやっておりまして、水の都三島を再生しようということで、ちょうど今21年たったところでございます。今回、富士山のお話ということでございまして、実は私、中学校2年生のときに、ゼロ合目から頂上まで、沼津の千本浜の塩水を20リットル入りのタンクに積んで、それをしょって富士山の頂上まで歩きまして、そしてそれをまきまして、その後残雪を溶かして、またそのポリタンクに積んで、また1週間かけておりてまいりました。2週間で登ったりおりたりしたのですが、そのときに裾野や御殿場、須走の人たちや、いろいろな人たちから家へ泊まっていけとか、それからおひねりということで、当時5万円くらいの現金もいただいたりということで、この富士山の地域が本当に地元の三島を含めた駿東の人たちに愛されているのだなと、そして富士講というものが地域の人たちの心に潜在意識として残っているのだなと。いわゆる富士山の信仰性と言いますか、宗教性を実感したところでございます。
 それ以来、73回富士山に登っております。ことしも8月の末に8合5尺ぐらいまでございましたけれども、山梨側から登り、次の日に静岡県から登り、次の日に須走口から登りました。ことしの富士山の現状というのを山小屋の人たちや登山者の皆さんや、それからバイオトイレの実態、それから落石を含めた登山道の実態をつぶさに見てきたつもりでございます。私の感覚としては、自分も静岡県庁に35年間お世話になりましたけれども、余り現場に役人がいない。現場を見ている専門家は少ないということで、富士山という現場を預かっているのは静岡県でございますし、山梨県でございます。各市町村でもございます。地域住民でございます。そういう点では、現場からの乖離ということに、あるいは情報の稀薄性、そういうものに非常に不安を感じています。本当に富士山の実態がわかって、いろいろな施策を進めているのかということに、私自身はまことに失礼ですが、大変な疑問を持っております。一番事情をわかっている山小屋さん、しかしある意味では自分の生活を守るために、一番利害を優先しようとする山小屋さん。これは当たり前のことでございます。そこに共生の知恵というものをどういう形で調整し、仲介していくのか、これが富士山に今問われている最大のテーマだと私は思っています。
 はっきり言いますと抑制の知恵です。開発抑止ということです。そのために富士山は世界文化遺産になったのではないかと、強く感じています。私もプノンペンに行かせていただきました。国、県、多くの行政マンが来ておりました。しかしまことに残念ながら、静岡県民は私の感じでは1人か2人しかいない。山梨県民も1人しかいなかったという自覚でございます。しかし、驚いたことに、推薦を取り下げた鎌倉の関係者が10名来ていたのです。10名の方が来て、その場が見たい、そして富士山の登録をお祝いしたいと、年配の女性のグループでしたけれども、そのときに私は大変驚きました。一体本当にこの富士山がプノンペンで世界遺産を登録されたことを県民及び国民は喜んでいるのだろうかと。一部の政治家や一部のNPOが喜んでいるだけなのではないかと。向こうのほうで万歳をしていた姿は見ております。しかし私は仲間と2人でそのために特別につくりましたはっぴを着て、みんなと一緒にはっぴでハッピーということで、大騒ぎをさせていただきました。しかし、ほとんどマスメディアはそれに気がつかない。知事のほうに行っていたわけでございます。そういう点で、少し足元が揺らいでいるのではないかと、足元の議論が足りないのではないかというような懸念を持っているところでございます。
 そういう意味合いで、これから富士山の私なりの、これは私が撮った写真と、中川雄三さんという方からお借りした写真もございますけれども、これが実態でございます。当然その実態を皆さん御存じだと思います。この実態を見ていただいて、何をすべきかを、ぜひ皆さんの大きなお力で具体的な施策を、そして実効性の高い、現実性のある施策を打ち出していただきたいと思っています。
 今、日本は世界から見られているということを肝に銘じていただきたいと思います。実はAP通信の東京にいる女性の記者が、この私の日本記者クラブで講演した内容を聞いて、その後取材にまいりました。世界的に有名なカメラマンと来ました。そして富士山を8合目まで御案内をし、これからお見せする現場も幾つかお見せしました。三島でうなぎを食べて帰りましたけれども、実はそれがAP通信の記事になりました。これのアクセス数が1000万アクセスございました。彼女から情報を送られたときに、その数字を聞いて本当に驚きました。大した記事ではないのです。ただ、ごみの山の写真と、それから点々と夜登っていく、弾丸登山と言いますか、夜の登山のそれが写真に出ていたものでございますが、ぜひAP通信を見ていただきたいと思います。もうアクセス数が1000万アクセスを超えております。世界中から、影の部分も見られているのだと。光も見られているけれども影も見られているのだという事実をしっかりと認識をしていただき、お願いもしていただきたいと思います。
 今まで私がいろいろ書いた資料につきましては、こちらの別冊富士山の世界文化遺産登録後の現状と課題のほうに書いて、整理させていただいています。特にこの資料をめくりますと、ここに朝日新聞の山梨版でございますが、ずっと4月からジャンボ渡辺の富士山学ということで、ずっと記事が毎月毎月出てきております。今これが10月まで出ておりまして、きのう徹夜で11月分を書いたところなのですが、4月まで毎月ずっと記事が出てまいります。これをぜひ1回全体をさらりと読んでいただければ、私が言ったユネスコの世界遺産委員会の中の議論の実態とか、そういうものがよくわかるかと思いますので、ぜひ見ていただきたいと思います。
 ここで言っているのはこれからも御提案させていただきますが、富士山庁という庁を国でつくっていただいて。富士山は県が申請したものではありません。文化庁が、国が申請するものなのです。国が文化庁が代表して申請したわけでございまして、当然市町村や県の意見を受けてということではございます。そういう意味では、私は国の責任を全面的に強調して責任を持ってやっていただくということが、富士山の早い改善と言いますか、保全対策につながっていくのではないかと、そういうお力を県議会の皆さんはお持ちではないかと信じております。
 それからもう1つ、この富士山再生に向けた国家的アプローチへの提案と、県・国・NPO・専門家等による共同事業への政策転換という資料をつくってございます。これを開いていただきますと目次にもございますように、これからパワーポイントでお話しする内容の細目を書いてございますので、これをはしょってこれからパワーポイントに従ってお話をしてまいりますので、詳しい部分につきましてはまたこれをぜひ読んでいただければと思っております。
 ではパワーポイントでお話をさせていただきます。
 こんなことを言うと大変失礼な話ですが、もう1回この富士山が世界文化遺産になった意味と意義を確認をしていただきたいと思っています。これは私なりの解釈かと思います。
 富士山はいわゆる信仰の対象と芸術の源泉ということになったわけです。そういう意味合いで3つの価値があるということで、信仰、芸術、景観と、これの普遍的価値が国際的に評価されたということが1つだと思います。
 そして私の解釈は、これはあくまでも過去の日本人の信仰性、宗教性の評価ではないかと認識しております。何か今の富士山が世界的に評価されたと思われていると思いますが、私はユネスコのイコモスが約20分間にわたってカンボジアの現場で6月22日の午後一番、プレゼンをいたしましたが、そのときの20分間のうちの15分間は、富士山にかかわる、これから言います6項目についての勧告内容について、危機的な状態について、パワーポイントを使って告知したということを、皆さん御存じでしょうか。パワーポイントの内容につきましては英語でホームページに出ておりますので、1回ぜひ見ていただきたいし、資料を取り寄せて確認していただきたいと思います。
 その内容についてもこれから御説明しますが、そういう点から考えても、昔はすごかった。確かに日本人の芸術や富士山に対する思い、宗教性はすばらしいものだと、しかし、今の富士山はいかがなものでしょうかと私は理解しました。すごく私は会場にいて恥ずかしかった。そして本当にこんなことが、こんなものが登録されるのかという不安を抱いておりました。私は5日間おりまして、議論を9時から夜の7時まで、ほかの地区をずっと聞いておりました。はっきり言いますけれども、つくられたストーリー、そして議論は富士山本体の話は全くなし。そして三保松原の話ばかりで終始いたしました。富士山の議論なんか何一つありませんでした。しかし、イコモスが言ったのは、三保松原のことなんか一言も言っておりません。富士山本体の、これからお話しする勧告と宿題のことについて警告を発していたのです。その事実をぜひ理解していただきたいと思います。
 もう富士山のすばらしさをこれ見よがしに言う必要はこれっぽっちもないのです。世界中の人も日本中の人も全てわかっていることです。それをどう伝えていくか、どう守っていくかが、今、日本人に厳しく問われているという事実でございます。そして外国の方はそのことを懸念してくれているということです。心配してくれているのです。それに対してどう応えるのでしょうか。
 世界基準とは、ここにある世界基準の制約による開発の抑止ということなのです。我慢しなさいということです。少しずつ使ってもいいけれども、長く何千年も先に美しい富士山が伝わるようにしなさいと、そのための政策はどうするのですかということを問われているということでございます。開発とそれから環境保全は調和するものだという前提の中で、その具体的な知恵を今、問われているとも言えると思います。
 それから富士山登拝信仰、歩いて登るという意味での原点回帰ということでございます。そういう点から言うと、この富士スバルラインと富士山スカイラインは廃道にして、森林に戻して、昔のように、昭和39年、1964年の10月にできたわけですから、それ以前は全部歩いて登っていたわけです。そういうことに戻せばいいだけでございます。
 御存じのように富士講の資料を調べますと、江戸時代中期から盛んになってまいりましたが、一番ピークで2万人が登っております。そして入山料を約3,500円、払っております。そしてそれ以外に四角の箱を持って登ったと言われています。実はその箱には何が入っていたと皆さん思いますか。その箱には杉チップです。杉をチップ状にして、そこにし尿を入れて、富士山には一切まかなかった。神の山ですから。そういうことだったのです。そのため、その経費が3,500円と、今で言う入山料、協力金の話でございます。ですからお金をとるのは当たり前のことでございます。ただ、取り方は考えていかなくてはいけないということかと思います。
 資料3ページのこれが美しい富士山、これは田貫湖でございます。朝霧高原、それから青木ヶ原と見えてすばらしい富士山です。そして4ページのこれは宝永山を水ヶ塚の駐車場からとったシーンでございます。今、本当にすばらしく紅葉しております。静岡県側も、もっともっとこの美しさ、四季折々の裾野の美しさを探し出して、非常に魅力的なポイントとして表に出して、そしてきちんとフットパスと言いますか、そういう場所を整理すれば、もっともっと魅力的な場所もたくさんあります。何を言っているかというと、ただこのはげ山に登るだけの非常に集中的な登山のスタイルしかなくて、観光のスタイルしかなくて、分散型の年間を通じた登山者の誘致ということの具体的なルート設定や仕掛けが全くないと言えます。ただたくさん人が来るからマイカー規制をするだとかという、点だけで富士山を見ていますが、年間というスケジュールで富士山の魅力を考え直していただきたいのです。もっともっとたくさんの人が年間に来ていいはずです。何で31万人もの人が2カ月間で、1日で、土曜日がピークで、ことし1万人登っています。それが、1回ありました。昨年は4回ありました。この危険な山に、1万人登っていくのです。もう考えようがないという状況でございます。
 5ページのこれが白糸ノ滝。これも世界文化遺産ということでございます。そして6ページの垂直分布は御存じだと思いますが、高山帯から始まりまして、800メートル単位でいわゆる林層が変わっていきます。富士山は森の山なのです。それも日本中、北海道までの森が富士山にある。ここを通らないであの2,500メートルから上のはげ山だけ登っているということでございまして、この魅力的な場所がほとんど活用されてない、整備もされてないということでございます。7ページのこのブナ林、まだこれ延べ900ヘクタール近くもある。それから8ページのシラビソは御存知だと思うのですが、これは北海道にしかないものが富士山にはあるわけです。北海道に行かなくても富士山に行けば北海道の森を体験することができるということでございます。
 さて、9ページのこれが影でございます。先ほど言った富士スバルラインです。これを見たときに皆さんはどう思われるでしょうか。まさにこれほどの環境破壊はないと皆さんは思われませんでしょうか。昭和39年にできたときに、この道路の前後、物すごい自然破壊が起こりました。多くの静岡県の自然保護の皆さんが反対に反対をしましたが、それを押し切ってこれをつくりました。当時の勢いはそうでしょう。否定はしません。しかし、このことによって信仰の山が観光の山に変わったということでございまして、周辺に3000万人、5合目に300万人、そして頂上に30万人という、とてつもない観光客が集中する世界最大の、失礼な言い方ですが、無秩序で無制限の観光の山になってしまったと言えます。道路を走る分にはいいのですけれども、自然に対する負荷をぜひ考えていただきたい。これが本当の文化的な山なのでしょうか。
 それから10ページこれが静岡県側の富士山スカイラインでございます。富士スバルラインの反省をもって、こういう形にいわゆる影響の範囲を少なくしましたけれども、しかしそうは言っても、この破壊の力というのは非常に大きなものがございます。冬になりますと雪崩が起きたり、それから道路が崩壊したり、今でも一部亀裂のあるものもございます。いろいろ富士山の噴火も心配されている中で、この道路の安全性も含めて本当に必要なものなのか。確かにいろいろな抵抗があるとは思いますが、根本的なことからもう1回考え直す必要があるのではないかと常々思っております。
 11ページこれが4、5年前の姿でございます。ことしはもっと激しくてもう座る場所もない。この富士山の写真はこれ山梨側でございますが、もうかっているのは、数店のお店ということでございます。中国人もたくさん来ています。本当に今、原宿、六本木ということでございまして、宗教の山としての荘厳さ、何か冷たい雰囲気と言いますか、畏敬の雰囲気等は全く微塵もないような状況でございます。一体富士山をどうしたいのか、どういう山として後世につなげていきたいのか、そのミッションと言いますか、夢と言いますか、あるのでしょうか。一部の観光業者の思惑はわかります。個人的な名前も言えますし、知っていますけれども、いい加減にしろと私は本人たちに言っています。でも私と飲まないということはないわけで、話はきちんと聞いてくれています。元県議会議員であった方もいらっしゃいますし、観光協会の代表者でもございますし、山梨側の利権者の代表でもございます。すごく大きい声でいつも議論をして、利用者会も含めて議論を引っ張っている方でもございます。声が大きくて立場があれば何でも引っ張れるということなのでしょうか。これは、日本の山です。世界の山なのです。もうちょっと大きな視点で、意見は意見として聞きながら、何か冷静な秩序ある山のスタイルというものを考えられないのでしょうか。
 12ページこれが富士山周辺のゴルフ場の状況でございます。御存じのように23あるわけです。この密度は世界一。2番目は北海道札幌周辺。3番目は神戸の芦屋周辺でございます。否定もしませんし、このすぐ下に別荘地もあるわけですけれども、このすばらしい森を切り裂いているように見えませんでしょうか。やはりこれも開発の一部抑止はございますが、自然保護法という法律がありながら、文化財保護法という網がかぶっていながら、なぜゴルフ場ができるのでしょうか。なぜ別荘開発ができるのでしょうか。私にはわかりません。法律というものの力の不安を感じます。
 それから13ページ、これは山梨側の昔の足和田村というところでございまして、今は富士河口湖町です。オールナイトのスキー場で、1日中ライトがついているわけですが、これがつくと何が皆さん起こると思われますでしょうか。コウモリが飛ばなくなるのです。富士山は洞窟が多いので、日本のコウモリの8割、約23種類がいます。これが昼間と勘違いして穴から出られなくなってしまう。ゆえに栄養失調でばたばた倒れて死んでしまいました。スキー場を経営する富士急行株式会社さんに、コウモリが反応する2つの光というか、波があるのですが、それを遮断する光に変えていただきました。そのことで、コウモリがまた元に戻るようになりました。人間は自分たちの利益だけを考えますが、これだけ明るい光を入れると、蛍も含めて光に反応する夜行性のものに物すごい影響を与えると、これが共生の知恵なのではないでしょうか。
 100年前の自然保護学者、南方熊楠、彼も命を張って自然保護運動をやりましたが、いわゆる共生の思想という、エコロギーという思想を訴え、あの熊野の森を守りました。そして熊野の森が2007年に紀伊山中の霊場の参詣道として世界遺産になったわけです。彼のとてつもない大きな思想、これが100年もたって世界的に認められた結果ではないのでしょうか。一体富士山のどういうロマンとミッションが、世界的に認められたのでしょうか。過去の評価だと、先ほど言っているように、現代の価値としての評価は何があると言うのでしょうか。私は申し訳ないけれどわかりません。このことによって、皆さん、何が起こると思います。高原野菜として下にちょっと見えるキャベツ、白菜に物すごい害虫が大発生したのです。コウモリは1日に約1,000匹から1,500匹の害虫を夜中飛びまわって、口を大きくあけて食べるのです。ですから、無農薬の高原野菜として売っていましたが、このスキー場ができた後、無農薬ということになりませんでした。逆に農薬や除草剤をまくということでお金がかかって、そして減農薬という名前にして売ったような実態もございます。自然との共生はコウモリとの共生です。その知恵を配慮しないと、人間としての横暴さだけになってしまいます。
14ページのこれが毎日、佐藤小屋の横にブルドーザーでおりてきています富士山のごみです。毎日ブルドーザーで山小屋からおろしているのです。この経費と、それからこの排気ガスとブルドーザー道の破壊。皆さんどう考えられますか。何で山小屋に自動販売機があるのですか。もう少し登山教育も含めた、富士山をどう登っていくかという基本的な教育というものをつくることはできないのでしょうか。静岡県はマナー教育をしているというけれども、そんなことを教育の現場でやっていらっしゃいますか。
 私はニュージーランドのオークランドの小学校で講演をしたことがございますけれども、小学校4年生から登山教育をしております。やわらかい土に人間が入るとどういう影響を与えるか、外から外来種の種を持ってくると環境がどう変わるか。そしてトイレ、携帯用のトイレで皆さんなさったことはございますか。子どもは1日便所に行くことはできません。1日携帯用トイレを身につけて、立って小便をするというトレーニングを子どものころからしているのです。ですから、そんな便所に入るとか、便所があるなんていうことは信じようもないのです。小さいときから、教育されていますから。ごみを捨てるなんて考えられないのです。やはりこれは、教育というものとの関連性、それからやはり保全の仕組みがきちんとない、ルールがない、無秩序性、その結果だと考えております。
 15ページがよく言われる、青木ヶ原の現場でございます。壮絶な現場でございます。随分私も富士山クラブをつくりごみ拾いをやってまいりましたが、ごみをきれいにします。24時間テレビでも野口健が来てやりました。しかし次の日に行きましたら、3倍以上のごみが捨てられています。もうテレビでごみ拾いの宣伝はやめてください。きれいにすればするほど、ごみがごみを呼ぶのです。その事実は報道されません。きれいにしたという事実、すごいことをしたという事実だけです。その後の事実も社会に告知してください。ですから私どもはもう何にもPRしていません。富士河口湖町も多分告知していないと思います。1億円以上使っていると思います。しかし追いつかないのです。これは廃棄物の処理及び清掃に関する法律の制約によって、そこの場所の市町村がごみを拾わなければいけない。それから事件性があると、警察が出てきて、一切ごみに手をつけることができないのです。本当に法律が重なっておりまして、ごみの排除もできません。
17ページのこれは何だと思われますか。アルミ缶ですが、これは三島のボーイスカウトの子どもなのですが、1年前に青木ヶ原で拾ったごみを1万5300円で富士宮のある廃棄物処理業者に処理を委託しました。そうしましたら、1年後に、静岡県側の勢子辻というところで、同じ子どもたちとごみ拾いをしたら、その1万5300円で出したアルミ缶が捨てられていました。そして、子どもは私にこう言いました。これ、ビールの缶だよねと、何で子どもにビールの缶を拾わせるのと。そして3年かかってプルタブを集めてためたお金、1万5000円は一体どこに行ってしまったのと。大人って何でうそをつくのと。大人の後始末を何で子どもにやらせるのと。私は子どもに言われました。それ以来、5年前でございますが、私は一切子どもにはごみ拾いをさせておりません。私は、25年前からごみ拾いをしていますが、子どもがごみを捨てている姿なんか1回も見たことがございません。全部大人です。これは、ゆゆしき問題でございまして、やはり子どもに対する教育的影響、これは大人の責任としてやはり厳に慎んで、何か罰則を含めた広域的な法律の整備というものをしないと、これは子どもに対して規範と言いますか、示しがつかない、大人の背中が余りにも軽いという気がしてしょうがないのです。
 18ページのこれが、わかりますか。これは富士吉田の北口本宮冨士浅間神社から馬返しというところまで行く途中の道でございます。この白く見える物は、何だと思われますか。これ紙おむつでございます。行く側も渋滞、下り側も渋滞する場所でございまして、夏の時期、小さい子どもの紙おむつですね。通気性がよく、くさいので、車の下にみんな捨てるのです。それを次の車が踏みつけていって、千鳥のあしあとのように、ずっと富士山に向かって紙おむつが散乱しております。これをAP通信が私に言うのです。この写真を貸してほしい、ジャンボさん、これを世界に配信するからと、こう言っております。貸してしまっていいのでしょうか。ここにある写真全部貸しても構いません。私は動画も撮っております。これを全部貸して、AP通信、BBC、ABC、世界中に発信したら、一体どういうことが皆さん起こると思いますか。私がやらなくても、誰かやりますよ。国家的な、屈辱的な事態に相なりませんでしょうか。私は、すごく心配しているのです。
 19ページのこれは、世界遺産の構成資産であります山中湖でございます。7年前、渇水になりまして水位が下がりました。水の中にあるからわかりませんでしたが、ごみだらけです。今行ってください。先週行きましたら、渇水で少し下がっています。これと同じ状態です。見てください、本当に現場を。恥ずかしくて山中湖なんか行けたものではございません。20ページのこれは、流れた黒いごみ袋。これを白鳥が食べて死にました。そして21ページ、釣り客が落としていったリールとか針、レントゲンを撮りましたら、2つ入っている。この白鳥も死にました。そして、毎日夏は、20頭以上のシカなどの動物が車にはねられている。22ページのこれをよく見てください。全くブレーキの跡がないのです。こういうふうに、スピードを出して、はねるのを楽しんでいる大人もいるのです。光をパカパカやって反応させて、飛びこませてはねるのです。私がはねた後を撮ったので、その現場も見ております。頭おかしいのではないのかと。もう憤りを覚えております。
 これが事実なのです。23ページのこれが改修される前、約40年近く富士山の頂上にあった環境省のトイレでございます。息をしない、息を吸い込んで中に入らないと、入れないようなトイレが延々とあったのです。そして、24ページ、この場所、御存じの山梨側の山口屋さん等あるところなのですが、ここにもバイオトイレが今設置されていますが、延々とトイレのし尿の垂れ流しの現場があり、これがまだそのまま残っているのです。
 これからお話ししますけれども、本当にバイオトイレは完璧なのでしょうか。実態を調べていただきたいと思います。本当にバイオトイレが必要なのでしょうか。そういう議論もしていただきたいと思います。
 そして25ページ、ちょっとまとめたのですが、登山者の増加、これはことし31万人、全体としては4,000人減ったと。4,000人減ったのです。この約20年間、20万人から25万人だったのです。世界遺産登録に向けた取り組みを始めた約7年前からぐんぐん伸びてきて、25万、27万、30万、31万ときたのです。世界遺産がなかったらずっと20万から25万だったのです。私の計算では、山小屋の収容人数から計算しますと、大体20万人がその許容量です。これは富士吉田の市長さんもおっしゃっています。山小屋の皆さんも言っています。それに戻すべきなのではないのですか。それから事故は約3倍もふえています。それからし尿の垂れ流し。これもこれからお話ししますけれども、顕在化しています弾丸登山。大変失礼な言い方ですけれども、その場しのぎだと私は感じています。それから山梨県と静岡県の思惑も違って、なかなか利用者会議も含め意見が一致しない。それから入山料の議論ばかりで、登る人に責任転嫁して、行政は幾ら金を出しているのだというふうに言いたくなります。それから、まだ産業廃棄物も含めて問題は山積みということでございます。
 そして26ページ、先ほど言いました世界遺産委員会からの勧告、宿題は6項目ございます。資産の全体構成、巡礼路の抽出、来訪者管理戦略など。もう1つ、危機管理戦略というのもついています。これは全く何もやってないというふうに言えますけれども、これを2016年の2月1日までに保全状況報告書を提出しなければいけない。ですから7項目あるわけです。噴火が起きたらどうするの。あるいは地震が起きたらどうするの。落雷がきたらどうするの。大雨がきたらどうするのということでございまして、これは大変な、これ1つだけでも2年以上かかるものではないかと私は思います。
 お手元の資料27ページから、後で事務方も含めて確認してください。この細目を書いてみました。一部静岡県の皆さんにいっている資料をお借りして私が演出したところもございます。1つずつきちんとできているのか、確認してください。三保松原の全体整備計画は本当にできているのですか。消波ブロックの景観対策はやややっています。あんなに40億も100億もお金をかけるのだったら、富士山のためにお金をかけてください。それから、松林の適正な管理は、今、みんなが踏みつけて歩くので、松林が弱っているのではないですか。風が強いので、下にある肥料的な部分が風で飛んでしまって、松林全体が脆弱化しているのではないですか。松くい虫の対策はどうなっているのですか。今に、松自身が消えます。松がなくなったら何なのですか。大きな消波ブロックどころのことではなくて、もっと根本的なことをこの全体計画の中でやるべきなのではないでしょうか。それから巡礼路につきましては、これはユネスコのイコモスの指摘事項をよく読んでください。物すごくたくさん書いてあります。要するに富士講ということなのだが、古い巡礼路がはっきりしないということなのです。関連性がないと、証拠を見せなさいと言われているのです。これは大変なことでございます。静岡県側の村山浅間神社からの先、いろいろな諸説がございまして、今でもどの道が旧道か、誰も言える人はいません。私も何回も調査で歩いたのですが、わからないのです。本当に歩いたのですか。証拠がないではないですか。それを言われているのです。今、誰が調査していますか。誰がお金をかけていますかと言いたいのです。
 案内所も本当につくったのですか。三保松原につくっただけなのではないですか。あと案内板、説明書、これはやややっています。では28ページ、登山者数、これ実態調査、本当にことしやりましたでしょうか。環境省のカウントだけではないですか。静岡県は正確な数字をきちんと押さえていますか。協力金をとるときは職員が公務で行って、一番基礎的な資料になる登山者数の実態を調べるときに、県庁職員が調べに行かないということはあり得ないのではないのですか。何で機械に頼るのですか。ずっと立っていてください。交通の安全対策のときに、角に立って調べているではないですか。あれと同じように調べるべきです。役所ができなかったらNPOに任せればいいではないですか。いろいろな協力者にお願いしたらどうですか。数字がないと、分析できないですよ。
 特に要求されている登山者の平準化、いわゆるピークカットに関する調査研究は、正確な数字がないとできません。今も数字が上がっているのは承知しています。しかしよく見てください。ピークが先ほど言ったように1万人を超えているものがことしは1回、昨年は4回あるのです。それ以外も土曜日、日曜日で7,000人、8,000人のピークで山に来ているのです。ですから、その部分が山になったグラフになっているのです。これを平準化する、5,000人とか4,000人に落とすためにはどうしたらいいか。これを真剣に考えなければいけないときに、この数字があやふやなのです。9月でも聞き及ぶに3万人以上登っていると言われています。そうすると、31万足す3万人以上では、もう35万人ではないですか。これは全くやっていない、これで何を考えるのかさっぱりわからない。アンケートもしていない。お金を払う人にアンケートして、払ってない人からもアンケートしているのはわかっています。わかっていますけれども、その意思がはっきりしていないと感じています。
 それから山小屋の予約状況、山小屋宿泊状況の実態。山小屋は42カ所、どのぐらい泊めているのか。これ全部個人情報だからだめだと言うのです。とんでもない話です。バイオトイレも含めて公的なお金も入っているわけです。避難所としての役割もあるので、消防法上から言っても、一体何人泊まっているかをきちんと報告する義務はあると思います。それを調べていないというのはおかしいと思いませんか。それをきちんと毎日調べて、何時に入って、何時に出ていって、どういう人たちが来て、そのうち外国人がどのぐらいいて、女性がどのぐらいいて、全部きちんと調べた上で対策をとらないと、ただの世間話だということになります。これを提出しなければいけないのです。私が言っているのではないですから、イコモスが言っているのですから。
 それから私からすると、やっているのは利用者負担金に係わる検討と対策の実施、このたった1つです。人から金を取ることばかりやって、自分たちは金を出さないという、とんでもないことばかりやっているわけです。
 それから、あと、アンケートも少しやりました。環境に与える環境アセスメント調査は誰がやりましたか。それから、登山道の保全管理、情報、測量、落石箇所の調査、安全対策の実施設計、予算の積算、やっておりますでしょうか。お金をとると言っています。何に使うのですか。予算書がなければ、何に使うか、根拠が、払った方に、納税者に対して説明責任が果たせないのではないのですか。どこがどう危険だから何をやる、そのためには幾らかかる、そして緊急性がこうあるということを場所の状況も含めてつまびらかにしなければ、お金はとれないのではないのですか。保全対策、安全対策に使います。保全協力金だそうです。では、その保全とはどういう意味なのですか。全くよくわかりません。
 入山料の問題は2つです。1つは一番多いのは、世界では、入山規制のために入山料をとるのです。ここが25億やっているといっても、ほか治山とか植林とかそんなことばかりで、具体的なソフトはほとんどやっていないです。それから山小屋、これも実態はひどいものです。救護所、これもひどい。それから案内所。あとブルドーザー道です。ガソリンも積んでがんがん走っています。山小屋。それから発電機。ビジターセンターというのは全く議論になっていません。富士山世界遺産センター――仮称――はどうも富士宮につくられるようですけれども、本来はビジターセンターが大事なのです。登山者の安全管理、教育です。そういう意味では、世界中どこへ行っても、皆さん御存じのようにビジターセンターが現場にあるのです。具体的に言うと山梨県の5合目、静岡県の5合目、それぞれの登山口、全部ビジターセンターがあって、そこにレンジャーがいて、ガイドがいて、安全教育をして、登録をして、そしておりてきたら必ず登録をしてプラマイゼロにするという、そういう管理システムをつくらないと、統一的な管理はできません。環境省レンジャーは、全部で日本中に80人しかいないです。この富士山には3人しかいないのです。アメリカですけれども、同じ規模のマウントレーニアには230人のレンジャーがいます。ヨセミテは1万2012ヘクタール、大体富士山の1.5倍ですが、ここに900名のレンジャーがいるのです。富士山は3人しかいない。これは、世界的なレベルでも話しにならないというようなことでございました。これからやはり世界の山としての一元管理というものは、必要になるのではないかと。ここに書きました内容が一般的な世界の山の常識だと、世界基準だということを御理解していただきたいと思います。
 あと細かいことを書いてございますが、私が言いたいのは、ぜひ国会、国に、国の支援をお願いしたいということと、富士山庁、それから富士山立法、富士山全体を包み込む法律、それから環境税です。そういう税金、それから、人々を助けるための高所医療センター等々を、ぜひ皆さんのお力でやっていただきたい。
 34ページ、最後になりましたけれども、県議会としては世界文化遺産登録後の富士山の的確な現状把握と課題をきちんと収集して、改善の具体案、全体ヴィジョンをぜひ出していただきたい。それから、我々ではございませんが、現場を知って、富士山で活躍しているNPOはたくさんいるのです。私以上に行っている人間もいます。地元の専門家もいます。今のこの利用に関する委員会のメンバー、あるいは有識者と称する人たちに、富士山に何回登っているか聞いてください。ことし富士山に行ったのですか。本当に悔しく、私たちは感じています。
 私はいろいろと文句を言っているのではないのです。言葉が浮いているような議論で議事録を見ていますが、そう思わざるを得ないような議論ばかりなのです。ぜひその辺も御検討願いたい。あとは先ほど言いましたように、国の指導により、富士山再生への誘導を、皆様方のお力でぜひお願いしたいというところでございます。
 最後になりましたが35ページ、私としては文化遺産ではなくて、今後自然遺産の登録の運動を、これはNPOとしてもしたいと。そして、自然遺産になれば、今の問題を一挙に解決せざるを得ません。そしてこの結果、複合遺産ということになりますので、将来の富士山は過去の評価としての文化遺産、今の評価としての自然遺産、そしてそれが合体した複合遺産を将来的に目指すべき。まだ第一歩にしかすぎないというのが私の意見でございます。
 よろしくお願いします。

○小長井委員長
 ありがとうございました。
 以上で渡辺様からの意見陳述は終わりました。
 それではこれより質疑応答に入ります。
 委員の方にお願いをいたします。
 質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いをいたします。
 なお、御発言は私の指名を受けてからお願いいたします。
 それでは、御質問、御意見等ありましたら御発言願います。
 いかがですか。御発言ある方は。

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