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委員会会議録

委員会補足文書

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平成30年10月多様な働き方推進特別委員会
株式会社お仏壇のやまき代表取締役社長 浅野秀浩氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/05/2018 会派名:


○浅野秀浩氏
 今、御紹介にあずかりました浅野と申します。きょうはよろしくお願いいたします。
 私どもの会社は、静岡県内に店を出してる小売店なんですけれども、いろいろと前から、父の代から障害者雇用に関しては、積極的に取り組んでいて、私も家にいながら障害者2人を同居させていた経緯がありまして、昔からそういう形でいろんな方たちとのかかわり合いを持ってきた会社でもありました。なので、いろいろと施策を進めるにもバックグラウンドがあったので進めやすかったんですけれども、きょうは当社で進めている事例、どのように定着させたのかという、企業が工夫をした部分、どうやって生産性を上げたのか、そういったことを中心にお話しさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 座ったままでお話しさせていただきます。
 今、御紹介いたしましたとおり、弊社は静岡県静岡市に本社がある仏壇小売店です。従業員は35名、小さな会社なんですが、実は、私こだわりがありまして、国内の部門は50名を上限に店を運営するというふうに考えております。海外には約450名ほどのスタッフがいますので、グループ全体でいうと約500名弱という規模になります。
 働き方関連に関しては、2010年に、静岡市からワーク・ライフ・バランス大賞をいただきました。2013年には、川勝知事から県知事褒賞、男女共同参画の部分で賞をいただきました。また、2年前には、こちらは日本生産性本部からワーク・ライフ・バランス大賞、これは公的にある全国大賞という意味なんですけれども、こちらをいただきました。さらに、昨年は、高齢者の雇用開発の部分で、厚生労働大臣表彰を受賞しております。このような形でいろいろな働き方に関しては、評価をいただいていることを紹介させていただきます。
 私たちが進めてきました多様な働き方は、独自でやったわけではございませんで、2010年、最初の足がかりは、中小企業雇用環境高度化奨励金をいただきながら、主にハードの整備を進めてまいりました。また、2013年には、高齢者就業形態開発支援事業、これは略して高障機構と呼ぶんですけども、これも厚労省の団体、外郭団体にありまして、こちらはソフトづくり、いろいろな勤務制度や人事評価制度、あるいは作業マニュアルの作成とかを有識者、あるいは研究機関の方とタッグを組みまして、1年かけて開発していったと。その費用に関して、高障機構から助成を得ながら進めていきました。さらに、厚生労働大臣表彰を受けた年度に関しては、こちらも高障機構からいろいろとアドバイスや意見をいただきながら進めてきまして、決して弊社1人の力でやったわけではなくて、いろいろな国の機関やその他の補助を受けながら進めてきたのが、私たちの特徴です。
 やまきの多様な働き方に関してですけども、まず、組織再編をどのように進めたかを取材いただいたNHKの番組、約3分なんですけども、そちらを紹介させていただきます。
(動画を流す)
 以上がビデオです。
 弊社の1つの特徴は、全ての社員が全ての業務ができるという、多能職化と言ってるんですが、それがキーになりまして、いつでも休める、いつでも出勤できる、いつでもカバーができるという新しい仕組みづくりが、この組織再編でつくることができた1つの事例です。
 まず、2013年からのいろんな表彰、どういう問題が当時あったから、どのように改善してきたのか、多少重複しますが、紹介させていただきます。
 まず、2013年当時の弊社の課題は、やはりお仏壇は、購買層は50代から60代、70代になってますので、販売する側も同年代の従業員、要するに同じ目線でいろいろと話ができる人、そういうベテラン社員がすごく必要になってきました。
 また、仏壇というのは、仏具の知識が幅広くて、全体の仏具、静岡県全体の仏具を習得させるためには、すごく時間がかかるんですね。ということは、これに至るまで長期勤務ができる会社の風土をとっていかなきゃいけないことが2つ目の課題でした。
 うちの会社は、全て有給休暇100%消化。残業も1カ月当たり約3時間ぐらいなんですね。3時間というと1日当たりに直しますと約15分に値しまして、服を着がえたり、タイムカードを押すために移動したりという時間のみの残業時間なので、ほぼゼロということが言えるんです。ところが、残業はないんですが、実際、お昼の時間に1時間休憩をとれてるかといったら、とれていなかったんですね。しっかり1時間をとるために、やはりそこに入るヘルプの誰かが必要だという1つの課題もありました。
 さらに、夏の繁忙期、これはお盆の時期なんですけれども、ふだんより2倍ぐらいのお客様が御来店するので、そういう時期にはどういう人たちをヘルプにつけるかも課題でありました。
 こういった接客力の向上、仏具の知識、お昼休み、あと繁忙期の対応を全て高齢者の活用で改善しようと取り組んでまいりました。
 解決としては、まずは高齢者の雇用を確実にするために、高齢者が望む勤務制度をしっかり調べて、例えば当時は、週休2日の1日8時間、週40時間勤務だったんですけれども、これを高齢者に関しては週20時間、そこまで負担を減らして、短時間勤務制度をつくりながら、高齢者に配慮する働き方をつくっていきました。
 また、長期期間、65歳定年だったんですけれども70歳まで、あるいは75歳、80歳まで継続して雇用をするために高齢者の活用を前提とした新しい就業規則もしっかりつくりまして、居心地のいい職場づくりにも挑戦してきました。
 さらに、モチベーションを維持していかなきゃいけないので従業員と高齢者に、これは女性の活躍のときもそうだったんですけども、女性の活躍推進のときは、やはりどうしても女性だけに目が行きがちで、ほかの従業員はその次に置かれてしまうとフェアじゃないと。要するに全体のモチベーションが下がってしまうので、高齢者にもしっかりとした、特別扱いはせずに従業員との整合性を持ちながら制度をつくっていくと。こういうところにも配慮していきました。
 先ほどの昼休みも、通常、社員が9時から18時まで働いてる、この1時間、ここに高齢者の短時間スポット勤務を当てればいいんじゃないかということで、昼休みを意識したシフトも確立されていきました。
 さらに、夏の繁忙期の、これはお店のお客さんの件数なんですけども、こういう繁忙期に対して1日4時間勤務だった高齢者は、その特定の期間だけ多目に働いてもらう感じで対応して、高齢者を戦力として捉える、そういう施策もとっていきました。
 結果的には、いろいろな勤務制度ができ、また一般従業員と高齢者との整合性を保ちつつ、先ほど言った多能職化というものを実現しながら、さらに作業性を高めるためにITの技術も投入してきました。例えば会計の際に使うレジをタッチパネル化して開発をしていった。これも助成金で開発していきました。さらにハンディーターミナルと言って、うちの会社は毎月、棚卸しという商品のチェックを行うんですけれども、これを全部バーコードをしたハンディーターミナルによる管理にした。以前は、ペーパーでやってたんですけども、大体2日間ぐらいかかってたんですね、仏具も細かいので。それがハンディーターミナルを投入したことによって、半日で終わるようになっています。
 さらに、先ほども画面にありました墓石のソフトも社員全員が使えるように簡易にしたソフトを開発して、いろいろな形で生産性を高めるIT技術を使いながら導入を図っているということです。
 弊社は、なぜ有給休暇100%、残業を極限まで制限し、最近はプレミアムフライデーもありますけれども、やってきたというところなんですが、会社にいる時間を最小化させたいという私の思いがあります。
 なぜ最小化させたいかというと、9時から18時まで仕事をするわけなんですけども、この中でも通常のメールチェックから始まったり、掃除をしたり、いろいろな毎日のルーティーン作業をしながら接客をして、また競争に勝つために新しい商品やサービスをどんどんこの時間の中で開発していかなきゃいけない。それを行うのも、実は難しい部分がありまして、実際は家でゆっくり休んでる時間帯とか、あるいは通勤の時間帯とか、テレビを見てる時間帯とか、要するに俗に付加価値がつかないと言われてる時間帯は、実際は付加価値の源泉なんだということで、職場以外のプライベートな時間は、アイデアの巣なんだと。会社の中で考えるんじゃなくて、外で考えてきてくださいということで、有給休暇も20日間、しかも手当をつけて、うちの会社は進めております。
 あと最近言われております人材の不足です。運輸業から始まって、ファミリーレストランも24時間営業から、深夜はもう営業しないようになってます。東京オリンピック等々がありまして、建築業も人がいませんし、また、待機児童の問題や高齢化の問題、また医療の問題。居酒屋さんでは、人がいなくなっていまして、企業は時給を上げたり、何かをして人を寄せるだけではなくて、待遇を改善しながら人材の確保を行っていかなきゃいけない時代になっているということです。
 また、これはよくある話ですが、ことし生まれた人の寿命は何歳かという「ライフ・シフト」というベストセラーでも、優に100歳は超える時代になっていると。長く働ける仕組みづくりをしないと経済は破綻してしまうんじゃないかという危機感からも、今までの3ステージモデルからマルチステージモデルに変えていかないといけないということですね。企業は継続するために、あるいは人材を確保する、そして生涯活躍するために、企業としてもしっかり仕事とプライベートの両立を図りながら、働き方を直していかなきゃいけないというところを進めています。
 これはよく私が、講演のときに使う資料なんですけども、いわゆるワークライフバランスとか働き方改革というのは、昔に言われた企業の社会的貢献という部分の意味ではなくて、確実に経営戦略の1つとして考えていかなきゃいけないと。要するに成果・パフォーマンスを貪欲に追求していかなきゃ絶対続かないということはわかってきました。
 また、いろんな企業で導入を進めていく――恐らくこの委員会で話したことも県の企業がいろいろと進めるための1つの施策を打ち出してくるとは思うんですが――実は、農林水産業、製造業、サービス、小売業等、また従業員の規模によっても導入パターンというのは全然違うのですね。例えば300人以上の大企業、製造業がやってる施策は、じゃあ10人以下の第3次産業にも同じように応用できるかといったら、それはちょっと難しい話でして、製造業の小さい企業がやってるところの施策を小売業で同じようにやるのもなかなか難しくて、定着しにくい。つまり、独自性が強いということなんですけれども、そこも留意をして施策を考えていかなきゃいけないと思います。
 また、女性が多い職場といっても、看護職のような女性、スーパーのようなパートが多い職場、携帯販売店のような若い女性の社員が多い職場、それぞれ企業の特性は違いますので、これも導入パターンが異なることにも留意しなきゃいけません。企業が残業を少なくしましょうとかいう話を経営者が打ち出して、企業活動の中身を何も変えずに成果だけを期待するんですけども、結果的に皆さん陥っているのが収益力が低下して、結局かけ声は長続きしないと。残業を制限する、有給の取得を義務化することを企業の経営者が言ったら、企業活動、この中の仕組みを変えていかなきゃいけないということなんですね。要するに、制度をつくっただけとか、新しい決まり、ルールをつくっただけでは定着しない。必ずこの中の仕組みを変えていかなきゃいけないということですね。
 働き方のイメージとしては、若い世代は、もう月曜日から金曜日までフルタイムでバリバリ働きたいと。子育て世代は、保育所に預けている時間帯だけ仕事をして、土日のどちらかは旦那さんに見てもらえるという配慮のもと、こういう形を希望される方が多く、先ほど言ったように高齢者は、短時間で一日、余り休みは多くなくてもいいから、細く長く働きをしたいという形で、この働き方を希望される人たちが同じ一つの企業の中にいて、ここをどうやって、業務の仕組みをこの人たちに合わせていくか、整合性を持った形であらわしていくかということがすごく難しい要素にもなっています。
 とはいえ、導入のイメージとしては、ここにもありますとおり、製造業・販売業・サービス業に分けました。製造業は書いてあるとおり、ワーク・ライフ・バランスの導入レベルは極めて高いと。これはなぜかというと、今月つくる車の台数とか機械の台数とかが、大体この製造業は決まってるんですね。そうすると、あしたは何台つくるから何人の社員が必要、来週は何台だから何が必要というのがわかる。だけど販売業とサービス業は、あした来るお客さんの数が不確定で余りつかめないですね。そういうところで、あした休んでください。もしかしたらお客さん来るかもしれない。でも台風だからなと、いろいろと試行錯誤はあったりするんですね。なので、そういう面では製造業はすごく導入が図りやすいんですが、残念ながら、ここ後で話すことなんですけども、実は進んでいるのは静岡市ですね。販売員とサービス業でのワーク・ライフ・バランスが進んでいますよ。本来だと、浜松地区というのは、この製造業が牽引していかなきゃいけないんですけど、なかなかそういうものができていない。だから、もし今後検討するのであれば、やはり浜松地区の製造業ですね。製造業が一番導入しやすいということが公にもわかっているので、やはり製造業が牽引をして、いろんな働き方改革への打ち出し方を進められるというのが有効な活用じゃないかなというふうに思っています。
 これ2階建てになっているという話なんですけども、難しい話のように思えてもそうではなくて、必ず1階の部分は、異業種間で共有が可能ないろんな制度というのがあって、それだけではなくて、この2階建てになった上の部分というのは模倣できない、つまり企業ごとに独自性が必要な秘策であるところです。何でもまねができると思っていると中途半端になってしまうのは、こういう理由でして、先ほどうちがやりました、多能職化というのはまさに独自性の、この部分です。短時間勤務制度とか、そういう制度というものは異業種間で共有できるというのは、つまり模倣ができるという、この部分に相当します。
 進めるイメージとして、やはりリーダーシップ、トップダウンが必要だというところもあるんですけれども、やはりうちの会社もそうだったんですが、休みをとりましょう、残業しないでくださいという話をすると、大体社員から最初返ってきた言葉というのが、早く帰ってもやることがないんですと、なかなか時間短縮に結びつかなかったですね。でも、それはもう、うちの会社のポリシーとして進めるという考えでいたので、まず就業規則を改定しました。うちの会社は休むこと、残業しないことが会社のルールということを明文化して。人事評価もですね、休まない人、残業する人はマイナス評価にしますと。報酬も、休まない人、残業する人は給与が上がりません。そういう形で、徹底的にトップダウンを推進していったのが、まず初期の段階です。
 先ほど言った、2階建ての部分のワーク・ライフ・バランスの導入なんですが、いろんな就業規則を変えたり、ノー残業デーというものをつくったり、制度の中で一つ一つ、こつこつと積み上げていきます。それによって導入レベルが若干高くなってくるんですけれども、ただ、この制度だけでやっていくと組織が廃れてしまうんですね。なので、必ず先ほど言ったとおり、ビッグステップと言ってますが、業務の仕組みを改善して独自性が強い部分、これは企業ごとに進めていかなきゃいけないという部分を逃してはいけないと。その後に、またこのようにスモールステップが続いていくという形でイメージしていただけるとよろしいと思います。
 ワーク・ライフ・バランスとか働き方改革というのは、業務の改善なくして定着はないと言うことができると思います。業務の仕組みを変えて、これは先ほど言いました、専門職から誰でもできる多能職へ変えたということ。全員が同じ仕事ができれば何でも助け合えて、いつでも休みがとれるということですね。
 2017年の働き方改革で、ここは私たちが進めている、今やっていることなんですけれども、実はここまで制度を拡充しておきながら、2年前の終わりですね、65歳のうちの従業員が定年退職で、そのまま継続雇用すると思ったら退職届持ってきたんですね。何でだと。自分の時間を確保しつつ、体力に応じた仕事がしたいと本人が理由を言ったんですね。もう、そういう制度はあるのに、なぜこういうことを言うのかという話だったんですけど、いろいろヒアリングをしていきますと、まず自分の体力に合ったというのは、この時間的なもの、週20時間の固定勤務、週休2日の4時間勤務ですね。これを先ほどつくったと言いましたけれども、こういうことではないんだと。その日のお客さんの入り方によって、自由に自分が退社時間を決めるように、そうしてもらいたいと。例えば、お店の中で忙しくほかの社員が接客をしているのに、そこで帰るわけにはいかない、帰りたくないんですということですね。
 つまり、我々は従来の雇用の組織起点での制度を考えていたんですけども、それは個人の判断による個人起点に変化しなきゃいけないということで、すぐさまですね、このフレキシブル勤務制度ということで、4時間から8時間の間、本人の裁量の中で一日の勤務時間を決めていいよという形に変更しました。さらに時間的なゆとりがないと言ったのを私たちが意味を履き違えてまして、ここはフルタイムで仕事をしていたのを、高齢者の働き方に合わせて、勤務時間を短縮していったんですね。ですけど、短縮した時間ではなくて、こういうふうに柔軟性を持った勤務にしてもらいたいと。時間的なゆとりという部分を履き違えて、実際は精神的なゆとりというものを本人たちは望んでいたというところです。
 さらに、休みはしっかり取りたいということで、週休3日の勤務もあるんですけれども、週休3日の勤務があれば、例えば農作業も園芸も十分できると思っていたんですね。そうしたら、そういうわけではない。65歳以上が考えている農作業というのは、3カ月手塩にかけていろいろと育てていきたいということでした。私たちがそれでいろいろ聞いたのは、本人は絵が描くことが好きだったんです。絵を描くことが好きだった65歳の社員が退職届を出したんですが、いろいろ聞いてみると、絵というのは1日少しずつ、3、4カ月かけてじっくり仕上げていくという話でした。それでできた勤務制度が、1年12カ月のうち9カ月を休んでいいと。出勤は3カ月だけでいいと。要するに、まとめて休んでまとめて働くという制度です。現役時代の休みというのは週の中での休みの日を多くすることでしたけれども、65歳で考える休みというのは、まとめた休みが欲しいと。絵を描いたり旅行をしたり、農作業をしたり。うちの会社は、他社への勤務も可能にしています。ほかの会社にも休んでいる時期は勤めていいですという形に変えていっています。それによってですね、1人の社員が出した結果なんですけれども、この1月から始まって5月あたりまででしょうか。絵画を仕上げたものを二科展に出したら、何とNHK局長賞というのを受賞して。受賞した後に仕事の勤務を始めて、また9月になったら次の5月、6月まで自由な時間を持てると。これをうちではセカンドライフ勤務制度と言ってますけれども、これがあって、実は先ほどの厚生労働大臣賞を受けたという1つの制度でございます。
 ここまでが、うちの今の状態なんですけれども、今後2020年に向けて、働き方に対する提案ということで、この就労型の勤務、就労型の労働と社会参加型の労働、2つの労働を高齢者は期待しているというところをお話しいたします。
 ちょうど私は仏壇屋なので、終活というものをいろいろやっているんですけれども、実は、葬儀屋が言っている終活と本当の終活は全然違うものだということを、ちょっとお話ししたいと思います。
 葬儀屋は、大体高齢者の死後の準備のために葬儀はどうする、誰を呼ぶ、どれぐらいの規模にするとか、遺産はどのように分配するかとか、あとお墓はどうするかなどを、エンディングノートというのがあるんですけれども、それにまとめて準備をさせるような行為を葬儀屋は終活と称してやっているんですが、実はこれは、葬儀を事前決定させる、つまり葬儀社の顧客の囲い込みのためのマーケティング活動であって本来の終活ではないんですね。本来の終活はどういうものかというと、ここに書いてありますけど、悔いのない最期を送るため、迎えるために、今生きているときにやるべきことという定義が本当の終活の定義になっています。ざっくり書きましたけれども、60歳になると、どんどん高齢になるにつれて体力が消耗していきますので、できるスポーツ、やり残したスポーツや体を動かしたり、園芸をここでやっていくとか。あるいは、味覚や聴覚等々も衰えていって、視覚もそうですね。そういうことに対してしっかり五感を使う生活をしていこうとか。あるいはいよいよ人生の先が見えるといいましょうか、実際は見えるという表現はよくないんですけども、年賀状の枚数を多少減らしていったりですね、預金もある程度、分配をしながら減らしていったりして、人生を少しずつ削っていくという表現してますけども、こういう活動をするのが実は終活でして。実際、こういうことに気がついて終活をやっている高齢者も大分多くなってきております。
 こういう終活がある中で、どのようにして高齢者が就労するかなんですけれども、先ほど言った就労型と社会参加型の2つがあると言いました。今、厚労省もそうなんですけども、県や市が進めている、企業が進めているのがこちらなんですね。就労型、つまり65歳の定年後も現役世代と同じようにですね、もっと働いてもらうためにどうしたらいいかということなんですね。つまり、ここで働く高齢者もかなり報酬を、生活の糧を得ていかなきゃいけませんので、今までと同じように働けるよという前提条件の中で、いろいろな勤務制度や働き方が出てくるんですけれども、先ほど言った、終活という目線で見るとですね、例えば80歳まで生きるという1つの目的を決めた場合に、その中で終活、悔いない人生を送るために、どういう生活をしながら就職、就業していくかということですね。そういう、どちらかと言うと報酬を1つの軸足に置くのではなくて、終活や生きがいを組み入れながら、どうやって就業をしていくか――要するに社会に参加していくという言い方で社会参加型と書いてありますけれども――実は、こちらの働き方を求める潜在ニーズというのはすごい高いんですね。働くだけではなくて、実際高齢者で働かないという人たちが、今ある生活を、ある程度維持しながら社会へ参加するような就労の仕組みを整えていきたいという部分で、この働き方が、今後はいろいろと考えていかなきゃいけない部分だと思います。
 こういう部分においても、就労型というのが、先ほど言いました、組織起点。要するに企業が決めた働き方でいく。つまり労働者としたら、高齢者としたら報酬が主に目的、こういう着眼しかないんですが、実際は社会参加型の働き方というのは個人に軸足を置いた個人起点の、いわゆる人生のいい最期を送るための1つの就労という解釈ですね。この2つがあるということを最後に報告して終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。

○野澤委員長
 ありがとうございました。
 以上で、浅野様からの説明は終わりました。
 これより、質疑に入ります。
 委員の方にお願いをいたします。
 質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いをいたします。
 それでは、御質問、御意見等がありましたら御発言願います。

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