委員会会議録

質問文書

平成26年６月定例会総務委員会質疑・質問

	質疑・質問者：	髙田　好浩議員
	質疑・質問日：	07/02/2014
	会派名：	公明党静岡県議団

○髙田（好）委員
　一問一答方式で大きく３つ伺います。
　今回、県有建築物のさまざまな課題が多少あろうかと思いますので、それに対して経営管理部が所管されていることは限定されているのかもしれませんけれども、全般にわたってお聞きをしたいと思います。
　まず、昨年６月の補正予算で、津波に対する建物の強度を、災害時の拠点等として機能する県有建築物の中でも２メートル以上の津波が来るであろうと想定されているところに対して判断をすると、こういうことが補正でつきましたけれども、最初にその実施状況、もう昨年度の補正なので当然全部終わっているのか。あるいはまだ、今続けて行っているのか。
　それと、あと結果ですね。全部安全だったのか。私は資料がなかったものですから、まず、そこの部分をお聞かせいただきたいと思います。

○杉山管財課長
　県有施設の対津波安全性検証事業についてでございますけれども、津波の耐浪性といいますか、波に対する強さということですが、耐浪性を診断する対津波安全性診断というものと、もう１つ建物本体の軀体の強さだけではなくて、その中の電気等の設備がどうなのかという設備診断というのと２つを実施しております。この結果については、平成26年２月に終了して、３月にその結果の報告を受けております。
　この結果につきましては、まず耐浪診断――いわゆる対津波安全性診断ですが――これについては第４次地震被害想定のレベルツーの津波で浸水深が２メートル以上になる中でも一応の防災拠点というところの23施設39棟の安全性の検証をしました。その結果問題がないというものは下田総合庁舎、それから相良高校の建物のうちの１つ、新居高校の建物６棟の合計３施設８棟でございまして、それ以外の20施設の31の建物については、改修とか移転建てかえの検討が必要であるという判断になっております。
　一方で設備の診断なんですが、これは重要防災拠点、災害対策として非常に重要であるところについてのみ10センチメートルでも浸水があるところについて実施をいたしましたが、これは水が来てしまうものですから、診断を行った13施設全部において設備の改修は必要だという結果が出ております。以上です。

○髙田（好）委員
　ありがとうございました。
　公表されたものを私は見てなかったので申しわけなかったですけれども、全体でいくとかなり厳しい状況ですよね。
　これは、次はそれぞれを所管する部局の話になってくるんでしょうか。例えば、さまざまな建物を所管している部局もあると思いますので、これから建物に手を入れていくというときには各部局が主体となってやっていくのか。あるいは最後の改修まで含めて経営管理部の管財課でやっていかれるのか。それだけちょっと教えていただけますか。

○杉山管財課長
　まずは耐浪診断の場合、人命が第一なので、この点については、津波が来て倒れてしまうような施設は避難場所にならないということがあるので、そこは周知徹底して、まずその点で、人命確保のための避難計画の見直しというのは各部局にやっていただいております。
　それから、具体的に改修の必要があるのかないのか。だめなものであっても、例えば津波を頭からかぶってしまう施設はもうだめなんですけれども、そういうところであっても、例えば学校なんかは避難場所を指定して対応すればいいのであって、わざわざそれを耐浪性の建てかえをする必要はないということがあります。こういうこともありまして、実際には建てかえを必要とする施設というのは、交通基盤部の中の３施設程度という状況でありまして、それ以外は、逃げたり、あるいは設備をちょっと変えたりということで対応できます。
　また、警察の駐在所あるいは交番というものが非常にこの中で多いんですが、なかなか移転というわけにもまいりませんで、警察独自の方法をもって解決していくと聞いております。御質問の趣旨で言えば、管財課が全部引き受けて対応していくということではなくて、部局の対応ということになります。以上でございます。

○髙田（好）委員
　ありがとうございました。
　今お話があったように非常にそれぞれが厳しい状況になってきますが、またその次の質問にも関連してくるんですけれども、建物長寿命化とか、いろんな活用の仕方というのは、しっかり安全性を確保した上で行っていく必要が当然あるわけでございます。そういう意味でもまたしっかりしたアドバイスをお願いしたいと思っております。

　２点目ですけれども、ファシリティマネジメントについて、若干お聞きをしたいと思います。
平成24年度から理念を導入して、平成25年度に基本計画、そして平成26年度に実施計画ということで策定をしてこられております。
　１つ目は、ことしの６月12日に研究会を行ったということで、その中で公共施設等総合管理計画の策定をしていくと、これは国から求められているわけですけれども――総務省から平成28年度までに行うということで御説明があったとお話を聞いております。このときの主な論点と現在の段階で課題とか懸念、そういうことがもしあればお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。

○杉山管財課長
　公共施設等総合管理計画についてでございますが、委員御指摘のとおりの内容でございまして、この点について本県の対応ということになるわけですが、お話しいただきましたファシリティマネジメントの基本計画、実施計画は既にございます。
　もう１つ、インフラについてなんですけれども、これも交通基盤部で社会資本長寿命化行動方針を平成24年度に作成してございます。総合計画は県の全ての資産について計画をしなさいということでございます。
　もう１つは、具体的ではなくて基本的な方針を定めなさいという内容になっておりますので、個別具体的にこの施設をどうするとかというものではありません。そういう意味では、今の計画でおおむねカバーをしています。ただ別々の計画になっているので一緒にすることです。
　もう１つは、特別会計、企業会計なども取り込みなさいということなので、そういう情報も入れなければならない。こういう作業が必要になってくると考えております。
　具体的には管財課で、そのあたりのところを調整しながらこの公共施設等総合管理計画を今後作成していくということになると思いますが、そう大きなハードルではないということで総務省からは説明を受けておりますけれども、市町を集めたファシリティマネジメントの研究会の中でも一緒にやっていこうということで、県内の市町全てで作成する方向で進めてまいります。以上でございます。

○髙田（好）委員
　ありがとうございます。
　ファシリティマネジメントの考え方の中には、１つの建物を見たときに、それが例えば県で使えなかったら市町で使ってもらうとか、そういう考え方は当然あります。今大事なのは人口減少社会でもございますし、当然建物も長寿命化になっておりますけれども――人間も長寿命化になっておりますが――やっぱりその建物を誰が使うのがふさわしいかと考えますと、これは都市計画をやっている方とか、あるいは福祉をやっている方とか、要するにさまざまな目線でその１つの建物を見て、そしてこれから使命を果たすためにこの建物で何ができるかということを考えていくと。こういうのも含めた長寿命化ということを考えていく必要が私はあると思うんですけれども、これを考えている部分にはそういう方々の御意見は反映をされているのか、あるいはもう当局だけでそれぞれ県、市町だけでやって、特にそういう民間の活用というものは入ってきていないのか。そこの部分をちょっと教えていただけますか。

○杉山管財課長
　昨年度ファシリティマネジメント実施計画をつくる際には、民間有識者の意見も聞いております。その上で作成をいたしました。
　また、行財政改革推進委員会にもかけて、委員の意見もお伺いをしております。
　ただ、特に我々のつくった計画について、細かい点の修正はそういう点でしておりますし、民間の意見も入れていくといこうと考えております。以上です。

○髙田（好）委員
　わかりました。具体的にそういう展開をして活用していくという事例というか、今までそういうものというのは県有施設の中ではあったかどうか。ちょっとそれだけ教えていただけますか。

○杉山管財課長
　民間の知恵を入れてやっていくという意味では、ＰＦＩというのがございまして、この実績が本県では確か４件ほどございます。ただ非常に手続が大変でございまして、ここ数年来そういう実績がないというのが実態でございます。
　その他ＰＦＩ以外にも民間活力の導入という点では、今ＰＰＰと言いまして、パブリック・プライベート・パートナーシップということなんですけども、現行法の枠の中でなるべく県の事業を行う上で民間活力を導入していこうという動きがございます。そういう事例も研究してまいりたいと思っておりますが、建物については、今直接民間を入れて設計施工管理までやっているというのは４件ほどと承知しております。

○髙田（好）委員
　新規というよりも、さっき言いましたように活用を一つ考えたときに、やはりそういういろんな目線で見ていくことが必要かなと私は思っておりますので、ぜひそういう方々の声も聞けるような場面が必要かと思っております。

　次に、最後ですけれども、建物を建てるのはいいんですが、グランシップに見るように非常に厳しいものができてしまうということもあるということで、私の本会議代表質問の中で――数年も前になりますけれど――やはり第三者によってしっかりその建物が本当に県民のために必要であるのか。あるいはそれ以後の管理についても、それが本当に無駄なく行っていくことができるのかと、そんなことを第三者の目線でしっかり見てほしいということを提案させていただいて、それによって品質向上アドバイザーという方々がそういうことを行う事業が平成22年度からだったと思いますけれども、始まったように思っております。現状2,000平米以上とお聞きしておりますけども、そういうアドバイザーの御意見を聞いて――全部ではなくて抽出してやったのかどうかわかりませんが――平成22年度から行った成果というか、実際に県民のための建物になるためにどのようなことをアドバイザーの方が主に御意見を出していただいているのか。ざっくりで結構ですので方向性と全体のイメージをお伺いしたいと思います。

○塩澤営繕企画課長
　県有建築物の品質向上ということで御質問いただきましたが、委員のおっしゃったとおり平成21年の12月の議会におきまして、設計時のチェック機能を強化する必要があるという御指摘を受けまして、外部の有識者から成るアドバイザー会議を設置し、一層の品質向上に努めてまいりました。平成22年度より大規模な新築建築物を対象として、現在まで６件の審査をしております。
　平成22年度につきましては、静岡地区新構想高等学校について審査をいただき、意匠――デザインですけども、ここでアプローチの引きとか、あるいは駐車場の配置計画、それから環境面では屋根の緑化、壁面緑化。それから防災面では、避難所機能の再検証等の御意見をいただいております。
　それから平成22年度もう１件、裾野警察署についても御審議いただきまして、意匠――デザインにつきましては、ユニバーサルデザインに基づくサイン、表示の計画、それから環境面につきましては近隣への配慮、騒音とか振動、それから防災面では大雨等への対策について御意見をいただいています。
　平成23年度は天竜地区の新構想高等学校、平成24年度は引佐地区の新構想高等学校、それから掛川地区の特別支援学校について御意見をいただいております。
　直近で平成25年度、昨年度ですけれども、農林技術研究所果樹研究センターについて御審議いただきまして、デザインの面ではトップライトの採光、車の動線について御意見をいただいております。環境面では雨水利用の検討、それから防災面では受水槽の位置の検討ということで、それぞれ貴重な御意見をいただいております。以上です。

○髙田（好）委員
　ありがとうございました。
　私がイメージしていたのは、グランシップというああいう本当に大規模建築物において設計士がひとりよがりにならないような、本当に県民のためのものを建ててもらいたいと、こういうことで始まったんだろうなと思っています。そうなると、例えば「プラサ　ヴェルデ」とか、あるいは今建設中の草薙体育館とか、そういうものに有識者がアドバイスをすると。すごく偉大な先生方ですのでなかなか厳しい面があるのかもしれませんが、今建てている草薙の体育館、あれは今日本で一番技術力を要する建築物と言われていまして、建築の雑誌は特集号を組んでいます。それだけすごい建物なんですが、グランシップも確かそういうふうな形で脚光を浴びて建てたと。ところが今見るにも無残な姿をあらわして、ところどころに鉄板が埋められて、本当にあのデザインで最後までいくのかなと思うんです。本当に県民のための建物をつくっていただくために、私はこの提案をさせていただいたんですが、そういう本当に大きな大事な建物へのアドバイスというのはこの方々は行っていないんでしょうか。それをお聞きしたいと思います。

○塩澤営繕企画課長
　アドバイザーの御意見をいただく対象は、大規模な新築建築物としておりまして、先ほど委員がおっしゃったとおりおおむね2,000平米以上の新築の建築物を対象としております。今回の草薙の新体育館もそうなんですが、免震構造等特殊な構造の建築物につきましては、建築確認の構造審査の過程で有識者の審査を受けます。いわゆる構造評定といわれていますが、これを受けることとなっておりますので、アドバイザー会議の対象からは外しているということです。以上です。

○髙田（好）委員
　工程がどうとか、構造はいいんですね、建物の内部ですから。県民にとって使いやすいのか、使いにくいのか。安全なのかということを、プロの方が図面を見ればわかるところはわかるわけですので、それを私はやってほしいなという気持ちがあるんですがどうでしょうか。そういうところにまでこういう方々の御意見を反映できないものでしょうか。もう一度お願いします。

○渋谷経営管理部理事（営繕担当）
　再度同じ答えになるかもしれませんけれども、草薙の新体育館について言えば、一般的な建築基準法が想定していない工法を使って設計されております。そうした場合、国土交通大臣の特任において認定を受けるということになっております。この草薙新体育館については、この制度を利用して認定を取得しております。この中で天井や外壁といった二次部材も含めて、外装材も含めて構造の安全性ということについて、その評定を受ける際に学識経験者によるチェック、アドバイス等を経て設計されているということであります。
　構造評定以外にも、避難、安全、防火避難規定についても、この大臣認定を受けております。その過程で評定を受ける際に学識経験者の委員会で審査されて安全性に十分配慮されているということになっておりますので、再度県のアドバイザーにおいて審査するのは屋上屋になってしまうということで、草薙新体育館はアドバイザーの意見は省略したということでございます。
　これについては、アドバイザーの各委員の学識経験者にもその旨報告をして了解を得ているところでございます。

○髙田（好）委員
　了解を得ているという話で、別に了解を得てもらうためにアドバイザーになったんじゃない、私が発想したのは全然違うもんですから、わかりましたというか、現状がそうなっているのであれば。　それで、そこにまた建設後１年程度を目安に、施設管理者及び利用者を対象にして利用者満足度を調査すると。さまざまな満足度が低かった場合は、そこの部分をこれからの設計にも反映をしていこうと、こういうふうに書かれているわけですが、これは建設後１年を目安にやっているこの対象物というか、この調査そのものは実際行われているんでしょうか。

○塩澤営繕企画課長
　県有施設の利用者満足度の調査のことですけれども、おおむね１年経過した施設について、１施設当たり100人をめどにアンケート調査を行いまして、満足度の低い部分について問題の原因を追及し、今後の設計に反映させております。
　平成25年度につきましては、駿河総合高等学校、それから先ほど設計の関係で申しましたが裾野警察署、この２つについて満足度の調査をしております。
　その前年――平成24年度につきましては、富士特別支援学校富士宮分校、それから小笠山総合運動公園補助体育館ですが、年に２件程度ですけれどもやっております。以上です。

○髙田（好）委員
　ぜひ、県民のための建物ということを本当にしっかり考えていただきたいと思いますね。グランシップは、今、閉館中であります。また、植木のところには立入禁止ということでバリケードが張られております。絶対にああいうことを繰り返さないために、もう一度この委員会のあり方を再考していただきたいと思っております。そのことだけちょっと要望させていただいて、質問を終わらせていただきます。

○竹内委員長
　ここでしばらく休憩します。
　再開は13時30分とします。

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