• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 委員会会議録 > 委員会補足文書

ここから本文です。

委員会会議録

委員会補足文書

開催別議員別委員会別検索用


平成28年11月地方創生推進特別委員会
株式会社CREA FARM 代表取締役 西村やす子氏 【 意見陳述 】 発言日: 11/25/2016 会派名:


○西村やす子氏
 きょうは、大変貴重なお時間をいただきまして、どうもありがとうございます。
 CREA FARMの代表の西村と申します。
 なかなかこういう場でお話しすることがないんですけども、私たちが取り組んでいる農業のことが、時々メディアでいろんなところで紹介をされまして、実は、私も事業自体は3年前から始めてるんですけど、こんなに注目をされる事業になっていくということを、全く想像していなかったんです。自分たちの中では、一生懸命頑張っているんですけど、すごく大したことができてるという実感がないまま、非常に取り上げられることが多いのが現状です。これは静岡県がこういう新しいことをやっていくという土壌があまりなくて、もしかしたら、この事業は静岡県じゃなかったら、実は全然注目されなかった事業かもしれないのかなと思っていて、私だけではなくて、いわゆるベンチャーというか、新規の事業をやっていく人たちというのは、非常に今、注目されやすい状況になっているんです。
 メーンでやっているのがオリーブの産地化の事業です。私たちはたまたまコンテンツをオリーブに選んでいるだけなんですけども、農家の所得をしっかり上げて、農業を活性化することで雇用を生んでいったりとか、耕作放棄地を解消したりとか、農家の後継者問題とか、いろんなことで活性化していくので、非常にやり方次第では、地域のためになっていく事業だなということで、ちゃんと計画を立ててるんです。計画を立てるというのは、いわゆる農業の課題というのは、付加価値をつけるとか、発信するとか、出口を整えるということが、非常に弱いので、その部分をやらないと、何をつくったって結果は同じになるというふうに思っています。
 このオリーブというのは、非常に収益率が悪いです。
 ただ、ブームがあって、何かオリーブはもうかりそうだからといって、あちこちで今、実は始めている人たちいるんですけど、もうどう考えても植えてから5年は収益にならないんです。
 さらに、静岡で育つといっても、地中海のほうの国と同じように育つかというと、そこは、実は非常に疑問のあるところで、例えば、私、昨日までトルコにいたんですけど、トルコって8,000年オリーブを使ってるんです。日本では、まだ20年ぐらいの短い期間で、雑草みたいにオリーブが植わってるんです。地中海のほうの国ではもうどこにでもあり、14万トンぐらい収穫ができるということで、生まれてから亡くなるまで、みんなオリーブと生活してるんです。地中海の国、イタリアも、スペインも一緒なんですけど、飲んだり、食べたり、塗ったり、人々の生活の中にオリーブというのが、もう密着してるんです。日本というのは、まだオリーブが入ってきて20年ぐらいなので、味も知らなければ、使い方も知らないと、そういう国で何かオリーブが珍しいからといって、安易にオリーブの栽培を始めたら、何が起こるかということです。まず、私たちはオリーブオイルを知ってもらわなきゃいけないので、海外のオリーブオイルをみんなに食べてもらって、静岡産ができるまで味を知ってもらう、使い方を知ってもらうという活動から始めたんですけど、そのときに、国産のオリーブオイルも並べたんです、小豆島のものです。小豆島っていうのは、実は、国産のオリーブって2%しかないんです。ほとんどできていません。小豆島とかって、何となく産地のイメージあり、新聞にも大きく通販が出るんですけど、あれは全部スペインとか、オーストラリアの輸入してきたオイルを小豆島の会社が売ってるだけで、通販会社が頑張ってるだけなので、小豆島でとれているものが基本的に静岡に回ることはないです。
 それでも小豆島産の1本4,000円とか、5,000円のものをうちが買って、一緒に並べたんです。価格は海外のオリーブオイルというのは、大体どんなに高いものでも100ミリリットルで換算すると、1,000円ぐらい。これが大体いいオイルと言われているものです。小豆島の国産オイルは幾らかというと、4,000円から7,000円なんです。厳密には3,800円という裁定相場があって、味がどっちがおいしいかと言ったら、圧倒的に海外のほうがおいしいです。なので、オリーブつくる人たちが何に価値をつけて、どこに売って、どんなふうに展開していくのかというのを、しっかり事業計画を立てないと、多分、今、ブームで始めている人たちはみんな大変なことになるというふうに思っているんです。オリーブつくれば、高く売れるなんていうのは、もう幻想です。だって、1回は御祝儀相場で買ってくれるかもしれないですけど、新茶のときに、新しいお茶を買うのと同じように、でも、毎日使う油になったときに、安くて品質がいいのは海外のほうなので、それを使っていくというふうになると、もう特定の市場にしかないんです。特定の市場で、さらに6次産業化ということで、油なので加工品をつくったり、葉っぱを使ったりとか、余すことなくオリーブのいろんなものを使って価値を生み出していくと、これって経営なんです。
 だから、今、例えばお茶とか、ミカンとか含めて農業経営ができていない人たちが、これをやったら大変なことになるんです。結局、何が起こるかというと、恐らく買い取りをするという人たちが出てきて、買い取りをする人たちがキロ幾らで買って、自分たちは付加価値つけて売っていくと。そしたら、お茶と同じことになります。お茶が今そういう状態で、幾らいいお茶つくっても、自分たちで売る力があれば、例えば、キロ1万円というお茶を値段つけて、それを売る力があれば、その農家さんたちはちゃんと成り立ってるんです。だけど、やっぱり茶商さん通すとか、JAさん通すとかやってると、それがもう買いたたかれて、キロ何百円とかという単位で流通をしていると。
 なので、私たちは、このもうオリーブだろうが、柚子だろうが、カシスだろうが、何でもよかったんです。農業のモデルとして生産する人たちと一緒になって、いわゆる6次産業化って、本当はすごく難しくって、売ることが大変な農家さんたちに、さらに付加価値つけて、加工品を売るというのは、もっと大変なことなんです。数字だけ見れば、付加価値つけて売るっていうのは、何か一見もうかりそうなんですけど、そもそも一番弱いところに、それをやろうというふうに流れがあって、例えば、うちも加工品つくってますけど、売るのはすごい大変なんです。例えば、加工品をつくる人っていうのは県のほうでも、6次産業化のコンサルとか、アドバイザーだとかといういろんな人たちがいて、補助金を使って、その人たちの支援金を出して、その人たちが加工品をつくります。つくるところまでは誰だってできるんです。こんなの別にシェフが来てつくればできちゃうんですけど、物はすごくたくさんあって、生産者が在庫を抱えて困ってるんです。なので、この現状を変えていかないと、どれだけ農業が成長分野だって言っても、出口をしっかり整えることと、出口を行くための、いわゆるインフラをしっかり整えないと、農業をちゃんと産業化するということは、非常に難しいかなというふうに思っています。
 ちなみに、これは、たまたまきょうできた商品です。先ほどオリーブって5年ぐらいたたないと収益にならないという話をしました。それも全部ちゃんと育ったという前提なんですけどね。うちは買い取りをやらずに、一緒に農家さんたちとやってるんですけど、ミカン農家もいれば、お茶農家もいれば、イチゴ農家もいます。5年間は収益を生まないから、自分の今の農産物をしっかりやらないと、みんな生計立てられない人たちなんです。それをまず、うちがサポートをしようということで、オリーブとは別に、今、農家さんたちが持っているものに付加価値をつけるようなお手伝いも今しています。
 例えば、これは日本平のミカン農家さんの、いわゆる御当地サイダー的なものなんですけども、摘果ミカンって捨てちゃうんです。摘果ミカンってかたくてかちかちで果汁なんかないと、私はずっと思っていましたが、そうでないものもあって、結構、農家さんは、早摘みでそのまま食べれるみたいなレベルのものもがんがん捨ててるんです。でも、食べたらレモンみたいな味がするし、そこで御当地サイダーつくりましょうと言いました。御当地サイダーもつくるだけだったら、誰でもつくるんですけど、やっぱり売ってかなきゃいけないということで、販路開拓を一生懸命やっています。今、居酒屋や郷土料理のお店で使ってもらってたり、結婚式場とか、県外からたくさん人が集まってくるときの御当地の飲み物みたいに使ってもらったり、あとは割り材みたいにしてもらったり、また、女性向けにつくったので、女性のばらまき土産で使ってもらったり、こんな商品をつくったりとかしています。これらを摘果ミカンでやりました。
 次に、はるみです。静岡には、はるみっていうミカンがあります。私、はるみって、ずっと愛媛県のミカンだと思っていたんです。それが、いや、興津のミカンだよって言われて、うちの社員にも聞いたんですけど、みんな知らなかったんです。興津で生まれたミカンだから、もっと堂々とはるみを静岡のものだって、うちの会社が言おうということになりました。はるみって、清見とポンカンの何か子供みたいなもので、おいしいので、最初は、やっぱりジュースをつくろうかなとか、ゼリーとかつくろうかなとか考えたんですけど、はるみの皮を使おうと思いました。なぜかというと、規格外のはるみって、大量に出るんです。規格外のはるみになると、味はもうはるみじゃない、何かよくわからない、すかすかのものになってたりするんですけど、皮だけはちゃんと生きてるんです。なので、3トンのはるみを農家さんたちから集めて、まず、果汁と皮にわけて、皮からアロマオイルをとりました。アロマオイルをとるって、本日の委員会の男性の先生たちはそれは何じゃって言うかもしれないんですけど、はるみの皮でキャンドルにします。後で回しますが、ろうそくをつけて、ちょっと癒やし系の女性の商品なんです。あとは、バスソルトという入浴剤です。これは食べ物じゃないです。塩なんですけど、お湯の中に入れるとぽかぽか温まって、香りがふわっと出るバスソルトに、とったはるみを入れて、入浴剤をつくりました。これを名前もはるみにしたんです。はるみって、人の名前か何か、ちょっとわからないような感じなんですけど、静岡の清水でできたミカンですということで説明書をちゃんとつけて、商品化して、これをセットで5,000円で売ります。5,000円っていうのは、こういう雑貨品の中では、相場では少し安いぐらいなんです。捨ててしまう廃材を、うちが高く買いますので、農家さんは喜びます。そこからオイルをとって、食品ではなくて、この雑貨のほうまでやったということです。オリーブオイルを1適でも入れておけば、オリーブオイルも使った商品となります。今回はちょっとオリーブオイルを使わなかったんですけど、要は価値を生み出すというのは、こういうことです。
これができたら、次は販路です。販路でプレゼンいくときに、例えば、伊勢丹の新宿の地下に置いてもらいたいというときに、農家さんが行っても話を聞いてくれないんです。バイヤーっていうのは、物すごいアンテナ高いので、その人たちがなぜ、この商品に価値があるかというのを、プレゼンする力っていうのがないと、やっぱり置きたい場所に入らない、高く売れる場所に入らないということです。これについては、今、私のほうで一生懸命動いています。やっぱりこれって、自分でなかなか買わないんです、女の人って。女の人はなかなか買わないんだけど、もらったら物すごくうれしいものなんです。そうすると、クリスマスギフトとか、あとはバレンタインでのお返しにホワイトデーとかがあって、男の人が女の人に買う商品だなというふうに私は思っています。そうすると、レオンだとか、何かちょっといけてる感じの雑誌がありますので、それに取り上げてもらったり、また、これが飲み屋の女の子にいくのか、奥さんにいくのかわからないですけど、要は、そういう人たちのところに売るということになるかもしれません。これがまたマーケティングのおもしろいところで、女の人って商品を選ぶときって、値段とか、いろんなものを細かく見るんです。男の人は、わかんない世界のものは値段はわからないので、これが1,000円だろうが、5,000円だろうが、1万円だろうがわかんないんです。でも、わかんなくても、とにかくこれ喜ぶ、贈ると喜ばれると思ったら買うんです。しかも10個ぐらい。どこにわけるかわかんないです。いや、実際そうだと思うんです。買う人たちの動機とか、どんな販路で、どういう人たちが買ってくかというのをわからないといけません。そこが非常に難しいです。
 あとは、やっぱり買い取りをしているうちはだめで、キロ幾らで買いますとやっているうちは、農家さんはお客さんと直接つながらないので、全然、おもしろさが出てこないんです。特に若い人たちが農業をやっていくには、自分がつくったものを使ってる人が見えてないと、つまり、何か市場につながらないと難しい。これは一般の会社の経営でもそうなんですけど、お客さんとつながらない仕事っていうのは、やっぱりなかなかおもしろくないんです。とにかくお客さんとつながる仕事を農家さんたちがやるには、農家さんからの買い取りではなくて、自分たちがその中に入って、農家の一員になってやっていくということが必要で、うちのCREA FARMの事業のオリーブに関しては、私たちが実を買い取るとか、グループをつくって、これを法人化します。農業法人化しますけど、そこに私が一社員、もしくは取締役として入って、一緒にそこで完結させるという形のものを県内で、今、幾つかやってます。
 法人化することは、結構面倒くさいんです。これもたまたまなんですけど、私、司法書士事務所を20年やってまして、農家さんたちは何か申請書を1個書くのも、面倒くさいということで、後回しになってしまいますが、専門家がいれば3分でできてしまうようなことって、いっぱいあります。そういうこともいろいろ見えてきたので、実は税理士だとか、司法書士だとか、弁護士だとかは、事務所で待っている先生ばっかりなんですけど、もっと中に入っていって、その力を活用したら、もう少しいろんないいものが生まれるんじゃないかって思って、そんなことも進めています。
 まずは、私の自己紹介もなしに、先にちょっとオリーブの栽培の現状について、話をさせてもらったんですけども、会社自体は、3年ぐらい前にオリーブの栽培をしたいというふうに思い、立ち上げました。きっかけは、今でこそ、何かちょっと仰々しい事業になってしまったんですけど、最初は庭レベルのところに、オリーブの木を何本か植えて、自分がオリーブオイル好きだったので、そこで何かオリーブオイルを絞って食べようって、本当そのレベルだったんです。つまり、家庭菜園からスタートをしているんです。
 何でオリーブオイルに目をつけたかというと、食のことが好きで、料理も好きで、いろんな勉強をしてるうちに、オリーブオイルの学校にいって、オリーブオイルを習いまして、先ほどの話もさせてもらったんですけど、国産がまずないということです。あと、やっぱりほとんどの人がオリーブオイルの味を知らないので、自分でオリーブオイルをつくって、本当においしいものを食べようというところがスタートだったんです。
 そんなことをしながら、どういうふうにやっていこうかなと思ったときに、やっぱり出口だなということで、一番最初にオリーブオイルを売るところからつくりました。大体、みんなつくるところから始めるんですけど、出るところをつくらないといけない思いました。最初に、家庭菜園レベルでオリーブをやろうと思っているうちに、農業のことに興味をもってきて、農家さんたちと話をすることがふえてきて、農家さんたちのお茶の耕作放棄の問題だとか、後継者がいないことだとか、いろんな問題を聞いてきて、農家さんたちと一緒に新しい取り組みをしたら、おもしろいことができるんじゃないかなということで、スタートをしたんです。農家さんたちがやっぱり言ってたのは、どこで売るんだと。一緒につくってもいいけど、どこで売るのという話になって、売り場所からだなというふうに思いました。何でもそうなんです。どんな仕事でも、いわゆるマーケティングって、多分、先生たちのお仕事だってそうだと思うんですけど、ニーズをしっかり、要は、誰が何を求めてるのかっていうのをしっかりわからないと、プロダクトしても、それが届かないということです。まずお店やってわかったことは、男の人と女の人の買い方が違うんだなということとか、あと、どの品種をみんなが好むのかなとか、どういう見せ方をするとみんなが買うのかなとかです。1回売れたら終わりだと、農業にはならないんです。継続して買い続けてもらったりとか、人に拡散してもらうとか、やっぱりそういうことをやっていかなきゃいけないので、このお店をもったことで、非常に市場の分析ができました。なので、売れる品種を選んで、売れるブレンドをやるということで、まず、ここのお店からスタートしました。
 これが2014年の6月で、2年半前の6月にスタートをしたんですけど、ここから、さあ農地を借りようというところで、私、もう本当に苦労しまして、相坂先生にも御相談したこともあるんですけど、先生たちは、本当にいろんなところにお話をしてくれて、役所の窓口も紹介してくれました。役所の窓口に行っても、結局、自分たちに実績がないため、何かわけわかんない、司法書士かなんかやってるような人が来て、きょうから農業やりたいんで、農地をどうやって借りれますかとか、補助金くださいなんて言ったって出してくれるわけがないんです。今、思うとそうだなと思うんですけど、その当時は、私は農業が成長分野で、静岡で新しく農業経営やろうと思っているのに、何でみんな協力してくれないんだろう、役所って全然だめだみたいなことを言ってました。今は、状況がわかるんですけどね。
 農業をやるのに、巨大なオリーブ園の計画を立てまして、要は、産地化をして、量産をしないと勝てないんです、海外のオイルには。そうなると、やっぱりいろんな地域のいろんな農家さんたちと一緒にやっていくしかないなと思って、そのときに、農地を借りるため、巨大な計画を立てました。その当時、自分で試算したら初年で、農機具とか、搾油機を買ったりするので、やっぱり1億円ぐらいかかったんです。困ったなと思ってましたが、私もやってるうちに、これって、私が一生懸命やってるけど、世の中のためにやってることだし、自分の私利私欲のためにやってるわけじゃないんで、私がやるけど、もっとみんながやったほうがいいと思いました。県とか、市からはお金を出してもらえなかったんですけど、地元の経済界のつながりがあったので、いろんな社長たちに農業って、経済界がしっかりサポートして売るところとか、付加価値つけるところとか、発信することを一緒にやらないと、静岡の農業は活性化しませんよって話をしたんです。そしたら、やっぱりわかる社長たちは何人かいて、いいよ、協力するよっていう人たちが何人も出てきたんです。何人も出てきたんですけど、その中で、一応選ばせてもらったのが、静岡銀行です。融資ではなくて出資してもらいました。出資っていうのは、富士山静岡空港をつくったときに、静岡銀行ってお金出してるんですけど、それと同じように有価証券で持ってもらいました。
 それから静岡鉄道とか、田丸屋とか、要は、銀行も、鉄道会社も、こういう会社に出資するというのはリターンがないんです。農業の会社なんかもうかるわけないので、リターンがないんだけど、結局、地域のインフラをつくっている会社として、次の世代にちゃんと残せるものをみんなでやっていこうよと、非常に高い志のもとに、皆さんがお金を出してくれまして、9,000万円集めました。そして、9,000万円を集めて事業計画に入ったんですけども、オーストラリアだとか、スペインだとか、イタリアだとか、いろんなところに視察へ行きまして、もちろん小豆島も行ったんです。とにかく技術がないといけないので。どこからかよくわかんない苗木を買ってきたり、買わされて植えたり、それが育たなくなると、手入れが悪いのか、何かわかんないんです。要は技術がないと、丈夫な苗木に育っていかないという状況があったんです。なので、まずは、その技術を教えてくれる人を引っ張ってこなければいけないと。オーストラリアのオリーブ協会の会長にお話をして、いろんな新興国、つまり、新興国というのはオリーブを初めてやるような韓国だとか、台湾だとか、中国とかで、そこで指導をされて、どんな土壌でも、どんな場所でも成功させてきた先生が必要なわけです。なぜかというと簡単で、その気象条件と土壌に合う品種を選ぶことと、その技術をしっかり入れることでできますよということです。これは、この先生だけではなくて、いろんな研究所に、静岡の気象データとか、全部送って聞いたんですけど、どこもできますよって、できるけど、手入れが必要だよと言われました。雨が多いので、やっぱり日本は日本なりの技術が必要だということを、いろいろ言われて始めました。
 ちなみに、これは日本平の苗木の写真です。もともと、去年の4月の時点で、10何センチの苗木が、今、どのぐらいあるかというと、もう私の背を超えて、2メートル半とか、3メートル近く成長してる木もあります。苗木でも成長は遅くてこのくらいのものもあるんですけど、このちょうど奥に富士山が見えてまして、こういうふうに、もう見た目はオリーブ園になっています。ことし実がついて、何かイタリアやギリシャみたいな風景になっているんです。これがいわゆる自分たちで直接やってる場所ですね。
 あとは、日本平の池田のほうなんですけども、ここはお茶の農家さんがほとんどなんですけども、耕作放棄地がどんどんふえている状況で、池田でもオリーブやりたいよっていう方たちがいたので、一緒にやりましょうということで、ここも法人化していく予定です。私たちが中に入って一緒にやっていきます。私の身長が163センチメートルぐらいあるんですけど、この位の高さまで2年半でいってるので、ここも順調に生育しています。
 それから、これは川根本町の鈴木町長ですけども、川根本町に関しては、お茶との複合農業を目指すということで、あそこは柚子をつくったり、柿をつくったり、ブルーベリーやったりとか、いろんなことをやっています。その中でオリーブも可能性がないかということで、町営農場を借りて、うちのほうで苗木を提供して、先生も提供して、試験栽培をやっています。ここも非常に順調にやっています。これは町の職員さんが栽培をやっている状況です。これも静岡新聞で紹介されたんですけども、三島の就労継続支援A型事業所で、オリーブに関しては草取りとか、収穫とか、非常に障がいのある方でもやりやすい農業ができるということです。ここは、もう補助金に頼って、利用者さんたちの給料を上げるんじゃなくて、自分たちで物を売って、賃金向上を目指すということで、このオリーブをきっかけに、梅をつくっていたり、いろんなものをつくっているんですけど、それを私たちが入って、全てこういう形で付加価値化をして収益を上げていくというプロジェクトに取り組んでいます。
 それから、あとは、この6次産業化です。オリーブなので、塩と油が入らない加工品というのがないもんですから、私たちは、例えば、ツナ缶をつくったりとか、パスタソースをつくったりとか、いろんな商品をつくっているんです。これもオリーブオイルつくって、ドレッシングにしたら売れるわけじゃないんです。例えばタマネギ農家さんがタマネギドレッシング、ニンジン農家はニンジンドレッシングをつくりますが、そういう市場の中に持っていくので、そこでオリーブオイルが入ってるから買ってくれるというところまで、ちゃんとPRして付加価値を発信しないと、非常に難しいんです。もう農家さんは、何かつくったら売れると、みんな思っていますが、絶対そんなことはなくて、お土産物に、例えば300円、400円のドレッシングが並んで、国産のオリーブオイル使ったら、多分1,200円から1,500円はしてしまうんです。それをお土産で買ってくれるかというのは、静岡産タマネギの何とかというほうを買いますということで、6次産業化をするための材料っていうのは、たくさんあるんですけど、それをやっぱりどうやって売っていくかが大事で、もしかしたら、これはお土産物屋に売るものじゃなくて、すごくいいデパ地下で売る商品だったら、そこに置いてもらうような動きをしなきゃいけないとかです。
 あとは、うちの場合は全ての商品をいろんなところに、しっかり営業じゃないですけど、話をして、付加価値を見てもらっています。ちょうど地方創生が追い風になっているので、どこの高級売り場でも、地域のものでできたものということに対しては、非常に付加価値を見てくれるんです。なので、今のうちに一生懸命販路をつくっておいて、オリジナル品が出たら、そこにもっていきたいと思っています。オリーブだけじゃなくて、静岡県でつくっている麻機のレンコンとか、寿太郎みかんとか、いろんなのがあるじゃないですか。そういうものに全て付加価値をつけて、適正な売り場と適正な購入者のところに持っていくというのを、今までやれてるところがなかったので、今、それをうちがやっています。
 オリーブに関しては、石けんとか、ハンドクリームとか、こういう雑貨もいけます。あとは、絞りカスとかというのは、肥料になったりとかしています。うちでも、実はペットフードをつくりまして、これは限定品で、うちのお客さんだけに売れる商品にしてあるんですけど、小型犬のアレルギーが出ないというペットフードをつくりまして、サラダ油のかわりにオリーブを使うとかしてます。これって、ペット飼っていない人には、もう全くわけのわからない世界で、200グラムで600円って、結構高いんですけど、ペットって自分の御主人よりも大事な人っていっぱいいるんです。何か、旦那さんにはその辺のものを食べさせとくんだけど、ペットにはすごいいいものを食べさせると。そういう層の人に、この商品説明すると、もう1ケースください、もう1箱くださいとかになります。だから、やっぱり売り先を間違って、これをスーパーで売ったって誰も買ってくれないと思うので、やっぱりどこにニーズがあるかというのを、ちゃんと捉えながら商品開発をしています。
 ちなみに、これはうちの株主の田丸屋さんと一緒につくった商品なんですけど、今度の11月30日にふじのくに新商品セレクションで、金賞をいただきまして表彰式出るんです。これは食べるオリーブオイルで、食べるラー油があるんだったら、食べるオリーブオイルもやればいいなということでつくりました。静岡産はもちろんないです。まだできていないので、海外のオリーブオイルを使ったんですけど、でも静岡の土産にしたいと思ったので、静岡の梅ヶ島のワサビの茎漬けと用宗のシラス、それから、あとは静岡じゃないですけど、タマネギとか、ニンニクとか、タカノツメとか、アンチョビとか、あと焼津の節粉を入れて、ぐちゃぐちゃまぜて、お豆腐の上にかけて食べるような商品つくったんですけど、これはもう完全にお土産のルートなんです。お土産のルートに静岡のものをいろいろ入れていけると。
 あとは、これはシイタケのオイル漬けです。実は、中部農林事務所から講演を頼まれて、林業のほうも非常に今ちょっと大変だということで、どうも話を聞いてたら、原木シイタケを皆さん持ってるんです。原木シイタケっていっても、例えば宮崎とか、大分とかって、宮崎と大分の原木シイタケっていうだけで、売れていくんですけど、静岡の梅ヶ島の原木シイタケですと、世の中に出したって、何それっていうことで、みんなわからないんです。でも、すごい肉厚のいいものをつくっていて、おいしいんです。だったら、自分たちで梅ヶ島のシイタケをプランニングしましょうということで、これがオリーブオイル専門店のオイル漬けということで、うちとシイタケ農家さんとコラボをしてつくったんです。やはり今、買う人たちって物語もやっぱり求めるので、ただ、シイタケ漬けが売ってても買ってくれないんですけど、何か梅ヶ島のシイタケがいいよっていうことをPRしてる会社があって、真面目につくっている農家さんがあって、静岡土産にしようというところまで、プレスリリースのときには、それを書いて出したんですけど、平成28年9月26日付の日本経済新聞の全国版で紹介されました。うちで売り込んでないんですけど、日経新聞さんが来てくれておもしろいねということで、御当地ニューフェイスというコーナーで取り上げてくれました。
 今、これは非常に人気の商品になってきて、きょうも農業ビジネスっていう雑誌社から取材があったりとか、お土産なんとかっていうサイトから取材が来たりとかしています。発信しなかったら目に触れてもらえないので、いろんな加工品を農家さんがつくって、そこからやっぱり発信をしていくと。発信する係の人が農家さんと一緒にいないと、よその会社にいるうちは、ここばかりもうかって、農家さんは、原料供給だけになってしまうので、うまくいかないと。こういう形でいろんな地域の農家さんたちとコラボレーションしながら、いずれは、静岡産のオリーブオイルを入れていく。そうすると、例えば静岡でオリーブオイルをつくっている、うちの直営ではなくって、一緒にやっている農家さんと、こっちの農家さんとを組み合わせをしてあげて、コラボレーションしてあげて、それを一緒に私たちが発信して売っていくということができるので、もっと静岡って、食の都って言われて、海産物でも、農産物でも、非常にレベルが高いのに、何か負けてるんです。山形イタリアンとか、山形フレンチとかって、要はシェフとか、まちおこしに必死になってやっている人たちが上手にプランニングしていて、食材なんか大してないのに、東北とか、九州のほうって、いろいろつくっています。でも、静岡はこれだけ食材があって、日本一の品目も持っているのに、何かいまいち弱いというのがあって、何とかそういうものをうまくPRしたいなと思っています。
 農業なので、やっていくには、この地域の農家さんたちと、行政、地元の企業、JAの力が必要です。以前はちょっとJAさんに嫌われていたんですけど、ちょっと仲よくもなってきているんです。農業に関しては、JAさんの集荷の力ってすごいんです。何となく、今、JAさんって悪者みたいにされてる部分がありますけど、農家さんというのは、まだまだJAさん頼ってますし、JAの職員さんたちって、地元の農業のことをすごく考えているんです。
 例えば、さっきの東豊田の池田の農家さんたちのところは、JAががっつり入ってるんです。JA静岡として入ってるわけじゃなくて、6次産業化ではJAはもともとライバルになっちゃうので、組織として入ってるわけではないんですけど、地元の支店の営農関係の職員の方とかが、みんな入ってきて一緒にやっています。先に既成事実をつくって、民間企業とJAと農家と、何か新しいものをつくっていけば、静岡発でJAの新しいモデルができるよねっていうようなことで、今、それをやっています。最終的には、多分、農業に関係する人たちが、みんなでどこか1つの収益を上げるんじゃなくて、全員でちょっとずつ底上げをしていくという仕組みをつくらないと、やっぱり農業全体が盛り上がっていかないので、うちはこれをとにかく目指します。
 耕作放棄地の解消と農家の後継者の問題と、弱い人たちの雇用と、あとは加工品をつくって売っていくっていうことで、農業から産業に変えるということです。
 それとやっぱり観光資源。小豆島って、あんな小さい島で収穫シーズンって、物すごい人来るんです。オリーブって女の人のものなので、どっちかっていうと、収穫をして絞って、そのまま近くのレストランで食べるというようなことができていくと、非常に人を集められるというのがあって、観光資源にするには、観光資源になる場所でやらないといけないんです。なので、私たちが一緒に取り組んでいる農家さんたちは、山のこんなようなところだと、やっぱり人は来ないので、いいものをつくって高く売る農業をやる場所が大事だと言ってます。例えば、日本平だとか、駿河湾沼津サービスエリアとか、新東名のあの周辺でも、今、実は法人化を考えていてやっているんです。そこに関しては、もう本当に駿河湾を一望できるので、そこでやりましょうということです。そこはもう観光資源化を目指す場所、農業に特化する場所です。
 それから、弱い人たちの雇用の場にしていくということで、それぞれのエリアごとにきちっと目標を決めてやっています。これは去年のものなんですけど、ことしのものも、もうできまして、2016年の11月2日に収穫と搾油をしました。ただ、きょうも持ってきたかったんですけど、去年からの予約でもう完売をしてしまいました。完売ってそんな大した量ができてないんですけど、去年は、実はこれ50本しかできてないんです。1年目は、もう実なんてほとんどできていないので、もともとやっていたオリーブ農家さんの実と、ちょっとできた実を合わせて、それでも静岡産のものも入るので、何かそんなような商品をつくったんです。何でやったかというと、世の中の人は、こういう事業をやりたいといっても物を見ないと信用してくれないんです。実際に、静岡でオリーブオイルができて、オリーブオイルが売れましたっていうのを、うちの店に並べて、6次産業化になってますよっていうのを見せないと、みんな協力しようというのが出てこないのです。もう経費のほうが多かったんですけど、去年もつくりました。伊豆急さんは結構大規模に今やっています。伊豆急さんはことし絞らなかったんです。結構実はできてたんです。何でかというと、やっぱりコストのほうがかかっちゃって、ゼロにはならないですけど、ちょっとしか利益が出ないんで、企業なんでやらないんです。だけど、うちはことしもそんな利益は出ないですけども、とりあえず絞って、世の中に出します。そうすると、やっぱりそれを見た人たちが興味を持って、オリーブで一緒に何か盛り上げたいよっていう人も出てきたり、オリーブを使ったこういう商品をつくれる農家さんたちが、一緒にコラボレーションしたいよという話ができたりとかしています。
 あとは、静岡のイチジク農家さんたちも、私たちのグループの中にいるんですけど、イチジクって、朝とって、もう次の日の夕方になると、何かだめになっているんです。どうするんですかっていうと、捨てちゃうんです。ジャムにして売ってる方もいるんですけど、面倒くさいので捨ててしまうと。なので、それをうちが適正な価格よりもちょっと高いぐらいで買い取って、ジャムにします。小さい工房を持っているもんですから、そこでジャムにしたんですけど、1個1,000円で売ったんです。このぐらいのジャムって、農家さんがつくると市場とかで300円とかで売ってるものなんですけど、1,000円で売るには1,000円の理由をつけなきゃいけない。1,000円の理由は、この農家さんって、すごくちゃんとイチジクつくっているんです。そのイチジクも物すごくおいしいんです。何か物すごくおいしいイチジクをつくっている農家さんと、あと使い方もパンに塗るとかというんだと、ちょっと何か弱いので、高級クラブに行くと、クラッカーにクリームチーズ載せて、ジャム載せて出てくるんです。そこにちょっとオリーブオイルたらす。オリーブオイルは余り関係ないんですけど、オリーブオイルを使わないと、うちの店で売る意味がなくなってしまうので、こういう使い方をします。名前もジャムじゃなくて、何とかのコンフィチュールにします。コンフィチュールって聞いた途端、なんか、特に男性の方はもう意味わからなくなっちゃっても、何かすごくいいものだねみたいに買っていくんです。それで、家に帰って奥さんにほめられるんです。あんたいいの買ってきたよね、いつもろくなの買ってこないのに、何かセンスいいの買ってきたねみたいな話で。そうやってうちのお客さんというのは、口コミをしてくれて、これ持っていくと喜ばれるよと、これ持っていくと飲み屋で物すごいうけがよかったよとか、言ってくれます。
 そうすると、農家さんたちのつくったものがちゃんとよみがえってくると、安心して生産ができると。次の年にもう売れなかったから、減らそうとか、もうやらないっていうふうにならなくていいので。これブルーベリーでも、カシスでも、イチゴでも、全部同じことができると思うんです。どこで、誰に売れるかということが、しっかりできて、それとしっかり発信ができていればいいです。
 ちなみに、4月30日に、これはうちも全くPRしたわけじゃないんですけど、満点青空レストランというテレビ番組がありました。静岡にお取り寄せがないのでということで、何かCREA FARMさんで、このワサビの商品を紹介してほしいと言われて、番組に出ました。私も番組に出たくなかったんですけど、売らなきゃいけないと、できたばっかりだったので、これはやっぱり世の中に広めたいと思って頑張って出て、これを使って料理までつくったんです。この番組に出た瞬間に、うちのネットショップがパンクしまして、田丸屋さんの在庫も一気になくなってしまいました。結局、こうやってメディアをうまく使って、商品というのはブレイクしていくものなんです。これに出たことで、Viviという若い女の子たちの雑誌にも取り上げられたりとかしました。あっちこっちで取り上げられるんですけど、何か物を売っていくということは、農家さんたちももちろん協力してるものなんですけど、問屋さんに落としてスーパーで売ってもらうとか、流通ってすごい複雑になっていて、例えばどこどこのスーパーに入れたいって言っても、バイヤーさんに入れてもらえなかったりするんです。この流通でも、自分たちの新しい流通モデルをつくらないとだめで、既存の流通に入れてるうちは、農家さんたちが全然うまみないなっていうこともあって、ここも今、自分たちの課題です。新しい何か直販のモデルで、ネット通販であったり、ネット通販以外のものであったりです。もしかしたら、今、例えばいろんなところでアンテナショップをつくられたり、各地の自治体さんがいろんなプロモーションをしてるんですけど、何かプロモーションの矛先がちょっと違うんじゃないかなって思うことが幾つかあるんです。あれだけの予算があって、売り場をつくれるんであったら、もうちょっとターゲットを明確にして、どこに場所を出すのか、どこに売るのか、誰に売るのかというのを、もう少し実務レベルでしっかり仕組みがつくれれば、静岡のアンテナショップとかっていうのも、もっとおもしろく売れてくるのかなと思うんです。人に見られて、価値を見られなかったら、どんなにいいものをつくってもだめだと思っています。
 農家さんは、いいものつくったら売れると思っていますが、いいものつくっても売れるわけじゃなくて、価値がわかる人に伝えないとできないです。なので、農業活性化の一番大事な部分は、売る場所、売る力をやっぱりつけるということかなというふうに思っています。
 今、ことしで5ヘクタールで2,000本ぐらい植えてるんですけども、来年、まだ正式に発表にはなってないんですけども、志太地区のある場所で5ヘクタールが確保できそうなもんですから、そこに2,000本ぐらい植えていくと、合計で来年5,000本ぐらいになります。農家さんたちみんな集まって一緒にやるんですけども、静岡産のオリーブオイルとして、1つブランドがつくれるぐらいまでの規模化はできてきてるなというふうに思っています。
 例えば、実際に別のところでやっている農家さんたちも、やっぱり販売のことを考えたときに、自分たちで搾油機を買ってから売って、すごいコストかかるんです。なので、オリーブとか、果樹に関しては、ほかの果樹もそうなのかもしれないんですけど、やっぱり人はたくさん集まって、販路モデルをしっかりつくって、自分の顔がしっかり見えていくような売り方で、みんなでやっていくのには、どういう形がいいのかっていうのを、今、一生懸命考えてます。最初は、私の会社っていうのは、自分でオリーブをつくって、売って、6次産業化やってっていうことを目標にしてたんですけど、今はどっちかっていうと、もう黒子になって、何とか自分たちとかかわった農家さんたちが、農業がおもしろいと、それを見て移住してきた人が農業やりたいとか、若い人たちは、農業って産業だなっていうふうに思ってもらって、新規でやってもらうとか、そういう仕組みづくりのところに専念してます。実は、うちのCREA FARMという会社は、多分永遠に、物すごい収益を上げていくということはないんです。だけど、一緒にやっている農家さんたちは、すごく収益上がっていく仕組みをつくっていくのが必要です。こういう会社って、今までなかったので、入ってる人たちはほぼ無報酬でやっています。私も含めて、うちの取締役も農業に専念している人以外は、ほぼ無報酬でやっていて、地域のことを考えながら、次の世代にちゃんと残せるものをつくっていくっていう企業の役割を考えています。自分の企業ばかりもうかるんじゃなくて、結局、地域をよくして、地域をよくすれば、人口の流出もとめられて、人も入ってきて、新しい産業が生まれてということを、やっぱりやらなきゃいけないかなと思っています。いわゆるソーシャルベンチャー的な性質をもって、うちの会社はやっています。うちの会社は、たまたま農業なんですけど、医療、介護などいろんな分野で、目立たないですけど、社会をよくしようっていうような人たちが入って、役割をもってやっている会社もあります。うちの会社も、オリーブ売ってる会社でしょうとか、オリーブつくってる会社でしょうとか、加工品を売ってる会社だよねっていうふうに言われるんですけど、本当に、もっと農業の仕組みを変えていこうと考えています。農業の仕組みを変えるには、課題として、入口の部分で、困った農地を取得したりとか、農地を借りることができなかったりとか、農地の情報が分散してたりとか、もっと言えば、県と市でばらばらに農業の政策があって、課がわかれてて、横がつながってないとか、いろいろあります。本当に横をつなげてもらわないと、効率よく改革していくって難しいんです。横がつながってないから、農地のことはここ、マーケティングのことはここ、何か土壌のことはここっていうふうに、たらいまわしになるということがあります。県と市がそれぞれそういうふうな状態になっているので、何となくその仕組みを変えていかなきゃいけないのと思います。
 それと、やっぱり活性化するんだったら、出口をしっかり整えて、出口支援をやっているところにお金をかけるとかが必要です。うちの会社に支援くださいっていう意味ではなくて、やっぱり何にお金をかけるかってことです。所得保障するようなお金のかけ方してるうちは、いつまでも農業っておもしろくないんです。所得がふえてくための仕組みをつくっているようなところに、しっかり人と物と資金が入ってくような仕組みをつくるといいのかなというふうに思っています。
 私たちも最初からこういう事業になってきてるんではなくて、現状と課題の認識というか、農業っていろんな可能性あるなっていうことで、こことここを変えていけば、もっと変わるなっていうことです。あと、私がきょうもこうやって先生方に御報告できるようになってるんですけど、農家さんたちは、何で農業がうまくいかないのかっていうのの説明が、多分うまくできないんです。なので、そういう代弁も自分が県内各地でやっています。最初は静岡市だけだったんですけど、今は、伊豆から掛川までやってます。なので、そういう代弁をして、仕組みをつくることに力を使っていきたいなというふうに思っています。
 たまたまうちはオリーブをやってるんですけど、そんなにうまい生産物ではないので、長いスパンで、15年とか、20年とか、30年考えて、オリーブの産地化っていうのをやらないといけないんです。トルコでは、孫のために木を植えるんです。みんな、孫が生活に困らないように、つまり、40年後、50年後の人たちのために木を植えてるんです。なので、私たちの仕事も、今いる農家さんたちの所得を上げることはもちろん前提なんですけど、やっぱりここに新しい農業の文化を残していって、次の世代につなげていくということをやりましょうということで、農家さんたちもみんな共有できているんです。あしたのお金が欲しい人はうちの仲間には入ってきてないんです。地域をちゃんとつくろうと、自分たちがまずやってみて、チャレンジをしてみて、次の世代に残せて、地域をつくる、まちをつくるということをみんなで共有してやっている事業なので、なかなかぱっと晴れ晴れしく、ああもうかったねとかっていうことは、なかなか出づらいんですけど、恐らく、この結果はやっぱり10年後とか、15年後のまちにちゃんとつなげていけるかなと。後継者も実は入ってきてます。新規就農者の就職希望もたくさんあります。地味に進んでいるんですけど、こういう商品が出ると、時々に派手に見えるので、何かすごくいいねみたいに言われるんですけど、実際は、やっぱり農業インフラをしっかりつくって、農家さんたちの経営ができる農業、農家のグループをつくっていくということを目的に、今やっています。
 以上で説明を終わらせていただきます。

○佐野委員長
 西村さん、熱い語り口で、さまざまな魅力的な商品が見せていただきながらのお話、どうもありがとうございました。
 このあと、皆さんからの質疑に移りたいと思います。
 お時間も限られてますので、どうぞ一問一答で聞いていっていただければと思います。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp