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委員会会議録

委員会補足文書

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平成23年11月富士山静岡空港活性化特別委員会
参考人の意見陳述 日本銀行 静岡支店 支店長 秋山修氏 【 意見陳述 】 発言日: 11/25/2011 会派名:


○秋山修氏
 秋山でございます。本日はこういう機会を与えていただきまして、本当にどうもありがとうございました。それでは申しわけございません。座って説明させていただきます。
 それでは初めに、私ども、なぜこの場に呼んでいただいたのかと言いますと、恐らくこの資料の前半部分に富士山静岡空港の現状と課題ということで、ことしの3月8日に公表いたしましたペーパーがございまして、こういうものを出している関係で意見を述べよということになったのかなというふうに思っております。それでなぜ日銀がというところも、御疑問もおありかもしれませんので、私どものやっていることと、こういうペーパーの位置づけというのを最初に申し上げておきたいと思います。
 我々は中央銀行ですから金融政策は東京で一括してやっているわけですけれども、その前提として各地域の経済の状況というのを各支店で調査をいたしまして本部に集めて、それを元に金融政策をするという意味で、各地域の経済調査というのを我々の通常の業務としてやっております。その結果を各地域に対して情報発信をしていくというのが我々の通常の業務なわけですが、通常は毎月の動きであるとか、四半期の動きという、そういう定点観測が多いんですけれども、折に触れてその地域経済にとって重要な問題、あるいはちょっと掘り下げて情報発信をしたほうがいいんではないかと思うものについてはこういった形で、個別の問題についてペーパーを出して情報発信をするという、そういうようなこともやっております。ということで、富士山静岡空港について、地域経済にとっても非常に大きな影響がある、あるいは今後どう使っていくのかということが静岡県の経済にとっても大きな意味を持つだろうということでこういうものをつくらせていただいたということであります。ただ、我々通常経済全般を見ておりますので、例えば空港であるとか、航空行政であるとか、そういったところについては必ずしも詳しくありませんで、むしろ素人に近いようなところもございますので、そういったところの事実認識とか、そういうところについては十分押さえていない可能性もございますので、そこら辺は御了承をいただいて、空港という切り口から考えたその地域経済の活性化についてどういう視点があるんだろうかというようなことでお話をさせていただければというふうに思います。
 本日の説明ですが、この今申しましたペーパー、前半部分で説明をいたしまして、その後、その後ろの――このプロジェクターのほうは後半の部分の資料になりますが――後半のところで最近の静岡県の経済の状況であるとか、もうちょっと基本的な経済の特色みたいなのを申し上げて、そういうところからこの空港をどういうふうに使っていくのが静岡県にとってプラスなのかということを、そこら辺ですと私の私見ということになってしまいますが、申し上げられればというふうに思っております。
 まず公表したペーパーの概要ですけれども、このペーパーを公表いたしましたのが3月8日ですので、まさに東日本大震災の数日前、3月11日の本当に数日前に公表をいたしました。ということですので、こちらの状況というのは、大震災後この空港の利用状況等についても大きな変化があったわけですけれども、それを織り込む前のお話ということになります。ただその基本的な構造的な問題とか、そういったところは今でも妥当している部分が多いのかなということですので、そういう部分をまず最初に御説明しようと思います。
 最初に1ページで要旨というところがありますけれども、ここで全体のこの立場というのを書いているんですが、その後半の2つ目の丸というところで、我々としては富士山静岡空港を交通ネットワークにおける重要なインフラとして育成し、静岡県経済の活性化につなげていくことが県にとっての永続的な課題だというような認識を持っております。そのためには、その2行ぐらい下ですが、空港を現に利用している、あるいは利用する可能性のある顧客のニーズを改めて明確化した上で、ハード面、ソフト面、両面からいろんな施策を打っていく必要があるだろうということで、あくまでもどういうニーズがあるのかということがまず先決ではないかということを申し上げております。さらにその利用促進をしてく上では、最後のほうになりますが、ビジネス、あるいは観光の目的地としての静岡県の魅力をこれまで以上に強くアピールすると。これは顧客のニーズを把握すると同時に新たなニーズをつくり出していくためには、そういう来てもらうためのアピールというものが、空港のインフラ整備という外の話ではありますけれども、そういうのを一緒にしていかなくてはいけないだろうというようなことを申し上げております。
 次に中身に入っていくわけですが、今後の課題として幾つか書いてあるところがありますので、10ページ以降、今後の課題についてというのが書かれておりますので、ここら辺、10ページから次御説明させていただこうと思います。
 10ページの3.今後の課題についてということで、このページの下のほうの@県内利用者にとっての空港。それから右のほうに、国内の他県の利用者、それから海外の利用者、それぞれについてこの空港がどういう意味を持っているかということを書いてありまして、10ページの下のほうからの、県内の利用者にとってというところなんですが、11ページの初めのほうに、飛行機を使わなければ移動時間に4時間以上を要する札幌、福岡、那覇線の搭乗率が高いということで、やはり県内利用者にとっては遠距離に対して使う空港であると。当然といえば当然ですが、そういうことになります。それから貨物につきましては、これは国内向けですと、なかなかほかの物流のツールと競合の中で勝っていくということがなかなか厳しい可能性があると。この点、海外との関係で考えていく余地はあるのではないかということで、その@の最後のほうに、荷主にとって海上輸送に比べて輸送時間を大幅に短縮できるメリットがあるということなので、高額商品、あるいは時限性の高い商品についてはこの空港が利用される可能性は十分にあるということで、海外向けの貨物というのはひとつ可能性があるのではないかという指摘をしております。
 それから次にAの国内他都道府県の利用者にとっての空港というのがありますが、ここは他都道府県といっても、近隣の県についてはなかなか、近隣の県の人がこの空港を使ってどっかに飛んでいくというのは、なかなかアクセスの問題もあって、実際上今の状況では難しいのかなと。むしろ遠隔県の利用者が、どこかから富士山静岡空港で県内を目的として来訪すると。こういうことは十分考えられるんでしょうと。そういう意味では、国内の利用者からすると、静岡県への空からの玄関口というのが1つの機能であるという、そういう言い方をしております。
 次のページにいきまして、12ページにまたそこから幾つか書いてありますが、そこの2段落目の以上からというところに多少書いておりますけれども、遠隔の県から静岡県を目指してくるという人が多いということは、まさに静岡県の魅力をいかにアピールするか。あるいは富士山静岡空港の認知度をいかに向上させるかという、そこで利用度を上げることができます。静岡県に魅力を感じている人でも、必ずしも富士山静岡空港を知らない人もまだ結構いると。それから静岡県の観光資源というものについて、まだ知識の少ない人がいると。こういうところをうまく空港がありますよということで、特に今路線を就航している福岡であるとか、札幌であるとか、沖縄であるとか、そういうところの人たちにどれだけ浸透させられるかというのがポイントになるということかと思います。
 それからBで、海外の利用者にとっての空港ということなんですけれども、外国人客のうち7割が首都圏方面に行こうとしていると。必ずしも、外国から来た人は静岡を目的にしているのではなくて、首都圏の入り口として静岡空港を使っているという、こういうような現状があるということであります。まさに首都圏への玄関口、ゲートウエイということなわけですけれども、ここら辺は最近日本企業によるアジア各国への拠点進出が増加をしていると。ということですので、そういうところと首都圏を初めとする国内との行き来というのはいろいろとふえてくるだろうと。そういうところでの玄関口として、さらに首都圏の空港からは直接の足がないところをうまく静岡とつないでいくとかというようなことによってニーズを獲得していく余地はあるのではないかということをここでは申し上げています。ただそういう点においても、韓国や中国での静岡の知名度というのは必ずしも高くないと。静岡空港の認知度というのも必ずしも高くないということですから、ここら辺をどういうふうに上げていくのかというのも課題の1つであるということをここら辺では書かせていただいております。
 以上が利用者の属性別に見たそれぞれの留意点ということなんですが、13ページ以降で、そのほかの幾つかの活性化のポイントというのを書かせていただいておりまして、13ページの(2)空港の競争力強化というところでは、1つ、@が「速さ」ということで、これは非常にコンパクトな空港であるということで、そのいろいろな手続の迅速化、短縮化、これが1つのメリットになるでしょうと。こういうところを売りにしていくということがあり得るんではないかということを申し上げております。
 それから14ページの下のほうなんですが、「安さ」という意味では格安航空というんですか、LCC、こういったものを就航させるというのも1つの手ですということを指摘しております。ただこの場合に着陸料の大幅割引とか、そういったものが収益性にどう影響するのかといった問題もあると思いますので、そこを十分考慮の上ということになると思います。
 それからCのところで「空港インフラ」というのが書いてありますが、ここでは特に航空貨物の拡大に向けて、貨物ターミナルであるとか、冷蔵設備など専用倉庫の新設。こういうインフラを整備することによって貨物の取り扱いもふえるだろうという話をしております。ただ、需要を無視して物だけつくってもこれは使われない可能性がありますので、まずはその現状の施設を前提として、航空輸送に適した高付加価値製品の輸出入の需要というのをまずはやっていって、その上でその実績を踏まえて拡大をしていくという、着実な広げ方というのが必要なのかなという、そういうことを書かせていただいております。
 ということで、その後16、17ページあたりに、いろいろとアイデアとしてのいろいろな取り組みというのは書いてありますけれども、ここら辺はその費用対効果はどうなのかというところも非常にありますので、個々の御説明は省略をさせていただいて、やはり大きなところでは、先ほど申し上げましたようなそういう利用者の属性、それぞれのニーズというものをどういうふうに捕まえて、そこからそれに応じてそのニーズを膨らませていくような対応が必要なのではないかというようなことをこちらで書かせていただいております。
 以上がこの3月に公表いたしました資料の本当の概要でありまして、震災後の利用状況、一時期かなり悪くなったということも伺っておりますが、構造的な話としては、今のような指摘は引き続き変わらない問題としてあるのかなというふうに思っております。
 これが前半部分でありますけれども、それではちょっと観点を変えまして、ここからは静岡県の現在の経済状況、あるいは構造的な特徴というものを踏まえて空港にどういうことを期待すべきなのかというようなことを、ちょっと思いつくところを申し上げたいなというふうに思います。
 最初に静岡県の経済動向ですけれども、今県内の景気というのが、空港もそうなんですが、経済全体に震災以降非常に大きく落ち込みまして、ただそれがその後、県内の場合には直接の被災というよりは、サプライチェーン問題といいますか、工場が被災地から部品が供給されなくなって生産ができなくなりましたと、その影響を受けて経済が落ち込みましたというのが一時的にありましたけれども、それはほぼ解消しつつあるというところで、県内経済は持ち直しているというふうに見ております。ただこの「もっとも」というところで書かせていただいているんですが、最近海外経済に対する不確実性、あるいは為替の変動というので製造業を中心に不透明感が一段と強まっているということであります。やはり全国、全体ということに比べて、静岡県の場合には輸出産業というのがウェートが大きくなっておりますので、しかも車とか、そういう非常にサプライチェーンの長い複雑なそういう産業が静岡県経済を引っ張っているところがありますので、この部材調達難の影響というのも大きかったですし、この海外経済、あるいは為替の影響というのも大きく出ていると、というのが現状であります。ただ足元で言いますと持ち直しているところで、先行きには懸念があるんですが、足元はそれなりに戻ってきておりまして、企業の生産などはサプライチェーン問題が解消する中で、自動車関連を中心に増加をしているという状況です。それから一方個人の動きとしては、全体としては持ち直しに向けた動きがうかがわれるというところであります。ただここには書いてありませんけども、消費といっても観光の関係で、伊豆の観光とか、ここら辺については一時期に比べればよくなってきましたけれども、まだ完全には戻っていなくて、南に行くほど苦しいとか、ということもうかがっております。ここら辺はまだ震災の影響が残っているということかと思います。
 それから雇用・所得環境については、震災後に強まった厳しさがやや和らいできているということで、これは次の2ページを見ていただきますと、震災の影響というとこだけ見ていただきましても、カクンと春ごろ有効求人倍率が落ちていますが――これが震災の影響ですけれども――やはり全国に比べてその震災の影響が雇用面にも強く出てきているというところであります。ここら辺は、やはり先ほどサプライチェーン問題が県内の経済に大きく影響したというふうに申しましたけれども、やはりそれが雇用面にも大きく出ておりまして、全国平均よりもそういうサプライチェーン問題が強く出て、それが雇用面にまで大きく影響したと。ただし、その後はやや回復をしているというところであります。
 これをちょっと前のほうから見てみますと、この2009年、ここら辺でリーマンショックによる大きな景気の落ち込みというのがあったんですが、それ以前は静岡の有効求人倍率は全国より高かったんですけれども、リーマンショック後の持ち直しの過程ではこれがちょっと逆転をいたしまして、全国に比べて低くなっていると。ここら辺は地域別に見てみますと、西部の製造業が昔は静岡全体を引き上げていたんですが、今は西部の製造業というのは東・中・西の中で一番有効求人倍率が低くなっておりまして、この西部の落差というのがこの全国に比較した静岡の位置の変化というのをもたらしているというふうに見ております。ここら辺は、やはり製造業というのをどういうふうに活性化していくのかというのがひとつ静岡において大きなポイントになっていくということを示しているというふうに思います。
 その先ですが、3ページなんですけども、今度は景気の指標の1つであるんですが、日銀短観というアンケート調査を私どもでさせていただいておりまして、これの業況判断というのは、その各企業さんに対して、御社の業況はいいですか、そうでもないですか、悪いですかという3択の質問をいたしまして、いいと答えた企業の割合から悪いと答えた企業の割合を引くという形で、この「D.I.」というのができております。ということですので、上に行けば行くほど業況がいいという企業が多くて、マイナスが大きくなればなるほど悪いという企業が多いということなんですが、これで見てみましても、やはり先ほどの有効求人倍率の動きと似たような特徴がありまして、このリーマンショック前の時期は全国に比べて静岡の業況判断というのはよかったと。それがリーマンショックのときに落ち込んで、その後は逆転して静岡のほうが悪くなっていると。しかもこの直近の震災の影響による落ち込みというのは、全国に比べて静岡が大きいという、こんな特色が出ております。
 これをもうひとつちょっと分解をしまして、製造業と非製造業というので分けてみますと、製造業のほうは、やはりそのリーマンショックのときの落ち込みというのは全国に比べてかなり大きかったというのがより鮮明にあらわれているということと、やはりリーマンショックの前には静岡のほうがよかったんですが、製造業の場合には、ほぼリーマンショック後は全国と静岡と同じぐらいというふうになっていますが、このリーマンショック前の優位性というのが失われているというのが今の状況であります。
 それから非製造業につきましては、このリーマンショック前はやはり静岡のほうがよかったんですが、リーマンショック後はかなりはっきりと静岡のほうが悪くなっておりまして、ここら辺はいろんな理由が考えられるんですが、1つはやはり伊豆あたりの観光、宿泊関係の業界というのが、全国に比べて静岡県のそういった業種がやや低迷をしているという、こんな差が1つの要因かというふうに見ております。
 以上、最近の動きを見てきたんですが、これから言えますことは、やはり製造業の動きというのが静岡の場合に非常にウェートが大きくなっておりまして、ここら辺を新しい空港というインフラでどういうふうに支えられるのかというのが1つの課題になってくるんだろうというふうに思います。それから観光についても、先ほどのこういったところを見ますと、最近なかなか厳しいということですから、これについてもやはり空港との関係でどういうことが考えられるのかということは大きな課題なのかなというところであります。
 それから次に、今度はもうちょっと構造的な話なんですが、次の5ページを見ていただきますと、これ静岡県の経済指標で、ここら辺はよくごらんになったこともあるものかと思いますが、大体人口も県内総生産も全国の3%、10位ぐらいというのがその位置かなということなんですが、その中でやはり製造業、この一番下の製造品出荷額というのがありまして、これは全国2位になっておりまして、ここら辺はやはりかなり強いと。静岡県の強みということであります。ですから、やはりこの強みをさらにどう生かしていくのかというのが1つのポイントなのかなと。
 それからその次のページでは製造業以外のものが並んでいますが、農業算出額、これが2.5%、16位ですから、3%、10位というのよりは低いんですが、静岡の場合にはお米というのが余りありませんので、それを除いてみたときに、この後で出てきますけれども、個別に見ると全国1位を誇っているようなものも結構あるということですので、これも全体の数字としては小さいんですが、個々のものとしてはいろいろなものがあるということです。それから林業も2.7%、11位ですから、製造業の盛んなところとしては、これは健闘していると。その下の漁業関係なんかは4%、6位ですから、これだけ海岸線の広いところでありますので、全国の中でも有数の漁業県であると。そうしたものを支えているのが、この下から2番目の物流。ここでは例として自動車の貨物の輸送トン数で、3.7%、9位ということなんですが、やはり物流は大都市に集中する傾向がありますので、その中で3.7%、9位というのはかなり健闘をしているというところだと思います。
 それから最後に宿泊客数。これは観光の関係ですが、これは全国5位ということですので、これも国内では冠たる観光地ということですので、それぞれにいろいろな特徴を持って静岡県を支えているというところであります。
 次が7ページで、これは製造業で、分野別で全国1位、県別に見て全国1位になっているものをピックアップしまして、これも県のホームページに出ておりますものからその出荷額ベースで1位になっているものを列挙したんですが、これざっと見ていただきますと、マグロの缶詰から始まってお茶関係、それから化粧品、楽器、そしてプラモデル、それから紙、それから二輪関係とかさまざまなものが全国1位ということで、先ほど製造品出荷額全国2位というお話をいたしましたが、これだけのものが全国に冠たる製品として、実際に今生み出されているということです。
 それから次の8ページが、今度は農林水産の関係ですけれども、全体の数字としてはそれほど大きくないという話ではありましたが、お茶があり、ミカンがあり、メロンがありということでいろんな1位のものがありますし、先ほどの漁業関係というのも非常にいろんな、カツオ、サクラエビとか、いろいろなものがあるということで、こうしたものの中にはまだまだこれを活用して、これそのものの魅力を浸透させていくということともに、これをどういうふうに加工していいものをつくっていくのかということもまだまだ余地があるんではないかなというふうに思います。
 1番下は先ほど宿泊客数全国5位と申しましたが、それがこういう顔ぶれで、大体静岡県5位、定位置になっておりまして、やはり伊豆という大きな観光地を持っている強みというのがあるということであります。
 ということで、結局ここから何を引き出すかということなんですが、製造業、それから農林水産、観光、いろいろな資源がありますので、これをどういうふうに空港と結びつけるのかというのは、それぞれいろんなことが考えられるでしょうということであります。まず製造業について言いますと、既にいろんなところに輸出をしている会社がたくさんありまして、静岡県の場合に、全国平均に比べると欧米向けの輸出が多いわけですけれども、今成長しているのはアジアですので、このアジア向けをどういうふうに拡充していくのかというところで、富士山静岡空港もアジア向け、韓国、中国向けというのがありますので、これはまだまだそんな大量のものを貨物で持っていくということは難しいとは思いますけれども、これをまずどういうところから始めて育てていくかと。あんまり大きくないものがいいということですので、やはり高付加価値のものでうまくアジアのニーズにマッチするようなものを輸出をしていくと。それを実績を積んで便数をふやして拡大することによって好循環をもたらしていくという方向は、ひとつ試行し得るのかなというふうに思います。例えば韓国向けなんかは既に電子部品とか自動車部品の輸出もあるという話もちょっと聞いたことがありますので、こうしたところをどういうふうに拡大していけるのかということは考えられるんではないかなというふうに思います。
 それから農林水産については、この地域資源をどういうふうに活用するかというのはやはり問題でありまして、これがうまく航空というルートに乗るまでの商品になるかどうかというところは私自身もよくわからないんですが、高付加価値の農水産物の輸出というのに使えないだろうかと。例えば中国の富裕層向けにとてもいい果物であるとか、そういうものであればかなり値段が出るということで、各地がそういうものを一生懸命つくろうという動きが今あります。そういうのが地元に空港があるということであればそれを利用して、そういうものを探していくということも十分可能なんではないかなと。ただその場合には生鮮品を輸出するときのいろんな検疫とか、手続面のまた違う面があると思いますので、そこら辺をどうクリアするのかという問題はあると思いますが、そうしたもの、それも素材とともに新しい加工品をどういうふうに輸出先のニーズに合わせてつくっていくかということの、そういう開発もセットで考えていくということはあり得るんじゃないかなというふうに思います。
 それから当然観光というのもあるわけですけれども、やはり先ほども言いましたとおり、観光ということになりますと迎える側としては遠隔地の県から、あるいは海外からということになりまして、そこら辺は現地の旅行社とか、そういったところとどれだけうまく連携をしてやっていけるかということかと思います。またその受け入れ側の、例えば伊豆というようなことを考えましても、今までのビジネスモデルというんでしょうか、首都圏からお客さんを受け入れて、しかもそれが会社の慰安旅行とか、割にそういうことを前提としているところが多いというふうに思いますが、そういうものを、インバウンド客をどうやって取り込むのかというのはもう既に非常に大きな意識にはなっていますけれども、もうちょっと静岡に入ってもらってうまく富士山を見て伊豆のほうで泊まってもらってというような、そういう具体的なそういうビジネスモデルの中で、それぞれの旅館がじゃあどういうサービスを提供しましょうというようなことを考えていく余地はあるのかなという感じがいたします。
 それからそれに関連しては、同じ宿泊でもビジネスのニーズというのもあると思っておりまして、最近よく海外の会社なんかは日本のリゾート地で缶詰になってしばらく会議をずっと、リゾート地のふだんとは違う、ゆったりとした環境の中でしばらく研修等会議をやって、それでまた帰っていくというような、そういうようなニーズというのも結構あるというふうに聞いています。そこら辺は、じゃあ静岡空港に入って、富士山のふもとでもいいですし、伊豆でもいいですし、そういうところでそういうビジネスのニーズを取り入れてまた帰ってもらうというような、そういうパッケージというのもあり得ると思いますので、そこら辺の、単に観光というだけではなくて、ビジネスにもつながるようなことは考えられるのかなというふうに思います。
 後は、これは空港の場合には空の物流――今物流という観点で話をしていますけれども――物流という意味では空の物流なわけですが、静岡県の場合にはやはり陸の物流である東名、これから新東名もできると。海の物流としても、清水、御前崎、田子の浦といったようなものがありまして、こういうさまざまな物流というのが選択肢としていろんな製品を、こういうものは空で、こういうものは陸でという選択肢を提供できるようになれば、それは非常に工場立地の上ではプラスということになりますので、まだまだ富士山静岡空港が大規模な輸出の拠点になるというところまでは時間がかかると思いますけれども、そういうものを育てていくことによってその物流の選択肢を広げていくと。それが製造業、どちらかというと、今、外に外にということではありますけれども、その中で国内では有数の工業立地地点であるというようなことをアピールすることは将来にわたって可能なんではないかなというふうに思います。
 そこら辺いろいろ言ってまいりましたけれども、すべて一朝一夕に行くような話ではないんですけれども、一つ一つにこれだけ静岡県のいろんな特色のあるものが既にあるわけですから、それをどういうふうに空港と結びつけていくか、あるいはほかの物流と結びつけていくかという観点で考えていくと、いろいろな道があるんではないかなというような感じがいたします。
 といったところで、私どものほうから見ますと、やっぱりこういう産業構造の中で空港をそれぞれ静岡県の強みを生かした形でさらに活用していただきたいなということを常日ごろ思っておりまして、そういう観点から一通り御説明をさせていただきました。私からの御説明は以上でございます。どうもありがとうございました。

○伊藤委員長
 ありがとうございました。
 以上で秋山様からの意見陳述が終わりましたけれども、委員の皆様方から御質問、御意見を賜ります。

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