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委員会会議録

委員会補足文書

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平成24年10月医療・福祉対策特別委員会
参考人の意見陳述 静岡県看護協会 会長 望月律子 氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/12/2012 会派名:


○望月律子氏
 御紹介いただきました静岡県看護協会長の望月でございます。きょうは貴重な機会をいただきましてありがとうございます。看護をめぐる問題も、本当に制度のことから、それからEPAの問題であるとか、本当に幅広い状況ですけれども、まずは、今雇用の質ということで、厚生労働省のほうもかなり看護師確保には力を入れてくださっておりますし、県のほうにも随分御支援をいただいております。そういう中で、どんなふうに不足しているのか、そこのところを紹介をさせていただきたいと思います。
 お手元にデータを出してございますが、ポイントは、パワーポイントにまとめてあります。このデータは、静岡県の人材養成数のデータと、そして静岡県看護協会の調査したデータを使って説明をさせていただきます。
 まず、最初のページでございますけれども、就業届というのを看護職員が2年に1回やっております。これが平成22年の一番新しい数です。静岡県の就業者の登録をした総数は3万5743人というのが平成22年の現数です。主な従事場所につきましては、ほとんど半数以上が病院に所属して仕事をしております。ただし、これは就業届ですので、働いていない看護職がどのぐらいの人数で、どうなっているのかにつきましては調査ができていないというのが、また1つの問題でもあります。そして全国的な動向からしましても、静岡県にしましても看護職の数はふえております。静岡県の対10万人の比率でいきますと、看護職につきましては、残念ながら全国38位という充足率が示されております。
 助産師につきましても、ほとんどが病院で働いておりまして、今問題になっております院内助産についても着々に準備を進めておりますが、助産所で活躍している助産師の8.6%につきましては、ほとんどが分娩は取り扱っておりません。産んだ後の育児指導とか、その辺に入っております。
そして、5年ごとに需給見通しというのを出しております。これは現状の各施設の意見と、それから見込み数も入れて出しておりますが、ここを見ますと、これが第6次で出されたものですけども、今、就業届でありましたとおり、平成22年度の実数との差は、わずかマイナス189人ですので、ほぼ数からいくと充足していると、このデータ上は出ております。ところが、今どんな状況になっているのかといいますと、実はここは育児休業者であるとか、そういう部分というのは――これから先の問題になるんですが――入ってないこと。それから平成18年に7対1入院基本料という診療報酬上の制度が新たに加わっております。そのことと看護職が働く場所の役割が非常に大きくなったということで、現場は、数はいるけれども……というふうな状況になっております。
 これが平成23年に出されました第7次の静岡県の看護職員の需給見通しでして、現在約1,500人の不足数というのが出ております。数から言いますと、大体中規模以上の病院ですと、1病棟での看護職の数が500人程度です。1,500人足りないということは、地域の中核病院の3つが成り立っていかない数を何とか成り立たせているというふうなデータです。
そして徐々に充足されてきておりますのは、これは順天堂の看護大学の卒業生が出てくること。それから再開しました駿河看護専門学校の卒業生が平成27年に出てくる。そして来年常葉大学が看護学部を開設するというふうなこともあります。そして、離職防止対策を入れていくということからの見込みで、平成27年でも、ほぼこのような状況で不足していくというデータでございます。
そして、その需給見通しの根拠となります実際の供給のところの内訳を見てみますと、まずは年度当初の就業者数というのが出てくるんですけれども、それと再就業の数、そして退職者の数を見越して供給の数を出しています。現場サイドで問題になりますのは、この再就業者を3,357人という風に見越したんですけれども、この人たちは、子育ても終わったとか、あるいは現場から離れておりましたので、現在、病院が最も求めている夜間医療の担い手であるとか、教育機関への就業であるとか不足している部署の補いにはならない、いわゆる非常勤で働くことを求める人たちが非常に多くありまして、中には夜勤もやるようになる看護師もおりますけれども、急性期医療の病院では、なかなか自信を持って働き切れないというふうな問題がございます。
 退職につきましては、これだけの数が退職しなければ、充足するというところに目をつけまして、今一体となって離職防止、働き続けられる環境づくりを進めているところです。
 ただ、この後説明を加えさせていただきますが、診療報酬上、患者7人に対して看護師が1人という、7対1という手厚い配置がございます。本来、看護師がいないのであれば、この手厚い配置の7対1のところはふえていないはずなんですけれども、実質的には7対1がふえております。ここが非常に現場の大変な状況を生み出しているところでもあると私どもは考えております。手厚い配置につきましては、診療報酬上も、そして私ども働く看護職につきましても、10人に対して1人、13人に対して1人という配置よりは、7人に対して1人という手厚い配置で看護職が働けたほうが非常に魅力があるということで、7対1のところは、新人の希望が多いところです。
 そして、これは従事者届の88%の地域別の看護職員数の動向ですけれども、正規職員は減っております。看護職全体では、非正規で働く看護職がふえて、正規で働く看護職が減っているというのが今の大きな流れになっています。一般的な企業の考え方ですと、非正規ではなくて正規に何とかなりたいというのが一般企業なんですが、看護職の場合は、正規採用という枠は夜勤がついてくる、そして土日とか、フルに交代制勤務で働くということが正規職員の条件にどうしてもなってくるものですから、むしろ採用側は非正規ではなく、正規で働いてほしいと思いますけれども、働く側が非正規のほうを希望してくるというふうな状況がございます。
 そして、次は正規職員に限っての入職と退職のデータです。静岡県内で180以上の病院がございますけれども、137の回答病院の例ですが、新卒の退職者は1年間の中で72人おりました。減ってきております。ただ問題は既卒キャリアの看護職がほかの病院に変わったりしたときの1年以内の退職者の定着が難しいというふうなのが読み取れるデータです。現在は不況の波がありますので、看護職の希望者というのは非常に多いんですが、この状況を見ますと、今後少子高齢社会に向かうときに、支え手よりは受け手のほうが多くなる時代ですので、それを考えても、やはりこの離職のところは何とかしていかなくてはいけないというふうな意識で、このデータを読んでおります。看護職には75歳まで働けというふうに、半分冗談で、半分以上本気ですけども、やっております。
 これが全体の離職率の推移でございます。ごらんのように、離職率はいろんな政策によって、全国的にも減少傾向です。新人につきましては、数年前に離職率が全国で14%というデータが出た年がございまして、そのことから、国と県の政策で予算立てをしまして、新人看護師研修制度を設けまして、そこで新人には手厚い指導をしております。その成果もありまして、全国平均は常勤が11%、新卒が9.7%ですが、静岡県は全国平均よりも下回っておりまして、正規職員は9.6%、そして新卒につきましても、全国平均よりは多少は少ない7%というふうな状況が出ております。
ただ、1年以内の早期離職につきましては、新人看護師よりは、既卒のキャリアの看護職のほうが離職率が上がったというのが、また1つの課題としてとらえております。グラフにしますと、このような形で、離職率は下がっております。東部、中部、西部ともこんな状況ですが、看護師分布の一番人数の多い西部地区が離職率がやはり低いデータがあるということと、それから手厚い配置と言われております7対1の病院のほうが、10対1の病院よりは離職率が低いというデータでございます。
 退職理由です。新人看護師を対象にした退職理由を調べて、その対策を考えようということですけれども、このような結果が出ておりまして、精神面のメンタルに関する離職が一番多いというデータです。そして、キャリアの看護師になりますと、少し様子が違ってきておりまして、ほかの職場への興味というのが上位を占めております。これは、ここは大変だからもうちょっと楽なところへというふうな思いがあったりとか、あるいは、やりたいことがあったので、それができる病院に移っていきたいとかというふうなキャリアアップを狙う者、あるいは働きながら自分に合った就業環境を望むとかというふうなことで、これが一番上位を占めておりました。
そのほか、結婚、転居というのがありまして、看護職は交代制勤務をやりますので、住居の近辺でしか就業しきれないというふうな状況がございます。ですから、静岡から例えば金谷方面に引っ越すという場合は、また働ける病院はどこにもありますので、結婚によって転居退職というふうなことになります。その他が意外と多いんですが、155の回答がありました。その他は、本当に個別の条件です。比較的ふえておりますのが、妊娠を望むために、不定期な生活環境の中ではなかなか妊娠しにくいというのがありまして、それを理由にやめる中堅の看護職があったり、夫が鬱病になったので、そばについていなくてはいけないとか、あるいは親の介護の状況であるとかというふうなことで、家族的な要因のところがかなりここに入っております。
 ここをまとめますと、新人看護職の主な退職理由は、健康上の理由、精神面、そして適性能力の不安というのがあります。4年制の大学を卒業してきたとしても、やはり今の高度医療の中では、すぐには働けないという状況の中で、頑張っていろんなことをするわけですけれども、最近は、患者さんの目も非常に厳しいものですから、うろうろしていると、非常に自分自身の自信のなさがあるとかというふうなことがあります。適性能力の不安、そして体が大変だというふうなことで、健康上の理由が上位3つのうちの2位までを占めました。既卒につきましては、今報告したとおりでございます。
 そして、静岡県のナースセンターにナースバンクというのがございまして、これは県の委託事業として、看護協会がハローワークのような無料職業紹介所というふうなことで、看護職を中心にした就業相談をやっているところです。今現在、そのナースバンクのほうに求めている求人数が6,739名、何とか人を欲しいというこれだけのニーズがあります。実際にどのぐらい応じ切れたかといいますと、平成23年度の就職者の就職状況は、常勤が190人、非常勤がやはり486人で、求人登録施設の需要には全く応じ切れていないというふうな状況になっております。
ただし、相談事業というのも、これも県の予算枠の中でやっておりますが、求職者の数、そして就職者は減っているんですけれども、パーセントで見ますと、紹介率は上がっております。これは、この相談員というのが一人一人の事情を聞きながら、こういう施設であなたはやれそうなので、どうですかというふうなことで、丁寧な指導をしている成果というふうに私どもは理解をしております。
本来は、ナースセンターがもっともっと機能していくといいのですが、それがなかなか機能できないというふうなことで、東海・北陸ブロックという看護協会の会がございまして、そこでそれぞれ協会長と、専務が情報交換をしております。その中で共通の問題が出てきました。1つには、どこの県もナースバンクへの登録者が減少傾向にあります。求人のほうは、やはり交代制勤務で働ける人というのを求めるんですが、就職を希望する人は、今まで働いていなかったので夜勤のないところをやっていきたいとかいうふうなことでミスマッチがやはり出てきております。
 それともう1つは、各施設が今非常に危機感を持っておりますので、各施設でホームページを非常に充実させたり、新聞広告を出したり、それから新人看護師のほとんどが奨学金を各病院、各自治体、そして県でも出しておりますので、そういうふうなことから登録者が減っているというふうなこと。
それから、これも大きな問題になっておりますけれども、今、派遣法で、医療職についても有料の職業紹介とか派遣というのが枠が外れておりますので、有料職業紹介所が非常に今ふえております。この対策についてですけれども、ここにつきましては、これは今インターネットを、例えばどこそこの病院を調べたいということでインターネットを開きますと、まず、有料職業紹介所の登録欄が出てくるような仕組みになっています。そして、そこで、その相談員が登録をした看護職と話をして、病院に仲介に入って紹介するわけですけれども、この紹介料が年俸の2割というのが今ほとんどの相場です。その年俸といいますのは、基本給のみではなく、見込みの時間外手当、そして夜勤手当、住居手当、それを全部含めての年収の2割ですので、大体5年経験ぐらいの看護職を紹介してもらうと、紹介業者には100万円程度の紹介料を払う仕組みになっております。そして、その紹介業者の紹介を受けた者が1か月以内でやめた場合の返還率はいくら、3か月でやめた場合は半分返しますよというふうなことになっております。ですので、きちんとしたルールがわかって登録する看護職はいいのですが、そうではなくて、そこの病院に登録したつもりが、ナースバンクに登録したつもりがそこに行ってしまったと。丁寧にその説明を受けてくればいいんですけれども、病院が面接をしましたときに、あなたを私どもが採用すると紹介業者に対して、これだけお支払いする仕組みなので、こちら側も厳しく面接しますよというと、えっという子が結構いるんです。
ですので、向こうも職業でやっておりますけれども、適正運用の問題、これは医師も同様でございます。病院協会の調査によりますと、医師に関しては年俸が高いわけですから、もっともっと多額な額を払うことになります。1病院平均が700万円を超えておりますので、例えば、もう10人紹介を受ければ、そこで軽く1000万円弱は紹介業者のところに持っていかれるというふうな状況で、何とかこの適正運用ができないかというのが病院側の今の悩みでございます。
 悩み相談の充実であるとか、ハローワークのほうもなかなか看護職の求人が少ないんですが、ハローワークと連携したりとか、それから町の保健師とか、いろんなところでフェアをやったときには行く仕組みになっております。また紹介業者も看護フェアというのもやるんですけれども、業者がブースをつくりまして、グランシップで呼び込むわけですね。そこで業者に対抗できるようにということで、看護協会でもブースの設置料はいただかずに、今回、来年の1月に看護フェアを開催しながら、確保にも力を入れるというふうなことで対策を立てております。
 そして、7対1がどんなふうに医療の現場に影響しているのか、今までは数のデータを報告させていただきましたが、中身を少し簡単に報告をさせていただきます。
 今、診療報酬上では、患者さんがお1人入院しているだけで、最低限かかる費用として入院基本料というのがございます。入院をしますと、DPCの病院は丸めて幾らになるんですけど、一般では入院基本料に検査料が加わり、手術料が加わりというふうなことになるわけですが、今7対1ではお1人の患者さんが入院すると、1日1,555点、診療報酬は1点10円ですので、1万5550円いただけるわけなんです。
そして、これには厳しい決まりがいろいろありまして、中でも平均在院日数というのがあるんですが、全部の入院している患者さんを平均18日以内で帰してくださいというものです。患者さんが長く入院していますとペナルティーがあります。そして看護必要度というのがありまして、ケア度の高い患者さんが15%を占めている病院に対して、そして、看護職の1か月の平均夜勤時間が72時間以上、夜勤だけやる看護職についてはこの倍、これをやったところにはこれだけ払いますということなんです。
10対1は1,300点ですので、1人の患者さんが入院する額というのは、10対1の病院と7対1の病院と比べますと、一人1日2,550円違うわけです。100床程度の病院ですと、1億円の収入の差が出てきます。この7対1が入りましたときには、東大病院から静岡県内にも、とにかく看護職を募集に来て、本当に一時大きな問題になりました。
それから、これを取るには入院中の患者さんがどういう状態でいるかを点数で入力をしまして、これを毎日看護職がやるわけですけれども、それを満たさなくてはいけないよということになるわけなんです。ただ、看護師がいないのに、何でそんな7対1が取れるんだということにつきましては、こんなに数が違うんですね。従来は2対1でしたから、患者さんが50人入院している病棟では、単純に25人配置をしていれば診療報酬は通りました。ところが7対1の場合は人数ではなくて、時間数になりまして、常時ということがありますので、3交代の場合は50人ですと一勤務に8人ずつを配置しなくてはいけないとなると、3×8=24で、最低24人がいなくてはいけないんですね、1日。ただし、休日休む人もいますし、これは会議時間とかは全部引かれますので、単純計算で36人配置しなくてはいけない。ところが36人もいないのに何でできるのかというのが、ここが今現場の看護職が苦しいところです。
要は、医師の場合は偏在ですので、例えば消化器内科の医者がいないよということであれば、消化器内科の患者を受けないというわけですけど、今は看護職員の数によって、その施設が入院を受けられる数が決まってくるという状況になります。ですから、7対1に対応できる36人分の看護職が例えばいない場合は、いる看護職の数にあわせて入院患者さんをコントロールする。ですので、100%入れるところを早く帰っていただいて、8割の数にするとか、午前0時の数で決まりますので、病院によりましては、医師の不足というふうなこともありまして、入院患者数が減っているので、病床を閉じて、そして1つの病棟に看護職を集めて7対1にするということで、今静岡市内の病院の中でも、3つ、4つの病院が病床を閉鎖して、実際の許可病床よりも少ない病床数でやっております。
 そして、またもう1つは入院基本料ですので、外来に看護職員を大勢配置しても、それは、この制度には反映しませんので、受診なさるとお気づきかもしれませんけれども、外来から看護職の数が減ってきていると思います。外来は看護補助者や医療事務を配置をして、できるだけ病棟の勤務に持ってくる。あるいは、看護師でなければできない業務のところを仕分けをしまして、透析室はMEという臨床工学士を透析室に入れながら、透析室の看護職を一般病棟に回すとか、そんなふうな、本当に微調整の中でやっているというのが現状でございます。
 この7対1の基本的な考え方では、高度医療になってきて、昼も夜も本当に業務量は変わっていません。特に高齢社会ということで、認知症の患者さんであるとか、不穏の患者さん、ちょっと目を離すとベッドから落ちるような患者さんも大勢いらっしゃいますので、そうすると、本当は昼間の数を減らして夜に持っていきたいんですが、何せ平均在院日数が18日ですので、患者さんの回転率が非常に高いんですね。3、4日休んでいくと、もう半分以上の患者さんが変わっていますので、病院に行くと、お名前を名乗ってくださいとよく言われると思います。在院日数が長いときには関係もできているんですけど、初めて会う顔ばっかりなものですから、そんなふうなところもやっていかなくてはいけない。
そして、夜勤者をふやせばいいじゃないかということなんですけど、日勤を減らせばいいんですけど、日勤は減らせられない。夜勤者を限られた人数でふやすと、72時間のルールを超えてしまうものですから、そこができない。そして、最初のデータのように、非常勤職員と子育て制度の利用者は夜勤なしを選択しておりますので、夜勤を引き受ける看護職が引き受けるということで、多様な勤務形態で常態化する時間外勤務をやっている。
 夜勤をなぜやりたがらないかということなんですけれども、昼間は医師がいて、薬剤師もいるし、事務職もいるしということなんですけど、夜間は数人の看護職だけで勤務するという、心身ともに緊張と負担感が多いです。そして日勤帯はほかの専門職が手伝ってくれたりとか、あるいは患者さんの汚れた物を洗うとか、そういうものは看護補助者がやりますけど、夜間の場合は看護職がそれも全部引き受ける。患者さんの急変があった場合も限られた人数で引き受けます。2交代の場合は、16時間から17時間の長時間勤務になります。3交代の場合は夜中の深夜の0時半、1時ごろに出入りをすることになりますので、やはり家族と一緒に住んでいる看護職につきましては、夜勤というのは非常に問題であると。
 それから、皆様のお手元のところに、カエルの絵がついたパンフレットがありますけれども、今、夜勤のリスクが非常に言われておりまして、科学的なデータで、乳がんが夜勤者に多いというデータが出ました。それから不妊症であるとか、そういうリスクが科学的に出されておりますので、私どもは、ますます若い看護職が夜勤離れをするのではないかと非常に危惧しております。
 まとめますと、急性期医療につきましては、医療の高度化、患者さんが本当に重症化していまして、1人の患者さんが1つの病気ではなく、3つも4つも5つも持っています。ドクターは1人の患者さんの1つの部分を診るわけですけど、1人の患者さんにドクターが4人も5人もかかわりながら治療に来るわけです。そこのデータ整理をしていくのが看護職なんです。小児科の子供が入ったときに、手術をするときには外科の先生の指示、手術の後、熱が出れば小児科の先生の指示をもらうというふうな。そして、外科の中でも呼吸器外科とか消化器外科とか何々外科とかいって細かく分かれておりますので、そこのところを全部調整していかなくてはいけないと。
7対1ということでも、昼間は3.5人ぐらい受け持っておりますが、夜間は14人ぐらいの重症度の高い患者さんを看護職が1人で補う。中には認知症の患者さんで大声を出す患者さんがあれば、そこに1人が確実につかなくてはいけない。そして急変する患者さんがいれば、確実に横には1人が付き添うというふうなことになりますので、かなり急性期の医療が大変であると。
じゃあ慢性期はどうですかということになりますと、平均在院日数が短くなっておりますので、医療依存度の高い患者さんがかなり慢性期型の病院のところに入っております。そして慢性期のところは、ヘルパーと少ない看護職でやっておりますので、ここはここでまた大変だということと、急性期で働ききれず、もう少しゆとりのあるところということで選ぶ看護職が多いので、慢性期のところには新人看護師がほとんど確保できていない状況で、30から40代の割合が非常に高い。ここも昼間は7人ぐらいでやっているけれども、夜間は、何と27.5人ぐらいを1人の看護職が引き受けているというふうな状況が出ております。
急性期も、慢性期のところも本当にぎりぎりいっぱいでやっているので、離職につながっていく。今本当にやらなくちゃいけないことは、離職を防止する政策であるというふうなことが、ここから分かります。
 これは市内、静岡市と旧清水市の公的病院、県立とか日赤、済生会、厚生病院、桜ヶ丘とかの調査のデータでございますが、これは、それぞれの病院の看護職の数の中で、この赤い部分が夜勤ができない看護師たちです。と言いますのは、子育て中であったり、あるいは、メンタルで夜勤から外していたりとかいうふうなことで、数はあったとしても、本当に非常勤が多いんだということが、このデータからもおわかりいただけるかと思います。
 そして、子育て支援の制度が大変ありがたいんですが、このデータを見ますと、例えば一番多い病院では、今現在看護職の数はいるにしても、育児休業を取っている産前産後休暇者が4人、育児休業者が24人、夜勤免除者が11人。育児時間の利用者というのは、時短勤務ですね、午前30分遅くて、午後30分早く帰るとか、育児時間制度を利用している看護職の数がこんなにいるわけです。西部の病院では、私どもが把握しておりますのは、一番最高で育児休業と産前産後休暇者が59人という病院がございました。これは本当に小さい病院1つ分の看護職が休んでいる。だから、この人たちは潜在看護師には恐らくならないと思います。
 ただ、これからの問題なんですが、この緑色のところは、今院内託児所を使っている数です。どこの病院も今そこそこ院内託児所を持っておりますが、育児制度が充実しておりますので、院内託児所は満杯かというとそうではございません。0から3歳までのところは、まだ数のゆとりはあります。夜間のところも引き受けることになっておりますけれども、その間は休暇を取りますので、余り使われていないことと、3歳を過ぎて4歳以上になると、またこれが問題になるわけです。お兄ちゃんは4歳過ぎたので、ほかの保育園、生まれた子供は3歳以下なので自分の病院というふうなことになると、やはり1か所を選びたい。問題は、この育児休業制度は3年間ございます。そして子供が学校に上がるまで、6歳までは夜勤免除という公的な制度がございます。私どもで心配しておりますのは、この緑色の人たちの子供が6歳になったときに、学童保育がこれだけの数を見れるだろうかということ、その人たちが働けない状況が出てくるのではないかということを大変心配をしております。
 夜勤の実情ですけれども、2交代といいますのは平均16時間から17時間ですので、一般的には夕方の4時半から翌日の9時半ごろまでが勤務時間になっています。その間、3人とかで頑張るわけです。休憩時間が1時間半から2時間ありますけれども、その時間に急変があれば、当然休みは取れない。3交代の場合は、平均8時間から9時間なんですが、ほとんどの病院が夜中の12時半の交代をしております。そうしますと、夜間に出勤するリスクというのも出てきまして、行ったり来たりは大変なのでということで、今いろんな病院で2交代が非常にふえています。
それから、私は2交代は無理なんだけど、3交代では何とかできますという人については、あなたの働きやすい制度を取ってくださいということでやっておりますので、管理者はスケジュール組むのが大変です。一番多い病院ですと、105種類くらいの勤務形態があります。8時半から出てくる人、9時から出てくる人、週3日だけ出てくる人、夜の8時半から出てくる人、4時半から出てくる人、そういうふうなところでつないでいるということです。これが、東部、中部、西部の状況なんですけれども、確実に2交代よりは、とにかく人が欲しいので、働きやすいということで、ミックス型がどんどんふえてきているというデータです。
 そして、カエルのパンフレットにも書いてあるとおりなんですけれども、何がつらいかといいますと、夜勤と夜勤の間隔は、これだけあけようというのを今やっているわけなんですけども、7.5時間というのが一番短いんです。日勤が、例えば6時に終わってうちに帰る。その日勤というのは、きょうの勤務です。次の日が深夜で0時半からですよということになりますと、6時に仕事を終わって、うちに帰って、同じ日にまた11時ごろ出勤してくるというふうな状況です。それから準夜日勤というのがあるんですけども、4時半から12時半、1時ころまで勤務をして帰ります。でも次の日は日勤ですので、2時ごろうちに着いて、朝8時半の勤務に間に合うように出てくる。そうすると、勤務と勤務の時間が7.5時間というのが一番多かったんですね。これで3交代じゃなくて、どんなに時間が長くても2交代なら、4回か5回泊まるだけでいいのでということで2交代型に移ってくると。だから、そんなに長い時間私はもちませんという人は、3交代を希望しているというふうな状況です。
 平均夜勤回数ですけれども、2交代の場合は、最大限が72時間ですと4.5回がリミットです。そして3交代の場合は8回から9回というのがリミットなんですが、実は9回以内の8回なんていうのは少なくて、3交代で10回、11回やっているデータ、2交代で月7回なんていうデータもあるんですね。16時間の夜勤を月7回、そうすると、14日分夜勤を働いたということになるわけで、そうすると、お休みと夜勤でということで、じゃあ私は夜勤専従でというふうな状況も出てくるわけです。ですから、子育て支援をしている人で、夜勤やっている人は月1回とか、2回ぐらいの人もいます。ただ、多くやっている中堅職員が頑張っているんだというふうなことが言えると思います。
 まとめです。看護職は慢性的に不足しております。特に夜間を担う看護職、訪問看護ステーションの勤務者も、なぜ魅力はあるんだけど行かないかというと、訪問看護ステーションも24時間が義務づけられてきましたので、訪問看護ステーションで正規採用になると夜間呼び出しの拘束のコールを持たなくちゃいけないというところがネックです。今、男性看護師は5%になっておりますが、訪問看護ステーションで働く看護職の数は、日本看護協会のデータですと2%、これから在宅医療と言われている中で、ますますここは力を入れていかなくてはいけないところです。
学童保育と紹介業者の問題、そして看護大学が今200校にふえました。急激な増加ですので、看護基礎教育を担う教員、教授とか、それから臨床実習を指導する実習指導者も本当に慢性的に不足しているというふうな状況があります。短時間労働の保障とか、基礎教育の延長は非常にうれしいことですし、専門とか認定看護職もふえました。手厚い人員配置の評価もされましたけれども、まだここが答えが出ていないので、質と量の確保について大きな課題を抱えながらやっております。
 看護協会としましては、働き続けることができる職場環境づくりということで、雇用の質とか、ワークライフバランスとか、お手元にありますような交代制勤務者のガイドラインが出ましたので、できるだけ夜勤の勤務時間を短くするとか、潜在看護師の復帰支援をするとか、そして、チーム医療の推進ということで、他職種が入れるところは入ってもらう。
何よりも、これからは地域の看護と介護力をつけていかないと。入院する患者さんが少なければ看護職は要らないわけですので、とにかく健康長寿一番の静岡県を支援していくというのも私ども看護職の役割だと思っておりますので、健康に関することの育成もしていきたい。
それから、来るべき災害に備えて、災害支援ナースの育成も看護協会は取り組んでおります。救護所にも堂々と行けるナース、他県にも支援に行けるナース、東日本大震災のときには、静岡県から40人以上の災害支援ナースを被災県に送っております。そして診療所で働く看護職の質も高めていかないと、健康長寿の国はなかなか実現しないので、こんなふうなところも取り組んでおります。潜在看護師復職の後押しを看護協会だけではなくて――これは藤枝市立病院ですけれども――ビラを配りながら復職支援をやっております。
 雇用の質に関しましては、厚労省の5局と一緒になりまして、職場づくり、人づくり、ネットワークづくりということで、働きやすい職場環境づくりに取り組んでいることと――これも新聞に出たところでございますけど――モデル病院をつくりまして、これは静岡厚生病院、浜松赤十字病院、磐田市立総合病院、富士宮市立病院が提言をしてくれました。つい先日、看護協会に院長先生も加わってくださった病院もありますけれども、そこで、看護職の意識調査に基づいて、各病院が働きやすい職場づくりに取り組み、いい成果が出たことについては公表していこうという、ワークショップをやっております。
チーム医療の推進では、不足する医師と不足する看護職がどういうふうに連携していくのかということで、今政策の中で、特定看護師の能力認証制度の取り組み。そして交代制勤務については、とにかく今夜勤がネックなものですから、せめて11時間以上の――ILO条約のところなんですけど――間隔をあける。拘束時間の問題とか、それぞれ取り組んでいるところでございます。
とにかく優先課題は、夜間医療と在宅医療の担い手の確保ということ、そして子育て支援制度活用者の復帰支援のための環境整備、学童保育、病児保育。そして、まずは、離職している人がどういう状況かというのがわかれば、そこに声はかけられるものですから、看護協会でも、退職する看護職には、登録してくださいとお願いはしております。これは法的な拘束がございませんので、今10%ぐらいの看護職が退職するときに、ここにいますというのを出してくれています。それぞれの病院は、退職する看護師に声をかけながらやっている。
そして担い手の確保につきましては、やはり手当を部分的につけている病院がふえてきております。医師確保手当は、法制度で決まりましたので、確保手当リストのところは厚くなりましたけれども、看護職につきましては、規定の夜勤回数以上をやった看護職についてインセンティブをつけている病院もふえてきておりますが、これはきちんとした制度ではないものですから、なかなか皆さん公表できない状況にあります。そんなふうなところで、少なくとも何らかの評価をしていただくような支援ができればありがたいというのが現場の声でございます。
 以上、非常に駆け足で報告をさせていただきましたけれども、状況について、わかる範囲で報告をさせていただきました。ありがとうございました。

○安間委員長
 ありがとうございました。以上で、望月様からの意見陳述は終わりました。
 それでは、これより質疑応答をしてまいりたいと思います。
 質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いをいたします。
 御質問、御意見等がありましたら、発言を願います。

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