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委員会会議録

委員会補足文書

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令和3年11月4日アフターコロナ生活環境づくり特別委員会
浜松市感染症対策調整監 浜松医療センター感染症管理特別顧問 矢野邦夫氏 【 意見陳述 】 発言日: 11/04/2021 会派名:


○矢野邦夫参考人
 浜松市感染症対策調整監、浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野でございます。いつも先生方には大変お世話になっております。今から50分ほど新型コロナウイルス感染症に関してお話しするとともに、今後どうなるのかということを推測も含めてお話申し上げたいと思います。
 私が思っているのは、今現在、先生方御存じのとおり、感染症が物すごく激減していて、静岡県でもゼロの日が長いこと続いたりするんですけれども、にもかかわらず、マスクをいつも着用して、忘年会も新年会も大勢でできることはない。なかなかビフォーコロナのような、以前のような生活に戻れないわけでございます。
 じゃあ、いつ戻ることができるのか。これに関しては、最後のほうにお話ししたいと思うんですけれども、私は来年の7月から8月にはマスクなしで宴会とかできるんじゃないかなと思っております。それに関しては、今日ぐらい発売の11月11日付の週刊新潮にも同じことを申し上げたので、これからいろいろネットに書かれるかもしれませんけれども、その根拠もお話ししたいと思います。
 そして、もう1つ。今日はコロナの特別委員会の先生方でございますけれども、コロナ対策が終わってマスクとかあまり皆さんされなくなると、コロナが流行している間、流行できなかった感染症の流行が次々と始まると思います。例えば子供たちの手足口病だとか、先日はRSウイルスが流行したんですが、いろんな感染症が次々とやってまいります。アフターコロナは、コロナはアフターかもしれないんですが、ほかの感染症が一気に迫ってくる。そういったのが来年の夏以降かなと推測しております。
 では、スライドを使ってお話申し上げたいと思います。
 まず、先生方にちょっと御確認をいたしたいんですが、新型コロナウイルス感染症の正式名はCOVID−19でございます。ですから、私が今日、時たま、COVID−19と言ってしまった場合は、これは新型コロナウイルス感染症とイコールと思っていただきたい。そして、その原因ウイルスがSARS−CoX−2でございます。すなわちSARS−CoX−2によって、COVID−19という感染症がつくり上げられているということでございます。
 どのようにして感染するのかということなんですが、まず我々は、マスクをして手指衛生して、環境の消毒をしていろんなことをやっているわけですね。例えば、官公庁でも、来る人々に対して貸したボールペンを一本一本消毒していたりするわけなんですが、実際のそのことが必要なのかというところからお話していきたいと思います。
 CDC――米国疾病管理予防センターがガイダンスを出しておりまして、こう言っております。新型コロナウイルスの主な伝播経路は飛沫感染である。環境を介する伝播は主要な伝播経路ではない。汚染された環境表面への接触による感染は、感染機会1万分の1未満の確率であると。何を言っているかというと、例えば感染者の指についていたウイルスがドアノブにくっついて、このドアノブをほかの人が手に触れて、その手で目と鼻をこする感染ということは、非常に確率が低い。つまり、1万人の感染者がいたときに9,999人は飛沫による感染であって、1人が環境表面による感染であろうと言っているわけですね。ですから、我々は環境表面に関して、今あまりにも時間を、それから費用も使い過ぎておりまして、環境表面を触って、そこからの感染が怖ければ、それを避けたいならば、その代わり手指衛生、アルコールを手に塗ればいいわけで、環境に対する過剰な消毒は必要ないんじゃないかとCDCは言ってるわけであります。
 やはり、このウイルスと闘うためには、無駄な感染対策をやめて、そのお金とマンパワーを全て有効な対策へ向けておいたほうが我々にとって有利なもんですから、飛沫感染を徹底的にやって、あと手洗いをしっかりやればいい。そういうことを言っているわけでございます。
 飛沫というのは、大体1メートルぐらいの距離を飛ぶんですね。2003年に流行したSARSですね。東南アジアを中心として流行したんですが、これは2メートルの距離にいる人が感染したという事例がありますので、この身体的距離、社会的距離をWHOとかユニセフは少なくとも1メートル以上、米国では1.8メートル以上、厚労省はできるだけ2メートル、最低1メートルと言っております。基本的に1メートルあればいいんですけれども、CDCは1.8メートルと言っていますが、ただ、CDCも学校の授業における子供たちの距離は1メートル以上、先生と生徒の距離は2メートルと言っているだけであって、基本的に1メートルあればほとんど飛沫は防げることになります。
 ここに身体的距離、社会的距離とございますが、社会的距離といいますと社会的な人間関係まで詰まってしまう感じがしますので、今はもう身体的距離という言葉を使いましょうということになっておりますので、先生方、もし社会的距離という言葉を使うことがございましたならば、身体的距離に置き換えていただいたほうがよろしいと思います。
 そこで、身体的距離、社会的距離なんですが、1メートルちょっと空けるわけですけれども、先日、私、大変興味深い番組を見ました。先生方、御覧になったかもしれません。「ブラタモリ」、NHKで、このときつくば市内の国土地理院と産業技術研究所にタモリたちが行ったんですが、もちろん内容はすばらしかったんですが、私はこの番組の感染対策のすばらしさに感動しました。今、これ左のほうにタモリと女子アナがいるんですが、あと現地の解説者もいるわけでありますが、彼らはマスクをしていないんです。ところが、身体的距離を空けていた。例えば、タモリが近寄ってきたときに、彼女はすっと距離を空けるんですね。ずっと1メートル以上の距離を空ける。身体的距離を空ければマスクは要らないわけなので、それをしっかり示した番組だなと思いました。
 一瞬、この右のようにタモリと説明者の間が1メートル未満になる状況がありましたが、ここにアクリル板を置いてあるんですね。ですから、ポイントは使い方です。身体的距離を空けることによってマスクを使用しない。その空け方が非常に上手だったものですから、また先生方、お時間があるときにオンデマンドで御覧になるといいと思います。ですから、まず取りあえずこのような対応を行うのがいいかなと思いました。
 先ほど申し上げたように、環境表面は感染経路になりにくいんですが、なるとしたらどんなパターンかなというと、ドアノブにウイルスが付着していて、手が触れて、手にウイルスが付着して、目とか鼻をこすれば感染するわけでございます。環境表面に病原体が付着していって、手指が環境表面に触れて、病原体が手指に移動して、鼻腔粘膜に触れることによって侵入するということでございます。ですから環境からの感染経路が怖ければ、もちろん消毒すればいいんですが、それはなかなか手間もかかるし、ですからどこ触っても構わないんで、手指を消毒したらいいということでございます。
 環境表面にどれだけ病原体が残っているかなんですけれども、銅の表面に4時間、ボール紙の表面24時間、ステンレスとかプラスチック表面では3日間いけるということでございます。ですから、3日間も物を放置しておけば、ウイルスは悲しいんですがなくなってしまいます。
 一方、3日間も環境表面には感染力を保っているのか疑問を持たれるかもしれませんけれども、こういった実験は、病原体にとって最も有利な条件下で研究するわけで、実際にはもっと短いんですね。例えば、日本人の最高齢112歳なんですが、日本人全員が112歳まで生きるのかといったらば、そうではない。平均寿命で大体亡くなっていくわけなんですが、病原体も同じで全てのウイルスが3日間生きることはなくて、例外的に3日間環境表面に残っていると考えていただいてもいいかと思いますので、実際にはもっと短い時間でございます。
 症状にはどのようなものがあるのかということなんですが、その前にどのくらいの割合で症状がないのか。これは無症状の人の割合なんですが、いろんな研究がありまして、上から3つ目はあの横浜のダイヤモンド・プリンセスクルーズ船の乗客と乗務員なんですが、46.5%の人たちが無症状だった。大体4割から6割ぐらいが無症状ですね。ただ、平均すると感染者は40%から45%は無症状であるわけであります。ですから、大体半数ちょっとぐらいが有症状。有症状の方は、どのくらいのどういった症状があるかというと、今この表があるんですが、有名なのが、せき、熱、息切れでございます。患者の96%が発熱、せき、息切れの1つ以上を経験して、患者の45%が3つの症状全てを経験したということでございます。ただ、ほかに味覚・嗅覚障害、いろんな症状があります。これが言いたいことは、この症状があるとこうだという診断は絶対できないということであります。症状でコロナを診断することはとても難しいわけで、ですから今後もしインフルエンザが流行していったならば、症状でインフルエンザかコロナか見分けるのは、我々は難しいと思っております。検査するしかないかな。
 現在、問題になっているのはこちらでありまして、いわゆる後遺症なんです。これは発症して2カ月後のデータなんですけれども、左が急性期、発症した頃での割合で、右が2カ月後。倦怠感ですね。2カ月しても半分の方が倦怠感を経験しています。呼吸困難感、関節痛、胸が痛い。こういった症状を呈しております。私も先日患者を診たんですが、皆さん結構困っていらっしゃいます。本当に動けない方もおられます。そういった外来をつくって、集中的に診るところがあったほうがいいんじゃないかと思うぐらい気の毒な方もいらっしゃいます。メンタルなところがかなり大きいと思いますけれども、後遺症外来をもうちょっと充実させる必要があるかなと思っております。
 87.4%の患者は、1つ以上、特に倦怠感と呼吸困難感が残るということでございます。この後遺症は、入院するような方々の場合は、8割が経験いたします。入院する必要がないぐらい軽い方で5%の方が後遺症を経験いたしますので、結構多くの方が経験しているわけでございます。
 どういった人が重症化するのかなんですが、これはワクチンを打たない時期のことなんですけれども、年齢が高いと死亡率が高くなる。80歳以上の男性は、5人に1人が亡くなり、女性は10人に1人が亡くなっていった。70代の男性、大変多くが亡くなっていった。今回はコロナの第4波と第5波ですね、第4波は大体5月頃ですね。第5波は8月頃なんですが、全然内訳が違っておりまして、今年の5月ぐらい、ワクチンがまだないときは、高齢者がどんどん入院してきて重症化して、命を失っている方が結構おられました。
 ところが第5波ですね。8月、9月の第5波は、高齢者がほとんど入院してこなかったんですね。ワクチンを打っているからです。ですから、この間の第5波は、病院は確かに多くの方が感染して忙しかったんですが、高齢者が入院してこなかったもんですから、その分だけ少し楽だったんですね。高齢者は長く入院したり、それから例えば高齢者施設にウイルスが入り込むと、認知症の方、もしくは入院してから認知症になる方がおられて、そういう方をケアする看護師さん、すごく大変だったんです。そういう方は、何か症状があったときにボタンを押してくださいねということもできないということで、物すごく大変だったんですが、第5波は高齢者がほとんど入院してこない。第5波で入院したのは65歳未満、50歳から65歳の間のワクチンを打っていない方、もしくは50歳未満の肥満の方だったんです。なので、調子が悪かったら、苦しかったらナースコールを押してくださいねと言ったときに、すぐに押せるんですね。それでお風呂も自分で入れるし、下の世話も要らないので、感染者は多かったんですけれども、病棟のケアは第4波よりもかなり楽だったことは確かです。
 ただ、病床がすぐいっぱいになったので、救急患者を断らないようにということで、軽快すればできるだけ多く、早く退院させる努力をしておりましたので、そういったことも忙しかったんですけれども、ワクチンの効果を第4波と第5波の違いで非常に大きく感じました。
 どんな人が重症化するのかなんですけれども、これはデータなんですが、表に1とありますが、1よりも右だとその傾向がある。1よりも左だとその傾向は少ないということです。年齢なんですが、年齢が高いと重症化しやすい。80歳以上は重症化しやすい。そのようなデータです。女性であると重症化しにくいんですね。
 あと、肥満もあったりするんですが、このように年齢が一番大きなファクターだということでございます。先ほど私、若い方の肥満のことを申し上げたんですが、肥満だけ取り上げますと、ここが1、右に行けばその傾向がある。基本的に言えば、入院する可能性がある、集中治療室の入院、人工呼吸器の必要性、死亡なんですが、肥満でBMIが30を超えてくるとだんだんに右のほうに傾いてきます。だから、BMI30を超えてきてだんだん肥満度が強くなってくると、入院が必要となり、特に、人工呼吸器が非常に必要となり、死亡の確率も上がってまいります。ですから肥満というのは大きなファクターでございます。
 日本は、欧米に比べて死亡者が少ないんじゃないかと言われますけれども、肥満は大きなファクターなので、肥満の多い国は重症化しやすいのかなと思っております。この間の第5波は、我々は本当に肥満の人を診ておりました。肥満の人なのでなかなか血管が取れなくて採血とか点滴、非常に苦しんだことも覚えております。カクテル療法もほとんど肥満の方を対象としてやる。そのようなことで、肥満は重症化しやすい大きな因子でありました。
 検査にはどのようなものがあるのかなんですけれども、先生方御存じのとおり、PCRと抗原定量と抗原定性。抗原定性は、診療所とかそういうところでもできる検査で、ベッドサイドで結果が出ますので非常にいいんですけども、感度が鈍い。感度がいいのは定量とかPCR。ですから、病院でしか検査できないんですけれども、これは感度がいいわけでございます。
 私どもが経験したのは、今年の3月に浜松医療センターでクラスターを経験しました。何があったかといいますと、こういうことを何人も経験したんです。感度のいいPCR検査をして陰性、また陰性、また陰性、また陰性、患者が何も症状がないから、高齢者施設に送った次の日に患者に微熱があるから、高齢者施設であの感度が鈍い抗原定性検査をした。そしたら陽性なんです。すなわち、検査が陰性というのは、そのときは感染者でない可能性は高いけれども、次の日は全く約束できない。現在ワクチン証明書だとか検査陰性証明書、いろいろ議論されているんですが、ワクチン証明書、私は有効かと思いますけれども、検査陰性証明書の有効期限はその日だけだと思っておりますので、検査陰性証明書は3日前のものをもらっても何の役にも立たないと思っております。本当に、当日しか駄目だと思っております。
 先日のオリンピックの選手、海外の選手たちは、毎日PCR検査をやっていったわけでございます。一日前のデータは役に立たないので、毎日検査したということでございます。検査陰性証明書はいかに当てにならないかを示すようなスライドになるかと思います。
 今度は、どのような経過を辿るのかなんですが、大体1週間ぐらいが風邪です。その後に肺炎となって、その後に重症化するんですけれども、このスライドでお見せしたかったのは、重症化するまで1週間かかるということなんです。第5波のときに多くの方が感染したんですね。ピークが終わったとき、ピークが終わって感染者がすうっと少なくなったときに、私、マスコミの方に聞かれたんですね。緊急事態宣言はもう解除してもいいと思いますかと聞かれまして、私は、いやいや絶対それは続けてくれと申し上げました。というのは、病院が忙しくなるのは感染者のピークを見た1週間後から忙しくなるんです。そこで、重症患者が入院してきて、その一部が人工呼吸器に入りまして、物すごく病院は忙しいんです。だから、ピークが終わって1週間以後、2週間目、3週間目は物すごく病院が忙しいので、人々が安心した頃は、我々は物すごく多忙なんです。なので、私はこのときは当然、緊急事態宣言の延長をお願いしたいと申し上げたんですが、そのときは病院はどこもあっぷあっぷな状況でした。とにかく、感染者のピークと病院の多忙は1週間ずれるということを知っていただければなと思います。
 退院の基準なんですが、入院した方は症状が出て10日を経過し、かつ軽快してから3日経過したらば退院できるわけなんですが、ここで問題がありまして、退院する方が退院するときに、PCRの陰性証明書が欲しいとか、職場から陰性証明書を出してほしいと言われます。私はそれをお断りしてるんですね。なぜならば、PCRが陽性となるからであります。その後、PCRが陽性となるから検査しないほうがいいでしょうと申し上げます。すると、感染者は疑問に思うんですね。PCRが陽性だから入院したのに、なぜPCRが陽性のまま退院できるんだと、本当に大丈夫かなと言われます。それはどういうことかというと、症状が出て軽快するんですが、PCRは症状が出るちょっと前から陽性となって、あとずっと2カ月間ぐらいは陽性が続くことが多いんですね。
 一方、感染力のあるウイルスは、症状が出るちょっと前から陽性となりまして、8日間で消えちゃうんです。退院する頃には、ウイルスがいない。だけど、PCRが陽性ということになります。なので、退院するには症状が出てから10日なんですが、そのときにPCRやらないというのは、これが理由だからであります。なかなかこのところを理解していただくことが難しかったんで、私はある例え話をいたしました。道端に犬のふんが落ちている。それはそこに犬がいたという根拠になるけど、今いる根拠にならないでしょう。PCRも同じで、陽性ということは、そこにウイルスがいたという根拠になるけれども、今いるという根拠にならないでしょう。そう言うと、意外と理解していただけるので、これで私は対応しております。
 どんな状況でクラスターが発生するのかなんですけれども、歌うことですね、大きな声を上げること。これが一番危険ですね。アメリカのワシントン州で合唱団でクラスターが発生した。参加者60人、一日で50人、86.7%も感染してしまった。大体15センチメートルから25センチメートル間隔で歌ったんですね。エアロゾルを出した。歌うとかそういうときは、かなり危険なんですね、大きな声を出す。接待を伴う飲食店でクラスターが発生する。つい最近もです。昨日もネットでありました。岐阜で発生したとありましたけれども、マスクをせずに、大分お酒を飲んだりすると、結構大きな声を出してしまうことがあるんですが、マスクをせずにエアロゾルを出せば、それはクラスターが発生しやすい。とにかくマスクをせずに大きな声を出すのは、クラスターが発生しやすい状況だという御確認をお願いしたいと思います。
 もう1つは、屋外だと油断してしまう。これもアメリカのキャンプ場で起こったことなんですが、子供たちのキャンプ、12歳ぐらいの子供たちで、キャビンは31あって、1つのキャビンに15人ぐらいずつ中に入っているんですが、結局、597人のうちの260人が感染してしまったんです。キャンプでは同じキャビンで寝ていて、歌ったり歓声を上げたりしていて、全員がマスクをしていたわけじゃなかったもんですから感染したんですね。屋外だと安心してしまう。日本でもバーベキューの会場でクラスターが起こっていますけれども、屋外だと油断してしまうことがございますので、決してそういうことがないように、屋外であってもマスクは必要ということになります。
 そこでマスクなんですが、今、先生方もマスクをしていらっしゃいますけれども、いつもマスクをしましょう。ユニバーサル・マスキングと言いますが、インフルエンザとコロナを比較してみたいと思います。インフルエンザは、潜伏期間1日か2日、コロナは5.6日、無症状はインフルエンザは10%、コロナは先ほど申し上げた45%から50%ぐらいですね。無症状の方のウイルスはインフルエンザは少ない、コロナは多い。ウイルスを出すピークは、インフルエンザは症状が出て二、三日後、コロナは1日前。すなわち、コロナは大体半数の方々が症状がなくて、症状がある方も症状が出る1日前にウイルスを出します。ですから知らない間に感染させてしまう、感染してしまうわけであります。
 実際に、新型コロナウイルスに感染した人の40%が無症状で、症状が出る前の感染者、もしくはもうずっと症状が出ない感染者からの感染は、全ての感染の50%以上を占めると推定されている。これはCDCのガイダンスです。ですから、これは感染者が100人いたときに、およそ50人は全く無症状の方から感染を受けている。危のうございます。なので、無症状の人はちょっと怖いので、昔はせきエチケットと言ったんですが、今はユニバーサル・マスキング。昔は、症状があったらマスクしましょうとか、くしゃみを抑えましょう。それじゃあ間に合わないんですね。無症状もしくは症状が出る前にそういうことが起こるので。ですから、今はユニバーサル・マスキングをやっているわけであります。
 とても有効なんですが、1つ事例をお見せします。アメリカの話なんですけれども、ヘアスタイリストがいて、同僚ヘアスタイリストに感染させました。このヘアスタイリストは自分の夫、娘、義理の息子、そのルームメートにも感染させた。ところが、ほかのヘアスタイリストには誰も感染させず、自分が担当した客139人、誰も感染させなかったんです。すなわち、このヘアスタイリストは、この職場のルールに従って業務中はいつもマスクをしていた。マスクすると、なかなか感染源になれないんです。これは、我々も病院でよく経験しているところですが、マスクというのは物すごく有効なものですから、今もそのためにユニバーサル・マスキングをしているわけであります。
 ただ、例外がございまして、5歳以下の子供、意識不明な人、筋力のない人、補助なしではマスクを外せない人は、ユニバーサル・マスキングの例外ということになります。
 今度は、変異株の話をしてみたいと思います。左がウイルスの電子顕微鏡写真です。この周囲に太陽のコロナのような突起物があるんですが、これでコロナウイルスと呼んでおります。これがイラストで、表面がコロナなんですけれども、これはスパイクたんぱくと言います。実はこの絵、先生方は至るところで見たことがあると思いますが、実はこのイラストはCDCのホームページに載っているイラストです。CDCは版権フリーなんです。誰が何時使っても構わないと言っております。ですからマスコミ等はこれを頻用しているわけであります。
 このスパイクたんぱくで人間の細胞に結合します。これがウイルスでありまして、この突起物はスパイクたんぱくです。人間の細胞の表面には受容体ACE2という名前なんですが、これにくっついて中に入って、ウイルスが出ていくわけなんですね。この突起物、スパイクたんぱくに変異が起こって形が変わったんです。形が変わることによって、くっつきやすくなってしまった、結合しやすくなってしまった、感染力が増えてしまったわけであります。
 現在は、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ。昔は英国型とか言ったんですが、国の名前を使わないようにということで、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタと言ってますけれども、今年の9月に問題になったのはデルタ。5月のときにはアルファでした。このように変異株が出ています。実は、今変異株は数千あるんですが、その種の一部だけがこういうふうに問題となっているわけであります。
 次は、ワクチンに関するお話をしてみたいと思います。
 先ほど申し上げたように、スパイクたんぱくで人間の細胞に結合するので、このスパイクたんぱくがくっつくのを邪魔すればいいので、それに対する抗体をつけてしまって、受容体に結合できないようにしてしまう。こういったたんぱく抗体をつくるのがワクチンでございます。
 ワクチンには、大きく分けて2種類ありまして、たんぱく系と核酸系。たんぱく系は実績はありますけれども、実用化まで時間を要する。核酸系は、実用化前の時間を短縮できるけれども、実績が乏しい。比較すると分かります。たんぱく系というのは、遺伝子組み換えたんぱくワクチン、不活化ウイルスワクチン。例えば不活化ウイルスワクチンですと、ちょうど先生方が接種しているインフルエンザワクチンですね。インフルエンザウイルスを卵の中に入れて増殖させて、ホルマリン等によって破壊して使うのが不活化ワクチン。遺伝子組み換えワクチンはB型肝炎ワクチンですね。子供たちが生後2カ月から打てます。下のほうが核酸系でありまして、DNAワクチン、mRNAワクチン、ウイルスベクターワクチンなんですが、このmRNAワクチンが、先日先生方が接種した、ファイザー、モデルナであります。アストラゼネカとか、もうじき日本でも利用できるかもしれないJ&Jのワクチンはウイルスベクターワクチンであります。
 今いろんなメーカーさんがワクチンをつくって、核酸系のほうが先に出ていますけれども、もうじきたんぱく系もわっと出てまいります。例えば不活化ウイルスワクチンですとインフルエンザワクチンと一緒なものですから、生後半年以上になればインフルエンザワクチンは打てますので、非常に安心感があります。遺伝子組み換えワクチンは、先ほど申し上げたように生後2カ月から打つB型肝炎ワクチンですね。だから、子供たちが非常に安心感を持って打てるワクチンでありますし、3回目接種もこれから始まるんですけれども、2回までで熱があってつらくっても、こういうのをつくったら副反応はすごく少ないものですから、こういったものが自由に使えるとまた話は違ってくると思っております。
 このmRNAワクチン、先生方も打ったところなんですが、どうして効果があるのかだけ復習しておきたいと思います。昔の生物の話なんですが、これは人間の細胞で、核がありまして、DNAがあって、この遺伝子情報がmRNAに写し取られて、外に出ていって、ここにアミノ酸がくっついたtRNAなんですが、これがくっついて、この遺伝子情報に従ってたんぱくができるのですが、本来はこのように遺伝子情報からたんぱくに情報が移動するんですが、ワクチンはこのスパイクたんぱくmRNAの中に入れますので、こちらのほうのルートを使わせてもらって、たんぱくをつくるということでございます。
 このワクチンは非常に有効性が高くて、90%以上有効です。発症予防90%がどういう意味かというと、ワクチンを打たなかった方が10名症状が出てしまった場合、ワクチンを打っていれば9名は症状がなくて済んだ、これが90%の理由であります。これは非常に優秀なワクチンで、デルタが出る前なんですけれども、医療従事者を対象とした調査ですね。ワクチンは3つ効果があります。感染予防、発症予防、重症化予防と3つございます。感染予防、感染することを防ぐ予防効果は90%あった。症状が出るのを防ぐ効果は90%あった。子供はもっと高いです。重症化予防効果も90%あった。
 ところが、デルタが出るようになってから、上の2つが73%に落ちました。だけれども、重症化予防は93%から100%ありますので、非常にいいわけです。73%しかないんじゃないと言われるかもしれませんが、毎年我々が打っているインフルエンザワクチンの有効性は40%から60%なので、落ちたといってもインフルエンザワクチンよりも効果はあるわけですので、デルタ株であってもこれだけの効果を示すということは、優れていると思います。
 ただ、ワクチンを打ってから、だんだん効果が落ちてくるわけであります。アメリカの調査なんですけれども、18歳以上でワクチンを打った方の感染の予防に関しては5カ月間ぐらいまではいいんですが、すっと落ちてくるわけですね。ですから、今ブースター接種をしましょうと言っていますが、この目的は感染させない、発症させない、それを改善するのが目的で、ブースター接種をしなくても重症化予防は維持できると思います。
 先ほど申し上げたワクチンには3種類の効果がありまして、感染予防、発症予防、重症化予防なんですが、感染予防というのは感染させない、発症予防というのは感染するけど発症させない、重症化予防というのは、発症はするけど重症化させない、これが73%、73%、93%から100%ということでございます。
 今度は心筋炎、今若い子供たち、特に男の子が心筋炎のことを恐れて、親がワクチンを打つのをためらうんですけれども、ちょっと心筋炎に関してお話ししたいと思います。特に、若い男性の2回目のワクチンの後に起こりやすいんですが、打ってから症状が出るまで2日間。患者の92%が7日以内に心筋炎を経験して、症状は軽度です。2回目の接種者100万人当たり40.6人、5,000人に1人ぐらいですね。胸が痛いとか動悸がするという感じなんです。女性は5万人に1人ぐらいです。一番多いのが12歳から17歳男性の62.8人。4,000人に1人ぐらいが心筋炎になります。これは、胸が痛いとか動悸するときにはスポーツをしなければいいわけなんです。ただこれを恐れてワクチンを打たないとどうなるかというと、コロナに感染すると、コロナに感染しない患者に比べて16倍も心筋炎になるんですね。ですから、打たないという判断は、コロナに感染したときに心筋炎を経験する可能性もあることを御確認をお願いしたいと思います。ぜひとも、心筋炎を恐れてワクチンを打たないという判断だけはやめてもらいたいと思います。
 あと、学校なんですが、今年の8月に学校を再開するかどうかいろいろ議論になったんですけれども、アメリカのデータなんですが、学校というのは子供たちをコロナから守ってくれるところなんです。コロナの原因ウイルスが検査陰性だった子供と比較すると、検査陽性の子供は対面の学校の授業に出るのが少ない一方、パーティーとかで遊ぶことが多い。こちらの子供のほうが危険だと。学校は、先生方が授業中しっかり管理しているし、食事をとるときもじっと見ているからチェックされている。ですから学校は子供たちを守ってくれているんですね。データはこうです。これも先ほどお見せした見方の表です。右に行けばその可能性が高く、左に行けば可能性が低いんですけれども、一番左はこれです。学校内、2歳以上の子供たち、スタッフがみんなマスクをしている。だから、授業中にマスクをちゃんとさせると、一番感染の危険性が低いわけであります。その代わり、一番右にいくのはこれですね、パーティー、遊ぶ。ですから、学校を中止させることは、子供たちを自由にすることになり、学校に行かせずに遊ばせると、感染を拾う可能性があります。ですから、学校閉鎖とか学校をやめるということは、せっかく子供たちが安全なところにいるのに、かえって危険なところに移動させる可能性がありますので、慎重に学校閉鎖、学級閉鎖をするときは考えていただきたいと思います。コロナの場合は、学校を1つの感染対策の場として活用するのがいいのではないかと考えております。
 今年インフルエンザが流行するのかというと、これは日本のデータです。左がお正月で右は大みそかですね。これが夏なんですが、大体毎年毎年2011年からずっと出ているんですが、大体1月の下旬から2月にかけてピークが来る。時たま12月に出るときもあります。昨年、2020年は全然流行しなくて、今年も全然流行しなくて今も流行していないんですが、今後どうなるのかですね。これはいろいろ言われておりますけれども、まず1つ参考となるのは、南半球のオーストラリア、ニュージーランドは夏に流行します。今年の夏はオーストラリアで流行したのかというと、実は流行しなかったんです。これが1月、12月、夏なんですけれども、ブルーが去年、今年は赤、2年間連続でオーストラリアは流行しなかったんですね。なので、もしかしたら流行しないという淡い期待を持っておりますが、多分そうはならないだろう。
 これはインフルエンザがどこでいつ流行するのかを示したものなんですが、北半球から南半球までです。北半球では流行するのが米国ではやっぱり12月、1月、2月内ですが、南に下っていくと赤が増えてきて、赤道直下だと1年中、そして南半球になると夏に流行する。インフルエンザは、南半球では夏、北半球では冬、そして赤道直下では1年中。ですから、オーストラリアが流行しなくても、赤道近くの国々がいつも流行しているんで、そことの人間の移動が始まってくると、いつか持ち込まれるんじゃないか。実はこれ、WHOから持ってきた資料ですが、インドです。ここが2021年のお正月で、現在なんですが、ブルーがインフルエンザA型で黄色がインフルエンザB型。インドではインフルエンザが流行しております。最近、私、渡航外来もやっておりますけれども、インドへ行かれる方が非常に多くて、ワクチンもぼんぼん今打っている最中なんです。破傷風だとかB型肝炎、A型肝炎、狂犬病のワクチンですね。一生懸命やっているんですが、これだけの人が行くということは、これだけの人々が戻ってくるということで、インドとかそういったところからウイルスが持ち込まれるんじゃないかなと思っております。
 中国ではずっと冬に流行しております。ですから、今年は多分、インフルエンザの流行からは逃げられないんじゃないかと思っておりますが、ただ、今マスクをしておりますので、もしかしたら逃げられるんじゃないかなとも思っています。
 昨年コロナは流行したんですが、インフルエンザは流行しなかった。どちらも飛沫感染するのにインフルエンザは流行できなくてコロナは流行できた。その違いは何かというと、去年、我々はコロナに対して免疫を持っていなかった。インフルエンザは免疫を持っている。なので、インフルエンザが流行できなかったんですね。でも、今年は皆さんマスクをしているもんですから、インフルエンザも流行できずにコロナもなかなか流行できない日を迎えるのを私はとても希望しているところです。今後どうなるのかちょっと分からないところでございます。
 あと10分ほどになってまいりましたので、シナリオをちょっと提示してみたいと思います。今日の委員会は、アフターコロナの委員会でございますけれども、私が今申し上げるのは、ビフォーコロナの時代、マスクをせずに仲間と一緒に忘年会、新年会をして、マスクをせずに新幹線に乗って、満員電車に乗って、そんなことがいつできるのか。今は、ユニバーサル・マスキングをやっていますけれども、先生方、今のような生活を残りの人生をずっとできるでしょうか。いつもマスクをする、こんなことはとてもできないので、もうやめたいと思っている方がほとんどだと思います。
 また、宴会もできないとなると経済的なダメージも大きいので、どこかで戻さないといけない。昔の生活に戻るためにはどうなるべきか、3つのシナリオを提示してみたいと思います。
 1つは、ブースター接種でございます。プラス毎年の追加接種。先ほど申し上げたように、ワクチンを打って半年ちょっとすると重症化しないんだけれども、感染する可能性はちょっと出てくるわけです。感染した場合、ウイルスを結構出しますので、同居家族等に感染させる可能性は出てくるので、それを避けるために3回接種の必要があると思っております。恐らく、12月から医療従事者を対象として3回目の接種が始まりますけれども、その後で恐らく高齢者を含めてワクチンを打って8カ月経過した方が打つと思います。アメリカでは6カ月間経過したら打っちゃうんですけれども、3回接種は必要だと思いますし、あとインフルエンザワクチンのように年に1回とか2年に1回ぐらい打ったほうがいいんじゃないかなと思います。
 接種のイメージなんですが、横軸が月です。1回受けて2週間したら免疫、抗体価がちょっと上がるんです。2回目打ってまた上がって、数カ月間で下がってきて、ここで3回目を打つ、ブースターを打つとがんと上がるんですね。大体3回目を打つと抗体価は10倍上がります。感染予防の能力は11.3倍上がる、重症化予防については19.5倍も上がるので、3回接種が非常に重要なんです。
 私、今回、ファイザー社とモデルナ社、2回接種で有効だと聞いたときに、物すごく違和感を感じたんですね。普通、生ワクチンでなければなんですけども、ワクチンは3回でワンセットなんです。B型肝炎もA型肝炎も破傷風も3回を6カ月でやってるんですね。それでブースターがかかる。モデルナ、ファイザーが2回接種なんていうのは非常に違和感を感じていましたが、今回3回目を入れることで非常に納得いたしております。これでぐんと上がる。
 そうなると、さすがに感染できなくなってまいります。マスク外しても感染にならないし、ワクチンを年に1回ぐらい打っとけば、うんと変わりますから、もう我々は免疫はしっかりついたと思います。これ以上の免疫はつけられないです。なので、国民のほとんどが3回接種を受けるのは、大体、来年の7月か8月になると思いますが、そのときにはマスクは要らないんじゃないかなと思います。
 ですから、私は、先ほど冒頭に申し上げたように、来年の7月、8月にはマスクは要らないんじゃないかと申し上げたし、週刊新潮にもそう書いたのは、それが理由でございます。これ以上、このウイルスに対してマスクをするのは嫌なものですから、とにかく来年の7月、8月になって国民の7割ぐらいが3回目の接種を終わった段階で、今年はもうマスクをやめましょうキャンペーンもしようかなと思っているところでございます。
 では、この3回目接種の副反応はどうかということです。データなんですが、何を言っているかというと、一番色が濃いのは3回目で、次は2回目なんですが、2回目と大体同じなんですね。全身反応とか日常生活遂行できないとか。ですから、2回目と同じ雰囲気の副反応は経験するということを御理解いただければと思います。今まで経験したことがないような副反応は経験いたしません。2回目と同じレベルの副反応を経験するということでございます。
 その下の抗コロナ薬の実用化。これも先生方、今モルヌビラビルという名前を聞いたことがあると思います。内服の抗コロナウイルス剤なんですけれども、RNAポリメラーゼ阻害薬です。私が非常に期待しているのは塩野義製薬なんです。3CLプロテアーゼ阻害薬、これは本当に期待して、今日本の医療機関が皆協力しようということで、浜松医療センターも協力病院の1つでこの治験が始まりますけれども、非常に期待しているわけでございます。
 まだデータがないんですが、雰囲気としては多分、このモルヌビラビルよりも塩野義のほうはぐっと効果があるし、副反応、副作用が少ないと思っていますので、これは今年度、来年早々に使用できるんじゃないかなと思っています。これはどんな薬かといいますと、これがウイルスで、これが人間の細胞です。ウイルスが中に入ってくる。そして、自分の遺伝子を増やして、そして遺伝子が自分の長いたんぱくをつくるんですけれども、これじゃあ何も役に立たないんですが、これをばらばらに切るわけです。そうすると有効なたんぱくが出来上がってウイルスが出てくるわけなんですが、こちらのほうを邪魔するのが今申し上げた3CLプロテアーゼ阻害薬、すなわち塩野義の薬ですね。RNAの複製を止めるのが先ほど申し上げたモルヌビラビルです。3CLプロテアーゼ阻害薬、これはこの長いたんぱくをばらばらにする酵素を止める役割なんですが、分かりにくいのでこう言います。ウイルスはmRNAがウイルスRNAになって長いたんぱくができるんですが、これは何の役にも立たなくて、これを切り取ります。ばらばらにすると、有効なたんぱくができて、ウイルスが増殖できるんですが、このはさみを切れなくするのがこの薬なんですね。こういった薬が今開発されてきています。
 ちょっと分かりにくいので例え話をしますが、先生方、子供の頃プラモデルがあったと思いますけれども、このままでは何の役にも立たないですが、切り取ると部品になるわけなんですね。切り取る、これが3CLプロテアーゼ。切り取るこのニッパーを使用できなくするというのが新しい薬であります。この3CLプロテアーゼというのは、人間の細胞は持ってないです。ウイルスが持っているものしかないので、例えば人間の細胞にダメージがない、そういった優れた薬がある。これが、インフルエンザに対するタミフルのように、軽症のときに内服できるとか、それからコロナの感染に暴露してしまったときに飲むとか、そのようになると、我々も精神的に安定すると思います。
 2009年に新型インフルエンザが流行したときは、今のようなパニックにならなかった。というのは、当時タミフルがあったんですね。だから、皆さん安心していたわけですけれども、今回は何もなかったものですから、どうしようかと不安感があおられました。こういった薬が来年早々できる段に、安心感ですね。感染したなと思ったら飲んじゃうことができるもんですから、これは安心感ができると思っています。
 最後のシナリオ。感染力が強く、病原性のない変異株の出現。どういうことかと言いますと、今のデルタ株ですね、感染力が強くて、しかも肥満の方とかワクチンが打てない高齢者を重症化させます。でも、重症化させないウイルス、しかもデルタよりも感染力が強い。こんなウイルスが出現してくれれば、デルタを駆逐してくれる。そうすると、我々は安心できる。ウイルスの中で一番要領の悪いウイルスは、エボラですね。エボラウイルスは非常に要領が悪い。なぜならば、人間に感染して、人間が死ぬ。死ぬとそこに寄生している自分たちも死ぬわけです。あまりにも致死率が高いので人間も怖がって、ガウンをしてマスクもつけてやるわけです。人を重症化させるから、死亡させるから、人間は身構えるわけで、病原性がなければ、何も悪さをしなければ、人間も何もしないんですね。知らない間に流行するだけであって。ですから、今回のデルタも新型コロナも人々にダメージを与えられるからワクチンをつくられて、マスクをされちゃうわけで、そういうことがないウイルスができればいいかな。こんな都合のいいウイルスができるわけないだろうと先生方は思うかもしれませんが、あったんです。2009年の新型インフルエンザは、これこそ人類のために発生してくれたウイルスなんです。実はこれ、2007年、2008年、2009年なんですが、この青い当時のソ連型というやつなんですが、これはタミフル耐性が99%、この1年前から耐性度が強くなって90%。私、2008年の終わり頃にとうとうタミフルが使えなくなるなと思っていた。誰でも専門家はそう思っていたんですよ。ところが、この2009年の新型インフルエンザが流行して、しかもこれタミフルが効くんですよ。このウイルスが出て、タミフル耐性ウイルスを駆逐したんですね。今、タミフルが使えているのは、2009年新型インフルエンザウイルスが流行したからなんです。しかも、この新型インフルエンザウイルスは、高齢者を重症化させなかったんですね。本当、人間に都合がいいウイルスなので、こういったウイルスができてくれればうれしいかなと思います。
 最後に、本を2冊だけ紹介させてください。今、クラスターとかブースター接種とか、そういった用語ですね。一般の方々が知っております。ブースターもクラスターも、ついこの間まで感染症の専門の者しか知らなかった言葉を一般の方々が今覚えてしまった。一般の方々が感染対策に興味を持ってきたので、今がチャンスだと思って院内感染対策を物すごく分かりやすく、そんな本を作って、今、一般の方々に我々が日常的に理解できるような、我々が日常やっている感染対策を理解していただくチャンスかなと思って、こういった本を出しました。これが1カ月ぐらい前です。
 あと、来週、書店に並びます。今日ぐらいに私どもにも届くんですが、アフターワクチンの新型コロナ感染対策。これは私が今日申し上げた3回接種をする場合、自由になろうという本なんですけれども、こういったのも今準備いたしましたので、先生方、お時間があるときに、来週月曜日ぐらいから多分書店に並ぶと思いますし、アマゾンではもう購入できますけれども、これをちょっと御参考にしていただければうれしいかなと思います。
 あと、今日、委員会の先生方なので、今後に関して私からお願いしたいことがございます。今回のコロナに関して、専門家があまりにも少なかった。感染症医、しかも臨床感染症医ですね。実際に感染症を診る感染症医がすごく少なくて、私どもはむちゃくちゃ忙しくて、私、3月にクラスターを経験したときに、とうとう不整脈になってしまって循環器の受診したぐらいです。感染症医が育っておりません。浜松医療センターは、私が病院にいるときは感染症医は4人もいました。ところが、私が退職して1人が東京に行き、1人が大阪に行き、今常勤は1人しかいないんです。例えば、先生方、もし将来、これまででもいいんですが、お仕事でアフリカに行って、帰ってきたら熱が出た、39度です。どうしたらいいのか。もしかしたらマラリアかもしれないですね。熱帯熱マラリアは、発症してから5日以内に治療しないと助からないです。我々、助けることできない。今、日本に置いている薬は内服しかないんですが、重症になりますと注射薬が要るんですが、注射薬もない。ところが浜松医療センターでは注射薬を準備しております。では、マラリアの経験をどこで積んでくるかというと、私は若い者に、例えばケニアに行かせて治療させたり、それからタイで破傷風の診療を経験させたり、あとザンビアのほうに行かせたり。私もボツワナ、ジンバブエ、ガーナに行ったりするんですが、そういった感染症を実際に見る経験をさせないといけないんですが、そういった経験ができる病院がない。今まで浜松医療センターでやっていたんですけれども、そういったことをできるような本当の感染症医を育てる状況ではない。なので、先生方にまた考えていただきたいのは、感染症医の補助金とか、特に海外留学、アフリカとか東南アジアとか、あと俄然中国なんですが、行くサポートをしていただけるとうれしいかなと思ってます。今、本当に渡航ワクチンが増えていっぱいあります。ところが、マラリアとかデング熱を診ることができる医者はほとんどいない。私は内科を持っていますけれども、安心して診ることができるのは浜松医療センターしかない。以前、チフスになった患者がドクターヘリで浜松医療センターに来ました。ショックだった、19歳だったんですけれども、我々救命いたしましたが、そういったこともちょっと考えていただきたいと思います。あと、感染症センターを東部につくるという話もありますけれども、東部でつくった場合、東京のほうから若い人が来て勉強して、そして東京に帰っていく。静岡県に残るんだろうか、不安があります。
 個人的な意見なんですが、将来、静岡県版CDCをもしつくるんであれば、県庁の近くか、それか中部か浜松医大に近い西部に。東部に行っても首都圏の若い人たちの教育には静岡県がお金を出すことはないと思います。ですから、それに関して、また御検討をお願いしたいかなと思います。なかなか難しいかもしれませんけれども。
 最後に、今回、新型コロナが流行した初期、県立病院の動きが悪かったです。がんセンターも第5波になって、やっと少し病床を開放しただけですし、県立総合病院のほうも今はしっかり見てますけど、当初悪かった。ですから、今後も感染症が流行してきた時期に、最初に我々が引っ張ってこれるのががんセンターも含め県立病院だと思います。ぜひともそういったシステムをつくっていただきたいと思います。
 私の話はここまでにしたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。

○曳田委員長
 ありがとうございました。以上で矢野先生からの説明は終わりました。
 ここで換気のため少し休憩します。

( 休 憩 )

○曳田委員長
 それでは皆様、よろしいでしょうか。
 これより質疑に入ります。
 委員の方にお願いいたします。質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いいたします。
 いろいろと質問があると思いますけれども、1回目は1問ずつ皆さんからお伺いして、その後でどうしてもということであれば、また御指名しますのでよろしくお願いいたします。
 それでは発言願います。

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