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委員会会議録

委員会補足文書

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平成29年11月社会資本・まちづくり特別委員会
静岡経済研究所 主席研究員 大石真裕氏 【 意見陳述 】 発言日: 11/22/2017 会派名:


○大石真裕氏
 ただいま御紹介いただきました静岡経済研究所の大石真裕と申します。きょうは貴重なお時間を頂戴して御説明させていただきますけれども、よろしくお願いいたします。
 では、早速本題でよろしいですか。
 私からは、人口減少時代のまちづくりということで、御説明をさせていただこうと思います。
 既に御案内のとおり、静岡県も人口が減り始めて、かれこれ10年ぐらいがたつという状況になっております。それまではずっと人口がふえる中でまちづくりが行われてきたわけでして、ですから、市街地もどんどん郊外へと拡大をしてきたわけなんですけれども、それが今、転換をしている状況にあるということなんですね。そうすることでどういう課題、問題が生じるかとなりますと、例えばインフラの維持ですよね。どんどん郊外へと伸びてきたわけですけれども、そういったものを人が減っていく中で、税収、財源も厳しくなる中で、どうやって維持していくんだという問題が出てくると思いますし、もう1つは、人が減っていく中で、地域のコミュニティーをどうやって維持していくのかという問題ですね。
 今、空き家問題もかなり顕在化、深刻化していると思いますけれども、そういった防犯、安全安心の面からも、地域コミュニティーが希薄化していくことが、1つ問題になっていくのだろうと思われます。また、町の顔も喪失、失われていくと、いろんな問題があるかと思うんです。そうした中で、人口減少時代のまちづくりということなんですが、中心市街地ですね。町中のにぎわい再生、それもハードというよりもソフトの部分を中心に御説明をさせていただこうと思っております。
 それでは、きょう御説明させていただく流れでございますけれども、大きく4つのパートで考えております。
 1つ目が、まちづくり政策の変遷、2つ目が静岡県の状況、そして、事例研究と。ことし、北九州と東京都の台東区に現地取材をかけまして、北九州がリノベーションのまちづくりですね。東京都の台東区はものづくりのまちづくりと、町のにぎわいをつくり出している事例があったもんですから、そちらを簡単に御説明をさせていただこうかと。そして、最後に総括としてお話をしたいと思います。
 まず最初に、資料でいきますと3ページ目になりますけれども、まちづくり政策の変遷でございます。ここ、40年、50年ぐらいの間で重立った政策で、4つほど挙げさせていただきました。
 一番最初が大規模小売店舗法で、1974年に施行され、それを皮切りに、まちづくり三法がミレニアムのころにできて、さらにそれを改正した改正まちづくり三法が2006年、2007年ごろ施行と。そして、一番足元では、改正都市特別措置法ができております。それぞれ、ポイントとしては、一番最初の大規模小売店舗法ですね。これは、ここにも書かせていただきましたが、大型店の出店を調整すると。地域の中小商業者さんを保護する観点で、商調協なんて言葉もありましたけれども、店舗面積ですとか、休業日数ですね。そういったことを基準にして、新しく大型店が出店したい場合に、地域でそれを調整していく、規制をかけていくことからスタートしたのかなと思います。
 それがだんだん、まちづくり三法になると、まちづくりの視点が入ってきます。そして、改正三法になると、今度はコンパクトシティーですね。このころから、人口減少もにらみながら、コンパクトシティーという考え方が表に出てきます。そして、一番下ですけれども、それをさらに一歩進める形で、コンパクトシティーにプラスしてネットワークと、そんな考え方になってきています。
 4ページですが、先ほどのまちづくり三法ですね。ミレニアム、2000年ごろに施行されたまちづくり三法がありますけれども、簡単に、ポイントだけ御説明をしますと、それまでの大店法は、中小小売業を保護するという視点でしたけれども、大店法にかわって、大規模小売店舗立地法が施行されました。観点が、中小小売業者の保護から生活環境の保護という方向に変わってきたと。先ほどは、大規模店の店舗面積とか、何日営業するんだといったことが審査基準になったわけですけれども、この大店立地法になると、駐車場、駐輪場の台数は十分確保されているのかとか、廃棄物の保管処理ですね。その辺は適正にできるのかと、騒音対策はどうなんですかといった生活環境の保護という観点に移ってきてということです。
 それに加えて、三法になるんですけれども、中心市街地活性化法ができ、これによって、市街地を整備することと、商業を活性化するという2つを車の両輪として、中心市街地を盛り上げていこうと、商業一辺倒の振興から、やや変わってきていると。市街地整備みたいな視点が盛り込まれてきております。
 そして、最後の改正都市計画法ですが、これは用途地域によって、例えば大型店の立地を規制するような用途地域を各地で設けれることができるようにする、そういった形でまちづくりを進めていこうということが、このまちづくり三法になります。
 続きまして、改正まちづくり三法ですね。このときに、コンパクトシティーが前面に打ち出されてきました。ここでのポイントは、中心市街地活性化法ですね。これについては、そこにもありますとおり、市町村の計画を国が認定して支援する形になりました。従前は国の認定はなかったんですけれども、この改正三法になって、各市町村で中心市街地活性化の基本計画をつくり、それを国が認定をすると。認定が受けられれば、国から交付金とか規制緩和といった重点的な支援が得られるということで、選択と集中と言いますか、やる気のある自治体が手を挙げて、それを国が認めれば支援しますよという形に変わってきております。
 そして、改正都市計画法ですけれども、ここでは、大型店の立地規制をさらに強化していくことになっております。具体的に言うと、工業地域とか、準住居地域ですとか、そういった用途地域によって、従来は大型店が立地できた用途地域も、立地が原則できないようにしていく形で、ある意味ゾーニングと言いますか、大型店が立地できる用途地域をより限定していく形でコンパクトなまちづくりを進めていくことが、この改正三法のときに始まっております。
 そして、一番新しいところですね。改正都市再生特別措置法ですけれども、コンパクトシティプラスネットワークと書いてありますけれども、具体的に言いますと、そこの図の中で、左上の四角があります。市街化区域の中に、住居誘導区域を設定をしていく――その名のとおり、住宅を集中させていく地域を設けるということですね。例えば、駅周辺とか、あるいは合併した都市があれば、旧市町の中心部とかですね。既に集積が見られるようなところに、もっと住居を集めていこうと、住居誘導区域を幾つか設ける。さらに、その中で、都市機能誘導区域ですね。これは、都市機能ということになりますので、例えば病院とか、スーパーとか図書館、高齢者施設ですね。そういった都市機能を集積させていく地域。この図でいきますと、この赤いところですね。こういうところに幾つか拠点をつくっていく。この拠点をバスや鉄道なんかの交通インフラで移動できるようにすると。幾つかコンパクトな拠点をつくりながら、それをネットワークでつなげていくということですね。
 富山市のコンパクトシティーが、そもそもこの考えのもとになっている気もしますけれども、1つに都市拠点を集めるんじゃなくて、幾つかある拠点に、住居や都市機能を集めていく、そこを交通ネットワークでつなげていく考え方が、今、一番新しい考え方になっています。
 ということで、まちづくり政策については、大体こんな流れできているんですけれども、第二章で、静岡県の状況を、少し統計数字を使いながら、御説明をさせていただきたいと思います。
 資料でいきますと、ページ番号は7になります。
 最初に、人口や小売業の変化ですけれども、図表の1番ですね。静岡県の市街地の変化と書かせていただいています。ここに3項目、人口と、人口集中地区面積、人口集中地区人口密度を、平成2年から27年まで追っております。
 この中でポイントとなるのは、まず人口については、静岡県の人口は平成17年が379万人でピークになっているということです。
 その一方で、人口集中地区面積ですね。読んでそのままなんですが、人口が一定以上集中している地区の面積がどれぐらいあるかということなんですけれども、それは、平成22年が425平方キロメートルで、そこがピークになっております。ですから、人口は平成17年をピークにして減り始めているんですが、市街地はその後もしばらく拡大を続けていたということになります。
 一番下の人口密度ですね。その人口集中地区の人口密度はどうかと言いますと、このピークは平成12年なんですね。平成12年をピークに、人口が集まっている地域の人口密度は既に下がっている。そのころ、まだ人口はふえていたわけですが、どんどん市街地が広がっていく中で、既に人口密度は薄まり始めていた状況にあることがわかります。
 それから、この図表の2をごらんいただくと、静岡県の立地環境特性別の商品販売額の変化という統計なんですけれども、要は立地別の商品販売額がどう推移しているかを見ています。ここで読み取れることは、静岡県全体でいきますと、平成9年から26年にかけて、小売商業の販売額は16%ぐらい減少をしていますと。県全体でですね。じゃあどこが減っているかを立地別に見ていきますと、この三角、上から3番目と4番目ですね。駅周辺商業集積地区は約6割、それを取り巻く市街地型の商業地区は約5割、小売販売額が減っているというわけです。ですから、町中の小売販売額の落ち込みが、全体の落ち込みの主な原因になっているということなんです。ただその一方で、ふえている地区もあるんですね。それがこの下から4番目と2番目なんですが、1つがオフィス街地区、ここは25%ふえていて、工業地区は、28%ふえているということになりますので、小売業の視点から見ても、町中の小売業は苦境にある一方で、従来工場が建っていたようなところには大型店が建って、小売販売額は伸びていることが、この統計からわかると思います。
 続きまして、中心市街地活性化への取り組みになります。冒頭のまちづくり政策の変遷でいきますと、改正まちづくり三法にのっとって、中心市街地活性化基本計画をつくり、国に承認をされたところが、静岡県内には5市6地区あります。その状況がどうなっているかをまとめたのが、こちらの表になります。
 地区ごとに簡単に説明をさせていただきますけれども、一番最初、これは静岡市の静岡地区ですね。旧静岡市の中心市街地です。上の段は、活性化計画で掲げた目標、それから主な事業、計画期間になっております。そして、下の段が、各目標の達成状況です。
 ちなみにこの静岡地区で掲げた目標、指標ですね。左に、歩行者通行量、その下は参考指標とありますが、町中への滞在時間、年間小売販売額、施設の利用者数について、KPIというか、目標数値を立てて、それを達成するように、上で挙げたような事業を展開してまいったということです。
 そして、もう1つ説明させていただきますと、一番下の欄外になりますけれども、2番ですね。達成状況について、ちょっと説明をしています。達成状況というのは、下の表の一番右側に、A、B、Cと3つのアルファベットが並んでいます。これが何を意味するかですが、最初に達成状況のAは、最新値が目標値を超えたということです。下の段を見ていただくと、基準値、目標値、最新値とあります。基準となる年とこの計画で立てた目標値に対して最新の実績がどうなっているかですが、達成状況Aは、最新値が目標値を超えた、つまり目標達成ということですね。
 続いてBは、最新値が基準値を超えたものの、目標値には届かない。基準となる年よりも伸びてはいるけれども、目標まではちょっと届かなかったなと、これがBです。
 そしてCは、最新値が目標値にも届かなかったし、基準値も下回ってしまった、これがCですね。
 これで見ていきますと、静岡地区はAが1つあります。施設の利用者数ですね。主にこれは、市立美術館といった公共的な施設になっていたと思いますが、そういった施設利用者数は増加をしています。ただし、その一方で、歩行者通行量や年間小売販売額はC評価で、むしろ基準年よりも沈んでいる状況になっています。
 次のページへ移りまして、清水地区になります。清水地区の達成状況ですね。こちらを見ますと、B、C、Cで、いずれも達成できていないということです。ちなみに、清水地区で掲げた目標指標は、居住人口、観光交流客数、歩行者通行量となっております。ここにつきましては、それぞれ各市町で設定をすることができるもんですから、目標指標については統一されたものではなくて、それぞれが任意に立てた目標になります。
 清水につきましても、いろいろ駅前の再開発を進めたり、マンションもできたりして、居住人口は基準年を上回っているけれども、観光客とか歩行者通行量はむしろ減ってしまっているということです。
 続いて、10ページが浜松市になります。浜松市につきましては、Aが1つあります。これが就業人口です。浜松市では、ビジネスアレー構想ということで、オフィスの進出支援もしてきたわけですが、それが功を奏しているのかなと思います。ただ、なかなか松菱の跡地が進まなかったりする中で、小売販売額などC評価になってしまっています。
 続いて、沼津市になります。沼津市につきましては、中心市街地の自転車通行量ですね。歩行自転車通行量はAで、目標を達成することができました。こちら、沼津駅と沼津港を、いかに人が流れるようにするかといろいろ工夫をされた結果、自転車通行量等はA評価になっているのかなと思います。
 それから、藤枝市ですね。藤枝市につきましては、オールAになっております。こちらにつきましては、特に駅南の再開発ですね。Bivi藤枝とかオーレ藤枝ですか、そのあたりが大きく寄与した結果、オールA評価になったんだろうと思われます。
 そして、最後に掛川市ですけれども、掛川市につきましては、営業店舗数がA評価になっています。こちら、屋台村をやられたりする中で、そういった営業店舗数についてはA評価になっていると分析しております。ただ、町中の居住人口、それから歩行者通行量はCで、右肩下がりの状況がとまらなかったということです。
 以上が、計画のそれぞれの状況です。14ページに移りまして、一番新しい立地適正化計画への取り組みで、まだ始まったばかりではありますけれども、今、全国で計画を公表しているところは12都市ありまして、本県では1都市、静岡市が既に計画をつくって公表をしています。加えて、策定中でいきますと、県内では18都市あります。35市町中18都市ですので、半分以上の都市がこの立地適正化計画、コンパクトアンドネットワークの取り組みに着手をしていることがわかります。
 ただ、この立地適正化計画につきましては、計画目標年がおおむね20年後になっております。つまり、今後20年をかけて、緩やかに町をコンパクトにしていく考えのもとに進められております。それはそれで当然進める必要はあると思うんですけれども、それに加えて、短期的な取り組みですね。じゃあ今、どうするんだと。やはりあるものを生かして、町中を再生していく取り組みが、もう1つ求められるのではないかと考えています。
 そこで、次から第3章になりますけれども、まず最初に、北九州のリノベーションまちづくりを、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。ここで、単調な説明ばかりになってしまっても恐縮なので、10分強、それを説明した動画があります。そちらをごらんいただければと思います。
(動画)
○大石真裕氏
 はい、ありがとうございました。
 今の北九州のリノベーションまちづくりについては、ポイントを資料にも簡単にまとめてございますので、また改めてごらんいただければと思います。
 それでは、また資料に戻らせていただきたいと思います。ページ番号でいきますと、今度は20ページですね。台東区のものづくりのまちづくりの御説明をさせていただきます。
 20ページに地図と文字がありますが、台東区は、この上の浅草、秋葉原と、ここら辺に囲まれたところになるんですけれども、昭和10年には、23区最大の人口、46万人あったんですが、平成11年には15万人にまで減少して、逆に23区の中で一番少なくなってしまった。ただ、それが平成11年から26年にかけて、15年間ほどですが、18万8000人にまで人口がふえてきている地区になります。
 続いて、21ページです。ちょっと詳細な地図になりますが、特に対象とするのは、カチクラエリアと呼ばれています。このカチクラというのは、ここにありますが、御徒町の徒と蔵前の蔵ですかね。そこのエリアがカチクラと呼ばれて、数年前から、若い方を中心に注目をされてきたエリアになっています。もともとこちらは、ジュエリーとかバッグとか帽子といったものを職人さんがOEMで製造すると。そんな職人の町だったんですけれども、近年はそこにおしゃれな工房兼ショップとか、ギャラリー、ゲストハウスなどが立地するようになっているということです。
 資料番号22ですが、この台東区のものづくりのまちづくり、この原動力になっているものとして、台東デザイナーズビレッジ、通称デザビレと言っていますけれども、これがあります。これは何かと言うと、そこに書いてありますが、雑貨関連分野で起業を目指すデザイナーやクリエイターの創業支援施設になります。これがその事務所なんですが、実はこれも趣がありまして、廃校になった小学校ですね。いわばリノベーションしている事例になります。
 デザビレの経緯的なことを少し、資料番号23でまとめてございますけれども、低コストのアジア諸国に対抗と、もともとそういったかばんとか帽子といったものの部材をつくったり、あるいはOEMで供給をしていた地区なんですが、アジア新興国のキャッチアップをする中で、やはり価格ではかなわないという状況になってきたと。そうした中で、じゃあデザイン性を高めて高付加価値化をつける必要があるんじゃないかと、そこら辺がこの出発点になっています。
 ここに入れる方は、創業5年以内のクリエイターで、最長3年間入居することができるんです。3つ目のぽつにあります、手づくり作家ですね。いわゆる一品物をつくる手づくり作家ではなくて、もっと何人も雇用できるような企業を目指す、そういういわば起業家精神のあるクリエイターをこの中に入れたいと、ここの村長が思っていまして、ですから、入居募集をかけるときから、そういう観点でセレクションをしますし、入居した方に対しては、個別の相談や催事の出展支援といった個別の支援を行っております。
 そして、デザビレができたのが2004年で、これまでの間に約70組がここを卒業をしています。そのうち、約半数が台東区内にアトリエを構える、工房を構えるようになって、そのうち20組が小売りをするショップの併設をしています。
 どうして、こんなに多くの卒業生がこの台東区、カチクラで卒業後も活動をするかということなんですが、その下に書きましたけれども、試作や材料調達に便利だと。もともと職人町で、部材を扱う問屋さんとか、工場とか、材料屋さんといった集積がありましたので、そういった方々の活動には便利、活動しやすい地区だったわけです。
 ですから、ページ25に、模式図的に書きましたが、卒業生がこのカチクラでアトリエショップを開店して、そういったところがふえてくると、中には若者中心に人気を集めるブランドも出てくるわけですね。そういうところが出てくると、テレビや雑誌で紹介をされる。そういうものを見た消費者の方がカチクラを訪れる。上野や浅草に目が行きがちですけれども、若い方を中心に、カチクラって何だろうということで、注目度を集めると。
 そうすると、今度はデザビレの卒業生だけではなくて、ほかの地域で活動しているクリエイター、デザイナーの方も、ぜひここでやってみたいなと集まってくるという循環ができる地区になります。
 次のページがその一例で、写真を入れてみましたけれども、生活雑貨のお店のSyuroというお店ですとか、皮製品を扱うエムピウですね。そういったお店があったり、あとはインバウンドの方が安く泊まれるようなゲストハウス、とてもおしゃれな感じですけれども、そういったゲストハウスとかカフェレストランですね。そういったものもクリエイターの出店に伴ってでき始めています。
 そしてもう1つ、このカチクラの注目度を高めている原動力ですけれども、モノマチというイベントがあります。中身はデザイナーズビレッジの施設公開をしたり、クリエイターズマーケットということで、地域外のクリエイターの方による作品の展示販売、それから、カチクラエリアの問屋、職人さんの工房を、このときは見学できるとか、あとは職人体験ができるワークショップをやるといったお祭りはもう1つここの原動力になっています。
 次の写真は、そこの一風景です。こういった皮製品ですね。そういったものを展示、即売したり、商店街を使って多くの人が押し寄せてきたり、子供が体験をできる、そんな風景になっています。
 このモノマチを始めたきっかけですけれども、そもそもはデザビレの施設公開ですね。デザイナーズビレッジの施設公開。単にそのクリエイターのSOHO施設、中で何をやってるんだろうというだけじゃなくて、もっと地域の人にデザビレを知ってもらいたい、クリエイターを知ってもらいたいという中で始めた施設公開が1番の大もとになっているんですけれども、だんだん卒業生もふえて、地域に点在していくようになる中で、カチクラエリアのファンもふやしていきたいことから、卒業生とか地域の企業にも声をかけて、このモノマチが始まったということになります。
 そして、ページ番号31ですが、モノマチの主な実績ですが、始めた当初は、大体3日間のイベントで、延べ1万人ぐらいの来場者でしたけれども、それが10万人ぐらい来るようになっています。そこに出店する事業者も、当初の16組から今では200組ぐらいに増加をしています。
 それから、お客様の意識も変われば、職人の意識も変わると。職人さんも、そもそもは完成品のメーカーさんと取引をして、仕様に沿ってものをつくる、余りマーケットのことを考えたりする必要はなかったんですけれども、もっと消費者のほうを向くことで、例えば意識が変わってきているというお話でした。
 そして、4つ目に書かせてもらったのは、台東ものづくりのまちづくり協会が設立をされました。もともとこのモノマチは、デザイナーズビレッジの方を中心に、有志で運営をされていたんですけれども、これだけイベントの規模が大きくなって、なかなか片手間ではできにくい、手弁当ではやりにくくなってくる中で、こういった協会をつくって、今では運営をしています。
 要は常設の協会組織ができたことで、年に1回やるイベントの企画運営だけでなくて、町おこし活動も1年間通じてやれるような体制が整ってきた。そういう波及効果も出てきているということでした。
 そして、カチクラですね。カチクラの目標でお聞きしたのは、ニューヨークとかミラノ、パリみたいに、世界中からファッションを求めてお客さんが来る地域にしたいと大変意気込んでおられました。くしくも、東京オリンピック・パラリンピックが2020年、開催されるわけですけれども、外国から来た方と、ここのクリエイター、職人の方が交流をする中で、単に値段で物を買うんじゃなくて、そういった職人、クリエイターとの交流を通じて、地域のブランド価値を知ってもらって、あ、この値段でもいいよねと買ってもらうところを目指していらっしゃるということでございました。
 以上を踏まえて、最後に総括ということで、お話をさせていただきたいと思います。今の2つの事例、北九州と台東区を簡単に説明をさせていただきましたけれども、この2つの事例からエキス的なことを抽出をすると、大きく3つあるのかなと思うんです。1つがそのストックを生かすということ。2つ目がよそ者を巻き込むということ、3つ目が個性あるまちづくりを進めるということではないかと考えます。
 これによって、ここに丸を3つ書きましたけれども、中心市街地の価値を高めて、新しい投資を呼び込む、そしてにぎわいをつくり出していく。それがまた、中心市街地の価値を高めるという循環につなげていくことができないだろうかと考えるわけです。
 先ほど3つ申しましたが、最初のそのストックを生かすということでいきますと、北九州のように、空きビル、空き店舗といった遊休不動産もストックですし、あるいは既存産業、台東区のように、既にそこにある既存の企業、既存の産業ですよね。地場産業。そういったものを、地域資源、地域の貴重なストックと言えるんだろうなと思います。
 ですから、そういった地域にあるものを生かして、できることから始めていくということが大事だと考えます。
 それから、2つ目のよそ者を巻き込むということですけれども、ビデオで出てきましたが、リノベーションスクールですね。実際、本当の物件を対象に事業アイデア的なものを練ってくるんですけれども、そこに集まってくる人は町の人だけではなくて、全国に呼びかけて、全国から集まってきています。そういったまちづくりに関心のあるような人とか、お仕事に携わっている人とかですね。その地域に関係ないような方も集まってきて、いろんな視点でどんな事業をしたらいいかと考えておりました。
 それから、クリエイターの登場で、職人に変化ということですが、台東区でも、職人の方がずっと仕事をされていたわけです。OEM供給ですね。そういったいいものをつくることで、ずっとやられてきたわけですけれども、そこにクリエイターが入ってくることで、職人の価値観が変わっていくという変化が起きていました。
 そういったよそ者が入ってくるということで、なかなかいいことばかりではないかもしれませんけれども、地域の住民が当たり前と思っていて、気づかないことが実はすごいことだったりということもありますので、地域のよさが発見できる可能性もあると思うわけです。ですから、そういったよそ者の視点も、大事なことなんではないかなと思います。
 ちなみにこのリノベーションスクールなんですけれども、北九州市が発祥と言われておりますが、今、静岡県内でも各地でそういったリノベーションの動きというのは起こっていまして、一番活発なのは、熱海市だと思います。熱海市では、この北九州のスクールに参加した方が、やはり町守という会社をつくって、カフェをやったり活動をされています。そのほかにも、沼津市とか静岡市とか、浜松市でもスクールの動きがあると聞いておりますけれども、県内でもそういった動きは実際に起こってきている状況になります。
 それから、3つ目の視点として、個性あるまちづくりを進めるということになります。一点突破の挑戦と書きましたけれども、いろんな利害関係者の方もいますし、いろんな地域資源があるわけですけれども、総花的なまちづくりを進めても、なかなか個性を出すことが逆に難しくなりますので、何か光った個性、ほかに発信できる、誇れる個性を、何か1つ持つ。そうした視点が重要ではないかなと思います。
 そして、36ページからは参考になります。冒頭、ソフトを中心にとお話しましたが、ちょっとここはハードっぽいお話で、町の顔となるランドマークづくりも、個性を出すという意味ではあり得るのかなと、参考で書かせていただきました。ここで考えて、まとめてみたのは、多機能複合型スポーツ施設ですね。単にスポーツをするための施設ではなくて、そこに例えば商業機能であるとか、住居機能であるとかをくっつけていくことで、ちょっと極端ですけれども、税金に頼らない施設と言いますか、自活できるような施設までできるといいのではないかなと思いまして、ここに例示で書かせてもらいました。
 アメリカとかヨーロッパでは、ここにもちょっと書きましたが、そういった施設は幾つかあります。ザンクト・ヤコブ・パルクとか、アムステルダム・アレナですか。こういったところは、1階に高速道路が直結をしていたり、高齢者向けの住居が併設されているとか、商業施設がくっついているものなんですが、日本国内を見ても、そういったものができ始めていまして、1つが新潟県の長岡市にあるアオーレ長岡というところ。それから、岩手県にはオガール紫波というものがございます。
 ちょっと幾つか写真を抜粋していますが、アオーレ長岡は、この左下ですね。これは、アリーナですけれども、最大5,000人が入るアリーナで、ここでやっているのがプロバスケットボールですね。実はここがアルビレックス新潟のホームアリーナになっているそうです。新潟市ではなくて、長岡市にホームアリーナがある。なぜかというと、新潟市には協会のレギュレーションを満たすだけのアリーナがなく、ここはそれを満たしているので、このアオーレ長岡が、アルビレックス新潟のホームになっているということです。
 この右上にあるのが、土間をイメージしてつくったというんですが、ちなみにこれ、たしか隈研吾さんが設計をしていると思います。中土間と言われるものでして、ここ、雨が降っても大丈夫なように、上がついていて、ここではいろんなイベントが催せるようになっている。ここの右下は、市議会の議場ですか、そういったいろんな機能が長岡駅前に、約1.4ヘクタールぐらいの土地に、こういった複合施設ができているということです。
 それから、次にいきまして、岩手県のオガール紫波というところなんですが、これはこの左下ですね。ここにあるのは、バレーボールの専用体育館です。ここの床材が、国際試合の規格に合った床材で、そういうレギュレーションを満たしたバレーボール専用体育館はここにしかないようでして、ユースチームが合宿をするとか、そういうことにここが使われたりしているようです。こういったバレーボール専用体育館のほかに、この右上を見ますと、サッカー場もあったりします。そのほかには、この右下には産直の市場的なものがあったり、この中には役場が入ったり、図書館が入ったりと、そんなことになっていて、ここのオガール紫波のコンセプトは、補助金に頼らないまちづくりで、PFIを活用したり、定期借地権を使って事業募集をかけて、民間を入れるとか、そういった形で、いわゆるPPP的な手法を使っておりまして、補助金に頼らない地方創生モデルと、そんなことも言われています。ここの紫波町というところは、今、人口3万人なんですけれども、約80万人ぐらいが来るようになっているということでございました。
 そして一番最後になりますが、繰り返し的なお話になりますけれども、長期の取り組みですね。立地適正化計画が今、走っていますけれども、やはりその長期的な取り組みとして、コンパクトなまちを目指すことは、やはり重要なんだろうなと思います。住宅や公共施設、商業施設、そういったものを集約をしていく取り組みに加えまして、今、いろんな事例を使って御説明した短期の取り組みですね。地域にあるものを生かして、できることからやっていくということ。そうした短期と長期の取り組みを両輪として、住民に選ばれる、多くの人に選ばれるまちづくりを進めていくことが、これからの人口減少時代のまちづくりには、重要なポイントなのではないかなと考えております。
 長い間、おつき合いいただきまして、ありがとうございました。

○中澤(通)委員長
 ありがとうございました。
 以上で、大石様からの説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 委員の方にお願いをいたします。質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いをいたします。
 それでは、質問、御意見がありましたら、順次御発言をいただきます。

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