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委員会会議録

委員会補足文書

開催別議員別委員会別検索用


令和2年9月新型ウイルス等感染症対策特別委員会
一般財団法人静岡経済研究所 常務理事 恒友仁氏 【 意見陳述 】 発言日: 09/04/2020 会派名:


○恒友仁参考人
 静岡経済研究所から参りました、恒友と申します。今日はよろしくお願いいたします。
 今日は、新型コロナウイルス感染症による県内経済の影響についての説明ということで参ったんですけれども、その話をするに当たって、私の経歴を若干説明したほうがよろしいかなと思いますので、説明させてもらいます。というのは、こういった経済の話というのは、皆さん、もうさんざんテレビとか新聞とかで御覧になっていると思うんですけれども、説明する人間の癖によって、いろいろ捉え方が違ったりとか、説明の難易度が違ったりとかということがあると思いますので、そういった意味で説明させてもらいます。私は、銀行に30年ほどおりました。2年前に研究所に参りまして、今、研究全体を統括する立場にあります。この資料の最終ページに、研究所に28名とあるんですが、プラスして、県とか民間企業からの研修生も含めますと、32名の体制でやっておりまして、それぞれが業種なり業界なりの専門分野を持っております。
 その中にあって、私は、特定の専門業種を担当しているわけではなくて、全体を俯瞰する立場、特に、金融市場ですとかマクロ経済的な視点でものを見ております。それでは、銀行にいた30年、何をしていたのかということなんですが、皆さんが思い描かれるような銀行員はやっていませんで、ほとんど専門職として在籍しておりました。30年のうち、20年が金融市場の担当ということで、いわゆるお客様から預かった資金を、株とか債権とか為替で運用しながら運用益を稼ぐ仕事をしておりまして、最後の10年ぐらいはずっと2兆円ぐらいの資金運用の責任者をやっておりました。あと5年は海外におりました。1年間はイギリスの別の銀行に行って研修をして、ただその当時は、西暦で言うと1995年から1996年で、今はEU離脱とかいう話をしていますけれども、まだその前の前の段階でございまして、身近なところでは、まだダイアナ妃が御存命で、私がイギリスから帰ってきて1年後に亡くなったという、そんな時期でした。
 ただ、私がロンドンにいたときにあったのは、いわゆる狂牛病です。狂牛病が蔓延していて、私はそのときにイギリスにいたものですから、いまだに献血はできない立場です。その当時に半年以上いた人間は献血が駄目だと定義されているようです。
 あと、4年間香港におりました。香港にいついたかというと、2004年から2008年です。よく、コロナウイルスと対比されるSARSです。SARSが2003年だったので、その直後に香港に行って、聞いたところによると、SARSによって香港が大分きれいになって、経済が復活していくのを目の当たりにしていたということでございます。
 また話を元に戻すと、金融市場の担当で、2兆円のポートフォリオというんですけれども、管理をしておりまして、ちょっとでも気を抜くと数秒のうちに何百万円、何千万円、時には何億円という損が出てしまうものですから、常に勉強せざるを得なかったということです。あと、物事をぱっぱとフラッシュニュースのように流れてくるたびに判断しなければいけないということもあったので、深く勉強した後は、今度は逆に、極力シンプルに考える癖がついていますので、今日の説明もシンプルな説明になってくるかと思います。そういったことも念頭に置いていただいて私の説明を聞いていただけたらと思います。
 それでは、早速この表題の、新型コロナウイルス感染症による県内経済への影響ということで、説明を始めさせてもらいます。
 この目次ですけれども、まず1番目に静岡県経済の現況ということで、どちらかというと、経済を俯瞰するような形で、今の状況を説明させていただいた後に、2番目、静岡県経済のポイントということで、これは我々研究所がアンケート調査あるいはヒアリング調査をした結果を踏まえてまとめた数字、生の数字です。言い換えると、県民の考え方とか、静岡県内の企業の経営者の人たちの考え方を反映したものになります。
 まず、静岡県経済の現況ということで、説明をさせてもらいます。
 ここに国内と県内のGDPと題名をつけておりますけれども、先月17日に日本の4〜6月の国内GDPが発表されました。コロナで戦後最大の下げと、ショッキングな題名で新聞に出ていたと思うんですけれども、これも私から見ると、数字だけが独り歩きしていて、いわゆる本質的な部分を見落としてないかなというところがありますので、そこをちょっと御説明させてもらいます。まず、ここにありますGDP、過去にいろいろ大きなものがあって、過去最大だということで、27.8%のマイナスと、確かにリーマンショックのマイナス17.8よりも10ポイントも悪いということで、この下を見ていくといろんなことがあったけれども、ちょっと全然次元が違うなという数字になると思います。
 この27.8というのは速報ベースで、内閣府が一部推計値を基に作っています。また発表した後に、法人企業統計とか実績値が出てきていますので、それが恐らく来週火曜日にアップデートされます。アップデートされた数字が、これもよくなるか、悪くなるかというと、さらに悪くなると思います。このマイナス27.8が、恐らく来週火曜日の発表では、マイナス28.3とか、28.4とか、そんな数字になるのかなと今、アナリストの間では言われています。
 その下です。2009年、リーマン危機。リーマン危機というのは、ここに3つ出ています。一番最初、2008年9月15日にリーマンショックが始まりました。それから、その翌期段階、さらに年明け段階と悪くなっているなというのと、もう1つはここを見てもお分かりのとおり、消費税です。コロナの関係以外のワースト10の中に消費税が3つも入っているということです。いかに消費税の引上げが経済に影響があるかということです。これはコロナとは関係ないんですけれども、そういった御認識が必要なのかなと思います。
 最初に結論めいたものを言ってしまうと、リーマンショックとの違いは何かという話で、本当に経済の基本原則というのは、人が動いて、物が動いて、それでお金が動く、それで経済が成り立つということなんですけれども、今回のコロナの一番決定的なダメージは、人と物が動かなくなっちゃった、ストップしてしまったことでお金が動かなくなり、ダメージが今も尾を引いているということです。
 その点、リーマンショックはお金の動きが止まっただけです。リーマンショックというのは、アメリカの大手の証券会社、金融機関が悪い金融商品を持っていて、その不良債権が基で破綻したと。金融機関というのは相互に関係がありますので、周りに伝播していって、ばたばたと金融機関が止まり、お金が止まってしまったということなんですが、これは皆さん、振り返ってもお分かりのとおり、この時期にじゃあ自分たちも消費を止めましたか、どこか出かけるのをやめましたかというと、そうじゃないんですよね。お金が止まっても、人と物は正常に動いていた。一時的にショックが大きかったんですけれども、その後、ある意味ゴールが見えて、復活していったということです。
 ただ、今回のコロナというのは、まず、見えないウイルスと戦っているのでゴールがどこか見えない。簡単にゴールを言ってしまえば、コロナの恐怖が、不安が消えたときにゴールが来るということなんですけれども、なかなかそれが想定できない。もちろんワクチンとか特効薬ができれば、そこがゴールなのかなと思うんですけれども、まだ先が見えない中で、経済が今どんどん変化してきている。いわゆる産業構造が変化してきている状態なので、この不安が全くゼロになったときに、100%コロナの前の世界に戻るんでしょうかといっても、そこはなかなかイエスとは言えないなというところだと思います。もう今でも、皆様がお買物に行くときに、結構ネットショッピングをやっていませんか。あるいは、移動を伴うときに密になるような動きはやめて、近場で動こうかなとかですね。あるいは特に大手の企業さんですと、もうリモートワークということで、パソナさんが東京から淡路島に移るとか、そういった動きが起こっているので、コロナの感染が終わったら、そういう動きが元に戻るか、それは違うんだろうなと思います。日本の政府も言っていますけれども、新しい生活様式、ニューノーマルというのはこれから来るわけで、今年の初め頃のような世界にはなかなか戻ってこないんでしょうということです。
 次に、このマイナス27.8の意味を考えてみたいと思います。
 国内GDPから見えること、県内経済への影響と記入させてもらいますけれども、この27.8という数字もよく分からないという方が多いと思うんです。これは、そのさらに上のマイナス7.8ってあるんですけれども、1月から3月の経済と、4月から6月の経済力を比べたときのその変化率がマイナス7.8%落ち込みましたということなんです。このマイナス7.8のペースが1年間続くとマイナス27.8、いわゆる前期比の年率換算額という言葉を新聞とかで使いますけれども、1月から3月と4月から6月の傾きの瞬間風速が1年間続いた場合ということになります。この3割近いマイナスがずっと続くというわけではありません。また7月から9月はプラス、当然谷が深いですから若干戻してくるだろうということで、ここはプラス10%以上になるんじゃないかというのが、今の見立てなんですが、そこはさておいて、このマイナス7.8の内訳を見たときに、県内経済はどう考えたらいいでしょうか。私は大きく2つのポイントだけでいいのかなと思っていまして、1つは個人消費がマイナス8.2、これもまれに見る数字です。法人だっていろいろ経済活動しているという話もあるんですけれども、実は日本のGDPも県内のGDPもその全体に占める個人消費の割合は55%ぐらいあるんです。ですので、人の動きが止まって消費が止まってしまうと、このマイナス8.2という数字以上にダメージは大きい、日本の半分以上がここで傷んでしまうというところがあって、静岡県経済もこういったところが出てくるということです。
 もう1つは輸出のマイナス18.5%、ここも大きいです。また後でも出てきますけれども、やっぱり静岡県というのは、県内GDPを生産ベースで見ると、GDPの4割を製造業が占めていますので、特に自動車関連産業を中心に輸出取引が多いものですから、ここは静岡県の経済に対するダメージも大きいです。もう1つ、インバウンドがあります。海外から来る旅行者さんが、県内に来てお金を支出しますが、これは個人消費ではなく、輸出に入ります。ですので、アメリカなり中国なりアジアから、いろんなところから外国人の方が旅行に来てお金を静岡県に落としてくれているというのは輸出にカテゴライズされるものですから、マイナス18.5は、静岡県の観光産業へのダメージにも現れてくるということです。この2点だけでも静岡県の基幹産業の輸出型産業、あるいは観光産業へのダメージは大きいことがお分かりになると思います。
 2点目の論点として、新聞とかを見ると、日本というのは、悪いけれども、アメリカとかEUとかイギリスとか、ロックダウンしたところよりも悪くないですよねという論調もあります。それは先ほど言った瞬間風速のところを見たらそうなるんですけれども、実はそうとも言えないよというのが、この真ん中の2番目のところ、前年同期比ですね。これは何かというと、今年の4月から6月と去年の4月から6月を比較したもので、それを比較すると、アメリカのほうが悪くない、ということです。ここから何が言えるかというと、今、日本の経済あるいは静岡の経済が悪いのは、コロナウイルスだけじゃなくて、去年の4月から6月から今年の4月から6月にかけて、ほかにも何かなかったということなんですね。そうすると浮かび上がってくるのが、先ほど申し上げました消費税の増税が10月にありました。静岡はあまり関係ないかもしれませんけれども、そこからちょっとして、台風19号の風水害がありました。その冬になってから暖冬で冬物家電が売れません、冬物衣料が売れませんということもありました。結構日本は、じわじわと体力が弱っていた。そこにコロナが来たということで、今回の足元の経済の弱さというのは、決してコロナだけで語っては見誤りませんかというところがあると思います。
 それと、3点目、一番右ですけれども、これはIMF――国際通貨基金の予測です。ここは、日本のアナリストたちが予測するよりも客観的に見てくれていると思いますのでお出ししました。日本は2020年から2021年にかけて、復活はするんだけれども、ほかの国よりも経済の立ち直り方が弱いというか、スピードが緩やかです。日本の経済あるいは静岡の経済と言ってもいいかもしれませんけれども、これも構造的な問題になってくるのかなと思います。
 数字のマジックなんですけれども、じゃあこのマイナス5.8が、2021年でプラス5.8になったら戻るかというと、戻らないんです。もうちょっと単純化しますと、例えば100兆円のGDPがあって、今年は10%減りましたというと、90兆円になります。翌年に10%戻しましたといっても、90兆円に対しての10%ですので、99兆円になる。つまり、100%に戻らないんです。ですので、マイナス5.8よりも、もっと上の数字のプラスでないと、なかなか戻っていかないと。この数字を見ると、中国を除いてどこも1年じゃ戻らない復活になりますと。100%戻るのは2022年だとか2023年だとか、あるいはもっと先だといういろんな説がありますけれども、まだこれから起こることによって変わってきますので、よく分かりません。けれども、コロナの影響に関する経済の復活というのは、1年かそこらではなかなか終わらないというところが見て取れると思います。
 それともう1つ、アメリカと中国と日本の名目GDPの推移をグラフにしたものなんですけれども、ちょっと気をつけなきゃいけないのは、アメリカのドルベースで見たときに、アメリカは2000年から今にかけて2.1倍ぐらい伸びています。中国に至ってはもう10倍以上伸びてます。だけど、日本って結構横ばいなんだというところなんです。ここも、アベノミクスで確かに2012年の10月から12月期は、年換算で492兆円あったGDPが2020年の4月から6月期は506兆円ということで伸びているんです。アベノミクスで重要だったのは、円安に持っていったことです。ですので、同じ5000ドルでも、アベノミクスが始まったときは、大体ドル円で80円だったのが、ピークで125円になり、今も105円前後で動いているということで、アメリカのドルで見たときに、もう3割増し、4割増しで日本の経済はよくなっているというところが裏ではあるんです。だけれども、世界から見ると、日本の経済成長率はなかなか緩やかだということが見て取れると思います。
 では、どうしたら日本の経済は成長するんでしょうかというところです。経済成長率というのは3つで成り立っています。1つは、資本の投入、いわゆるお金を投入することによって経済は持ち上がります。
 もう1つは、労働量の投入。労働者を増やす、かつ時間を増やす。頭数だけを増やすんじゃなくて、例えば頭数が倍になっても、一人一人のその労働時間が半分になっちゃったら意味がなくて、労働の頭数掛けるその労働時間の面積が増えるということが、経済の成長には1つ。
 最後に、生産性の向上です。盛んに今、日本の政府が、デジタル化だとか生産性向上、そういったことを言っていますけれども、なかなか資金の投入だったりとか、労働量の増加は見込めない中で、今後、経済成長をするに当たって労働の生産性は上げていかなきゃいけないと。これが、今の日本の経済の課題であり、静岡県経済でも同じことが言えるのかなと思います。
 次に、静岡県経済のGDPです。ここにお示ししたのは、我々が4月に試算した結果が、先ほどの日本全体のマイナス27.8に対してマイナス17.8%でしたということです。これは我々が企業にアンケート、ヒアリングをして、売上高とか生産高がどういうふうに動くかをシミュレーションしながら分析した結果です。気をつけなければいけないのは、これを調査したのは3月26日から4月10日です。ですので、緊急事態宣言が出たのがこの後で、首都圏は4月7日、静岡県を含めて全国が4月17日からでしたので、そういったものを踏まえないときにマイナス17.8だったということです。今、また実績値を出すと、さらにここから悪くなっているんだろうなということが想定されます。
 業種別に見たものでは、4月の頭の時点で分かっていたのは、宿泊・飲食サービス業のダメージがかなり大きいという話で、もう当初から出ていたということでございます。ここから行動制限が起こってますので、静岡県経済の中でも、宿泊・飲食というのはさらに悪化しているのが現状の姿でございます。
 改めて、静岡県経済のベースはちょっと整理しておく必要があるのかなと思うんですけれども、これは今お配りした我々の作った静岡県の経済白書でも載せている表ではございますが、データが古いんですが、静岡県は県内総生産、いわゆるGDPで見ると全国のシェアで見ると3.2%で10位です。昔から言われていることなんですけれども、面積、人口、世帯数、それからこのGDP、事業者数、従業員数と、ほとんど3%、10位の経済なんです。押し並べて3%、10位ということは、日本の経済の平均値が静岡県経済でも見て取れるんだろうなというところはありますので、今後も全国の経済の動きを見ると、静岡県の動向もほぼ分かるのかなというところです。
 ただ、気をつけなければいけないのは、静岡県の経済を生産ベースで見ると、製造業の占める割合が38.4%と、全国平均の20.8%と比べると倍以上あるということで、製造業のダメージがあると、日本全体よりも静岡県経済のほうが痛みの度合いが大きいです。逆に言うと、復活したときは、日本全体の経済よりも静岡県の経済の立ち直りが早いということですので、またこの辺は御留意いただきたいなと思います。あと、先ほどから観光業の話をしているんですが、観光業という項目が、いろいろな統計にないんです。というのは、観光業というのは、例えばお土産物屋さんは小売業に入っているし、観光バスは運輸に入っているし、もちろんホテルは宿泊業に入っていてばらつきがあります。では静岡県の経済の中で観光業が占める割合は何%かというと、正確なものは出てこないんですけれども、推測するに10%以上あるなというところです。製造業、特に輸出型の産業、それから観光業の復活というのは、今後も静岡県の経済の鍵を握ります。
 これは、順位を単純に並べたものですけれども、製造品出荷額では、愛知、神奈川に続いて3番目ということで、静岡県の経済の特徴を表している。こういったところがこの数字から見て取れるということです。
 もう1点、これは逆にあまり喜んで言える話じゃないんですけれども、先ほどの経済成長率を見たときに、2000年以降、大体日本は横ばいであったということです。これは、静岡県の製造品出荷額等の推移をグラフにしたものです。国の経済成長は確かにすごかったんですけれども、平成に入ってから、製造品の出荷額というのは横ばいで推移していると。ちょっと盛り上がってきたのがリーマンショックと東日本大震災でまた元に戻って、平成をほぼ終えたというところです。ただ、悪い話ばかりではなくて、静岡県の製造業のいいところであるんですけれども、平成の初期に円高ショックに見舞われました。そのときに、静岡県の企業はどうしたかというと、海外に進出していったんです。海外に進出して製造されたものはここに含まれていませんが、静岡県の経済というのは、海外のところも強味があります。ただ、今回のコロナショックでは、中国をはじめとして全世界的にダメージを受けました。主に静岡県の企業は、中国、東南アジアに進出していますので、サプライチェーンの分断と言われていますけれども、ここも今回に関しては影響を受けてしまったというところでございます。
 次に、経営者の景気見通しということで、ここからは経営者の気持ち、マインドを見ていきたいと思います。
 これが我々が調査した県内企業経営者の景気見通しの推移です。このBSIというのは何かというと、これから景気がいいよと思う人の割合から、景気が悪くなるよ、悪いよという人の割合を引いたものですので、この引いた数字がマイナスであると、全体としては景気が悪いという判断になります。今回、コロナショックによって、それまでも消費税の引き上げから落ち込んでいた企業のマインドがここでマイナス35と落ち込んでしまった。このマイナス35という数字は、悪いよと言った経営者が50%いたのに対して、いいよというのが15%しかいなかったものですから、差し引きでマイナス35という結果が出たもので、経営者の方々が今後はどうですかといったときに、やっと来年になって持ち上がってくるというところです。ただ、ここも5月中旬の調査結果ですので、また、よく感染の第二波とか言われていますけれども、そういったものが起こってしまったらどうかという問題もあります。今後、秋にかけて、今、日本も首相が交代しようというところなんですけれども、アメリカの大統領が代わって、また米中でこじれてしまって、輸出がおかしくなってしまうリスクもなきにしもあらずということで、そういったことが、今、足元であります。
 次に、6月に取った業界の調査ですけれども、あなたの業界はどうですか、天気で晴れなのか雨なのか、晴れが好調、雨が不調ということなんですけれども、御覧のとおり不調が多かったです。業界別に見ると、晴れ間が見えているのは食品、飲料、製茶で、ちょっと製茶は悪いと思います。これはコロナによって巣籠もり消費が起こったと。その需要で、御家庭で食事をする機会が多くなったということです。静岡県で言うと、缶詰めとかレトルトパックを作っている業態のところはよかったと。ただ、そういう業態の方も、個人向けはよかったけれども、業者向けには悪かったということなので、結局売上げは横ばいでした。
 それから、全体としてはすごく悪い方向に動いているんですけれども、若干悪いのは製紙です。これは、一時期、コロナでトイレットペーパーがなくなるんじゃないかとかで、紙関係は変な活況を呈したことがありましたので、曇りだったんですけれども、今後に関しては、またちょっと雨模様になっているのかなというところです。
 もう1つ曇りがあって、家電です。家にいる機会が多くなったものだから、エアコンをもっとちょっと性能のいいものに替えようよとか、そういったニーズは起こったんだけれども、その他がなかなか伸びていないという状況です。
 あとは、曇りなのは情報サービス、これも何となくお察しがつくかと思いますけれども、仕事でもリモートワークが多くなる、映画を見ずに家庭でビデオを見る、ユーチューブを見るような状況がありますので、こういったら語弊があるかもしれませんけれども、コロナに向いていた産業はよかったんだけれども、残りのところは総じて悪いというのが足元の状況です。
 さらに、これは7月に取ったアンケート調査で、いわゆる街角景気みたいなものですけれども、個人を含めて今の景気どうですかというところを見たものでございます。やっぱりこの4月、5月をボトムにしても、ほとんどゼロに近い。この数字の見方は50を超えると景気がいい、50を割ると景気が悪いという判断になるんですけれども、4月はほぼゼロに近いので、ほとんど景気なんていう言葉は聞けないという状況だったのが、7月、緊急事態宣言が解除されて持ち上がってきた。だけれども、まだブレークイーブンといいますか、景気のよしあしの判断の分岐点である50にはまだ届いていないという状況です。これは、足元でどうですかという聞き方をしているんです。
 もう1つが、先行きどうですかと聞いているんですけれども、ここを御覧になると分かるんですが、先行きは4月のところは、ボトムで浅いんですけれども、先行きはどうですかというところは、30ぐらいですよね。もう1回戻りますけれども、足元どうですかというのが40。要はこのとき、7月の時点で若干よくなったけれども、また悪くなるみたいな感覚を皆さんお持ちだったことが、アンケート調査から分かってくるというところでございます。
 次に、県民の消費行動はどうだったんだろうかというところでございます。ここもアンケート調査を実施して、県民1,000人にアンケートを取った結果でございます。
 ここにそのアンケート結果の1つがあります。この問いは何かというと、感染リスクや感染拡大防止策の影響に対する不安はどうですかということに対しては、ここの不安指数を見ていただくと傾向が分かると思います。
 例えば、一番上は、自分や家族の感染、重症化が心配ですか、不安ですかというのは、緊急事態宣言下では70%だったのが、今でも66%あるということで、感染を恐れているという姿です。
 その下、感染による周囲からの批判。今、SNSで結構批判されたりしていますけれども、こういったのも脅威に感じている。それから、治療薬、ワクチンがない。ここも7割以上の方が不安に思っていらっしゃるということです。
 やっぱり一番のポイントはここです。感染がいつまで続くか見通せないというところが8割弱あることで、ここが収まらないと、冒頭に申し上げましたけれども、県内の消費はなかなか立ち直らないですし、政策的にもそういったものを後押しすることは1つのポイントになってくるのかなと思います。GoToキャンペーンもいろいろ賛否ありましたけれども、タイミングがもうちょっとよければなというのもあったんですけれども、ただ、消費を喚起することは、1つの手段ではあったのかなと思います。
 それともう1つです。そこから下、収入の減少で6割の人が不安に思っている。解雇や失業、廃業、これも5割以上の方が不安に思っているということで、この辺は個人であれば特定給付金が配布されました。それは皆さん評価するところでありますし、企業の方も持続化調整金ですとか、そういったもので持ちこたえているところはあると思うんですけれども、まだ感染の不安が晴れない、まだ不安に思っていらっしゃるということです。次に、2番目のこのアンケートですが、感染拡大や感染拡大防止策の影響による収入、支出の変化はどうですかと見ると、この一番上です。4割の人たちがその程度の差はあれ、収入が減少してしまいましたという結果が出ております。当然、収入は減るものですから、支出のほうも抑えましょうと、5割ぐらいの方が引き締める、あるいはかなり引き締めるということで、ここにも、先ほど冒頭に申し上げましたGDPの中で個人消費が落ち込んでいることが、県民の意識の中でも裏づけられるのかなというところでございます。
 それからもう1つ、感染拡大時のインターネットの利用状況と今後の利用動向についてどうですかというところです。一番上、SNSを使っています、使いますという人がもう8割です。それから、ネットショッピング、ここも9割の方が使っています、これから使いますということです。ですので、ここも生活様式が確実に変化しているところがあると思います。あとは映画、ドラマ視聴、あるいはその他無料動画、これはユーチューブが大半だと思うんですけれども、こういったものについて大半の人が利用に前向きになっている。裏を返すと、娯楽産業がなかなか人集めに苦労しているという姿が、県民の意識からも出てきているのかなというところです。
 次の問いですけれども、感染が一旦収束した後も、優先的に続ける生活意識、消費行動ということで、一番右です。感染が収束しても、人の集まる場所に行く回数を減らしますという人が結構いるんです。ですので、感染が一旦収束しても、第二波があるんじゃないかとか、これからはインフルエンザの時期にもなってきますので、そういったものをかなりの人が不安に感じていらっしゃるということです。その次も不要不急の外出を減らすというのも同じです。ここで、一番左が全体の数字、2番目の棒グラフがかなり不安に思っている人、3番目が不安に思っている人ですね。一番右が収入に不安を持っている人なんですけれども、不安に思っている人よりも、下にある、不安がないという人も結構いるということで、要は自分や家族の感染、重症化を不安に思っている人が66%、感染による周囲からの批判、差別を不安に思っている人が71%いるんですけれども、全体が61%ということは、不安に思っていないという人も中にはいるんです。ですので、そういう人が今、消費を支えてきているのかなというところは、このグラフから見て取れるのかなと思います。
 それから、消費回復に向けた行政への期待は何ですかというところなんですけれども、現金給付、この前やりましたけれども、もう1回やってくれないかなという人が結構多い。というのは、ここら辺は細かく見ているわけではないので推測になってしまうんですけれども、20代で多いのが、やっぱりバイト先がなくなってしまっていることもあると思います。全体的には結構40代とかの人、特に女性の比率が高いということで、これは住宅ローンを抱えていたりとか、教育費にちょうどお金がかかる年代ですので、そういった方もまだまだ収入に不安を感じているものだから、こういう発想が出てくるのかなと思います。銀行員的に心配になるのは、取りあえず今はいろんな補助金とか給付金が出ているものですから、一旦は落ち着いているように見えますけれども、こういった資金が切れてしまって、例えば一般的には住宅ローンのボーナス返済の時期が12月か1月ですので、このときに、例えば会社からボーナスが出ない状況になったらどうなんだろうと。取りあえず6月はしのげたけれども、12月はどうなるんだろうという不安は出てくるのかなと思います。
 それから、次は、コラム的に書かれたもので、テレワークとか時差出勤とか残業削減がかなり浸透しましたと。ただ、やっぱり収入です。この下の4番目です。残業が減ると給料が減っちゃうと心配している人もいるものですから、感染状況の終焉、収束がよく分からない中で常に収入に不安を感じていらっしゃる方が多いということです。
 それから次に、小売とかサービス業のところです。これも復習になってしまいますけれども、ゴールデンウィークは85%のイベント、施設が休業状態に追い込まれたということで、我々の試算では、この春先にイベントが中止になった経済的損失は200億円を超えますと、新聞発表していますけれども、かなりダメージが大きかったというところです。
 次の表ですけれども、従来開かれていたイベントが今年はこれだけになってしまったということで、ゴールデンウィークの集客は95%減です。すなわち、95%の売上げに結びつく人たちが来なかったゴールデンウィークだったと。ですので、緊急事態宣言が明ける前は、緊急事態宣言明けを、非常に事業者さんは期待されていたということだと思います。
 次に、小売・サービス業の売上げです。5月、6月は去年を100とすると、前年比4割から5割減ってしまったということです。これは、緊急事態宣言が出ていたこともあったんですけれども、6月に明けて持ち直してきているんですけれども、また7月に入って感染が増えてきたこともあって、この辺もちょっと頭打ちになっているのかなというところです。GoToキャンペーンがありましたけれども、やっぱりホテルとか旅館はかなりダメージが大きかったので、GoToキャンペーンも、感染拡大のタイミングを考えるとどうかという問題はあったんですが、1つの策としては妥当だったのかなと、ここから分かるかなと思います。
 それから、企業経営者の気持ち的なところなんですけれども、このアンケートにおいて、コロナ終息後、経営を回復させ、持続的に成長させる原動力は何なんでしょうというところで断トツだったのは、これまで支えてくれた常連とかリピーターなどの既存の顧客でこういう人たちのためにまずは頑張るんだというところに経営者意識が出ている。今回分かったのは、あのお店いいね、一般的にいいねというお店ではなくて、本当にあそこの主人がいいから行く、あそこの店員さんと仲がいいから行くという、そういうコアなお客さんが支えてくれていたという姿は、皆様もなじみのお店に行くと分かるかと思います。今は決して100%の席を用意できるような状態ではございませんけれども、そういう中にあってもコアなお客というのは、各企業経営者にとっては支えになっています。
 2番目、自店あるいはその施設のブランドとか知名度、あるいはその3番目、時代に合わせてこれから価値を模索、構築していく、あるいはブランド力や集客力を上げていくということです。企業の経営者の方は結構前向きにいろんなことを考えているというところも、このアンケートからは見えてくるかなと思います。
 同様にサービス業、小売業の人たちに行政の支援策、地域の取組として期待することは何ですかというと、上から4つ目ぐらいまでは、国の行政になってくると思うんですけれども、資金面です。これからも不安が残りますということと思います。
 今、自民党の総裁選があって、自助、公助、共助と言っていらっしゃる方がいますが、それは経済的には確かにそのとおりだなというのがあって、まずは自分で何とかする、それから公の資金を支えにして何とかする。もう1つは共助です。地域のみんなでやっていくとか、仲のいいお客さん同士でやっていくとか、企業間連携とか、そういったところが今後の対応になってくるのかなというところです。
 併せて、3番目として、県内の宿泊業の分析をしたものを御紹介します。宿泊業者にアンケートを取って2月から5月に消失した県外宿泊客の増減率から、観光における消費額で消えてしまった額がどのくらいだったかを推計したんですけれども、全体で1000億円近く、静岡県の観光産業から観光消費額が消えてしまったと。特に大きいのは、伊豆地区です。この1000億円に対して558億円と出ていますので、かなり伊豆地区の観光産業へのダメージが大きいことは、ここからも数字的に出てくるということです。
 それから、5月下旬から6月の頭ぐらいに、県内の市町の夏のイベントどうしますかという問いについては、もう夏は終わりに差しかかってますけれども、この時点では未定だと75%の方が回答されていました。なかなかイベント等開催できなかった中で、GoToキャンペーンが少しは支えになったのかなと思います。
 それから、県内の製造業へのアンケートはまだ数字を集めただけで、これから分析をしていきますが、またヒアリングとか分析を行って、恐らく今月の下旬ぐらいにプレス発表すると思いますので、これは仮の数字として、御理解いただけたらなと思います。
 まず、生産量の動向ですけれども、前年同期に比べると、製造業の生産量は8割の企業で減少してしまっています。これは、大方の予想どおり、いろんなニュースで見るとおりでございまして、この傾向は変わらない。それから、経常利益の推移ですけれども、ここも7割以上の企業が赤字になっているところです。
 それと、これはよく分析しなきゃいけないんですけれども、サプライチェーンの寸断の影響は、ほとんど今は解消しています。これは中国の経済が今、立ち直っているということもありますので、そういったところが反映してきているのかなというところです。
 資料はここでおしまいなんですけれども、とにかく今回のコロナウイルスというのは何をすればいいという結論がまだ出ていない、見えないということです。そもそもこのコロナウイルスのその性質が、冒頭に申し上げましたが、見えないリスクで、かつ、いつ終わりがあるか分からないというリスクですので、そういったものに立ち向かうためには、先ほどから出ている消費者あるいは企業経営者の不安をどうやって和らげていくかというところが、現下の課題になってくるのかなと思います。
 以上で、私からのコロナウイルス感染症による県内経済への影響の説明を終わりにさせていただきます。
併せてちょっと御紹介いたしますと、今日お持ちしたこの経済白書は去年、我々が刊行したものです。若干古くなってしまっているところがあるので、また来年か再来年、新しいものを発行しますけれども、産業とかを見るに当たって御参考にしていただけたらなと思います。
 もう1つ、静岡なんでもランキングという簡単な冊子があります。これは、静岡県の経済白書を簡単にした、子供にでも分かるようにまとめたものです。何を意図したかというと、我々、研究活動をしていくに当たって、大学生などに何でUターンしないのと聞くと、静岡県にどんな企業があるのか知りません、そういう回答が結構多かったんです。いやこれはまずいと。やっぱり静岡県の経済のことを小さい頃から理解してもらうことが重要ではないかということで、昨年度の後半ですけれども、県内の公立、私立問わず、中学校で今年2年生になる生徒たち全員分を無料配布しました。何で中学2年生かというと、一般的に静岡県内では、中学2年生になると職場体験に行くと思うんですね。行くに当たって、もう少し経済を理解して行ったほうが、より県内の経済のことが分かるんじゃないかということで、こういったものを配布させていただきました。
 我々もまだこのコロナウイルスに関しては研究途上であって、今後どうしたらいいか、これからもいろいろ分析していかなきゃいけないんですけれども、月々、いろんな調査結果をプレスリリースして発表していきます。今後も、静岡県経済に資する提言をしていけたらと思っております。
 私からの説明は以上でございます。御清聴どうもありがとうございました。

○藪田委員長
 ありがとうございました。
 以上で、恒友様からの説明は終わりました。
 これより、質疑に入ります。
 委員の方にお願いいたします。
 質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いいたします。
 それでは、御質問、御意見等がありましたら、御発言を願います。

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