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委員会会議録

委員会補足文書

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平成24年10月医療・福祉対策特別委員会
参考人の意見陳述 磐田市立総合病院 事業管理者 北村宏 氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/12/2012 会派名:


○北村宏氏
 ただいま御紹介いただきました磐田市立総合病院で、病院事業管理者をしております北村と申します。
 私、4年ほど前までは病院長と事業管理者を兼任しておりまして、だんだん組織が大きくなったものですから、病院長と事業管理者を分けましょうということで、今年の4月からは事業管理者に専任しております。
 本日は、事務局のほうから3つほど依頼が出ておりまして、地域における医師・看護師不足の現状、医師・看護師確保に向けた課題ということが1点、それから2番目が、静岡家庭医養成プロジェクトの概要、3番目に、県の医師・看護師の確保・育成の取り組みに対する意見、この3点についてお話をさせていただきます。
 まず、最初に、地域における医師・看護師不足のお話をする前に、この状況と深い関係にあります今までの日本における医療政策の流れについてお話をさせていただきたいと思います。
 大半は、委員の皆様方も既に御承知のことかもしれませんけど、一応日本の医療政策の現状と深い関係がありますので、それについて、まずお話をさせていただきます。
 昭和36年に日本において初めて国民皆保険制度が実現いたしました。それまでの日本における医療というのは、お金持ちはお医者さんにかかれるけど、お金のない方はなかなかお医者さんにかかれないという状況でした。国のほうでは、こういう現状を何とか打開したいということで、1つは、イギリスがそのころ、国民皆保険制度で、しかも医療機関は全部国が持っておりまして、それに基づいて、医師・看護師、医療技術者の配置も行っておりました。
厚生省は、これを日本にも導入したいということで、いろいろ働きかけました。国民皆保険制度は幸いにして通ったんですけど、ところが医療機関を国有化して、国の差配で配置するということは、医師会の非常に強力な反発がありました。そのときの医師会長は、皆さん御存じの武見太郎さんです。彼はどういうことで反対したかというと、医者というのは、プロフェッショナル・フリーダムというのがありますので、非常に高い倫理性に基づいて医師というのは動くものだと。ですので、素人の行政が医療に口を出すなと。例えば医師の過疎のところがあっても、必ずそういうところに赴いて医療をやりたいという志の高い医師が出るはずだから、私に任せろと。それで押し切って、結局行政が介入できなかった。ところが現実は御存じのように、過疎にはほとんど医者は行きません。ですので、今の地域医療崩壊は、もう既にそこから始まっているんじゃないかと思っております。
このとき、もう1つイギリスでは、ホームドクター制度というのが確立しておりまして、何かぐあいが悪くなった場合には、まず、かかりつけ医――ホームドクターを受診して、そこから、さらに入院治療、あるいは詳しい検査、あるいは手術等が必要な場合には病院を紹介してもらえる。そういう制度もイギリスでは既に行っておりました。
 あと医師数と医療費についてですけど、現在日本では、平均して人口10万人に対して医師数は約210人ほどいると言われておりますが、日本と医療水準が同等と考えられますドイツは400人、フランスでは350人ほどおります。医療費は、今、年間約34兆円ほどかかっておりますが、これをその国のGDPで割って、医療費がどのぐらいの比率かというのを見てみますと、アメリカは14%、ドイツが約10.5%、フランスが9.7%、日本は7.2%なんです。当然、医療水準がそう高くないところというのは医療機器、あるいは医師、看護師等、医療に従事する人間もそう要りませんので、医療費全体の費用はそうかさみません。質のいい高度な医療をやろうと思いますと、それなりの施設、あるいは人をそろえないといけませんので、どうしても医療費がかさむ。先進国と比べてみますと、先ほど私が申した対GDPはそうなっております。これはOECD加盟国の中でも、上から19番目ぐらいです。
 もう1点は、昭和61年、厚生省が医療亡国論というのを突然訴えまして、少しずつ右肩上がりで伸びてきた医療費をこのまま何か手を打たないと、いずれその医療費が国の財政を圧迫して日本は立ち行かなくなると、こういう、どこに根拠があるのかわからないようなことを言い出して、医学部の入学定員を50%削減しました。その昭和61年の時点で、他の先進国と比べて、人口対比で医師が過剰にいたかというとそんなこと全くなくて、やはり少ない。医療費もそんなにかかってなかった。ところが、将来このままいくと、先ほど言ったように国を滅ぼすということで、医師数を削減してしまったわけです。これも1つは大きな要因です。こういう背景のもとで、これから静岡県及び私が所属しております中東遠二次医療圏の状況をお話したいと思います。
 お手元の資料1の3ページを見ていただきたいと思います。ここに一番上のほうに、医療従事者についてということで、まず、医師数のことが出ております。(12)平成18年末における本県の従事医師数は6,452人で、人口10万人当たり169.9人、全国では44位であるのに対して、中東遠二次医療圏の従事医師数は512人で、人口10万人当たり107.5人、県下の中でも最低の水準であると。全国平均は人口10万人当たり206.3人、これは平成18年ですので、冒頭私が言った210人というのは、現時点の大体の日本の平均値です。
 あと(13)は、平成14年末における本県の従事医師数は、人口10万人当たり164.8人であり、平成18年末の従事医師数は当時と比較して3.4%増加している。この一方で、平成14年末における中東遠二次医療圏の従事医師数は人口10万人当たり111.2人であり、平成18年末は、当時と比較して周辺医療圏では増加しているが、この中東遠では3.4%減少している。さらに減ってしまってると。これが医師の現状です。
それから下に看護師数ということが出てまいります。中東遠医療圏の、平成20年末における看護師数(准看護師を含む)は、2,719人となっておりまして、平成18年末の2,927人から208人、看護師もやっぱり減ってるんです。看護師不足については、県の看護協会の望月会長がきょうの午後からお話をされるということですので、そちらのほうは、私は控えさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。これが医師・看護師のことです。
 医師不足に対する現在の国の対応ですけど、医師数については、二、三年前から国立大学の医学部の定員を10%から20%、もう一回ふやしました。さらに、例えば浜松医大では、静岡県の高校から応募する場合には、特別枠を設けておりまして――今多分20人程度じゃないかと思うんですけど――これは静岡県の高校に在籍していないと受験できないことになっています。それは二、三年前ですので、そういう人たちが実際卒業されて、国家試験を受けて、研修医を経て、実際の医療の現場で戦力になるのはやはり10年近くかかると思うんです。あともう1つは、県及び浜松医大の対応として、学生の奨学金制度を設けておりまして、卒業後、静岡県下の公的な病院に勤めるのであれば、返さなくていいですよという制度を数年前からやり始めました。浜松医大と県と両方ありますね。それと、これも議員の皆様方御存じのように、「ふじのくに医師確保対策」ということで、専門医を取得するための研修を県下の病院でやれば、それに対する補助金を出しますよということを今やっていただいております。あと、中東遠二次医療圏における対策としては、すぐには医者の数はふえませんので、やはり圏域にある医療機関ごとの役割分担をしっかり決めて、いろんな意味の医療資源を有効活用しようということで、役割分担の明確化と、それから連携の強化ということで今取り組んでおります。
 次に、静岡家庭医養成プロジェクトのお話をさせていただきます。
 資料1の7ページをごらんください。
 ここで、中ほどに、「医療従事者について」ということで、「(3)地域の病院等で一次医療や初期救急医療を行うとともに、適切なトリアージにより必要に応じ、迅速に急性期病院の高度専門医療につなげる体制を構築するため、当医療圏に家庭医を養成することとし、平成25年度までに家庭医を16人、指導医3人を確保する」とあります。この資料1のもとになっているのは、平成22年に国が、地域医療再生計画というのを打ち出しまして、具体的には、地域医療再生基金、これをどういうふうに配分するか、幸いに県下では、中東遠と志太榛原の二次医療圏にそれぞれ25億円ずつお金が出てます。これをどういうふうに使うかということの一環として、こういうものの計画を立てたというものです。この中で、中東遠のお金の使い道の1つとして、家庭医を養成して、医療崩壊の防止の一部に役立てようと、この意義については、後ほどまたお話をさせていただきます。
 それから次は、資料2の1ページの下段のほうをごらんください。ここにプロジェクトの趣旨が書いてあります。ちょっと読ませていただきますと、国が推奨する地域完結型の医療連携を推進するには、各病院の機能分化と、その機能に適した医師の充足が不可欠である。二次医療圏内で、機能分化を考えたときに、高度急性期病院として核となる病院を充実させていく一方で、その周辺機能を支える地域の病院の育成も重要である。地域の病院では、地域・家庭の中で、最も起こり得る診療――コモンプロブレム、これは風邪とか下痢とか、一番人がかかりやすい病気のことを言ってます――これを扱えること、トリアージにより、早期に患者の治療の方向性をつけることが重要である。地域の病院や診療所で、家庭医療専門医として体系的に養成された医師がプライマリーケアを行うことにより、適切なトリアージができ、急性期病院の高度専門治療と地域病院との適切な機能分化が進んでいく。これが設立の趣旨でございます。
 それから次の同じ資料の2ページを見てください。
 これも下に、医療連携と家庭医の必要性ということが書いてありますけど、国が推奨する地域完結型の医療連携を行うには、各医療機関の役割を一層明確にしていく必要がある。これもさっき言ったようなことですけど、高度急性期病院は、臓器別専門医の集団。地域一般病院はプライマリーケアができる。このプライマリーケアというのは、初期のケアといいますか、そういう意味です。高度な手術とか、詳しい検査とか、そういうことではなくて、初期対応ということですね。地域の医療ニーズは、家庭医療専門医として体系的に養成された家庭医でカバーできるものが多い。家庭医が適切なトリアージを行っていくことで、臓器別専門医もより力が発揮でき、医療機能分担が実現できる。
 もう少し簡単に言いますと、人間の病気を考えてみますと、ありきたりな病気、風邪とか、それにかかる患者さんの数が圧倒的に多いわけです。専門的な治療を必要とする――がんになるとか心筋梗塞、脳梗塞――そういう患者さんというのは非常に少ないんですね、実は。ところが、今の日本における医療提供システム、特に医者は、専門医を数多く輩出する構造になっております。ですので、患者さんのピラミッド型の構造と逆の形になっているわけです。専門医ばかりたくさんいて、ありきたりの患者さんを診れるプライマリーケアができる家庭医がほとんどいない。時々これ医師会の方と意見が食い違うのは、俺たちだって家庭医じゃないかと言うんだけど、家庭医というのは、教育が全然違います。初めにいろんな診療科、極端なこと言うと、内科、小児科、整形外科、眼科、耳鼻科、婦人科――静岡家庭医プログラムは産科も入ってます、お産もできるようにしようと――ほとんど一家のお年寄りから子供から、妊婦さんから、婦人から全部診ちゃうと。そのかわり、浅く広く診ますので、診た結果、あなたはちょっと病院行って詳しい検査をしてくれとか、あるいは、すぐ病院行って手術が必要だとか、あるいは処置が必要だとか、それをまず判断してもらうわけです。ところが多くの患者さんは、そこでお薬をもらったり、治療を受けることによって、それで治ってしまうわけです。
ところが今は、特に医療過疎の自治体においては開業医の先生もほとんどいませんので、何かぐあいが悪くなると、すぐ病院に行ってしまう。特に森町は実際に稼働している、営業している開業医の先生方もお2人ぐらいしかいないと思うんです。ですので、ほとんど森町病院に来てしまうわけです。そうすると、本当は入院患者さんを中心とした医療をその森町病院の勤務医はやりたいんだけど、外来でどんどんどんどん来てしまいますので、疲弊してしまうわけですね。そのあげくに、もう疲れたと、もうやめたということで、立ち去る方がどうしても次から次に将棋倒しのように出てきてしまう。
これを防止するために家庭医療センターをつくって、そこに家庭医を数名常駐させて、何かあったら、そこへ行って――もちろん救急とかは違いますけど――そこで診て、さらに必要であれば、そこで初めて森町病院に紹介すると。そうすると、森町の勤務医も自分の専門的なところだけ大体診ればいいんですから、やめないで勤務を続けることができると。そういう仕組みをつくりたいということで、この家庭医プロジェクトを立ち上げたわけです。
 あとプロジェクトの概要ですね。これももう一度資料1のほうに戻っていただいて、8ページを見ていただきます。
 これの中ほどから下、医師確保対策云々の下に、「地域でプライマリーケアができる医師の育成と確保のため、魅力ある家庭医養成プログラムを構築する。平成22年度からミシガン大学の協力を得て、指導医を招聘するなど、研修プログラムを開始する。研修に当たっては、磐田病院が中核施設として基礎研修を行い、菊川病院、森町病院が連携して、それぞれの特性を生かした研修を行う。平成23年度末までに、菊川市、森町に家庭医養成の実践研修の場となる家庭医療センターを整備する。この養成プログラム実施のため、指導医の人件費等の運営に要する経費、家庭医療センター整備に要する経費に対し、補助等を行う」とあります。ここに再生基金が投入されております。
プログラム全体の構造、指導体制としては、アメリカのミシガン大学家庭医療科の助教授、教授、講師等の協力を得ると。それから財団法人家庭医療学研究所。その下にお名前が出ております、津田司先生、三重大学名誉教授。この人は、日本の家庭医療学会の草創期に活躍された日本の家庭医の中の中心となって動いている先生です。それから佐野潔先生、この方は、元ミシガン大学の家庭医療学科の助教授をやってました。寺田雅彦先生、これは当院の副院長もやっております。こういう人たちが中心になって、こういうものをつくっていきましょうと。また、詳細は後で申し上げます。
 9ページのほうに、研修概要が出ておりまして、大体年4名から6名程度のレジテントを募集して採用すると。ここにいろんな診療科が書いてあります。内科、小児科、産婦人科、整形外科、皮膚科、これは必須とすると。内科研修中に救急外来、エコー検査、胃の内視鏡検査を研修する。小児科、産婦人科研修中に眼科、耳鼻科、精神科外来を選択研修等々書いてありまして、ミシガン大学の短期留学と、こういう研修内容になっております。
 それから、下のほうには、家庭医療センターの概略が掲げてありまして、現在、菊川、森町この両方に家庭医療センターがもうでき上がっておりまして、そこでレジデント、あるいは指導医が実際に患者さんを診て対応しております。菊川では、在宅医療もやり始めました。これが概要です。
 あと、資料2の9ページをごらんください。
 上のほうに、このプロジェクトチームでは実際にどういう人がどこで、どういうことをやってるかというものを書いてありまして、一応このプロジェクトチームの責任者は私がやっております。以下、そこに書いてある先生方がこれに協力する。それからミシガン大学では、マイク・フェターズ先生が中心になって、日本と、それから留学生が向こうに行ったときの研修内容を担当していただいております。
 もう1つの資料3を見てください。資料3の3ページには、家庭医養成プログラムスタッフが一緒に書いてあって、先ほど出ておりました、津田先生、佐野先生、ほかに指導医の藤岡先生、鳴本先生、それから、ここに書いてありませんけど、現在もう1人、指導医として若井先生という方がおります。それからレジデントが4人書いてありますけど、これは1期生です。その翌年に入ってきた方が6人おります。それから今年の4月に入ってきた方が4人おりまして、これは全国各地から来ております。初期研修2年間を終えてすぐここに入ってきた方もおりますし、五、六年ほかの診療施設でほかの診療科、内科とか整形外科とか、そういうことやられて、さらに家庭医をやりたいということで、このプログラムに入ってこられた方も数名おります。
 一番最後の資料6が、全体の組織図を1枚の紙にまとめたものでありまして、その中核になっておりますのが、磐田市・菊川市・森町家庭医療養成連絡協議会というものです。これは首長さん、病院長、指導医、そういう方が入って構成しております。その下に家庭医養成事業幹事会、これは病院長、指導医が入っております。それから家庭医養成プログラム委員会、これは実際に研修にかかわる指導医、フェローという人がいるんですけど、指導医とレジテントの間の、ある意味でまだ研修している人がそこにも入ってます。それから、これを財政的に支援していただいている静岡県、それからミシガン大学。これはアメリカの家庭医療学では全米第3位にランクされている、非常に家庭医として質の高い医療を行っているところです。そこには年に数回、数名の方がこちらへ来ていただいて、レジデントに教育をする。レジデントは、必ずお一人は、今のところ2週間ぐらいミシガン大学に行って、向こうが用意したプログラムに沿って研修を受ける。いま少し予算が余ってるみたいですので、もう少し、1か月ぐらい向こうに滞在できるように今ちょっと変更をかけております。これが全体の組織図です。
 先ほどちょっと申し上げました、資料5のほうに、磐田市・菊川市・森町家庭医養成連絡協議会事業計画があります。この協議会がほとんどの実際の事業計画の企画立案支援を行っております。あとは事業計画の予算ですけど、これは資料4を見ていただきますと、再生基金補助金をこういうふうに使うよと、あるいは、市町の負担金がこれぐらいになりますということが書いてある。これはプロジェクトのほうに入ってくるお金ですね。収入のほうです。それから下の支出のほうは、総務費、事業費――事業費は研修医費、これは研修医に払うお金です。それから研究研修費。研修指導費、これは研修を指導していただいているミシガン大学とか家庭医療学研究所、こういうところに対して支払うお金がここに計上されております。また、後ほど見ていただいて質問していただければお答えします。
 最後に、家庭医のほうで、資料3に戻っていただきますけど、2ページ、8つの特徴がある。1から8まで書いてあって、まず、自治体がサポートする、こういうプログラムというのはほとんどないんです。しかも3つの自治体がサポートしております。それから充実した指導体制、ミシガン大学が支援してると。それから世界標準の家庭医療専門医を養成します。これ世界標準と言っているのは、今、日本の中でも、家庭医を養成している機関が幾つか、10もないですけど、幾つかあることはありますが、ほとんどは産科はもうやりません。静岡のここだけは産科もやって、本当に一家の全員を診てしまうというのが特徴ですね。それから地域で活躍できる家庭医療専門医を養成、いろいろ書いてありますけど、一応こういう特徴がありますよということをここに書きました。
 以上が、この家庭医の大体の概略で、期待される効果としましては、先ほども少し触れさせていただきましたけど、現在、医療過疎地域においては開業医の数も少ないので、住民の方は病気になれば、症状の軽い方でもすぐに病院に行ってしまいます。このため、病院勤務医が多くの患者さんに対応しなければならないと。地域の病院から医者が立ち去る防止対策の1つとして期待できる。
 もう1つは、医療費抑制の効果も実はあります。これは、厚労省の方が、三、四年前ですか、フランスに視察に行って、フランスも実はそんなに前ではないんですね、家庭医制度を導入して、10年位前ですかね。これによって、かなり医療費抑制が図られたということを実際現地に行って体験してきて、日本にもこれを導入したいということで、今厚労省のほうも実は動いております。これ、なぜそういうことが起こるかというと、日本は今超高齢化社会に向かっておりますけど、高齢になりますと、いろんなところがやっぱり悪くなって、一人のお年寄りの方が幾つかの、例えば開業医であれば、眼科、内科、整形外科、いろんなところにかかってしまうと。そうすると、そのたびに医療費がそこで取られますので、どうしても医療費の総額がふえます。ところが一人の家庭医が目も診るし、整形外科も診るし、内科の血圧が高い、糖尿病がある、皆診ちゃう。そうすると、そこで終わりますので、お薬も、その一人の医者が全部出すから、そんなにあれやこれや出ないわけです。そういう意味で、医療費の抑制が起こると。こういう効果もあります。
 現時点における医師不足、医療崩壊を防ぐにはどうしたらいいかというと、まずは、絶対条件は、医師の絶対数をふやすということですね。医師の絶対数をふやさないと、過疎へ行けといっても、そんなとこ行きたくないと。ところが潤沢にいれば行かざるを得ないと。
もう1つは、先ほど少し触れた、自由開業医制度。例えばドイツ等では、ある一定の地域で開業できる開業医の数はもう国で決めて、それ以上開業できません。そうすると、医師としては、もう病院に勤務医として残るしかない。そういう体制も、そういうことも少し考慮する必要もあるかもしれません。こんなこと言うと、私は医師会から怒られてしまう、言いにくい話ですけど、やっぱりそこに手をつけないと、結局疲弊してやめて、開業して、私益がそこに入るから、どうしてもそういうふうになってしまう。だから、そこもやっぱり変えていく必要があるんじゃないかと、私は個人的には思ってます。なかなかそれは厚労省も言いにくいと思いますよ、医師会に対して。医師の絶対数をふやして、そういう制度にすれば、必ず病院には、もうこれいい悪いというよりも残らざるを得ないですね、医者としては。ですので、崩壊はそうは起こらないだろうと。過疎だから行きたくないといっても、もう都会の病院は、医者があふれてますので、そういうところに行かざるを得ない。ある一定期間でいいよとなれば、循環していく可能性はあります。
 大体私の個人的な意見としては以上です。よろしくお願いします。

○安間委員長
 ありがとうございました。以上で、北村様からの意見陳述は終わりました。
 それでは、これより質疑応答をしてまいりたいと思います。
 質問は、まとめてするのではなく、一問一答方式でお願いをいたします。
 御質問、御意見等がありましたら、御発言願います。よろしくお願いします。

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