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委員会会議録

委員会補足文書

開催別議員別委員会別検索用


令和3年11月25日脱炭素社会推進特別委員会
合同会社御前崎港バイオマスエナジー 御前崎港バイオマス発電所 所長 若狭雅也氏、株式会社レノバ オペレーション本部SPC管理部 シニアマネージャー 藤平慶太氏、株式会社レノバ バイオマス燃料部 シニアマネージャー 三好創氏、中部電力株式会社 常務執行役員 静岡支店長 佐々木敏春氏 【 意見陳述 】 発言日: 11/25/2021 会派名:


○藤平慶太氏
 合同会社御前崎港バイオマスエナジーのレノバ藤平から、静岡県における木質バイオマス発電についてというテーマで御説明をさせていただきたいと思います。
 私からの御説明内容は、お手元の資料にあると思いますが、1点目、御前崎港バイオマス発電所について、2点目がそもそもバイオマス発電について。3点目、静岡県の特色を生かした再生可能エネルギーである木質バイオマス発電についてというところで、静岡県のいろんな目標と照らして、こんな貢献ができるんじゃないかというお話をしようと思っています。4点目、燃料調達の課題についてで、主に県内の未利用材を今後使っていくに当たって課題になってくること、我々も実感しておりまして、それについて述べさせていただいた後、中部電力さんの早成桐のお話につなげさせていただきたいと思っております。
 まず、我々合同会社御前崎港バイオマスエナジーという会社ですけれども、どういったことをやっているのかというお話です。レノバ、中部電力、鈴与商事、三菱電機クレジットの出資による特定目的会社になります。この発電所のためにみんなで出資してつくった会社です。バイオマスの専焼の発電所で7万4950キロワット、約75メガワットという規模になります。木質ペレット、パーム椰子殻、県内の未利用材を活用する発電所です。想定年間発電量については、一般家庭の約17万世帯分の年間使用電力量に相当する電力を発電します。着工は2021年4月に既に行われておりまして、そこから約2年以上建設を行って、運転開始は2023年の7月の予定でございます。
 場所は、御前崎港のこの場所にあります。それまで使われていなかった御前崎港の民間の土地をお借りして、我々が発電所を造らせていただいたところです。それまでは、近くにスズキ自動車さんのモータープールがあるんですが、そこからあふれた車を保管するような場所になっていたので、もっとより有効活用できる方法はないかという地元のいろんな御相談を受けて、我々もここでできるんじゃないかと思った次第です。近くに岸壁がございまして、ここから海外の木質ペレットもしくはパーム椰子殻を輸入してきて、ここの発電所に横持ちをすると、そんな事業です。
 先ほども申し上げたように、体制としてはこのような感じです。レノバ、中部電力、鈴与商事で、三菱電機クレジットの持ち分の株は運転開始後、レノバが買い増す権利を持っているところです。プロジェクトファイナンスという仕組みを使いまして、三井住友信託銀行、あと新生銀行、地元の銀行も何行か入っていますけれども、そういったところからお金を借りて、我々は発電所を造ります。関連する会社としては、商社に燃料を供給していただく。東洋エンジニアリング、日鉄エンジニアリングという大きなエンジニア会社に設計施工をしてもらう。O&M会社にO&Mを委託する。あと荷役は鈴与さんにお願いして、荷役、物流を行ってもらいます。これを固定価格買取制度FITにて、中部電力パワーグリッドに売電する仕組みの会社です。
 発電所のイメージは、このような感じです。こっちが海側ですね。我々が約5.3ヘクタールの港湾用地を活用する。これは、環境アセスメントをやっております。過去に二、三年やりまして、その中で地元から出てきたいろんな御意見を反映させながら、設備の計画を立てていった次第です。例えば周辺環境へ配慮して、木質燃料は全量屋内に保管することを行ってます。燃料について、特にパーム椰子殻を野積みしているような発電所も結構一般的なんですが、我々は木質ペレットは燃料タンクに全量を保管して、この裏側に大きな倉庫があるんですが、そこでパーム椰子殻であるとか、木質チップを屋内で保管するといった工夫を行っております。
 次に、我々が事業計画しているときに考えた地域貢献というところでございます。
 @の木質ペレット・パーム椰子殻輸入による港湾の活性化というところです。これは、御前崎港の活性化につながるんじゃないかと、我々が発電所をやるときに地元の方々から期待されていたことです。年間約30万トンの燃料を海外から輸入する。これは20年間。我々は最低でも20年間はプラントを運営しますので、20年以上の継続的な港湾の活用が行われるということですね。
 Aのバイオマス発電所側での地元雇用の創出。発電所全体で30名程度働きます。そこで20年以上、地元人材を優先的に雇用する、活用していく。ここにいる若狭も元からの御前崎市民でして、発電所を運営する能力があったんで、来て所長になったということでございます。
 Bの発電所建設工事の一部を地元業者へ業務委託です。これは、工事が二、三年続きますので、その間地元の会社にもいろんなお手伝いをしていただけるということでございます。
 Cの県内未利用材の活用。これは後ほどのテーマになってくると思います。
 Dで行政から見ると、我々の利益であるとか、固定資産税を地元に還元することができると。
 我々の一番の目的は、やはり再エネ等による地球温暖化対策ですので、Eの年間約26万トン程度のCO2の削減ですね。これが、県・市の環境目標の達成にも貢献できるんじゃないかと考えたところです。あとは、17万世帯分のグリーンエネルギーの供給です。
 事業スケジュールについては、2017年から我々は計画を立てて、約3年にわたって環境影響評価を行いました。この際には、県庁にもいろんな御協力をいただいたところでございます。今年4月に工事に着工して、2023年7月に運転を行う。そして、20年にわたって発電事業を行うのですが、固定価格買取制度の期間が20年なので一旦この事業計画を立てておりますが、地元の皆さんから許していただけたら、あとは事業環境が許せば、プラントはまだもちますので、それ以降も継続したい思いはございます。
 現在の工事状況は、こんな感じです。今、くいが打ち終わって土台ができたので、そこに上物を建てていこうとしている段階でして、工事は順調に進んでいるというステータスになります。
 次に、そもそもバイオマス発電とはですね。地元の皆さんにそこから御説明することが多いので、改めて簡単におさらいしたいと思っております。
 バイオマス発電は木を燃やして発電するものですので、例えば身近なものとしてはペレットストーブと一緒です。同じように木を燃やしたエネルギーを使うというところですね。我々が利用する燃料は、一番大きな燃料としては木質ペレットで、これが全体の7割ぐらいです。あとパーム椰子殻を二、三割程度使います。木質ペレットは北米、あと一部東南アジアなどからも入れます。パーム椰子殻はインドネシア、マレーシアからです。あとは一番最初からたくさんは入れられないと思っているんですが、県内の木質チップ、未利用材を入れていきたいなと思っております。これは運転開始してから徐々に増やしていけるんじゃないかと期待はしております。そして、持続性に配慮した木質燃料を調達する。これは基本原則になっております。
 あと、バイオマス発電の大きな話で言うと、第6次エネルギー基本計画が出されて、国の目標としては2030年までに再エネの比率を36から38%まで増加するという見通しを立てております。この36%のうちの5%がバイオマスですので、今後も一定にバイオマスは増やされていくという理解でおります。一定の大きな位置づけにはなっているかと思っております。
 地球温暖化への貢献という意味ですが、先ほど申し上げたところです。既存の系統の電力を代替することによるCO2の削減効果は、約26万トン程度と試算しております。既設の化石燃料、例えば石炭が今国際的にも地球温暖化の観点から課題になっておりますが、そういったところを代替できるというところです。化石燃料の場合、地下から掘り起こした化石燃料を燃焼して、大気中のCO2を増加させる、これが問題になっています。
 バイオマスの場合は、地表のCO2を一旦木が吸収して、それをまた燃やすということです。実際、当然バイオマスも火力である以上、大気中にCO2を出すんですが、元から地表にあったCO2で、またさらに森林を再生することで、木がCO2を吸ってまた木に戻るというサイクルですので、大気中のCO2を増加させないということです。
 これについては、例えば家庭に太陽光発電を置いたときのCO2削減効果と比較すると、大体10万から15万世帯分の住宅が太陽光発電を導入したのと同じ程度の効果があります。
 今申し上げた、バイオマス発電のカーボンニュートラルに係るサイクルを絵にしたものでございます。バイオマス発電をすると、当然木を燃やせばCO2が出ますが、また木が光合成してCO2を吸収して固定する。その固定したものをまたバイオマス発電に使うことができれば、大気中のCO2を増やさないで発電を行うサイクルができるということです。このサイクルの中にも早成樹、早成桐が位置づけられるんじゃないかという考えでございます。
 再エネのうちでバイオマス発電っていうのは使い勝手がいいというか、特徴としては安定電源という特徴がございます。既存の安定電源としては、需要によらず出力が一定な原子力とか、石炭火力がありますが、これに該当する再エネが水力、地熱、バイオマスです。自然条件によらないで出力が安定しているものです。一方、太陽光、風力は、完全に自然のエネルギーを使ってやるものですが、自然条件によって出力が変動する特徴がございます。これは、需要に応じて発電量を調整するLNG火力とか石油火力といった変動電源に代替するのかなというところで、やはりバイオマスのいい面としては安定して、天候とかによらず発電できるのがベース電源としても考えられる特徴を持っているんじゃないかと思っております。
 次に、バイオマス発電の75メガワットという規模は、バイオマス発電としては大きい位置づけになります。例えば2メガワットとか10メガワットとか、いろんな規模のものございますが、我々が御前崎でやっているものは大きめの規模です。輸入燃料を使うところですので、未利用材だけでやったほうがいいんじゃないかみたいな観点もいろんな地域の方から言われることがございました。一方、完全地産地消の小型のバイオマスに対して我々は大型ですけれども、いい面も当然ながらあると思ってやっております。その特徴としては、火力発電は大型化することで発電効率が上がるようになっています。限られた国産燃料を効率的に使い切る、高い発電効率が得られるといった特徴があるということです。
 あと未利用材です。我々はほかの地域でもバイオマス発電をやっておりますが、すぐに未利用材が用意できるわけではないのです。日本は国土の3分の2が森林ですので、本来、資源量としては日本国内の木でできるんですけれども、課題となっているのは木を切るための人がいないとか、設備がない、機械がない、あと林道がないところが課題になっておりまして、それは長期的に国産材の需要の低迷の時代があって、そういった状況が起きているということです。これは我々が発電所を造ることで焚き口、出口がつくられることによって、逆転のサイクルになるんじゃないかという期待は持っております。これは卵とニワトリの問題の解消ですね。まず木材のC材、D材というあまり使われてなかった材の需要を先につくり出す。これによって林業側で雇用が生まれて設備も投資され、あとは行政様に林道を整備していただくようなサイクルが起きるんじゃないかということです。
 後ほど簡単に触れますけれども、我々レノバがやっている秋田県の発電所では、そういったサイクルは実際に起きておりますので、その経験から、そういったこともできるんじゃないかという期待を持って、こちらでも事業を計画したところです。
 あと、エネルギーのそもそもの根本である3E+Sというエネルギー政策への貢献です。安定供給、経済性の効率、あと環境への適合、安全性といったところがバイオマス発電で得られるので、課題となってる石炭火力発電に替わることもできるんじゃないかと思っております。
 続いて、静岡県の特色を生かした再エネですね。
 静岡県の産業とバイオマス発電とのシナジーについて、我々の発電所は特にこんな特徴を持っているということです。
 1つ目は港湾・物流です。港湾の活用、物流の活性化です。スポンサーにも鈴与商事が入っておりまして、そういう観点もございますし、御前崎港で鈴与さんに港湾のいろんな仕事を委託したりもしています。港湾活性化、あと物流の活性化も行われるところが特徴です。あとは、先ほど申し上げた森林整備への貢献です。林業が活性化する。森林整備も行われるというところですね。あとは、エネルギー問題への対応として、地域へのグリーン電力の供給であるとか、再エネ関連の産業がこれによって広がっていくんじゃないかという期待がございます。
 静岡県の政策の実現への貢献という観点から見ると、我々の事業も静岡県の総合計画の実現に貢献できる部分があるんじゃないかと思っております。
 例えば、防災・減災と地域成長の両立では、我々は発電所として、もし災害が起きた場合にも迅速に復旧して電力の供給を再開できる発電所にしたいなと思っております。あとは、この我々の発電所の場所ですが、港湾地域でございます。もし、港湾で働いている人たちが、仮に大きな地震が起きて津波が来たときに、我々のプラントの一番高いところでは50メートルありますので、そこに逃げていただくみたいなこともできるかなと思っております。
 産業振興と雇用の創出という意味では、先ほど申し上げたとおり、発電所単体で30人程度雇用し、地元の方にも働いていただく。それから、発電所だけじゃなくて荷役を中心とした雇用であるとか、経済波及効果があります。林業の活性化もあります。
 また、グリーン電力の供給で静岡県の温暖化対策にも貢献できる点もあります。
 あとは、いろんな再エネ関連のノウハウも県内に蓄積されると思っておりまして、人が働くようになれば、周辺産業を含めた雇用創出による定住人口の増加とか、環境教育への活用、バイオマスに関わる人材育成です。
 我々の発電所は、地元の皆さんに施設を見ていただきたいなと思っておりまして、例えばレノバがやっている秋田県の発電所だと毎年1,000人ぐらいの人が見に来てくれます。そういった意味で、環境の教育にも使えるんじゃないかなと思っております。
 そもそも、バイオマス発電をやる際のポイントがありまして、地域との協力が実は欠かせないものでございます。それをまとめたものがこれになります。
 まず立地という意味では、土地、道路、系統、港湾などインフラの確保が重要です。周辺環境の歴史的な背景も考えた上で立地を考えていきます。地域の役割としては、インフラを有効活用し、整備も必要であればお願いすることもあります。あとは立地に伴って、それまでの歴史を踏まえて新たな価値を創出できるところがございます。
 燃料については、燃料供給体制の充実とか、燃料の質・量の安定性がポイントになってくるんですが、未利用材という意味では、燃料供給のための投資を地元に行っていただく必要が出てきます。山とか人材とか設備などというところですね。
 資金を確保することは当然事業としては重要なところですが、長期のコミットメントが得られる事業パートナーであるとか、適切な燃料調達条件がポイントになってきます。地域の役割・貢献という意味では、地域パートナーの参画ですが、例えば、主要株主のレノバから見ると、レノバが事業開発、計画をずっと立ててきたんですが、そこに中部電力さんなり鈴与商事さんという地域の主要な会社に参画いただいたことで、この事業が大きく進んだところがございますので、そういう観点で地域の会社と協力してやっていくこともやはり考えてはおりました。地域の資金の活用は、例えば地域の銀行からお金を融資していただくといった観点です。燃料供給のコミットメントは、未利用材を使う際に林業者さんなどから、きっちりこの事業に参画するというオーナーシップを持っていただくという観点です。
 設備・運営のポイントは、効率の追求や、燃料に合わせた柔軟性の確保、その他ありますけれども、燃料を供給する林業者さんにお願いするところは、燃料の品質の維持・向上で、林業者さん側も努力をいただけるといいところでございます。あと、運転人材や周辺産業における雇用・人材育成と、運転用資材の供給も地域の皆さん、会社等と協力してやっていく必要があるところです。
 例として、これまで何回か出したレノバの秋田県のバイオマスの事例を挙げると、これは外部のコンサルに調査して試算してもらったものですが、発電所ができることによって、雇用が100人程度創出されました。林業とか荷役も含めてです。林業の活性化では、県内の素材生産量の約15%の需要をこの発電所が生み出しました。また、この発電所が生まれることによって、県内7か所にチップの設備が新たに投資されたとか、見学者の来場等があります。そういうもろもろの観点がございまして、全体で20年で500億円程度の経済波及効果があると試算を受けております。
 最後に、燃料調達の課題でございます。
 県内の未利用材を使う際に、我々が配慮しなければいけないのが、既存の産業に迷惑をかけないということでございます。既存の産業が影響を受けない範囲でそのC・D材といわれる未利用材・林地残材――これまで林業、製材業などの既存の産業で使われなかった材料をカスケード利用する。これが基本的な考え方になっておりまして、我々もその範囲で需要を生み出したいと思っております。
 木質バイオマス発電の課題はコストがまだ高いところです。FIT制度に基づいて結構な高い売電価格を頂きながら今進めております。この理由としては、燃料費が原価の約7割を占めております。これが課題で、ここを下げることが事業継続のために必須なところでございます。地域の材を活用できるようになれば、この辺も下げていけるのではないかと期待しています。
 2030年のエネルギーミックスで、バイオマス発電の割合を先ほど5%と申し上げましたが、これを達成するために必要な木質バイオマスの量は4200万立米です。一方、林野庁が想定している2025年の国産材の供給目標のうちエネルギー用途は800万立米のみで、約3400万立米の需給ギャップが存在しています。
 今、この部分は輸入してくる燃料のペレットなりパーム椰子殻なりで補っているのですが、ここを何とか国産材に置き換えていくことができないかが産業としての1つの課題になってくるのではないかと思っております。当然持続性に配慮した上でです。
 林業側の現状を見ると、本来既に切るべき木が切られていないというのが現状です。このグラフの下の数値は齢級で、1齢級5年なので、10齢級だと50年たった木という意味です。50年以上たった木がもうかなりの部分を占めているということですね。50年辺りで伐採するのが適齢期ですが、それを超過しているものも結構ありますし、適期を迎えているものがかなりの部分を占めている。これを何とか活用できないかという観点です。
 切った後は植え替えを行うので、若い木が植え替えられていった木になると思うのですが、これを次世代の林業に活用できないか。ここは1つの観点になってきます。その際の次世代の林業という意味で、早成樹があります。スギだと植えてから50年切れませんが、例えば柳とかの早成樹だと3年から5年で切れます。あと単位当たりの生産量も多いことがあります。用途としては、早成樹の場合、建材等よりも燃料を目的とした植え替えになります。
 今、国もそういったバイオマスを活用して林業を活性化できないかと検討されているところでして、資源エネルギー庁と林野庁の共催によって、去年林業・木質バイオマス発電の成長産業化に向けた研究会が行われました。これは、結構画期的なことだと我々事業者としては思っているのですが、主な要点としては、燃料用途を主目的としたビジネスモデルのエネルギーの森という観点で、燃料の安定供給を林業側からもできないかというのが1つです。あとは、国産材として今間伐材をバイオマス発電に受け入れていますが、例えば皆伐も含めた主伐手法とその後の確実な更新を行うサイクルも検討に入れてもいいのではないかと、こういったことが議論として出てきました。
 今後、燃料用途として有望な広葉樹とか早成樹の特定と生産方法を検討していくことが一つ事業者側からもあるのかなというところです。あと、燃料材向けに最適化された木材の運搬・加工システム、移動式チッパー等の活用による効果検証といったことも行政の御協力もいただきながら、事業者としても検討していく必要があると考えております。
 未利用地で早成樹を植えることについて、政策的措置が今取られていて、農地転用をやりやすくするために、農地転用の要件の緩和及び手続の迅速化についての措置や、林地の所有者が分散して経営が効率的でないところを効率化するために、森林経営管理法で未利用材の森林を集約する仕組みは、行政からも後押しを受けていると認識しております。
 では、中部電力さんにお渡ししたいと思います。

○佐々木敏春氏
 引き続き、中部電力からお話をさせていただきます。
 今お話がありましたように、基本的には環境先進国のヨーロッパを見ていますと、自然エネルギーの中心に座っているのはやっぱりバイオマスですとか、水力、風力、その次に太陽光という順番で普及が進んでおります。ですので、バイオマスも豊かな森林資源を生かして、価格も安く発電できている状態であります。
 ただ、日本に目を向けてみますと中心に座っているのは太陽光で、先ほどお話がありましたけれども、太陽光自体は非常に振れ幅が大きくて、変動電源という言い方をしますが、実は電力事業者から見ますと給電指令に耐えられるものが電源だという認識でいます。というのは、今需要の増加に向かって立ち上げてくれとか、需要が減るから下げてくれと、こういうことを指令しているのですが、その指令に耐えられるのがやっぱり電源です。今何をやっているかというと太陽光は出なりで発電出力が変動するのですが、それに向かって気象予測をしながら火力の発電を毎日毎日30分ごとに見極めながら運転しているのが実態なんです。そういう中で、太陽光の量が随分増えてきましたので、火力の出し入れが非常に難しい状況になっていることも1つです。
 石炭ですとかLNGに頼っていると、そこはやっぱりどうしても化石燃料をたいているだけでCO2が出てしまうので、それをゼロエミッションでやろうとすると、安定的な電源として、こういったバイオマス燃料の電源を増やしていくことは1つの方策であると思っています。ただ、どうしても燃料が外から入ってくるとなると、これは先ほどのお話にもありましたけれども、足してマイナスしてこれがゼロかというと、運搬費等を入れると実はプラスになってしまうのではないかと世界的には議論されています。では、日本の国内に目を向けますと、先ほどのように林業が大分弱っているので材がないという実情になっています。
 その材がない中で、もう1つ問題になるのは、今は未利用材が幾つか出てくるのですけれども、今の樹齢を見てみますと、このまま植えていかないで、これから伐採ばっかりしていくと、多分木もなくなってしまうのです。国内の森も守りながら木を育てていくことは非常に大事だと思っていますが、実は林業経営者にはやっぱり燃料を作るために木を育てるなんていう発想はないです。加工品にして、きちっとした材として作っていくのが、林業経営者の思いだと思います。
 そういう中で、燃料専用として燃やすにはどういうのがあるかと思っていろいろ探している中で、目に留まるのが早成桐という名前で今呼んでいますが、正式には早成日本桐という名前で登録していこうと思っているらしいのですが、そういうものを見つけましたので、我々もそれについて今試験植樹に入ってるところですけれども、こんな木がありますという紹介を今日はさせていただこうと思います。
 これは我々が興味を持っている論文をそのまま抜き出しているのですけれども、一般社団法人の資源・素材学会、これは実は成蹊大学の学術論文を引用しているのですが、この中の2段目を御覧いただきますと、二酸化炭素を固定するために、早成桐という生育の極めて早い樹種を植林し、二酸化炭素を吸収させることで効率的な二酸化炭素固定を着想した。この早成桐というのは品種改良されたキリの一種であって、約6年で樹高15メートルほどの成木になる。一般的なスギが30年から40年で成木になるのに比べて、すごく効率よく二酸化炭素を固定化することに着目したとあります。
 ただ早成桐は、ほとんど何も研究されておらず、成長に伴う二酸化炭素の固定量が分からないので、どれぐらい固定するのかを試験的に木を植えて吸収量を調べた結果がここに書いてあります。その相関図がここにありまして、実は1年当たり1つの木で、大体600キロぐらいの成木になるのですけれども、木で42.6キロのCO2を固定化したとなっています。
 下に参考とあるのですけれども、スギですと実は14キロ、ユーカリがこれも成長が早いので、海外種ですが国内でこういったものを育てて燃料用にしたらどうかと議論がありますが、そのユーカリを御覧いただきますと、9.3キロで、成長の早い早成桐は非常にCO2の固定率が高いことが分かります。下のほうを見てもらいますと、広島大学が実際研究した成果ですが、早成樹の実際の固定量を見ると、スギがこの黒い線ですけれども、今6年で成木になるとお話をしましたが、6年ぐらいのところを御覧いただきますと、実はスギのCO2固定量の10倍ぐらい固定するという研究が出ています。
 こういう木を使って、我々がやろうと思ったのは、バイオマス電源の燃料にしていく方法と、CO2固定化ができるのであれば、固定化したまま燃やさずに加工品に持っていってもいいということで、この木の特徴を生かした加工品ができれば、それは新産業の創出にもなるということであります。
 実はこのバイオマス発電は、今の御前崎バイオマスにも我々も県内の未利用材を入れたい思いはあるのですが、今は第6次エネルギー基本計画が出まして、2013年比で46%削減と言っていますが、その中心に座っているのは太陽光なんです。太陽光でやっていきますと。先ほど5%がバイオマスだという話になって、世界的に見たときに、これがある意味必達目標的なところがあります。というのは、CO2の賦存量といいまして、ある製品を作ったときにその製品にCO2がどれぐらい入っているか。これを関税的に扱われて、ヨーロッパに輸出するにしても、中国に輸出するにしても、米国に輸出するにしても、そこが障壁になる。要は、産業の国際競争力に影響力を持つものがCO2になってきます。
 もう2026年にEUは、こういったものを国境炭素税という言い方をしますけれども、国境炭素税を5品目に課しますと宣言しました。ということは、早晩この静岡県内の企業もそういう渦に巻き込まれることになります。そうなりますと、大企業は放っておいてもこういうことをやっていくと思うのですけれども、中小企業はどうやってサプライチェーンの中で自分たちが生き残ったらいいのかが課題になってきます。そのときに、太陽光に頼れるかというと、場所がないんです。もう太陽光は作るところがなくて、あっちこっちで紛争が起きているのが、多分今の地元の状況です。実際は屋根ですとか空いているところがありますけれども、あるいは素材でペロブスカイトとかいう、くねくね回る太陽光の素材が出てきています。そういうのも出てくるかもしれませんが、なかなか難しい。そこで現実的なところに落とすと、こういったものが民間レベルで手に入れば、非常にありがたい電源になるのではないかと思いますし、企業者も誇りを持って、再エネを自分たちで作って、製品を作るようになれるのではないかと、これを提唱をしたいと思っているところです。
 これを植えるときに、林業者の懸念として外来種を入れると山が壊されちゃうという懸念もあると思います。実はこの早成日本桐は、外来種じゃなくて固有種です。DNAの鑑定をしているわけではないのですけれども、実は3行目の一番最後に書いています、形態的特徴は、類を分けるときに非常に大事な観点になります。それでこの葉を見ていただきますと、日本桐は表にも裏にも綿毛のようなものがふぁっと出ているんです。これは、早成桐も同じように出ています。実は、朝鮮とか台湾のキリにはそういう特徴がないです。
 種を見ても、日本のキリの種は、大きくて、楕円みたいな形になっています。早成桐は、これです。茶色いこれが早成桐の種です。この下にある朝鮮とか台湾のキリは小さくて丸い種なんです。なので、特徴的なところから見ても、これは日本の固有種で古来からあるキリと同等のものです。実はユーカリなんか植えますといや地効果といって、自分が強過ぎて、その周りに草も木も生えなくなっちゃうんです。ユーカリのように、そういった効果は及ぼさないということを言いたかったので、これを書きました。
 それでもう1つは、実はすごい特徴を持っていまして、5年ぐらいたつと、15メートルになりますが、それをばちっと株から切りますと、そこからまた芽が出てきて再生します。これを萌芽再生といいますが、その仕組みを五、六回繰り返す。5年ぐらいで切って、また5年ぐらい育てて切ってということをずっとやっていける特徴を持っていまして、その写真がこれです。これ実際は種から植えてきた写真なんですけれども、1年でこれぐらいまで育ちます。驚くことに3年でこんな森みたいになって、5年でこの太さで15メートルまで伸びます。お手元の写真で御覧いただきたいのですが、これを切るとそこから二、三本こうやってずっと芽が出てきます。芽が出てきたのから、真っすぐ伸びそうないいやつだけ1本残して切ると、6か月後、7か月後、こんな形で伸びます。そこからまた切ったところと同じぐらいまで幹がずっと太くなっていくので、これは開発したキリなので、実際にそのキリを今実証してますが、今年で13年目ぐらいなので、まだ3回目です。6回やるかどうかは正直なところ分からないのですけれども、これはできるものだと研究者、これを作った人たちは言っています。
 キリは、実は昔から15年ないし20年で成木になることは、皆さんも御案内のとおりかと思います。娘が生まれたらキリを植えてタンスを作って持たせるみたいな、そういう話ですね。もともと早いんです。その早い特徴の強いキリを合わせて、こういったキリを開発したのです。従来の日本桐が左側にありまして、右側が早成桐で自分たち作ったキリと比べてみますと、大体育ち方は同じぐらいですが、密度がちょっと粗いです。これがまた1つの特徴になりますので、また後ほどお話しします。キリは面白くて、私も初めて知ったんですが、真ん中に穴が開いています。キリは、木ではないということらしいです。正式には草だということです。キリは、木に同じって書きますよね。なので木ではないそうです。
 それで、これを植えていきたいと思っていますが、やっぱりどこの都市を見てもそうですけれども、今耕作放棄地ですとか、荒廃農地がいっぱいあります。それをうまく利用できないかということに着目するわけですが、植林地をどこに求めるかです。今、森林経営者がやっていらっしゃる山は、やっぱりそのままきちっとした材として残していく方法が1つ。我々が植栽の場として求めるのは荒廃農地で、B分類農地に農地のまま植栽するか、手入れされていない山林に植林するか、こういった方法があるのではないかと思っています。
 そして、山林へ植林をする場合は、早成桐は成長が早いので、それだけ根もすごく深く広く伸びます。3メートルぐらい深く入るので、実は山を守る効果が非常に高いと思います。ただ、先ほどもお話がありましたけれども、山に作ると、やっぱり木材の切り出し費用、運搬費用がかかるので、幾ら県内に作ってもそのコストが高いと致命的です。
 荒廃農地への植栽は、荒廃農地であれば道がついていることもあるのでやったとしても、早成桐に対する皆さんの認識が木なので、田んぼや畑に木を植えることが、実は引っかかるところで、農業委員会との調整が必要になってくると書かせてもらっています。
 実際、今新潟県で農地に実証的に植えているものがありますけれども、何ら問題なく、下が湿地帯でずぶぬれになっているところはちょっとできないのですが、普通の農地であれば育つことは分かっています。
 それで、その植林地を確保するときの課題をちょっとお話しさせていただきますけれども、やっぱりバイオマス燃料には相当な量が必要になってきます。広範囲の面積が必要となりますが、小面積ですごく分散しているのが荒廃農地の特徴でもありますし、耕作放棄地もそうだと思います。それをまとめるといいと思うのですが、なかなか難しいのも現実です。その隣接する農地ですとか、森林の一体利用をして、1つの団地として利用することができると、こういったバイオマス発電の燃料の生産地には一つ有効的な構えができるのですが、やっぱりそこには道路を設置したりとか、基盤整備に係る費用も発生することになります。現時点では、県内に早成桐の植林による経営モデルがありませんので、土地を所有している方の理解も一つのハードルになるかなと思っています。
 発電所の運営に関わる費用の課題がありますが、先ほどの話で大体その運搬費を含む燃料費で7割の費用になってしまう。ここをいかに少なくするか。隣接地でそのままできれば、ものすごく安くできます。こういったエリアも作っていくのですが、そうならない場合でも、今はFIT制度、固定価格で国が買い取る制度がありますので、その制度では未利用材は1キロワットアワー当たり32円頂けます。一般木材は24円なので、経営的に見ると一般木材では成り立たない可能性が高くなってくる。
 今後、未利用木材の適用を受けるためには、実は農地では駄目でして、今の制度上は森林経営計画に載っていないと未利用材の適用が受けられませんので、今の森の中にきちっと作るか、あるいは、森の続きになっているような耕作放棄地をうまく見つけて、そこに木を植えて森林経営計画に載せてもらう手続までが必要になってくると思います。
 早成桐を地域森林計画の対象として入れていくときに、やっぱり県とか林野庁との協議が必要になってくる。当然のことですが、そう書いてあります。これは、実は電力事業として、レノバさんたちのような事業者がやるときは、こういう話になります。僕が冒頭申し上げた地域の人たちが組合組織でも作って、自分たちの電源を作って、自分たちで使うんだと、そこに環境の価値もくっつけてやっていくとなりますと、実はFITを適用すると電気は来るんですけれども、環境の価値は国にいってしまいます。市場にいくという言い方になりますけど、それは誰かが買ってくれるんです。皆さんが市場に出して環境価値を買ってくださいと。それはなぜかというとFITは、自分の権利ではないからです。どういうことかというと、国が買い上げた費用は一般の皆さん全員で負担しているからです。皆さんの請求書を見てもらうと、その料金が書いてあると思いますけれども、今1キロワット当たり3円36銭を皆さんが負担してくれています。ですから、その環境の価値が皆さんに属します。なので、そうでないとすれば、自分たちが作った電源からは自分たちが電気を受けて価値も受けるのが筋だとすると、やっぱりこういうことではなくて、FITとは関係なくて、ポストFITの考え方になって自分たちの電源をどう作るか。安く作るには、ちゃんと自分たちの近くにこういう森を造って、自分たちのところで発電所を誰かに委託してもいいから造れば、ここに雇用も生まれます。火力発電所は切り出すところから、雑草を取るところから全て、ちゃんと雇用が生まれます。太陽光の発電所は一切雇用が生まれませんので、こういったことも可能です。
 先ほど新産業といいましたが、この木も非常に特徴的な木なので、もともとキリというのは金庫の内側に使われている木でもありますように、非常に耐火性が強い、燃焼力も強い。そういったことは燃料用に使うんですけれども、気泡がいっぱい空いているので、実は吸湿材にもなるし、防音材にもなるし、断熱材にもなる。非常に建材として有用な価値を持っています。後ろのほうに載っていますので、また御覧いただければと思います。

○鈴木(澄)委員長
 ありがとうございました。以上で、参考人の皆様からの説明は終わりました。

 これより質疑に入ります。
 委員の方にお願いをいたします。
 質問はまとめてするのではなくて、一問一答方式でお願いいたします。
 それでは、御質問・御意見等がありましたら、御発言願います。

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