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委員会会議録

委員会補足文書

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平成24年10月内陸フロンティア振興特別委員会
参考人の意見陳述 一般財団法人静岡経済研究所 専務理事 中嶋壽志氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/09/2012 会派名:


○中嶋壽志氏
 それでは、時間にして45分ぐらいおつき合いいただきたいと思います。
 きょうは内陸フロンティア振興特別委員会ということですが、私からは新東名の活用と地域振興という観点から少しお話をさせていただきたいと思います。今日の話の内容ですが、新東名ができて、この新東名というものをどう見たらいいのか、どう評価したらいいのかということがまず1点です。開通して半年ぐらいがたちまして、実際にいろいろわかってきたこともあると思いますので、そのあたりを踏まえて新東名をどう見たらいいのか。それからもう1点は、私どもの研究所で、新東名の開通から半年たってどの程度の便益、メリットがもたらされたかを試算しましたので、少し説明させていただきます。それから最後に、これからさらに新東名を活用して地域振興を図っていくためにはどうしたらいいのかということを、独断と偏見でお話しさせていただきたいと思います。
 最初に、新東名をどういうふうに見たらいいのかということですが、視点として7つを挙げさせていただきました。1つ目は総合インフラとしての新東名。それから2つ目は、再認識すべき現東名の価値ということです。新東名ができて新東名ばかりに目がいきますけれども、現東名の価値ももう1回見直すべきではないかということ。3番目は定時性の確保ということです。それから4番目は、スタートダッシュは新サービスを生かせ、これはこの半年の利用が非常に盛況に推移しているということもあるので、簡単に触れたいと思います。それから5番目として、新東名はまだ発展途上で、これからさらに価値を上げていくということです。それから6番目として、きょう一番申し上げたいところですが、物流拠点としての価値。それから最後に7番目は、新東名というのはもろ刃の剣だということも申し上げたいと思います。
 まず、1番目の総合インフラとしての新東名ということですけれども、もちろん新東名というのは道路であることは間違いないわけですが、単なる道路インフラとして簡単に評価するべきではないのではないか、もっと大きな意味で総合インフラとして新東名を評価する必要があるのではないかと見ております。もちろん交通インフラとしての意味合いというのは非常に大きいわけですが、観光、産業、物流、工業、安全のインフラでもあり、まさに総合インフラとしての機能を発揮していると思います。例えば、新東名の特徴としまして、地形上の制約もあって非常に構造物が多いわけです。現東名に比べて橋、トンネルが圧倒的に多く、特に新静岡インターチェンジ以西というのは特に多いわけです。その結果、まとまった土地がなかなか見つけづらいという欠点もありますが、違った視点で見るとある意味メリットになる可能性があります。例えば、特に橋ですが、新東名の橋は、いわゆる橋梁という分野で見たときに、相当技術的に見るべきものがある、評価の高い構築物がたくさんあります。トンネルにしても、トンネル技術では非常に評価の高い「技術賞」を授与された、新しい技術が使われています。したがいまして、例えば橋を地域のランドマークにしてライトアップすれば、新東名そのものが人を呼び込むインフラになり得ると思います。東京スカイツリーばかりが注目されますが、新東名の橋も結構捨てたものではないと思うのです。実際に、こういうものをうまく使って人を呼び込むことが行われており、例えば歴史に目覚めた女性を「歴女」と言ったり、カメラを持っていろいろなところを回っている女性を「カメラ女子」と言ったりしていますが、同様に、例えば「橋ガール」のような、橋の写真を撮るなど、橋に興味を持つ人たちをうまく育てていくことによって、観光インフラとして人を集めるということも必要ではないかということです。
 それから、今回最もはっきりしたことは、改めて認識させられたわけですが、サービスエリア、パーキングエリアの集客力が物すごく高いということです。サービスエリア、パーキングエリアのうち、特にNEXCO中日本でネオパーサと呼んでいる沼津・静岡・浜松の上下サービスエリアの6つと、清水のパーキングエリア、合計7施設の最初の3カ月の利用客は何と1,300万人です。3カ月で1,300万人というのが、どのくらいすごいものなのかというと、静岡県内で今一番人が呼べる商業施設と思われる御殿場のアウトレットで、年間1,000万人です。御殿場のアウトレットもすごいのですが、3カ月でそれを上回ったわけです。これは新東名がまだ開通したばかりということを考慮しないといけないですが、それにしても相当の集客力があるということが明らかにわかったわけです。これは少なくともNEXCO中日本が、公団から民間の会社になって明らかに商売気が出てきたということの裏返しだと思うのですが、サービスエリア、パーキングエリアでいかにもうけるのかということを考え始めたわけです。例えば清水のサービスエリアには今までは考えられなかったような、ユナイテッドアローズのセレクトショップや、バイクのショップが入っています。彼らは明らかに、単に休憩のためにサービスエリア、パーキングエリアを使ってもらうのではなく、そこを目的地にしてもらうことを意識して、サービスエリア、パーキングエリアづくりをしていると思います。その結果、3カ月で1,300万人という利用客があったということだろうと思うのです。そう考えてみますと、このサービスエリア、パーキングエリアとは地域にとって何だろうかと見てみますと、7つのネオパーサは、高速道路でつながれた、アイランド型の1つの擬似的なショッピングセンターであると思います。この7つのサービスエリア、パーキングエリアの売上というのは、多分大型ショッピングセンター1つぐらいになるのではないかと思うのです。ある地域にショッピングセンターができると大騒ぎになりますが、新東名上に分散してできると余り問題にならない、だけど結果として大型ショッピングセンター1つ分ぐらいの売上となる可能性があるのです。そうすると、商業というものの考え方も違ってくるし、工業でも同じように新東名を使うやり方が考えられるのではないかと思います。というのは、やはりまとまった土地がなかなかとれませんので、新東名沿線上で比較的狭い土地を分散して工場として立地させて、道路でつなぐことにより、より大きな疑似的な工場として生産体制を築くというようなことも考えられるのではないかなという気がいたします。
 それから、高速道路と地域との接点というのはこれまで何があったかというと、基本的に地域との接点というのはインターチェンジしかありませんでした。東名では富士川サービスエリアがスマートインターになっているのでちょっと違いますが、それ以外は基本的にはインターチェンジがないと、地域との接点というのはできなかったわけです。ところが新東名では何が起こっているかというと、もちろんインターチェンジが地域との接点であることは間違いないのですが、それ以外にサービスエリア、パーキングエリアが地域との接点になり得る、なっていると思います。実際に、現在スマートインターが整備されているのは静岡サービスエリアと浜松サービスエリアだけですが、森町はスマートインターを入れたいということですでに動いていますし、ほかの地域でもそういう動きが多分出てくれば、サービスエリアそのものが地域との接点になり、出入りができるようになります。
 さらに、現在はスマートインターがなくても、ぷらっとパークというものがありまして、高速道路を使わない人たちが、外からそこを使ってサービスエリアを活用できるようになっています。山間地域を通っているので、近くにコンビニもないという地域も多分あると思うのです。そういう人たちにとっては、このサービスエリアに行けばコンビニもある、そのような地域との接点としてのサービスエリア、パーキングエリアという視点で見る必要があるのではないかという気がいたします。
 それから、2番目は再認識すべき現東名の価値ということですが、やはり新東名ができて、新東名ばかりに目がいくわけです。ですけども、よくよく考えてみますと道路というのは新東名が単独であるわけではなく、ネットワークでつながっているわけです。もちろん清水のジャンクションでも、三ヶ日のジャンクションでも、御殿場でもつながっている。そうしますと、新東名だけではなくて現東名の価値というのが実は上がっているということをもう1回再認識する必要があると思います。開通から3カ月で、同期間にこれまで現東名1本だったときに渋滞が何回起こっていたのかというと、71回起こっていたのですが、新東名ができてからは5回と、9割以上減っています。その5回の内訳ですが、4回が新東名で、1回が現東名なので、現東名のほうが渋滞の少ない道路になったということです。したがいまして、企業の立地という観点でもう一度見たときに、現東名の優位性が増していると見ることができるのではないかという気がいたします。
 それから、今の話とよく似ているのですが、3番目は定時性の確保ということで、これが高速道路網を活用する上で非常に意味のあることではないかと思っています。これまで東名高速道路では年間2,500回も渋滞が発生していたので、特にビジネスでは、現東名を使っては定時性を確保できなかったということなのです。渋滞ばかり起こっていて、特に何時までにどこに行きたいというときに、この高速道路をうまく使えないということがあったと思うのです。ですから、皆さんが移動の際に定時性を確保したいときは何を使うかというと、きっと車ではなくて鉄道になるというわけです。ところが、新東名が開通してから6カ月がたち、明らかに渋滞が減っており、県内に限ってですが、渋滞はほぼゼロに近い状態になっているわけです。そうなると、県内の東名、新東名、この高速ネットワークは、従来と何が違ってくるのかというと、定時性が確保されてくるということなのです。残念ながら今のところは県外を出ると難しいのですけれども、県内に限れば定時性が確保される道路ネットワークを持つことができ、やはりこれを活用したビジネスモデル、うまい手はないものかということだと思うのです。先ほど、商業ではNEXCO中日本がサービスエリア、パーキングエリアを展開している、これは道路で当然つながっているわけですけれども、それと同じように工場を分散立地させる。そのときになぜ分散立地でもいいのかというと、定時性が確保されているからです。裏にこれがあれば、少し小さな敷地を分散させて工場立地を促すということもできるのではないかと思います。ですから、定時性というのは非常に大きな意味を持っているのではないかなという気がします。
 4番目として、スタートダッシュは新サービスでと書きましたが、この新サービスというのは、NEXCO中日本が当初、「まるごと静岡ドライブプラン」という、東京や大阪から静岡に来る際に利用できる、いわゆる鉄道でいう周遊券のようなものを発売してくれたのですが、残念ながらあまり使われなかったということがあります。しかし結果として、現東名・新東名を合わせた総通行量は、現東名だけのときに比べて14%ぐらいふえています。ですから、まるごと静岡ドライブプランはあまり使われなかったのですが、新東名自体は非常にうまく利用されたと言えると思います。
 それから、5番目として、新東名はまだ発展途上であるということです。当面は県内の162キロメートルが開通しただけですが、今後、三ヶ日から豊田東までつながると、名神高速道路ともつながる。開通予定は平成26年ですから、もうあと2年のうちにつながります。それから、東部はなかなか見通しが立ちませんが、静岡県の交通ネットワークの中で一番不便であった南北の交通では、中部横断自動車道、三遠南信自動車道がつながってくる。これも何かかなり遠い話のようですが、中部横断道ももう平成29年に開通する予定ですから、かなり近い将来の話です。そうなると、静岡県の交通網というのはより非常に大きな効果を発揮できるようになってくると思うのです。特に中部横断道がつながると、南北で結ばれて最終的には新潟のほうまで、日本海側までつながるという意味でも大きいですが、もっと大きな意味というのは、首都高を通らないで北関東と直結できることです。今、北関東に行くためには首都高を通らないといけないわけですが、ここは渋滞ばかりです。中部横断道ができますと、中央高速道路につながり、東京外環自動車道を通って、ひたちなかの那珂湊まで行けるという、非常に意味のある交通網になってくると思います。
 そうなってきますと、次の6番目の、静岡県の物流拠点としての価値が非常に上がるのではないかと見ているわけです。なぜ物流なのかということですが、今、どこの地域でも多分企業誘致というのは曲がり角に来ていると思うのです。企業誘致と言いますが、現実は工場誘致であり、その工場が今なかなか国内に立地しない。各地域が欲するいわゆる先端技術を持ったハイテク産業でも、競争が物すごく厳しくなって、シャープの亀山工場の例のようなことが起こっているわけです。シャープの亀山工場が完成したときは、三重県にとってはいろいろと反対の意見もありましたが、中央の企業を誘致する成功モデルだと言われたわけです。しかし、いたし方ないところもあるのですが、今になってみるとどうなのかということになっているのです。もしシャープが経営破綻するということになれば、まさに地域にとってお荷物になってしまうのです。それほど、ハイテク分野というのは、成長もしているけれども、競争も厳しくて栄枯盛衰というのが非常に短期間に起こってしまいます。まさにスピードの時代ということが言えるのだろうと思います。
 そういう中でなぜ物流なのかということですけれども、やはり物流ということは日本国内の物の流れですので、ある意味内需ですから、なくなるということはないのです。しかも、現在、いろいろな企業が収益的に非常に厳しい中で、どこに利益を生む場所があるかというと、物流というのはそこにお金が落ちているなんていう言い方をするくらい重要な分野になっていて、ここを効率的に行うということが企業にとっては非常に重要なことになっています。例えば有名なところでは、インターネット通販のアマゾンジャパンという会社がありますが、ここは早くから物流センターを設置して、そのようなビジネスモデルを展開していますが、今度国内にもう11番目となる物流センターを多治見につくるそうです。多治見はちょうど、北陸自動車道で北にも行ける、東名で東西にも行ける場所ですが、そこに今度つくる物流センターの面積は、なんと8万平米です。8万平米というと余りイメージがわかないですが、現在、三菱地所が静岡市につくっているショッピングセンターが3万ちょっとで、浜松のイオンモール浜松志都呂が6万5000ぐらいですから、アマゾンの多治見の物流センターはそれらよりもはるかに大きいのです。また、この物流センターをつくると、新規の雇用が新たに1,000人生まれるそうです。物流センターというのはおそらく、工場と違って平屋にする必要はありませんから、土地利用の効率は製造業よりもいいはずです。そういう中で、1,000人の雇用を生むということになると、雇用の面でも非常に意味を持つことになると思います。
 現在、物流がどういう方向に大きく動いているかというと、基本的に集約化される方向にあります。今までは静岡市にも浜松市にも、物流センターや営業所が置かれていましたが、それをまとめてどこか1カ所、もっと大きな物流センターを置いて広域をカバーするという方向になってきています。現在の大きな物流センターは、200キロメートル圏ぐらいをカバーするということになります。そうすると、例えば静岡であれば、これから中部横断道ができたとすると、清水ジャンクションのあたりというのは一番いい場所だと思うのですが、あそこで200キロメートル圏というと、関東、名古屋ももちろん入りますし、北陸のほうも入ってくる、すごくいい場所になるはずです。そう考えますと、静岡県というのは日本の物流のハブ機能を果たす可能性があります。空港や港ではなかなかハブになるというのは難しいのです。現実問題として、東京港ですら世界的に見れば20番ぐらいになるわけです。日本の港は全然ハブ港になれないですが、なれないことは決して悪いことではないと思います。というのは、世界のハブ港と言われているところは何が多いのかというと、トランシップ、いわゆる積みかえが多いのです。例えば、釜山、シンガポール、香港を見ても、とても国内にマーケットがあるとは思えないですよね。日本の場合はそういうトランシップというのは少ないですが、国内の需要に合った輸出入が行われているというのが特徴です。ですから、うまく静岡に物流基地を集積させていくと、それが結果として清水港を使うことにもつながっていくし、これから将来静岡空港を使うということにもつながると思うのです。現在、いろいろとポートセールスを行っていますが、どこの港も同じように行うので、ポートセールスだけではなかなか差はつかないわけです。そうなると、やはり国内の基盤をうまくつくり、ここに荷物を揚げざるを得ないという状況をつくることが非常に重要ではないかと見ています。そういう意味でいうと、今、県でも物流戦略を強く打ち出しておりますので、まさしくふじのくにを日本の物流センターのハブ地域にする、というような意識、戦略が必要ではないかと思いますし、静岡県はそれができる環境にあるということです。といいますのは、例えば先ほど言いましたように、静岡を中心に200キロメートルから300キロメートルの円を描くと、少し出てしまうかもしれませんが、関東、東海、関西、それから信越が含まれます。その中にどのくらいのGDPが入ってくるのかというと、日本のGDPの7割を超えるのです。その円のほぼ真ん中に静岡があるわけで、この中で、日本のGDPの7割のいろいろな物や人が動いているということなのです。それをうまく生かして、ここがハブ機能を果たすというようなことを行うと非常に面白いのではないかという気がいたします。
 その次が7番目として、新東名というのはもろ刃の剣であるということですけれども、交通ネットワークですので、静岡県にとってメリットでもあればデメリットにもなりかねないということです。交通条件がよくなれば当然入ってくるという人もいるでしょうが、出ていってしまうということも逆にあるわけで、まさにもろ刃の剣だと思います。そういう意味で言いますと、あと2年先に愛知県の豊田とつながってしまうわけですから、その前に先手を打つということは非常に重要ではないかという気がいたします。両面あるので、新しい道路インフラが整ったことで、商売をしようという人が民間に出てこないといけないですし、そういう人たちをうまく支援することが必要ではないかと思います。だから、やはり新東名ができたことを機に県内で新しいチャレンジが起こってくれないといけないですし、そういうチャレンジがたくさん起こることが結局、地域としての活力になるし、中山間地の新しい活性化にも多分つながっていくと思います。
 では、具体的に新東名ができたことでどのような効果があったのかということですが、10ページ以降に、今年8月に私どものところで行った、県内の企業2,100社強と、その従業員約3,000人に対するアンケートの結果を載せています。10ページになりますが、新東名が開通してどうだったのかということについて、いろいろな回答が出ましたが、例えば一般の人では、渋滞や通行止め等を気にせず安心して出かけられるようになった、災害時の輸送路や防災拠点が確保され安心感が増した、運転時の疲労感が少なく出かけやすくなった、といったことがやはり大きいわけです。それから、これから高速道路の整備に望むことというのは、新東名の神奈川県方面の開通、そしてその次が愛知県方面の開通、そして3番目が中部横断道の開通ということで、さらに延びていくと、より便利になるということだと思います。一番大きなことは、走行時間を短縮できた、渋滞の心配がなくなった、休日の行動範囲が広がった、といったことです。
 11ページを見ていただききたいのですが、高速道路の整備効果というのは、いろいろなことが考えられます。そのうち直接効果、例えば走行時間短縮による効果、それから渋滞による損失時間の削減、交通事故の減少、走行コストの低減、定時性向上による時間節約、このような事前にわかりやすいところの便益、どのぐらいの効果があったのかというものを計算したものが12ページの表で、合計348億円ということでございます。その中でも特に大きいのが走行時間短縮効果で146億円あります。走行時間短縮効果の146億円という数字はどうして出てきたのかというと、実際にこれまでの現東名だけのときの旅行速度というのは時速89キロメートルだったのですが、新東名の旅行速度は時速97キロメートルで、8キロ速くなっています。また、現東名も時速91キロメートルと、2キロ上がっています。その便益というのが、146億円と一番大きいのです。
 新東名は時速120キロメートルの走行を想定して設計されているので、制限速度を時速120キロメートルにしたらどうなるのかというと、新東名だけで時間短縮効果が275億円と、2倍以上になります。これはあくまでも時短や事故の減少という面での評価だけで、例えば、これから企業立地をすれば、それに伴う経済効果というのも当然出てくるし、実際にはいろいろな効果があるわけですが、時間ということだけに関してでも、これだけの効果があるということです。
 そこで、最後のページに、交通網の充実と地域の発展ということで、これからさらに新東名の効果がより大きくなるためにはどうするべきかを考えてみました。一番手っ取り早いのは制限速度を120キロメートルに上げるということなのです。これにはお金が一銭もかかりませんし、日本初の制限速度100キロメートル以上の道路として話題性も非常に大きいし、現実にスピードが上がることによる経済効果も出てくるということで、120キロメートルへの引き上げというのは1つの方法として有意義ではないかなという気がいたします。
 それから、2番目はサービスエリア、パーキングエリアの周辺の開発です。NEXCO中日本がサービスエリア、パーキングエリアに力を入れているというのは、まさに鉄道のやり方をまねしているのです。駅ナカビジネスと言いまして、東京駅が典型ですが、駅の中、改札口の中でショッピングをできるようにして、人を非常に多く集めているわけです。現在のNEXCO中日本は、まさしく道ナカビジネス、道の中のビジネスをうまく行っているわけです。先ほど申し上げましたように、3カ月だけで1,300万人という利用者がいる。その人たちにSA、PAの外へおりてもらえるよう、当面は歩いていける範囲をうまく活用するビジネスモデルを考える必要があり、これは民間がもっと考えないといけないと思います。そうすると、1,300万人が利用しているということは、サービスエリア1つ当たりの人数を考えてみても、物すごい数なのです。新しい駅ができたのと同じ、あるいはそれ以上の効果があるわけで、今まではあまり目がいかなかったところをうまく使うということで、まず徒歩圏、そしてその後はさらにその先へと高速道路を使っている人を誘引していき、結果として中山間地の活性化にもつながっていくだろうという気がいたします。例えば農業との連携ということも当然考え、もっともっと行っていく必要があると思います。
 そして3つ目ですが、物流というのはこれから非常に希望を持てる、期待できる分野だと思いますので、象徴となるような物流センターをトップセールスで連れてくるということが必要ではないかと思います。例えばアマゾンジャパンの物流センターは、愛知県に立地されているので、静岡県に持ってくるのは多分もう無理だと思います。そうすると、例えば同じようにネット販売をビジネスモデルとしている楽天も物流センターをつくろうとしているので、そういうところを連れてきてもいいです。もっと言えば、例えば、ユニクロに、非常に広域をカバーする物流センターを静岡県に置いてもらう。もし静岡県に一番大きな物流センターが立地されれば、ユニクロの商品は基本的に100%輸入品ですから、現在どこの港で揚げられているか知りませんが、必然的に清水港や御前崎港で荷揚げしたほうがいいということにもなる。このような戦略が必要になると思いますので、静岡県に立地してこれだけ集約すると、おたくの企業にこれだけメリットが出るということを特に押し出す必要があると思うのです。その上でトップセールスを行うことが必要だろうと思います。
 それから、中山間地域について申し上げますと、これまで中山間地域は、高速交通網との接点がなかなかなかったわけですが、新東名の開通で、初めて高速交通網と非常に近いところで接続できるようになったことで、新しいビジネスを生む苗床のような機能を果たしていく必要があると思います。今、現実には沿海部から高台へという、例えば工場を移転する動きがありますが、同じ地域間で移動するだけでは、結局、今度は空いたところでいろいろな問題が出てきてしまうので、共存が図られるような新しいビジネスモデルを考えていかないといけない。例えば、中山間地ではグリーンツーリズムがありますが、静岡県の場合は、体験希望者に多いのは都市部の住民です。ですから、新東名により首都圏と非常に近くなり、短時間で来られるようになったことは非常に大きなメリットです。例えば、農家に宿泊していろいろな農作業を体験するだけではなくて、平野部には産業観光の拠点もありますから、うまく組み合わせていき、平野部、沿海部にも回遊させる方法を考えていく必要があると思います。
 時間のほうが参りましたので、とりあえずここで一段落させていただきます。

○林委員長
 ありがとうございました。
 いろいろな視点を変えながら、新しい御意見もいただきました。本当にありがとうございました。
 それでは、これより質疑応答に入ります。委員の皆様にお願いいたします。質問はまとめてするのではなくて、一問一答方式でお願いします。
 それでは、御質問、御意見はどうでしょうか。

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