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委員会会議録

委員会補足文書

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令和3年11月4日脱炭素社会推進特別委員会
CSVコンサルタンツ 代表、静岡ガス株式会社 顧問 中井俊裕氏 【 意見陳述 】 発言日: 11/04/2021 会派名:


○中井俊裕氏
 それではまず、聞き慣れない社名で、CSVコンサルタンツなんて言っているんですが、私、今現在は静岡ガスの顧問でございます。1か月前までは、常務執行役員を務めておりましたが、1か月前に辞任いたしまして、独立をして、カーボンニュートラルに対して、静岡県内の事業者をどうやって支援していくかということ、それを、今までガス会社の立場で行ってましたけれども、これを一歩外へ出て、独立系のコンサルタントとしていろんな企業さんの支援をしていくということで、思い切って辞めました。なので、今はちょっと2つの肩書のまま、お話をさせていただきます。
 今日、私は50分しかないので、まず少しアウトラインの話をさせていただきますが、前の日比野さんと、それから、水谷さんとかぶっている分野については割愛しながら話をしていきます。ただ、現状の把握ということで、僕は今回、事業者という視点からお話をさせていただきますので、お二人とはちょっと違う見地で、GHG(グリーン・ハウス・ガス)の現状把握ということをさせていただきます。
 それから、私が今、コンサルタント活動をする上で、企業に、まず脱炭素のためには、4つの大きな要素があることを言いますが、それについて少し御説明をさせていただきたいと思います。またエネルギーの供給面からどういう技術がこれから進んでいくか。あと、今、COP26が開催されています。私の強みとしては、COP26に参加している何人かのメンバーから常にリアルタイムで情報をいつも頂いていて、化石賞を昨日は頂いてしまったとかあったんですけれども、化石賞を頂くのも一つの名誉なことなんで、現地に行っている人間は、そんなに日本のメディアが言っているほどの話じゃないよなんていうことも、昨日連絡をもらったりもしていました。
 ただ、その中でちょっと気になること、排出量取引について、私、実はこの排出量取引は専門分野の1つなので、皆さんに御報告をさせていただいて、まとめにしたいと思います。
 それでは、この二酸化炭素の排出量で、これ、日比野さん、水谷さんも言っていた話なんで、左側の総量の話は、これは世界全体でどのぐらいで、日本が3.2%。昔、4%でしたけれども、今、3%です。ここはいいとして、こちらですね。どの国が二酸化炭素を1人当たりだとどのぐらい出しているのかを見たものです。言ってみると、ここで今まで中国が大体3分の1と言われてますけれども、でも、1人当たりにするとこんなに小さくて、今、COP26で問題になっているような先進国と途上国のこの大きな差が、1人当たりにしてみると出てきますよということです。
 私が注目しているのは、これはちょっと日比野さんたちとかぶってしまうのですが、二酸化炭素の排出量は何によって影響されるでしょうかというのを数式で表したものです。簡単に言うとGDPが増えていくと、エネルギーの使用量も増えるので、だから二酸化炭素の排出量が増えますということなんですね。でも、私たちは、今、この二酸化炭素を減らさなくてはならない。となると、このGDPを減らしますかという話になっちゃいます。要は、江戸時代に戻りますか、戻りませんかという、そういう選択になってしまいます、この2つだけだと。
 それでこの真ん中の2つが出てくるわけです。特にこの右側ですね。GDPを1単位、例えば、経済成長を1%するのに、または1億ドル稼ぐのにどのぐらいのエネルギーが必要なんだろうか。またエネルギーの中に同じだけの熱量のエネルギーを使うんだけれども、その中に含まれているCO2の量が多いか少ないか。簡単に言うと、同じだけの熱量を作るのに、石炭をたくか、それとも太陽光パネルで作るか。石炭で同じだけの熱量を作れば、CO2はこれだけ出ます。でも、それを太陽光パネルで作ればゼロになりますという話なので、ここで言いたいのは、経済成長はするけれども、ここは一緒のレベルから下げていきましょうということになった場合には、なるべく省エネルギーというか、効率のよい社会づくりをしなければいけませんねと、そういう意識です。
 それを頭に入れた上で、私の視点は、これは日本の排出量を円グラフにしています。外側と内側で同じ色のところが、割合が違いますと。内側のところは何かというと、これは、2019年で全体で11億800万トン排出をしているんですが、直接的に排出をしてるのが、この青い部分のエネルギー転換部門と言われてる部門です。これはさっきも出てきたと思います。簡単に言うと、電気を作るときに電力会社の発電所で出てくる二酸化炭素だと思っていただければ結構です。
 電気の話で入りますと、ここが発電所で排出されているCO2なんですが、じゃあ、誰がその電気を使ったかという配分をしたのが外側のグラフです。なので、本来、直接的に二酸化炭素を排出しているのは、この内側の部分で、産業用も自分のところで発電をしたり、ボイラーで燃料をたいたりということになると、ここの内側のところに入ってきます。ところが、この外側は、誰がその電気、熱を使ったかということなんです。
 ここで私が言いたいのは、事業者に対して、あなたはこれ、どっちのグラフが正しいと思いますかという言い方をします。じゃあ、二酸化炭素が今、11億800万トン排出されてるのは、誰がこれの責任をとるんですか、例えば環境税が導入されたときに誰が支払うんですかというと、これは内側じゃなくて外側の人なんですね。だから、CO2を減らすというのは、例えば電力会社が減らしてくれるから待ってればいいという話じゃなくて、やっぱり自分事の、外側の話だと思って考えないといけないですよと、まずここから事業者の人にはお話ししてます。ここの理解が全くまだできてないことが、本当に私も最近、よく分かりました。
 さっきの式がありますね。このグラフ、結構ポイントです。これ、私が作ったんですけれども、左側から日本、中国、アメリカ、豪州で、ヨーロッパ、ドイツから英国で、ロシアがあってブラジルです。何を示しているかというと、10億ドルのGDPを稼ぎ出すときに、CO2を何百万トン排出しているかというグラフです。だから、当然のことながら、これは下にあるほうがいいですね。10億ドルのGDPを稼ぐのに、なるべく少ない二酸化炭素の排出量で、お金を稼いでくれたほうがいいわけですから、世の中、国としての経済的な効率っていうのは、当然、下のほうがいいです。日本人は、日本って何か省エネだよねとか、省エネ国家とか、すごくそういう感覚が多くて、僕もそうでした。
 私自身、やっぱり1970年のオイルショックを知っていまして、それからぐっと日本が省エネルギーの技術を導入したり、それから、省エネルギーって、ちょっと我慢をしなければならない省エネルギーみたいなものもあったりしましたけれども、ただ、その頃からずっとよくなってきていて、日本って、すごく効率がいい国だなと思っていました。実は、このグラフも20年前に書くと、日本だけが下で、あとずっと上のほうだったんですね。それが今、こうやって見ると、日本はアメリカと一緒になっちゃっていて、これには2つの要因があると思うんですよ。アメリカのほうがGDPが伸びちゃった。要は、稼ぐほうが多くなっちゃったこともあります。だけど、アメリカより今、日本のほうが全然省エネ的な国だったのに、こうやってグラフで見ると、これはデフォルメして円をでっかくしていますけれども、実はもっと小さくすると差が出ちゃうんででかくしたんですが、日本とアメリカはあまり変わらない。
 中国でさえ、さっき見てもらったように、1人当たり、こんなに小さい人だったのが、GDP当たりにすると、ここまで接近してきちゃう。これは、昔、やっぱりさっき水谷さんから、京都議定書なんていう話が出てきたと思うんですが、あの頃、私が講演会で話をするときは、全然、中国って、もうこの辺にいました。だから、大分やっぱり中国も効率的な国になりつつあるということだと思います。さらに、ヨーロッパ各国も、日本よりもまだまだ、この上のほうにいたんですが、私もこれを自分で書いてみて思ったのは、イギリスなんて、まだ石炭を結構使っていますし、油も産出する国ですからと思ったんだけれども、イギリスのほうが、日本よりも、10億ドル稼ぐには、CO2の排出量が少ない。何と、あのブラジルにも接近されているのには、私はびっくりしました。
 したがって、やっぱり二酸化炭素の排出というのは、総量の話もあるんですけれども、やっぱり僕自身は、さっきの数式はすごく大事だと思ってまして、なるべく効率のいい社会経済づくり、その効率というのは何かというと、二酸化炭素の排出が一つの物差しになっている、そういうことをまず最初に申し上げたいと思います。
 あと、次に、よく省エネルギーという言葉をみんな使います。私が幾つもの企業へ行って、省エネルギーという言葉を、まず事業者のほうから言われるときもあるし、私のほうから言うときもある。ところが、それは、同じ言葉を使っているんですが、意外と意味が違うことで使っていることが時々あったりします。なので、ここでも皆さんと意識合わせのために、省エネルギーって本当はどういうことかを、ちょっと見てみたいと思います。
 分かりやすく、左側の一番100%って書いてあるところ、これは、日本ってエネルギーの自給率がとっても低いので、分かりやすく言うと、ほとんど海外から買ってきてますよね。その海外から買ってきている状態のエネルギーの量を100とします。だから、例えば、オーストラリアから石炭をがらがらっと運んできた状態のもの、または、どろどろして、まだ使うことができないような原油を中東から運んできた。または、オーストラリアとかロシアから天然ガスを輸入してきた。そういう状態の、まだ皆さんが使える状態にない、本当に最初の輸入してきた状態のエネルギーを、まず100としました。
 最近、国で、第6次エネルギー基本計画が閣議決定いたしましたけれども、この中でも、2030年の1次エネルギー供給量は、原油換算4億3000万キロリットルですといってます。なので、ここでは4億3000万キロリットルと入れたんですけれども、まずは、使える状態にない、輸入してきた状態のエネルギーを一番左に書きました。
 次に、これを皆さんが、電気であるとかガソリンであるとか灯油であるとか、使える状態のエネルギーにしましょう。そのときに、さっきのエネルギー転換が必要になるんですね。ここで何とロスが、第6次エネルギー基本計画って、2030年のことを言ってるにもかかわらず、35%変換ロスがありますって書いてあるんですよ。計算すると35%だったんですが。要は、これ、今もそのぐらいです。だから、1次エネルギーから皆さんが使える状態のエネルギーにするところまでで、大体35%のロスが生まれてきます。何か2030年もロスの率が同じっていうのもおかしいなと思いながら読んでいたんですけれども、ここで皆さんに考えていただきたいまず1つが、本当に使う状態のエネルギーの必要量というのはここなんだけれども、こんなに輸入してきちゃってるよということです。
 じゃあ、次にこれを皆さんが使える状態になって、例えば、電気にしましょう。朝起きて、最初に使う家電製品、ヘアドライヤーかもしれません。ヘアドライヤーにこのエネルギーを投入しました。そうすると、ドライヤーって、空気を暖めて、吹き付けてくれます。だけど、それが本体のほうにも熱として伝わってしまって、ドライヤー自身も熱くなるし、排気ガスも出しますよね。要は、仕事として行ってるのは、この入れたエネルギーの半分ぐらいしかしてないですよと。プロジェクターもそうですよね。わあっとファンで熱出してますし、そういう意味では、ここで電源に対して、この機械は、エネルギー的には半分ぐらいしか仕事をしてくれてないというのが、これが実態です。これは日本平均で、大体この半分ぐらいになってしまう。
 そうすると、私たちが本当に必要な仕事量というのか、例えば、ここで今、電気を消しましたけど、これを読むために必要なエネルギー量といったら、本当はここなんだけど、でも、そこの蛍光灯のところでは、ここになっちゃうし、そこに送る電気を作る前はここになっちゃうということ。ということは、まだまだ33%のエネルギーが欲しいのに100輸入してきてしまってるというこの状態がどうなんでしょうかという話なんですね。
 だから、省エネルギーって、今までは、ここから先の、この蛍光灯を間引きましょうとか、エアコンの設定温度を高くしましょう、下げましょうというのは、あくまで機械の中の設定の話。機械を無駄なく使う。要は、スイッチを小まめに切りましょう、これは最終部分の話なんで、本来、省エネルギーというのは、エネルギーの変換をいかによくするか、または、エネルギーの効率をよくするかという、そういうことだと思います。
 例えば、今蛍光灯って言いました。これをLEDに替えれば、機器ロスは減ります。やっぱりそれは、システムを変えていくことは、ある程度の投資は必要になりますけれども、ただ、この需要構造を変えていかないことには、多分、カーボンニュートラルは進んでいかないと思ってます。省エネルギーというものの本質を考える時代がやってくるんじゃないかなと思います。
 冒頭申し上げた、じゃあ、カーボンニュートラル、脱炭素社会に向けた4つの要素ということで、僕は、まずはやっぱり今のままでは、カーボンニュートラルは進みませんので、新しい技術というのは必要だと思いますし、あと、そこに対しての経済的な手法としてのESG投資が必要だと思います。さらに、それを後押しする政府の素早い対応も大事だと思っていますし、何はともあれ、やっぱり市民が理解をしていくというのが大事だと思います。
 ここがすごく難しくて、市民の人がどういう状態になれば、カーボンニュートラルに対して、多少高いものでも環境にいいものを買ってくれるかとかいうことを促していかなきゃならないということなんですが、でも、もしかしたら、ある日突然、消費者のニーズ、あと10年すると、今、学校教育でカーボンニュートラルとかの教育を受けた人たちが、わっと社会に出てきます。そうしたときに、じゃあ、商品の中で、このお茶を作るのに、カーボンフットプリントなんていう言葉がありますけれども、こっちのお茶とこっちのお茶と、ちょっとこっちのほうが高いけど、何かCO2排出量が少ないならこっちを買うような、そういう世界になるとしたときに、していかなきゃいけないんですけれども、ここでしっかりと経済的な手法、ESG投資と言いましたけれども、自分たちの商品の位置づけをどうして、どういう形でマーケティングしていくかということができてない会社は、全く物が売れなくなっちゃうということになりますよと、そういう話です。
 ここが技術的な話ではあるんですけれども、私も多分、カーボンニュートラルにするにはこうなるだろうなと、エネルギーシステムをこうしなきゃいけないんだろうなというのは、まず、さっき言った需要サイドの話です。簡単に言うと、日本のエネルギー消費は、電力かそうじゃないかとしたときに、ざっくり、電気のほうが大体、3割ぐらいなんですね。あとは、ガスとか石油とかほかのものを使ってます。これをまず、本当にさっきの省エネルギーと言いましたけれども、エネルギーの需要サイドのシステムで、僕はここが静岡県で、やっぱりイノベーションとして、まずやっていけるところだと思ってます。
 需要構造を変えていくというのかな。静岡県というのは、人口がまだまだ360万人いて、かなりの人口の多さを誇っていて、あと、繊維出荷高もかなり高いです。要は、お金があって人があるところなので、まちのつくり替えとかということは出てくると思うんですね。特に運輸系のところは、僕はかなり期待していて、今まで私の時代は、物を自分が買いに行っていたんですけれども、最近は、物のほうから家にやってくるような時代になりまして、そうすると、そこをどう効率良く物を運んでいくのかとか、そういうことも含めて、この需要構造のシステムを変えていくというのは、多分、このぐらいの地方の都市のほうがやりやすいんじゃないかなと、僕は思ってます。
 そういう意味で、この省エネルギーというか、消費量を減らすという、ここは、僕は地方の都市が、まず得意とするところじゃないかなと思います。まず、この需要を減らした上で、あとは電気でできるところは電気を増やす。その電気というのは、ここで、ちょっと見えづらいんですけれども、やっぱり再生可能エネルギーと原子力がCO2フリーの電気なのかなと思ってます。あとは、化石燃料、これは今、天然ガスが燃料としては最も二酸化炭素が少ないんで、この天然ガスを使いつつ、ただ、CCS――要は、二酸化炭素をそこでは排出してしまうけれども、それをちゃんと回収してしまう技術――が多分できるでしょうから、ここは化石燃料プラスCCSという技術、そして、あとバイオマス。エネルギーの供給源としては、この3つかなと思っています。
 そこから、水素と書きましたけれども、ここも、もしかしたら、真っ先に取り組めば、静岡県がトップランナーになれる可能性がある分野じゃないかなと思ってます。というのも、今、水素で有名な都市が北九州市と神戸で、あと川崎も今、水素で少し産業の革新化を図ろうとしているんですけれども、ただ、それらを見てみても、多分、静岡県のほうがもうちょっと広域で、そういう彼らが今、パイロットプラントでやっている仕組みを持ってきて、もうちょっと応用に移すには、海沿いにある静岡県で、しかも、自動車の道路網がしっかりしていて、さっきみたいに人数がしっかりいる。三島、沼津地区、富士地区で、清水、静岡で、あと、浜松と、水素をうまく使っていくための需要としては、いい需要なんじゃないかと思っています。ということで、もしまたお目にかかる機会があれば、もう少し詳しくお話をさせていただきたいと思いますが、こんな構造になるんじゃないかなと思います。
 その中で、2つだけ話をさせていただくと、再生可能エネルギーと水素について話をします。最初に再生可能エネルギーのバイオマスの話をします。これは私が実際に手がけてきたもので、街路樹です。例えば、高速道路であるとか公園であるとか、剪定枝というものが出てきます。剪定とここに書いてありますけれども、要は、毎年毎年、木が伸びてしまいますから、それを剪定して、これを産業廃棄物として、今までは処理してました。それを集めてきて、バイオ燃料として発電をして電気にするという仕組みです。
 これの何が面白いかというと、燃料を集めるのが結構大変ではあるんですけれども、ただ、地産地消型になるのが、まず1つです。これは今まで産業廃棄物という価値しかなかったものが、新しい発電用の燃料としての価値を持ったということ。あと、セキュリティという、これはエネルギーには非常に必要な概念でして、安定性、安定供給、あと価格の安定性と幾つかあります。要は、エネルギーセキュリティの面からも、これはこの地域にある燃料ですから、供給安定性はありますよね。それから価格も安定するでしょう。あと、雇用の創出と書いてあるんですけれども、切ってくれる人たちの育成をこの地域の中でやっていけるという意味では、意外とこれはいいシステムじゃないかなと思います。なので、こういうまちの中の、今まであまり見向きもされてなかったものをうまく燃料化していく仕組みが地方のほうがやりやすいという意味で、代表格で持ってきました。
 次に、再生可能エネルギーで、皆さんがぱっと思い浮かべられるのは、太陽光パネルだと思います。多分、この中の何人かの方も、屋根にパネルを載せられている方がいらっしゃると思うんですが、そのパネルに載せた太陽光パネルの電気を全部家で使い切れているかというと、そうではないと思います。太陽光発電がここまで発電しましたと。朝、ずっと発電していったんですが、突然、ここで雨が降ったらぎゅっと落ちます。また晴れてくれば発電して、また日が暮れれば落ちます。太陽光発電って、残念ながら、夜、発電しないという大きな弱点を持っています。皆さんもそうだと思うんですが、私は会社で、ガス会社だったんですけれども、その中で数年前に電力会社を子会社として作りました。そのときの初代の社長が私だったんですけれども、まあ、そのときびっくりしたのが、電気って、高校野球を僕は昔から見てましたから、夏の高校野球の決勝の午後の時間が一番ピークだと思っていたんだけど、違いました。夕方でした。やはりエアコンが、どこの家でもたくさんついてきて、これを家に帰った瞬間に、まずテレビの電源をぷっと押すのと、エアコンをぱっとつけるのが、多分、皆さんの行動パターンだと思います。なので、夕方になると急に電気の消費量がどんどん伸びていくのを見まして、僕の常識では違ってたということがよく分かりました。
 ちなみに、冬場と夏場では、1日1軒当たり、どちらのほうが電気をいっぱい使うかというと、冬です。冬のほうが電気の消費量が多いのも、それで知りました。なので、今までは空調の冷房が一番使うと思っていたんですが、そうではないことを知ったんですけれども、太陽光発電は、要はお天気任せで、しかも人間のほうは大体パターン化して電気を使いますから、そうすると電力の発電しているパターンと消費するパターンが合いませんねということになります。だから、太陽光パネルを一生懸命たくさんつけても、残念ながらその電気を全部使い切ることができないとなります。
 となると、どうするかというと、今度は電気を使うほうと協力しなければならないんですね。大体太陽光発電の電気を全部使い切ろうと思ったら、無理やり電気を自分で使うか、だから例えば、自分がお仕事に行ってる間にルンバというお掃除ロボットとか、お洗濯とか、乾燥とかを全部いない間にやらせるとか、自分で無理に使うか、ためるか、または、隣の家に使ってもらうかとか、そういう三つぐらいしか選択がないと思っています。
 なので、自分の家で使い切る分は使うというのがここですね。これは真ん中にスマートアプリでパナソニックのアプリの絵があります。ここにスマート家電という言い方をしていますけれども、やっぱり消費が大きいのが冷蔵庫であるとか、エアコン、こういったものを、発電パターンを見ながら、こっちの需要のほうをうまくコントロールする。既に今の技術として、こういうことを多分できます。ですから、こことこっちをうまく組み合わせるのが大事だと思っています。
 次に、これから2035年に向けて、増えていくであろう電気自動車ですね。電気自動車というのは、かなり大きなバッテリーを積んでいます。大体、このテスラでいっぱいフル充電すれば、大体、普通の家庭だったら、三、四日の電気の消費量は賄えるんじゃないかなというぐらいの電気の蓄電をしていますから、テスラにしろリーフにしろ1台家にあれば、もしかしたら、停電のときには自宅の電気が賄えることになります。私どもも、例えば静岡市とかとは、そういう特徴を生かして、もし災害時になったら、避難場所に対して、私たちが持っている会社のそういう蓄電機能、発電機能を持っている自動車を貸し出す協定も結んでいますけれども、そういう意味で、今、自治体からも、こういう蓄電機能がある電気自動車に対しては、幾つかの意味で、興味を持ってもらってるのかなと思います。
 あと、これは家庭用の蓄電池ですね。電気をためることができる。また、放電することができる。これも、自分の家の電気を賄うためだけに使うんじゃなくて、例えば、これだけの皆さんが近所に住んでいたときに、1本の電柱から皆さんの電気が行っているとします。この電柱に蓄電池がぶら下がっていれば、もしかしたら、その中で皆さんの住宅の家電製品と皆さんの住宅の太陽光パネル発電をバランスさせながら、最終的に調整をしてくれるのが、この電柱に載っかっている蓄電池になるとかね。こういう、何か仕組みとして考えていかないと、さっきの僕が言った省エネルギーというのは、達成できないでしょう。
 最後に水素です。僕は結構水素は有望だなと思っているんですが、今日は時間がないんで、最終的に水素の作り方として、これから出てくるのは、お水を太陽光で作った電気で電気分解して、この水を酸素と水素に分離して、その水素を、この自動車――これはトヨタの燃料電池自動車のMIRAIという車の写真です――に充電するとか、また、水素をタービンで発電させるとか、そんなことがあろうかと思います。
 これの何がいいかというと、さっきと同じです。太陽光パネルはここにありますね。さんさんと電気を作るんですけれども、使ってくれる人がいない。実際に今何が起こっているかというと、九州では、太陽光パネルが非常にたくさん普及してしまって、この写真は、産業用のパネルで、大きなメガソーラーですね。そうしたら、5月のゴールデンウィークは、電力会社の電気が全く要らなくなっちゃって、統計だけ見ると、本当に九州にある太陽光パネルからの電気だけで、九州の電気が賄えちゃうという状態だったんですね。だから、九州電力の発電所は、全部止めにいかなきゃならないんですね。そうすると、急にまた雨が降ったりすると、また、急にたかなきゃならない。このコストってばかにならないんですね。そんなときに、この太陽光パネルのところで、もし電線のほうへ行き場がなくなっちゃったときには、水と化学反応させて、水素にしてしまう。そうすれば、水素はタンクにためておく、または車にためておくとか、要は気体としてためることはできます。なので、電気の需要と供給の調整を水素で行う仕組みができるんだろうなと思います。そういう意味でも、まだまだこの分野に取り組んでいる自治体が少ないので、こんなのもあるのかなと思っているところです。
では、あとの時間は排出量取引の話をします。
 さっき水谷さんが京都議定書の話をしました。97年に京都議定書ができて、そこで京都メカニズムという名前で、排出権取引が国際的にできました。排出権取引とか排出量取引とか排出枠取引とか3つぐらい言い方があります。今日は枠の取引という言い方をしますけれども、もともとこれは、歴史的にはアメリカで作られたもので、アメリカの発電所が石炭をたいたときに、硫化水素が多かったんですね。要は、SOxと言われるものです。このSOxの規制をするために、SOx規制を各電力会社にかけました。そのときに、皆さんが競争して減らすように、このSOxというものに対しての価値を排出権取引を使って下げたのが最初の歴史だと思っています。
 今、これが二酸化炭素に導入され始めてきたということで3つ書いたんですが、多分1回ではなかなか概念が分からないと思うんですが、自主的な排出枠の設定を基準とした取引。要は、自主的なということは、2030年に向けて、自ら宣言をして、どのぐらいのCO2の削減をしますよということを、各事業者、会社に言ってくださいと。こう言いますと、私は今よりも10%です、私は5%です、私は20%ですと、こういうふうにまちまちです。でも、それでもいいですよ、自分の会社の目標をまず立ててください。それに対して達成ができたかできないか、できなかったら、ほかの会社から枠を買ってくださいというのが、一番上の概念です。
 2番目です。さっきは、20%、10%、5%の会社がいましたけれども、今度は2030年に向けて、例えば、46%という日本国としての目標がありますから、46%、各社一律の排出削減率を目標としてくださいと。それに対して、もし達成できなかったら、その分は達成できた会社から排出枠として買ってくださいと。これは、さっきと違いますよね。さっきは自ら目標を立ててくださいと言ったけれども、今度は強制的に46%になります。
 最後の三つ目も、2番目とほぼ同じです。日本としては、さっき2018年、2019年で約12億トンぐらいのCO2を排出してますけれども、2030年は46%比だと、7億トンぐらいになります。なので、日本として排出していい量が、ここに7億トンありますと。この7億トンに対して、皆さん、取り合いをしてくださいと。要は、A社はこの7億トンの中の100万トンの排出する権利をくれと。それを1トン当たり幾らで買いますというのがオークションですね。いやいや、僕はこの1トン当たり5,000円出すから、いやいや、6,000円出すから、だから枠をくれと。この価格というのは何で決まってくるかというと、最終的には、その会社が二酸化炭素の排出を抑えるために要するコストと枠を買ったほうが得かどうかという、そういうところで決まってくるとは思うんですけれども、こういうオークションにする取引です。
 もっとほかにもいろいろあるんですけれども、概念として、この3つは押さえておいていただいて、僕が何で今日この話をするかというと、気になってるのは、経済産業省がカーボンニュートラル・トップリーグという制度を試行的に今、始めました。これは何かというと、今、僕が言った3つの中の一番上です。各社で企業が自主的に参加して、だから、参加も自由です。このスライドは経済産業省のホームページからコピーしました。自分の会社で、2050年カーボンニュートラルと整合的に2030年目標の計画を策定して、資本市場へ開示しましょうと。要は、自分の会社としての目標をまず立てて、それで、この仕組みの中にカーボンニュートラル・トップリーグという制度に入ってきてくださいということです。そうしたら、その中で自分の立てた目標に対して達成をした人は、もし達成できない人に対して、この枠を売ってもいいですよと。この売るための仕組みとして、ここにカーボンクレジット市場というもの、この中には、既に今、J−クレジットとか、JCM――海外から買ってくるもの――とかこういう今、日本でも流通しているCO2の市場があるから、それと、この産業界のものをくっつけちゃうというのが、多分、これからの展開だと思っています。
 税金で、環境税でCO2の量を抑えようと思うと、やはり、時間もかなりかかると思うんです。税制の話ですから、税の仕組みを作らなきゃならないという話になる。こちらは制度として、ぽっと入れようと思うと、そんなに税ほど時間がかからず、導入される可能性があるんじゃないか。僕が会社を辞めた理由の1つはこれで、もしかしたら、本当にこういう制度が出来て、東京の会社はここが敏感に分かるけれども、多分、サプライチェーンで東京の本社がある会社に対して、静岡の会社が、うちはこれに入ったんだから、おたくも入れよとか、そういう話になってきたときに、静岡の会社がぼうっとしていて、全く知見も何もないんじゃ、太刀打ちできないんですね。なので、やっぱりこういう制度に対して敏感で、なおかつ、こういうものがよく分かる専門家を県の中に、県内に何人か置いておくのは、すごく大事なことだと思っています。
 このトップリーグの影響として、これは来年から試行的にやりますというんですが、試行的に何年も繰り返すわけじゃなくて、すぐ制度としてスタートしますとなったときに、まず、制度自身がよく分かっていないとか、それからあと、大手企業とのサプライチェーンで、中小企業もいずれは参加しなければならなくなるということ。あと、国が46%削減と言っていますけれども、今は9年先のことですが、あと3年となったときには、もういきなりこういう制度が導入されて、さっき言った枠を自主的にではなく、もしかしたら2番目、3番目の強制的にとか、もうオークションで買ってくださいという話になったときに、このオークションになったら、中小企業じゃ絶対買えないという危機感を何となく持っています。
 なので、当県の企業も、やっぱり来年のこの試験的な市場への参加を、県の中で代表企業を作って、その会社に入ってもらうとか、また、ある業界団体でも、複数の会社が一緒になって、そのカーボンニュートラル・トップリーグに入るとか、そういうことをしていかないと、後でびっくりな話になっちゃう可能性がある。または、静岡県でこのミニ版を作って、静岡県取引市場みたいなものを作っちゃうとかね。ここで、県内の幾つかの有力企業で、ちょっとやってもらうとか、そういうときには当然、地銀にも入ってもらってやってもらうとか、こういう練習はしといたほうがよろしいんじゃないかというのが今日の私の御提案の2つ目か3つ目でございます。これは、さっき申し上げたちょっと怖いパターン、一律46%の排出量を上限としなさいとか、7億トンをオークションで購入しなさいと言われたときに、オークションってどういうことっていう話にならないようにしたいということです。
 そのためにも、ここで今日、私が運良くこうやってお話をさせていただく機会を頂いているんですけれども、なかなかこういう話は、皆さんに私もお伝えすることができません。私も企業経営をやっていました。その観点で言うと、岸田首相が今、新資本主義と言っていますけれども、私、意味合いは違うんですが、今までが4つの事象の中の左下、環境配慮型の経営というのは、今まで、環境に配慮することによって、コストが上がっちゃう。だから、利益が減っちゃうというのが今までだと思うんです。そうじゃなくて、これからは、僕が考えてる新資本主義というのは、ここにCSV――クリエイティング・シェアード・バリューっていう、ハーバードのマイケル・ポーター教授が唱えた概念ですけれども、日本国でいうと、もしかしたら、三方良しと一緒だと思います。要は、買ってくれた人もいいし、売ったほうも良し、世間も良しという、その3つなんですね。
 この三方良しの概念はカーボンニュートラルに全く当てはまっていて、自分の商品を買ってもらって、社会もCO2削減になっているっていう、簡単に言うとそういう概念だと思っています。このページ1枚しゃべるだけで、1時間以上は語りたいという、僕が一生懸命作ったグラフなんですけれども、あと5分ほどなんで、まとめさせていただきます。
 脱炭素社会というのは、多分、小手先で何とかなる話じゃなくて、社会システム全体を変えていく話だと思っています。あと、消費側は、CO2の価値が金銭的価値の代わりに一つの判断基準になってくる。そういう消費構造というか、消費者側が変わってきますよということで、あと、環境投資は、自分の会社の利益のためだけに投資する意味じゃなくて、社会価値を上げるための投資ですよということを今、県内の企業の経営者の方には分かっていただきたいなと思ってます。要は、環境問題に取り組まないことのリスクって何でしょうねという、そういう言い方の裏返しです。
 あと、もう1つ、技術開発への投資と社会インフラの投資を推進と言っているんですが、例えば、これも企業任せじゃなくて、さっきの排出権取引もそうですけど、いいことをしたら、いいことした人には見返りがある社会を作っておかなきゃいけなくて、そういう意味では、一つ、こういう静岡県のような大きな県では、税制というものも減税といったことも、思い切ったことをやっていくのが大事じゃないかなと思っています。
 あと、やっぱりカーボンニュートラルは、1つの会社で考えるのは、多分無理だと思います。なので、この製品ができるまでに流通過程から製造過程から、原料からという全部のサプライチェーンの中でどう考えるかが必要だと思っています。または、同じ業界であっても、共通化できるところはあると思うので、全体のサプライチェーンを考えていく訓練をしていくのが、僕はこれからのカーボンニュートラル社会の事業者が頭に入れなければならないことだと思います。

○鈴木(澄)委員長
 ありがとうございました。
 以上で中井様からの説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 委員の方にお願いいたします。質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いいたします。
 それでは、御質問、御意見等がありましたら、御発言を願います。

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