• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 委員会会議録 > 委員会補足文書

ここから本文です。

委員会会議録

委員会補足文書

開催別議員別委員会別検索用


平成22年10月産業連携推進特別委員会
参考人の意見陳述 株式会社日本総合研究所 総合研究部門 主任研究員 大澤 信一氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/26/2010 会派名:


○大澤 信一氏
 日本総研の大澤でございます。きょうはお呼びいただきまして、ありがとうございます。
 きょうお話申し上げる内容は、農商工連携の話が中心になるかと思います。パワーポイントを用意いたしました。実は去年の12月に私どもの会社で次世代の国づくりシンポジウムというのを連続してやっておりまして、去年、その前に二、三年、ずっと農業についても社内で研究会をやっておりまして、1つの区切りということでまとめた資料があります。その後、いろいろ変わっているところもありますけれども、基本的に私の考え方は変わりませんので、それを参考にしながらお話を申し上げたいというふうに思います。
 目次なんですが、要約を初めにさせていただこうかなというふうに思っています。このときお話ししたのは大体3つのパートに分かれていまして、1つは日本の農業の再生に向けた2つの視点があるだろうということを初めに申し上げました。1つは、食とか農を取り巻く価値体系、考え方というのが非常に大きく変わってきていると。今、いろんなところで、そういうことが言われるわけですけれども、中国からの食品について毒が入っていたりというような話があったり、そういうことがあると。それから、15年ぐらい前だと有機農産物については、何か非常に流行を追いかけるというか、奇をてらったような取り組みのように思われていますが、今は普通に、そういうことを必要だと思うし、農薬、化学肥料についても、やはり減らしていこうということは、もう普通の常識になっております。
 それから、もう1つは農産物、食品というのは個性が非常に重要になってきた。そういうことも言えるかと思います。この価値が大きく変ってきていると。それから、もう1つは直売所に、このときは注目して話をしているんですね。私自身、農産物の直売所というのが、これからの日本農業の全体を考える上で、いろんな示唆を我々に与えてくれているんじゃないかなという感じがしております。繁盛している直売所に行くと、本当にくめど尽きぬですね。新しい農業のヒントが見てとれるんではないかと、そういう話をしました。ここで特に、我々として注目するのは農産物直売所というのは、農業の生産と流通と消費といわず、需要創造と言っているわけですけれども。畑から食卓まで、それを1つのビジネスモデルとして完結しているというところがすばらしいんじゃないかなと。といいますのは、私たちの経済社会自体が、経済の構造自体が非常にサービス産業化しているわけです。それは製造業に限らず、あらゆるところがですね。その中にあって、農業を強くするというときに、やっぱり生産という、つくるところだけに注目していても、効果は限られるだろうと。そのときに大規模な生産から流通、商品まで一貫というのは、やっぱり、これは現実的に非常に難しいものもあるけれども、その1つのミニチュア、モデルとして直売所というのは、小さいながら生産もやり、流通もやり、それから需要創造の工夫も、そこでつくった人がしていると。そういうことで、実は、今、農業に何が求められているのか、食品の供給で大切なのが何かということを含めて、非常に参考になる点がたくさんあると、そういうことを申し上げました。
 あと直売所が提示する新しい生活モデルということを、ここで言っているわけです。どういうことかというと、非常に繁盛している直売所を見ますと、そこに参加する人というのは、非常に高齢化しているんですね。直売所、後でいろいろ御紹介しますけれども、繁盛している直売所、どのぐらいの人がものを出しているかというと。平均年齢だと、もう60代の後半、年金世代なんです。場合によっては結構、元気でやっているところが、出荷者の平均が70代とかいうことが、あるわけです。
 一方で、そういう話から、やっぱりそれは高齢者の農業だろうと。もっと40代、50代、そういう人たちの専業の農家を強くしなければ日本の農業は国際競争力を持ちませんよという話は、いろんなところでされます。そのこと自体、私は否定はしないわけであります。当然そういうことはあるんですけれども、もう私たちの社会自体が、高齢化しているんですね。農村部に行きますと、平均年齢は、60歳を超えています。農水省のデータを見ましても農村の高齢化率、65歳以上の人口の占める比率というのは6割を超えています。それはいいにしろ、悪いにしろ、もう現実なんですね。だからやっぱり60代、70代の人が元気に働いている。いろいろ知恵を絞って活躍していると。それで年金等プラスアルファで、直売所というのは結構、今のところ兼業農家が多いですので、1人当たりの販売額というのは100万円とか200万円というのが非常に多い。だから、専業で最低限、一般の製造業と同じぐらい稼ぐんです。それは600万円になるのか550万円になるのかわかりませんけれども、そういうモデルではないんですけれども、65歳の年金の後の現金収入の100万円、200万円というのは、これは生活ということから考えると非常に注目すべきことだろうと思います。
 兼業ですので、ほどよい農作業で体にも非常にいいと。それから後で、御紹介しますが、実は農村地域のコミュニティが崩壊しているんですね。人間のつながりが、意外になくなっている。ところが直売所。うまくいっているところは、毎朝、そこに農産物出荷で集まりますから、そこで新たに仲間ができてくると、そういうこともあります。だから、ここでいうのは生活のライフスタイルというか、新しい生活モデルとしても、こういうものはもっと太くしていく必要があるんじゃないか。こんなことを日本の農業再生に向けて、まず、2つの視点ということで価値体系が変わったということと、直売所。ここに注目すべきであるということをお話ししました。
 あと農業の実態から見る農業の地域再生のヒントという、ここに書いてあるわけですけれども。このときは日本全国から行政の方々、それから中央官庁の方々、それから食関連のビジネスの方、農業関係の方に、来ていただいて、日本の農業全体の話をしたわけですね。ただ、農業を強くしなければならないというんですけれども、日本の農業というのは、ちょっとひと皮むくと全然異なる地域農業の集合体なんですね。御当地の静岡も、私、思うのは静岡と愛知の、このあたりというのは、やっぱり日本の園芸農業の基地だと思います。
 それからあとは、海産物なんかも非常にすばらしいのがあって、やっぱり地域地域によって全然個性が違うと。ここをまず、見るべきじゃないかという話を第二弾でしました。最後に2つの提案をしたわけですけれども、1つは初めに農業政策の評価。今どういうことをやっているのかという話をしました。それから、提案の1としては直売所流通を、今、多分5%ぐらいだというふうに思いますが、それを農産物流通全体の2割ぐらいまで大きくするために、いろいろな手だてがあると思うんですね。これをまず、やったらどうかと。これ、例えば農商工連携なんかも非常に大きい手だてだと思います。これが1つ。
 それからあとは、地方分権を進めて地域版の食料・農業・農村基本法の制定をしたらどうかという提案をいたしました。こちらでいうと、静岡県というか、あるいは大きいくくりでグレーター静岡みたいなことをイメージかもしれませんけれども。この地域での農業というのは、そこでの担い手はどうするか。それから、食料自給率に対して貢献はどうするか。あるいは農地の集約はどうするかというのは、この地域が、地域の特性を踏まえて踏み込んだ施策をつくられたらどうかというようなことになるかと思います。
 これがきょうの結論でございます。あとは少し絵なんかも入っていますので、少しお話を申し上げたいと思います。初めは、この価値が変わりましたということで、1枚目ですね。非常に大げさに20世紀における食と農の価値体系、21世紀における食と農の価値体系と、こう書きました。20世紀から21世紀に時代は変わっているわけですけれども、例えば環境制約も大分変わってきた。厳しくなっていると。それから、地域のコミュニティ、あるいは都市の中も、もちろんコミュニティがなくなっていると。それから、マーケットのほうでいうと、やっぱり食が完全に成熟化してしまったと。それからライフスタイルも非常に多様化していますよと。こういうことがあって、食と農に関する考え方が大きく変ってきていると。あと1つベースにあるのは、物流システムは全然変わってますよと。例えば、宅配が物すごい普及していると。それからIT技術の進歩。とりわけ身近なところでは携帯電話の普及というのが非常に大きく、これにかかわってくる。こういう話をしました。この全体の中で、お話を特にしたのは農業では、特に食料というのは有限であって、農業の多面的価値というのは、やっぱり重視されるようになったと。農業の多面的な価値というと、農業を保護するために、農業は水を保つとか、環境保全だとか、その景観を保つとかということで10年、15年ぐらい前は大分色眼鏡で見られたんですけれども。しかし、もうそんなことは絶対ないと思うんですね。
 きょう、東京からまいりまして新幹線に乗っていたらアジアの方が。多分、観光客だと思うんですが、いっぱい乗られておりました。中国の方ではないようでしたけれども。今まで20世紀の日本というのは製造業を中心に価値をつくって、それでもってサービス産業とか農水産業に付加価値を分散することで成り立ったと思うんですけれども。やっぱり今の時代は、そういうことはなかなか難しい。有名なシャープの亀山工場ですか。あれが、あれだけ日本の技術を象徴するというような亀山工場が閉鎖されたと。象徴的なことだと思うんですね。やっぱり技術だけでは、どんなに頑張っても我々は食べていけないと思うんです。その中で何が、これから大きい産業化になるというと、やはりいろいろあると思いますけれども。1つは開発されていないのは、やはり観光産業です。訪日外国人が、今、900万人弱ぐらいいると。それがいっとき小泉政権のときに5年間で1000万人までという話がありまして、ビジットジャパン。これが例のアメリカの経済危機で頓挫はしましたけれども、あれがなければ十分達成できたと。それから、この今の経済状態を見れば、やっぱりこれが1000万人が2000万人なり3000万人なり4000万人なりという。これは十分考えられると。世界で一番観光客を集めているフランスはもう8000万人近い人が、年間来ている。島国と大陸国家は違うと思いますけれども、とにかく、そこは非常に大きい魅力の産業だと思うんですね。そのときに東京に来るだけじゃなくて、やっぱり静岡も非常に。今ちょっと窓から拝見しましたけれども、景観が非常にきれいですし。例えば、水田の風景なんか本当に外国の人たちに言わせると、特に雨上がりの水田なんか本当に息をのむような美しさだという人がいっぱいいますよね。そういうときに耕作放棄地の、あのぼさぼさの田んぼなんか出てくるとがっかりする。やっぱり景観というのは、物すごく重要です。それから、環境問題もそうだと思いますね。それから食料についても、日本の場合は農業と食料自給率の問題を直接リンクして話をするのは、僕はちょっとずれているんじゃないかなと思うんですけれども。それにしても食料というのは有限であることは間違いないと。これは非常に重要であると。
 それから、もう1つ、ここで大きいのは、この食の個性が価値を持つ時代になったということですね。これは何かというと。例えば、直売所なんかに行くとですね、繁盛しているところは、やっぱり生産者の一人一人の農作物にお客さんがつくわけですね。いろいろなところで聞いていると、いつもお客さんが来る。大根でも、佐藤さんの大根、山田さんの大根。加藤さんの大根とあると、加藤さんの大根を、いつもそれを買っている。これはいろんなところで確認できるんですけれども。やっぱり農産物って、そういうところがあると。こういうこともやっぱり生かしていくべきだろうと。
 例えば、直売所なんか非常にはやっているのを見ますと、日本自体が非常に車社会になっている。都会も田舎も、特に田舎はそうなっていますけれども、農産物を出す人も一家で1人1台の車をげたみたいに使っていると。直売所、結構商圏が広くて、30キロ、40キロぐらい離れたところからみんな買いにくる。車社会である。それから後でお話ししますけれども、携帯電話の普及。直売所って、今、携帯電話のポスシステムが、入っているんですね。スーパーとか、コンビニのポスというのはバーコードを読むと、スーパーの本部に、そのデータが集まるわけですけれども、直売所はメーカーは個々の生産者ですから、生産者の携帯電話に販売の情報が飛んでくると。どんどんどんどん、それ売れるたびにピーピーピーピー入ってくると。だから、いろんなことを生産者が考えるわけですね。それで直売所によっては、生産者に、できれば日に3回品物を入れてくれと言う。9時開店の前に1回、それから午後の一番のときに1回、それから夕方4時ぐらいのときに1回と。そのたびに全部、自分で値段も考えながらつけるんですよね。例えば夕方になって雨が降りそうだったら、販売価格を抑えたり。逆に何か、きょうはお祭りがあって人が出るなんていうときは強気につけてみたり。そういうようなことがあって、直売所、いろいろ人気だというんですけれども、あの売り場の中では、そういう物すごい競争を裏側で、何百人という人が、そういうことでやっているわけですね。変わってきているということです。
 これ2つ目についてなんですけれども、農業生産、流通、需要創造と。これ一貫して農業を変えていかなきゃならないと、こういう話ですね。
 多くの場合、今、政権が変わって、日本の農業政策、大きく変わったと言われています。自民党政権のときには継承とか安定対策といって米の話ですけれども、大規模農家優先であるという話をしました。それで、民主党政権になって戸別所得補償といって、一応みんなということになって、どちらかというと、生産についていろいろ政策の注目が集まるわけですけれども、流通も大きい問題がありますよね。卸売市場でもうかっているところはほとんどないと。大都市、東京、大阪、六大都市、静岡なんかの中央卸売市場はもうかっているけれども、ほとんどの市場は赤字であると。それから消費のところも農産物ってどんどん単価が下がっていると。米なんか端的だと思いますけれども、もうここ15年ぐらいで、半分ぐらいの生産者の販売価格になっていると。だから、ここだけ何かいい施策が出たとしても、真っ赤っかの流通で利益は吸い取られ、単価下落で消費は伸びず、やっぱりここだけじゃ限られているということだと思いますね。
 だから、一貫して、この全体を変えるというときにやっぱり直売所は非常に役に立つということの話をしました。それからあと、実は繁盛している直売所というのは日本全国、いろんなところにあると。だから、これ例として福岡県の伊都菜彩という。これJAが経営する直売所ですけれども、開店して3年目で30億円ぐらい売っています。内子のフレッシュパークは、これ四国の山の中の直売所です。4億5000万円ぐらいやっています。これは第3セクターで経営しています。これは都市近郊で筑波にみずほの村市場というのがありますが、これ45人ぐらいで5億円ぐらい。ここは鮮魚だけです。海辺でも山の中でも都市近郊でも成功している例は幾らもあると。だから、日本のいろいろなところで応用がきくシステムだと思うんです。
 それからあと、これは生活モデルの提案ということを言っていますけれども、さっき言った話です。現在の地域というのは、いろんな問題がある。コミュニティが崩壊している。地域の持続性が絶たれている、生活の質がもう保てないと。こういうところで、うまく直売所が回っているところは、こういうことをみんな解決しているというところがあるんですね。例えば、愛媛県今治市のさいさいきてやという例を出しています。ここは、しまなみ海道の愛媛県ですが、今治ですね。半分は14の農協が合併した合併農協なんですけれども、7つの農協は点々とした島の農協。あとは海辺の小さい農協。だから、規模拡大はできないし、高齢化だしということで。大体ここ10年で農協の販売額は半分ぐらいに落ちてました。危機感を持った中堅の人たち。このJAおちいまばりというところなんですが、2007年に、直売所を立ち上げたわけですね。直売所は562坪。そこにレストランがあって、体験農園があって、技術の実証農場があって、加工施設があって、研修施設がある。2007年度13億円と言っていますけれども、ことしの初めに行ったら、20億円近く。ことしは売ると言ってました。ここがすごいのは、結局これがなければ20億円という販売額がゼロだったわけですよね。それは地域においてすごく大きい力だと思うんですね。これ1,300人ぐらい今、登録者がいるんです。この当時1,300人で13億円で、全部ならすと100万円ぐらいなんですけれども、高齢者が多い。例えば出荷している人は6割が女性、平均年齢は六十六、七歳です。ここの農協が考えているのは55歳で企業を一時定年退職した人。もともと農村地域だからJAに籍のあった兼業農家にもう1回、農協に入ってもらって20年間、ここで活躍してもらうと。こういうのが基本戦略ということなんですね。
 あとおもしろいのは、ここは直売所じゃなくて、レストランとか喫茶店がすごく成功しているんです。特に喫茶店、さいさいCAFEというんですけれども、そこは愛媛県で一番売るケーキ屋。ナンバーワンのケーキ屋なんですね。直売所のケーキ屋なんだけど。それで売れるときだと、この間聞いたら、土日なんか一日に120万円ぐらい売れるときありますよと。何でそんなケーキが売れるかというと、この辺、こちらもそうですけれども、園芸地帯で、イチゴとか、イチジクとか、そういうものがいっぱいあるんですよ。だけど市場に出せないようなものもいっぱいあって、そういうものを、フルーツケーキにしている。てんこ盛りにしてあるわけですね。だから、本当に1枚2,000円のタルトなんて、この間、食べてきましたけれども。イチジクが乗っているんですけれども、もうフルーツがびったりと乗っているわけですね。だから、普通じゃ、そういうフルーツの使い方はできないと。やっぱりそれで非常に女性に人気で、あちらこちらから買いに来る人、食べに来ると。それ今までは全然、市場に、商品にならなかったものですよね。そういうイチジクにしろ、イチゴにしろ、そういうことで、こういう商品が出てきているということなんですね。
 これ非常に、いろんな意味で、今回、お招きいただいた静岡の農業をどうするかということについて、1つの参考になるじゃないかなと思うんですね。というのは、実は、これ直売所でやっていますけれども、ここで成功したことは、もう少しスケールアップできると思うんですよ。例えば、僕がここで言ったのは、これは直売所の人たちが、こういうケーキをつくって大成功したと。これやっているのは、やっぱり職員なんですね。JAの。それで同じようなことを、食堂もやっていて、食堂も大人気なんですけれども。そこではどういう食事を出しているかというと、そんな大した食事ではないんです。当日、直売所に集まった野菜と、ここ四国に面してますから、瀬戸内の水産物もいっぱい集まってきます。それだけをつくって出すんですね。それが非常に新鮮だし、季節感があふれた食事だということで人気なんですね。だから、冬になると、根菜類がいっぱいになるし、夏になると葉物がいっぱいになるし、フルーツの季節になると、それがいっぱい入ってくると。だけど、そこがやっぱり季節感ある食事ということで人気です。さっき言ったフルーツのケーキ屋さんも、それから、このレストランも、実は、この直売所を立ち上げるときに専門の調理師とか、ケーキ職人を雇ったんだそうです。雇ったんだけど、そういうことをやってくれるかというと、専門の調理師さんたちはできないと。どういういきさつでできないかって、よくわかりませんけれども、とにかく専門家は、そういう変なことはやらない。プロだから。そんな、前日集まって、当日集まってきたものだけつくって、何百円で出せなんて、そんなのやれないと。結局やめてもらったんだそうです。やめるに当たってはえらい大変だったみたいですけれども、結局、おばちゃんがやって大成功していると。こういうあたりに、今のマーケットって、どこが評価されているかとか、今の農業活性化するにはどうしたらいいかというヒントがあるんではないかなと思います。
 この話が1つあって、私が、ここ何度か非常におもしろいということを感じますので、何回も言っているんですけれども。彼らに言っているのは、実はここで起こっていることは、もう少しスケールアップして、いろいろ農商工連携で、もっと大きくできると思うんです。例えば、このケーキ屋さんがありますけれども、これで例えば地場のケーキ業者の方、あるいは菓子業者の方が、例えば、ここに、こういうことを前提にして、もう少し農商工連携でスケールアップして、そういう工場でつくるケーキなんだけれども、地域で利用されていないくだものなんかを、もっとふんだんに使おうとか。野菜もケーキなんかに、今、入れ込むのもありますけれども、そういうことで特色があるケーキ製造事業なんてあり得ると思うんですね。
 それから、ここにレストランがありますけれども、こういうのは直売所のレストランですけれども、実は地域に5店とか10店ある地域の外食産業の方々が、こういう直売所と連携を組んで、うちの、この地域の5店のチェーンは、やっぱりこの方式でいきますと、そういうことになると、もっと産業としての規模は大きくなると思います。
 今、これは点なわけですよね。だけど、これは成功のエッセンスであって、このコンセプトをもっと大きくできる。これは農業の方だけでやっているんですよ、JAの方だけで。それに例えば製造業の方、それから、食品産業の方、あるいは水産業の方も一緒に入ると、多分これもっと大きい展開というのはできると思うんですね。だから、そういうことをやることが必要なんではないかなと。今、あと時間が5分ぐらいだと思うんですが、この話をさせていただきたいと思います。
 農商工連携ということを言われてまして、一昨年から去年にかけて経済産業省と農水省で農商工連携の研究会を立ち上げて、私もお手伝いしました。その後、農商工連携の法律ができて、各地の経済産業局が認定を受けて、いろいろ補助金だとか支援を出してやっていますけれども、この間、あるところで役所の方と話をしていたら、大体ことしの10月12日が直近の認定だそうです。全部で400件弱出ているけれども、まだ、その9割は食品産業の加工とか、そういうことでの農商工連携だと。だけど、本当はもっと広げられるはずなんですね。例えば、観光産業だとか、そういうことを考えると、こういうものをもう少しスケールアップすれば、地域の経済自体を底上げするようなことは十分できると、私は思います。
 あとは、さっき日本の農業は地域によって、全然違うと言いましたが、北海道はEUの平均を超える農業をやっています。それから東北は米です。それから首都圏というのは、これは巨大な、3000万人で、世界で一番小さいところに購買力が集まっているという点では、世界で一番というマーケット。特殊なマーケットです。それから九州は、南九州を中心に畜産ですね。地域農業の丸が4つありますけれども、僕は、この後に5つ目の丸を書いて説明することもありまして。それは、この静岡と愛知のあたりの日本の園芸基地です。この4つの、それぞれの丸は全然違うんですね。ここにもう1つ書くとすると、日本の園芸基地があるんですけれども、これも全然違うと。だから、それぞれ、もう農の基本法をつくるぐらいのことをやられたらどうかと。これは北海道の話をしています。これは東北ですね。これが首都圏の話。それから、これ九州の話。例として、このときは近畿の話をしましたけれども、ここも非常に変わっているというような話をしました。
 それから、あと最後に今の、さっき言った、提案の前に、今の農業政策の流れをここで説明しました。昔、40年、50年ぐらい前に、1961年に農業基本法というのがありまして、ほぼ40年後に、99年、10年前に新しい食料・農業・農村基本法ができた。何をやっているかというと食料自給率にどう貢献するか、農地をどう集約するか、担い手をどうするかということで、この基本法は成り立っています。それが、この99年からは5年ごとに基本計画というのを立てまして、ローリングしていくと。5年ごとに見直しをかけていくと。現在2010年の改定と、これ一番新しい改定が出たわけですけれども、視野が広くなった。農業基本法から食料も農業も農村も一括で考えていこうと、広くなった。それから、5年ごとにローリングすると。これは改善していると思いますけれども、やっぱり縦割りだし、農業生産に集中し過ぎているし、地域個性が発揮できないんじゃないかということをお話ししました。それで、これはさっき言ったように直売所流通を、今、5%ぐらいのを20%ぐらいにしてくださいということを言っているわけですね。
 このためには、さっき言った直売所を農商工連携で農業者と製造業の方々、観光産業の方々、その連携も広がらないとこの2割にはならないと思うんですね。だから、農業だけ閉じた世界で2割というのはあり得ない話だと思います。
 あと各地域ごとに北海道、東北、関東、九州、こちらの静岡とか愛知とか――園芸のメッカで、海産物もある――こういう地域として、あるいは観光で経済が持っている地域として、どういうふうにしていくかということを考えられたらどうかというようなことでございます。
 ざっとこういうことで御紹介いたしました。どうも御清聴ありがとうございました。

○野澤(洋)委員長
 どうもありがとうございました。
 以上で、大澤さんからの意見陳述は終わりました。これより質疑に入ります。
 委員の方にお願いいたします。
 質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いいたします。
 それでは、御質問、御意見等がありましたら御発言願います。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp