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委員会会議録

質問文書

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平成25年6月定例会くらし環境委員会 質疑・質問
質疑・質問者:遠藤 行洋 議員
質疑・質問日:07/30/2013
会派名:民主党・ふじのくに県議団


○遠藤(行)委員
 私からは、富士山の環境保全対策について、一問一答方式で質問したいと思います。
 今月の12日、帝国ホテルで行われました世界文化遺産の記念のレセプションに参加いたしました。議員の皆さんも数多く参加されました。その中で、こういう缶バッジをいただきました。「いつまでも富士山を世界遺産に」。この台紙の裏面に文章が書かれておりますけれども、お読みになっていらっしゃいませんよね。多分、お読みになった方はほとんどいらっしゃらないと思いますので、ちょっとその一部を読ませていただきます。
 「世界の宝になった富士山。次の目標は、未来まで宝として引き継いでいくこと。2013年6月、富士山は『世界文化遺産』に登録。日本の宝は、ついに世界の宝になりました。でも、そこがゴールではありません。本当に目指す先。それは、未来。100年後も、美しい宝としてありつづけること。そのためには、足りないものがまだまだある。環境保全のための人材や、新しいルール、議論、維持するお金…さあ、これからがスタートです」こういったことが書かれております。まさに、そのとおりだと思います。
 ここで、世界文化遺産と世界自然遺産の定義を改めてちょっと確認したいと思います。いろんな定義があると思いますが、文化遺産というのは、やはり過去に対する評価です。自然遺産は、現在に対する評価です。今回は文化遺産で、あくまでも富士山の文化芸術振興、過去に対する評価です。大切なのは、やはり今、ここにも書かれているように環境保全がこれからスタートだということをしっかりと書いてあるんですね。
 委員会説明資料の31ページにも環境保全対策をいろいろ書いておりますが、わかりやすく言うと、喫緊の課題は私は4つだと思っています。急増する登山客による、まずトイレの問題。2つ目がごみの問題。3つ目が生態系の問題。そして4つ目は書かれておりませんが、地下水を含む水循環の問題。この4つをやはり喫緊の課題として取り組んでいかなければいけないと思います。
 そこで、全部質問すると午後になってしまいますので、きょうは1点、トイレのみ質問させていただきます。この説明資料に、山小屋トイレ24カ所の整備を完了とあります。まず最初に伺います。ことし、その数はふえたでしょうか。

○芝田自然保護課長
 トイレの数については、変更はございません。24カ所です。山小屋の静岡県側の数です。以上です。

○遠藤(行)委員
 平成24年度のトイレの総利用回数は約33万回で、し尿約99トンとあります。これを、流出を防止したとあります。流出を防止したのは99トン、でも流出を防止できなかったものもありますよね。それは何トンですか。

○芝田自然保護課長
 逆に言ったら、流出がされたという量ということになろうかと思いますけれども、実際、山小屋トイレ――公衆トイレを使えなくて外でしてしまったという形になりますので、私どもで山小屋のほうといろんな情報交換会を持つ場がございまして、いろいろお話を聞いております。待ち切れずに小屋の陰でしてしまったとか、それからまた閉山期間、あるいは山小屋が閉まっている期間に登山された方が小屋の陰等でしてしまっているという状況があると聞いております。そういった状況でございますので、流出量がどのぐらいあるかという量は把握してございません。以上です。

○遠藤(行)委員
 この使用回数で言うとなかなかわかりづらいんですが、私が調べたところによりますと、今の富士山のバイオトイレのキャパは25万人分です。去年、富士山を訪れた登山客は32万人です。単純計算すると、7万人分のし尿――私は排せつ物と言ったほうがいいと思いますが――それは垂れ流しになっているのが現状です。
 し尿と言いますと、イメージとしたらどちらかと言うと小のイメージがありますけれども、富士山の山小屋トイレを利用する8割が大のほうです。ですから、その7万人分の汚物が垂れ流しになっているのは現状です。
 そこで、今伺いましたけれども、トイレの数はふえていないということですよね。ことしは恐らく40万人が行くでしょう。40万人の登山客が行って、現状のキャパが25万人だとすると、15万人分の排せつ物はどう処理されるんでしょうか。これは、もう普通に垂れ流しになってしまいます。
 ここで問題なのは、やはり今回の予算を見ても、とにかく富士山の環境保全に対する予算が少な過ぎる。限られた予算の中でやらなければいけないという苦渋の選択はわかりますが、やはり富士山世界文化遺産、その重みを全庁的に受けとめてもらいたいんです。
 これは、日本の宝が世界の宝になった。そして、人類共通の財産になったわけです。さらに、今静岡県は、富士山を中心として日本の理想郷ふじのくにづくりをしているわけです。今回イコモスの勧告で、2016年2月1日までに世界遺産センターに保全状況報告書を出さなければいけませんよね。
 宿題が6項目あります。6項目の宿題を2016年2月1日までにクリアしなければいけない。その6項目の課題をクリアできなかったら、下手したら世界遺産登録抹消ということにもなりかねないんです。だからこそ、やはりこの環境保全というのを全庁的に取り組んでいく必要があると私は思うわけです。
 そこで、ちょっと皆さんに伺いたい。富士山に登ったことがある人は、どのぐらいいらっしゃいますか。
(挙手する者あり)
 その中で、バイオトイレを使ったことがある人は、いらっしゃいますか。
(挙手する者あり)
 課長お1人だけですよね。
 富士山の環境保全、環境問題というのは、デスクワークではわからないと思います。ぜひこの夏、関係の職員の方に行ってみていただきたいんです。山頂まで登って御来光を拝まなくても結構です。8合目まで日帰りで行くだけでも十分です。その中で、ぜひ登山客のトイレの現状を見てきていただきたい。
 その中で、本当に余りにも悲惨な状況を目の当たりにして、これじゃあ2016年のイコモスの世界遺産センターへの保全状況報告書提出にバッテンがつくなというふうに思ったら、それを部長のほうから知事に進言して、とにかく今、環境保全をやらないと登録抹消にもなりかねないということをお伝えいただきたい。私も機会があれば、直接、そのことは訴えさせていただきたいと思います。そのことについて、もう一度、今後の取り組みの御見解を伺いたいと思います。

○芝田自然保護課長
 今の委員御指摘の中で、実際に少なくとも5万人分ぐらいが垂れ流しになっているというお話もありました。その点につきまして、自然保護課としましては、先ほどちょっと言いましたけれども、静岡県側の山小屋の状況でございますが、富士山環境保全対策連絡会等を持ちまして、適正な維持管理、それから維持修繕等をお願いしているという状況にあります。そういった中で、実際の問題点や課題とか利用状況についても、いろいろ情報提供をいただいております。
 そういった中で、昔のように処分ができなくて外へ捨ててしまっている、故意に捨ててしまっているという状況にはないということ。それから、24カ所の静岡県側の山小屋の皆さんのお話ですが、容量的にも機能的にも、昨年度の状況で対応できる状況になっているというお話を伺っています。
 ただ、先ほどもお話がありましたけれども、御来光を見る前とか、あるいは終わった後に、集中して小屋に来られる方が宿泊客以外にいらっしゃるということから、特定のトイレ等に集中することによって渋滞したり混雑して、一時的にオーバーユースになる場合があると。なるだけ平準化して来ていただく、あるいは利用してもらいたいというのが1つの声としてありました。1つの例として、もっとマイカー規制を厳しくすれば平準化できるんじゃないかというお話もありました。
 またトイレの利用で、容量、機能的には一応確保しているという中で、利用者の皆さん一人一人のマナー、ルールが悪い部分がたくさんあると。1つには、目的以外でトイレを使われる――要は休憩をしたり、着がえをしたりする。鍵を閉めてしまうというようなこともある。
 また維持管理にもお金がかかるというお話があるんですが、今24カ所全てでチップ制を導入して、チップのお金をもって適正に維持管理をしていこうと。たまった汚泥等は下におろすということで、外に垂れ流すということは山小屋としてはしていないわけです。チップ制のルールにおいても、利用者の中には、家族の場合に、1人が払って1人はそのまま使わせるとか、団体の場合でこれは本当にいかんなと思ったんですが、1人払えばあとはいいんだから皆さん使ってくださいねと言うようなツアーガイドもいらっしゃると。ルール、マナーを守ってくれる方が多くいれば、渋滞や混雑が少しは緩和するんじゃないかというようなことで、そういった啓発等も県にお願いしたいというお話を伺っています。
 そういったことも含めまして、自然保護課としましては、マナーの啓発とか正しい利用の仕方等をお願いするとともに、携帯トイレ等の持参といったことにも力を入れているところでございます。
 何分にも、富士山につきましては、環境局としましても権限がないという状況がございます。きのうのお話でもありましたように、8合目以上は浅間大社の所有地、それから8合目より下は林野庁、それから国立公園の網がかかっているという形の中で、県として権限を持っていないので、なかなか難しい状況にあります。そういった中で、啓発活動等を中心に行って、その辺を推進していきたいと思っております。
 あわせまして、委員御指摘のとおり、未来の宝として守っていかなければならないというのは、私たちもそのように考えております。そういった中で、6項目のイコモスへの回答も2016年2月1日ということで、委員の御指摘もありましたけれども、その中でも特に2カ月の登山客――巡礼者という言葉をイコモスが使っておりますけれども、多くの人が来て富士山に環境負荷を与えていると。あるいは山小屋といった利便施設そのものが富士山に負荷を与えている。また登山道でブルドーザーが使われているといったことがあります。
 そういったことは十分考えておりますので、我々としては、自然保護の立場から、環境保全の立場から対応すべきことを、今後、文化・観光部の富士山包括的保存管理計画策定の中で検討していくということになっておりますので、自然保護課としましても、環境保全の立場からいろんな情報提供をし、いろんな対策について協議をし、意見も申し上げていきたいなと考えております。

○遠藤(行)委員
 いろいろ説明をいただきましたけれども、できない理由づけにいろいろ説明をいただいても、全く前向きになりません。できない理由はもういいです。限られた条件の中で、どう前向きに前進させていくかというのが重要じゃないですか。
 確かに、国、県、それから浅間大社で、一元管理しなければいけないという難しさもわかります。でも、少なくとも今、人類共通の財産になったんです、富士山は。しかも、ふじのくにづくりを標榜しているんだったら、やっぱり静岡県が主導権をとって、その富士山の環境保全にリーダーシップをとる。そのぐらいの意気込みでやってもらいたいと思います。
 チップ制のトイレは、1回幾らかおわかりですよね。1回200円ですよ。今、山小屋の御主人のお話を聞いてとの答弁でしたけれども、実際にチップを払う人は、10人に3人しかいないです。10人に7人は払っていません。そういう現状もある。
 富士山の環境をつかさどるくらし・環境部で、富士山に登ったことがある人は本当に数えるぐらいしかいない。しかも、チップトイレを使った人が1人しかいない。非常に私は残念な現状だと思います。
 やはり現場に行って、実際に目で見て、そしてどういうふうな対策をとるのか、これはもう一度皆さんで真剣に考えていただきたい。本当に2016年2月1日の段階で登録抹消になったらどうするんですか。そういう危険性をはらんでいるということを考えていただきたいんです。
 今、富士山の世界文化遺産登録でみんな浮かれています。観光の面で確かに光が当たっています。しかし、光というのは強く当たれば当たるほど影は濃くなるんです。光が当たれば、影は長く伸びるんです。今、やっぱり富士山に対しての影の部分が非常に大きいということを再認識していただきたい。
 私ももう一度、この夏に実際に富士山の現状を自分で調査するつもりでおります。ぜひ、県側でも独自に調査していただきたいんです。山小屋の御主人の話じゃなくて、実際に自分で登って、トイレを利用して、そしてその目で見て、調査していただきたいんです。そして、私も調査します。お互いの調査結果を持ち寄った上で、もう一度、9月の定例会のこの委員会で議論させてください。
 最後に、私の見解について部長のお答えをいただきたい。

○伊熊くらし・環境部長
 遠藤委員の強い気持ちを私も受けとめまして、やはり2016年2月、包括的保存管理計画の見直し、これは山梨県と一緒になってきっちりしたものをつくっていかなくちゃいけないと思っております。
 お話がございました現地調査につきましても、我々のほうでも実施をいたしまして、それについてはまた9月定例会のときに御議論させていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

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