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委員会会議録

委員会補足文書

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平成30年10月観光地域づくり特別委員会
大正大学地域構想研究所 教授 清水愼一氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/05/2018 会派名:


○清水愼一氏
 皆さん、こんにちは。
 こういう機会をいただきまして、ありがとうございました。
 お手元にも私のプロフィールがございますけれども、私はもともと長野県の出身でございまして、国鉄に入りまして、JR東日本の役員をやって、JTBの役員をずっとやってまして、それでちょっと思うことがございまして、地域づくりにもっと力を入れなきゃいけないなということで、立教大学の教授になりました。立教大学が一応定年で終わりましたら、今度は仏教系の大正大学からですね、来てくれというんで、今、大正大学の教授をやってございます。もう間もなく70歳でございますので、今までの経験を踏まえながらですね、お話を聞いていただければありがたいかなというふうに思います。
 それで、このDMO、今、どこでも使っていますけれども、実はこれ、私が言い出しっぺなんですけれども、10数年前から、こんなことを言っておりました。
 それはなぜかというとですね、特に2000年以降、観光が本当に変わってきたんですね。今までのやり方ではもう通用しない。お客様のニーズに応えられない。
 ところがですね、残念ながらあちこちの観光協会は、昔ながらのやり方をやっている。パンフレットを刷って、マップを刷って、キャラバン隊やって、ひどいところはゆるキャラやって、それでB級グルメ大会のイベントとか、そんなキャンペーンばっかりやってるんですね。それじゃだめだということで、観光協会はこれから変革をしなければいけない。そのときに、欧米のほうが、DMOというふうにやっておりまして、これは参考になるぞという形で、DMOを取り上げてきました。ただし、欧米と違いますから、私は日本版DMOということで、名づけさせていただいたわけでございます。
 そんな経験も踏まえながらですね、いろいろお話をしたいんですが、たまたまですね、このところ、浜松市、湖西市の浜名湖観光圏、浜名湖DMOのアドバイザーを、もうずっとやってきてございますので、それらの経験もございますし、熱海のお手伝いもしていますので、そんなことも含めて、私の経験の中から、具体的にお話をしていきたいというふうに思います。
 では、時間もございませんのでお話をいたしますけれども、お手元に資料がございますから、資料のとおりにお話をしてまいります。
 今、説明しているこの資料の中身をこちらに投映してございますので、御確認をいただきながら、お聞きになっていただければありがたいと思いますが、最初に、きょうお話しすることということで、まず観光の動向ですね。もう端的に頭に入れていただければいいと思いますが、2022年に観光客の半分は外国人になるというふうに予測されています。ですから、そういった意味で外国人の対応というのは不可欠ですし、観光を語ろうと思うと、外国人とどうやっておつき合いをするかというところが、不可欠だよということを、まず申し上げたいと思います。
 それから、2つ目にですね、これからの観光戦略というのは、単に温泉をアピールすればいい、単に富士山をアピールすればいいと、そういう時代ではなくなってきたということなんですね。お客様のニーズが変わってきましたし、さらに貴重な税金を使うからには、一部の業者だけがもうかればいいという話ではなくて、やっぱり豊かな地域づくりに観光をつなげなければいけない。これを私どもは観光地域づくりという言葉にしたわけでございまして、内閣府も2015年のまち・ひと・しごとの基本方針の中に、この観光地域づくりという言葉を入れていただきましたけれども、こちらの委員会も観光地域づくり特別委員会ということで、早くからこんな御認識を持っていただくことについては、深く敬意を表したいと思います。
 それで、最後に、静岡県の観光地域づくり戦略と静岡県の日本版のDMO登録法人ですね。ここの役割について、お話をしたいと思います。
 それでは、まず観光の動向でございますけれども、2022年には、インバウンド宿泊観光客のシェアは5割になりますよということです。
 1枚あけていただきまして、御承知のとおり、もう午前中の委員会で府川君からも説明があったと思いますけれども、インバウンドのお客様がずっとふえてございます。よろしいですか。
 さあ、そういうふうにですね、インバウンドのお客様が実はふえている一方でですね、実は、日本人のお客様は今を見ますと横ばいですが、実は長期的に見ますと、減少なんです。日本人のお客様は、1991年がピークだったんですが、そこから比べますと、4割ぐらい落ちているんです。さらに、これから、実は日本人のお客様は、落ちる見通しです。なぜならば、日本人のお客様のかなり部分を担っているのがシニアの世代なんですね。団塊の世代なんです。私がそうですけれども。この団塊の世代が、あと5、6年すれば、みんな後期高齢者の仲間入りをしますけれども、当然、観光に出る回数が落ちてくるだろうというふうに見ています。
 そういった意味でですね、ここにございますように、インバウンドのお客様はふえる一方で、日本人のお客様は減るだろうと、これが今、我々の業界でのいわば見方でございます。
 ここに、リクルートのじゃらんが予測した、こういったデータがあるわけでございますけれども、上が旅行者数ですね。日本人の国内宿泊旅行者数は、こういった形で2030年に向かってどんどん落ちていく。訪日外国人、インバウンドのお客様は、どんどんふえていくと。外国人のお客様は、日本に来ますと、一泊ではお帰りにならないで、1週間とか、長い人で3週間とか、そういうふうに宿泊をしますから、下の段が、延べ宿泊数で見た場合にどうなるかということでございますが、日本人のお客様は当然減る、外国人の宿泊客はふえる。その交差する地点が、じゃらんの予測では2022年だというふうになってございます。そういった意味でですね、2022年になると、例えば舘山寺のお客様、あるいは伊豆のお客様、熱海のお客様の半分は外国人になるだろうと、これが今の予測でございます。そういった意味で、もう外国人の観光客はもう当たり前だということになります。
 その次のページに、じゃあどういうニーズがあるんだろうかということで書いてございますけれども、外国人については、全く日本人と一緒になってきたというふうに、我々は見ています。ここに、観光庁の調査がございますけれども、もう日本食を食べること、日本酒を飲むこと、当然ショッピングもありますけれども、自然・景勝地観光、繁華街の町歩き、下のほうに日本の歴史・伝統・文化体験といったものがございますけれども、ほとんどですね、日本人と変わりありません。一部ですね、中国人の爆買いが突出して見えてありますけれども、あんなのはごく一部ですね。中国人の爆買いをしているグループも、2回目、3回目、日本に来る、そのたびごとにですね、ショッピングの割合が落ちてきます。外国人は、高いお金と、それから時間をかけて、わざわざ日本に来るわけですから、それなりの目的を持ってるんですが、その目的というのは、この日本にしかない食べ物とか、日本にない歴史・伝統・文化とか、日本でしかない自然、そういったものを求めてくる。
 実は日本人も一緒でございまして、わざわざほかの県に行くのに、全く東京と同じ町を歩きたいなどとは思わないと。その地域の歴史・伝統・文化とか、食材を求めていくんだということですね。
 という形で、今のキーワードを端的に言えば、その地域らしいプログラムとか、ストーリーですね。それを歩きながらです。五感で味わう。五感というのは、単に見るだけではなくて、体験をするということですね。触ったり、あるいは食べたり、においをかいだりというような形で、五感で味わうということなんですね。
 これが、やっぱりなかなか御理解をいただけないで、富士山があるからお客様が来てるというふうに、一面でしか見られていない場合が多いんですが、これだけだと、一度見れば、もう十分だとなりますね。二度目、三度目の人は、じゃあもういいねとなるんですが、そうじゃなくて、富士山のいわば麓の暮らしとか、富士山の歴史・伝統・文化とか、そういったものも含めてアピールをすることで、お客様が深く味わって、また来たくなるということなんですね。
 ですから、そういった意味で、その地域らしい、いわばストーリーをしっかり考えなければいけない。それで、今の日本人も一緒ですが、だんだん車離れしてきてます。前みたいにですね、マイカーで行って、あるいは観光バスで行って、さっと出かける観光は、いまやもうはやらなくなってきたと。幸いなことに、私の古巣のJRが、それで結構お客様がふえているんですけれども、公共交通機関を使って、自転車を使って、それでトレッキングとかウオーキングをしていくと、そういった、いわば方々がふえてきました。ですから、そういった意味で、いつまでも車中心のまちづくり、あるいは観光をやるから駐車場をふやすとか、あるいは、観光をやるために、わざわざ古い町並みを壊して道路を広げるとか、そういったことが、いまやマイナスになってくるという時代ですね。
 同時に、五感で味わうということですから、単に見るだけじゃなくて、体験させる工夫が必要だと。これが、今までの観光協会と違う中身なんですが、そういったことも含めて、いよいよ地方の時代になってきたなという感じがいたします。
 それで、静岡県については、ゴールデンルートにあるという形で、昨年、外国人も150万泊ということでですね、たくさんの外国人が泊まっていますが、まだまだシェアは7%で、そんなに高くない。
 それと、やはり一番の問題はゴールデンルートにあって、たまたま宿泊しますけれども、夜遅く入ってきて、朝早く出ていくというパターンで、静岡県内をしっかり楽しんでいくというパターンがまだまだ少ない。富士山もどちらかというと、山梨県側のほうが、今、お客様多いんですが、山梨県側も、富士山を見たら、次にどこかへ行ってしまうというパターンで、実は一生懸命宣伝しても、なかなか、お客様が、もっとじっくり滞在をしていただけない。じっくり滞在をしていただけないということは、お金が落ちないということですね。ですから、幾らお客さんは来ても、お金が落ちないという事態が、実はあちこちで出てきているんですが、私は静岡県も若干そんな、いわば弱みを持っているんじゃないかなと思います。
 こういった形でですね、客室稼働率は55%で、大体中クラスという感じでございます。
 さあ、実はこれからの観光戦略について、少しお話をしたいと思いますが、私どもは観光地づくりではなくて、観光地域づくりという言葉を、10年ぐらい前からずっと言い出してきているんですけれども、こちらでは委員会の名前にあるように、まさに観光地域づくりなんですね。
 これはどういうことかと申しますと、ここにもございますけれども、今までの観光は旅館とホテルと観光施設、これさえあれば観光は成り立っていたと。地域にとっても、旅館とホテルと観光施設、頑張ってくれればいいや。ですから、観光協会と言えば、旅館、ホテル、観光施設がメンバーだったということなんですが、今はお客様の視点からも、地域の視点からも、今までのやり方がもう通用しないということですね。
 右側にもございますように、これからはお客様の視点で言えば、もう、旅館、ホテル、観光施設だけではあきがきている。旅館、ホテル、観光施設だけの観光は、長続きしないというのが、もうあちこちの状況でございます。そういった意味で、熱海が商店街の再生をやることによって、底を打って反転してきたという、今、そんな話がありますけれども、今のお客様は、先ほどもありましたように、旅館、ホテルに泊まって温泉に入ったりするけれども、商店街をぶらつきたい。周りの農村景観を味わいたい。あるいは、あちこちぶらつきながら、地元の人たちの話を聞きたいというふうな状況になってきてございます。
 ですから、私がずっとお手伝いしている舘山寺なんかもですね、単に温泉があって遊園地があればいいという時代では、もうおさまらなくなってきた。やはり、浜松の市内の商店街とか、あるいは奥浜名のあちこちとうまく連結をしたプログラムをつくっていかなければいけないという感じで、右にございますように、これからの観光というのは、旅館、ホテルだけではなくて、商店街、飲食店、伝統工芸体験、地域鉄道、NPO、農家、市場、ガイド、大学、もうみんながかかわってくるんだということですね。
 逆に言えば、みんながかかわるということで、あちこちにお金が落ちるようになると、農業も商店街も潤ってくるということで、今までは、農業とか商店街は、そんな観光なんかに頼まなくたって、自分で十分もうけることができたんですが、人口減少あるいはいろんなグローバルな、いわば展開の中で、農家とか商店街がもう成り立たなくなってきたという中で、観光客にお金を落としてもらいたいという、いわば、地域側のニーズが強くなってきました。まさに観光によって地域を豊かにしていこうと、これをいわば観光地域づくりというふうにしたんですが、そういった意味で、先ほどのお客様のニーズから見ても、地域側のニーズを見ても、地域全体がかかわらなければ、お客様に応えることができないし、地域の活性化もままならないということになるかと思います。
 という形で、ここにありますように、「住んでよし」。今までは、観光は、一次産業、二次産業、三次産業と別物という理解にいました。ですから、先ほども申し上げたとおり、観光協会は観光関係者だけでやればいいんだという時代だったんですが、いまや観光は、一次産業、二次産業、三次産業、さらに言えば、福祉、教育、文化、おじいちゃん、おばあちゃんの生きがい、子供たちの誇り、そういったことも含めて、みんなそういったものにかかわることによって、そんなものを下支えすることができるという位置づけになってきたということですね。
 まさに、観光をこういうことで使うんだと。ですから、地域づくり、豊かな地域づくりに使うんだと。
 逆に言えば、2003年以降、こちらの県も含めて、都道府県、市町村の自治体等の観光予算が急増しました。今年度は当初予算で大体800億円近くが、全国の都道府県と市町村で観光予算として計上されていますけれども、なぜ、わざわざ観光に税金を使うんだと。それは、この左の時代じゃなくなったからですね。この昔の左だったら、JTBと熱海の旅館が勝手にやればいいじゃないかと。JTBと熱海の旅館とJRが勝手にやればいい話で、わざわざ予算をつぎ込むことはないだろうという時代だったんですが、いよいよ、こっち側の時代になってくると、地域づくりまで観光がかかわるんだと。豊かな地域づくりを下支えするのが観光だという時代になってきたんで、そういった意味で、そのお手伝いをするということで、税金をつぎ込む意味が出てきたと。
 逆に言えばですね、こういう時代が来ているのに、いまだに左みたいな観光振興をやっている。いまだにこんな感じの観光振興をやっている、これはまさに税金の無駄遣いですね。まさにですね、地域づくりの効果が出ないような、そんな観光振興の予算を使ってはいけないんだというのが、今の状況だと思います。
 それが、結果的に、後で申し上げますけれども、行政主導から脱却しなければいけない、それがDMOだという理屈になってくるんです。これは後で申し上げます。
 「訪れてよし」、お客様のニーズは先ほど言ったとおりですね。もうともかく、今のお客様は住民と交流したい、お客様と住民はつながりたい、住民同士がつながりたいというような形ですね。
 私も静岡、よくまいりますけれども、やはり一番、私どもとして印象的なのは、単にお城を見るだけ、単にですね、そのお城を眺めて回遊する、それだけだったら1回でいいんですね。そうじゃないんです。あそこの駿府城公園の茶室でお茶をいただいたり、いろんなお話を聞いたり、その帰りがけに、この商店街をぶらついて、飲んだり、食べたり、買い物をしたりと、そういったことを我々はいわば楽しむんですが、まさにそういったことが行われる。それが結果的に、歴史・伝統・文化を磨き、商店街を活性化し、さらに言えば、そこにおじいちゃん、おばあちゃんのガイドが来れば、おじいちゃん、おばあちゃんのいわば生きがいをつくっていくと。そういうことで、これを我々は「住んでよし、訪れてよし」ということで表現をしてきたわけです。
 という形で、今の観光地域づくりの構図というのは、下のほうで、暮らしの体験を求める観光客がふえてきたと。単にイベントに来るだけじゃなくて、単に名所旧跡に来るだけじゃなくて、暮らしの体験を求めるお客様がふえてきたと。そういった意味で、観光客、住民と来訪者との交流といったものが不可欠になってくるという形で、町じゅうのいろんな人たちが観光に参画をする。ということで、地域の活力が維持されたり、誇りや自立意識が醸成される。あるいはまた、観光客にとってみても、満足度を向上し、また来たくなるということになると。これがいわば、観光地域づくりの構図だということでございます。
 こういった構図があるから、税金を使ってもいいんではないかというコンセンサスになってきたんだということだろうと思います。
 そういった意味で、観光立国というのは、まさに実はこの「住んでよし、訪れてよし」を標榜しています。2003年に小泉内閣が観光立国宣言をしたときのコンセプトは、「住んでよし、訪れてよし」なんですね。決して、「訪れてよし、訪れてよし」じゃないんですね。「住んでよし」、要するに、住みやすいまちづくり、住んで、ああよかったなと、生き生きとしたまちづくり、それがいわば観光とセットになるんだということが、この観光地域づくりの構図でございます。
 こういったものを推進するのが、実はDMOなんだということですね。基本的な考え方は、いわば、もう地域が豊かにならないと、自分の商売も成り立たなくなるぞということなんですね。個々の旅館が頑張ればいい、JTBとかJRが頑張ればいいということじゃなくて、地域全体が、やっぱり生き生きとしていないと、その旅館にはお客様は行かない。JRも活用しないということが基本でございまして、そういった意味で、地域がよくなることが、事業の成功や自分の幸せにつながるんだと、これがいわば全体の考え方でございます。
 それで、これからの日本版DMOというのは、まず、下側でございますけれども、観光関係者だけが集まって観光協会をつくっているという時代ではないんだと。まさに観光地域づくりをやるためには、ここにあるように、観光施設とかものづくり、鉄道会社、バス会社、ガイド協会、JA、あるいは商工会議所、商工会、NPO、住民、もちろん行政も含めてですね、みんなが参画しなければ、これからの観光地域づくりは成り立たないと、それがまず第1点でございます。これを我々はマネジメント機能というわけでございますけれども、まさに、地域づくりの観点を持つということですね。
 それで、もう1つは、地域づくりの成果を、あるいは地域づくりの中身を、あるいは地域の魅力をお客様に発信をすることによって、観光が成り立つわけですが、そのときに窓口を一元化するということなんです。商工会議所は商工会議所で産業観光のパンフレットをつくり、ガイド協会はガイド協会でパンフレット、ホームページをつくり、観光施設は観光施設でホームページ、パンフレットをつくり、観光協会は観光協会でパンフレット、マップ、ホームページをつくりというふうに、みんなが、ばらばらに、しかもあちこちで税金を使って。そんなことやったって、お客様には伝わらないということですね。
 お客様に伝わるには、この静岡県なら静岡県の一体的な発信が不可欠だということなんですね。この一体的な発信、これを我々はマーケティング機能と申し上げますけれども、今までの観光協会、観光関係者だけで集まって、しかもかなりの部分を行政からの補助金をいただいて、それで事務局長を雇って、パンフレットを刷って、マップを刷って、案内書を張ってると、そういう狭い概念ではなくて、大きく町全体がまず、このお客様をふやし、お客様で地域を豊かにするんだということで、一体になっていくと。同時に、そのお客様に対しては一元的に発信をし、一元的な窓口をつくっていくと。これが日本版DMOの基本的な考え方なんです。
 ですから、この図を見ておわかりのように、行政は自分の予算だから、行政の観光課が勝手に、これはこういうイベントをやるんだと。こういうパンフレットを刷るんだ。補助金をもらった観光協会が、補助金をもらった。それで勝手にイベントをやるんだ。勝手にパンフレットを刷るんだ。同時に、また商工会議所は商工会議所で、勝手に産業観光のパンフレットをつくり、産業観光のマップをつくり、なんて、そういう今までのばらばらのやり方が、もうこれからは通用しないよという反省のもとにこれができ上がってるんです。
 ですから、まさに、いわばもう官と民、それから民間におけるいろんな団体。さらに言えば、市町村レベルで言うと、もうお隣の市町村とも一緒になってというところが、この日本版DMOの基本的な考え方です。
 という形で、ここにございますように、ばらばらではもうだめだということですね。ばらばらにしないと。六次産業とか、中心市街地活性とか、着地型観光とか、そういうばらばらで対応するんではなくて、DMOというところでしっかり議論をしながら、そこで消化をして、それぞれ当たっていくと。これが、基本的な考え方なんですね。欧米では、こういった考え方は、もう1990年代にこんな議論が行われてきて、既存の観光協会とか既存の団体を、こういった形でDMOで一元化しようという動きになってきたということですね。
 まさに、こういった形で、例えば農業と観光をつなげる、商店街と観光をつなげる、あるいは学校と観光をつなげていくというような感じで、いわばこういった団体の横ぐしを刺していくんだと、これがですね、DMOの基本的な考え方でございまして、一番日本で、ここが課題になってくるのは、これらをまとめるリーダーが誰かということなんです。こういったものをまとめるリーダーがなかなか日本ではいない。そういった意味で、基本的な考え方がわかって、こういうDMOをあちこちでみんなつくってますが、もう既に212ぐらい、観光庁に登録されていますが、なかなかうまくいきません。この横ぐしを刺すということが、なかなかうまくいかない。しかも、この横ぐしを刺して、全体を豊かにしていくんだというコーディネーター、リーダーが、なかなか確保することができない。
 という形で、結果的に、例えばDMOがつくっても、役所のいわば天下り、OBがですね、事務局長、専務理事をやる。結局、今までのやり方と変わらないじゃないかと。
 あるいは、民間がリーダーになっても、役所は勝手に今までどおりやっちゃうという形で、こうやって一緒になって議論をしたり、一緒になって、みんなで一つの方向に持っていくというのが、日本ではなかなかうまくいかない。しかし、そこがうまくいかなければ、結果的に縦割りのままで、それぞれがみんな一生懸命やっているんだけれども、成果が生まれないということになり、そういった形のものを我々は一番危惧しておりまして、こういった意味で、日本版DMO、今、あちこちでつくりつつあるんですが、基本はそんな考えであるということですね。
 それで、静岡県でも、日本版DMOの登録法人がありますが、どういうやり方がいいのかというと、まず、皆さん方も当然御議論されたと思いますけれども、今までの観光のやり方では通用しないんだという、このいわば認識が一致するかどうかなんですね。今までのやり方でもいいじゃないかと。補助金使って観光協会、そこでパンフレット刷って、マップを刷って、案内書やって、あとはイベントやって、そういう観光でもいいじゃないかという御議論ならば、このDMOの議論は全く必要ないんです。しかし、そういったことをやってですね、本当にうまくいったかどうか、本当に成果が出ているのかということが、今、問われているわけですね。
 一生懸命観光をやって、当然のごとく、バブルが崩壊して、旅館、ホテルが潰れていく、観光施設が潰れていく、こういっただけじゃなくて、商店街が空き家だらけになっていく、あるいは若い人が働き場所がなくなって出ていく、そういったいわば地域課題を観光によって解決していくんだというのが、観光地域づくりの発想なんですが、そういった地域課題にちゃんと正面から向いているか、向いていないかということになるわけですね。
 幾つかあるんですが、1つは、お客様に来ていただくという意味合いでは、単にパンフレットを刷って、単にキャンペーンやって、単にイベントをやって、そんなことやったって、今のお客様、来ません。もうその地域にしかない価値をしっかり発信しなければいけない。さっき申し上げたとおり、わざわざお金と時間をかけて行くわけですから、その地域にしかないものを求めていく。それを、どこでもあるような宣伝してもだめだと。いや、うちは桜がきれいなんです。もう日本全国桜がきれいなんですね。うちは紅葉がきれいなんです。日本全国紅葉がきれいなんです。うちの食べ物はおいしいんです。日本全国どこでもおいしいんですね。そういう中で、この地域のいわば特色をしっかりアピールしなければいけないということですね。
 それから2つ目が、そのためには、単に名所旧跡とか、観光名所だけではなくて、その地域にしかない自然とか歴史とか伝統文化に育まれた暮らし、これこそがその地域にしかない、いわば特色だと思うんですが、そこをアピールしなければいけない。ですから、どうやって、温泉に来たお客様を商店街とかあちこちの地域に回遊させるかというプログラム、この滞在時間をふやす工夫が必要だと。
 そういったことをやるのに、今までの勘と、今までの経験だけではもうだめだと。ちゃんと、データに基づいて、それでちゃんと、みんながいろんな知恵を出すと。そういった、いわばベクトル合わせが極めて必要であるということですね。そんなことも含めて、こういういわばプロの集団、これがDMOなんだということですね。
 最後に、何でもかんでも旅行会社に頼もう、あるいは外に頼もうなんていう時代はもう終わってきたということですね。やっぱりみずから、主体的に、この地域をどうするんだ、この地域の観光をどうするんだという議論をした上で、お金を使っていかなければいけない。地方創生の予算がついたから、すぐ、東京の業者に発注して、いろいろコンサルをお願いする。こんなんでうまくいった事例って、ほとんどありません。
 結果的に、地方創生でせっかくお金をもらっても、また全部東京に環流してしまうというような実態になっているわけですけれども、まさに地域がみずから、しっかりと考えていく必要があるだろうということでございます。
 そんな感じで、これからはやり方を変えていかなければいけないんですが、その中で、発信の仕方について、ちょっとお話をいたしますと、海外のお客様は、ここにありますように、まず、どこに行こうかということを考えるんですが、どこに行こうかと言ったときに、当然のごとく、海外のお客様にはパンフレットなんかないわけですね。マップもない。まさに一部の情報しかないんですが、その情報が、印象的かどうかなんですね。あ、おもしろそうだなと思ったら、その地域に行って、初めてその地域のホームページとか、その地域のパンフレットを見て、じゃあ、あそことあそこに行ってみようということを考えるわけですね。ですから、そういった意味で、発信の仕方も工夫しなければいけないということですね。
 ということで、次のページにありますけれども、旅行の情報源。この資料の図表の5−1にありますけれども、出発前に得た旅行情報源、もう圧倒的に個人のブログです。SNSですね。圧倒的にSNSだと。ですから、あちこちのDMOで、まず海外のお客様に来てもらいたいと思ったら、もう徹底的にSNS発信をする。ツイッターとか、フェイスブックを含めて、いわば短い言葉で、たった1枚の写真でどうやって印象をつけるかと、そういったことにみんな知恵をつなげています。
 それを、くだくだ、あれもあります、これもありますなんて言ったって、海外のお客様には通じない。ですから、当然のごとく、SNS発信のほうに予算をつけている。
 それで、じゃあいざ、静岡に行ってみようかと、長野に行ってみようかとなったときに、どういうふうに情報をとるかというと、もう圧倒的にインターネットですね、スマートフォン。これは、もう外国では当たり前でございまして、外国の観光局、DMO、観光協会では徹底的に紙媒体をなくしています。もう徹底的に紙媒体、印刷しない。お客様、紙を幾ら印刷したって、お客様は見てくれない。みんなインターネットだと。ですから、もう、今、観光案内所に紙媒体で、たくさんのパンフレットとかマップが並んでいるのが、日本が一番象徴的だというふうに、よく言われます。
 しかも、それが一元的になっていればいいんですが、何とか町、何とか市、産業観光と、みんなばらばらに、好き勝手に予算を使って、パンフレットを並べている。お客様はパンフレットを取っちゃ、みんな駅のくずかごに捨てていく。こんな無駄なことをやっているところは、ほかにありません。
 そういった意味で、まさにこれから、旅行情報源というのは、一つは、行く前にはSNS、来たからにはインターネットの、いわばスマートフォンを含めた情報からとっていくというところになってきます。そういった意味で、私どもはどうしても紙媒体が頼りになりますから、紙がないとおさまらないところがありますけれども、外国では、そう言うと、ちゃんとプリントアウトしてくれます。ですから、あちこちの観光局に行く。スイスの観光局に行く。イタリアの観光局に行く。そうすると、もしそこに紙がなくても、言えば、ちゃんとプリントアウトしてくれる。そういった形で、かなり経費を節約してるんだということですね。
 そういった意味で、まだまだ日本の場合には、こういったもののいわば変革ができ上がってきていないと見ざるを得ないんですが、そんなことが象徴的ですね。ですから、この滞在中にあると便利な情報も、どうしてもWi−Fiがないと、インターネットに接続できないということで、Wi−Fiになるわけですね。
 それと、ついでに言うと、今、日本で一番わかりにくいのは、交通手段だと。これ、私がいたJRも反省しなければいけないんですけれども、JRとか路線バスとか含めて、トータルでそういったものを把握できないと言われておりまして、そういった意味で、外国人が来ることによって、いろんな課題が明確になってきます。日本人は何となくその辺わかってるだろうということで、余り深く考えてこなかったんですが、実は日本人もいよいよそういう時代になってきたんだなということを考えると、この外国人がいろいろ言っている課題は、日本人の課題でもあるということになるかと思います。
 ここにありますように、実は、もう旅行会社離れがもうはっきりしてまいりました。ここにありますように、左側の黒いところが点と、これ旅行会社ですね。この旅行会社が、大体全国平均見ても、もう3割ぐらいになってきたと。ですから、私が行ったJTBも、これ、今、非常に経営が厳しくなってきています。前ですと、旅行したらJTBに頼んでみようかというふうになってくるんですが、もうほとんどウェブになってきたと。特に、2回、3回来るようになるような人たちは、みんなウェブになってきますから、そういった意味で、オンラインエージェントとか、そういうところが今、ふえてきているわけでございまして、そういった意味で、旅行会社とのつき合い方も、ちょっと効率よく考えなければいけないということですね。
 旅行会社に頼めば、それなりのお客様を送ってくれるよといった時代が、いよいよ変わってきたということが、この外国人のいわば増加とともに見えてきたということでございます。
 さあ、そういう中で、これから静岡県の課題、これ、午前中の府川君のほうから、いろいろ話もあったと思いますけれども、まず第一に、静岡県に来ていただくということでは、静岡のブランド、いわば静岡県の、いわば価値といいますか、もうともかく、それを見たら静岡に行きたくなるといったものを発信し続けるしかないんですね。先ほど申し上げたとおり、あれもあります、これもありますと言っても、なかなかお客様には通じないし、うちは桜がきれいなんですっていっても、日本全国桜がきれいなわけですから、そういった意味で差別化ができない。このいわば、静岡のブランド、ある意味で地域から見ると誇りだとかアイデンティティにもなるんですが、これが何なんだろうかと。これが、実はまだまだ十分じゃないと。府川さんがそれをやっておられると思いますけれども。
 長野県が、1990年代のマスツーリズムの全盛期に比べたら、今、スキー客は3分の1、温泉客は半分という形で、もうすごい観光に苦労しています。長野県民も含めて、長野県庁も含めて、長野県はおもしろいところだって勝手に思い込んでるんですが、外から見ると、全く、長野県にわざわざお金と時間をかけて行く意味は何だろうかというのが伝わってないなということなんですね。ついでに言うと、長野県は、観光部長がかわるたびに、キャッチフレーズ変えてきたんですね。ですから一時期は、「さわやか信州」そのあと「未知の旅信州」それで今「しあわせ信州」というふうに、観光部長がかわるたびに、長野県庁はキャッチフレーズを変えていく。ですから、お客様には通じないですね。真剣味も通じないし、いわば一本筋の通ったものが見えてこない。という形で、まさにこのブランドというのは、一本筋が通った中身です。
 そういった意味で、石川県の「加賀百万石」というのは、これはずっと彼ら使ってますけれども、一つが筋が通った話なんですね。あるいは仙台の「杜の都」というのも、これも筋が通った話なんですが、さあ、静岡はどんな感じで皆さん方がやられるのかということですね。
 ちなみに、先々週、実は、日本で最大の観光の祭典であるツーリズムエキスポがあったんですが、そこで、この新潟県の湯沢町を中心にする雪国観光圏が、ジャパンツーリズムアワードの大賞をとりました。ここは、もうずっと観光協会が、スキー、温泉、もうこれだけでやってきたんです。ずっと。スキーと温泉。ところが、スキー客は先ほど申し上げたとおり、ピーク時の3分の1。温泉客はピーク時の半分。それでも、どうしても昔を経験した観光協会の会長とか、専務理事とか事務局長とか、そういう昔ながらの人は、ずっとスキー、ずっと温泉を続けようとしていたんです。
 それで、そんなこと言ったって、温泉とスキーは日本全国どこでもあって、わざわざこの上越を選んでいただく理由にはならないだろうということで、若手が集まりまして、DMOをつくったんですね。40代前後の旅館の社長を中心にして、いろんな人たちが集まってDMOをつくったんですが、このDMOは、スキーという言葉を一切宣伝しません。写真も、この写真にしたんですね。それで、8000年前の縄文時代から、実は雪が降ってるんだと、我々のところは。その雪が降っているから、いろんな恵みがあるんだと。ですから、まず、おいしい水。おいしい水ででき上がった、おいしいお米。コシヒカリ。おいしいお米とおいしい水ででき上がったおいしいお酒。さらに言えば、保存食の発酵食品。という形で、いわば物語をつくりまして、真白き世界に隠された知恵と出会うという、いわばコンセプトをつくり上げて、これを10年間発信してるんですね。結果的に今、スキー客じゃなくて、こういった、いわば暮らしを楽しむ外国人。もちろん日本人もですね。そういった人たちがふえてくる。そういった人たちは、日帰りとか、単なる一泊じゃなくて、二泊、三泊していくということで、非常にこの辺の観光の様相を変えたということで、観光庁長官等から、大賞をいただいたんですが、まさにこんなところが今、問われているんだということですね。
 2番目に、せっかく来たお客様を、やっぱり静岡県内にあちこち回ってもらわなければいけない。浜名湖でも申し上げたんですが、フラワーフェスティバルに来たお客様を、単にそこだけでお帰しさせるということではないんだと。せっかく来たお客様を、浜松市内とか、あるいは周りのいろんな湖西とか奥浜名とか、掛川とか、あちこち回遊させなければいけない。その辺の工夫をしていかなければ、せっかく呼び込んだ意味がないじゃないじゃないかということで、いろんな滞在プログラムを考えるわけですね。
 この滞在プログラムの考え方が、まだまだ日本では十分じゃないんですが、どうしても、この静岡県の観光協会のパンフレットもそうなんですが、全部こういった形で、静岡県内を幾つかのエリアに分けて紹介しようとする。これでは、お客様があちこち回るというきっかけにならないんですね。ストーリーをつくり上げなければいけない。なおかつ、足をつくり上げなければいけない。この静岡県内を回遊、滞在させるためには、ストーリーと足が不可欠なんですね。ですから、そういった意味で、DMOがやるべきことは、このストーリーづくりと足づくりなんです。足は行政の仕事だよ、足はバス会社の仕事だじゃないんです。DMOの仕事なんです。足のつくり方は。これからは、二次交通がなければ、お客様は移動できない。先ほど申し上げたとおり、車離れがはっきりしていますから、まさに二次交通の整備を一番議論して考えていくのは、DMOの最たる仕事なんですね。
 というふうな形で、次にありますけれども、先ほど申し上げとおり、もう車離れが出てきて、今、自転車、あるいはウオーキングがふえてきますけれども、やっぱり我々が勉強しなきゃいけないのは、スイスはこの国内全土、全土にわたって、約2万キロのハイキングコース、サイクリングコース、あるいはトレッキングを含めたいろんなコースをつくり上げたんですね。ですから、我々がスイスに行って、現地に行って、あとは鉄道とこういったサイクリングルートとか、トレッキングルートを組み合わせれば、1週間も2週間も楽しむことができる。しかも、全てこの標識が統一されていまして、上級者用、中級者用、初級者用と、全て、どこへ行ってもクラス別の標識が整備をされていると。全て、サイクリングルートは車道と分かれていますから、安全になっている。トレッキングルートも当然のごとく、車道と離れていますから、みんな安全で動ける。というふうに、こういうスイスモビリティというのが整備されています。これが、日本ではまだまだ足りない。
 車道は一生懸命つくってきたんですが、歩行者が安全で通れる道とか、観光客が安全で安心して通れるルートとか、あるいはサイクリングの人たちが安全で安心で通れるルート、そういったところの整備が不十分だと。こういったところのインフラ整備がこれから不可欠になってくるということですね。
 それからもう一つがストーリーですね。ドイツでは、こういった形で、別に何とか州、何とか州じゃなくて、エリアではなくて、南ドイツ、東ドイツ、西ドイツじゃなくて、こういう形でテーマで横つなぎしているんですね。テーマで横つなぎする。というふうにして、やってきてるんですが、どうしても日本は、ブロック別とか、エリア別とか、そういった形になりやすいんですが、そんなことも含めて、ちょっとこれからのDMOがやるべきことが、こういった先例のところから見えてくるのかなという感じがいたします。
 最後に、マーケティング調査ですが、長野県では、DMOをつくったときに、もうマーケティング調査、先ほどの勘とか経験じゃなくてデータが基本だということで、基本的にマーケティング調査を刷新していただきました。それで、基本は、毎年とるということです。毎年。しかも、全部コンサルタントに任すなんていったらお金がかかりますから、いろんな調査を長野県観光部の人、長野県のDMO、観光協会の人、こういう人たちがみずから観光地に立って、お客様にアンケート調査をするということを徹底いたしました。そういうことで、観光部長にしても、長野県観光機構の専務理事にしても、みずからお客様の声を聞いていただくことで、初めてお客様のニーズがわかる。コンサルタントに頼んで、それでコンサルタントの話を聞いたって役に立たないということで、ともかく、みずから調査に立つんだと。そのかわり、分析はコンサルタントにお願いしますけれども。というふうに徹底いたしました。
 そんな感じで始めてきまして、いろんなデータを今、使ってきていますけれども、例えばこれ、外国人の流動なんですが、調べてよくわかったんですが、軽井沢に来た人は、軽井沢だけで帰っちゃう。スキーに来た人はスキーだけで帰っちゃう。それから、金沢から白川郷、高山に来た人は、やっと松本に入ってくる。もうばらばらだと。しかも、長野県内全体を回遊していないということがわかったんで、長野県観光機構は、どうやって回遊させるか、そのための足ですね。それから、そのためのストーリーづくりをやろうということになります。
 そんなことも含めて、今、長野県の観光部、行政がやるべきことと、DMOがやるべきことを、こんな整理をしてございます。もう行政が、自分の予算だから何でもかんでも行政主導でやるというのはやめよう。しっかりDMOで議論して決めていこうと。行政がやっているパンフレットとか、マップを刷ったりという実務系は、全部こっち側に移そうということで整理をしたんですが、なかなか大変です。長野県のまた新しい観光部長が来れば、やっぱり自分でやりたいんですな。任せたくないんですね。ですからもう、自分で思いついたことをやっちゃう。申しわけないけど、知事もやりたいという形で、ここで議論をして、議論の結果、みんなで知恵を出してやっていこうというのがDMOなんですが、権力のある人がどうしても思いつきでやっちゃう。実は、私、長野県知事のアドバイザーをやってきたんですが、なかなか大変だということですね。
 というような感じで、ここにありますように、まず、県幹部は行政主導、縦割りの限界を悟る。基本は、金は出すが口は出さない。さらに言うと、これから一般財源が厳しくなりますから、新たな財源を考えざるを得ない。宿泊税とかですね。
 それから、DMOのほうは、ちゃんと安心して任せられるという組織でなければいけない。DMOの人事は極めて大事です。腰かけの人とか、単に天下りの人だけじゃなくて、ちゃんと安心して任せられるという、そういった事務能力を持った人ですね。地域も、やっぱり地域がきちっとまずやっていくんだということで、国や県に安易に依存しないと。事業者も同様でございまして、そういった意味で、DMOというのは、いろんな意味での課題を克服するための一つの手段なんですが、なかなか言うは易く行うはかたしだということでございます。
 以上でございます。よろしくどうぞお願いいたします。

○多家委員長
 ありがとうございました。
 以上で、清水先生からの説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 委員の方にお願いいたします。
 質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いをいたします。
 それでは、御質問、御意見等がありましたら、発言願います。

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