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委員会会議録

委員会補足文書

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平成22年11月産業連携推進特別委員会
参考人の意見陳述 富士市産業支援センター センター長 小出 宗昭氏 【 意見陳述 】 発言日: 11/29/2010 会派名:


○小出 宗昭氏
 皆さん、おはようございます。
 富士市産業支援センターのセンター長の小出でございます。本日はこのような席にお招きいただき、非常に光栄に思っております。
 プロジェクターはございますけども、お手元のほうにパンフレットも資料もございますものですから、余り暗くしなくても結構です。お手元の資料をごらんになっていただきながら、ちょっとお話を聞いていただければと思います。
 まず最初に私の簡単なプロフィールを申し上げたいと思うんですけども、お手元の資料のほうをめくっていただくと、私は一昨年まで株式会社静岡銀行の銀行員でした。26年間在籍しておりましたが、ふつうの銀行員と違いますのは、2001年から行政の行うところの産業支援、創業支援の世界に出向の形で入りまして、しかもそれがかなり長期にわたったということなんです。
 最初に出向しましたのが2001年2月からスタートした静岡県の事業SOHOしずおかという創業  支援室がございまして、これを、6年半やりました。ちょうど4年目からは静岡市がつくった静岡市産学交流センターの立ち上げにもかかわるということで、6年半の中で2カ所の立ち上げにかかわったわけでございます。
 その後、浜松市に移りまして、はままつ産業創造センターの立ち上げにかかわりました。今は銀行を退職いたしまして小さな会社をつくって、富士市の事業、富士市産業支援センターの運営業務を受託しています。これが今、2年半ということで、約10年にわたって公的産業支援の世界に身を投じているわけでございます。
 富士市産業支援センターは、お手元に赤いパンフレットがございますので、ごらんになっていただきたいんですけども。地方行政がやっているところの中小企業支援センターで、全国にあるわけでございます。静岡県内にも幾つかあるんですけれども、実は全く唯一、私どもだけというような性格がございます。それはどういうところかというと、全国の産業支援センターは、運営しているのが財団法人だったり、あるいは民間が入っていても第三セクターだったりというケースがほとんどなんですけども。純粋な民間企業が受託するたった唯一の事例なんです。そういう面で、運営にすごく特色もあるし、その活動そのものに中央官庁からは大きな注目をしてもらっています。
 静岡県の経済産業部とはかなり前から、もともとの事業が経済産業部の事業ですので、現在に至るまでいろんな事業を一緒にやらせていただいているんですけれども、その辺につきましては、後ほど順次お話ししたいと思います。
 次のシート、皆さんの資料3ページ目をごらんになってください。まずは農商工連携とか産業連携と言う前に、今、全国各地、日本国内で行われている、いわゆる産業支援。――これは中小企業支援が主になるわけなんですけど、――この産業支援の実態がどうかという現状認識を皆さんと共有したいと思うんです。
 実は経済産業省、中小企業庁でいろんな委員をやっていまして、2005年ぐらいから中小企業支援にかかわっているんですけれども。国は物すごく大きな危機感を持っています。どういう危機感かというと、特に中小企業支援に関して言うと。金融支援を除いて、今、大体年間1,600億円ぐらいの税金が投入されて、中小企業の活性化をとり行っているんですけども、一向に成果があらわれないというのが強い危機感なんですね。これは今、始まった話じゃなく、先ほど申し上げましたとおり、僕が呼ばれるようになったのは2004年から2005年ぐらいからなんですけども。長きにわたって、やってもやってもやっても成果があらわれないという強い危機感なんです。
 この中身を見てみますと、これは国の認識も私自身の認識もそうなんですけども、制度やハードが悪いわけではない。制度やハードはほぼ完璧にできているんですね。これは恐らく県も同じ状況だと思うんですけども、問題なのは運営なんですよ。担っている産業支援、公的産業支援を担っているところの運営に大きな問題がある。さらに言ってしまいますと、究極はこのペーパーにあるとおり、産業支援の人材、我々みたいな人材が、期待されている人材が極めて少ないというのが、経済産業省や中小企業庁としてほぼ問題点を特定しているところです。だから今、彼らと一緒に考えているのが、期待される産業支援人材をどういうふうに生んだらいいのかと。あるいは現状の公的産業支援をどう活性させたらいいのかというところが急務だというのが現状の認識でございます。
 これは実は、地方にいるとほとんどそういうことが問題視されていないんです。多分、静岡県はその辺のところは問題なくとり行われているんでしょうから問題になってないのかもしれませんが、次のシートを見てください。僕はどういうふうに見たかというと、私自身は民間の人間ですから、公的産業支援というのはどういうふうにとらえたらいいかというと、2001年の段階から、これは民間の業種分類をするとビジネスコンサルティングなんでしょうと。やるべきことはビジネスコンサルティングだと。要は、地域の産業の人たち、これは農業者も含めてなんですけども、100%すべての皆さんが経営的な問題点、課題、悩みを持っているわけです。それを解決するのが我々の立場なのではないかと。だから、要するにノウハウというのはビジネスコンサルであるということを単純に明確化したんですね。そのために必要な要件というのはここにいろいろ書きましたけども――きょうは時間の関係で割愛しますが――ビジネスコンサルである以上、求められているのは結果であると。要するに、結果をもってして県民にこたえたいと。市民にこたえたいと。ひいては国民にこたえたいというのが我々のミッションであろうと。結果が出ていれば、当然、たくさんの人たちがそこを訪れるであろうと。ですから、期待されているような産業支援機関であるならば、行列をなすような産業支援機関になるはずだと。
 人の行動というのは単純なんです。理由がなかったらアクションを起こさないんですね。幾らいい制度を机の上に並べて、さあ、民よ来なさいと言ったところで、民はそんなことに対しては見向きもしません。
 皆さんもそうであると思うんですけれども、アクションを起こすときというか。明確な理由がないと行かない。だから、地域の中の農業者や工業者、あるいは商店の人たちもそうなんですけども。自分がそこに行ったらどうなるかということが明確にメリットとしてわかったときに初めてアクションを起こすんですね。だから、我々はそれを目指したんです。
 f−Bizにしてもそうですし、カスタムの事業もそうなんですけども。要は結果が出ていれば、そこに行けばどうなるということが県民の人たちにストレートにわかっていただけるであろうということを前提としてやっています。皆さんの資料で5ページを見ていただくと、私どもの来場相談件数の推移が出ております。来場相談件数というのは147件でございまして。私自身、自分でも言うのも何なんですけども。中小企業庁の仕事をやらせていただいて、全国の産業支援機関を見ておりますが。これほどの件数があるというところは余り見たことがございません。
 富士市は26万人のまちなんですけども。この下の表を見ていただくと、富士市の人口規模と。名前は伏せてございますけども、全国各地の政令指定都市の同じような産業支援機関との来場相談件数の比較表を挙げてございます。私どもは、初年度は1,758件だったのに対して、ほかのまちというのは予算規模は我々の数倍あるにもかかわらず、こんなものという感じですね。だから、いかに私どもの富士市産業支援センターのパフォーマンスが高いのかというのがわかっていただけますが。これをどう思うかということがすごく重要な部分だと思うんです。これでいいのかということだと思うんですね。
 従来の公的な産業支援機関はこのままでいいのかということ。巨額の税金を投入しているのだから、それに見合うだけの結果を残してしかるべきだと――私は民間人ですので――当然そう思うわけですけども。必ずしもそうはなってないのではないかと思うんです。
 だから、最初に結論みたいなことを申し上げますと。これは中小企業の活性化もそうですし、農業者の活性化もそうなんですけども。新たなハード、あるいは新たな制度そのものは必要でないんですね。今あるものを活用すれば十分に結果は出る。だけど、そのときに必要なのかは、今までのやり方を十分反省していた上でどうあるべきかということをちゃんと見定めるべきだし。なおかつその上においてどういう人材が必要なのかということは十分知っておく必要はあるだろうと。だから、求められる部分というのは、期待される産業支援人材をもっとたくさん生むことだと思っています。それによって静岡県内の経済というのはさらに活性化するのではないかというふうに思っているんですけど。そんなことで、まず前段はおさえておきたいと思います。
 我々、f−Bizの体制というのは、たくさんの案件をこの4人でやっております。私のほかサブマネージャ、クリエイティブディレクター、それから経営コーディネーター。この4人なんですけども、私以外は今まで産業支援の経験はなかった人たちなんですね。だけどもこの世界で必要とされるような要素、高いビジネスセンス、情熱、それからコミュニケーション能力。この3つを持ち合わせている人間ですから、スカウトいたしまして。一緒にやってくださいというふうに申し上げてやっています。
 次のシート、7ページを見ていただきますと、私どもの支援施設の概要が出ております。これはハードにはお金をかけないという方法をとりました。富士市サイドから私に対して3つほどの候補地を挙げられましたけども、最もお金のかからないものを選びました。ハードには金をかけたくなかったんです。
 ぜひ先生方も、お時間があるときに一度来ていただきたいんですけれども。富士市立中央図書館の別館の一角に、今まで休憩所として使われていたところを簡単にパーテーションして仕切ったところなんです。この面積の中身を見ていただくと、右に色のついたところがあると思うんです。事務スペースがブルーのところで、黄色の部分と緑のスペースというのは、相談スペースなんです。他の公的な産業支援機関を見ると、この面積割合は全く逆転しております。事務スペースが広くて、相談スペースが隅に追いやられているという。主役がだれなのかがよくわかってないような施設が余りにも多いのではないかと私は思っておりますが、私たちのは当然ながら主役は相談者、地域の中のチャレンジャーの人たちだという前提でやっています。
 そんな中、サポート事例として、我々が求めている成果って何なんだろうというところから入っていきたいと思います。
 まず最初に、10ページの事例を見ていただきたいんですけれども。これは中小企業の物づくりの事例を述べてみたいと思います。その後、農業関係に触れていきたいと思います。
 私たちは、前提条件としてたくさんの相談者を迎えるにあたり、こう考えているんです。地域の既存の産業の人たち――これは農業者も商業者も物づくりもそうなんですけれども――すべての人たちにセールスポイントがあるんだという前提で考えているんです。問題点の指摘よりも、むしろセールスポイントの発見に注力するんです。
 実は問題点の指摘というのはいろんな人たちがやるし。かつ、それというのは、以外に自分たちでもよくわかっているんだけれども、問題点を指摘したところで、全然、売り上げなんて上がるもんでもないし。かつ、それは本人たちもわかっていることだと。むしろ重要なのは、セールスポイントというのは自分ではなかなかわからない。
 皆さん自身も、御自身のセールスポイントって何だろうと問われたときに、自分はここだと思うところと。他者から見たときに、ここですよねというところのずれは生じると思うんですけども。ここが問題なんです。このずれを修正して、あなたのセールスポイントはここですねって見定めた上で戦略と戦術をつくって、方向性を見定めるということが必要だろうと。
 この司技研さんというケースは、富士市内にある従業員13人の小規模な試作品をつくる会社です。極端に業績がよろしくないということで、我々のところに相談に来たのが2008年8月です。私たちは、大体、会う時間は1時間と決めているんですけれども、そんな中でも必ずセールスポイントが何だという前提でそれを発見すると。それをベースにした戦略をつくるんですけれども。このときに司技研さんは本当に困った顔をして社長と専務が来ました。いろいろ話を聞いてみますと、非常に高い技術力があるということがわかる。本来だったら鋳型をつくらなきゃならないような複雑な形状をした部品でも削りでできるというんですね。
 さらに聞いてみますと、どんな無理な仕事でも受けているんだと。例えば、急いでいるというふうに言われたらば、そのときから図面を引いて。一生懸命やって3日で納品しているって言うんで
すね。3日でやるということはすごいですねって本人たちに気づかせて。じゃあこうしようというふうに、その中で提案したのは、その部分だけ抜き取って、新サービスにしましょうということで。次のページ11ページを見ていただくと、3日でできる部分を抜き取って、試作特急サービス・スリーデイという名前の新サービスを始めようって提案をするんです。簡単でいいからチラシをつくってくださいと。ホームページも掲げた上で、もう一度、営業をやり直してくださいというふうに申し上げました。
 3カ月後、司技研さんが来てくれて何て言ったかというと、「小出さん、効果が出ましたよ」と。「新規の取引先が50先ふえたんです」と。こう変わりました。こういう話なんです。
 これは何でふえたかというと単純で、スピーディにフレキシブルに試作品をつくる会社というのはみんな求めているんです。でも、従来もやっていたんだけども、それが自分たちでセールスポイントだということが余りわからないから、なかなか仕事が来なかった。なおかつ、どんなにいいサービスでも、どんなにいい商品でも、人に知ってもらって初めて商売として成り立つんですね。だから、それを具現化したというのがこの話なんです。
 結果、この会社はどうなったかというと、13人の会社でしたけれども、仕事がふえたがゆえに機械をオペレートする、作業する人間の雇用、正規社員を3名ふやしたそうなんです。ですから、当然ながら、雇用の効果だって、売り上げが上がればあるわけで。こんなことをするのが我々の仕事なんです。
 この新サービスを始めるに当たって、この司技研。大きなお金が要ったかというと、全くそうではございません。既存にあったセールスポイントを生かした。それをわかるような形に商品化した。ただこれだけのことなんです。ただ、これだけなんだけども、そういう結果の出るアドバイスができるかどうかということが重要だろうと。だから、我々のモットーとしては、すべての企業にセールスポイントがあるんだという前提のもと、それに生かす戦略をつくるというのが戦略の1なんですね。
 2つ目としてやっているのが、ターゲットを絞りましょうというようなことを言っているんです。要するにねらいを定めていきましょうねということなんですね。
 要は、今、あらゆる業界の中で物があふれているんです。なかなか売れないと皆さんがおっしゃる。だけども、大手メーカーはそういう中で何をやっているかというと、対象先、ターゲットを明確にして、それに合った商品というのを投入しているんですね。
 16ページの事例を見ていただきたいんですけれども。ここから農業関係に入っていきたいと思います。
 皆さん御存じのとおり、静岡県内においては、主力の農産品というのは、お茶ですけれども。お茶が売れない、売れないと言われて久しいわけでございます。売れないのには売れない理由もあるんだろうと思いますけれども。私への農業関係からの講演依頼というのも多くて、その際に皆さんの前で申し上げるんですけれども。皆さん、お茶が売れない理由の第1として挙げるのは、まず生活スタイルの変化ということをおっしゃいますよね。きょうの委員の皆様方の机の上にあるような急須というのが、各家庭の中では消え失せてしまって。お茶葉がごみのごとく言われて。それが引き金になってなかなか売れなくなってしまっているんじゃないかということが指摘の1。2つ目としてペットボトルの存在を言うんですね。あのペットボトルのお茶みたいなものが出てきたがゆえに、自分たちが売れなくなったということをおっしゃるんです。だけど、まずこういった考え方ってどうかなと僕は思うんです。
 お茶の関係の皆様方には、まずこう言うんですよ。ペットボトルのお茶の出現によって何が生まれたか。どういう現象が生まれたかということを冷静に考えてみようと。結局、今、リーフ茶の売り上げがどんどん下がる中、ペットボトルのお茶というのは右肩上がりでずっと上がっていたわけなんですね。二、三年前にピークアウトしましたけども、今や清涼飲料水という肩書きの中で最も売れている商品の1つがお茶なんです。ミネラルウォーターと同じぐらいに売れている。コーラやジュースよりよっぽど売れているんですね。結果、どうなったかというと、幼稚園の子供から小学生、中学生、高校生、大学生、サラリーマン、OLさん、シニアの人たち。あるいは議員の皆様方の机の上にだって、事あるごとにペットボトルのお茶じゃないですか。
 結果、どういうふうになっているかというと。従来だったら考えられないような現象が出ているんですね。ちょっと昔に、ペットボトルなんかない前に、幼稚園の子供がペットボトルのお茶を持って、がぶがぶなんて飲むような構図はなかったわけなんです。今やそういう現象が起きていて、お茶を抵抗感なく迎え入れてくれる層。要するにお客さんの層、市場というのは広がった。要するに、市場は広がったんですよ。ペットボトルのおかげで市場は広がったというふうに考えるべきではないのか。だから、ペットボトルのせいで自分たちが苦しんだというよりも、むしろペットボトルのおかげで市場が広がったというように考えたほうがいいのではないかというようなことを提言するんですよ。その上で必要なのは、じゃあそうやって広がった市場に対してどうアプローチするのかということなんですね。その後には戦略というのが必要だろうと。
 それを具現化するきっかけがないかなと思って。ちょうどよかったのは、このマツムラ製茶の事例なんですけれども。これは富士市のお茶農家の話、自園自製でやっている農家の話なんですね、この16ページの話は。富士市は、当然ながら、主力の農業というのはお茶ですから、富士市の農政も、事あるごとにお茶のPRの仕掛けをしてくれるんです。大きなイベントがあると必ずテントを出して、そこでお茶のPR。茶娘を出して信用させ、そのお茶の販売をするんです。朝霧高原で、毎年、朝霧JAMって大きな音楽イベントが10月の中旬に行われるんです。首都圏から1万2000人ほどのお客さんが来ると。そういう中でお茶を売っていると。
 この相談というのは、昨年の10月に来た相談だったんですけども。毎年毎年ブースを出して売っていても全然売れないって言うんですよ。どうしていいのかわからないと。こういう話なんですね。僕は聞いた瞬間に、何で売れないかという理由がわかった気がしました。
 と申しますのも、一般的に静岡県内に売られているお茶のデザインって、皆さんのページで言うところの18ページに、写真が入っています。一般的なお茶のデザインが入っていると思うんですけども。市販のお茶の袋がございまして、大体それにお茶を入れて、やぶきた茶とか川根茶とかステッカーを張って、裏に生産者の名前を入れるというのが一般的な売られ方なんですね。恐らく、この20年ぐらい全く変わってないスタイルだと思うんです。僕は、緑の茶畑に遠くに富士山という言い方をするんですけれども、大体こんなイメージ。
 この朝霧JAMという音楽イベントの会でこの商品を置いて買ってくれるイメージというのは僕には全然浮かばなかったんですね。だからこそマツムラさんは売れなかったんです。でも逆にこういうふうにするとひょっとして売れるかもしれないなというのはこういう感じなんです。
 これは我々はロック茶という言い方をしたんですけども。これはコンセプトを明確にあらわしたお茶、コンセプト茶ということなんですけれども。これは4つのデザインが皆様方のお手元の資料を見ていただくとあるんですけれども。要は音楽にはいろんなジャンルがあるだろうと。そのジャンルに合わせた形で味の変化をさせようと。これは玄米茶だったり抹茶だったりいろいろするんだけれども。その上でプロのデザイナーを入れてデザインをすると。だから、アイデアそのものだったら我々が考えました。我々の産業支援のプロとしてのノウハウを入れて、プロのデザイナーを入れたデザインをやったんですね。
 例えば、「狂」という字。これはヘビメタ茶と書いてあるんですけれども。ヘビーメタルって激しい音楽があるんですけれども、そのファン向けにつくったみたいな。こんなようなデザインでやったらどうなったかというと、飛ぶように売れたんです。全品完売したと。こんなの当たり前の話なんです。来ている人たちは音楽ファンなんだから、その人たちに合う商品を売ればいいんじゃないかと。
 ことしの夏にジャンボリーでも同じことをやりました。ジャンボリーには子供たちが来ていますので、子供たちにどうやったらお茶を買わせることができるかと。要は、来ているのは、100%、ボーイスカウト関係者だから。ボーイスカウト関係者の子供が関心を持つお茶を販売すれば絶対売れるだろうと。要するに、そういうデザインにしたんですね。2日間で500個完売ですよ。周りにお茶の業者が出ていまして、こういう売り方をしていましたけども、一切見向きもされないみたいな感じでしたよね。
 だから、お茶が「売れない」「売れない」って言うんだけども。きちんとしたノウハウを入れて、商品というのはこういうあるべきですよという考え方を入れれば、違う流れも出るかもしれないねということ。多分これが6次産業と言ったり、農商工連携と言われる考え方なんだと思うんですね。そういう面において結果を出していったということなんですけれども。でも、これは要は何をやったかというと、来ている人たちがだれかということを明確にした上で商品開発したと。ターゲットを定めたという話なんですね。
 もう1つ最後に、連携って何なんだろうと。これも連携の1つなんですけども。もっとわかりやすく、農家と密接に連携させた事例というのを話してみたいと思うんですけども。皆さんのお手元ですと22ページの事例を見ていただきたいんですけれども。実は富士市に斉藤食品工業という会社があるんです。1962年設立の中小企業でございまして、従業員が二、三十人でございましょうか。やっている事業は何かというと、ニンニクの加工なんです。ニンニクの加工でも本当に特殊な会社でございまして。例えば世の中にたくさん出回っているニンニク風味、ガーリック風味という商品というのは、ガーリックパウダーが使われているんですけれども、国内で供給されているガーリックパウダーのうちの8割をつくっているのがこの斉藤食品工業なんですね。だから、大手食品メーカーでは知らない人がいないぐらいの会社なんです。僕自身は、実はこの仕事をやるまで知らなかったんですけども、そういう会社と出会いました。
 この会社がちょうど3年ぐらい前から、単なる素材供給だけじゃなくて、もっと差別化の大きい最終商品をつくっていきたいということで、外部から中途採用の人間を迎え入れまして。この写真にいるのが望月さんという課長さんなんですけれども。もともと大手の食品会社の研究部門にいた方なんですが、彼が入ってから、この会社の快進撃が始まりました。
 皆さん、ことしのヒット商品番付というのがそろそろ出ていると思うんですけれども。ことしのナンバーワンは何かというと、いろいろなデータがありますけれども。この前、日経トレンディという雑誌のナンバーワンは、食べるラー油。桃屋のラー油というのが爆発的に売れたんですね。これがどうして生まれたかという経緯をちょっと御説明しますと、桃屋のラー油が何でヒットしたのか。たくさんの食べるラー油がある中で、桃屋のラー油だけが爆発的に売れた理由というのが、独特な食感にあるというふうに言われているんです。微妙なサクサク感なんですね。このサクサク感を醸し出しているのが、特殊な製法でつくられたフライドガーリックとフライドオニオンなんですね。これはこの写真の望月さんが開発した技術なんです。斉藤食品工業がつくりまして、それを桃屋に持ち込んで、初めて商品ができたと。だから、彼がいなかったならば、ことしのヒット商品番付は多分変わったんだろうと思うんです。
 もっと言うと、斉藤食品工業がいなかったら、このラー油ブームというのは、恐らくこんな爆発的なものにはならなかっただろうというようなことが言えると思うんですが。この望月氏が私どものところに、またそれとは別の新開発した素材を持ち込んでくれたのがこの写真。ことしの3月の下旬でございました。このテーブルの上にございますのがジャムなんですけれども。何のジャムかというと、ニンニクのジャムなんですね。彼が持ち込んでくれまして。特殊な製法によって、今までニンニクの最大の悩みであったにおいの問題を解決したと言うんですね。通常のニンニクに比べると3分の1に、においを低減させてあると言うんですよ。今まで日本にはなかった技術なんですね。彼はこれを使ってスイーツ、甘いものをつくりたいんです、商品化したいんですと。どうしたらいいでしょうと、こういう話だったんです。
 我々はすぐそれを見て、これは連携しかない。どういうふうに連携させたらいいかというふうに考えたんです。だから、ジャムだから、ジャムパンかなと思いつつも、よくよく考えてみると、ニンニクというのは食べて元気になる。食べてスタミナがつくというようなイメージの商品なんです。各種アンケートをとっても、おおよそそういう結果が出てくる。だから、それで考えてみたときに、甘いもの、スイーツというのは食べてゆとりがある、ゆっくりする、ゆったりするというような緩やかなイメージのスイーツがほとんどです。それで数年前から出始めたのが、食べて健康的なイメージの野菜のスイーツ、ベジタブルスイーツというのが出てきているんですが。日本全国探しても、食べて元気になるスイーツがないということに気がつきまして。これをうまくこの富士地域から発信できないかということで、食べて元気になるスイーツ、スタミナスイーツという名称をつけました。地元富士・富士宮地域のお菓子の関連事業者6社を巻き込んだ上で、富士山麓スタミナスイーツプロジェクトということを勝手に言い出しまして、商品化いたしました。
 この7月に10の商品を出したんですけども。イオンさん、マックスバリューさん、あるいは   静鉄ストアさんが飛びついてくれて、そこに販売に至ったわけなんですけども。要はこれも連携。斉藤食品工業がいて、私どもがいて、地域の工業社、食品製造の人たちがいて商品開発ができるということでございますけれども。私どもの究極のねらいというのは、食べて元気になるスタミナスイーツというのは全国で波及できるだろうと。元気になるということを否定する人がいないわけですから。全国でこういった新しい食のトレンドを発信することができるなと思っていまして。何かそういう仕掛けができないかなと思っておったんたんですけれども。ちょうど本当にタイミングがよく、ことしの6月下旬に、青森県から依頼がございまして。青森県のむつ小川原産業振興財団というのがございまして、そこから私に対して出張相談会をやってくれないかということで、土日を使って10社の企業とお会いするという場面がございました。その10社のうちの1つが、青森県内で最大手の農業生産法人だったんでね。御存じのとおり、青森県の主力の農産品の1つというのはニンニクなんです。国内でつくられるニンニクの8割が青森県産なんですね。ところが、青森県はニンニクができるんだけれども、問題が2つある。1つは、中国産と余りにも大きな価格差があって、なかなか生ニンニクの状態では市場投入ができないということが1つ。それから、2つ目として、加工するにしても、においの問題があって、なかなか新しい産品が出てこないと。
 この12月4日、今週末でございますね。いよいよ新幹線が開通するに当たって、インパクトのある特産品をつくりたいんだけどというような相談。私どもにとってみれば、本当にど真ん中のストライクが来まして。斉藤食品工業と結びつきまして、まず最初に商品化したのが、この写真の左にございますラー油でございますけれども。特産品である長芋と黒ニンニクを使ったラー油をつくりまして。これはすぐに青森県内の主要なJRの駅、それから青森空港に置かれて人気の商品になったわけでございますけれども。満を持して投入いたしましたのが、この真ん中のニンニクのサブレでございます。ちょうど現物を持ってきたんで、皆さんにちょっと回してみましょうかね。こういう席で何なんでございますけれども。食べたいんですけれども、これは賞味期限が切れていますので、食べないでください。ちょっと見るだけにしていただきたいんですけれども。こんなデザインでやりました。箱の中に実際の物が入っていますので、ごらんになってください。
 これはどういうことかというと、青森県からニンニクを送りまして、斉藤食品工業で加工させる。無臭化の加工をする。それを富士市のお菓子の業者、富士高原スイーツ工房に持ち込んでお菓子にする。その上で青森県に送り返すということで。これも10月の下旬から青森県内で発売されましたけれども、非常に大きな話題を呼びまして。これも青森県内の主要な駅で売られているとともに、先週から首都圏でも販売されています。船橋、大宮、横浜あたりからも引き合いがあるというようなことで、今、出回っているんですけれども。要はこれがまさに連携によって新しい農業の可能性が生まれたということなんですね。
 じゃあ、これを静岡県内の農家に移したらどうかということなんですけれども。我々も最初は、富士山麓スタミナスイーツプロジェクトをやるに当たって、まず静岡県内のニンニクの産地を見たんですけれども、意外につくられてないんですね。やっぱり寒いところが多いんでしょうかね。
 お茶の転作として、JA清水さんとかJA静岡さんが一部やっていらっしゃるということで、その打ち合わせは先週やらせていただきました。これから仮にニンニクの話が出てきたら、こういうことが静岡県内でも農家との間で起こるんですが。これは公的産業支援機関が広域連携を果たして、いわゆる6次産業化支援をやったという事例ですけれども、目立つところは多分こういうことなんだろうと思うんです。既にそういうことも我々としてはやっているよというようなお話を最後の事例として申し述べさせていただきました。
 最後に、6次産業化の部分について、一言、私の見解を申し述べさせておいていただきたいと思います。これは資料を離れていただきまして、実は意外にそういう認識はお持ちでないかもしれませんが。ある面、産業支援のプロとしての僕の目からすると、静岡県の経済産業部が行っている6次産業化への取り組みというのは、かなり先進的な動きだと思います。と申しますのも、産業部長の堀川部長が農業振興室長さんだった時代というのは、たしか2003年ごろだというふうに私は記憶しているんですが。既にその段階から、今で言うところの6次産業化支援の取り組みは始まっていました。
 当時、堀川部長は、これからの静岡県内の農業を活性させるためには、やる気のある農家をより伸ばす必要があるというふうに考えている。ただ、農業者だけで頑張らせてもだめだというふうに考えている。積極的に異分野、異業種と連携をさせて、新しいものを生む動きというのをとる必要があるということをはっきりおっしゃっていました。
 当時、私は、SOHOしずおかというプロジェクトの中で異業種を連携させて新しいものを生むという取組で、スポーツ弁当というプロジェクトをやっていまして。それで、中小企業庁とか経済産業省と結びつきができたんです。
 たぶんそこを目に止めていただいて県から声がかかり。県と一体となって、やる気満々の農業者、例えば農業法人であったり認定農業者であったり、そういった方々を集めて異分野の人たちとセットする。異業種の人たち、企業家であったり中小企業の皆様等と、コラボレーションさせる場をつくるということをやっておりました。
 さらにその流れの中でやる気のある農家をより伸ばそうということで、ちょうど5年前から始まりましたのが、アグリビジネススクールというプロジェクト。私は初年度からかまさせていただいて、昨年とことしは中心になってやらせていただいておりますけれども。とにかくやる気のある農家をもっとブラッシュアップかけるということで。そこで講師として来るのは、私のような全く異分野の人たち。そういう人たちを先生として、どうしたらもっと付加価値が上がるのか、どうしたらもっと売れるのかということをずっとレクチャーし続けているんです。
 僕の目から見ても、2003年くらいから。いわゆる6次産業化の取り組みをしていた行政というのは余りないのではないかと思うんです。だから、そういう目から見ていると、つくられている仕組みそのものというのは悪くはないというふうに思っていますし。今でも現場においては、お手元の新聞記事にもちょっとつけてございますけども、県内の農林事務所の皆様方、あるいは県の産業部の皆様方とは密接に連携をとりながらやっています。
 そういう中で、どういった課題がさらに見えてくるかというのは、委員の皆様方とディスカッションしながら、さらに議論を進めたいと思いますけれども。私からはざっとそんな説明をさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

○野澤(洋)委員長
 どうもありがとうございました。
 以上で、小出様からの意見陳述は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 委員の方にお願いいたします。
 質問はまとめてするのではなく、なるべく一問一答方式でお願いいたします。
 それでは、御質問、御意見等がありましたら御発言願います。

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