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委員会会議録

委員会補足文書

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平成26年10月人口減少対策特別委員会
富士市産業支援センターf-Biz センター長 小出宗昭氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/21/2014 会派名:


○小出宗昭氏
 皆さん、おはようございます。
 富士市産業支援センターf-Bizセンター長の小出でございます。日ごろは当センターの運営におきまして、県の皆様方、あるいは県以外の皆様方にも御協力いただいておりまして、非常に厚く感謝しております。
 今回のテーマ、人口減少、これは静岡県のみならず国家的な課題ということで、国も全体として地方創生ということで、いろんな施策が、あるいは法律が通ろうとしておるのですけれども、実は皆様方もお気づきのとおり、それでは行政セクターは一体何をやったらいいのか、国が何をやったらいいのかということについて、具体的な答えというのは全然見えていない、解決策が見えていないというふうな印象をお持ちになっていると思うんです。私自身は、この公の産業支援のセクターに入って今14年目でございますけれども、こんな活動の中で、明らかにこの切り口でやれば、今、国が言っているところの人、仕事、町という問題についてある一定の解決策がつくのではないかというふうな確信を持っておりまして、きょうはその活動の現場である富士市産業支援センターの活動状況を見ていただきながら、各委員の皆様方にも何か御意見賜ればと、かように思っております。
 私のプロフィールについては、いろんなメディアで御存じの方も多いとは思うんですけれども、改めて自分の口から簡単に御説明させていただきますと、私はもともと静岡銀行員でございました。1983年に静岡銀行に入行して、在籍は26年でございます。ただ、普通の銀行員、静岡銀行員と圧倒的に違っておりましたのはそのキャリアでございまして、最大の特色点というのは、長きにわたって公の産業支援のセクターに現役の行員の立場として出向していたというわけでございます。7年半出向しておりまして、その間静岡市で6年半、これは最初は静岡県がつくった創業支援施設の立ち上げと運営、それから後半部分においては、静岡市がつくりました中小企業支援センターの立ち上げと運営をやりました。その後、今度は銀行の命で浜松市をということで、浜松の同様のセンターの立ち上げと運営をやって、その後、生まれ故郷の富士市から請われて、銀行を退職してこの支援センターの運営受託をしているのがこの6年ということです。ですから、静岡県内におきましては富士市と静岡市と浜松市と、3つの施設で中小企業支援と創業支援をやってきたという、多分こういう人間というのは僕しかいないんだろうと思うんですけれども、こういうキャリアでございます。
 その間、2005年あたりからは、経済産業省、中小企業庁からお声がけいただいて、産業構造審議会ですとか、特に中小企業政策審議会についてはここ5年ぐらいずっとかかわっておりまして、国から出される新たな中小企業支援施策の立ち上げの本当の青写真の部分からお手伝いをしてまいりました。
 私ども富士市産業支援センターf-Bizが物すごい大きな注目を集めた瞬間というのが、実はちょうど1年前でございます。去年の8月30日に経済産業省が平成26年度の概算要求を出したわけでございます。――今年度の概算要求ですね――その中で、政府としますと、アベノミクスを推進する中で、今年度の最大の注目点というか、注目しなければならない部分というのが、中小企業・小規模事業者対策だったんです。その中心の施策というのが中小企業の経営支援を強化するということで、ここに中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業というのが書かれています。ここにこう書かれているんです。「小規模事業者などの相談にワンストップで対応するよろず支援拠点(富士市産業支援センターがモデル)を全国に47カ所つくる」と、こういう話です。ここで一挙に私どもが全国的に有名になった瞬間だったんです。
 これは経済産業省の事業にすると極めて異例というふうに言われているのは、地方の一支援センターを明確にモデルと銘打って国の施策とすると。こういうふうに言ったことというのは、今までにほとんどないというふうに言われています。なぜモデルとしなければならなかったかというと、私どもf-Bizがやっていることというのが、これまでやっていた中小企業支援センターの取り組みと余りに違うからなんです。それは今から聞いていただければ皆様方にもおわかりいただけると思うんです。余りに違うものですから、いろんなところに引っ張り出されたわけでございます。昨年の11月には衆議院の決算委員会に呼ばれまして、産業競争力強化法の法案審議だったんですけれども、――よろず拠点支援という名前のプロジェクトなんですけれども――それについて説明せよということでこんなふうにやらせていただいたり、ことしの3月におきましても、参議院の決算委員会でf-Bizのことが随分語られているという状況なんです。
 実はこの背景はどこにあるのかということ、我々がこういうふうに注目を浴びた背景はどこにあったかということについてお話ししたいと思うんですけれども、実は私、2005年ぐらいから経済産業省に呼ばれるようになって、経済産業省サイドがどういうふうなことを言っていたかというと、毎年膨大な予算を組んで、中小企業支援、小規模企業者支援をやっているんだけれども、一向に期待されている成果が上がらないという話だったんです。もう終始一貫して、今に至ってもずっと言っているんです。
 私は、民間サイドでこの世界にかかわっているものですから、霞ヶ関の皆様方とは違う観点でうまくいっていないんではないかというふうに感じました。どういうふうな部分かというと、委員の皆様方は各選挙区から出られているわけですけれども、静岡県内各地域、あるいは全国各地におきましても、世の中の99.7%は中小企業者なわけです。――皆さん御存じのとおりです――そのうち何%の人が経営上の課題、悩み、問題点を抱えているかといいますと、100%なんです。課題なり問題点を持ってない人なんていたら、そんなハッピーな人がいたらそんな幸せなことはないんですけれども、大企業ですら持ってるんです。そのうち、一体何%ぐらいの方が今よりもよくありたいと思っているか。当然ながら全員です。100%の人は今よりもよかれと思っている。
 こういう構造の中で考えてみるとどういうことが起きるかというと、100%の人たちが経営上の課題、悩み、問題点を抱えていると。同じ100%が今よりもよくありたいというふうになっているとすれば、そこの相談窓口に行けば自分たちの経営がよくなるという相談窓口があるとすれば、当然行列ができるはずなんです。これは、おいしいレストランがあれば行列ができるのと同じ構図です。そこの病院に行けば自分たちの病気がよくなるという病院があるとすれば、行列ができるのと同じ構図なんです。
 ところが、公の産業支援の窓口、たくさんあるんですけれども、どこへ行っても経営相談に来る人というのは閑古鳥状態なんです。全国的に見て、経済産業省も随分調査しましたけれども、どう見てもそういう状態にないんです。ここがやはり問題点です。期待されているような成果が上がらないから多分人が来ないんだと思うんです。ここに私は問題点を抱えていると思うし、経済産業省自身もそう考えている。
 では、どうすればいいかという中で、もう私達はそこを追求していったわけです。私は民間の人間なので、産業支援の世界で抜本的な改革を行おうというふうに考えました。ちなみに、何で公の産業支援がうまくいかないかというと、こんな3つの理由だと思うんです。
 目標設定がない、責任の所在が不明確、ニーズを酌み取った運用をしていないと。こんなような理由があろうかと思いますが、我々はどう考えたかというと、産業支援、中小企業支援、小規模事業者支援なんて、支援、支援、支援という言葉では、やることの本質はわからないと。これは明確にしなければだめだろうと考えました。これも単純明快に考えたんですけれども、100%の人たちが経営上の課題、悩み、問題点を抱えていて、100%の人たちが今よりもよくありたいと考えているんだから、我々みたいな支援センターがなすべきことというのはもう単純明快です。その課題、悩み、問題点を受け入れて、よくする方向に持っていく。課題解決してよくするんだから、コンサルティングに決まってるんです。
 実は、驚くべきことに、公の産業支援とか中小企業支援という言葉があっても、ビジネスコンサルタントを言っている人は、誰もいないんです。やることが明確でないからうまくいかないのであろうと。ビジネスコンサルタントである以上、求められているのは結果のみなんです。一生懸命支援をしているなんて当たり前のことなんです。今までずっと一生懸命やってます、一生懸命やってますって皆さんおっしゃるんだけれども、そんなの当然の話だろうと。求められているのは結果だと。結果が出ていれば、当然来る相談件数、来場する相談件数なんです。電話や行きましたではないんですよ。来るはずなんですね。おいしいレストランというのは行列ができるのと一緒です。良い病院があれば行列ができるのと一緒なんです。来る相談件数が活性化のバロメーターなんです。こういうことを言った人も、実は公の産業支援の世界でいませんでした。我々はそこを追求したんです。
 結果を出すとどうなるかというと、これが富士市産業支援センターf-Bizに来てくれる相談件数の推移なんです。初年度、これは8月からオープンしたのでこんなものですけれども、年間だんだんとふえて、昨年度は年間で3,240件、月間で言うと270件ぐらいです。今年度はさらにそれが数がふえて、月間320件ぐらいの相談がもう朝から晩まで押し寄せてる状況なんです。それを次から次に対応していると。ちなみに我々のオペレーションはどういうふうなオペレーションをやっているかというと、当然富士市の予算なので、全体の75%の相談は富士市の企業にしようとしています。残りの25%は、富士市の予算でやっておりますが、その他県内全域から来ていただいています。――浜松から伊豆の国市までですね。――こんな状況です。来る方の9割が口コミです。あとの1割がマスメディアを見たということなんです。
 そんなのもあって、国が47カ所、この6月に施設を設置しましたが、市町村みずからの予算でf-Biz的なことをやろうということが、2009年ぐらいから起きてまいりました。それが金融機関がお金を出したり、あるいは行政がお金を出したりということ。一番最初に行政がお金を出して行うf-Bizのコピーモデルというのは、東京の豊島区でした。一番直近ですと、愛知県の岡崎市がf-Bizと同じようなことをやりたいということで、私どもでトレーニングした人間を送り込んで、こんな感じでやっております。現在もこの手の動きというのは5、6カ所、いろんな市町村から御相談いただいてお手伝いをしている次第です。
 実は、来る相談の大半というのが売り上げの悩みなんです。この辺も今まで絞り込みができていなかったと思うんです。中小企業、小規模事業者の相談というのは、多様な相談があって、多様な専門性を持つ専門家が必要だというふうに言われていましたが、実態は、僕はこの14年間ずっと現場で、富士市で、浜松市で、静岡市でやっておりましたけれども、来る相談の大半が売り上げなんです。物が売れないんですよ。だから、どうすれば、具体的にどういうふうなアドバイスをすれば売り上げが上がるかというアドバイスをしなければならないかということですし、そこに絞り込みをするべきなんです。
 ものづくり系中小企業は技術力が弱いから、技術の専門家が必要だなんていうのは、こんなのはっきり言ってうそでございまして、浜松で私、1年間おりましたけれども、来る相談で技術の相談に来る人はほとんどなかったです。ほとんどがやっぱり、売れない、売れない、売れないと、こういう話だったと思います。
 ここからがこの人口減少対策にもストレートにつながるところだと思うんですけれども、――創業すると雇用が生まれるよという話なんですけれども――創業支援をきっちりやると雇用が生まれるという話なんです。私、この14年間ずっとやっておりまして、これまで創業支援もかなり力を入れておりましたけれども、短期的に創業の相談をふやしたことはなかったんです。ところが昨年、私どもf-Bizは富士市内の今までの予算規模をちょっとふやしまして、創業支援に力を入れたいということで、施設も少し広げたものですから、その期待に応えなければいけないということで、今まで中小企業支援をメインにしていて、創業支援をサブメニューみたいな位置づけに置いてあったのを、メインメニュー2つみたいな形で思い切って目立つようにしてやったところ、創業者の相談というのは、それまで月間11件だったのが、月間平均で56件までふえてきたわけなんです。これは、自分たちとしても想定しない状況でした。今のこの世の中でも、こんなに創業を希望する人がいるんだということが結構驚きだったんですけれども、当然ながら来る相談が多ければ、生まれる起業家の数もふえるわけでございまして、実際この直近の1年間で何件の起業家が生まれたかというと、41件なんです。これまで年間10件前後でしたので、約3.5倍にふえました。
 ここで初めて、ここからどのぐらいの雇用が生まれるんだろうということを調べたんです。これまで10件程度だったので、調べてもいなかったんですけれども。41件に対して1件1件ヒアリングしました。何人雇用したのか。何と112人なんです。112人の雇用が生まれたんです。これは、自分たちとしても想定以上の効果でした。つまり、創業支援をきっちりやれば、雇用が生まれるということが明確に示されたと思うんです。これまでセオリーとして、創業支援をやると雇用が生まれるだろうというふうに言われていたんですけれども、実数として明確に出した事例というのはなかったと思うんです。僕もこの世界にずっとおりますけれども、そういったことを示された事例というのは見たことがない。なぜかというと、実際生まれてなかったからだと思うんです。これを生むために何が必要かというと、高度なコンサルティング能力が僕は必要だと思います。通常のいわゆる今までやっているような支援では、多分こうはならないと思うんです。
 これは創業補助金の採択結果なんですけれども、当然、富士市産業支援センターが一番ずば抜けて多くなるんです。
 私どもには、私を含めて8人のアドバイザーがおります。全て私がスカウトした人間です。副センター長、プロジェクトマネージャー、クリエイティブディレクターと、8人でやっております。女性のマーケティングのアドバイザーもおるんですけれども、彼女たちも含めてみんな必死になってアドバイスをしておるわけです。
 そんな中、中小企業支援についてもお話ししてみたいと思うんです。
 この事例を聞いていただくと、先ほど申し上げました富士市産業支援センターf-Bizの支援が余りに違うということがわかっていただけると思うんです。なおかつ、中小企業支援をきっちりやれば、雇用は守れるし、雇用はふえるということも感じ取っていただけると思うんです。
 例えばこの一番右のケース、有限会社幸昭さんが我々のところに相談に来たのは2009年の6月でした。もともと工場内の防音の工事をやっている会社なんです。御存じのように富士市というのは工業都市なものですからたくさんの工場があって、そのすさまじい工場内の音を減衰させる技術を持ってるんです。ところが、富士市の工業は、皆さん御存じのとおり、坂道を転げ落ちるような状況でだめになってくる中で、当然彼らも売り上げがどんどん下がってしまったと。ピーク時に、10何人かいた従業員も、我々のところに相談に来る直前の電話では、全員解雇。ゼロの状態でした。どうしていいのかわからないという状況だとおっしゃってたんです。社長はマスメディアのインタビューなんかに対しては、もう倒産だと思ってたと。こういう状況です。
 我々はどういうアドバイスをするかというと、ここが違うんです。我々は何て言ったかというと、確かに工場向けの防音のマーケットというのは、明らかに縮小しているだろうと。けれども、音の分野でマーケットが確実に拡大している分野があるだろうという指摘をしたんです。これはなぜかというと、新聞やテレビでもわかるとおり、いまや音の問題で、住民間でいろいろなトラブルが起きてしまっていて、いろんな傷害事件とか殺人事件が起きていると。これの頻度も上がっている。明らかに上がっているから、明らかに一般住宅の世界において、防音のニーズというのは高まっている。工場内のすさまじい音を減衰させる技術というのは、一般住宅に向けたら相当高い効果が出るのではないかと。こういうような指摘をしたんですね。だから、マーケットを全く変えてしまうということ。
 彼らは全くやったことがないものですから、どうやったらいいのかというので、具体的に、こういうふうな販売ルートを考えようといって、ターゲットにしたのがハウスメーカーとかリフォーム事業者をターゲットとしたサービスを展開するアドバイスをするんです。実際そういったPRツールも一緒につくりました。やったところどうなったかというと、2009年6月に9000万円だった幸昭の売り上げは、2010年6月期には2億2500万円までV字回復してるんです。特に彼らが開発した防音ドアというのは、スーパーヒットしまして、今、大手カラオケチェーン店の入り口のドア部分、――カラオケルームというのはあのドアから音漏れするらしくて――そこに非常に強い支持を受けて、こんなふうな形にV字回復したと。
 雇用の面ではどうなったかというと、従業員ゼロだった幸昭はいまや従業員9人になっている。雇用を生んでるんです。だから、質の高い中小企業支援をやれば、こういったことができるよということなんです。
 一番左にあるこの司技研のケースというのも、これもいろんなところで取り上げていただいて有名になった話なんですけれども、これも非常にわかりやすい話なんですけれども、私どもに相談に来たのは、私どもがオープンした2008年の8月でした。中川社長と専務さんが来られたんですけれども、当時おっしゃってたのは、自分たちは自動車向け金属加工の仕事をやってるんだけれども、バブル期を頂点として売り上げがずっと下がってると言ってました。もうもはやどうしていいのかわからないんだと。いろんなインタビューではもう倒産だと思ってたと。もうこういうどん詰まりの状況だったんですね。
 我々は何をやったかというと、とにかく徹底的に話を聞くんです。聞いたところ、彼らはメインの仕事というのは金属加工なんだけれども、これはもう主受注先というのが富士市から撤退してしまって、もうどん底状況。そのほかに何かやってるのと聞いたら、試作品を時々つくっているという話をしてました。試作はどんなふうにやってるのかって聞いたら、基本的にどんな仕事、無理な仕事でも受けるんだと。例えば急いでると言われたら3日で納品をしてるんだと。こういうふうにおっしゃってました。僕はその3日というところに着眼したんです。
 常識的に考えて、試作部品ですから、試作部品を頼む会社というのは、1日でも早く納品されたほうがいいに決まっているわけです。だからこの短納期の部分、スピーディかつフレキシブルに試作部品をつくるこのサービスというのはすごいのではないかと。これを売りにしていこうということで提案したんです。わかりやすく試作特急サービススリーデイという名前のサービスにしていこうと。簡単でいい、手書きでいいからチラシつくってくれと。ホームページにもすぐ掲げてくださいと。その上でもう1回営業やり直してくれと、こういう提案をしてあげるんですね。本人たちにしてみると、本当にメインとはもう外れた、小さな仕事の部分だったのを、ここが売りだということに気がつかせたわけですね。スピーディかつフレキシブルに試作部品ができるところを売りにしようと。
 やったらどうなったかというと、我々のアドバイスをした直後の3カ月で新規の取引先50社取れるのです。何でそれが生じるかというと、単純な話です。試作部品だからクライアントのほうは1日も早いほうがいいに決まってたという話です。
 驚いたのはその翌年、2009年でございまして、彼らのホームページを見て、ある自動車メーカーが直接電話をよこしたんです。いい仕事してるねと。ついては頼みたい仕事があるよというふうにきたのが、その自動車メーカーが全力を挙げて試作車をつくろうとしていた電気自動車の試作部品なんです。以来、受注量がどんどんふえて、今、現在の売り上げの3分の1がそのメーカーと直にやってる電気自動車関連の仕事なんです。
 さらに数カ月した2009年の夏でした。今度は別の自動車メーカーの子会社からの電話だったんです。その子会社がつくっているのがレーシングカーなんですね。レーシングカーの特殊部品の仕事。これもどんどん仕事がふえていると、こういう状況です。
 結果、どうなったかというと、まず利益率が2倍以上に上がりました。売り上げは80%アップなんです。それについて一体幾らコストをかけたかというと、ほとんど金をかけてないんです。設備はそのままです。従業員は13人の雇用を守り切りました。一体、何を使って幸昭だとか司技研の流れを変えたかというと、それぞれ気がついてないセールスポイントを気がつかせて生かした。真のセールスポイントを生かすという知恵を使ってるんです。その知恵の出し手がこういった公の産業支援であるべきなんです。従来の支援ですと、バランスシートを広げて、あそこが悪いだの、ここが悪いだの、現場を見てここが汚いだのどうのこうのという問題点の指摘だけなんです。問題点を指摘しても売り上げなんか絶対上がらないし、雇用なんか守れないんです。
 効果を上げる産業支援にするためには、このような具体的な知恵を出すような高度なコンサルティング力を持つ必要があるんです。そうすると、まずは地域で頑張り続ける、地域経済を支えている中小企業、小規模事業者の雇用を守れるし、場合によっては雇用がふえることもあると。創業支援をきっちりやれば雇用は生まれる。ただし、これまでのような支援ではだめです。これはもう経済産業省といろいろやりとりして、全国見ても、残念ながらそこから成果は生まれてないんです。今、いろんなところで創業塾をやってますけれども、あれが成果を生まなかったことというのは、5、6年前1回やってやめている話ですから。そこから起業家は生まれないんです。生み出すために必要なのは、高度なコンサル力を持った支援センターなんだと思うんです。これは現実的に公のセクターができることだと思うんです。
 ただし、このときに必要なのはまず現状の中小企業支援の状態について、厳しくチェックできるかということだと思うんです。先ほど申し上げましたように、常識的に考えれば、本来であれば行列ができているはずなんだけれども、一体どうなんだということ。具体的な成果は出てるんだろうかと。こういうところについて、ちゃんとメスを入れる必要があると思うんです。
 うまくいってないということであれば、抜本的なV字回復ができると思うんです。これまでの中小企業支援の取り組みというのは、僕も国と一緒になっていろいろかかわってまいりましたけれども、既存のセクターの皆様方が一生懸命頑張ってるとおっしゃるんです。一生懸命頑張ってるということになると、その延長線上の絵しか引けないんです。抜本的な改革なんかできるはずもないんです。抜本的な改革が必要だというふうに、私は思ってます。
 我々富士市産業支援センターf-Bizが頑張り続けているのも、公のセクターだってここまでできるよっていう具体的な事例が必要だと思ってるんです。その目指すべき1つの像、あるいは可能性をきちんと提示しようというのが我々のチャレンジなんです。それは、ことしよろず支援拠点という形で経済産業省の事業として全国に47カ所、施設設置されたということで、ある一定の評価は多分あったんだろうと思うんですけれども、だけどもやっぱりこういった時代になってますます厳しくなる中で、さらに我々自身もずっと頑張らなければいけないし、それにおいてはふだんからそうなんですけれども、県の皆様方とはいろんな連携を持っております。特に農業支援についてはがっちり組んで、ここ数年やってまいりましたし、これからもそういった状態であると思いますし、そのほかの部分におきましても、さらなる連携を含めながら、とにかく静岡県からはこういった望ましい中小企業支援が行われ、創業支援が行われ、雇用が生まれ、人口もふえてくるというようなことが提示できたらうれしいかなと思っています。
 ちなみに、前後してしまいましたが、先ほどの創業支援、41件という話の中で、人口についてどうかということについてだけ触れておきます。
 この41件の中に、県外から移住して起業している方が2組いらっしゃいました。それぞれが3人世帯でございますから、ここだけ取り上げたら人口は6人プラスということです。ですから、これが絶対的なキーファクターだとは言いませんが、創業支援、あるいは中小企業支援を強化することによって、確実に雇用は生まれるんです。それによって人口増に期する部分というのはあるだろうということが、そこから見えてくるのではないかなと思ってるんです。
 とりあえず私の説明はここまでにさせていただいて、後は皆様方から御質問を受けたいと思います。ありがとうございました。

○池谷委員長
 ありがとうございました。
 以上で小出様からの意見陳述は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 委員の方にお願いをいたします。
 質問は一括方式ということでまとめてということではなく、なるべく一問一答方式でお願いをしたいと思います。
 小出様はこの後所用がございまして、11時37分の新幹線に乗られるということですから、11時15分には質疑を終了したいと思います。ぜひ、全員の皆様が御質問、御意見等できますように、委員の皆様の御配慮をお願いしたいと思います。
 それでは、御質問、御意見等がありましたら御発言願います。

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