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委員会会議録

委員会補足文書

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平成23年11月富士山静岡空港活性化特別委員会
参考人の意見陳述 静岡経済同友会 静岡協議会 代表幹事 西雅寛氏 【 意見陳述 】 発言日: 11/25/2011 会派名:


○西雅寛氏
 それでは御指名を賜りました。きょうは静岡経済同友会の西として、静岡空港に関して、今までも何回か提言を申し上げたりしておりますので、現状を踏まえていろいろお話をさせていただきたいと思います。
 ちょうどお手元に同じ内容の資料が行き渡っているようでございますので、簡単に順序が変わりますが、資料の35ページをお開き下さい。35ページに静岡経済同友会のこれまでの富士山静岡空港での取り組みの経緯が書いてございます。空港が具体的になったときに、この空港の、ともすれば観光用途の話が非常に大きくて、それに対して静岡の経済特性でありますとか産業の状況を見ますと、やはりビジネス用途を拡大しないとなかなかこの空港の高度な利活用はしにくいだろうということで、2007年9月にその当時の知事に富士山静岡空港開港への期待ということで、物流機能の視点がその当時の基本構想にはございませんでしたので、ここら辺もぜひ視野の中に入れた空港運営をというお話を申し上げました。もう1つはやはり空港そのものの企画運営機能、ここが非常にその当時はちょっと弱体ではないかと。メンバーからいっても、構想からいっても余り展望がなかった。要は観光客の団体を呼び込めばというところにウエートが置かれ過ぎまして、ちょっとそんなことを思っておりました。その後、2008年3月に、やはり物流が物であるとすれば、それにビジネス用途の、人の往来を考えていかなければならない。そのためには離発着の時間帯でありますとか、便数の問題でありますとか、そんなことの提言、ビジネス用途の拡大を富士山静岡空港について御検討いただきたいと。そのために、協議会のほうもつくったらどうでしょう、官民一体になっていろんな知恵を絞らせていただきたいという御提案を続けてまいりました。
 それではお手元の資料の1ページからまいりますが、内容について必ずしも――いただいている時間が45分でございますので――沿った御説明はできないかもしれませんが、ちょうど2ページにございます。これは静岡経済同友会のホームページでございますけれど、ちょっと手を入れましたが、基本的にここに大体申し上げたいことがほとんど書いてございます。後発空港であるから、関空とかセントレアとか羽田、成田への補完的な機能に限定せざるを得ない。したがって、それを考えていった場合に非常にニッチな部分の機能を大きく担う。あるいは、羽田なり成田なりそういう空港が何か事故があったり、あるいはオーバーフローしたときの機能を担うような位置づけで考えるとか、そういう特徴を持っていかないとなかなかこの空港の機能の維持・拡大が難しいんではなかろうかと。競争的な役割もちろんあるんですけども、競争してもなかなかそれは競争になるものもありませんから。そうしますと、やはり空港というのは路線便が飛んでこないと何の意味もございませんから、路線便を継続的に維持・拡大する経済性を何とか付加していかなきゃいけない。ところが冒頭申し上げましたように、県の――これは批判ではないんですけども――空港の基本構想の中に物流の問題はありませんでした。我々の提言でその当時県の方が、「ああ、物流確保しちゃったのか」と。非常にいまだに印象的なんですけれども。下のほうに書いてございますけども、物流をベースにして、物が動けば人も動くんですね。人も動けば物も動いている。そういう部分からビジネス用途の考えを図ろうということです。
 それで何よりも運営体制の強化ですね。企画・運営力を持ってビジネス用途の拡大に当たっていかれたらどうかということでございまして、3ページにまいります。ここにビジネス用途の拡大戦略と、ちょっと大仰な言い方でございますが、人と物とよりです。この場合では、物のほうから言いますと、1つの中期的な目標ですね。非常にわかりやすい形で書きましたが、これは静岡空港発仁川向けの20時――一番遅い時間帯という意味なんですが、これは19時でも構いませんけども――発の、フレーターというのは貨物専用機です。これを何とか就航させたいと。そしてそのことによって基本的には物流考える場合に、航空コンテナ、ULDといいますが、このULDが使えなければもう物流の問題というのはどうにもならないんですね。それで航空コンテナが使えるベースの中で物流機能の拡充を図ろうと。これは物流に対する中期的な目標でございます。それから人の問題。早朝便の増加とかビジネス用途の需要の喚起を図ろうと。ちょっと水をかけるような意見になるかもしれませんが、私は、実は今、あるいは以前やっていた静岡空港を使う乗客への支援をまたやるというのは余り賛成ではありません。これはないよりはあったほうがいいんですね。これカンフル剤ですから。静岡空港が病人かどうかわかりませんけど、病人に一時的に元気を与えてカンフルを打つのはいいんですが、それは根本的な治療にならんわけですね。対策にもならない。したがって、やはり我々がここで今考えるべきは、一時的なカンフル剤、これはできればやらないよりはやったほうがいいでしょうからそれは決して否定はしませんけど、それ以上に根本的な基本構想のところに戻って考えるべきだと思っているんです。
 まず物流の強化策からまいりますが、行政がフォワーダーと県内荷主に対して、静岡空港、なんせ我々の税金でできた空港ですし、身近にこんな便利なものがあるわけでありますから、静岡空港の利用の呼びかけの県民運動みたいなことです、もう既にやっておられるかもしれないけど、もっともっと意図的にやることが大事。それはどういう意味かといいますと、県内荷主から、やっぱり荷痛みが少ない、発送、配達時間が非常に短くなる、航空貨物の特徴でありますね、これを実現するには、静岡空港を使った物流が一番静岡県の荷主にとっては便利になるはずなんですね。しかもコストも安くなる。したがってそれを働きかける。フォワーダーというのは荷役業者でありますが、混載業者でありますが、荷主から声が出ればフォワーダーは必ず動きます。経済性を見ると――これは後で書いてございますけども――十分可能なベースだと思っております。したがって、最初のうちはトリガーをかける、あるいは動き出すまでは行政が主体とならざるを得ません。ただ事業主体にはなるべきではありません。地元空港を利用しようじゃないかという呼びかけをしていこうと。もっと短期的な、今すぐできることから言いますと、静岡空港発仁川向けの13時前後のアシアナ便があります。これは実は静岡空港の中に今去来しているキャリアに中で唯一ULDを積める飛行機なんですね。これをともかく利用しなければならない。今はこれ利用していません。ULDはこのアシアナ便の中には9個入ります。500キログラムの小さな小型のULDですけども、9つ入ります。パッセンジャーの、乗客のラゲッジなんかというのを積みますから、大体その9つのULDのうちの3つとか4つはそれでいっぱいになりますけど、あと残りの4つ、5つは空なんですね。これをともかく利用するように荷物を集めようと。ところが物流業者はシステムで動いていますから、集荷をその分だけ持ってくるとか――後で申し上げますけども――そう簡単なことじゃ実はないんです。それで県民運動も起こそうじゃないかと、そういう働きかけを県がイニシアチブとってやったらどうかということを申し上げたんです。
 それから3番目、キャリアに対して夕方の集荷可能な20時出発のフレーター、コンビネーション。これはお手元の資料のほうにございます。フレーターというのは貨物専門の便。それからコンビネーションというのは、貨物と人間が乗るところと半分にした機材でありまして、昔は日本でも飛んでいたんですけど、今はどうしても新興国が多いですね。中国とか南米とか中近東ですね。後ろのほうに荷物があって。これは機材の変更をしなきゃなんないんで、キャリアあんまりうれしい顔はしませんけど、実はこれが就航すれば日本中のローカル空港については大変な朗報になります。これによってペイするようになる。特に静岡は非常に工業生産や人口も多いですし、輸入の原材料なんかもたくさん入ってくるニーズがありますから。これがあると非常にペイラインが、航空会社にとっての採算ラインが下がってきます。ただイニシャルコストがかかる。飛行機の中改造しなきゃなりませんから、若干かかるということです。このコンビネーションの就航を働きかけようと。20時出発が実現するということは、18時に出荷の締め切りができるんです。空港に各フォワーダーがトラックで荷物を続々持ってきますね。その締め切りが18時。本当はもうちょっと遅くても大丈夫だと。地元の空港ですからね。成田や羽田みたいな大きな空港ではぴしゃっととめられますけども、静岡空港だったら若干余裕がある。もうちょっと余裕がある。そうしますと、ほとんどの地区で、これ国内はもとより海外ですね、翌日配送、到着が可能になってきます。これはもう決め手になると思うんですね。
 ここにオープンスカイ、これは国交相の国際便は成田、国内便は羽田というシェアの仕分けを変えた、あるいは空港の用途とか規制をかなり今緩和をしております。そういう航空行政の変更がございましたので、それに伴って羽田と成田の補完的な空港を、補完的な機能を持った空港を静岡空港が目指すべきだと。現在乗客は羽田に続々と集中しております。これは圧倒的に便利ですから。それからもう1つは、荷物は成田利用の一極集中です。これはここに書いてありますけども、リカバリーフライトとスペース確保と、これは物流業者にとってはもう前提条件なんですね。つまり荷物が集まって、仮に集まり過ぎて――最近はそういうことは余りないんですけど――その予定した飛行機に乗せられないということが起きたときにその次の便が飛んでくれば、その次の便に乗っけてハブ空港に持っていける。ANAであれば沖縄。世界のハブは、実際今仁川になっていますね。仁川に持っていけると。このリカバリーフライトがあるというのは非常にフォワーダーにとっては大きなメリットでありまして、したがって、静岡空港を使おうというときにこのリカバリーフライトがないですね。ただそれ以上にやはりコンビを使うとか、あるいはフレーターを持ってくるとしても、後ほど申し上げます、地元にあるフレーターの荷物だけで十分カバーできますから、それでいけるという説得を行政がすればこれはできない話じゃないということであります。そうすると静岡空港としては、物流は静岡、神奈川のあたりを対象にして荷主を確保していこう。あるいはここら辺にある強いフォワーダーの説得をしようと。それから人間については、集客は静岡の中部を重視せざるを得ないと思うんですね。これはいたし方ない。私が観光用途に対して、それだけだとなかなか空港の問題が前に進まないと思っているのは、実は日本から出てくる便のところが、やっぱり静岡の中部というある程度の限定があるからですね。それから観光で来るといっても、もともと観光で来る人はディスカウントチケットのもうぎりぎりのところの切符を買ってきていますから、そうすると本当たたいて、たたいてですから、キャリアにとっちゃほとんどがもううまみがないんですね。ですから、団体客で9割とか、あるいは満杯になってもキャリアはそんなにもうかりません。ところがビジネス用途の客、これは行きたい曜日に行きたい時間で行きたいとか、そういう自由性は担保しなきゃいけないんですけども、ビジネス客であれば、3割から4割乗ってくれれば後は空でも十分ペイするんだとキャリアは言っています。ですから、やはりこのビジネス客のところを何とか掘り起こしていかなきゃならない。
 静岡空港の弱点を何とかメリットに変えられないかと。一つはあんまり飛行機飛んできていませんから、それから物流も余りありませんから通関効率が極めていいですね。これは羽田や成田にはないことであります。優先的に通関をしてくれる。時間もかからないと。それからなんせ、後ほど若干コストをお出ししますけども、目に見えるコスト、目に見えないコスト。目に見えるコストというのは、横持ちの費用とか空港の使用料。それから目に見えないコストというのは、例えば今後も静岡空港に物流機能が整備されることになれば、フォワーダーがそれぞれ一時仮置きの倉庫とか事務所をつくんなきゃいけないですね。あるいはいろんな検疫施設をつくんなきゃいけない。それにしても、あの静岡空港のとこでしたら土地の取得にしても建築にしてもほとんどコストはそう多くない。だけど羽田の周辺でつくろうとしたらもうこれはとても。現状でもみんなフォワーダーの連中が音を上げています。そんな状況でコストが安い。
 それから今ちょっと申し上げました地元のフォワーダー優先の使いやすい空港にしようと。静岡はやっぱり清水港がありますから、地元の中規模以下のフォワーダーが結構あるんです。ここの連中の使い勝手のいい空港にしたらいい。彼らは、例えば成田に物を持っていく、セントレアに物を持っていきますとなかなか優先的な扱いはしてもらえません。後回しになる。あるいは積み残しが起きるなんていうのも――私も今回声をかけていただいた中で少しフォワーダーのヒアリングをした中では――やっぱりそこら辺の部分が出てくるんですね。もし仮に地元のフォワーダーが、やっぱり彼らもなかなか色よい対応をしてくれない場合は、やむを得ないので。つまりフォワーダーが使う混載が進まなければ、インテグレーター、DHLとかああいう集客――そのフォワーダーとキャリアと一体になってやる業者のことをインテグレーターといいますが――そのインテグレーターに一括して任そうと。これも中小のインテグレーターは今自分たちで自由になる空港というのは持っていませんから、これは可能性があります。ただこれをやるとフォワーダーは嫌がりますね。
 5番目、静岡の荷主にとっては何しろ近くて早く行ける空港で、大体、よっぽど遠いとことかへんぴなとこ除けば翌日配達可能な空港でありますから、やっぱりこのメリットを最大限に生かしていかなければいけない。
 ねらいをちょっと話しつつも、今申し上げたような構想でものを進めていくと仮にすれば、企画と推進まではやっぱり行政主導でやらざるを得ないと思うんですね。これはやはりもう既におやりになっていると思いますけども、軌道に乗るまでは若干のコストもかかりますし、そこら辺は行政負担でやらざるを得ない。それからねらい目があるとすれば、中規模以下の荷主であるとかフォワーダーとかインテグレーターです。ここは自分たちがある程度自由がきく、そういう施設がなかなかありません。羽田や成田に行くと後回しにされる。したがって、多少不便でもコストが安い静岡空港に来る可能性が極めてあります。特に地元のフォワーダーにとっては横持ちで成田まで延々と半日かけて荷物をトラックで輸送して、また成田でずっと待たされてなんていうことよりは、地元の空港を使えるとすれば、しかもそこにキャパシティーがあるとすれば非常にこれは喜ぶわけですね。
 それから3番目、キャリアをその気に。なかなか最近その気になってくれませんけれど。今見る中では、アシアナなんかは非常にそんな姿勢を感じます。
 それから最後、地元空港利用の、何せ地元の我々がコストの一部を担っている空港でありますから、それをぜひ使おうと。例えば中学生なんかも必ず、静岡県内の中学校は見学に始終行くとか、そんなとこから始まって空港を大いに利用しようじゃないかと。空港が我々の生活からかけ離れたもんじゃないよという県民運動をやろうと。
 最後にフライトさえあればと書いてありますけども。これちょっと安全サイドで書いてございますけども。工場から荷物を――これは3つと書いていますけど――どこでもいいですけども、集荷してきます。そして空港の中でフォワーダーがこん包とか書類作成、通関業務をやります。そして航空機に積載して、その日のうちに仁川や上海に持っていく。そこでまた夜のうちに荷物をそれぞれの目的地向けの飛行機に乗りかえて目的地に行くわけでありますね。したがって、こんな流れの中で富士山静岡空港がある。これが、もし仮に20時発のフレーターさえ週に2便でも3便でも来れば、この時間が大幅に後ろに来て利用したいという客がふえてきます。ともかく、荷物というのは積みかえをしたり横持ちをするために荷傷みが発生します。それから鮮度も落ちてくる。したがって、できるだけそのプロセスが短く、時間も短く、あるいは積みかえが短いところがいいわけです。
 とりわけ静岡の周辺県の主な航空貨物がどれぐらいあるんだろうと、少し量的に見ていこうということでありまして、これは平成17年の資料ではありますけれども、輸出入合わせて約9万トンあると言われています。
 現在フレーターの状況はどうなんだと。成田とか大阪、関空はいっぱい飛んでいますから、これはもう比較にもなりませんのでそれを別にしますと、セントレアがこんな内容ですね。実は古くから、小松空港というのは、カーゴルクスというルクセンブルクの物流航空会社がありまして、これの1つの中継点になっているんですね。これは昔だからというか、かなりほかに空港がなかったから成立した条件でありまして、これは、小松空港はこれで十分やっていけるようになっています。これは、このスタイルは静岡空港ではなかなか見つけにくい。あえて言えば、先ほど申し上げた中規模以下のインテグレーターがいっぱいありますから、そこのところに使わせてやると。これは可能性があります。それから羽田も物流はやはりコストの問題でなかなかこれは集中しないし、ペイしにくいということになっています。
 機材と混載量と書いてありますけど、これはボーイングの74Fが――これはちょっと大き過ぎますね――実際的にはボーイングの76Fとエアバスの30F、ここら辺が現実的なとこだと思うんですね。昔のDC10の置きかえであります。
静岡空港の取扱貨物量が先ほどのように年間約10万トンとすれば、そのうち地元のフォワーダーの取り扱い荷物が約年間2万5000トン、もうちょっとふえるかもしれませんが、これぐらいだと言われています。そうすると、工場の稼働が年間300日とすると、一日当たり80トン、地元のフォワーダーが荷物を取り扱うと。そうすると現行のアシアナのあいているULDが4つか5つあるということですから、それに荷物を積むとすれば一日に二、三トン。これはもうほぼ毎日運行しているわけですね。これ二、三トン積める。ただこれはもう全く物流というにはほど遠いわけでありまして、やはりフレーターを飛ばせば一日あたりで20トンから50トン、これは週に3便と書いてありますけど、2便でも十分だと思うんです。そうすると、この前提が、今回提言している内容が実現するとすれば、静岡県航空貨物の約15%、輸出入計で年間1万5000トン、週3便のフレーター、これはボーイング76Fやエアバス30Fのベースで搭載可能であります。そうすると、地元フォワーダーの取扱量の約2分の1さえ集まればこれが実現するんですね。荷物があればキャリアはフレーターを飛ばしますよ。そういう提言をしていかなきゃいけない。そういう提案をして具体的に詰めていくことは可能だと思うんです。そしてキャリアにとってのペイラインが75%ぐらいだとしても、年間1万1000トン、これはこの地元フォワーダーの取扱量2万5000トンに比べれば約半分以下で、4割ぐらいでありますから不可能な数字ではなかろうと。もちろんULDの中に入る形状の荷物かどうかとか、そういうことは言えば切りはありませんけど、全体の8割、9割はULDの中に入りますから、混載は可能です。
 これはもう申し上げるまでもないことでありますけども、航空貨物に求められる性格というのは、やはり1つはリードタイムの短縮であります。日本全国に翌日配達ができる。そして東南アジア、中国、南アジアは、世界各国では大体翌日の昼にはその国における配達用のトラックに物が乗せられる。そうすると、数時間で配達できると。それから翌々日というのは、これは飛行時間がちょっと長いんですね。仁川からアメリカとか、仁川からEUとか、飛行時間ちょっと長いとこ、10時間ちょっとかかるとこはもう少しかかるということです。それから先ほどもちょっと申し上げました高品質サービスが実現すると。輸送時間が短くてハンドリングがいい。あるいは振動や温度変化が少ないというのが航空便の特徴であります。これはどんなものがあるのか。これも漫画でございますけども、生鮮食品とか、特にこれ輸入もそうですし、輸出も、最近――先生方はよく御存じだと思いますが――上海のマーケットとかスーパーとか、あるいは香港なんかでも非常に今中国人の富裕層ふえていますから、日本のお米とか日本のリンゴとかそういうものが非常に日本の価格よりも高い値段で飛ぶように売れているんですね。したがって、それはきょうのテーマではございませんけれども、マーケティングと売り方の問題で農作物、あるいは食品の航空便による海外輸出、これは十分可能だと思います。週3便飛ばしてもあの程度の量でございますから。静岡の石垣イチゴとかミカンなんかもそうでしょう。そういうマーケットはあると思います。あと現実的に今動いているのは、衣料品の一部とか、あるいはエレクトロニクスの機器、医療機器、そんなものが航空で使われているようですね。
 これが先ほどから御提案しています20時に仁川便ができればということなんですが、航空貨物の現状として、現在はこの緑の地域がトラックで翌日午前中配達が可能なとこです。この赤の地域がトラックで翌日の午後以降の配達となる地域なんですが、この赤の地域にアメリカ、欧州便が入ってきます。ですから北海道に物を持っていく時間とアメリカの――よっぽどへんぴなとこは別にしまして――アメリカの各都市に物を運ぶということがほとんど同じ時間帯でできる。それから中国、東南アジアであれば、トラック便で運ぶのと同じような時間帯で物を届けることができる。これは時間をコストに変える航空便にとっては非常に大きなメリットになるところであります。ただ20時仁川便が出ればということですね。
 これはちょっと実際にULDのイメージを書いたものです。こんな格好をした、飛行機のおなかにちょうど乗っかるような形状をしたコンテナでございまして、やはりこのULDを使わなければ本当の物流策というのはあり得ない。今までの話のように、最初だから飛行機のベリー部――おなかの中の混載部分ですね――を使ってという話はなかなか前に進まないなと思っております。
 これは勝手にこちらで計算したんですが、アシアナ航空の今の仁川・静岡便におけるキャパシティー――これ現在飛んでいる便ですね――最大2トンから3トン程度乗っけられるわけでありまして、先ほどちょっと申し上げました、1機当たり9個のコンテナが乗っけられます。うち乗客手荷物で約3個から4個です。そうすると貨物用に5台から6台乗っけられる、使えます。これ今、空なんですね。この中にとりあえずこれを使って、本趣旨に御理解いただけるフォワーダー、あるいは荷主の品物を従来よりも1日早く世界じゅうに届けるということは、とりあえず手始めに今すぐできることでありますから可能になってくるんです。まずここから手をつけていったらどうかと思います。
 これはちょっと飛行機のイメージで、これはアシアナ航空で今飛んできている、先ほどからお話していますULDが空のままで飛んでいる飛行機ということであります。
 これはここに書いてございますけども、ULDを搭載できない飛行機ですね。残念ながら富士山静岡空港に来ている飛行機はほとんどそうでありまして、FDAのエンブラエルもその中に入ります。
 航空貨物の今後。従来は航空貨物といったら伸びる一方で、日本経済の発展、進展とともにどんどんふえていったわけですが、貨物量の進捗率はこの数年は横ばい傾向が続いています。ここにデータなんかございますけど、その中でも国際航空貨物は微増ではあります。国内はむしろ若干減っている傾向があるということです。
 航空貨物の今後。貨物の伸びが鈍化していくけれども、キャリアとかフォワーダーは収益率をいかに上げるかが課題になって、キャリアの方向性としては利用空港の選択と集中が現在も既に起こっているわけでありますが、関空から14路線、主にJAL便でありましたが廃止になった。その点セントレアも路線便が減っています。福島空港も静岡空港と同様にJALが撤退をしました。それから使用機材の最適化というのは、これは小型の飛行機に変えようということでペイラインを大きくしようというものです。
 これはもう申し上げましたけど、利用料に合わせた航空機の投入ということで、小型のジェット機を入れて搭載量をできるだけ上げていきたいというふうに、これはもちろん燃費の問題も、燃料が上がっていることもありますけれども、ともかく国際競争になってきてましてキャリアの懐も非常に今厳しくなってますから、そういう傾向は今後とも否めない。ただこれは、そういうことによって滑走の距離とか、静岡空港にとっては必ずしもすべてアゲインストの風ばっかりではないと思っています。
 これは今まで輸出の話ばっかりをしておりましたんで、飛行機ですから輸出便と輸入便と両方荷物がいっぱいにならないと物流としてはペイしませんし、人間でも同じですね。これはちょっと輸入のイメージ、これはもう既に県内のあるフォワーダーが計画をしておられるように聞いておりますけども、ベトナムの荷物を仁川経由、現行のアシアナ便のULDを使って静岡に持ってこようということでありまして、これちょっと具体的なスケジュールを書いてございますけども、非常に短期間で、しかもローコストで持ってこられるというふうにその地元のフォワーダーをそろばんをはじいているようですね。これは決して無理な計算ではないと思っています。
 配送コストの比較。これは距離との比較ですから、静岡に荷物を持ってくることを考えて、混載便で500キログラムの荷物を想定していきますと、運送費用が静岡からだったら7,500円。成田やセントレアですとほぼ1万2000円ぐらいから。それから4トン車のチャーター便のコストもごらんのように4倍ぐらい静岡空港のほうが安いわけですね。このメリットを強調するしかないと思うんですね。
 静岡空港からの輸入・輸出の貨物を考えたときの場合は、混載便による通関日翌日の配送が可能になります。静岡空港に物が着く、そうすると少なくとも東海道、首都圏ですね、この辺でもほとんど勝負がつく。あるいは量が、荷物量、人の量のほとんどがこの辺にありますから、ここの非常に静岡県の立地のいいところを考えますと、これが勝負のしどころで何とかその機能を静岡に持って来れないか、物流機能を持ってこれないかと思っているんですね。
 これは先ほど申し上げました。余り他言を要しないと思いますが、ベトナムからアシアナ航空で仁川経由で物を持っていく。非常にスムーズに通関できて、これやっぱり羽田や成田にないスムーズな通関で、それが時間やコストに響いてくるということなんですね。メリットかデメリットかわかりませんけど、通関件数が静岡空港では多くないから税関の輸入審査は非常にスムーズである。あるいは混載発送のカット時間――もうこれ以上積めないよという時間――が他空港に比べて余裕がある。ほとんどこれないと思っていいと思うんですね。緊急便だったらぎりぎりでも乗っかるというメリットが静岡空港にはあるわけです。スペース、スケジュールの都合により静岡空港を利用できない場合でもセントレアをバックアップにすれば利用可能になる。できるだけこれを言いますけども、この状態まで現状の経済環境だといかないで済むと思います。
 静岡空港での輸出入のメリット・デメリット。空港の到着時間が早くて上屋の搬入時間が早いこと。貨物量が限定されているから荷物と運送上のつけ合わせが非常に短い、すぐできる。したがって通関時間が早い、待たなくていいと。輸入許可後の搬出がスムーズ。このように便数が少ない、あるいは大規模でない空港のメリットを、今までデメリットばっかり話題になっていたんですが、メリットもあるわけですね。配送距離が短いとか、貨物のダメージやコストの削減が図れるというようなことがありますから、やっぱりここら辺をいかに県内の荷主、やっぱり荷主の声は大事でありますので、ここにいかにアピールして静岡空港の物流化を進めるということだと思います。ここに書いてあるとおりでございますけど、デメリットもちろんあります。フライト数が少ないと。搭載容量が限定的になってきて、これフレーター通さなきゃなかなか前に進まないというのありますが、そういうことが挙げられます。
 空港施設の中にこれからつくらなきゃならない建物、設備ですね。これぐらいありますけども、こういった施設なんかは、やはりどこでも、港なんかではかなり前からやっているんですが、ある程度行政がコストの使用料のサポートをしてやるということで、キャリアが、フォワーダーなんかが説得しやすいということがあると。
 今度はビジネス往来、人間のほうですね。人間のほうは海外と国内用途に利用できる向地便の、やっぱり早朝便なんですね、ビジネス便はね。早朝便と、あるいは夕方便を何とか静岡空港に持ってこれないかと。上海、仁川の次は、例えば深圳であり大連でありバンコクであり台北なんですね。ここら辺向けのフライトを持ってこようと。そしてできるだけ早朝便。韓国の便はみんな仁川でナイトステイしていますから、そこで早朝飛び立って静岡空港に来るから11時ごろになるわけですね。これを何とか静岡空港でナイトステイさせられれば逆の便ができるわけですね。それから大幅値引きの観光客向けは採算はなかなか難しい。しかしノーマル料金のビジネス客なら4割と書いてありますけども、もうちょっと低くても十分ペイ可能だというふうに聞いております。それからキャリアを引きつける空港に。例えばナイトステイ対策であるとか、駐機レーンをつくるとか、ほかにもいろいろあると思いますが、こんなこと。そしてコンビネーション機の就航を働きかけていこうと。これがあれば静岡空港に限らずにペイラインが大幅に下がる空港が世界じゅうにいっぱいあります。ここら辺がなんとかならないかと。それから、例えばこれはアイデアの1つでありますけども、手荷物、ハンドキャリーや託送ラゲッジの重量制限を緩和したらいいと。今機材が小さいんで、逆に静岡空港は制限があるキャリアがありますけど、むしろこれは逆で緩和していくことで集客を静岡空港に呼び寄せることができると思います。
 これはビジネス往来の実績でありまして、出張者とか来訪者がどこからどれぐらい来ているんだろうかということです。この水色のところが成田、それから緑色がセントレアで、黄色いのが関西空港です。やっぱり圧倒的に上海が多い。それからアメリカの西海岸以外のアメリカですね。そしてヨーロッパ大陸。静岡空港で具体的に考えるのは、やっぱりこの上海とタイから台北までのここら辺ですね。ここら辺の需要をいかに呼び寄せるのかということだと思います。
 国内では出張者や来訪者の資料がございます。これも、あるいはお目通しになっているかもしれませんが、福岡、北九州がやっぱり断トツに多いと。そして北陸、新潟、以下ごらんのとおりでございます。
 後は資料でございます。簡単に説明していきます。
 これ先ほど申し上げました、搭載可能な定期便――定期便というのは毎日飛ばなくてもいいわけでありまして――を充実させるわけでありますが、やっぱり最初はチャーター便からいこうというアプローチは極めて有効だと思います。ただチャーター便というのは極めてリスクが大きいわけでありますから、定期便でも同じですけども、ストレートにコストが表に出てきますから、それだけの実績を積まなきゃいけない。ただチャーター便は基本的には貨物の搭載は不可能であるということです。
 これが先ほど申し上げましたパッセンジャー、乗客の通常の飛行機と、それからフレーターですね、客席部分をすべてこういう――これはULDでありますが――航空コンテナになっている。それから先ほどから申し上げましたコンビネーションというのは、ここのところで仕切られていまして、後ろが荷物になっておなかのところにちょっと乗っかりますが、このあいているところが客室になるというスタイルです。
 これは静岡県及び周辺県から、相手先のどこにどれぐらいの荷物が動いているのかということを見てみますと、予想のとおりアジア圏が圧倒的に多いわけですね。そして中国。意外な感じなのが、台湾が結構まあまあ。そしていまだに香港が。タイが今度の洪水でどんなふうに変化するかという意見ございますけども、基本的に現状のタイのところで生産を続けざるを得ないと思いますので、そんなに大きな落ち込みはないと。
 以上でございます。どうも御清聴ありがとうございました。

○伊藤委員長
 ありがとうございました。
 以上で西様からの意見陳述が終わりました。それではこれから質疑応答をしてまいりたいと思います。御質問、御意見よろしくお願いいたします。

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