委員会会議録

質問文書

平成27年11月地方分権推進特別委員会質疑・質問

	質疑・質問者：	山﨑　真之輔議員
	質疑・質問日：	11/27/2015
	会派名：	ふじのくに県議団

○山﨑委員
　済みません。それに関連して。
　私も社会的インパクト投資、ソーシャル・インパクト・ボンドというふうに理解していたんですが、前から興味がありまして、先般の議会の委員会で質問をさせていただいたんですね。それはどういう趣旨かというと、ＮＰＯを活性化させるために、どこのＮＰＯもやっぱり財源不足が課題の１番に上がってくるものですから、それを解消するには、篤志家からの寄附もいいんだけれども、実際に投資してもらってという仕組みがあるので、それを研究したらどうかということを、一応当局に投げてはおるんです。芳しい答えはその時点では返ってきていないというのが、今の静岡県の実情です。
　ただ、お話をさっき聞いておりましたら、若者が今、昔と変わってきている。僕も1981年生まれですので、その変わり目の年だと思うんですけれども、本当に社会に貢献したいとか、地域に帰ってきたいとかという若者がふえてきていると思うんですね。自治体の職員さんも、当然そういった比率が上がってきている中で、ソーシャル・インパクト・ボンドとか、そういった発想をそろそろ受け入れられるような雰囲気になってくるのかなと思うんですけれども、進んでいるイギリスとか、そういったところでは、若者がどのようにかかわっているのか、まずここについて、ちょっと教えていただきたいと思います。

○藤吉雅春氏
　イギリスについては、若者のかかわりというのは、ロベルト・コーエン卿から聞いた話だけでしかわからなくて、コーエン卿が言っていたのは、ミレニアム世代が中心だという言葉は使ってなかったですけれども、参加は物すごくしていると。ＮＰＯも含めてですね。それはおっしゃってましたね。
　ちょっと御質問と違うかもしれませんが、ミレニアム世代がお金を出している例というのを、ソーシャル・インパクト・ボンドとは違う例で申し上げますと、東京にミュージックセキュリティーズという投資会社がありまして、これはまだ若い人たちがやっている投資会社なんですけれども、非常に今人気があります。何をやっているかというと、この会社がやっている仕組みに今政府が乗っかって、ふるさと納税じゃなくて、ふるさと投資というのをやっているんですよ。これは非常におもしろくて、例えば気仙沼にうどんをつくっている製麺所があって、ここは非常にうまいうどんをつくっていたんだけれども、震災の影響で経営が難しくなって、しかも雇用もうまくできない、しかも消費者も減っていっている。例えばこれを１つの商品として、ここを助けようと。もう何百も例があるんですよ。ここの地酒がうまい、ここの酒蔵を何とかしようとか。そうすると、私もびっくりしたんですけれども、20代のＯＬが投資しているんですよ。私も参加したい、お給料から月１万円ずつ投資をすると。少額投資なんですけれども、実は３日で4000万円とか集まるんですよね。物すごくすぐ集まるんですよ。何で楽しいかというと、有名なのが、岡山県の西粟倉村の木材の話なんですけれども、これは、投資している人たちが行ってみたくなるんですよね、その町に。その会社に行ってみたくなるんですよ。半年に１回ぐらいツアーを組んで、投資家といっても若い東京のＯＬたちが行くんですよ。行って、そこで例えば製麺所でうどんを食べて、地域の人たちとふれあう。そうすると、食べるという行為は直接体に関係あることで、体感できるから、もう１回行きたいなと思うんですよね。リピーターとして何度も行くうちに、そこに就職しちゃった人がいるんですよ、東京の会社をやめて。あるいは移住した人もいるんですよね。２日、３日で3000万円、4000万円が集まるというのは僕もびっくりしました。これを銀行と組んで、ワールドワイドにやっていこうと、ペルーにいる日系人たちが農業を支援していくいろんな仕組みをつくっているので、そこにミュージックセキュリティーズが乗っかって投資しましょうと言ったんですけれども、これには全然お金が集まらなかった。でも、営業マンたちが１年かけて何とか2000万円集めた。何で集まらなかったかというと、地球の裏側の話でわかりにくいということと、やはり打ち出しがキャッチーじゃないと。キャッチーな言葉でどう打ち出していくかというのを、営業マンたちがそこで知るわけですね。投資を集めるために、言葉をもうちょっとわかりやすくすればいいんだとかを学んでいったというんですよ。そうすると、１年かけて2000万円か3000万円か忘れましたけれども、お金が集まったと。
　そうやって、実はお金持ちじゃなくても、普通に働いている若者たちが、銀行預金よりもリターン以上に、リターンよりも楽しさを実は欲しがっているわけですよね。それはみんなで共感する、何かこうわいわいがやがやみんなで楽しいなというのを求めている、コミュニティーを求めているというのが、実は一番大きいというのが、この世代の特徴だと思いますね。

○山﨑委員
　ありがとうございます。
　そういった意味では、徐々に恐らく変わっていく可能性があるということで、私もまた勉強をしながら提案していきたいと思いますが、もう１点、今度は福井県鯖江市と、それから北陸３県の状況をお伺いしたいんですが、やっぱり若者に関してなんですけれども、よそ者と若者とばか者、特によそ者、ばか者なんかは発想が奇想天外ですからわかりやすいんですけれども、若者について、福井、それから富山等では、どういった特徴があるのか。もし何か特筆するものがありましたら、教えていただきたいなと。

○藤吉雅春氏
　それは若者の特性というか、そういう意味でですか。
　富山はもともとＵターン率というのがどんどん上がってまして、それは若者の特徴というよりも、家族間とか地域性が非常に強いというのが富山の場合はあります。福井もちょっと似てるんですけれども、わかりやすい例で言うと、仏間の広さ日本一とよく言われていまして、家の仏間が大体20畳ぐらい――福井もそうなんですけど――あって、しかも日当たりの一番いいところに仏間があると、全然使わないのに。何でそんなところに仏間をつくるのかというと、これは家族が帰ってきたときですとか、親戚が集まるとき、あるいはお客さんが来るときにその仏間を使うからでして、人との交流が幸福感の一番上にきているというのがあって、子供って帰ってくるのが割と当たり前みたいな風潮があります。ちょっとほかの地域とは違うかもしれないですけれども、そういう特徴があります。富山出身の起業家なんかにも会いますけれども、どういう特徴があるかというと、ちょっとこれは非常に難しい質問なんですが、もともと富山は福井とは違って教育県なんですね。東大合格率とかを競い合う風潮がありまして、言葉を返せば、見えっ張りなんですよ。いかにいい大学に入るかというのを、学校も親も競ってまして、それは本当にいい教育かというのはまた別なんですけれども、非常にみんな競争している。高校でも東大合格率、合格者数を競ってまして、非常によく勉強はできていい大学に行って、東京に出てきて大学デビューをして、おもしろい人たちと会って、もともと素養はつくっているわけですから、そこから飛躍しておもしろい企業をつくるという人たちはいますね。僕は活躍している人としか会ってないということもあるんですけれども、非常に頭のいい人たちが多いというのが、富山と福井の特徴ですね。特に福井は教育県として、自発教育というのを昔からやってまして、どう発想力を高めるかと。必ずしもみんな東京へ出て一旗揚げようとか野心があるわけではなくて、どちらかというと地元に残ったり、あるいは出ていく人は出ていったまま帰ってこないとかですね。どう何か新しいことをやるのか。あるいは小事業主が多いわけですから、それをどう運営させていくのか。常に時代の波にのまれている、常に危機的な状況にある経験が時代的に多いところですから、そこをどう乗り越えようかという発想力はたけているなと。普通に居酒屋で飲んでいても、会話のレベルが高いなと思いますね。行政への関心も高いですし。
　若者の特徴というのは、済みません、それぐらいでしょうかね。

○山﨑委員
　最近東京在住の方にアンケートをとると、半数ぐらいが移住の希望があると。そのうち、ほとんどが20代、30代の若者だということで、その理由は、結局、東京という大都会へ行って、歯車になって疲れ切って、こんなんじゃないとかと少し幻滅した形でのバックなんですけど、今のお話を聞いてると、既にもう帰ってくるのが当たり前という風潮が基本的に根づいていて、恐らくそこには教育だとか、家庭内でのコミュニティーでの効果があるからこそ、そういう話なのかなというふうに思ったんですが、やっぱりそういったところを小さいころからしっかりと教え込んでいくというか、それを肌で感じさせるということはやられているような感覚なんでしょうね。

○藤吉雅春氏
　そうですね。先ほど共通項として郷土主義という言葉がありましたけれども、別に無理やり帰ってこなくてもいいんですけれども、郷土愛って何だろうというのを、福井の先生たちと話しまして、これって別に教科書で教えることではないんですよね。この本の中にも書きましたけれども、郷土愛の非常に高い地域というのがあって、それはどういうところかというと、例えば有名な話は、小学校とかで豚を育てるときに、その豚のえさは、えさがあるところに大人に頼って行かなきゃいけないし、最終的にはと畜で肉になっていって、肉屋さんや農協にいくっていう、子供のときから、自分が食べるものですとか生活しているものというのが、この流れが――プロセスが物としてしか見てないんですけれども――生産工程が見える中で育っている。そういうふうに仕向けているんですけれども、学校が。そうすると、自分たちはこうやって育っているんだと、無意識のうちに根づいてしまうわけですよね。大人によって育てられているんだと。これは当たり前のことなんですけれども、実はなかなか大人も気づいていない。大人によって育てられているということを子供に気づかせる場を学校でつくっていくと、無理やり郷土愛という言葉で押さえつけなくても、やっぱりその地域が好きになるんですよね。それはかかわりがあるからやっぱり好きになるわけでして、これは福井の先生に聞いたんですけれども、長野県の町に非常にＵターン率が高いところがありまして、やはりそういう学校で育って、東京の大学に行っても自分の帰るところはやっぱりこの町だろうと。やっぱり人間の帰属意識というか、自分はどこどこの人間なんだという帰属意識というのは非常に大切でして、この本の中に京都化と大阪化という言葉を書いていて、京都は明治維新で人口が半分ぐらい減ってしまって、産業が全部壊滅状態になって地場産業も滅びたのに、今は、京セラを初めワコールですとか、村田製作所とか島津製作所とか、物すごいグローバルカンパニーがそろっていて、何であんなに発展してるのかと。それは福井の話と全く一緒なんですけれども、その中で１つ私が気づいたのは、やっぱり物すごいプライドが高いんですよね。郷土主義というか、郷土愛というか。自分は京都人だという、非常に根強い、しかも京セラの稲盛さんなんて鹿児島県人なんですけれども京都を愛している人ですし、町が育ててくれたとおっしゃってます。町が育てるというのが、自然と備わっていってるんではないかと思いましたね。やっぱり人間ってどこかに帰属しているという思い、昔の高度成長期であれば、私は何とか企業に、何々会社に勤めていると社章をつけて、それが自慢だったわけですよ。でも、それがなかなか自慢にならないときに、自分はどこに帰属していると恥ずかしくなく言えるのって、いいなと。一番いいのは、自分の生まれたふるさとですよね。これが自慢できるというのは、最高に、その人にとってはうれしいことですよね、恥ずかしくないというのは。そういう教育というのは、自然とできるのではないかなと思いました。

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