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委員会会議録

委員会補足文書

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平成23年11月エネルギー有効利用推進特別委員会
参考人の意見陳述 中部電力株式会社本店経営戦略本部再生可能エネルギー 次世代ネットワークグループ グループ長 野田英智氏 グループ副長 窪塚直亮氏 【 意見陳述 】 発言日: 11/28/2011 会派名:


○中村博氏
 中部電力静岡支店副支店長の中村でございます。どうかよろしくお願いいたします。
 日ごろは弊社事業に対しまして格別の御支援、御協力を賜りましてまことにありがとうございます。また、本日はエネルギー有効利用推進特別委員会という、重要な委員会で説明させていただく機会をいただきまして、重ねて御礼申し上げます。
 本年5月の浜岡原子力の停止ということで、ことしの夏は電力需給に関して非常に御迷惑をおかけいたしました。おかげさまで、県民の皆様や企業の皆様から節電いただいたこと等によって、何とかこの夏は乗り切ることができました。また、議会の皆様におかれましても、夏場の暑い時期に冷房を控えていただきまして本当にありがとうございました。
 ことしの冬も油断はできないんですけども、夏場に企業の方に木金の営業を土日にシフトしていただいて、平日のピーク時に250万キロワットほどの節電につなげたんですけども、この冬はそのような操業シフトをしなくても何とか乗り切れるんじゃないかというふうには思っております。今、適正予備率は8%と言われておりますけども、この冬いろいろ発電所の点検時期を調整したことで、いろいろ供給力の拡大を図っているんですけども7%ぐらいになる見込みでございます。ですので、県民の皆様や企業の皆様には、生活や生産に無理のない範囲での節電を引き続きお願いしてまいりたいというふうに思っております。
 本日は、後で説明させていただきますけども、新エネルギーと再生可能エネルギーに関する中部電力の取り組みについて御説明させていただきます。言うまでもなく、電力会社の使命は電気を安価で安定的に、かつ安全にお届けすることでございます。我々といたしましては、これらの条件を前提に、再生可能エネルギーにつきまして幾つかの技術的制約はございますけども、それを克服して導入の拡大を図ってまいる所存でございます。それでは、本日は本店経営戦略本部の野田と窪塚のほうからお手元の資料で御説明させていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。

○野田英智氏
 中部電力の本店の経営戦略本部の野田でございます。では座らせていただきまして御説明させていただきます。
 資料に入る前に、まず静岡県における新エネルギー政策に対して、弊社といたしましては「ふじのくに未来のエネルギー推進会議」、それから「ふじのくに次世代エネルギーネットワーク研究会」、こういうものに参加させていただいております。これらの検討の中で、弊社なりに御協力させていただけるところが多分にあると思いますので、そういう中でよき提案ができるようにという取り組みをさせていただいておりますので、そういう面で御尽力させていただければと思っております。
 それから、もう1点でございますけども、片や一方で国のエネルギー基本政策の見直しということが言われておりまして、多分来年度にそういうものが実際的に姿が出てくると思っております。片や一方で新エネルギーに関しましては、8月26日に新しい買い取り制度の法案が通ってございます。制度としては、実は詳細はこれからということで、政省令で決まってくる部分がほとんどというぐあいに伺っております。例えば、一例で言いますと、今回の買い取り制度に関しましては、実は一般電気事業者が発電するものに関しては買い取りの対象にならない方向というようなお話も聞いております。こういう中でこれからの私どもの立ち位置というのは、自分たちで発電するというのも当然ございますし、片や一方で御家庭の余剰電力であったり、工場その他の事業者さんが発電されるものを積極的に買っていくというか、私どもの中に取り込んでいくというか、そういうような形に変わっていくのかなというぐあいに認識をしてございます。
 この辺のことも、制度がここ半年ぐらいで決まってくるやに聞いております。今の段階ではなかなかクリアな方針というのはないところではございますけども、半年ぐらいで制度が決まっていく中で、私どももこういう取り組みをさらに強化していきたいとか、そういうことを方針を立てていきたいなというぐあいに思っているところでございます。冒頭ちょっと全体の話をさせていただきました。
 では、きょうの議題でございます。まず最初に、「新エネルギーの現状について」という冊子がございますので、こちらから御説明をさせていただきます。
 目次でございますけども、最初に「新エネルギーの概要」、2番目に「中小水力発電」、3番目に「風力発電」、4番目に「太陽光発電」、5番目に「バイオマス発電」、6番目に「地熱発電」ということで、これは一般的な話でございます。午前中の松尾先生のお話の中でも多分出ていると思いますので、ダブるようなところは割愛させていただきながら進めさせていただきます。
 まず、4ページの「新エネルギーの重要性」です。「地球温暖化対策に貢献」ということ、それから「エネルギーの多様化により、輸入依存度を低減」ということ。特に海外からエネルギーを入れていますので、そういう意味では輸入依存度を低減させてエネルギーのセキュリテイーを上げるということ。それから、新しいエネルギーということに絡んで「新規産業・雇用の創出にも寄与」と。このようなところが重要なポイントということでございます。ただ、「その導入には、出力の不安定性やコスト高、立地制約といった課題が常に存在する」ということで、この辺も後で少しお話をさせていただきます。とはいえ一方ではですね、菅前首相がOECD50周年記念式典の中で、「2020年代の早い時期に自然エネルギー発電の比率を20%以上」、また「設置可能な1000万戸の屋根のすべてに太陽光パネルを設置」というような目標を国際公約みたいな形で発言されておみえになりますので、こういうことも加味しながら、今後、新エネルギーを普及促進させていかなきゃいけないという立ち位置だと思っております。
 次のページをお願いいたします。5ページ目でございます。「新エネルギーの定義」でございます。「非化石エネルギー源」と「再生可能エネルギー源」とそれぞれあり、これは経済産業省の定義に沿っております。きょうは特に「新エネルギー源」に記載がある「太陽光、風力、中小水力、地熱」、こういうところの一般論と、私どもの取り組みを御説明させていただくということになります。
 次の6ページ、「新エネルギー導入課題」でございます。
まず1つは「経済性」の点でございます。「新エネルギーは、全般的に、現時点では、競合するエネルギーと比較してコストが高い状況」にあると。それが今までの導入に際しての課題の1つとなってございます。
 それから「出力安定性」に関しましては、「太陽、風力といった自然条件に左右される新エネルギーは出力が不安定である」ということ。後で実際のデータをお示しさせていただきますが、それを見ていただきますとその実情がわかると思います。また、「さらに新エネルギーの電力系統への連携が増加するにつれて、電力品質が悪化」するということ。どうしても不安定なものですから。そういう点で「一般需要家への影響を及ぼす可能性も指摘されている」と。
 それから「利用効率」でございます。新エネルギーの中で特に太陽光、風力に関しては、例えば太陽光であれば十数%のエネルギーの変換効率になりますし、稼働率につきましても大体全国平均で12%ぐらいだと。それから風力につきましても稼働率20%ぐらいということで、ほかの電源よりはどうしても稼働率が低いというところも課題でございます。
 そのほか最近の話題としては、「大規模な風力発電施設等による騒音や景観への影響、廃棄物発電・熱利用の導入に際して必要となる廃棄物処理施設に係る環境影響、地域住民の理解の増進などについても対応を図ることが必要である」ということ。どうしても迷惑施設というようなこともありますので。こういうところが課題となっております。
 ただ、私どもといたしましては、幾つか課題がある中ではございますけども、きちっと技術の検証を確実に積みながら普及・導入に務めていきたいというぐあいに考えてございます。
 7ページの「新エネルギーの発電コスト」でございますけども、多分これは午前中も若干お話が出ていたかなと思います。これは現状ベースでございまして、将来は幾つか、例えば太陽光でも下がってくるだろうとかいう想定がされております。ただ、現状で言いますと、太陽光であればキロワットアワー当たり40円ぐらいの発電コストになるということで、まだまだ高いということが現実の問題でございます。
 次の8ページでございます。
 例えば、100万キロワット級の原子力発電所1基分であるとか、石炭火力100万キロワット1基分を太陽光発電や風力発電で賄おうとすると、どれぐらいの土地面積が要るかということです。これは、2006年の電気事業分科会原子力部会の報告書から持ってきてございます。太陽光発電で同じだけの電力量――電気のボリュームを出そうとすると、東京の山手線の内側いっぱいぐらいパネルを張らなきゃいけないというような現実でございます。それから、風力発電につきましては、風車と風車の距離を近づけますと、前で風を受けますと後ろがもう風を受けられないということで、一定の距離を離しておかなければいけないということで、稼働率は風力のほうが高いんですが、設置面積としては3.5倍ぐらいの面積が必要になるということでございます。規模感として、こういうところが実情であるということです。
 それから、9ページ目でございます。
 風力発電の月間の出力変化です。データを見ていただければわかると思うんですけども、2000キロワットアワー以上1日に電気を出すときからほぼゼロというようなときもあります。そういったデータが出てきます。風が吹くときじゃないと発電ができません。それから太陽光も晴れ、曇り、雨でこのような状況になってございまして、出力変動が結構激しいということがございます。
 実は私どもの供給エリアですと、60ヘルツという周波数なんですけども、その60ヘルツの周波数の維持をするとか、電圧を維持すると。例えば一般家庭で言いますと、101ボルトプラスマイナス6ボルトというのが今の電力品質を維持する数字でございますけども、それが維持できないような場合が将来的には出てくるのかもしれないと。まだ普及がこれからという段階でございますので、今の段階でそう大きな問題になっていることはございませんけども、どんどん普及してくれば、こういうことに対する対策というのを私どもがやっていかなかればいけないという認識でございます。
 それからもう1つですが、実は新エネルギーを入れていきますと、需給調整機能というのがございません。需要と供給を合わせるという機能がございませんので、そこはどうしても需給調整用の電源ということで、主に石油火力になりますけども、そこへの負担が増加します。見合った量だけ石油火力を持っていなきゃいけないという現状がございます。将来的にはその代替として蓄電池というようなお話も出ていまして、今はまだ技術開発の途上でございますが、いいものが出てくれば当然将来採用していくということになるかなと思います。しかし今の段階では、当面は火力発電で需給の調整をしていくというようなことをしていかなきゃいけないというのが課題でございます。
 10ページ目から「中小水力発電」です。
11ページは「水力発電の特徴」です。「日本のエネルギー自給率は4%である」と。ただその4%のうちの35%は水力ということで、純国産のエネルギーとしては一番大きなボリュームになってございます。「全国の水力発電設備の量は、4797万キロワット」であると。発電端電力量――年間でどれだけのボリュームで電気を発電するかということに関しては、838億キロワットアワーということで、非常に重要な国産資源でございます。
 12ページは「水力発電の特徴」です。水路式、それからダム式、ダム水路式とございます。
これはまた見ていただければと思いますけども、高いところから水路で落として、その位置のエネルギーで発電水車を回すという水路式。それからダムでせきとめて池をつくって、その直下に発電所を置いて、その落差で発電するというダム式。それから水路式とダム式を組み合わせたような設備構成になっているダム水路式。おおむねこの3つでございます。
 次は「水力発電の現状」でございます。実は、日本の包蔵水力――実際に開発できるであろうと言われている水力のうち、出力及び電力量ベースで70%弱はもうすべて開発済みということでございます。あと地点数でいうと40%が開発済みということで、あとはどちらかというと奥地化・小規模化するようなところが残っておりまして、実は経済性の確保というのになかなか苦慮しているところでございます。こういう中で、私どもも幾つかの水力発電所を今後も継続してつくっていきたいなというぐあいに思っております。
 もう1つ課題としてあるのは、水利権を取得するには、地元の利水者の理解を得るとか、漁協さんの理解を得るとか、こういうところの課題がございます。現状はこうなってございます。
 14ページです。ただ、確かにまだまだ水力のポテンシャルというのはあるということで、新設は、設備容量でいうと7520メガワット、年間発電量でいうと415億キロワットアワーです。ですから、一応まだまだ開発のポテンシャルはあるということで、私どもも努力をしていかなきゃいけないと。
片や一方で、割と最近のトレンドというか、はやりでございますけども、「極めて小規模な水力発電に対する関心が高まっている」と。そういう今の現状でございます。
 15ページ、16ページは私どもの会社の例ではございませんが、ミニ水力発電所の例、それからマイクロ水力発電の例です。これはまたお時間があるときに見ておいていただければと思います。
 それから次に、17ページからの「風力発電」でございます。
 18ページは「風力発電の特徴」です。風車の大きさはまずどれぐらいかということなんですが、ちょうど風車のど真ん中のハブというところがございますが、ここまでの高さが2000キロワット級のもので80メートル、それから一番羽根の上まで行きますと大体120メートルぐらいの高さになります。こういう構造のものでございます。これは実際に私どもが御前崎風力発電所で建てたものの例でございます。
 19ページは「風力発電の特徴」です。風の吹く方向に羽根が回っていくものですから、一応私どものものもそうですが、原則として必要面積の所有権を取得することになってございます。
 20ページですが、風力発電にもいろいろございまして、「マイクロ風車」、「小型風車」、それから「中型風車」、「大型風車」です。今、私どもが主力で検討し、または建設しているのは、大体2000キロワット級ぐらいが標準となってございます。ただ、世界的にはもう5000キロワット級の開発も進められているということで、さらに大型化していくだろうなというぐあいに思っております。
 21ページですが、そよ風では回りませんということで、風速でいうと4メートル/セカンド――毎秒4メートルの風速で風車が回り始めます。それから13メートル/セカンドの風速のときに定格出力になります。逆に風が強くなりますと、設備が壊れてはいけないので、25メートル/セカンドのところで風車がとまるというような設計になってございます。
 22ページの「風力発電の現状」です。私どもも実は計画を含めまして80基ぐらいの風力発電の設備を持ってございます。そういう中で現状はよいところが減ってきているということでございます。そうなってくると、どうしても風況がいいところで山岳部なんかを探していくことになるんですが、アクセス道路の整備などのコスト増加が1つ課題になってございます。それから、国立公園などの公園指定地域内で実はいいところが多いのですが、こういうところがなかなか簡単に建てさせていただけないということもあって、そうしたことがもう1つ課題になってございます。
 それから、周辺環境への影響ということで、やはりいろいろなことをデリケートに取り扱っていかなければいけないという現実がございます。1つは、騒音とか低周波音。この辺の苦情を訴えられる住民の方がお見えになるということ。それから、バードストライクと言いますけれども、渡り鳥を含めて鳥類が風車ブレードに衝突するような事故がございます。ブレードというのは風車の羽根でございます。それから、そのブレード――羽根が回転して影ができたりして明暗をつくるというような現象がございます。シャドーフリッカーといいます。こういうことで「ちょっと気分が悪いな」と言われるような方もお見えになります。ですから、そういうことも含めて私どもも立地をしていくとかですね、こういうことを考慮してデリケートに扱っていくということが私どもにとって必要になってございます。
 次の23ページは「風力発電の方向性」です。この内容は、多分午前中のお話の中でも出ているかと思います。風力発電につきましては、北海道であるとか、東北という地域が比較的風況がいいというようなことでございまして、どちらかというと中部というのは東北、北海道に比べると風況のいいところは限られてございます。ただ、私どもは御前崎でも風力発電所を建てさせていただきましたけども、あそこは非常に風況のいい場所の1つでございます。
 次の24ページも「風力発電の方向性」です。ポテンシャルとしてどれぐらいありますかという話です。先ほどお話させていただきましたとおり、私どもの地域も計画も含めて80基程度の設備を持ってございますけれども、もう1つの方向性としては「洋上」というのもあると。そういうことも含めると、中部地域は決してポテンシャルが低いわけではないというようなことが書いてあるグラフでございます。
 25ページでございます。そういうことで課題はまだまだございますけども、例えば「欧州では、水深が20メートル未満の遠浅海域に、洋上風力の導入が広く進んでいる」ということで、私どももちょうどこういうことに関して今勉強を始めたところでございます。
 一方、ただ日本は遠浅の海域が比較的少ないということもあります。それから台風襲来とか、高波、地震などの自然条件が厳しいという点では、ヨーロッパとは若干環境が違っていると。あと、漁業権を含めて漁業関係者との調整を初めとする社会的制約が若干多いということで、ヨーロッパの環境とは若干違っているということがございますが、こういうことについても私どもも前向きに検討していきたいなというぐあいには思っております。
 次は、太陽光発電です。27ページ記載のこの辺の原理は、松尾先生のお話もあったかもしれませんので、割愛させていただきます。
 28ページでございます。御家庭に太陽光がたくさん入ってくるときの課題をここに書いてございます。先ほども言いましたとおり、実は電圧の問題というのが1つの課題になっております。特に低圧系統ということで、お客様が100ボルト、200ボルトの系統で使われていますが、場合によっては先ほど言いました107ボルトを超えてしまう電圧が自分のところで発電される可能性があるということ。こういうことに対応するということで、今後は柱上の変圧器――電柱のところについているバケツのようなものを分割してもう1個余分に置くとか、場合によっては電圧調整装置を系統の中に置くというようなことをしていかなきゃいけないのかなと。私どもは、こういうことも状況に応じて最適な方法を選択して、皆様が太陽光発電をつけられるような環境をちゃんと整えていきたいというぐあいに思っております。
 それから29ページは「軽負荷期における余剰電力の発生」ということで、実際に太陽光がたくさん入ってきますと、特にゴールデンウイークであったり皆様がレジャーに出られて需要がないときでも、太陽光による発電でどんどん発電量をふやしていく場合がございます。こういうときにどうしても余剰電力というのが出てくるということでございます。これは私どもはまだ現象として確認したことは一度もなくて、そこまでの普及には至っていないということですけども、これからどんどん大量に普及してくれば、こういった現象が出てきますと。こういったときには、昼間に揚水発電を使ったり、蓄電池等の設置とか、こういうことが多分必要になってくるだろうなと私どもは推測しております。
 それから30ページですが、先ほどちらっと言いましたが太陽光発電は日照により出力が大きく変動しますということで、その調整のために火力発電のバックアップがどうしても必要という状況になってございます。太陽光発電で出力が変動する部分の調整用として火力発電が要るということで、この絵のとおり、「晴」、「曇」、「雨」とあって、雨でほとんど発電しないときまでも見越して火力発電を持っていなきゃいけないという現状がございます。
 31ページでございますが、そういった中で平成21年11月に太陽光の余剰電力の買い取り制度が新しくできまして、私どもの管内においても非常に伸びております。平成21年度は累計で約9万件、出力ベースでいきますと約35万キロワットという規模まで伸びてきてございます。平成22年度、23年度も非常に伸びておりまして、特に震災以降、少し大き目の太陽光パネルを置かれる方がふえているというような状況でございます。まだ平成23年度はちょっと実績が出ておりませんけど、途中経過でいくとそういうことでございます。
 32ページは国の導入目標ということでございますけども、太陽光の導入目標としては2020年までに全国ベースで2800万キロワットということ。それから、2030年には5300万キロワットということでございます。2800万キロワットといいますと、私どもの管内でいいますと大体400万キロワットぐらいに相当いたします。結構な量です。この目標に沿って導入促進が図られると、私どもの管内では多分このぐらいの量になってくるんだろうなということでございます。
 それから、それに付随して幾つかの取り組みがございます。33ページは、名古屋市のスクールソーラーの取り組みの例です。
 34ページは、東京の東急東横線の元住吉駅の駅舎ソーラーの例でございます。
 35ページは、メガソーラーと言われる類のものでございますけども、ソフトバンクの孫社長が提案された電田プロジェクトの例です。このようなものも一応これから少しずつ入ってくるのかなと思っております。
 先に進めさせていただきます。
 36ページからは「バイオマス発電」でございます。
 37ページは「バイオマスエネルギーの特徴」でございます。「バイオマスエネルギーは、廃棄物系バイオマスや未利用系バイオマスを収集・運搬し、また、資源作物を栽培し、バイオマス資源を物理的、熱化学的、生物化学的に気体燃料、液体燃料、固体燃料などに変換し、熱、電気エネルギーとして利用するもの」だと。よくあるのは、森林資源であるとか、エネルギー作物と言われるようなもので油がとれて食用にはならないというようなものを使って、それを燃料に発電をするとか熱利用するとかという類のものでございます。
 38ページを見ますと、廃棄物系で言えば「紙」であるとか、静岡ですとパルプ工場さんがたくさんございますのでパルプ工場の「黒液」であるとか、「食品廃棄物」とかこういうものもございます。それから未利用バイオマスとしては、「稲藁」、「麦藁」、「林地残材」、それから先ほど言いました「資源作物」――油がとれるんだけど食用にはちょっと使えない油を使うバイオマスと。こういうようなものでございます。
 39ページは利用実態でございますけども、今、バイオマスを利用されている最大の発電は、やっぱり各市町村さんの一般廃棄物発電です。
 40ページは導入量の推移ですが、発電、熱利用ともふえておりますというグラフでございます。
 続きまして41ページの「バイオマス発電の現状」でございます。水分が含んでいたりして、実は「発熱量が低い」という課題がございます。それから「体積密度が小さい」ということ。かさが大きいということです。実際に運搬輸送のコストがこういう部分でかかってしまいます。それから「資源が分散している」ということで、安定供給がなかなか難しいと。それから「生産量に季節変動がある」と。それから先ほど話にも出ましたが、私どもも注意しながらこういうものの検討をしてございますけども、「食料と燃料のトレードオフ」というのが指摘されていまして、やっぱり食べるものに使うものはこういうことに使っちゃいけないと。こういうことなんだと思っております。
 42ページの「バイオマス発電の方向性」です。「バイオマス・ニッポン総合戦略」という国の戦略によると、未利用のバイオマスというのが結構ございまして、それは「農作物非食用部」、「林地残材」ということです。特に「林地残材」は、現状ほとんど利用実態がないということで、こういうとこの活用というのも今後の検討課題の1つかと思っております。
 43ページも林地残材の件を記載してあります。どういうところに課題があるかというと、一番最後のポツでございますけども、「伐採後、薄く広く散らばるため、運び出すだけでコスト高となり、燃料としてコストが合わないことが課題となる」ということ。こういうところは国の施策、それから各自治体さんの施策なんかが今後重要になってくるところかと思っております。 
 それから44ページですが、「液体バイオマス」というのもございます。先ほど言いましたが、絞ったら油が出るんだけど食用等には使わないという類で、それをエネルギー作物といいますけども、実はアジアにおいてはそのポテンシャルが非常に高いというような報告がなされているということでございます。
 最後、45ページからは「地熱発電」でございます。これについては、多分午前中の松尾先生のお話の中にもあったかと思います。伊豆半島とかはあると思うんですが、過去のNEDOなんかの調査結果を見ても、私どもの供給エリアの中では実はどちらかというと余り地熱に関していい熱源がないということです。私どもももう少し調べる必要はあるかなと思っておりますけども、現時点ではなかなか難しいかなというところでございます。
 47ページでございますけども、北海道、東北、九州に資源が遍在しているということ。それから実は「自然公園法等で開発が規制されている区域が多く、簡単に開発できない」ということ。それから実は「蒸気に含まれる硫化水素等により、設備の劣化が早い」ということ。腐食が非常に進んでトラブルがなかなか多いということです。それから「周辺の温泉事業への影響等が懸念される」というのも当然あって、この辺が結構センシティブかなというぐあいに思っております。
 48ページでございます。「1999年 八丈島地熱発電所の運転開始以降、新規立地がほとんどない状態が続いている」ということで、日本国内では進んでいなかったという状況がございます。
 49ページでございますけども、ただ日本は世界有数の火山国ということで2千50万キロワットのポテンシャルを有しているということでございますので、地域によっては非常に望みがあるところもあるかなと思います。
 50ページは「八丁原バイナリー発電施設」の例を記載してあります。これはNEDOの技術白書から持ってきたものでございます。設備概要が記載してございますので、またお時間のあるときに御参考までに見ていただければと思っております。
 ちょっとお時間がないものですから、駆け足で進めさせていただきます。
 お手元に「再生可能エネルギーに関する当社の取り組みについて」というペーパーがございますので、お開きください。ここからは、私どもの取り組みでございます。
 2ページは「再生可能エネルギーの推進」です。私ども中部電力、それからそのグループ会社が幾つかございますけども、「グループ会社と一体となり、風力発電、太陽光発電、水力発電、バイオマス発電など再生可能エネルギーを積極的に開発・導入します」と。「平成26年度までに、合計約20万kWの再生可能エネルギー電源の開発を計画しています」ということです。それから、先ほどもお話をさせていただきましたけども、買い取りの新しい法律ができましたので、そういう観点から「再生可能エネルギーからの積極的な電力購入などを通じ、再生可能エネルギーの普及促進に努めます」ということ。これが私どもの今のスタンスでございます。今後エネルギー基本計画の見直し等々が進んでいきますと、多分さらにそういうところを加速させていくことになるのかなということでございます。
 3ページ目は、私どもが今どんな再生可能エネルギーに取り組んでいるかという状況です。資料の左側は風力発電の状況でございます。「シーテック」、「青山高原ウインドファーム」と会社名が書いてございますけども、これは私どものグループ会社でございます。三重県の伊賀市、それから津市の美里町、それから同じく伊賀市、そういうところで風力発電をやっております。それから静岡県内では、私どもの自前の設備として御前崎風力発電所というのを持っております。これらに計画も含めますと、先ほども言いました80基ございます。
 それから現在、岐阜県では15万キロワット級の水力発電所である徳山水力発電所を建設中でございます。
 それから、愛知県の碧南火力発電所。ここでは「木質バイオマス燃料混焼」ということで、「混焼率約3%」と書いてございますけども、年間20万トンから30万トンぐらいの木質チップを燃料として使ってございます。今度の4月からは、下水汚泥を炭化燃料にしたものもまぜて燃料として使っていくということでございます。
 今度は右側でございます。メガソーラーにつきましては、「たけとよ」「いいだ」「しみず」の3カ所です。「たけとよ」は運転開始をいたしました。それから「いいだ」も今年度1月に運転開始をいたしました。それから2014年度――平成26年度に向けて、「メガソーラーしみず」の建設の計画を今進めているということでございます。そういうことで、静岡県さんの御協力もいろいろいただきながら進めているということでございます。
 それから水力発電所ですが、今ここに書いてございます須砂度とか易老沢、それから静岡県内では東河内の水力発電所をつくらせていただきました。今後も、規模は小さいんですが、計画的にこういう水力発電所を建設させていただきたいなというぐあいに思ってございます。
 4ページですが、静岡県内の設備ということで、東河内水力発電所の主要緒元を書いてございます。大井川水系の畑薙第二ダムの導水路を流用しているということで、出力は170キロワットです。ダム式の大きな発電所に比べると少ないんですが、今まで使っていなかった水をうまく使うというようなことで、まだまだこういうような活用ができないかなということで進めてきた1案件でございます。
 5ページでございます。右側に「維持放流量取水口」と記載してありますが、ここで下流に流していた水の一部をとりまして、発電所でタービンを回して発電をするということです。流れる水は極力無駄にしないということで、新たにこういうことで設置したところでございます。
 6ページはその実際の写真でございます。
 7ページと8ページは、先ほど言いました三重県と静岡県で進めてきている風力発電のデータです。  
それから9ページは、メガソーラーということで、「いいだ」、「たけとよ」、それから今度平成26年に建設いたします「しみず」について記載してございます。直近で言いますと、先月「メガソーラーたけとよ」が運転開始になってございます。これは7500キロワットということで、「しみず」が8000キロワットですので、ほぼ同規模でございます。
 10ページは「メガソーラーたけとよ」の景観です。
 11ページは「しみず」の計画です。写真ではございませんけども全体のイメージを載せてございます。
 12ページ、13ページは、碧南で炊いております木質バイオマス燃料の混焼の状況でございます。先ほど言いましたとおり、大体年間30万トンぐらいこういうものを使っておりますということです。また、今度の4月から下水汚泥も燃料に使っていきますということです。
 14ページは、余剰電力の購入についてでございます。平成22年度の購入電力料の実績でございますけども、太陽光につきましては2億8294万キロワットアワーで、風力につきましてもほぼ同クラス、それから廃棄物発電にしても同クラスということです。今後さらに制度がきちっと固まってきて、来年7月から再生可能エネルギーの固定価格買取制度が施行になりますものですから、こういうことに一生懸命きちっと対応していきたいなというぐあいに思ってございます。
 15ページは、まとめでございますので割愛させていただきます。
 あと、お手元の「被災時に考慮すべきポイント」と書かれた資料をごらんください。最近、私どもは新エネに関していろいろな御期待をいただいているということを理解しております。そういう中で、被災したときに例えば家庭用の太陽光パネルでも自立運転で1,500ワットぐらいは電気が使えるとか、実際に活用できるシーンというのはあるようになっています。今回の東日本大震災は非常に悲しいことでございましたけども、そういう中で私どもとして見えてきたこととして、供給地のみが被災している場合――例えばエネルギーの供給源はちょっと離れたところにあってエネルギーを運ぶ流通設備は健全であったというような場合は、太陽光自立運転とかでもしていただいてもいいのかなというぐあいに思っております。しかし、実際に供給地と需要地がともに被災をしたような場合は、特に一番下に書いてございますけども「住宅内の宅内電気配線や電気製品が損傷することも」あると。1,500ワットの自立運転で、太陽さえ照っていれば電気がとれるんですけども、場合によっては通電すると火災等の二次災害が起こるようなこともあって、こういうことも踏まえて新エネの使い方というのを皆様にお伝えしていくということももう1つ私どもの大事な仕事かなと最近思ってございます。
 こういうことも含め、今後導入や普及に当たって私どもが御協力できること、お手伝いできること、私どもみずからやっていくこと、それらをまた整理して進めていきたいというぐあいに思ってございます。以上でございます。

○三ッ谷委員長
 中部電力様からの意見陳述が終わりました。
 それでは、質問、御意見がありましたら挙手の上お願い申し上げます。先ほどと同じように、一問一答方式でお願いいたします。

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