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委員会会議録

委員会補足文書

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令和2年9月新型ウイルス等感染症対策特別委員会
静岡県立静岡がんセンター 感染症内科部長 倉井華子氏 【 意見陳述 】 発言日: 09/04/2020 会派名:


○倉井華子参考人
 どうぞよろしくお願いいたします。
 静岡がんセンターの倉井です。
 このような機会を頂き、非常にうれしく思っています。なかなか先生方とお話しするようなことはあまりないと思いますので、今日はぜひ、医療と行政のコミュニケーションができればとは思っています。どうぞよろしくお願いします。
 私からは、まず、新型コロナウイルス感染症の全貌について、お伝えさせてください。
 ただ、この資料を作成させていただいたのが8月10日です。それ以降、少しまた分かってきている事実もありますので、そこはスライドの中で少し含めながら、お話をさせていただこうと思います。
 まず、この新型コロナウイルス感染症ですが、そもそもコロナウイルスというのは何か、そしてなぜ新型とつくのか、まずお話をします。
 新型コロナウイルス感染症は、よくCOVID−19と呼ばれています。これは、臨床の呼び方で、コロナウイルスによる感染症を発症した事態、いわゆる症候群をCOVID−19と呼びます。また、SARS−CoV2というのがウイルス名になります。
 ここにSARSという名前がありますが、このコロナウイルスというのは、もともと人やたくさんの動物が保有するウイルスです。人に感染するコロナウイルスというのは、もともと4種類知られていました。私たちがよく冬に風邪を引くことがありますが、この風邪を引く原因の1つがウイルスと言われています。要するに、今、このコロナウイルスにかかったときは風邪のような症状が出ることが多いと言われますが、人のコロナウイルスが風邪のウイルスと考えると、少し分かりやすくなるかなと思います。
 ただ、このコロナウイルスですが、2000年に入ってから、人以外に保菌しているコロナウイルスが、人へ感染性を持ち、そして人から人へと媒介する力を得たものが幾つかあります。
 1つは、中国を中心に流行したSARSというもの。これは、今、コウモリが由来のコロナウイルスが人に感染性を持ったと分析されています。2012年には、MERSと言われている病気、これは中東や韓国などで流行したウイルスです。これは、ラクダのコロナウイルスが人に感染性を持って、広げたのではないかなと言われています。
 今回の新型コロナウイルスがどんな動物から来たとかというのは、まだ分かってはいません。いろんな説があります。最初はヘビではないかという話がありました。あと、ネズミではないかという話もありました。あとは、センザンコウといって、アルマジロのような一種じゃないかとの報告もありまして、まだどのウイルス、どの動物からこのウイルスが来たかについては、分かってはいません。
 このコロナウイルスですが、恐らく中国の武漢が最初ではないかと言われています。2019年の12月ぐらいから、中国の武漢で発生したウイルスが、今ではもう世界中、もうありとあらゆる地域で広がっているのが現状です。
 このコロナウイルスですが、この後、COVID−19であったり、COVIDという呼び方をさせていただきます。症状も、様々な症状の追跡がされまして、最初の頃よりも大分分かってきています。多彩な症状を起こすというのが、このコロナウイルス――COVIDの特徴です。ただ、多くの場合は、症状が出る方を見ると、呼吸器の症状、せきや呼吸苦が出る方が多いのが分かります。また、もう1つ多いのが発熱。こうした症状を訴える方が7割を占めます。
 ただ一方で、寒気や下痢、嘔気・嘔吐、頭痛、こうした症状も出ることがあります。COVIDを診断する難しさの1つとして、症状の多彩性が言われています。インフルエンザと比べると、症状が非常に多彩なことが、分かりにくさを示しています。
 インフルエンザは臨床診断だけでも診断がつけられます。通常、インフルエンザは急激に発症した発熱と寒気と筋肉痛、そしてのどの痛み、これが非常に典型的で、見ただけ、話を聞いただけで大体分かりますけれども、なかなかCOVIDとこの風邪を区別する、またCOVIDとインフルエンザを臨床だけで区別するのが難しいのが、診断する大変さの1つになります。
 また、新たな症状が分かってきたものもあります。例えば、5月ぐらいに注目されるようになった症状は、嗅覚や味覚の異常、これも途中から分かってきた症状です。どうも調べてみると、このコロナウイルス感染症を起こした人の7割ぐらいに、少なくとも嗅覚や味覚症状が出るといったデータが出てきています。ただ、いつ出てくるのか。嗅覚・味覚症状は、そのほかの症状より先立って出てくるというよりは、ほかの症状が消えて、後になって出てくる。半分ぐらいの方は、熱が続いた後になぜか嗅覚や味覚が急に途絶えて、そして気づかれるということが分かってきています。
 ただ、この嗅覚・味覚症状というのは、ほかの疾患でも非常に多く見られる病気です。例えば花粉症の時期ですと、多くの方が嗅覚障害を訴えますので、このコロナに特異的な症状ではないですが、発熱や気道症状が起こった後に、急に何か味覚症状や嗅覚症状が起こってきたときには、このコロナウイルスを疑ってもいいのかもしれません。ただ、初期の診断の段階では、なかなか出てきにくい症状だということが分かっています。
 また、今回スライドにはしていませんけれども、コロナの後遺症があることも、ここ一、二週間の中で分かってきました。1,500人ぐらいを調べた中では、後遺症でかなり苦しむ方が7割ぐらいいるということも分かりました。どんな後遺症が多いかというと、一番多いのは呼吸苦、肺の症状が長く続く。また同じように味覚障害や嗅覚障害が長く続く。だるさがずっと取れない。あとは、睡眠障害。眠るのがどうも悪いような気がする。あと、認知障害が起こる。こういった後遺症も多くの方に起こることが、少しずつ分かってきているのが現状です。
 また一方、症状が全く出ない方もいるということが分かってきました。例えば住民であったり、日本で言うと、豪華客船の乗客であったり、ある一定集団を調べてみると、PCRは陽性になるけれども、最初から最後まで症状が出ない方がいることが分かってきています。症状が出ない方はどれぐらいいるかというのは、その集団によって異なりますが、様々な国の様々な集団を見ていると、比較的多く、30%、多い報告ですと50%、60%ぐらいという報告もありますが、症状が全く出ないまま終わる方もいらっしゃるということが分かります。特に、子供さんや若い方ですと、症状がないまま終わる方も多いというのも分かってきました。
 これが感染対策の難しさにもつながってきますが、この症状がない人にいかに周りに広げないようにするか、これもこのコロナウイルス感染症の対策の難しさを物語っているかと思います。
 実際に、無症候の方は、感染を広げるという意味では問題になりますけれども、一番心配なのが、医療現場に影響してくることで、症状がある方がどんどん重症化してくる症例もあります。そういった症状の紹介もさせていただこうと思います。
 重症度分類、これは、厚生労働省であったり、都道府県によって、若干分類が異なることもありますが、おおむね症状の重症度分類は、軽症というのは酸素が必要がなく、そして呼吸器の症状がない場合。サチュレーション――酸素飽和度、これは血液の中の酸素飽和度を見る検査ですが、その症状が出てきていて、画像で何か異常が出てくるもの、ここからが中等症とすることが多いと思います。
 実際に酸素の投与が必要となる症例もあります。こうした症例になりますと中等症で、この後、急速に悪くなる可能性があるということで、非常に注意が必要な状態です。
 重症になりますと、これは自分だけの力で呼吸を保つことができなくなります。今回、スライドにしていませんけれども、コロナウイルスがどこの臓器に影響するのか見てみると、一番親和性が高いのは肺です。肺にウイルスの親和性が高いので、あっという間に肺がどんどん繊維化してくるのが、このコロナウイルスの重症化の原因になります。ひどく悪い方ですと、自分自身の呼吸が保てなく、人工呼吸器、いわゆる挿管管理、そして機械のレスピレーター管理、こうした状態。もっとひどくなりますと、人工心肺を回さなければいけない、そうしなければ救命できない、そういった状態になる方もいらっしゃいます。
 どれぐらいの患者さんが悪くなるかということをお示ししますが、コロナウイルスの感染症の8割の方はもうほとんど無症状、もしくは軽い風邪のような症状で、何もしなくてもよくなります。ただ、2割の方は呼吸が途中で苦しい、または酸素が必要となるなどの理由で、医療機関に入院が必要になることがあります。約5%の方が集中管理、集中治療を要することがあります。救命率に関してですが、これは集団にもよりますが、二、三%の方がコロナウイルス感染症によって命を落とすことがあります。
 どういった方が重症化しやすいか、リスクに関してですが、重症化のリスク因子は幾つか言われています。一番重症化のリスクが高いのは、高齢者になります。特に65歳以上の方。60歳を超えてくると、少しずつこの重症化のリスク、そして死亡のリスクが上がることが分かります。さらに加えると、もともと何か病気がある、特に言われているのが心臓の病気。例えば心筋梗塞を昔やっていた。こうした心臓の血管の障害がある方というのは、重症化しやすいと言われています。また肺気腫のような、もともとその肺に病気がある方、こういった方々も重症化しやすい。ほかには男性か女性かでも変わってきて、女性よりは男性のほうがやや重症化しやすいということも分かってきています。あとは悪性腫瘍――がんを持っている方は、恐らく重症化しやすいということが分かります。ですので、高齢の男性で何か持病がある方が、一番のリスク因子になります。
 年齢で見ますと、本当に60歳を超えてくると、急速に死亡率が上がってきます。若い方で亡くなるのは、よっぽどのことでない限りはないと言われていますが、60歳を超えてきますと、その死亡率は5.1%、70歳を超えてくると14%、80代を過ぎますと28%ということで、年齢は非常にリスクになります。
 これは、インフルエンザとは少しまたパターンが違います。インフルエンザですと、子供さんが例えば脳症とかで重症化することがありますが、この新型コロナですと、高齢者の方がリスクになるのが特徴になります。
 この症状がある方をどうやって診断をするかです。今、ニュースなどでもたくさんの検査方法が紹介されていますので、少し混乱すると思います。今、開発されているのは、主にこの4種類の検査です。1つは、よくPCR法と呼ばれますが、遺伝子の検査です。PCR以外にLAMP法と言われている方法もありますが、ウイルスの遺伝子を増幅させて、増やして検査するものです。これは唾液や喀痰や鼻の拭い液などで行うことができます。ウイルスを増やして検査をしますので、感度が高い、大体70%ぐらいと言われていますが、精密性が高いのが特徴になります。ただ、機械とテクニックが必要とされますので、この遺伝子方法ができる施設は限られています。
 静岡県では、今、検査が受注できる施設は、各行政の衛生研究所、それは静岡市と浜松市と県の3か所になります。それ以外ですと、二、三か所の外注を受ける検査会社が、このPCRができます。ただ、できる施設が限られているというのが問題点です。ほかには大学病院などでは、この方法を導入しているところが県内ではあります。このいいところは、少ないウイルス量でも検出できるという点です。
 もう1つ、抗原の定性検査があります。これは今、鼻の拭い液で検査を行います。私たちのイメージで言うと、インフルエンザのときに鼻を拭う、鼻に綿棒を入れて検査をされたことがある方がいると思いますが、同じような原理で行われています。鼻の拭い液を取って、約30分で検査結果が出ます。検査のキットもコンパクトで、特別な機器は必要ありません。よく女性ですと、妊娠を判定するときのキットが、薬局とかでも売られていると思いますが、同じように小さなキットで検査ができますので、この検査はクリニックや外来などで行うことができる検査です。そういったメリットはあります。特別な機械が要らなく、そして時間も早く30分で出るところがよい点ですが、若干感度は低いです。ウイルス量が少ないと、検査をすることができません。
 ここ最近、この抗原の定性検査は偽陽性、陰性であっても、陽性と出ることが少し多いことが分かっています。実際に県内でも、偽陽性といって、抗原の定性が陽性でPCR陰性という例が、私の把握する中でも、少なくとも10例近く県内で出ています。浜松では3例、症例を取り消したという報告もありますので、そういったところから、少し感度も特異度も低い検査ということが考えられます。
 もう1つ、今、検疫所などでたくさん使われているのが、抗原の定量検査。定性検査と定量検査では何が違うかというと、定量検査というのは、キットではなく、機械でウイルス自体を測定する検査になります。これは、拭い液や唾液などでも最近、適用が通りました。感度はウイルスを増やして行う検査ではないですので、遺伝子検査よりはやや落ちると言われています。特にウイルスの量が少ない場合には、抗原の定量検査では陽性になりにくいです。無症状でも一応使用可能とは言われていますけれども、この抗原検査は、遺伝子検査ほど感度は高くないので、無症状でこの検査が陰性であっても、PCR検査をすると陽性という症例はあります。
 定量検査を行う面では、特別な手法は必要ありませんけれども、富士レビオが作っている機械を使って検査をする必要がありますので、こうした機械があるかどうかというのが問題になってきます。ただ、テクニックはほとんど使いませんし、検査の時間自体も非常に短く、約15分で検査の結果ができます。なので、今、多くの病院でこの抗原定量検査を導入しようと考えています。
 あとは、臨床ではあまり使うことがありませんが、抗体検査――血液の抗体があるかどうかを調べる検査があります。今はあまり抗体検査で測定することがないですが、5月、6月では、アメリカとかで市民を対象に、抗体検査を行いましたというレポートが出ていたと思います。一応、過去の感染が分かることが抗体検査のメリットと言われていますが、実際に、その後、フォローをしていくと、約8週ぐらいすると抗体も消えてくることが分かってきています。ですので、抗体検査というのは、今、使い道が難しい検査の1つになってきていますので、あまり行われていないのが現状です。
 今日、御質問にも頂きましたが、PCR検査、これには様々な意見があります。例えば、たくさんの人にPCR検査をやったほうがいいのではないかという御意見もあります。いろんな自治体でもやっていますし、県内ですと富士宮市や浜松市でもしていると思いますけれども、PCR検査を大勢の方にする上での注意点があります。このPCR検査は、感度、特異度ともに100%ではないです。まず見逃しがあるということと、もう1つ、確率の低い集団、要するに全くリスクもなく、症状もない集団に行うと、多くの偽陽性、要するに全くコロナではないけれども、間違って検査が陽性になってしまうということが注意点になります。これは、事前確率という言い方をしますけれども、本当に無作為に1万人とかに検査をした場合に、大体100人ぐらいが恐らく陽性になってきます。ただ、その中で本当の陽性は1人だけ。99人は検査は陽性だけれども、コロナにかかっていないという事象が起こりますので、これがどの集団に検査を行うかというところの注意点になると思います。ある程度、陽性となる可能性が高い集団。例えばそれは職業であったり、曝露歴であったり、そういった方々に絞ってやるような検査であることを御理解ください。
 今、厚生労働省等が、医師の判断でこの人は検査したほうがいい場合にPCR検査をやるとしているのは、この事前の確率、可能性の高さを少し上げ下げする、そうした判断の下に対象を選んでいるのが、このPCR検査になります。
 続きまして、治療法について、まとめさせてください。
 治療法ですが、今、8割の方が無症状もしくは軽症でよくなるということがあります。ほとんどは全身管理、要するに酸素を投与する、そして熱さましの薬を投与する。風邪と同じような概念で、多くの方は特に何もしなくても、そのままよくなります。今、様々な薬が試されていますが、明らかにこれが効くと確立している薬はありません。今、世界でも様々な薬が試されてきました。例えば、クロロキンというマラリアの薬、あとはカレトラというHIVの薬、そうした様々なほかの感染症に対する薬も試されてきていますが、研究が進むにつれて、あまり有効性はなかったということで、今、まだこのコロナウイルス感染症に対して、結果、劇的に効く薬はないということを御理解ください。
 そのためにできる治療というのは、酸素を投与したり、自分の力で酸素が確保できない方には、機械を使って肺を守ってあげる、そうした治療がメインとなってきています。
 今、幾つか、よくデカドロン、デキサメタゾンとかアビガンという薬が言われています。あとは、レムデシビルという薬も出されていますが、デキサメタゾンのようなステロイドの薬に関しては、比較的今のところ、一番有用性が高そうです。イギリスで行われた大規模研究では、ステロイドを使用した群に関して、その後の合併症ですとか、人工呼吸器からの離脱が多かったという報告があるので、ステロイドは少し有効性があるかと思います。ウイルスの薬に関しては、今のところ、様々なデータが出ていますけれども、よかったとする報告もありますけれども、アビガンにしろ、あとはレムデシビルにしろ、あまり有効性がなかったという結果が、少しずつそろいつつあるような状況です。
 もう1つ注目されているのが、恐らくワクチンだと思います。ワクチンは、今、様々な国、そして国内でも様々な製薬会社が製造、そして開発しています。幾つかの大学病院でもこのワクチンが開発されてきています。今のところ、一番研究が進んでいるのが、イギリスのアストラゼネカという製薬会社の製品、これがフェーズ3といって、臨床研究の最終段階に今、入っている状態です。国内でも、アストラゼネカの製品が中心となって、来年度は採用される予定と伺っています。ただ、国内でも多くのメーカーが行っていますので、こうした国内メーカーのワクチンについても、今後使用されると思います。
 ただ、臨床効果については、まだ研究の最終段階までいって、結果が出そろっていませんので、どれぐらい効果があるかについては、まだよく分かっていません。長期効果があるかどうかですが、恐らく長期効果はないだろうというのが、今の感染症の専門家の大部分の見解です。このウイルスは非常に変異が激しいのが特徴ですので、インフルエンザと同じように、1回打てば済むというよりは、繰り返し打つことが必要になるようなワクチンになるのではないかなということが推測されています。ただ、実際はこれから検証が進むと思います。
 続きまして、感染の対策のことについて、お話をしていきます。
 この対策の面も、最初の頃と今とは大分情報が変わってきました。感染症の伝播形式、今回の新型コロナウイルスは、主に飛沫感染と接触感染があり、特にこの飛沫感染では、マスクをつける、もしくは距離を保つことが言われています。くしゃみやしぶきによって感染するのが主なルートだと思います。よく比較されるのがインフルエンザです。また、接触感染、環境の表面を触った手で自分の顔を触る、口を触る、こうした接触感染も、少ないながらもあり得ると考えられています。
 あとは空気感染をするかどうかというところで、様々な意見が出ています。空気感染と飛沫感染とはそもそも何かということですが、結核やはしか、麻疹といった感染症が空気感染します。空気感染というのは非常にウイルスを取り巻く水分が少なくとも、単体で、ウイルスが少ない飛沫核という言い方をしますけれども、ウイルスが周りに水分が含んでない状態で、軽い状態で空気中をふわふわと長時間漂うことと言われています。飛沫核感染とも言われますが、はしかですとこうした会場にいるだけでも感染することがあります。実際に、はしかですと、おととし、三重県で宗教の団体の中で大規模な感染が発生しました。若い方が多く、ワクチンを打ってない方で、8割の方が感染するという事例がありましたけれども、空気中を長く、一緒の空間にいるだけでも感染し得るというのがこの空気感染です。
 飛沫感染というのは、ウイルスの周りに水分を含んでいないと生きていけませんので、短い距離しか飛ばないというところがあります。このコロナウイルスですが、主に飛沫感染のため、ソーシャルディスタンスと言われていますが、1メートルから2メートルの距離を保つ、これが有効と言われています。
 ただ、エアロゾル感染という言葉が途中で出てきました。エアロゾル感染というのはどういうことかというと、飛沫感染と空気感染のあいのこのような状態です。ただ、空気感染するというよりは、一定の条件が整った場合には、室内のかなり離れた人にも感染させると言われているのが、このエアロゾル感染です。実際にどういう条件で発生し得るかというと、1つは換気が悪い中。このエアロゾル感染が言われるようになった研究は、中国のレストランで起こった集団発生の事例から持ってこられています。エアコンが1つしかなく、窓が開いていないようなレストランの中で、1人感染者がいた中で、そこから5メートルぐらい離れた方にも感染が起こった。恐らく換気が悪い中で、空気に乗ってウイルスが伝播し得る、これをエアロゾル感染と言います。
 国内でも同じような事例があります。例えばライブコンサートなどで、かなり離れた席の方でもうつっている事例があると思います。結核ほど空気感染――部屋にいるだけで感染するわけではないですが、環境の密な状況、悪い中ではかなり広い範囲まで飛び得るというのが、エアロゾル感染と理解していただければと思います。
 あと、どれぐらい感染する力があるのかについて、少し御説明します。
 コロナウイルス感染症には、無症状の方が4割いるという話をさせていただきましたけれども、どういう方がほかの方にうつしているのか、伝播させているのかということを調べると、最初から最後まで全く症状がない方というのは、それほど感染力は恐らくないとは考えています。一番感染力が強いのは、症状が出てくる方、症状を出す方の発症前というんでしょうか。例えば私が今は元気でも、明日、あさってにせきが出たり、熱が出てきたりする場合、今日、大体発症する1日、2日前というのが一番ウイルスの排出量が多い、そして感染力が高いということが分かっています。次に多いのが、恐らく発症して2日以内、なので最初の時期が、感染力が高いということが分かります。
 症状が全く最初から最後まで出ない方、または、例えば、手から感染するというのはそれほど高くないことが分かります。
 あとは、どこまでが感染力があるのか。これは、最初のウイルスが出たときと今とでは、退院基準が変わってきていると思います。最初は、PCR検査で2回陰性を確認できるまでは、隔離解除ができないとなっていましたけれども、今では症状がなくなった方であれば、発症から10日目もしくはPCR検査をして10日目で隔離解除ができますと変わってきています。これはなぜかは、研究が進んできています。PCR検査は、遺伝子を増やして行う検査ですので、死んだウイルス、要するに人に感染性がなくて弱ったウイルスでも増やしてしまうのがPCRの特徴です。ただ、培養検査――生きたウイルスをそのまま増やすような技術が進んだ結果、発症してから8日目ぐらいまでは、どうもウイルスは生きている。ただ、8日目以降、9日目以降になるとウイルスの培養はどんどん難しくなることが分かってきました。そのために、今では発症から、PCR検査から10日目であれば隔離解除ができるということが、今の入院期間の短縮につながっています。
 実際に、二次感染の例も見ていますけれども、発症して6日目以降はほかの方にうつす力がなかったというレポートも出てきていますので、大体10日目としているのは、ここが根拠になります。
 ただ、軽い方は10日目ですけれども、これも最近出たレポートですが、免疫不全、例えばがんの患者さんとか、もともと何か病気がある方では、もう少しこのウイルスの培養陰性になるまでの期間が長いことが分かっています。こうした免疫不全がある方では、大体15日目ぐらいまではウイルスが培養し得るというレポートも、ここ数日で出ましたので、また感染性に関しては、今後の研究が進んでくるかもしれません。
 感染対策に関しては、もうこれはもう言われていることですので省きますが、基本的な対策をするだけでも多く感染は予防できます。あと、よく質問を頂くのがマスクに関してですが、マスクはなぜつけるのか。1つは自分の身を守るというよりは、自分が相手に感染させないためにつけるのが、このマスクです。最初に、その前のスライドでお示ししましたが、発症する1日、2日前からウイルスを出しています。なので、症状がなくとも、もしかすると私は感染しているかもということを考えて、マスクを着用する。これがマスクの一番の意義になります。
 また、マスクをつけていれば、どれぐらい感染を防げるのか、相手からの感染を防げるのかというのは、後でまた文献をお示ししますけれども、ネズミの研究などで進んでいます。これは後でお示しします。
 マスクにどれぐらい効果があるのかに関しては、コロナ以外のウイルスの研究で、最近はコロナでも、いろんな文献の解析で進んでいますけれども、マスクによってコロナの伝播を85%程度は下げることができると言われています。あとはソーシャルディスタンス、この距離を保つことも有効ということが解析されていまして、距離が1メートル空くことによって、感染については5%から10%ぐらいは減らすことができると言われています。大体2メートルぐらい空けると82%ぐらい下がると言われていますが、距離を保つというのもやはり、エビデンスがある効果対策だと思います。
 先ほどネズミの研究の話をしましたが、これがちょっとかわいらしい研究です。ハムスターも実はコロナウイルスを感染することが分かっていて、ハムスターのおりのところにサージカルマスクをつけて、ウイルスに感染したハムスター、ウイルスに感染していないハムスターにどれぐらい伝播させるかというのを見た研究があります。マスクがないと、かなりの確率で、両方マスクがないと66.7%のハムスターに感染が起こりますけれども、感染したハムスターがマスクをしていると非感染ハムスターの感染は16.7%ということで、かなり下げることが分かっています。
 逆に、この非感染のハムスター、こっちの感染ハムスターがマスクをしていないで、非感染ハムスターがマスクをしていると、どれぐらいかというと、約30%と言われていますので、やっぱり感染している人がマスクをつけることによって一番効果が得られる。でも、もらう可能性を少なくできるかというと、それもありで、健康なハムスターがマスクをつけることによって半分ぐらいのリスクに下げることができると言われていますので、マスクはやっぱり有効な対策だということが分かります。
 あとは、マスクの種類に関してよく質問を頂きます。例えばサージカルマスクと、いわゆる布マスク。効果はどうなんでしょうという質問があります。これに関してですけれども、今分かっている中で、サージカルマスクと布マスクというのは、ほぼ同等の飛散効果、要するに相手にまき散らすのを防ぐ効果があると言われています。ただ、バンダナですとか、口元の隙間がちょっとありますと、恐らく効果が落ちることが検証されてきていますので、これも1つ言えることかなと思います。
 よく今、透明マスクみたいなものが売られていますけれども、口元が少し空いてしまうようなマスクに関しては、もしかすると、ウイルスの飛散効果は落ちるかもしれないと言われています。
 あとは環境表面に関しては、それほどのリスクはありませんけれども、患者さんのいる環境を調べてみると、かなりの量でウイルスは検出されます。ただ、それがどれぐらい感染性があるかどうか分かりませんけれども、そうした室内を多く触った手で、私たちが口とか目を触ると感染が成立することもあるようです。私たちは結構無意識に顔を触ることが多くて、1時間に20回ぐらい触っているというデータもあります。この環境表面で言うと、面白い研究がありますけれども、家の中でどこの場所で一番ウイルスが環境表面につくかと言われると、一番多いのが洗面台だそうです。あと、2番目がトイレと、あとどこかだったと思いますけれども、洗面台がリスクだそうです。なぜだかは分かりません。
 最後に、クラスターに関してです。今もクラスターというのが、1週間に1個ぐらい出ています。静岡県で言いますと、浜松で非常に大きなクラスターが2つ出ました。その後、中部でも出ましたし、東部でも熱海を中心にクラスターが発生しています。静岡のクラスターは、接客を伴う飲食店で起こっているのがほとんどですが、一番多くクラスターが発生しやすい場所というのは、国内の61の分析で見てみると、医療施設が一番リスクになります。東京とかですと120人といった、非常に大規模なクラスターがおこっています。
 また、次に多いのが高齢者施設です。静岡も様々な高齢者施設、福祉施設がありますので、こうした中で感染者が出ると、医療機関自体が運営できなくなる可能性もありますし、医療の逼迫が起こってきます。高齢者施設で起こりますと、もちろん患者さんが亡くなる、命を落とすこともありますので、こうした医療機関、高齢者施設でいかにクラスターを出さないかが1つ肝になってくるかと思います。
 この後は、疾病対策課が作った発生状況ですので、さくっと流していきますけれども、静岡県の分析ですが、静岡県は4月に第一波、そして7月に第二波と考えられるものが起こってきています。特に第二波は非常に患者数が多く、浜松で2つのクラスターが出たために、一気に患者数が増えたのが特徴です。ただ、先週から今週にかけては患者数が少し減少してきているのが分かると思います。
 ただ、ちょっと気になる点としましては、今月に入ってからは、感染経路がよく分からない症例が少し増えてきていますので、これがこの後、患者増加にどうつながるか心配しているのが今の現状です。
 入院状況に関してですが、幸い、今日から西部のホテルが稼働し始めました。中部も稼働がもう始まっていますけれども、ホテルの稼働が始まった影響もあって、少しずつ医療現場は楽になっていますが、一番きつかったときが7月ですね。7月末あたりが非常に厳しい医療現場になっていました。あと、年齢に関して言うと、地域によって偏りがありますが、第1期は比較的高齢者が多かったんですが、第2期に入ってから、7月に入ってからは浜松の影響もあると思いますが、若い方が陽性になることが多いです。ただ、80代以上という症例も県内では今も発生していますので、この高齢者が増えてくればくるほど、非常に医療機関が厳しくなるというのが、今後の課題になってきます。
 PCR検査に関しては、PCR以外の検査も増えてきたので、PCRだけが検査法ではないですけれども、検査も少しずつ充足してきていて、検査数は順調に伸びてきているのがこの第一波から第二波の現状になります。
 あと、これは各地域の状況をお示ししましたけれども、今、感染者数が一番多いのは、静岡県の中でも東部です。東部は昨日も今日も、大体3名から5名ぐらいの感染者が続いている状況です。これは恐らく、東京に近いというところからきているのかと思いますけれども、東部は比較的陽性者が多いです。静岡県の中で最も落ち着いているのが中部。中部はなぜか、ずっと最初から最後まで比較的落ち着いています。浜松は、クラスターがありましたので、クラスターの時期が一気に跳ね上がりましたが、今は西部は本当に患者さんが少なくて、羨ましいです。
 入院状況に関してですが、今はベッドが少しずつ空きつつあります。マックスは7月の末でしたけれども、今は大分減ってきています。今はホテルのほうも大分患者数が減ってきました。ただ、東部はやっぱりまだ患者数が多いのと、東部の特徴としては、高齢者が多いのが問題点でして、大体60歳、70歳、80歳ということで、ほとんどの方が入院を必要としています。ほかの県に比べますと、常にベッドの占拠状況は3割ぐらいを超えているのが今の状況です。ピークは86%で、ベッドが全くないという状況も東部ではありました。中部は一番落ち着いています。50%を超えることがあまりなかったです。西部に関しては、クラスターの時期に関しては、非常にベッドの占有状況が高かったんですが、今は患者さんが数名程度ということで、落ち着いています。
 以上です。ありがとうございました。

○藪田委員長
 ありがとうございました。
 これより質疑に入ります。
 委員の方にお願いいたします。
 質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いをいたします。
 それでは、御質問、御意見等がありましたら、御発言願います。

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