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委員会会議録

委員会補足文書

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令和3年11月4日アフターコロナ生活環境づくり特別委員会
一般財団法人静岡経済研究所 理事 山田慎也氏 【 意見陳述 】 発言日: 11/04/2021 会派名:


○山田慎也参考人
 静岡経済研究所の山田でございます。どうかよろしくお願いします。コロナの感染状況、一旦収まって非常にほっとしているところなんですけれども、これで経済が正常化に向かうという状況かと思うんですが、なかなかそうはいかない問題点がいろいろあるという話を今日はさせていただければと思います。
 私ども静岡経済研究所は、もうじき創立60周年ということで、県内の景況状況、産業動向、それから商品の動向等を定点観測したりとか、今回のコロナのように地域経済への大きな影響があるものについては、そのテーマについて調査したりといったことを行っております。
 本日は、その調査結果を中心に、新型コロナウイルス感染症による県内経済の影響ということでお話させていただければと思います。
 まず、一番最初に、今日は大きく3つお話しさせていただければと思っております。1つは今回のコロナ感染による景気の後退の特徴ということで、今までの景気後退とは随分違う状況でしたということです。
 それから、2番目に、冒頭申し上げました今の懸念事項を3つほど挙げさせていただきましたので、その説明をさせていただきます。
 それから、3番目に今度は県民、個人個人の消費スタイルも随分変わってきたというお話をさせていただいて、まとめとして、今後どうなっていくかを述べさせていただきたいと思います。
 それでは、早速、まず1番目のコロナ感染拡大による景気後退の特徴です。資料をめくって、3ページとなります。画面と資料を見ながら、見ていっていただければと思います。
 最初に、感染拡大防止のための意図的な経済活動の急停止というタイトルになっているものですが、これは静岡県の景気動向一致指数です。県が求めております。この状況です。これが上に行くと景気がいいが、下に行くと景気が悪い、簡単に言えばそういうことなんですけれども、一番右側にコロナ禍という項目がついていまして、これを見ていただくと分かるように、コロナの状況は今までとは違って非常に急落している。それがいろいろな行動制限を人為的にかけたということで、今までの景気の後退の局面とは随分違う動きをしたということでございます。
 次のページへ移りますけれども、コロナ・ショックの谷は急激かつ深いというタイトルがございます。じゃあ、今までの景気後退とスタート地点を合わせて、どのような景気後退の動きをしていたかということです。まず、バブル崩壊については、緑の線ですね。スタート時点を100として、最終的には83になるんですけれども、この83まで下がる間に31カ月かかっている。次に、リーマンショックです。青い線ですね。青い線を見ていただくと、最終的に77まで下がるんですけれども、これが13カ月ということです。今回のコロナ・ショックはどうだったかというと、一気に100から73まで下がって、それがたった4カ月で起こったということです。これは、今までの景気後退局面とは随分違うことの1つですね。
 次のページですけれども、過去の景気後退期と比べると、コロナ禍は上昇も一定数ありという資料です。このグラフの見方ですけれども、棒グラフの上に伸びているのが経営者に意見を聞いて、これから景気が上昇しそうだと回答した経営者の割合。下の棒グラフが、これから景気が落ちそうだと回答した経営者の割合。これを両方足したのがB.S.I.というこの折れ線グラフです。たくさんの経営者が景気の後退と言うと、折れ線グラフが下に下がるということです。真ん中はゼロです。これを見ていただくと、バブル崩壊とかリーマンショックとかいうところでは、多くの経営者が景気後退と回答しているということですね。その場合には、それを合成した折れ線グラフも下に下がるということです。
 じゃあ、今回のコロナはどうだったかです。コロナのときもやはり、景気後退していると言う経営者は非常に多かったです。50%、マイナス50とここに書いてありますけれども、50%の経営者が景気後退をしている、下降しそうだと答えています。
 ところが、今回の景気、コロナ・ショックでは、上の棒も伸びているんですね。ほかの景気後退局面では、そのときに景気がいいよと言った人は10%もいなかった、数%しかいなかった。それが、今回のコロナ・ショックでは、プラス15%もいたのは、これまた大きな特徴です。これは後で詳しく述べますけれども、コロナ禍でも調子のいい企業があったということです。
 次に、今度は項目で見てみます。左側は設備投資、右側は雇用者数のグラフです。これもグラフが上に行くほど、例えば設備投資だったら積極的に行う。下だったら消極的。雇用の場合には、人を増やす、人が欲しいということです。下の場合には、人が余っているという状況です。この設備投資と雇用者数を比べてみると、赤い点々で結んだところがコロナの影響のところなんですけれども、設備投資については、コロナが始まってからガタンと落ちます。マイナスの範疇に落ちています。
 それと比べて雇用者については、確かにマイナスにはなったんですけれども、それほど下まで落ちていない。かつ、X字ですぐにまたプラスに戻ったということです。これは何を意味しているかというと、景況が悪くなると設備投資はなかなかできない、普通だったら人を雇うのを控えるんですけれども、基本的に今非常に人手不足がベースにあるということで、こういったコロナの状況でも人が足りない、欲しいという企業さんも多かったということを示しています。
 次のページですけれども、今までの状況、今説明してきたことをまとめますと、新型コロナウイルス感染拡大による景気後退の特徴ということで、ここに5つほど挙げられるのではないかと思います。
 まず1番目は、短期間かつ急速に後退した。意図的に経済活動を急停止したからです。
 それから2番目に、企業への影響については、悪い企業もあれば、良かったという企業もある。業種によってばらつきがあったということです。特に、巣籠もり需要とか特需を生かした業界もあった。例えば、百貨店は悪かったけれども、食品スーパーは良かったとかです。それから、例えば特別給付金が支給されたときには家電が売れたとか、あと例えば静岡県には紙産業がありますけれども、個人向けのトイレットペーパーは非常に売れた。でも、業務用、例えばディズニーランドみたいなところにも県内の企業さんはトイレットペーパーを卸しているんですけれども、そういったとこはからっきし駄目、ゼロ、ほとんどゼロになってしまったということで、業種によってばらつきがありましたし、企業の中でもいい事業と悪い事業があった。非常にそれがくっきり出たということですね。
 それから3番目、多くの企業で企業収益が急激に悪化した。特に、ここに書いてあるように、売上げが一時的にほぼゼロになった企業もあるということで、私どもの昨年5月の調査では、小売サービス業で調査をしたんですけれども、その15%の企業は、5月の売上げがゼロだったと回答しています。これは、私、30年以上この仕事をしていますけれども、こんな景気後退はないですね。ですので、そういったばらつきもあるんですけれども、悪かった企業はとことん悪いという状況です。
 それでは4番目、先ほど申し上げました人材の獲得のニーズというのは落ち込みは小さい。特にIT企業、ITスキルを持っている企業さん、人材については、逆に非常にニーズが高まったという部分もあります。
 それから5番目として、先ほど見ていただいたように、設備投資意欲が今非常に減退しているんですけれども、実はその中身を見ると、IT化投資というのは意外と堅調だったということが言えます。これは大まかに、今回のコロナ禍、感染症の拡大に伴う景気後退の特徴として、まずは言えるんじゃないかなと思います。
 次に大きな2番目に入ります。
 今、コロナが始まってからもうじき2年がたとうという状況なんですけれども、この直近の静岡県内の企業の状況はどうなっているかということです。我々も調査しているんですけれども、我々の立場からすると、非常に調査しにくい。何でかというと、月が変わると状況がどんどん変わっていく。1回調査すると、それはもう調査結果が若干古いという形になってしまって、コロナの感染状況によって上がったり下がったりが非常に短い時間で起こるので、なかなか調査しにくい。現状こうなっているというのは言いにくいんですけれども、今の最新の状況をできるだけデータを示しながらお話ししてみたいと思います。そこに3つの懸念事項がありますということです。
 まず、その3つの懸念事項に行く前に、静岡県内の産業の状況、数字ばっかり並んでいて恐縮ですけれども、これに凝縮されているので見ていただきたいと思います。これは9月の調査ですので、今一番最新のものになります。マイナスとついているのが、やはり景気が悪いと回答している企業さんの割合。景気がいいよと回答してくれれば、それがプラスになるという状況です。
 まず、全産業を見ていただければ分かるように、ずっとマイナスが続いていて、現状まだマイナスという状況になっています。一番悪いときが2020年の4月から6月がマイナス74、ここが一番底でした。それからだんだんよくなっていまして、現状7月から9月がマイナス23、10月から12月の見通しがマイナス8と回復してきております。これは、日銀の短観みたいなものでも同じ傾向だと思います。
 それで、この中で注目していただきたいのは、1点目は下から2番目にありますホテル・旅館業の列です。これがコロナの感染影響がでてきたときはマイナス100、それが一旦10月のGoToキャンペーンとかあったときにマイナス82になっていますけれども、それからまた100に戻っている。完全に全回答者が景気が悪いと答えているというのは、状況が変わってないということですね。これだけ感染の状況が収まったんで、見通しとしてはマイナス60ということで少し改善していますけれども、そういう状況です。
 一番下のサービス業は飲食業も含みますけれども、それもマイナス50台ですね。マイナス60近くということで、非常に悪い。でも、見通しとしては久しぶりにプラス11になっていまして、これは感染状況の収束でこれからは良くなってくるんじゃないかと見ている企業さんが多いということです。
 それから、見ていただきたいのは製造業です。上に製造業ということで合計しているところがあります。一旦、2020年4月から6月でマイナス85という数字がついていますけれども、急速に回復して、今ゼロ近くになっているということです。特に、静岡県産業で重要な輸送機器、自動車ですね。輸送用機械器具というところを見ていただきたいんですけれども、これは2020年4月から6月でマイナス100になっていますけれども、2021年1月から3月でプラス26と改善して、非常に好調に転換してきている状況です。ところが、7月から9月はプラス20なんですけれども、10月から12月の見通しとしてマイナス11となっている。これが非常に懸念材料です。タイトルにも書いてありますように、部品不足や原材料高というのは、現在非常に懸念材料になっている。それを一つ一つ今は見ていきたいと思います。
 まず、懸念事項の1です。半導体・海外生産部品の不足というのが1つ目の懸念事項です。今ここにお示しした円グラフがありますけれども、この円グラフは、調査時点が昨年8月、コロナが起こったすぐ後ぐらいのときの調査データですので、今の状況ではないということで頭を切り替えていただきたいんですけれども、そのコロナの起こったばかりのところでは、中国の部品の生産が非常に滞りまして、部品がなかなか入ってこない状況が1回ありました。そのときに県内企業の35%がそういったサプライチェーンの部品が入ってこないという影響が生じそうだと回答してくれていました。これは、中国で先に感染が広がって、それからだんだん世界に広まっていくという状況のときです。それからもう1つ、次の棒グラフですけれども、じゃあこの企業さんはどういう対応をしますかということです。在庫の積み増しというのが1つあるんですけれども、調達先を中国から別の東南アジアとか国内とか、そういったところに変更しようという動きが昨年8月ぐらいに1回あったということですね。
 それで今どういう状況になっているかというと、これが我々が聞いている県内企業さんの生の声でございます。特に輸送機器の分野で上から見ていただくと、完成車メーカーの調達難による生産台数が非常に減少していて、それが大きな懸念だよと言ったりとか、半導体や東南アジアからの部品供給不足で、向こう3カ月は輸入、生産が減ると回答したりとか、それからその下も一緒ですね。海外子会社のロックダウンで部品供給が大ピンチ、これは部品供給側の話ですよね。県内企業さんも東南アジアに工場を持っています。そういった工場の稼働が落ちて、親会社に部品を供給できないと言っているわけですね。4つ目では、輸入が大混乱ということで、コンテナ不足という話も出ています。それが下のほうへ行きますと、車だけじゃない、電子機器のほうでもそういった部品調達難で混乱している様子が非常に分かります。
 ここら辺の動きをまとめてみますと、次のページですけれども、半導体・海外生産部品の不足。まず半導体の不足です。何でこんなことになってるかですが、昨年、コロナの感染拡大が起こったときに、先ほど自動車がマイナス100と説明しましたけれども、自動車市場で当然車が売れなくなった。生産も止まったということで、そのときに半導体の調達を下げて非常に少なくした。そのときにたまたまというか、もう一方でリモートが始まったりとか、巣籠もり商品が広がって、パソコンやゲーム機のほうで半導体の需要が非常に高まった。要するに、車で使ってた半導体がみんなそういった電子機器のほうに流通ルートが振り向けられたことがまず1点ありました。
 その後、世界的に景気が回復しまして、自動車需要も急速に回復した。自動車の生産をこれから拡大しよう、半導体もたくさん必要だといったときに、既に半導体は電子機器のほうに振り向けられちゃって、車に回す半導体がなくなっちゃったのが1つの要因です。
 それから非常に悪いことに、そのときに国内の半導体工場の火災なんかもありました。それで急速に半導体の不足が表面化していったということでございます。
 それから海外生産部品の不足については、特にこれは数カ月前からですけれども、東南アジア圏でコロナの感染が拡大しました。そのためにあちらの国々では都市ロックダウンします。そうすると、従業員が工場に来られません。ある県内企業では、インドネシアで1,500名で工場を稼働していた。そこが都市ロックダウンになってしまって、工場から出たり入ったりしちゃいけませんよという話になったわけですね。ですので、従業員の200人だけは工場内で寝泊まりさせて稼働させているという話なんです。そうすると、生産量は10%しかない。在庫があるときにはいいんですけれども、だんだん在庫が減ってきて在庫がなくなっちゃうと、親会社から言われた受注製品の10%しか部品を返せないということで、今、要するに大手の自動車メーカーが減産に入っちゃっている状況でございます。
 最後、赤字で書きましたけども、大手メーカーの減産。9月の生産の数字が何日か前に出たので付け足しましたけれども、トヨタではマイナス55.3%、ホンダも同じぐらい。県内企業のスズキでマイナス35.6%ということで、非常に大きな生産調整を行っているということです。これに伴って県内の下請企業の受注も減っている。それから、自動車が来ないんで販売も止まっちゃっている。これも今日だか昨日、国内の販売も3割、4割落ちていると出ていたと思うんですけれども、需要はあるけれども車不足で提供できない状況に陥っている。非常に懸念すべき大きなマイナス影響ということでございます。
 次に、原材料価格の高騰です。懸念事項の2ですね。ここに今グラフを2つ、左側はレギュラーガソリンの小売価格、右側は製材。最近ウッドショックという言葉もあると思うんですけれども、非常に木材が上がっているということで、2つ象徴的なグラフを出させていただきました。全然これだけじゃないんですね。今新聞を見ますと、あれも上がった、これも上がったと毎日報道されています。原油だからガソリンということになるんですけれども、それからナフサ、それから鉄鋼、鋼材、特に銅、アルミ、こういったもの。それからEVで使うリチウムみたいなレアメタルの系統、それから後は食材も上がっています。小麦粉、トウモロコシ、それから建設で使う建材も上がっています。石膏とかガラスとか、ここで言い切れないほどですね。何でも上がっていると思うぐらいに価格が急高騰しています。
 それが今、県内の企業にどういう影響をもたらしているかがポイントなんです。これは、我々が原材料価格の高騰によって収益に影響がありますかという調査を8月の時点でさせていただきました。ここの数字は、利益が減ると答えた企業の割合です。例えば、燃料費、先ほど言ったガソリン等の価格の高騰は、電気、ガス、こういったものも上がってきています。こういった価格の高騰で県内企業の33.9%が利益にマイナスの影響があると答えています。これは、当然業種によって大きく違います。運輸・物流については、7割の企業がマイナスの影響があると答えております。そのほか、化学、それから輸送機器。ガソリンとなると、ありとあらゆる業界がマイナスの影響を受けるということです。
 次は、金属系、先ほど言った、鉄、鉄鋼、アルミ、銅みたいなものですね。これについては、全体では20.8%なんですけれども、一般機械は7割近いですね。電気機械、金属製品、こういった静岡県の屋台骨となる製造業に非常に大きなマイナスの影響を与える。それから輸送機器もそうですね。こういったのも非常に利益をそぐということになっております。あとは、石油系、ナフサから来るポリエチレンとかポリエステルとか、そういったもの。それから、先ほど言った木材製品、これは木製品もそうなんですけど、建設に影響を与える。あとは、紙もパルプを使っているので、紙産業も影響がある。それから、穀物系が大豆、小麦、トウモロコシなんかがあるんですけれども、こういったものは食料関係ですね。飲食料品、宿泊なんかにも非常に影響があるということです。そういったことで、今、ありとあらゆるものが上がっている。県内企業の利益をそぐ状況が、これからはっきり出てくるだろうと思っています。
 最後に、先ほど説明した半導体不足についても聞いておりまして、半導体が調達できないということと、調達できても企業によっては単価が3倍から5倍というとんでもない金額を請求されたという状況も出ていて、調達できないのも大変だけども、調達できても単価が高いということで、非常に苦労している状況です。
 県内企業の生の声ということで、こんな回答がありましたというのを御紹介しています。例えば、金属系では非常にコストアップにつながっているという話。それから、4つ目、公共工事の積算が市場価格に追いついておらず、逆ざやが発生しているということです。建設業で公共工事というのは積算されるわけですけれども、その積算以上に市場価格が急速に上がっちゃって、逆に工事をやると赤字になっちゃうという意味ですよね。そういった状況も発生してますよという回答が来てます。
 それから、石油製品については、化学製品の会社では値上げ要請が多数来ているということです。特に、私個人的にはナフサに非常に注目しています。原油から第一次に精製されるものをナフサといって、それはポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、こういったプラスチックの材料になる。これがプラスチックの材料になって、例えばフィルムであるとか包装用紙であるとか、あとはポリバケツみたいな日用品であるとか、それから衣装ケースみたいなものですね。ありとあらゆる日用品に今そういったポリ材料が使われている。これが、ナフサが今大体2倍になっているんですけども、価格が上がることによって一般の消費の物価が非常に影響を受けるだろうと思っています。このナフサが今、底値が2倍になっているので、これも非常に懸念しています。あと、木材についてはウッドショックですね。利幅が非常に減ってます。それから穀物、これは特に輸入品ですね。輸入品が非常に値上がっているということでございます。
 原材料価格の高騰についてまとめてみます。原材料価格の高騰、何でこんなことが起こっているかですけれども、基本的には中国やアメリカの旺盛な需要から始まって、世界全体が一旦ガタンと落ちたのが、今急速に需要が拡大しているということが1つ。それからあと、物流の混乱もあるということです。詳しくは説明しませんけれども、コンテナ不足があったりとかして、輸送コストが非常に上がっています。それから、天災や天候不順が絡んで、アメリカでハリケーンの影響があって工場がちょっと停止したとか、そういう点もたまたま悪いことが重なった状況で、それで今言ったような原油から様々な原材料が上がっている、半導体は調達難ということになっています。
 プラス、つい最近の動きとして、円安も非常に日本にとっては厳しい状況になってくるかなと思います。輸入に頼っている原材料が多いわけですから、原材料単価が上がるのに加えて円安になって、為替での単価のアップがこれから重なってしまう可能性もある、これは懸念されるところでございます。それによって県内産業も収益が大きくダウンするということです。ここで、じゃあ販売価格に転嫁すればいいんじゃないかという話なんですけれども、私どもの調査では、県内企業の52.4%が全く転嫁できないと答えてます。非常にデフレの世の中で、販売価格に転嫁すると、販売が落ち込んでしまうということで、かつ例えば下請企業だったら、親企業がそれを受け入れてくれないとか、そういった状況で全く転嫁できないというのが50%もあるとなってきますと、こういった原材料価格の高騰はそれぞれの企業の利益を削っていくことになるわけです。これは我々が試算したんですけれども、電気機器では総合計で17.6%の利益の下押し、削減が発生してしまうんじゃないか。運輸・物流では17.4%、自動車産業では10.7%ぐらいの利益の減少が起こるんじゃないかと試算しております。これは、ここに出ていない食品等今まで好調だった業種にもこういった影響が及んでしまうというのがあります。
 次に、3つ目の懸念事項です。中小企業の過剰債務の問題でございます。ここにお示ししているデータは、我々の調査ではなく東京商工リサーチが発表したデータを使わせていただきました。これを見ますと、資本金1億円未満の中小企業に債務、負債、借金が非常に多いと思っていますかという質問で、コロナ前から非常に過剰感があるという回答が14.1%、それから、コロナ後に過剰となったというのが21.7%。これを足しますと35.8%、3社に1社が今自分たちの企業は借入れが多過ぎると考えているということです。
 これがまた業種によって非常に懸念されるべきものですけれども、右側に業種のその割合を書いています。飲食店については8割の企業が借入れが多過ぎる。宿泊業もほぼ同じ、娯楽業、こういったところで非常に今借入れ過多になっているという状況です。
 この中小企業の過剰債務問題をまとめてみますと、資金繰り支援が今ずっと行われてきています。静岡県内でも行っています。国や県の制度融資によって、金融機関も資金繰り支援をやっている。それによって倒産は非常に少ない状態です。企業は持ちこたえているということです。ただし、それによって借入れが増加している状況で、コロナによって業績が不振でなかなか利益が出ないところは、返済がまず進んでいません。実際に制度融資には、返済猶予期間があるものですから、まだ返済が始まってないこともありますけれども、それで過剰債務になっている状況です。特に、飲食、宿泊、娯楽業といった対面サービス業ですね。そういったところで、状況が顕著になっているということです。
 この過剰債務の解消がなかなか困難だと私も思ったんです。それは何でかというと、コロナが収束して業績が改善して、借入れを返済して過剰債務を解消するのが理想なんですけれども、サービス業というのは、今まで消失してなくなってしまった利益を取り戻すことがなかなか難しいんですね。それはコロナが収束して、例えば飲食業で営業時間を増やせますといっても、今はなかなかお客さんて慎重になって来てないですよね。ですので、もともと利益率が高くないんですけれども、利益が上がるのに時間がかかる。そうすると、返済がなかなか進まない状況で、非常に厳しい状況が続くと見ています。コロナ後も中小・零細企業の継続性を非常に注視していく必要があると思っています。
 それでは、大きな3番で県民の消費スタイルの変化に行きたいと思います。コロナによって、特に外出自粛で消費の在り方が大きく変わっています。左側に将来への不安感と外出自粛への対応ということで、当然コロナに対して不安が大きい人ほど外出自粛をした状況が見れると思います。それによって、右の上の表ですけれども、実店舗で買物することに対して抵抗感ありますかという質問に対し、コロナ前はなかったけれども、現在抵抗感があると回答した人が非常に増えています。それに対応して、ネットショッピングの利用頻度。これはもともとネットショッピングってもう普及していましたけれども、コロナによってより積極的に利用する人が増えた、消費の形が変わってきたというのが1つあります。
 次のページで、余暇サービス分野はどうなったかということで、抵抗感と消費意欲のせめぎ合いと書かせていただきました。左側のグラフは下にグラフが伸びているほうが抵抗感が強いということです。上のグラフが、今後1年間、今後というのはこの調査時点がちょうど去年の今頃なものですから、今年1年間どうだったかと読み替えてもらってもいいです。今後1年間にそれを実施したいですかということですね。当然、抵抗感が強いほど実施したいという人が少ない。特に、大人数の宴会やパーティーは、コロナ最盛期の頃は誰もそんなの行きたくない。だから、抵抗感が非常に強くて実施率も非常に少なかった。旅行のところを見ていただくと特徴的なんですけれども、公共交通機関を利用して県外に行くのは抵抗感がある。でもマイカーを利用して県外旅行するのは抵抗感があまりないからやりたいという人が多かった状況がこれで見てとれると思います。
 それから右側、これは3月に我々が調査して、今までそういった利用を我慢してきたものがありますかということです。国内旅行は4割の人が我慢しました。日帰り旅行も行きたいけれども我慢しましたという回答が得られています。ここの右下に黄色く、凍結した消費額と書いてありますけれども、じゃあその1年間我慢したものを金額に直したらどのぐらいですか。我々が試算したところでは4380億円と非常に莫大な金額。これにはサービスだけじゃなくて消費も入っていますけれども、そういう金額が一度凍結した、動いてなかったということです。
 次のページですけれども、その中で消費の変化として非常に注目してもらいたいのは、地域社会への貢献や環境意識が高まったということが1つデータとして出てきました。左側の円グラフですけれども、コロナの流行により地元や社会に対して、消費を通じて貢献しようという意識の変化がどうだったか。コロナを通じてそういった意識がとても高まった、やや高まったという方が34%もいらっしゃるということです。それから右側について、商品やサービスを購入する際の環境への意識。これはもともと高い意識があったと思うんですけれども、そういった環境への対応の意識を持っている人が42.8%で、非常にここら辺も広がってきたんじゃないかなと思っています。
 今言ったような消費の変化や地元志向の意識とか、そういったいろいろな質問を統計的にまとめまして、同じような回答をした人のグループを作っていくクラスター分析というものがあるんですけれども、どんなグループがあるのかを統計的に分析しました。この6つのタイプに、県民の6つの消費スタイルが出てきたということでございます。左上の平均大衆消費型というのは非常に平均的で、ネットショッピングを活用してなるべく外出しない人が4割、平均的なスタイルです。その下の左側の真ん中ですね。環境重視・地元応援消費型。これは年代では40代から60代で、環境意識が非常に高くて、環境に優しい商品を買う人が9割。それから、地元企業の商品を積極的に購入したい、地元に対する愛着が非常に強いという人は4人に1人いらっしゃるということですね。これは我々継続的に調査しているわけじゃないんですけれども、恐らくコロナで新たに発生した固まりなんじゃないかなと思っています。
 それから、その左の一番下ですね。健康重視・巣籠もり消費型というグループが15%見つかりました。これは、専業主婦さんが比較的多くて、将来の不安が非常に強くて、外出自粛は徹底して、感染防止もしっかりやってほしいと。ネットショッピングも積極的に活用する。こういったグループの方々も、やはり健康関連商品や地元の商品を積極的に買おうという意識を持っておられます。この2つのグループが、恐らくコロナで新しい消費スタイルとして生まれてきたんじゃないかなと思います。
 あと、右側に利便性重視消費型。これは独身者の消費スタイル。それから右側の一番下ですね、アクティブ消費型。これは男性が7割を占めるんですけれども、あまりコロナを意識しないで、普通の店舗で買物をします、経済活動を優先しますよというグループが5%くらいいらっしゃるということです。こういった分析をすると、いろんな消費者の考え方、スタイルがあると分かります。
 これらをまとめてみますと、これからの消費・観光の行動ということで定着しそうなのが、まずは巣籠もり消費ですね。ネット通販やECサイト、内食・中食、デリバリーみたいなもの、宅配ですね。それから家で楽しむ趣味の用品、こういったものが定着するだろう。
 2番目に、リモート、非接触の定着。リモート会議、リモート授業、こういったものは今、日常的になっています。それから、地域にとってはワーケーションや郊外移転、地方移転、こういった動きもじわじわと定着するだろう。レジャーについては、屋外レジャー、マイクロツーリズム、近場で消費をしようという、こういったものが定着するだろう。
 それから、3番目については、感染予防行動ということで、商品について今は当然衛生用品が継続的に置いていますけれども、静岡県も非常に重視している医療機器産業ですね。こういったものが非常にこれから重要な産業になってくるだろうと言えると思います。
 時間もそろそろ迫ってきましたので、最後のまとめに行きたいと思います。
 コロナ感染がもたらした新しい価値基準があるんじゃないかということです。今お話してきたものをまとめると、このようになります。
 まず、大きな影響を受けた分野の修復がどうしても必要だろうと思います。飲食、宿泊、レジャー産業、それから雇用形態としては非正規労働者。こういったところが非常に打撃を受けています。コロナの収束で人々の行動が正常化する中、回復に向かうと考えていますけれども、なかなか簡単ではない。修復に時間がかかるだろう。例えば、静岡の地下街においても、実際閉店しちゃった店がありますよね。この閉店した店舗も、じゃあ新しくまた再開する、新装開店するのは結構大変なんですよね。そこそこ人通りがちゃんと戻った、お客さんが来るという見込みが立たないと、なかなか再生できない。実際に新聞報道でも、全国で4万5000店舗が閉店したというデータも出ていましたけれども、これらが採算を合わせて再生するには、なかなか時間がかかると思うんですよね。
 それから、潰れないまでも先ほど言った過剰債務の問題。こういったところでなかなか再生するのは時間がかかる。それから、じゃあ経済活動を再起動させる原動力とは何かです。これは、先ほど申しましたコロナの影響が限定的だった業種。それから個人単位で言えば、収入が減らなかった人、貯蓄に余裕がある人、株高で恩恵を受けた人、高齢者やリタイヤした団塊の世代の方々、こういったある程度資金力のある人が長期間の自粛生活で消費エネルギーがたまっている状況で、それが新たに消費に戻ってくるのが1つの原動力になるかなと思います。
 ただし、そういった回復を妨げるブレーキがありますよというのが今日説明したことで、半導体、部品不足、物流の混乱、人手不足という供給体制の問題ですね。
 それから、原材料の高騰で企業の収益が減少する。それは、賃金に跳ね返る。それから物価が上昇する、それは、消費の低迷に跳ね返る。こういったブレーキは、だんだん解消される方向にはあるとは思いますけれども、ただし最後に赤字で書かせていただきましたが、人々が求めている経済回復の基準はちょっと変わってきているんじゃないかなと思われます。
 最後に、人々の価値観の変化というところで少しお話しさせていただければと思います。最近の景気について、左側でコロナで当然景気が悪くなっているという人が6割いるんですけれども、なぜか生活の満足度は上がったと言っている人も増えています。何ででしょうということです。これを見てみますと、テレワークや、残業時間が減って、それぞれ余暇や自由時間が増えている。そういった中で、コロナを機に新たに始めた趣味なんかがある、新たに挑戦したものがあると、3割ぐらいの人が言っているんですね。これは、やっぱり人の生活のパターンが変わってきているということです。家族の時間が増えたとか、それから単純に健康のありがたさみたいなもの。ふだん普通に生活していることが非常にありがたいというように、価値基準が若干変わってきたんじゃないかなという感じがします。
 最後のページですけれども、そういった人々の感覚が変わってきているのを世の中的にまとめると、こんなことになるかなと思います。
 東京一極集中から人口が今地方に流出しています。在宅勤務やリモートワーク、オフィスの不要論まで出ています。それからDX、今日はデジタルの話はあまりしませんでしたけれども、そういったデジタル技術を使って世の中をうまくしていこうということも出ています。それからサプライチェーンの話はしました。今までは、できるだけ海外から人を呼んでお金を落としてもらうという発想でしたけれども、地域の中で何かを開拓していこう、マイクロツーリズムで開拓していこう、地元のよさを再発見しようという意識の変化もあります。
 これらをまとめてみますと、経済性や効率性一辺倒から、人々の生命、健康、安全、環境、地元、こういったものを重視するという姿勢が県民の中に、消費者の中に生まれてきているんじゃないか。これをまとめてみますと、持続可能な社会への転換ということで、こういった意識を持つ人が増えたということは、例えば企業がこれから事業をやっていく上でも十分意識して対応していく必要があるんじゃないかなと思っております。
 以上で私からの説明を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。

○曳田委員長
 ありがとうございます。以上で山田様からの説明は終わりました。
 ここで換気のために少し休憩します。5分後に再開したいと思いますので、皆さん、よろしくお願いします。

( 休 憩 )

○曳田委員長
 それでは、委員会を再開いたします。
 これより質疑に入ります。
 委員の方にお願いいたします。質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いいたします。
 また、委員会のようにあえて順番は決めませんので、ぜひ皆さん、12時ちょっと前までで御配慮いただきたいと思います。
 それでは、御質問、御意見等がありましたら発言願います。

お問い合わせ

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