本会議会議録
質問文書
令和7年9月静岡県議会定例会 質問
質問者: | 小沼 秀明 議員 | |
質問分類 | 一般質問 | |
質問日: | 09/25/2025 | |
会派名: | 自民改革会議 | |
質疑・質問事項: | 1 知事の政治姿勢について (1)県議会との財政改革の進め方 (2)県民理解を得る多文化共生の推進 2 戦略的なお茶の振興策について 3 急傾斜地崩壊対策の今後の進め方について 4 有事に備えた防災訓練の内容の充実について 5 カーボンニュートラル社会の実現に向けた中小事業者への支援について |
○議長(竹内良訓君) 開議に先立ち、御報告いたします。
説明者として、本日酒井危機管理監が出席しておりますので、御承知おき願います。
○議長(竹内良訓君) ただいまから会議を開きます。
議事日程により、知事提出議案第百二十六号から第百四十六号まで及び令和六年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とします。
質疑及び一般質問を行います。
通告により、十四番 小沼秀朗議員。
(十四番 小沼秀朗君登壇 拍手)
○十四番(小沼秀朗君) おはようございます。
質問の前に、台風十五号の影響で、お亡くなりになられました方に謹んで哀悼の意をささげ、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
それでは、自民改革会議所属議員として通告に従い、当面する県政の諸課題について一括質問方式にて知事、副知事、関係部局長に質問します。
初めに、知事の政治姿勢についてのうち、県議会との財政改革の進め方について伺います。
我々県議会議員は、県内各地域における課題や政策要望を県民の皆様から直接拝聴し、どういった静岡県のまちづくりをすれば県民のニーズを満たし幸福度が上がっていくのか、まさに県が掲げる幸福度日本一に向けた活動を日々重ねています。そして県民の皆様の声を施策や事業、予算編成に積極的に反映すべく県当局と折衝を重ね地元密着、地域連携を原点として静岡県の明るい未来につながる議員活動を行っております。地域の皆様や第一次産業、商工業、観光業をはじめ医療・福祉関連ほかの皆様や各種団体、さらには基礎自治体である市町などからも多様な御要望を頂きます。これらの声を真摯に受け止め今後の政策に着実に反映させていくことは県議会議員の責務であります。
知事は、中期財政計画に関して六月定例会における我が会派の代表質問に対し、私が先頭に立ちサマーレビューを実施することとし、各部局が全事業を点検し抜本的な見直しを行い財源と人的資源の最適化を図っていくと答弁しました。そして七月十四日には事業のゼロベースでの見直しや歳出削減に向けた検討など、知事から県幹部に対しサマーレビューについて直接指示があったとのことです。
財政運営の総点検を行うサマーレビューは、過去にも平成九年度から石川知事の下で小笠山総合運動公園や静岡文化芸術大学をはじめとする大規模な主要プロジェクトの総点検はじめ、数年間にわたり幅広い取組が行われたと伺っております。財政健全化に向けた取組は確かに必要ですが、数字ありきの歳出の見直しにより真に必要な事業まで削減され県民や事業者に対する行政サービス等が低下してしまうようなことがあってはなりません。たとえ円安に伴う輸入原材料費の高騰や人件費の伸びなど歳出の増加が避けられないとしても、激甚化する自然災害への備えとなるインフラの整備をはじめ県民の皆様の生命や財産を守る事業は着実に実施していかねばなりません。このためサマーレビューの見直しは県民の皆様や事業者に納得頂けるよう丁寧なプロセスの下に進めていく必要があります。
今、県当局は財政健全化に向け四年間の改革強化期間とサマーレビューを踏まえた上で県民の皆様の御要望には慎重に検討していくとの緊縮財政の姿勢を強調しています。これらは知事が掲げる財政改革の方針がきっかけとなり、県民のニーズよりもまずもって財政健全化を優先するとの印象を受けます。
そこで、今回のサマーレビューを皮切りとした財政改革の取組について、行政サービスの受益者である県民や事業者の皆様に納得していただけるものとするために我々県議会との間でどのように意思疎通を図り今後どのようなプロセスを通して改革を進めていくのか伺います。
次に、県民理解を得る多文化共生の推進について伺います。
鈴木知事は、浜松市長時代から日本に来た外国人の日本語教育や生活支援、子供の教育等の課題は外国人を受け入れた自治体任せとなっていることについて問題意識を持っておられ、この課題解決に向け昨年十一月に鈴木知事をリーダーとし四十四道府県が参加する外国人の受入と多文化共生社会実現PTを設置されました。
県内の在留外国人数は、令和六年十二月時点で約十二万四千人の過去最高となり県民全体に占める割合は三・五%、私の地元掛川市も五千六百三十三人で市民全体に占める割合は四%を超えています。ちなみに同時点にて全国では三%の割合です。磐田市、掛川市、袋井市、菊川市、森町から成る四市一町の多文化共生広域連携促進会議からも多文化共生施策に関する要望書が本年七月四日鈴木知事宛てに提出されました。
人口減少、少子高齢化が進む中、労働力の育成・確保を目的に令和九年六月までに開始される育成就労制度により外国人のさらなる増加が見込まれています。PTでの協議を踏まえて国への提言を取りまとめ七月三十日に鈴木知事が鈴木法務大臣、青木内閣官房副長官に直接要望に行かれたことが報道されますと、県には九月九日時点で三百三十五件の意見が寄せられ、ほとんどが批判的なものだったと聞いております。
こうした背景には、在留期間を終えた外国人労働者が翌年度に納付すべき個人住民税を未納のまま帰国してしまうケースがあることや、厚生労働省が六月に発表した百五十市区町村の平均で外国人の国民健康保険の納付率が日本人に比べて約三十ポイント低い可能性があることなどが国会で指摘され報道されたことも影響していると考えられます。
一部の報道で外国人への印象が偏ってはならないと思い県内の状況を問いましたところ、日本人、外国人ごとの県民税の納税状況は現時点では示すことができないとのことでした。こうしたことは実態が把握できるよう国とともにシステムを整備していかなければいけないと思います。
また、犯罪に関しても同様に日本人と外国人の人口当たりの犯罪率は示すことができないとのことでしたが、統計資料の検挙数を参考に試算してみたところどちらも減少傾向にあり、令和六年の統計では日本人は約〇・一八%、外国人は約〇・三一%となりました。外国人における納税や犯罪についてイメージが拡散していますが、外国人の方を知らずに恐れる、疑うことがないよう県として正確な数値を把握し開示し県民の皆様と外国人との信頼関係を構築することが求められていると思います。
今後、さらに多くの外国人を受け入れていくに当たっては日本での暮らし方のルールをしっかりと教えていくことで犯罪の抑制や納税を果たすことにつながっていくのではないでしょうか。さらには外国人の様々な相談に寄り添うことや日本人、外国人の相互理解に向けた住民同士の交流を促進することが双方の安心感にもつながると考えます。
知事は、日本一の多文化共生県を目指しているとのことですが、県民理解を得る多文化共生の推進にどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、戦略的なお茶の振興策について伺います。
本県の茶業は長らく国内消費量の減少に伴う茶価の低迷に直面し生産現場の疲弊が続いてまいりました。お茶の間で急須でお茶を入れる光景も減りライフスタイルの変化や嗜好の多様化、緑茶以外の飲料との競争激化等により国内における緑茶のリーフの消費量は年々減少してきたところです。
しかし、本年の荒茶平均価格は一番茶で前年比約一・三倍、さらに二番茶と三番茶においては前年比約二から三倍に達する見込みという近年にない高値相場となりました。この背景には生産者の高齢化や労働力不足による生産量減少、春先の低温や温暖化の影響による収量減少、そして煎茶から抹茶原料であるてん茶への転換による煎茶供給量の減少に加えメジャーリーグベースボールのオフィシャルスポンサーをはじめとしたペットボトル茶のニーズの高まりなど複数の要因が関係していると考えられます。
県は、海外需要に応えるためてん茶や有機茶の生産に適した品種への改植を進めており、その方向性は妥当であると考えますが今売れている抹茶についてもこの先も選ばれ続けるためには品質及び販路の確保ほか今後の展開に対応する戦略を練る必要があります。改植を進める生産者は、現在の抹茶需要の好調がいつまで続くのか輸出用茶園をどこまで拡大してよいのか将来への不安を抱えています。今後の需要予測や市場分析を踏まえてん茶の生産をどれほど増やし煎茶の茶園をどれほど残し維持すべきか生産構造の具体的な目標を示すことが必要ではないでしょうか。
一方で、生産者の高齢化や人手不足により今さら改植はできないとの声は根強く従来どおりの生産を続ける農家が多くいます。改植など生産方法の転換が難しい農家に対しても、もうかる仕組みを提示し経営を継続できるような支援が必要ではないでしょうか。何より本県にて長年にわたり築き上げた世界一の高い品質を誇る深蒸し煎茶や普通煎茶などにこそ、国内市場のみならず海外市場への戦略を立て需要喚起を図り輸出商品としての価値を高めつつ販路拡大を推進することが重要だと考えます。
このような状況を踏まえ、本県の主要な産業である茶業の再生と持続的発展を実現するため今後のお茶の振興策をどのように展開していくのか伺います。
次に、急傾斜地崩壊対策の今後の進め方について伺います。
近年、線状降水帯による局地的な豪雨や台風の大型化などにより風水害が激甚化、頻発化しており、各地で甚大な被害が多発しています。中でも崖崩れは一たび発生すれば一瞬のうちに生命を奪う恐ろしい災害であり、昨年本県で発生した八十六件の土砂災害のうち崖崩れの発生件数は六十九件となっています。これは能登半島地震や豪雨に見舞われた石川県に次いで全国二番目に多い件数でありました。また最近十年間の崖崩れの年間平均発生件数は約五十六件であり、それ以前の十年間の平均よりも一・五倍に増加しており今後も発生件数が増えていくのではないかと危惧しています。
私の地元掛川市は崖地が約千百か所と浜松市、静岡市に次いで三番目に多く、現在県、市による急傾斜地崩壊対策事業が合わせて五か所で進められています。今後豪雨がより一層激甚化、頻発化することが考えられますので県内の急傾斜地における崩壊対策事業の加速化が求められています。しかしそれには指定の要件といった高い壁があります。
掛川市の桜木地区の遊家区では、令和四年の台風第十五号により人家二戸の急傾斜地で崖崩れが発生し貴い命が失われました。改めてお亡くなりになられた方に哀悼の誠をささげます。
こうした指定の要件に当てはまらない人家が少ない急傾斜地は県内に多数存在しており、厳しい財政状況の下では近隣の安全な土地への移転を促すことも対策の一つと考えます。県と市町の協調補助において、ケースにより異なるものの住宅ローンの利子に対しては最大四百六十五万円、さらに既存住宅の除却費にも補助されることなどをどれだけの県民の皆様に周知されているでしょうか。崖対策を有する強固な改築に多額の費用をかけ大雨のたびに崖崩れの心配をしながら生活するよりは、情報を知っていれば移転を選択する方も少なくないと推察します。
県内で頻発している崖崩れから県民の皆様の命と暮らしを守るためには、ハード対策とソフト対策をどちらも進めていくことが肝要であります。
そこで、急傾斜地崩壊対策の今後の進め方について伺います。
次に、有事に備えた防災訓練の内容の充実について伺います。
七月三十日にロシアのカムチャツカ半島付近で起きた巨大地震で気象庁は午前八時三十七分から津波警報、津波注意報を発表し約三十二時間後にこれらを解除しました。全国各地で建物の屋上に大勢の人が長時間の避難を余儀なくされ避難場所でも厳しい暑さの中での避難となりました。こうした事態から避難の在り方を見直すことが必要であると感じています。
台風十五号では県内二十の市町にて計二百三十四人の方が避難所に避難されました。激甚化する自然災害に対し、より実践的な防災訓練にて防災力を高めることが求められていると実感しています。
本県では、平成二十五年に静岡県第四次地震被害想定が発表されて以降、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づきハード・ソフトの両面から減災対策に取り組むとともに、昨年一月の能登半島地震で発生した孤立集落への対策など災害の教訓を踏まえ様々な事態に適切に対処できるよう訓練を実施していると認識しております。年間を通じて総合防災訓練や地域防災訓練、津波避難訓練などにおいて自衛隊や消防、警察等との連携の下、消防団による消火訓練や警察のヘリコプターを活用した救出救助訓練を行うなど災害応急対策の実効性の向上に努めていると承知しています。
こうした中、近年の災害では頻繁に道路の寸断が発生しているため小回りが利くバイクの活躍も注目されています。掛川市ではバイクレスキューネットワークの皆様がバイクの特性を生かし薬剤など緊急物資の小口輸送を行う訓練を行っています。今後孤立集落等の状況把握ほか、県内のバイクレスキュー隊の皆様との連携は有効であると考えます。
また、総合防災訓練には昨年度は県内で六百四十二人の消防団員が訓練に参加していますが、県消防協会執行部からは消火訓練のほか救助訓練など大規模災害時の支援活動訓練の充実や他機関との連携強化を求める声も寄せられています。さらに行政が指定する避難場所にて長期にわたる避難生活においては避難者の健康状態が悪化するなどの懸念もあり、訓練の成果を避難生活の改善に反映できる取組が必要であると考えます。
そこで、今年度の総合防災訓練は多くの関係機関と県民の皆様にも御参加頂き十月十九日に様々な訓練が実施されると伺っていますが、どのようなことに重点を置いて実施するのか伺います。
最後に、カーボンニュートラル社会の実現に向けた中小事業者への支援について伺います。
気象庁は九月一日、今年の夏の平均気温は平年より二・三六度高く、統計を開始した一八九八年以降最も高くなったと発表し、異常な高温だったとしています。熱中症による六月の救急搬送者は全国で一万七千人余りとこれまでで最多となり、熱中症警戒アラートも連日のように発出されました。八月六日には静岡市で国内歴代最高記録に迫る四十一・四度を記録するなど記録的な猛暑に見舞われました。
暖かい空気はより多くの水蒸気を含み、大雨による災害の激甚化や異常気象はもはや常態化しつつあると言っても過言ではありません。地球温暖化は最も緊急性の高い世界共通の課題であり、カーボンニュートラルの実現に向けて社会経済システムを転換していくことはまさに一刻の猶予もならぬところまで来ております。
こうした中、本県においても二〇五〇年カーボンニュートラル社会の実現に向け二〇三〇年度の温室効果ガス排出量を二〇一三年度比で四六・六%削減することとし、さらなる高みを目指すと削減目標を策定しています。この目標に向け県内の各界各層にて努力が重ねられ、産業界ではサプライチェーンの上位企業から傘下の企業への温室効果ガスの削減要請が年々強くなっています。しかし現在中小企業、個人事業主、各種団体等のいわゆる中小事業者の多くは原材料費の高騰や社員賃金ベースアップを求められるなど資金繰りに苦しんでおり、排出量の削減に対応できる事業者は少ないのが実情です。
そうした中、中小事業者の脱炭素経営への移行を支援するため昨年五月県内の全ての金融機関や経済団体、大学、県・市町等で構成するしずおかカーボンニュートラル金融コンソーシアムが設立されました。県内の地方銀行と信用金庫をはじめとする全十三金融機関が資金を拠出し合い中小事業者の脱炭素経営のための共同事業を実施するという画期的な取組です。
そこで、当コンソーシアムが設立されて一年が経過しましたが、その成果とカーボンニュートラル社会の実現に向けた県としての今後の中小事業者支援の方向性について伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(竹内良訓君) 鈴木知事。
○知事(鈴木康友君) 小沼議員にお答えをいたします。
戦略的なお茶の振興策についてであります。
本県茶業は農家数や生産量の減少傾向が続く一方で、本年は低迷していた茶取引価格が急上昇するなど情勢は目まぐるしく変化しております。このような中で本県茶業を再生するためには将来を見据えた実効性のあるビジョンを掲げることが重要となります。
このため、県では煎茶やてん茶などの用途別、国内・海外の市場別の需要動向を分析した上で海外需要の増大にも対応可能な生産体制を描く新たな茶業振興計画の策定を進めております。現在世界的に抹茶需要は堅調に推移しておりますが、計画の策定に当たりましては将来にわたって静岡茶が選ばれ続ける存在となるよう品質の向上と安定供給体制の強化を戦略として明確に位置づけてまいります。
この戦略においては、必要となる生産体制を計画的に構築していくため需要分析や生産実態を基に基盤整備や改植などにより維持すべき茶園面積の目標や煎茶、てん茶の茶園構成比など具体的な指標を示すこととしております。この際輸出に適した品種への改植が難しい茶農家に対しては、二番茶以降の生産において現行の品種を輸出用に栽培管理する方法を組み合わせるなど通年で安定した収益が確保できる生産体系を提示してまいります。
また、高い品質を誇る煎茶の販路開拓につきましては、抹茶を含めた静岡茶ブランディングプロジェクトにより静岡茶の品質の高さなど本質的な価値を明確にした上でそれを前面に押し出したプロモーションを展開するなど国内のみならず海外に向けた明確な方向性を打ち出してまいります。
県といたしましては、新たに策定する茶業振興計画を茶農家や市町、JAをはじめとする茶業関係者と共有し関係者一丸となって本県茶業を再生してまいります。
なお、その他の御質問につきましては関係部局長から御答弁申し上げます。
○議長(竹内良訓君) 山田財務部長。
○財務部長(山田勝彦君) 知事の政治姿勢についてのうち、県議会との財政改革の進め方についてお答えいたします。
本県では、歳入歳出の構造的なミスマッチから財政調整用基金の取崩しや資金手当債の発行等に依存する財政運営となっています。将来世代への負担先送りを避けるためこうしたミスマッチを早急に解消し自転車操業状態を脱却することで持続的な財政運営を確立することが急務であります。
財政制約の中で、直面する行政ニーズに的確に対応しつつ将来世代のための財政健全化を進めていくためには、県民や事業者の皆様に対し財政の現状と中長期の見通しを率直にかつ分かりやすくお示しするとともに、どのような事業をどの程度の水準で行っていくか御意見を丁寧に伺うプロセスが必要であります。来年度当初予算に向けては県民や事業者の皆様に直接ニーズを伺う新たな政策立案プロセスも導入いたしますが、やはり地域や現場の生の情報に精通する県議会の皆様との真摯な議論が極めて重要であります。
今後、会期中はもとより会派や議連の場などを通じた積極的な政策議論をこれまで以上にお願いする中で来年度当初予算の骨格や各事業の方向性の見定め等を丁寧に行ってまいります。以上であります。
○議長(竹内良訓君) 山田企画部長。
○企画部長(山田琢也君) 知事の政治姿勢についてのうち、県民理解を得る多文化共生の推進についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり、日本人、外国人の相互理解を進めるとともに外国人の様々な相談に寄り添って困り事を解決することは、日本人の安心にもつながることから非常に重要であると考えております。
このため、市町と連携して実施している地域日本語教室においては地域の日本人住民にも参加頂き、外国人と日本人が交流しながら日本語や生活のルールを学ぶプログラムを実施しております。参加した日本人においても他国の文化、習慣への理解が深まり相互理解の輪が広がっております。
外国人からの相談につきましては、静岡県多文化共生総合相談センター「かめりあ」が在留資格、労働、医療、税金など様々な相談を一元的に受け付け、問題解決に至るまで出入国在留管理庁や静岡労働局など適切な専門機関と連携して対応しております。こうした対応により外国人の困り事や不安に寄り添うことで意図せぬルール違反や違法行為を未然に防いでおります。
今後も、県民理解を得る多文化共生社会の実現に向け日本人と外国人が互いに理解し合い安心して暮らせる地域づくりを進めてまいります。以上であります。
○議長(竹内良訓君) 梨交通基盤部長。
○交通基盤部長(梨記成君) 急傾斜地崩壊対策の今後の進め方についてお答えいたします。
近年、豪雨の激甚化、頻発化により人命に直結する崖崩れ災害への不安が高まっており、背後に急傾斜地を抱える住民の皆様からは防災対策に係る多くの御要望が寄せられております。
県では、ハード対策につきましては人家が五戸以上連担し近年崖崩れが発生した地区や老人ホームや学校などの要配慮者利用施設並びに指定された避難場所等がある地区において崩壊した土砂を受け止める施設などを重点的に整備しております。また人家五戸未満の地区におきましても市町が行う現地調査に同行し対策方法を助言するなど円滑な事業の実施を支援してまいります。
ソフト対策につきましては、昭和四十八年度からがけ地近接等危険住宅移転事業により安全な場所への移転を促しておりますが、近年は年二戸程度の活用にとどまっていることから県と市町で連携し補助制度の内容を丁寧に御説明するなど事業の促進を図ってまいります。また危険な区域の周知を図るとともに、住宅等の立地抑制につながる土砂災害防止法に基づく区域の指定を進めてまいります。
県といたしましては、増加する崖崩れ災害から県民の命と暮らしを守るため、市町と共にハード・ソフト両面から総合的な土砂災害対策を推進し安全で安心な地域づくりの加速化を図ってまいります。以上であります。
○議長(竹内良訓君) 酒井危機管理監。
○危機管理監(酒井浩行君) 有事に備えた防災訓練の内容の充実についてお答えいたします。
今年度の総合防災訓練では、例年重点項目として取り組んでいる各拠点からの物資の円滑な輸送や災害拠点病院における医療救護体制の確立等に加え、能登半島地震の教訓を踏まえた沿岸地域や中山間地域における対応を新たな重点項目として実施いたします。
具体的には、焼津市では沿岸地域への津波の襲来を想定し自衛隊等のヘリコプターによる津波避難タワーからの救出救助訓練を、藤枝市では中山間地域での孤立集落を想定しドローンを活用した支援物資の輸送訓練を実施する予定であります。
議員御指摘のバイクの活用につきましては、藤枝市では県警機動隊バイク部隊による被災現場の調査訓練を、また消防団については被災車両からの救助訓練を実施します。さらに焼津市ではより快適なトイレ等の住環境を目指した避難所の開設・運営訓練を実施いたします。
県といたしましては、今後とも共催市町に加え自衛隊や消防、警察、ボランティア団体など官民の様々な機関と連携し、近年発生した災害での教訓を捉えた実践的な訓練を着実に実施していくことで地域の災害対応力を一層強化してまいります。以上であります。
○議長(竹内良訓君) 縣くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(縣 茂樹君) カーボンニュートラル社会の実現に向けた中小事業者への支援についてお答えいたします。
二〇五〇年カーボンニュートラル達成のためには、温室効果ガス排出量の割合が最も高い産業部門かつ大半を占める中小事業者における効率的かつ着実な削減は大きな課題であると認識をしております。
コンソーシアムにおいては、資金や人材の限られる中小事業者の脱炭素経営への転換に際し必要な助言や指導を行う金融機関に脱炭素の専門人材となる行員等を配置することとして、昨年度一年間で六百三十七人を育成するなど中小事業者に対する支援体制の構築を進めております。
脱炭素への取組が不十分な事業者は規制や市場の変化による経営リスクの高まるおそれのある中、専門人材が脱炭素経営に向けた助言等を行った結果温室効果ガス排出量の測定を導入した事業者数や脱炭素関連の融資件数に着実な増加が見られるなど中小事業者の取組が進みつつあります。
今後は、コンソーシアムの取組を大手企業と連携してさらに拡充するとともに、省エネ設備の導入に係る補助等の即効性のある施策を両輪で実施することにより中小事業者への支援を一層充実させてまいります。以上であります。
○議長(竹内良訓君) 小沼議員。
(十四番 小沼秀朗君登壇)
○十四番(小沼秀朗君) 幾つか要望しまして一点再質問します。
一番目の財政改革ですが丁寧に行うということでございました。知事の政治姿勢としても要望したいのですけれども、静岡県全体の景気動向が萎縮しないように経済産業部がですね、発表した月例報告、五月の概況は県の景気は緩やかに持ち直し個人消費も緩やかに増加していると前向きの表現です。昨年の静岡県一般会計の決算見込みが六月十八日に財務部から公表され、法人二税は輸出の好調により前年対比二百十一億円のアップ、地方消費税も百四十一億円のアップです。知事にはですね、静岡県の景気はよい、もっと元気になる、そういった姿勢、旗振りを求めます。
そして、歳出を削っていくわけでございますけれども、その先に静岡県の強みを生かして経済を伸ばしていく、そして税収を増やしていくんだと、そういった前向きなイメージが心に残るような、そういった発信を求めます。
そして我々県議会はですね、県内のみならず国内外でも調査研究を重ねてヒントを収集しています。いかに歳入を増やすか、県を元気にするか、ぜひ県議会からの声を尊重し形にするよう要望します。
多文化共生でございますが、今静岡県は全国から注目されています。私も地元では国際フェスティバルの実行委員はじめとしてですね、外国人の皆様の活躍の場、交流の場をつくってまいりました。国に要望を投げかけておりますけれども、そういったことと併せて県民の皆様と外国人がお互いを知るよう情報の開示も併せてですけれども、相互の理解への働きかけを求めます。
急傾斜地の崩壊対策でございますが、大雨に加えて最も恐れるケースは大地震です。ハード対策に指定要件の緩和を含めた県民の皆様が活用しやすい静岡県モデルの新設を強く求めます。
防災訓練に関して、掛川市のバイクレスキューネットワークの皆様はですね、来年三十周年を迎えます。大変横のつながりもある、長年にわたる、そういったボランティアの皆様、様々県内にはありますので様々な官民連携を訓練に取り入れてオール静岡での備えの強化を要望します。
そして、知事にですね、茶業振興について御答弁頂きまして全国最多の産地賞を受賞している掛川市の選出議員としては大変心強いのですが、抹茶は今日本産の供給が追いつかずに中国が日本の生産技術を既に導入して政府主導で世界最大の抹茶生産国を目指して振興中です。抹茶は競争激化も予想されますのでそちらの戦略と併せてもともとある元来のですね、深蒸し茶、煎茶も含めた茶業全般に関してこれはもう国策として国を巻き込んで茶業振興により力を入れていただきたいと思っております。
そして先ほど答弁ではですね、てん茶の輸出用の茶園をどこまで増やしていいのか、煎茶の茶園をどれほど残すべきかについても示していくという御答弁でございましたが、来年に向けた生産者に対してですね、そういった発表はいつできるのか、そのスケジュールを伺います。
○議長(竹内良訓君) 浅井農林水産統括部長。
○農林水産統括部長(浅井弘喜君) 戦略的なお茶の振興策についての再質問についてお答えいたします。
現在、茶業振興計画につきましては策定を進めているところでございますが、今年度末をめどに策定作業を終了する予定です。その過程の中で様々な委員の方からの御意見を伺うとか、県民からの御意見も少し頂きながら最終的な作業を進めていきますので今年度末には計画について公表ができる、そういうような運びになっております。以上です。
○議長(竹内良訓君) これで、小沼秀朗議員の質問は終わりました。(拍手)
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