本会議会議録


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令和7年9月静岡県議会定例会
知事提案説明
発言日: 09/17/2025
会派名:


○議長(竹内良訓君) 議事日程により、知事提出議案第百二十六号から第百四十六号まで及び令和六年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とし、知事の説明を求めます。
 鈴木知事。
       (知事 鈴木康友君登壇)
○知事(鈴木康友君) ただいま提出いたしました議案の概要を御説明申し上げますとともに、当面する県政の課題について所信並びに諸般の報告を申し述べます。
 初めに、今月五日の台風十五号による竜巻や大雨により県内におきましても貴い人命が失われ、中・西部地域を中心に家屋の損壊や浸水が発生しビニールハウス等の農業施設、道路、河川等の公共土木施設などにも多くの被害をもたらしました。お亡くなりになられた方の御冥福を心からお祈り申し上げます。また被災された皆様に対しまして衷心よりお見舞いを申し上げます。
 私自身、竜巻が発生した牧之原市や吉田町の被災現場へ赴き、住家等に甚大な被害が発生していることを確認をいたしました。県といたしましては、避難の長期化に備え被災者の健康に配慮し災害関連死の防止を図るとともに、一日も早い復旧と生活・生業安定に向けて被災された住宅の再建、補修等への速やかな支援や事業者の皆様の事業再開への支援に全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、防災力の強化についてであります。
 七月三十日に発生したカムチャツカ半島付近を震源とする大規模な地震により本県では東日本大震災以来となる津波警報が発表され、各地で数十センチメートルの津波が観測をされました。幸いにして県内では被害はありませんでしたが、防災の原点に立ち返り平時から万全の備えをしておくことの重要性を改めて認識したところであります。
 先月二十七日、総合防災訓練本部運営訓練を自衛隊、警察、消防などの関係機関と連携して実施をいたしました。当日は広域的な災害応急対策活動を円滑に実施するため、南海トラフ地震が発生した場合を想定し本県の即時応援県等として指定されている富山県には訓練への参画を、岩手県及び仙台市には訓練を視察頂き被災県及び市町における広域的な応援・受援体制の確立に向けた準備をスタートさせました。
 実動訓練につきましては、訓練参加者の熱中症への対策として開催時期を秋に変更し来月十九日に焼津市、藤枝市との共催により実施をいたします。訓練では道路網の寸断による孤立化を想定した緊急物資輸送や中学生等による避難所設営など近年の災害における課題を踏まえた訓練を予定をしております。引き続き十二月の地域防災訓練や来年三月の津波避難訓練など実践的な訓練を積み重ね早期避難意識の向上や避難の実効性の確保に努め防災力のさらなる強化を図ってまいります。
 次に、米国の関税措置への対応についてであります。
 七月二十二日、日米両国は自動車・自動車部品関税や相互関税を一五%とすることに合意をいたしました。まずは政府の粘り強い交渉努力に敬意を表します。
 一方で県内企業の業績見通しや先行き景況感については、関税の影響により減速への懸念が広がっております。そのため県としては、さきに決定いたしました米国関税措置対策パッケージにより資金繰り支援や新事業展開に取り組む事業者への支援などを着実に実施するとともに、引き続き県内の景気状況を注視しさらなる対策が必要となった場合には県議会の皆様と緊密に連携しつつ迅速かつ機動的に対応してまいります。
 次に、次世代産業の育成についてであります。
 第一に、次世代エアモビリティーの社会実装に向け都市部など建物が密集した地域における運航の実証と規制緩和の双方を進めてまいります。
 実証については、都市部において離発着場所を確保するための解決策として期待されている建物や立体駐車場の屋上の活用に向けて、先月二十七日立体駐車場開発の知見を有する株式会社IHIと連携協定を締結をいたしました。今後立体駐車場等を活用した離着陸場整備に取り組んでまいります。
 また、規制緩和については、さきの全国知事会議において私から離着陸場の周囲に広い空間を必要とするなど現行の航空機規制は垂直飛行する次世代エアモビリティーに即したものとなっていないとの問題提起をしたところであり、今後必要な働きかけを進めてまいります。
 第二に、ICOIプロジェクトでありますが、伊豆地域の温泉旅館の空きスペースをオフィスに改修しスタートアップ等の企業誘致を目指す温泉旅館オフィス化事業の第一号として本年七月伊豆の国市の老舗旅館香湯楼井川に地方創生事業等を手がける株式会社イノベーションパートナーズが入居することが決定をいたしました。今後も本県の地域資源活用アドバイザーである小原嘉元氏に御助言を頂きながら温泉旅館と入居企業とのマッチングを後押しし地元市町との緊密な連携の下、地域経済の活性化や雇用の創出、地域資源活用の先駆的モデルを構築してまいります。
 第三に、CNFプロジェクトにつきましては、県内のファミリーマート約八十店舗において世界初となるCNFを配合した物流資材での商品配送と再生利用に向けた実証事業を進めております。来月十六、十七日には国内最大規模のビジネスマッチングの場となるふじのくにセルロース循環経済国際展示会を富士市で開催するほか、来年三月には循環経済の先進地であるヨーロッパでの販路を構築するためフランス・パリで開催される世界最大の複合材料の展示会JEC WORLD 二〇二六に県内企業三社と共に初出展するなど産学官の連携の下CNFの社会実装を一層加速させてまいります。
 次に、茶業振興についてであります。
 今年の一番茶の生産量は過去最低となり初めて全国第二位に転落をいたしました。本県茶業は再生に向け将来を見据えた生産・流通体制への大きな変革とブランドの再構築が求められております。世界に通用する静岡茶ブランドの構築に向けては、ブランド戦略のトータルプロデューサーとして世界で活躍をしている佐藤可士和氏を総合プロデューサーに迎え静岡茶ブランディングプロジェクトを開始し、現在ブランドコンセプトや具体的な行動計画の策定などを進めております。
 また、お茶の消費拡大、茶業振興に向けての当面の取組として世界お茶まつり二〇二五秋の祭典を来月二十三日から二十六日までグランシップで開催し、有機栽培茶など海外で好まれる商品の展示販売、会場から海外消費者に向けたライブ配信、オンラインでの販路開拓の強化などに取り組んでまいります。
 次に、リニア中央新幹線建設を巡る議論についてであります。
 先月四日に開催した県の地質構造・水資源専門部会では自然由来の重金属を含む要対策土の処理に関する対話を行いました。県としては要対策土の減量・無害化を強く求めるとともに、要対策土置場としてJR東海が検討する藤島については工事実施計画に関する国土交通省の見解を求め県盛土環境条例の適用除外要件を満たし得ると判断したところであります。
 また、先月二十日の生物多様性専門部会では、大井川上流域の水生生物等の生息状況調査の詳細について確認したほかJR東海から代償措置を行うに当たり南アルプスの自然環境を現状以上に豊かにするネイチャーポジティブに取り組む方針が示される等議論の進捗がありました。
 先月二十七日には、大井川中下流域の八市二町の首長の皆様と水資源の利用に影響が生じた場合の補償の対応等について意見交換を行いました。首長の皆様からは国の関与や補償の対応について文書によることを求める御意見等を頂いたところであり、今後はこうした御意見も踏まえJR東海及び国との調整を進めてまいります。
 なお、JR東海からトンネル工事の作業拠点となるヤードの用地造成等の実施について協議の要請がありましたが県自然環境保全条例等に基づき適切に対応してまいります。
 次に、駿河湾フェリーについてであります。
 駿河湾フェリーは台船破損及びプロペラ故障に係る修繕がようやく完了し今月十二日から車両乗船を再開をいたしました。コロナ禍後の利用客の伸び悩みに加え度重なる運休のほか徒歩乗船に限られる期間が長期にわたったことから、今年四月から八月までの総輸送人員は昨年度同時期の二四%となる一万二千人にまで落ち込んでおります。加えて人件費や燃料費の高騰などのランニングコストの増加により多額の公的支援を経常的に必要とすることとなるなど極めて厳しい状況であります。
 県といたしましては、運航法人等と連携して収支の見直しを徹底的に行いフェリーの経営計画を現実的なものとした上で江尻地区移動後初となる通常運航を追い風に利用者確保と経営安定化に最大限の努力を行ってまいります。その上で駿河湾フェリーの今後の在り方については、一年後となる来秋をめどに運航実績や経営状況を改めて検証し運航継続の是非を含めた経営判断を行ってまいります。この厳しい認識を前提とし本議会に当面の法人のキャッシュフロー不足の解消に必要な経費についてお諮りさせていただいております。
 次に、新県立中央図書館の整備についてであります。
 七月三十一日、県議会文教警察委員会から教育長に対して事務の適正執行を求める申入れが行われました。この申入れに対し教育委員会で行った調査結果について本議会の文教警察委員会に調査結果を御報告いたします。今後部局間の情報共有や連携をさらに強化するとともに、県議会に丁寧に説明するなど全庁を挙げて再発防止に努めてまいります。
 図書館の整備につきましては、塚本副知事をトップとした庁内横断のプロジェクトチームで検討を進めてまいります。見直しに当たっては、機能性、経済性、東静岡地区のまちづくりとの一体性の三つの視点を重視するとともに、デジタル技術の進展等の社会情勢の変化や全体事業費を見据えながら図書館の機能を再整理してまいります。
 次に、富士山の登山規制についてであります。
 初めて登山規制を実施いたしました富士山につきましては今月十日に閉山を迎えました。今シーズンの富士山入山者は約十万三千人となったほか富士登山のルール、マナーの学習や入山料納付を扱う静岡県FUJINAVIアプリは想定を上回る約八万二千人に利用され、遭難事案も有意に減少するなど登山規制には一定の効果があったものと受け止めております。
 今後、来年に向けて今年の登山規制の結果を検証し課題の分析と改善に取り組んでまいります。
 次に、多文化共生の推進についてであります。
 我が国に在留する外国人は令和六年末で約三百七十七万人に達しており、在留外国人の定住化に伴う教育、生活支援、就労等に関する様々な課題は受入れ自治体任せではなく国全体に関わるものと受け止めていくべきであります。
 全国知事会では、私がリーダーを務めるプロジェクトチームにおいて国が多文化共生施策に主体的、戦略的に取り組むための基本法の策定や司令塔組織の設置等を求める提言を取りまとめ、先般鈴木法務大臣ほか政府に対し要請を行ったところであります。
 本県は外国人県民をまちづくりを進める重要なパートナーと捉え、同じ県民として活躍できる社会をつくっていけるよう引き続き多文化共生施策を推進してまいります。
 次に、東京二〇二五デフリンピック自転車競技の本県開催についてであります。
 耳が聞こえない、聞こえにくい人のためのオリンピックであるデフリンピックが初めて日本で開催され、本県では十一月十七日から二十五日にかけて伊豆市の日本サイクルスポーツセンターを会場に自転車競技が行われます。本県はこの大会を契機として小中学生の観戦招待や出前授業、手話の普及啓発等デフスポーツに対する認知度向上、聴覚障害への理解促進のための事業を展開しており、障害の有無にかかわらず誰もが活躍できる社会の構築に向けて取り組んでまいります。
 次に、静岡県動物愛護センターについてであります。
 新たな動物愛護施策の拠点として富士市に整備を進めております動物愛護センターが十一月二十二日に開所いたします。県民から親しまれ末永く愛される施設となるよう開所に先立って一般公募で愛称を募集し、百五件の応募の中から動物の命をバトンでつなぐという思いを踏まえしっぽのバトンと決定をいたしました。施設特定型として初めてセンター内の諸室等についてネーミングライツパートナーの募集を行い、ドッグランは株式会社コーチョーがパートナーとなり愛称をコーチョードッグランとし、ふれあいエリアは日本ペットフード株式会社がパートナーとなり愛称をビタワンふれあいエリアといたします。
 今後は、多くの皆様に御利用頂き、センターを核として動物愛護の機運の醸成に取り組んでまいります。
 次に、カスタマーハラスメント防止対策についてであります。
 顧客等からの著しい迷惑行為として近年社会問題化しているカスタマーハラスメントは、働く人を傷つけるだけでなく就業環境を害し事業者の安定した事業活動に悪影響を及ぼすものであります。
 県では、カスタマーハラスメントの防止について基本的な事項を定める条例の制定に向けて経済団体、労働団体等で構成する協議会で議論を進めてまいりましたが、このたび条例案を取りまとめ本議会にお諮りをしております。
 次に、遠州灘海浜公園篠原地区の整備についてであります。
 公園整備に当たり民間事業者のノウハウを活用した集客力と収益性の高い施設や利活用方法の導入、民間投資の可能性等を探るため、利活用提案公募を七月十一日から今月五日まで実施をし九者から提案を頂きました。今後は民間事業者からの提案を踏まえ利活用推進協議会において公園を含む全体的な利活用の構想等を策定をしてまいります。
 次に、令和八年度に向けた政策立案と歳出歳入の見直しについてであります。
 本年度はチャレンジ元年と財政改革元年とを掲げ県政運営を行っておりますが、令和八年度に向けてこれらをより具体化し深化させてまいります。
 まず、政策立案に当たっては幸福度日本一に向けた政策パッケージとして重点的に事業を立案してまいります。各部局では所得向上・事業創造やこどもまんなか社会、安心の医療体制など七つの分野を指定して挑戦的な事業を立案する政策分野指定型と、県民幸福度調査結果を踏まえ幸福実感を高める事業を立案するウェルビーイング指標分析型により政策立案を進めます。
 加えて、県政の課題解決につながる政策等を職員個々の視点から提案する職員提案型や民間企業の皆様から施策の提案を募集する企業提案型を含めた四つの取組により集中的に事業立案を進めてまいります。
 一方、歳入面を見ると県の貯金に当たる財政調整用基金の残高が決定的に不足している中で、米国による関税措置の影響等に伴う県税収入の伸び率の鈍化が懸念をされます。ただでさえ赤字地方債である資金手当債の発行により財源不足を解消することで予算を編成しているところですが、今後令和八年度当初予算における五百十億円の財源不足見込額がさらに拡大する懸念もあり、一層の歳出歳入の見直し努力が必要と認識をしております。
 このため、来年度当初予算編成に先立ちまずは現行の各予算事業や事務を歳出歳入の両面から抜本的に見直すサマーレビューを実施しており、現在各部局に見直し作業を進めさせております。今後持続可能な財政基盤の確立に向けて来年度当初予算編成に向けた見直しのみならず、令和十年度までの改革強化期間における中期的な改革方針などについて検討を進め取りまとめてまいります。
 次に、九月補正予算案についてであります。
 今回の九月補正予算案は、当初予算編成後の事情変化により必要となった経費に加え新県立中央図書館の見直しに伴う事業費の減額等に対応するため編成いたしました。その結果一般会計補正予算の規模は三億二千百万円の減額で、これを合わせた本年度の予算の累計額は一兆三千七百五十億円となります。
 次に、議案のうち主な案件についてその概要を御説明申し上げます。
 第百三十一号議案は、旧ヴァンジ彫刻庭園美術館に開設を予定する新文化施設に公共施設等運営権を設定するための条例の制定であります。
 第百三十二号議案は、カスタマーハラスメントを防止するための条例の制定であります。
 第百三十三号議案から第百三十六号議案までは、県が行う道路整備事業、土地改良事業等に対する市町の負担額を定めるものであります。
 第百三十七号議案から第百四十三号議案までは、土木工事等の請負契約についてお諮りをするものであります。
 第百四十四号議案は、県有財産の処分についてお諮りをするものであります。
 第百四十五号議案は、公の施設の指定管理者の指定についてお諮りするものであります。
 また、令和六年度の一般会計、特別会計、企業会計合わせて十七会計の決算につきまして、監査委員の審査を経ましたので議会の認定に付するものであります。
 以上、適切なる御議決をお願い申し上げ私の説明を終わります。
○議長(竹内良訓君) 以上で説明は終わりました。

○議長(竹内良訓君) 休会についてお諮りします。
 議事の都合により、九月十八日は休会とすることに御異議ありませんか。
       (「異議なし」と言う者あり)
○議長(竹内良訓君) 異議なしと認め、そのように決定しました。

○議長(竹内良訓君) 次会の議事日程を申し上げます。
 九月十九日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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