

定例幹部職員会議 部局の取組紹介 |
令和4年11月28日 |

海洋由来微生物を活用したサワービールの開発

経済産業部工業技術研究所沼津工業技術支援センター

(要 旨)
「海洋」を活用した地域産業の振興を目的に、現在、横断型の新成長戦略研究として、各試験研究機関で課題に取り組んでいる。沼津工業技術支援センターでは、各種海洋資源から乳酸菌及び酵母を分離し、それら海洋由来微生物を活用したサワービールを県内企業と共同で開発した。
1 事業の背景
・MaOI(マリンオープンイノベーション)プロジェクトにおいて、食品分野は短中期の成果を目指す産業分野として位置づけられ、特に海洋由来微生物を活用した食品開発・製品化を行うこととしている。
・多様な環境と生物多様性に恵まれた本県「海洋」には多様な海洋由来微生物の存在が期待されるが、海洋由来微生物の産業への応用例は少ない。
・本県は、全国4位のクラフトビール製造場数を誇っているなか、県内業界からは競争力を高め、差別化をはかるために独自性や地域性のある商品開発に関する要望が寄せられている。
2 海洋由来微生物を活用したサワービールの開発
・独自性のあるビールとして国内製造量が少ないサワービールに着目し、海洋資源からサワービール製造に利用可能な乳酸菌及び酵母の分離・選抜を行った。
・海洋資源108試料から選抜乳酸菌3株及び選抜酵母2株を取得し、それらを組合せて実験室規模でサワービールを試作したところ、微生物株の組合せによって様々な香味バランスの製品を製造可能なことが分かった。
・官能評価で最も高評価を得た深海魚由来乳酸菌及びシラス由来酵母の組合せで、県内メーカーにおける商業規模試作を実施した。
・試作品(約630L)は酸味が特徴的なクラフトビールであり、令和4年5月末から試験販売を開始した。直営のオンラインショップでは既に完売している。
3 成果普及及び今後の展開
・県内業界への早急な技術移転を行うため、これまでに講演等6件の情報発信を行うとともに、希望企業には巡回指導等によって導入支援を行う。
・取得した微生物株はMaOI(マリンオープンイノベーション)機構で管理する海洋微生物ライブラリーに登録済みであり、今後はビールに限らず、様々な発酵食品への応用についても支援していく予定である。

【添付資料】

海洋由来微生物を活用したサワービールの開発(681KB)
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