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定例幹部職員会議 部局の取組紹介 |
令和2年01月27日 |

県立総合病院 乳幼児難聴の取組

健康福祉部県立総合病院

(要旨)
新生児の両側聴覚障害(中・高度)の発生頻度は1,000人に1〜2人と言われるが、早期発見・早期介入による乳幼児期の聴覚刺激により、音声言語(聞いて話す)の獲得及び発達が期待できる。(cf.聾唖(ろうあ))
そこで、乳幼児難聴支援に対する県立総合病院の取組と今後の展望について紹介する。
(概要)
1 現状
現代は聾で生まれても聞こえて話せる時代であるが、そこで必要な条件が以下の2つ。
(1)難聴の早期発見(= 新生児聴覚スクリーニング検査)
県と連携し、県立総合病院内に「静岡県乳幼児聴覚支援センター」を設置。
相談業務や技術支援、研修会の開催など難聴児支援に取り組んでおり、この取組が先進的・優良事例として、静岡県は令和元年11月に厚労省から表彰された。
(2)難聴への早期介入(= 生後1歳未満での人工内耳手術)
人間の神経回路は生後数ヶ月時に急速に増加し、その後、使われなかった回路は刈りこまれる。感覚器受容の基礎は1歳前後に決定されてしまう。
このことを20年前より国家的に実践したオーストラリアでは、
・先天性重度難聴であっても小学校就学時までに健聴者と同様の言語力を獲得し、
・難聴児の大学進学率は健聴者より大きく、自立した社会人となっている。
2 乳幼児難聴に対する日本の課題
手術時期 | 人工内耳手術が、依然として2〜3歳で行われている。 |
人材不足 | 全国の聾学校の幼稚部在籍者の4割が人工内耳装用者であるが、視覚情報重視の教育体制のままで、聴覚活用のための介入法を知る人材が不足。
(オーストラリアでは、いわゆる聾学校は国内で1校だけ) |
国家的対応 | 平成31年に初めて政策案に人工内耳、音声言語という言葉が登場し、「難聴児の早期支援に向けた保健・医療・福祉・教育の連携プロジェクト」が立ち上がった。(静岡県では、20年前から「難聴児を考える医療と福祉と教育の会」を年2回開催) |
3 県立総合病院が目指すもの
人材育成 | 乳幼児の聴覚活用を促すことができる人材を育成するため、社会健康医学大学院大学に聴覚領域講座を設置、豪州の先進大学と交流 |
新たな介入法の研究 | 音声言語発達の脳科学的探索から介入法を考えるため、院内リサーチサポートセンターに研究室を設置 |
国との連携 | 特に、0〜3歳の難聴児の療育体制の創設を検討 |

【添付資料】

県立総合病院 乳幼児難聴の取組(369KB)
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