(幹事社)
そうしましたら、幹事社質問に移ります。
幹事社からも、リニアに関連して2点伺います。
静岡県が新たに加盟したリニア中央新幹線建設促進期成同盟会で、静岡県の取り組みを、知事はどのように説明しますでしょうか。
もう1点は、リニアの静岡工区をめぐって、JR東海は大井川の水問題をテーマにしたパンフレットを作って意見募集を始めています。JRのパンフレットの内容と意見募集の取り組みについて、知事はどのように評価しますでしょうか。
(知事)
まずですね、リニア中央新幹線建設促進期成同盟会に、会長の大村知事他、関係各自治体のトップがですね、全会一致で加入を認めるとしていただいたことに心から感謝の念を覚えております。大変ありがたいと。
3年余り前、2019年に会長に直接手渡して、文書をですね。
それは文書では、返事もなく、保留中というまま、3年間が、この無駄に過ぎたというふうに思っております。門前払いのような状況だったということでございます。それが今回ですね、認めていただいたと。もちろん、申請書の中身はですね、1回目と2回目と変わりはありませんけども、2回目のときには、明確にですね、このリニア中央新幹線に対して、その整備に対してですね、静岡県にこれが整備されればメリットがあるということ、それから、また、それぞれ工区がありますから、その工区における、何とかして、もう、われわれとしてはですね、一緒になって解決していきたいということも、述べまして、そして、静岡県におきましては、そういう、その、リニア中央新幹線の整備に、賛成すると反対でないということをですね、明確にするために、申請していたところ、しかし、さらにですね、2点の確認を求めてこられたわけですね。
それは2027年のその開業というものを目指すことということですね。もう1つはですね、その現行のルートというのを前提にするということでございました。初めからそれを前提にしてるから、専門部会もありますし、有識者会議もあるわけでございますから、そのとおりだということでお返しをしたわけでございます。ですから、この現行ルートを前提にしたうえで、静岡県としては、しかるべき手続きを粛々と進めると。その場合ですね、このルートを前提にした場合に、このルートにつきまして、まず、環境大臣意見が出て、それから、国交大臣意見が出ました。環境大臣意見、国交大臣意見というものの、この縛りの中で粛々と、今、議論をしているということでありますが、ちなみに、ちょっと紹介しますと、環境大臣意見、2014年6月でございますが、引用です。
「本事業のほとんどの区間はトンネルで通過することになっているが、多くの水系を横切ることとなるから、地下水がトンネル湧水として発生し、地下水位の低下、河川流量の減少、枯渇を招き、ひいては、河川の生態系に不可逆的な影響を与える可能性が高い。」
「特に」と、こう書いてあるんです。
「山梨県から長野県にまたがる地域の一部は、我が国を代表する優れた自然の風景地として、南アルプス国立公園に指定されており、また、ユネスコエコパークとしての利用も見込まれることから、当該地域の自然環境を保全することは、我が国の環境行政の使命である。」と、こう言われてるわけですね。
こうした観点で、生態系や盛土の問題をやってるわけですけど、一方、その翌月に出ました、その国交大臣意見というものは、2014年7月に出ておりますけれども、一部を引用いたしますと、「トンネルの掘削に伴う建設発生土量が多い。これが懸念されている。」と。実は、懸念されてる内容は、事業に伴う水資源の影響であるとか、自然環境への影響、生活環境の影響と言われてます。筆頭に書かれてるのがですね、トンネルの掘削に伴う建設発生土量が多いことと、いうふうに、国交大臣意見に書かれてるわけですね。
今、われわれは、全量戻しについてやってきましたけども、盛土の問題、これは国交大臣意見が懸念材料のうちのいち筆頭に挙げてるものです。それから、生態系の問題とか、水質の問題とか、国立公園、あるいはユネスコエコパークのこの生態系ですね、これについては、これから議論されるということで。こういうですね、しっかり議論していくということがですね、われわれの、この何ていいますか、仕事であると。これはご説明していきたいというふうに思っております。
それから更にですね、6月には岐阜県の、岐阜県、駅ですね、中津川の。そこ見に行きました。それから、また、隣県の、この山梨県は、多くの人が知ってるし、私の方もよく知ってるわけですけれども、神奈川県の建設現場に行ったことがないのでですね、ぜひ、その建設現場も視察させていただきまして、できる限りのですね、いろいろな形の支援をしていきたいと。そしてまた、現状も知りたいと。また、現状、うちの現状もお伝えしたいと。さらに、今回、8月、明日からかな。明後日から奈良県で全国知事会がありますけれども、この奈良もルートの予定地に入っております。前回、岐阜県は亀山を、ゆっくり見る時間ありませんでしたけども、通りました。
この次は奈良を見て、また奈良県の知事さんなどともですね、意見交換をして、建設、この期成同盟委員会(正しくは「同盟会」)に、同盟会に入れていただいたことに対して御礼を申し上げると同時にですね、私も国土審議会委員を長くしてきた経緯もございますので、僕にとって何かできることがあるかということなどもお聞きして、チームとしてですね、働いていきたいと。こういうふうに考えております。
(幹事社)
JRのパンフレットについてはどんなふうに見てらっしゃいますか。
(知事)
JRのパンフレットは驚きましたね。これはですね、中間報告に静岡県や流域市町等との地域の方々との、双方向のコミュニケーションと、いうのをしてくださいと、一方的なものだめですよと、いうことだったんですけど、これ、残念ながら、一方的なものになったということですね。そこは残念に思っております。
しかし、今更、回収をお願いするわけにもいかないのでですね、本来なら、双方向のコミュニケーションをする場は専門部会なわけですね。田代ダムの取水についても、あたかも、もう、それができるかの如き、取れる内容になってますけども、そういうのではないでしょう。今、こうした問題があるわけですから。ですから、ここで、しっかり説明していただいて、それをわれわれはこれオープンでやってますから、地域の方々に共有していただくと。こういう一方的な行動をされるとですね、かえって信頼を失うのではないかというふうに思っております。
ともあれですね、あの質問なさってくださいというふうに書かれていますのでね。
先進坑を掘るってどういうことですか、っていうのを聞くのも1つじゃないですか。
皆さん、先進坑というと、最初にちょっと小手先で掘って、その後いろんなトンネルを、本坑を掘っていくんだというふうに思われる向きがあるかと思いますけれども、先進坑というのはですね、幅が7m高さが6mの、それなりのトンネルで、長さはですね、本坑と同じです。静岡工区でいえば、8.9kmですね。実は、静岡県内では10.8kmです。これを掘るわけですね。だけど、そこにいきなり、掘れると思いますか。
まずですね、工事現場を作らないといけません。それは西俣ヤードというところです。
西俣ヤードっていうのは、この、これから見に行く、8月8日に見に行く、そこよりもですね、この西側に行ったところにありまして、ちょっと上流に入りまして、そこは普通のあの人は入れません。峡谷ですから。そして、ある程度のヤードが作られようとしたときにですね、集中豪雨が起こって、全部流されました。
ここにですね、ここは工事現場になりますので、そこに、この掘削機であるとか、それからトンネル掘れば、土砂が出ますので、発生土を運搬するトンネル、あの、トラックとか、さらにまた、そこで作業される作業員の宿舎であるとか、様々なものをですね、建設しなくちゃいけないですよ。そこに行くのが大変なので、したがって、そこにトンネル掘らなくちゃいけないんですよ。それを作業用トンネルと言いますけれども、作業用トンネルを掘らなければですね、先進坑は掘れないわけです。作業用トンネルってどのぐらいの長さなのか、4kmです。
4kmのですね、トラックや重機が入るようなトンネルを、まず掘らなくてはだめなわけですね。それから、その、西俣ヤードからですね、先進坑、これは本坑と並行して作られるトンネルですけども、先進坑に向けて、斜坑というのが作られる。斜めの坑、下に向かって掘られるわけですね。
これを掘らないとですね、先進坑それ自体が掘れないわけですよ。その斜坑は西俣から、この、本来のトンネルのルートの方向に向かって掘る斜坑と、仙石からですね、掘っていく斜坑、2つあります。
この2つを合わせると7kmぐらいになります。そして、その2つを掘って先進坑を掘りながら、今度そこで出てくるこの水を、このポンプアップして戻すってわけでしょ。
そのポンプアップしたときに戻すのは導水路トンネルというものです。
導水路トンネルがなければですね、水を戻せないわけですね。
じゃ、導水路トンネルの長さはどれだけかって、11.4kmです。
したがって、工事用トンネル4km、斜坑7km、工事用トンネル、あ、いや、導水路トンネル11kmと、いうものを掘らないと先進坑、そもそも掘れないんですね。
ですからですね、じゃあどうするかと。その先進坑を掘る前に、その工事用トンネルや斜坑や、あるいはその導水路トンネルから出る土砂をどこに置くんですか。
あるいは、そっから出てくる水はですね、濁水ですから、それをどのようにろ過するんですかと、いうことになりますと、これはまさにこれから盛土の問題であるとか、水質の問題を議論していくわけですから、まだ、それ解決していないわけですね。
ですから、先進坑、掘るというのはですね、もう、ほとんど全部のトンネルを掘るのと、ほとんど等しいわけです。
そういうことでですね、この先進、そういうパンフレットを見てると先進坑掘って、それから、順次、トンネルを掘って返していくっていうことで、いわば、準備段階のトンネルみたいに言われてますけど、そもそも先進坑というのは、本坑の断面よりは少し小さいですけれども、すごいトンネルですよ。
それが25kmに渡って、南アルプス掘られるわけです。そのうち静岡工区が8.9kmと。こういうことになってるわけですね。ですから、先進坑を掘るっていうことが、それ以前に、4つのトンネルを掘らなくちゃいかんと。工事用トンネル、斜坑2つ。導水路トンネル、少なくとも、これ、掘らなくちゃいかんと、いうことをですね、よく考えてご覧にならないといけない。
そういうことを質問すればいいですね。どこに置くんですかとかですね。
それから、地下水が減らないとかって言ってますけれども、上流の地下水、それから下流の地下水、いわゆるカルシウムイオンだとか、何とかのイオン、これは8項目ぐらい見てですね、そして、そのダイアグラム、6角形のダイアグラム、にこうやって見ると、あの形が上流部と下流部が違うというわけですね。
したがって、違う水だっていうふうに書かれてるじゃないですか。
だから、下流部のその井戸水は、上流と関係がないように読めますよね。どう読めるかというと、下流部の地下水は、下流部に降った雨水だっていう、そういうふうに、読めるように書かれてます。よく読むと、もう少し詳細に書かれてますけども。しかも、こう書かれてるんですよ。下流部の井戸、井戸水と下流部の川の水の性質は同じだと。
言い換えると、上流部の井戸と上流部の川の水と同じだと。その井戸水については、下流部の井戸水の性質が違うから、したがって、違う水だって言ってるわけですね。
要するに、地下水脈が連携してないってことを言ってるわけです。
ところが、上流部の水と下流部の水は、これは川ですから、目に見えるじゃありませんか。連続してるそのものですよ。
ですからですね、この2つの点などを見ながらですね、一応、仮説を立てて、出たり入ったりしてますよと言ってますけれども、その書かれている中身はですね、2つの井戸水は関係がない、したがって、地下水は繋がっていないというように読めるようになってるわけですね。
しかし上流水は、あの上から下に流れてる川じゃありませんかと。
だから、ここにはですね、2つの点を見て、全体を見ない。言い換えれば、水循環を見ていないというふうなこともあるわけです。
だから、そういうことについて、関心のある方はそれを聞けばいいですよね。
そういうことでですね、せっかく質問を受け付けるということでありますから。しかし、本来これはですね、専門委員会の先生方が、本当に専門的な知見に基づいて、JR東海が出しているデータによって分析して、そして、確かめてることなんですね。
ですから、安易な結論はですね、全然、出てないわけですよ。
そういう意味におきまして、私は国交大臣、環境大臣のこの両意見をですね、しっかり尊重しながら、専門部会で、これから、生態系や、それから、水質や、それから、盛土、監視体制等々を論じていくということを、ともかくですね、誠心誠意、この国のご協力も仰ぎながらですね、やっていくことを通して、いきたいと、こういうふうに思っております。
そういう意味で、パンフレットはですね、ちょっと勇み足じゃないかなと思いますね。 |