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ホーム > ようこそ知事室へ > 記者会見 > 2018年10月19日(金)

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知事記者会見

2018年10月19日(金)


知事発表:中央新幹線の建設に係る南アルプストンネル工事、日本平夢テラスの開館、富士山静岡空港新国際線ターミナルの供用開始、平成31年度の医師臨床研修開始予定者の状況、ふじのくにCNF総合展示会及び2018日米医療機器イノベーションフォーラム静岡の開催
知事発表(記者質問):農林環境専門職大学(仮称)の設置認可申請及び学長予定者の発表、水産技術研究所展示室の愛称決定、中央新幹線の建設に係る南アルプストンネル工事
記者質問:中央新幹線の建設に係る南アルプストンネル工事
記者質問:中央新幹線の建設に係る南アルプストンネル工事
記者質問:中央新幹線の建設に係る南アルプストンネル工事
記者質問:中央新幹線の建設に係る南アルプストンネル工事、農林環境専門職大学(仮称)の設置認可申請及び学長予定者の発表
記者質問:中央新幹線の建設に係る南アルプストンネル工事
記者質問:沼津駅周辺総合整備事業について、KYB及びカヤバシステムマシナリーが製造した免震・制振オイルダンパーの大臣認定不適合

知事発表:中央新幹線の建設に係る南アルプストンネル工事、日本平夢テラスの開館、富士山静岡空港新国際線ターミナルの供用開始、平成31年度の医師臨床研修開始予定者の状況、ふじのくにCNF総合展示会及び2018日米医療機器イノベーションフォーラム静岡の開催

(知事)

 秋になりました。本日のお花はですね、カーネーション、ピンクがデンファレ、黄色がグロリオサ、白がカスミ草です。葉っぱがドラセナ、紫色のこれがミスティブルーでございます。

 さて、今日は発表項目いくつかございますけれども、午前中にですね、永年勤続表彰というのがありまして、25年以上働いた方、しかも立派な仕事をしてる人、そして55歳以上というのがありまして、今日はここにいる高畑君、そのうちの一人でありまして、おめでとうございます。

 ご覧になって分かるように、今あなた、おいくつですか。55っていうのは若いですね。だから60歳定年というのは、本当にこれはもったいないことだと思います。今日は100人以上の方たちとじかに一対一でごあいさつする機会が得られまして、人材を活用することが本当に必要だと、いわゆる生涯活躍、安倍新内閣が言われてますけれども、それを痛切に感じた午前中のことでございました。

中央新幹線の建設に係る南アルプストンネル工事

 さて、発表項目いくつかございますが、まずはご関心の高い中央新幹線の建設に関わる南アルプストンネル工事でございます。

 おとといの夕刻5時くらいにJR東海さんがお越しになられて、帰り際の8時に、9月20日に私どもから出しました意見・質問書に対する回答とともに、「大井川中下流域の水資源の利用の保全に関する基本協定(案)」が示されたわけでございます。

 私これを拝見いたしまして、皆さまにもこうしたものは全て公開にしようということで、少し大量のものですね、これだけのものですけれども、皆さんに配ったとおりでございます。

 この中でですね、一番私どもが関心があったデータなんですけれども、添付されております3ページのところですね、毎秒2トン減るというふうなことに関わるものでございますけれども、こうした事柄に関するデータをお渡しする用意がありますというふうに言われておりますので、このデータを頂戴いたしまして、これもまた、有識者会議でもんでいただいて、そこで大いに議論していただこうというふうに思っております。それは、データがなかったのは残念でした。

 それから、もう一つの「基本協定(案)」とされているものですが、そこで最初のパラグラフにトンネル、最初のパラグラフの下から2行目ですけれども、トンネル工事の開始に当たり、原則として静岡県内に湧出するトンネル湧水の全量を大井川に流す措置を実施するものとすると、こう書かれていると。この「全量」というのは初めてお書きになったわけで、これが今回、新聞紙上に躍った言葉でございましたが、これも文章としてはやや中途半端で、「原則として」などは要りませんね。静岡県内に湧出するトンネル湧水の全量を大井川に確実に戻す措置をするというふうになさらないといけないといったようなこともございます。

 従いまして、基本協定案は、案でしかありませんで、この基本協定を取り結ぶ場合にですね、まだいくつかやるべきことがあるというのが、県の考えでございます。

 それと同時にですね、基本協定案の協定の前に、いくつかのことを確認する必要があります。ですから、確認書のようなものをですね、一つ一つの事案について、取り交わしまして、そうした確認書のもとに、基本協定を結ぶ場合には基本協定を結ぶと、そういう段取りにしようというふうに思っております。

日本平夢テラスの開館

 二つ目の発表項目でございますが、日本平夢テラスの開館についてであります。

 県と静岡市が、日本平山頂部に整備を進めてまいりました展望施設「日本平夢テラス」が、11月3日、土曜日に開館する運びとなりました。

 施設の整備に当たりましては、平成27年度に、当時県立美術館の館長をしていただいておりました芳賀徹先生を委員長とする委員の皆さまに、基本構想を策定していただきました。そして設計は、現在、新国立競技場の設計で建築が進んでおります隈研吾さんに設計を、これもコンペで隈研吾さんに決まりまして、県産材を活用して、美を重んじ、周囲の絶景に調和した、品格のあるシンボル施設が完成した次第でございます。

 この施設の魅力は360度の素晴らしい眺望でございます。3階の展望フロアからは、世界文化遺産の富士山をはじめ、「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟している駿河湾、ユネスコ世界ジオパークの伊豆半島等々、多くの世界クラスの資源を望むことができます。2階には、眺望を楽しみながら、くつろぐことのできるラウンジを整備いたしました。

 また、1階の展示エリアでは、プロジェクションマッピングによる日本平の地形の成り立ち等を紹介しております。それとともに、グラフィックパネルにより神話の時代からの日本平の歴史や文化的価値を伝える施設としました。

 施設の整備には、誠に多くの方々のご支援、ご協力をいただき、改めて御礼を申し上げます。開館前日11月2日、金曜日でございますけれども、静岡市と合同で開館記念式典を開催いたします。多くの皆さまとともに、日本平夢テラスの開館をことほぎたく存じます。

 今後、国内外から多くの方々にご来館いただけるよう、施設の魅力を積極的に発信いたしまして、皆さまから愛される施設にしていきたいと思っております。

 また、マスコミの皆さま向けに、10月31日、水曜日でございますが、内覧会を開催いたします。ぜひ、多くの皆さま方にご来訪いただけるように、ご紹介をお願いをしたいと思います。

富士山静岡空港新国際線ターミナルの供用開始

 次、三つ目でございますが、富士山静岡空港新国際線ターミナルの供用開始についてであります。

 富士山静岡空港の機能強化、利便性の向上を図るため、平成28年11月から旅客ターミナルビルの増築・改修工事を進めてまいりました。

 今年の4月には西側増築部分が完成いたしまして、新国内線ターミナルを供用開始し、利用者の皆さまに好評を頂いているところでございます。

 このたび、10月30日の火曜日から、新国際線ターミナルの供用を開始する運びとなりました。国際線の搭乗待合室の出入国エリアを充実いたしますなど、国際線の受け入れ態勢を強化いたしました。

 併せて、フライトインフォメーション、運航情報のことですが、このフライトインフォメーションに、従来の日本語、英語に加えまして、韓国語、中国語、これは簡体字と繁体字と二つ、による表示を追加するなど、訪日外国人の方々にとって、より便利な施設といたしました。

 また、本県を訪れるイスラム教徒、ムスリムの方々が毎年増加しております。空の玄関口である富士山静岡空港では、男女それぞれが利用できる礼拝室を設置いたしました。また、飲食店でハラール食の提供も予定されるなど、ムスリムの方々へのおもてなしに配慮しております。

 供用開始前日の10月29日、月曜日には、報道機関の皆さまに向けて、新しくなる施設や礼拝室の事前説明会を開催いたします。当日は、静岡ムスリム協会アサディみわ事務局長さんほか、にも礼拝室への立ち会いをお願いしてございます。ぜひ取材にお越しくださいませ。

 今後は、飲食・物販やラウンジといったテナントが、順次オープンに向けて準備が進められていくことになります。空港サービス機能が充実する12月下旬には、リニューアルオープン記念式典、またイベントを開催する予定でおります。

 先日、富士山静岡空港株式会社の代表取締役社長に就任された、西村等さんには、このように新しく生まれ変わる富士山静岡空港を、さらににぎわいのある空の玄関口にしていただけるものと、大いに期待しているところでございます。

平成31年度の医師臨床研修開始予定者の状況

 四つ目の発表項目であります。

 平成31年度の医師臨床研修開始予定者の状況でございますが、10月18日に、厚生労働省から医師臨床研修マッチング結果が発表されました。それによりますと、平成31年度に県内の病院で医師臨床研修を開始する予定者は248人、昨年に比べて3人増加です。

 研修予定者248人という数字は、大学医学部入学定員2校分に相当いたします。平成16年度の臨床研修制度開始以来、過去最多でございます。また、研修予定者数の都道府県別の全国順位は10位となりまして、これも過去最高の成績となりました。

 これまで、県では、平成26年度に創立いたしました「ふじのくにバーチャルメディカルカレッジ」の取り組みによって、医学修学研修資金の貸与の充実、県内外の医学生に向けた情報発信等、医療関係者のご協力をいただきながら、医師確保対策の充実・強化に努めてまいりました。

 これからも、県内外の大学や市町との連携、県医師会をはじめとした医療関係者のご協力も得ながら、医師確保対策に強力に取り組んでまいります。

ふじのくにCNF総合展示会及び2018日米医療機器イノベーションフォーラム静岡の開催

 五つ目の発表項目ですが、ふじのくにCNF総合展示会、もう一つ、2018日米医療機器イノベーションフォーラム静岡の開催についてであります。

 まず、ふじのくにCNF総合展示会でございますが、これは成長産業に関する大型イベントと言っていいものでございます。

 軽量で強靭な、かつ環境に優しい、「ポスト炭素繊維」といわれる新素材、セルロースナノファイバーの製品開発に関わる企業・団体が一堂に会する「ふじのくにCNF総合展示会」を、10月24日、水曜日、富士市の「ふじさんめっせ」で開催いたします。

 平成27年から毎年、富士市で開催しておりまして、今年で4回目となります。出展企業数は、初年度はわずか9社でした。しかし年々増加し、今年度は国内外から52社・団体が出展する予定です。過去最大規模になります。

 出展企業は、CNFそのものを製造する企業のほか、製品開発企業、CNF製造機械を手がける企業など多種多様でございまして、ビジネスマッチングの拡大につながる展示会となります。

 企業の製品展示のほか、CNF第一人者の京都大学矢野浩之先生のご講演、企業の製品プレゼンテーション、個別商談会の開催を予定しております。地域企業のCNF関連産業への新たな挑戦を促す場となることを期待しているところであります。

 昨年7月には、日本製紙株式会社が富士市内で実証生産設備を稼動いたしました。そのほか、昨年9月には、東京から研究所を移転されるということで、本県、とりわけ富士市は、CNF産業のメッカとなる基盤が整いつつあります。地元富士市とも連携を密接にいたしまして、さまざまな産業分野において企業参入が実現できるよう取り組みを推進してまいります。




知事発表(記者質問):農林環境専門職大学(仮称)の設置認可申請及び学長予定者の発表、水産技術研究所展示室の愛称決定、中央新幹線の建設に係る南アルプストンネル工事

(知事)

農林環境専門職大学(仮称)の設置認可申請及び学長予定者の発表

 

 発表項目、もう二つございますが、そのうちの一つは、農林環境専門職大学、仮称でございますが、の大学設置認可申請及び学長予定者の発表をいたします。

 県では、農林業分野の人材養成機能の充実を図るため、農林大学校から専門職大学への移行を推進しているところであります。今年2月に策定した新大学の基本構想に基づきまして、外部有識者等を構成員とする「専門職大学基本計画検討委員会」で具体的な検討を行ってまいりました。

 10月11日、木曜日に開催した第3回基本計画検討委員会におきまして、設置認可申請の内容についてご審議いただき、了解を得たことがございまして、それをベースにしまして、10月25日、木曜日に文部科学省に申請書を提出する運びになりました。

 新大学の名称は、仮称でございますが、「静岡県立農林環境専門職大学」でございます。現在の農林大学校の所在地に、入学定員24人の4年制大学と、入学定員100人の2年制の短期大学を併設いたします。

 将来の本県農林業現場を支える専門職業人を養成する大学です。4年制大学では農林業経営のプロフェッショナルを、短期大学では生産現場のプロフェッショナルを養成いたします。

 2020年、再来年の4月の開学を目指しておりまして、文部科学省から申請どおりに認可されれば、全国で初の農林業分野の専門職大学となります。

 学長には、静岡大学農学部長などを歴任され、県内農林業教育の事情に精通なさっておられる、現在、静岡大学副学長の鈴木滋彦先生にご就任いただく予定でございます。

 鈴木先生は、専門がセルロース・ナノ・ファイバーなど、木質材料研究の第一人者であります。また、静岡大学副学長として大学の国際戦略を担当しておられまして、アジアをはじめとした外国人留学生受け入れプログラムを推進するなど、教育研究分野両方で幅広くご活躍をされている先生で、新大学においてもその手腕を存分に発揮していただけるものと期待をしているところであります。

水産技術研究所展示室の愛称決定

 最後でございますが、水産技術研究所展示室の愛称決定でございます。愛称が決まりました。

 水産技術研究所の移転に伴い整備した展示室が、大変広く県民の皆さまに人気が出まして、親しまれているということから、「水産技術研究所」じゃ、ちょっと堅いということで、愛称を募集しましたら、何と465件もの応募がございまして、そして愛称審査委員会で審査をいただきまして、愛称を「うみしる」に決定いたしました。

 「うみしる」には、「海」に関することを広く「知る」ことができるという意味が込められております。展示室の役割を端的に示しているもので、響きも良いということで、県民に分かりやすく親しまれる愛称であると考えております。

 この展示室におきましては、先月9月19日の会見で報告申し上げたとおり、10月から休日開館を開始いたしました。多くの県民の皆さまにご来館していただけるよう、積極的にこの愛称「うみしる」と休日開館を広報してまいります。

 以上、私からの発表項目でございます。

(幹事社)

 ありがとうございました。発表項目について、質問のある社はお願いします。

中央新幹線の建設に係る南アルプストンネル工事

(記者)

 JRのリニア新幹線の大井川水量の関係でお伺いします。

 本日公開された基本協定案ですけれども、先ほど知事は、文章として中途半端だというような話をされましたが、この協定案、どのような位置付けで今後の協議に、これをたたき台にしていくのか、どういった形で今後JRと協議をしていくつもりでしょうか。

(知事)

 この協定案を拝読して、それ自体にまだ、修文の余地があるということが一つでございますが、協定を結ぶ前にですね、まだやるべきことがあるということで、まず何と言いましても、毎秒2トン水が失われるというのが、大変に衝撃的な数字でございます。そうしたことから、それのベースになっているデータを公開いただきたいということを再三申し上げてまいりました。で、データを開示する用意があるというふうにご回答いただいておりますので、開示していただきまして、そしてそれを皆さまに公表して、そしてそのデータについて、有識者会議で議論をいただくということも、そのうちの一つということになります。

 生活水質とか、水環境とか、生態系とか、あるいは例えば導水管、これも10キロ以上のものでございますから、本体工事、それ自体では何にしても、導水管抜きには水も戻せないということでですね、導水管それ自体も水環境などに大きな変更を来すでしょう。

 そうしたことからですね、こうしたものをいちいちどういうふうにして造っていくのかということなどについて、あらかじめ、全部納得ずくめを確保した上で、それで協定案ということになると思います。中には協定結んでからやったらいいじゃないかという人もいますけれども、どっちにしてもやらなくちゃいけないことでございますので、まずは安心していただけることが大切だと。これはもちろん、皆さま方に公共の、言ってみればインフラでございますので、水も公共のものでございますから、この鉄道、それから水、さらには生態系、その他関連するものについてですね、こういう事情であるということが、ほぼ関心のある方全てに分かっていただくことを前提にしてから、協定に入るというふうにしてまいりたいと思っております。

 ともあれ、データを提示されるということですから、協議のテーブルに着いてくださるということでですね、大変ありがたく思っております。

(記者)

 リニアについて、3点お伺いします。

 JRさん、湧水全量を戻すという県の主張に寄り添う形になったわけなんですが、例えばこの湧水全量が何かということを、JRに試算を求めるだとか、県がこれから試算を、湧水全量ってどのくらいのものかという、毎秒2トンがベースになって試算されてくのかなとも類推するんですが、そのへんについて教えていただきたいことと、県が求める湧水全量を戻す場合、これまでのJRさんの対策、導水路トンネルとか、ポンプアップで戻すだけでは、工法とか技術的に足りないと思うんですけど、そのへんを県としては、湧水全量を戻すために、どういうふうな技術的なアプローチを求めていくのかっていうのが2点、あとJR東海さんが今回歩み寄った背景には、2027年に開通させるというJRさん側の論理というか、開通させたいという強い意志の裏返しだと思うんですが、知事はまだ協議するべきことがあるというふうにおっしゃっていますが、そのへんのJRさんの開通、2027年開通目標にある程度配慮する用意があるのか、協議次第だと思うんですが、その点について教えてください。お願いします。

(知事)

 まず、第1点のご質問、トンネルを掘れば水が出ます。水が失われます。今、大井川、これは南アルプスから供給されておりまして、ご案内のように62万人の人たちが水道、また産業用水、農業用水、水力発電その他もろもろに活用しているわけですね。ですから今の水量がそのまま戻らないといけないということでございまして、トンネルを掘ることによって失われる全ての水を戻すべきであるというのが、われわれが一貫して主張してきたことでございます。それは利水関係者の全体の共通意志であるということですね。そのベースになっている、失われるであろう湧水量、毎秒2トンというのは、どこからどういう根拠で出されたんですかということは、これと同じことですけれども、関心のあることです。ですから、それのデータについて、一緒に議論させてくださいということですね。これが第1点についてのわれわれの基本的な考え方でございました。

 二つ目の湧水、失われるであろう流量の戻し方ですけれども、下流の方にポンプを設けてポンプアップして、上からまた導水管を通して戻すということですが、これで全量が戻るかどうかということは、まだ確実かどうかは、あなたが指摘されたように、分からないわけですね。ですから、どうしてこれで確実に戻るのかどうかということもあると存じます。従って技術的にもですね、きちっと説明を受けてやらなくちゃいけないというふうに思っております。

 それから三つ目の、この2027年というのはだいぶ前に言われたことでですね、この間、東京オリンピックが来るとか、そうしたことに対しても一切考慮しないで、2027年、執着されているわけですね。これはJR東海さんのご事情であろうと。われわれは、言ってみれば過去何千年にわたって、この大井川側流域に住んできた人、同時にまた、これから何十年、何百年とですね、この地域で生活し続ける方たち、それに関わる水の問題を言ってるわけです。ですから2027年と言ったら、私どもは「ああそうですか」と聞いておりますけれども、それは、それに対してわれわれは考慮するべきですね、特段の理由は目下のところありません。ただ、私自身は、個人的な考えとして、何度もJR東海さんに申し上げたんですけれども、2027年に名古屋まで開通させたいというふうに表明をされました。その後に、東京オリンピックが開かれることが表明されまして、それならば、既存の新幹線が、東京、前のオリンピックですね、のときに10日前に開通して、技術の日本をアピールしたようにですね、少なくとも一部くらい、東京と甲府ですね、そこだけでも、言ってみれば「夢の空飛ぶ新幹線」、地下鉄ですけども、これを乗せると。そして富士山の西側、身延線、あるいは52号線、あるいは中央自動車道ですね、これを活用し、そして富士山のこの海側、ここに来て既存の新幹線で東京に戻るなど、このような、東京オリンピックが開催されることが決まった後ですね、リニア中央新幹線の、いわば国家としての見せ方があるんじゃないですかなどということを何度も言ってきました。しかしこれは全く相手にされないで、今日に来ております。

 ですから、いろいろな事態が起こります。その事態に応じてやらなくちゃいけない。そのうちの一つはですね、例えば御嶽山が噴火したということによって富士山の噴火も想定内だと言われました。そして今や、内閣でも真剣に議論されておりますけれども、仮に富士山が噴火すれば、東京圏は降灰に覆われると。そうした場合にですね、どうしたらいいかということから、前の国交大臣などは、富士山静岡空港を首都圏空港の補助空港に位置付けると、太田大臣のときですね、とまでおっしゃいました。それからまた、2027年の開通を表明された後にですね、この富士山静岡空港が大規模な広域防災拠点というようなことになりました。そうしたときに、さらにまた、甲府盆地が雪で三日三晩、閉ざされたことがあります。そのときに、仮にリニア新幹線のようなものがあればですね、それで人を運べることがあるわけです。ですから、そういう意味におきまして、いろいろなこの、2027年の開通を目指すと言われた後にですね、自然災害だとか、国際的なイベントだとか、さまざまな事情が出てきたので、それに対応されるのはどうかといったようなことを申し上げてきました。しかしながら、そういうことはお考えになっていないというのがJR東海さんの基本的なスタンスですね。私どもはですね、2027年のことよりも、2020年のことを考えたらどうですかと、あるいは噴火のときのことを考えたらどうですかと、いろいろなことを申し上げてたんですが、専ら今の、既存の新幹線のバイパスを造ると。そして、30兆円ですね、国家から実質無償で30年間お借りされるというふうなことでですね、しゃにむにそれに突っ走られてらっしゃるわけですけれども、それが2027年に関わる事柄ではないかと思っております。それはJR東海さんオンリーの利害関係であって、私どもがその約束に加担したわけでもありません。加担といいますか、それを一方の当事者であるわけではありません。企業目標と。それ以上でも以下でもないという考えでおります。




記者質問:中央新幹線の建設に係る南アルプストンネル工事

(記者)

 ありがとうございます。確認なんですが、湧水全量というのは、知事がJRさんにデータを求めてる、毎秒2トンのデータを元に、湧水全量についても議論していくという解釈でよろしいですか。

(知事)

 まず、毎秒2トンなどという数字をですね、出されてきたわけですから。それを戻せば、あるいはそれ以下で済むというような話もあったでしょ。ですから減少分だとか、毎秒2トンだとかいうものが躍ってるわけです。だけどトンネルを掘ることによって出てくるであろう、失われる水の量、これは全部戻すべきだというのがわれわれのスタンスですから。それに関わる形で出てきている減量分だとか、あるいは戻すべきものの数字が毎秒2トン、その分戻してると。だから大丈夫だろうと言われてもですね、全量かどうかも分かりませんので、まずはそういう科学的な知見というものに基づいて、こういう数字が出てきてるので、全量というのは、量ですから。どのくらいの量ですかというのは、当然彼らも計算されてるはずです。だからこの数字自体についてはですね、明確に根拠があるはずなので、それも出さないで勝手に数字が躍ってるっていうのも、誠におかしなことだと思っております。だけど今回、そのデータを出されるということなので、これで議論するべき、初めて材料がそろうってことになると思っています。

(記者)

 ありがとうございます。最後に一点、ポンプアップとか、水の戻し方なんですけれども、その技術的な戻し方、工法とかなどは、一緒に話していくっていうことでいいんですか。JRさんに改めて追加の対策を求めていくという解釈でいいんですか。

(知事)

 ともあれ、素人が話してもあれなのでですね、この点については、トンネルの専門の先生ほか、なども含めて、この方法で下流まで流れてくるものをポンプアップして戻せるということが最短の方法なのかどうか、こうしたこともですね、当然議論の余地があると思っています。

(記者)

 有識者会議にも聞いていくっていう。

(知事)

 専門家に聞かなくてはなりません。

(記者)

 ありがとうございます。

(記者)

 何点かありまして、この案の評価ですね、中途半端ということがありましたけれども、改めてどのあたりを中途半端と思われるのか、もう少し詳しく教えていただけないでしょうか。

(知事)

 「全量が」という用語が入ったのが評価されます。「原則として」というのが中途半端だと思います。確実に全量を戻すということでなければならないと。原則というのは、それ以外のことを含みますのでね。だから中途半端だということです。

(記者)

 そうしますと、案のですね下の方に、「ただし」の後にこうありますね。社会的に理解可能で、かつ県さんが納得できる内容であれば、別の方策を提示できるというような、また別の案を、含みを持たせたような記載もあるんですけれども、このあたりは知事はどのように評価される。

(知事)

 こういうものがある以上、その前にですね、前もって確認をする事柄の一つだと思っておりまして、こうした抽象的な案文に基づいて何かをするというのではなくて、まずは確実に戻すべき方法はこれの方がいいと。じゃあそれにしましょうと。これを確実に実行することを確約しますといったような確認書がございましたらば、それに基づいて協定を結びますね。

(記者)

 現状、ポンプ以外に何か新しい方策というのはJRから示されているんですか。

(知事)

 ありません。

(記者)

 最後ですね、案以外の回答書のところなんですけれども、多くがこれまで示した資料のとおりというような記載が多いかと思うんですが、このあたり知事はどのように評価をされますか。

(知事)

 100ページもあるというのでですね、これ夜通しかけて読まなくてはいけないかと思ったんですが、その必要がなくなったというのが、これに対する感想ですね。肝心のデータは提供するというのが書いてあるのが、前向きかなと思っているところでございまして、ほとんどが、90パーセント以上従来どおりということですね。

(記者)

 従来どおりということが、この回答をもらったことによって新しく分かったとことというのは、どの程度あったという認識ですか。

(知事)

 これは、全量を戻すということがいかに重要かということをJR東海さんが認識されたということが大きいんじゃないでしょうか。これ、当然のことなんです。皆が要求しているわけですから。これは命に関わることなので、要求しているわけですね。当然それを言わなくてはいけないと、その方法についてはですね、従来水が出る、それトンネルの外に出さないと、危ないですよ。そうしたことがどっちにしたってやらなくてはいけないです。この水を戻すのとは関係なしに。だからこのポンプアップうんぬんのことはですね、トンネルで出てきた水を処理する方法の一つしかありませんね。初めから全量を戻すために考えられた方法ではないということです。トンネル掘れば必ず水が出ます。問題はですね、失われた水は戻ってこない場合があります。これは丹那トンネルの場合の丹那盆地、それは一つの例でありますが。それからまた、西の方ですね、あそこは重金属ヒ素がたくさん出るというような所もありますし、それから非常に活動の激しい、日本でも最も激しい山脈でもありますから、軟弱土質にもしもぶつかればですね、2027年どころではありません。

 例えば中部横断自動車道、わずか100メートルほどの土被りでですね、軟弱土質にぶつかって、それだけで1年以上工事が延びましたね。ですから、自然相手のものですから計画どおりにいかないというのは、当然工事をなさっている方たちはご存知だと思いますけれども、北陸東海のトンネル掘ったときに、1000メートルの土被りの所で軟弱土質にぶつかって、トンネルを掘削する機械が埋まってしまって、前に進むことも引き戻すこともできない、それでものすごい工事の遅延が生じました。そうしたことの経験を、工事している人たちは知っていると思いますね。そういうことからですね、全量を戻すということを考えていなかったところで出てきた方法として、ポンプアップというのが出てきておりますので、私は全量を戻すためにはゼロベースでどういうふうにしなくてはいけないかというふうに考える、そういう今回はきっかけになったと思っております。ですから、方法もほかに有り得るということがここにインプライズされてます、示されておりますけれども、どんな方法があるのか。これはね、恐らく方面のエキスパートに参加していただくということが必要だと思ってます。

(記者)

 ありがとうございます。




記者質問:中央新幹線の建設に係る南アルプストンネル工事

(知事)

 先ほど、知事の方が2027年の開業目標というのは、JRオンリーの利害関係であるというお話をされましたけれども、その隣の山梨県の甲府市さんであったりとかは、リニアの中央新幹線駅の新駅の近くを、東京からの移住者や企業の誘致を目指すという形で整備したりとか、沿線の駅ができるような市町では、人口減少対策とかで当てにしている部分があると思うんですけれども、静岡県だけが唯一の未着工区間という状況については知事の方はどうお考えでしょうか。

(記者)

 これはJR東海さんのこれまでのやり方が、言ってみれば静岡を考慮に入れてなかったということに尽きます。山梨あるいは東京に近い神奈川、神奈川、山梨、長野、岐阜、愛知などはですね、1970年代からリニアの誘致に向けて、期成同盟会をつくって、知事さんを挙げてですね、県を挙げて取り組まれてきたわけですね。そういうことにわれわれとっては、加わったこともないし求められたこともないと。どうしてかというと、静岡県を誰も通ると、誰も思っていなかったからです。ですから、こちらの事情はですね、突然降ってきたリニア新幹線のルートの一つと、ルートに掛かるということで、そこで出てきている問題というのはですね、話し合われた経緯がなかったということですね。それが出された背景には、もちろんトンネルを掘れる技術というものが今回進歩したというのがあると思いますけれども、そのことと静岡がそれによって被るであろう水に関わるマイナスの影響ですね、こうしたことについては話も聞いてなかったということがこれまでの経緯からするとですね、JR東海さんがそういうことに問題意識を持ってられなかった、持っていなかったということはこれまでのJR東海さんのやりとりの中からはっきりしていますね。

 ようやくこの問題の重大さにお気付きになったということじゃないかと思います。われわれが過去数年でやっていることを、ほかの、山梨県が今出されましたけれども、40年ぐらいやっていますよ。そもそも甲府と大月の間は、僕が乗ったのは1998年か9年です、実験線に乗せていただいたのはね。ですから、その頃から通ることがはっきりしているので、それに見合った形での地域のプランというものを考えるというのは、その土地としては当然のことだったと思っております。

(記者)

 1点伺います。回答書の中のデータに関しては、別途用意があるということでした。普通でしたら、こういう回答の期限にそのデータも示すのが普通なのかなと思うですけど、そこが後になっている理由、説明なんかは何かあったのでしょうか。

(知事)

 詳しくは聞いてませんけれども、データが膨大であるというふうには聞いております。しかしながら、膨大なデータを整理した要点だけでもですね、示すことはできたのではないかというふうに思いますね。ポイントはデータが出てくるかどうかです。で、出すとおっしゃっているので、これは非常にありがたいことだと思っております。

(記者)

 あとすみません、地元の自治体なんかにはですね、協定に水質の維持の対策についてもちゃんと盛り込むべきだというような声もあるように聞いておるんですけれども、そのへんの協定に載せる項目自体、今回向こうの、先方の案が出ましたけれども、項目自体に対しての現時点の知事のお考えはいかがですか。

(知事)

 これは水質だけでなくて水環境全般に関わること、生態系に関わること、それから希少動植物がございますのでね、そうしたことがございますので、こうしたことについて一つ一つ確認書をですね、しておく必要があると。それを実際にするということを踏まえた上で、それならばということで協定に至ると、こういう段取りです。ですから、染谷さんが言われているような水質の問題は、重要な確認するべき事項の一つというふうに受け止めております。

(記者)

 ありがとうございます。

(記者)

 3点質問ありまして、ちょっと1点ずつ質問させてください。昨日も知事もおっしゃってたんですけど、これまでJRと交渉の場すら設けられることができなかったという話がありまして、今回一定程度県に歩み寄るような回答だと思うんですけども、今後のJRとの関係についてはどのようになると考えてらっしゃいますでしょうか。

(知事)

 ウィンウィンの関係になるのが一番いいと思っています。今DCキャンペーンも、今年プレキャンペーンを4月から6月までですね、共同してやりました。また来年が本番になります。再来年はアフターキャンペーンということになりまして、非常にその方面での関係は良好なんですね。ですから、けんかすべき理由はありませんのでね、ただJRというのは公共の足でございますので、しかもこれは重要な国家プロジェクトといいますか、スーパーメガリージョンと称してですね、東京と大阪を1時間半で結ぶという、そういう構想の一つなわけですよ。私は国土審議委員会の委員としてずっとそれに携わってきたものですから、そこで賛成なんですね、リニア新幹線に一貫して推進する立場であったわけです。

 だからルートの問題はですね、私が知事になって、しかもルートの発表がされて、平成23年のことですけれども、それから2、3年して初めて僕自身が水の問題に気付いたという経緯があります。ですから、水の問題で思わぬ枯渇ということが、今でももう、何度も水を取水制限ですね、そうしたとことを今大井川でやってますね。

 だから、非常にかつかつの中でやっているということなわけでですね、そうした事態を知っていればですね、これはほっとけません。ですから、基本的にはウィンウィンの関係をつくり上げていきたいと、だけど水の問題はよく考えていただかないと、結果的にですね、静岡の人々の人生を狂わすことになる、産業を狂わすことになると、東海道の一番大事など真ん中にですね、大きな問題、禍根を残すことになりかねないということでございまして、こういう公共的な大会社としてはですね、そのことをお考えいただきたいということで、この件についてだけは、私は譲れないとこは譲れないということでございます。

(記者)

 そうしますと、昨日の段階では当たり前のところにきたので前進だという話だったと思うんですけれども、原則としてという言葉が入っているのを見まして、これまでのスタンスと知事のスタンスは変わらないんでしょうか、それとも今回の回答を受けて変わったんでしょうか。

(知事)

 それはもうテーブルに着いてくださるということでね、われわれ有識者会議を設けておりますよということを申し上げていた、そこの関心事の一つがこの毎秒2トンの根拠が分からないとおっしゃっていることなので、その根拠のデータは出すとおっしゃってくださったので、これは大きな前進だと思っております。




記者質問:中央新幹線の建設に係る南アルプストンネル工事

(記者)

 すみません、それでは2点目で、環境アセスの条例の手続きに基づいた知事意見だと、今回の基本協提案の回答におおむね近い形なのかなと思うですけども、それでも基本協定は確認書の手続きを1個1個踏んだ後に結ぶという考えなんでしょうか。それとあと、有識者会議が終わるまでは基本協定は結べないというような状況は変わらないのかなと思うんですけれども、そのあたりいかがでしょうか。

(知事)

 そうですね、手続き上ね、結んでから一つ一つ確認していくというやり方もありましょうし、どっちにしても確認するべきことが分かっているということであればですね、まず確認して安心してから協定を結ぶということの方がですね、一歩一歩石橋をたたいて渡っていくといったことの方がこの問題に関してはですね、いいと思っています。

(記者)

 すみません最後の質問なんですけど、これまで毎秒2トンというのは結局減少分を、JRが試算した数字で、それに基づいて湧水量もマックス2トンだろうということで、それを最大2トン分の設備を造って戻すという話だと理解しているんですけれども、結局JRは今回湧水全量を戻すと言っているんですけど、湧水全量がいくつかという数字については県に示しているんでしょうか。

(知事)

 いいえ、示されてません。

(記者)

 それは今後出てくる予定なんでしょうか。

(知事)

 分かりません。ともかく、出した数字の根拠を公開するべきであると。その水によって生活してきた人、生活している人、生活していく人がいらっしゃるわけですから。

(記者)

 その数字が出てこないと、多分設備の設計もできないと思うんですけれども。

(知事)

 いかにもそのとおりですよ。

(記者)

 そのへんは有識者会議でもんでいくという話になるんでしょうか。

(知事)

 そうですね、有識者会議が一番いいと思います。水掛け論をやってもしょうがありませんからね。

(記者)

 分かりました、ありがとうございます。

(記者)

 先ほど出た有識者会議の関係で1点確認させていただきたいんですけれども、有識者会議、先日の初会合の時点で、来年1、2月頃に各部会で報告を取りまとめてというようなスケジュールを出されていましたが、今回の回答を受けてそのスケジュールに変更、後ろに延びたり早まったりというのは特に今のところないのか、またその有識者会議が終わらないと協定結ぶというのは難しいという知事の考えは変わらないのか、その点お伺いしたいのですが。

(知事)

 いたずらに会議のための会議をしないということが、日程を設定した理由ですね。今度データを出してくださるということなので、データを出してほしいというのが第1回目の会合の要求項目の一つでもありましたから、これを受けて議論していただいて、それに応じた形で会議を開催されていくというふうに、割とフレキシブルに考えております。

(記者)

 そうすると延びる可能性もあるということですか。

(知事)

 そうですね。

(記者)

 もう1点追加で、協定案の関係でちょっと細かいところで恐縮なんですが、知事の受け止めとしてお伺いしたいのですけれども、これ文言の中でトンネル工事の開始に当たり原則全量を流す措置を実施するというふうにあるんですけれども、これはトンネル工事中は全量を戻すというのは既にJRは言っているんですが、そうではなくて、トンネル完成後も全量を戻すというふうに受け止めていいというふうにお考えでしょうか。

(知事)

 当然ですよ。ただしこれは単なる一方の方からの当事者の案ですからね、こちらの案というのを出さなくてはいけません。その前に確かめることがありますというのが、今おっしゃられていることです。

(記者)

 知事、昨日もですね、JRが要は方針転換をしたということについて、当たり前のことだとか、あるいは一定の評価をされていたようにも思うんですけれども、改めてですね、JRが県側に歩み寄ってきた、全量を戻すという方針を示したことについて、改めてお受け止めをお聞かせください。

(知事)

 JR東海というのは立派な会社なんですね。ですから、この問題の深刻性というのをですね、認識するのに若干かかったとは思っておりますが、当然公共の交通をあずかり、社会共通資本の一つですから、こうしたものとして水の問題が、われわれがデータを提供しました。戻せばいいんだろう、具体的になぜ必要なのかと、水道水、農業用水、産業用水、発電、あるいは生態系、水質、こうした問題に関わっており、かつこの大井川の水問題というのが、過去100年間の間にいかに深刻な問題を引き起こしてきたかといったようなことをですね、一つ一つ丁寧にお示し申し上げたわけです。最初は聞く耳持たなかったような感じでございました。しかしながら、改めて見ればですね、これは誰が見てもそうです、「あ、これは大変なことだ」というふうに思います。そういう、「これは大変なことだったんだ」というふうに金子社長さんが思われたんですね。前の社長さんのときまでは、ほとんど受け付けないというような対応でしたから、だからこの短期間の間にですね、トップの認識が深まったということを感じております。




記者質問:中央新幹線の建設に係る南アルプストンネル工事、農林環境専門職大学(仮称)の設置認可申請及び学長予定者の発表

(記者)

 そうするとですね、今回の方針が変わったのは、これまでずっと対立してきたと思うんですけど、本体工事に向けて一歩前進というところというふうに受け止めでいらっしゃるのでしょうか。

(知事)

 そうですね、日本経済新聞社の日経ビジネスでですね、本質的な問題に関わる問題提起をなされてますね。これは経済界に激震が走ったというふうに思っておりますけれども、多くの人が知らないことがそこに書かれていました。そうしたこともですね、つまり2027年開通ありきというようにはなかなかできない、今環境変化が起こったなという認識も持っています。

(記者)

 そういういろんな環境の変化という影響もあると思うんですけれども、JRと交渉していく上で、JRの方で方針を変えたというのが、これまで少し停滞しているような印象もあったんですけれども、交渉自体は前に進んでいくきっかけになるというふうなお受け止めなんでしょうか。

(知事)

 多くの人が、南アルプスがわれわれの県下にもかぶっているわけですけれども、どういう山脈なのかということについて、ほとんどの人が知らなかったんじゃないですか。私は国交省が定めている交通政策審議会、中央新幹線小委員会、この家田先生が委員長で、友人ですけれども、静岡に対して深い理解を持ってらっしゃる立派な先生ですけれども、水の問題についてですね、考えてらっしゃらなかったと思いますね。ルートの問題については、最短、最速工事期間うんぬんでですね、技術的に可能という、そういうレベルでコースが決まったなという印象を持っております。ですから、開通ありきと、2027年開通ありきというところから逆算してなさっておられるわけですけども。

 ですから、今そもそも人口減少の中でこれだけのお金を投じる必要があるのかとか、あるいはもと経企庁長官の方がですね、これは大阪まで一気に開通しないとリニア新幹線としての有効性というのは半減する、あるいは意味がないとかですね、相当厳しい意見が出てきております。ですから、そうしたことも含めて、このリニア新幹線の問題が問題として理解されて、理解が広まったと、あるいは問題意識が共有されてきたと。まだまだ南アルプスについてはですね、何しろ世界のエコパークですから、人類の共有財産なんですから。しかも本県だけでなくて山梨県、長野県の、全部で10市町村が南アルプスをあずかっている共同体なわけですけれど、その人たちもえらい心配してますよ。だから南アルプスっていうのが日本にとって何なのかと、つまり生態系の垂直分布においてですね、これほど多様なところはないと。これを傷めるということになったら、本当に何のために今まで運動してきたのかというような、そういう声も聞こえてきていますね。

 ですから、南アルプスの問題が初めてですね、リニアとの関わりで議論されるようになったということでございまして、この問題提起は重要な問題提起であると、それの一端にJR東海さんも気付かれたと思います。

(記者)

 ありがとうございます。

(記者)

 先ほど、協定書の前に一つ一つ確認書を交わしてとおっしゃったんですが、その確認書の中身についての質問です。一つ一つのことについて問題点を列挙した上で、その解決策まで提示したものを確認書と呼ぶという理解でよろしいでしょうか。

(知事)

 そういうことです。

農林環境専門職大学(仮称)の設置認可申請及び学長予定者の発表

(記者)

 農林環境専門職大学の鈴木滋彦静岡大学副学長の起用の理由を、もう少し詳しくお聞かせいただけますでしょうか。

(知事)

 今、農林業についてはバイオテクノロジーというかそういう方向にいってますね、ライフサイエンスであるとか、この鈴木滋彦先生は現場主義ですね。かつて藤枝だったかそこに静岡大学の農学部の農場がありませんか、今もありますね。そこで作業服を着た人の良さそうなおじさんがいらして、それが鈴木滋彦先生でした。私自身は何と本当に現場に即して農業というものに、土のにおいのする農業をしている人だなという人物評だったわけですね。知らないうちに農学部長になられ、副学長になられたわけですが、やはり私だけの評ではなくて多くの方の人望を集めている方だなということでですね、しかも本県に根差している方ございますので、全会一致で関係者が鈴木先生を推されたと伺っています。私自身が推薦に加わったわけではありません。

中央新幹線の建設に係る南アルプストンネル工事

(記者)

 協定案は17日にJRが持ってきたということだったと思うんですけど、事前に県との下打ち合わせみたいな擦り合わせはあったんですか、それともJRの方から17日に持ってきたんでしょうか。

(知事)

 後の方です。10日にご回答は期限を切りたいと言ったんですけど、延期したいと社長さんがおっしゃって、今回突然ですね、持って来られましたと聞いたのが10月17日の夜9時くらいでしたかね。掛川にいたときに聞かされて、どういう内容ですかというところから始まったので突然だったわけです。

(記者)

 知事がお知りになったのは17日。

(知事)

 実質的に18日の朝ですかね、それも報道によってですよ。こちらももらったばっかりで、8時にもらわれてですね、関係者、膨大だと聞いていたので読むのに時間がかかるなというのが印象でして。ふた開けてみたのが昨日今日という感じですね。




記者質問:中央新幹線の建設に係る南アルプストンネル工事

(記者)

 協定案の中でですね、湧水の全量を戻すということについては一定の評価をされたと思うのですが、ただし書きについては分かりにくいと個人的には感じたんですけど、知事はそのあたりはどのようにお感じになりましたか。

(知事)

 こういうものは単純明快な文書にしておく必要がありますね。何かこう官僚の文書でですね、いろんなものにとれるような、いろんなつぶしが利くような文書にしておいては大事なことの協定にはならないと、全量は確実に戻しますと、これはもうストップです。そうでなくてはいけないそのための協定でなくてはいけないと。

(記者)

 協定書のことなんですけど、ここに水資源と書いてありながら中下流域と書いてありますが、上流も水資源だと思うんですけどこれについてどう思われますか。

(知事)

 全部水資源です。中下流域の水を供給しているのが上流ですから、南アルプスの水脈、たまっているものがトンネル工事によって一気に噴出してしまって、一時的には膨大な水が出てもですね、たまっている水が全部出てしまったら、あとは返すべき水もなくなってしまいますから。このようなことは、どのような知見をお持ちなのかということは具体的に知らないといけないですね。その知見が今日の地質学的な知見に照らして妥当なのか、そうでないのかということのご判断も専門家にしていただく必要があると思っています。

(記者)

 とするならば、確認書ということで落とし込んでいくのか、それとも協定の方でやるのかというと、それはもう有識者にもんでもらうという理解でいいのか。

(知事)

 まずはやっぱり全量というのが出てきてそれは当然だと、全量戻します、それではどうしますかというのが次出てきますね。今それについていくつか出てきてます。工事すれば水質も汚れる生態系もやられる、あるいは戻し方についての工法はどうしますか、こういったことについて全く白紙のままですね、協定だけ結んでやりますよと言われても、どうやるのかということを後から言われて、そんないいかげんだったんですかということになったら取り返しがつかないことになりかねませんので、ですからこれについては慎重にしなくてはいけない、流れた水は戻ってこないということをよく分かってなければいけない、人が生きられなくなるということですから。

(記者)

 毎秒2トン減るという根拠を示してもらって有識者会議で検証するということは分かったんですけど、毎秒2トンという大井川の流量減少とトンネルから湧き出てくる流量は違うと思うんですけども、それは先ほどトンネル湧水の量がどれくらいになるかということはJRから示されていないと思うんですけど、トンネル湧水がどれくらいになるかということもJRに求めていくのかJRに求めつつ有識者会議でも計算していくのか教えてください。

(知事)

 まず毎秒2トンのデータの根拠が必要ですね。全量というのは1グラム2グラムということも含めてしっかり出せといわれて、常識的に難しいですね。全量は全量ということで、トンネル工事で出てくる水は全部戻すと。その装置を造ってくださいということに尽きます。

(記者)

 その工事で出てくる全量が果たしてどのくらいになるかという数字について、JRに求めないんですか。

(知事)

 当然大体このくらいだろうというのは出てくると思いますね。大体の計算方法があると思いますが、実際は誰も見ることができませんから、ですから具体的に量ることができませんから、全量の数値というのが正確に出せないと前にいけないというものでもありませんから、しかし毎秒2トンというのはある数に基づいた数値であることに違いないので、それは出してもらう必要があります。数字が出ているんですから。

(記者)

 そうすると、知事は毎秒2トンはJRが試算した数値であるので、何らかの根拠があるはずだということでデータの開示を求めていますが、湧水全量については試算するのが難しいというふうにお考えだっていうことでよろしいですか。

(知事)

 誰が見たって難しいと思いますよ。




記者質問:沼津駅周辺総合整備事業について、KYB及びカヤバシステムマシナリーが製造した免震・制振オイルダンパーの大臣認定不適合

(幹事社)

 ほかはいかがでしょうか。それでは発表項目の質問は終わりにします。当初予定していた幹事社質問がリニアの工事のことでしたので、本日は幹事社質問がありません。各社さん、ほかに質問があればご自由にお願いします。

(記者)

 2点お伺いします。沼津の鉄道高架化の件で、今日午前中に沼津の反対地権者の皆さん方が沼津市等の調査の停止を求めて文書をお持ちになったと思うんですが、これに対する受け止めと、カヤバ製のダンパー、県の施設にも使われてましたが、これについても受け止めをお願いします。

(知事)

沼津駅周辺総合整備事業について

 平成21年にこの問題にですね、直面したときにはそれはそれは険悪な状況でした。それから丸9年がたちまして、この間PIだとか市長さんがお代わりになるとか環境が変わりましたね。沼津における最重要課題と捉えて、私もできる限りチームを組んでやってまいりました。大沼さんが反対地権者のところに足を運ばれ、頼重さんもそういう方針を継承せられて、うちの職員も4年間プラス今日までどのくらいでしょうか、もう6年7年関与している勝又君という優秀な職員がいます。そうしたことを踏まえて、頼重さんが35条の調査に入られるとお決めになったのでね、私は今まで任意の交渉に応じていただけなかった地権者の方の土地と物件の状況の調査をすると、そして補償の金額の算定をすると、そういう段階に入ったと認識を持っておりまして、頼重市長さんの方針と同じ考えでいます。県と市一体ということでございます。

KYB及びカヤバシステムマシナリーが製造した免震・制振オイルダンパーの大臣認定不適合

 耐震性のことについてはびっくりしました。うちも2カ所ばかりですね関わっているということですよ。それが不正なのかどうかということについてはまだ報告が来ておりませんで、千カ所と膨大な不正が行われたという、かつて東洋ゴムということがありましたけども、そういうことをする人が安全安心に関わっている人がいるんだなということでですね、憤りを感じますけども。本県に関わる施設について不正が行われたかどうかについては、まだ報告は受けていないということであります。

(記者)

 不正の報告があった場合には、この後どう対処されます。

(知事)

 ともかく、本来の基準に合うように取り換えなくてはなりませんね。と同時に会社に対しまして猛省を求めたいと思います。今これほど地震や安全対策について国を挙げて、特に県の場合には最優先課題としているわけですね。こういう中で大丈夫だと思っていたものが安全が偽装されていたわけで、猛省を求めたいと思います。

【沼津駅周辺総合整備事業について】】

(記者)

 沼津の高架事業についてお伺いしたいのですが、知事は静岡空港のときも地権者のところに直接伺って説得したことがありました。今回の沼津の高架問題でも、地権者の方は今の状況では市の説明に納得していないと、土地を売るつもりはないと言っております。知事が直接地権者の方のところに行かれたり説明するお考えはあるのでしょうか。

(知事)

 常に持っております。ですが、今は頼重さんがやってらっしゃるんですね。大沼さんのときも持っていました。この件については、一番最初に地権者のところに入ったわけですね。地権者、反対者、賛成者一同に集まっていただいて、原の松蔭寺だったと思いますが、白隠さんのお寺に集まっていただいて、初めて反対者、地権者と賛成者がですね、目の前で話をして理解をし合うとそこから始まりました。そこから何度か行きまして、裁判沙汰になったときは驚きましたが、そのときにも入りました。大沼さんがずっと回られていたので、僕が行きましょうかと言ったところ、自分が全部やるとおっしゃっていたので、今頼重さんが丁寧になさっていると思います。

 僕よりも信頼を得ている、先ほど名前を挙げましたけれども、彼はPIを3年やったと思いますけども、一番最初から加わっているトップの官僚です。本当に事情を知りつつ、地権者の顔と名前が一致する、いわゆる機械的に説明しているわけではないんですね。ずっと丁寧に説明してきた経緯をよく知っているので、格好だけつけるために行くのではありません、行っても全く意味はありません。大事なことは理解をしていただいて前に進むと、また市長選挙がありました。沼津の発展にこれは役に立つと、特に原町にですね今の貨物駅、非効率的なのでこれを移して、それがきっかけで原町のさまざまな発展についての青写真も、沼津の方たちが自ら提示されているんですね。ですから、こうしたものは9年前には全くなかったわけです。当時反対者の方から言われた、つまり待避線ならオーケーと、それからそこを文化観光の町にしていくための案をいただきまして、全部枠組みは整えたんですよ。今、プラスアルファいろいろなものが出てきて、9年前の原理主義が反対している、せざるを得ない状況とは違うと思っておりまして、志を同じくするといいますか、これが本当に原町のためになるんだということをこれまでの経緯、今進めている沼津市または県と一緒の共同している事業について、話し合いをしながらやってきておりますのでね、私が行くか行かないかは様子を見ながらということになります。常に行く用意があるということです。お目にかかる用意があるということです。

(記者)

 沼津の高架のことで、大体皆さん聞かれたようなことなんですけど1点だけ。今日持ってこられた方たち、少ないとはいえ27人の地権者がいる中で、沼津市からの説明が不十分だという声が、県知事宛ての要請書の中に、沼津市にもっと丁寧に説明するよう言ってくれという要望だったわけですけども、その点についてどのように受け止められたか。

(知事)

 私は丁寧に説明しているのを知っているのでですね、丁寧に説明している職員の話をぜひ聞いてくださいと、つまり門前払いするとか聞かないという形で聞いていないというのと、説明していないから聞いていないとは違いますね。どちらかというと、かたくなに聞かないというそういう態度を取られていたところもあります、全員でないですけど。そうではなく、一度話を聞いてください。取りあえず貨物駅をこちらに移すと、それが最初です。沼津の次が片浜ですね、それから原町それから東田子の浦、その間のところに駅のようなものができる可能性が提案されていて、それが決まれば動きますよ一緒に、そしてそこにサッカー場を造るという案も出ています。そこに仮に線路をまたぐ施設ができた場合に、そこに原町で作っている野菜や果物などを販売して喫茶店みたいな形にするとか、道の駅を造るとか。沼津の高架の話をしているのではなく、原町の発展の話をしている。9年前と同じように鉄条網を造って行き来を妨げてというような状況とは全く違う、PIというのは両方が入って徹底的に議論するという3年やってきたんですね。かたくなになっている心をですね、富士山を見て人の話を聞いてほしいと。

 白隠さんはけんかを喜ばれませんよ。白隠さんを生んだところですから、ぜひお話を聞いてくださいと、乱暴なことをしているのではありませんと申し上げたいと思います。

(幹事社)

 ほかいかがでしょうか。それでは終わります、ありがとうございました。

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