(知事)
こんにちは。お暑うございます。今日のお花はですね、オレンジ、これがガーベラですね。鈴の形の花がサンダーソニアと、これですね。緑色の実はヒペリカムというそうでございます。ちょっと難しい名前です。
さて、今日の発表項目は一つでございまして、山梨県早川町を去る7月5日、6日、川根本町の鈴木町長さんと御一緒に訪問いたしました。その報告でございます。
早川町は、御案内のように、2年前に南アルプスがエコパークになりまして、本県で言いますと川根本町、それから静岡市の北側にございます井川、そして早川町、南アルプス市、韮崎市、北杜市の4市町が山梨県、並びに富士見町、伊那市、大鹿村、それから飯田市ですか、この4市町村が、長野県、この10市町村で南アルプスの環南アルプス山岳連合を今、連携中ということでございますが、そうした御縁もございまして、さらにその昔から南アルプスの南辺を共有する川根本町と井川と、昔の井川村ですね、それと早川町とは旧来から行き来がございまして、早川町の方々がこちらに来られて姻戚関係を結ばれたり、また逆のこともございまして、ほとんどもう、山梨県か静岡県か、どちらか分からないような関係もございまして、そういう御縁もございまして。それからまた、辻一幸町長は、今、9期目ということで、名町長の誉れの高い方で、しかも、人口は1,100人余りということで、全国で最も人口の小さい町としても有名であります。
さらにまた、リニア新幹線のトンネルを早川、いわゆる南アルプストンネルですね、早川からずっとこの長野の方に向けて掘っていくということで、このトンネルの一部が静岡県の南アルプスの山岳の間を通るということもございまして、さらにまた、大井川の上流におきましては、東俣、西俣、これが合流いたしまして、そこのかなりの水が東電の発電の田代川第二ダムと田代川第一ダム、標高差は全体で1,000メートルぐらいあるのですけれども、そこで発電をするために水を送っているのですね。ですから昔から水争いが絶えなかった所でございまして、そうしたこともございまして訪問したということでございます。
本当にありがたいことに天気に恵まれたということがございました。それから、辻町長さんがぜひ見てほしいということで参りましたのが町役場だったのですけれども、町役場はその早川町の森林材を利用されて、文字通り森の役場というふうにふさわしいような所で、皆、大変明るうございまして、そして2階に議場があるのですが、その議場は、議会が開かれている時には議場になると、さもなければ、さまざまな町の集会等に利用するということになりまして、何と言いますか、非常に開かれた町役場の姿を見ることができて、これこそ、これからの役場の作り方ではないかと思った次第です。
そして、実は私はリニア新幹線のトンネルを掘っている現場とそれから、田代川第二ダム、これの方が発電量大きいのですけれども、そこの水、つまり大井川の水ですね、これは。ですから、この大井川の水についてはひょっとするとトンネルを掘ることによって流量が減るということもございますので、どれくらいの量で、どれぐらいの規模の発電がなされているかということに大変関心がありまして、この2点を見ることが明確には言わなかったのですけれども、目的だったわけです。そのところをちゃんと、辻町長さんはさすが9期、名町長だけあってですね、田代川第二ダムにおきましては東電の部長さんが、通常は田代川第二ダムには誰もいないのですよ、今、大月で全部コンピューターで操作できるということなんですが、一部の人は早川町のこの山の下でですね、管理されているのですけれども、通常誰もいないと。そこにですね、10人以上の人が来ていただきまして、懇切丁寧にその現場を御案内くださいました。
結果、これが極めて水が大切にされてですね、そして発電所それ自体は大正期にまでさかのぼるのですけれども、しかし、発電機や水車、こうしたものは1999年、これ2000年にかけて更新されておりまして、最新式の水力発電をしているということが分かりまして、それがやがて下に下りてきますと、日本軽金属の3つの発電所がありますけれども、その発電にも活用されているということで、ことごとくこの大井川の水が静岡県と、下流の方では静岡県、上流の方では東電、早川町の電力源になっているということを実見した次第でございます。
それからまた、リニア新幹線のトンネル現場、これは御案内のフォッサマグナの現場です。フォッサマグナ、これは西日本と東日本を分ける地質上の、まさにフォッサマグナでございますけれども、7,000万年前の地層と2,000万年前の地層がむき出しで両方見られるという所が、実はトンネルを掘るすぐ近くにございまして、そこをまず見せていただきました。これは、国の指定の、何と言うのでしょうか、指定記念物と言うのですか?になっております。新倉という、新しいという字と倉という字を書きまして、新倉(あらくら)のフォッサマグナの逆断層、新旧の層差5,000万年という歌は知っていましたけれども、この7,000万年前の地層の下にですね、東側から2,000万年前の地層が入り込んでいるのですね、これを逆断層というそうですが、その現場を垣間見ることができました。そのすぐ近くに、実はダムもございますし、それからリニアのトンネルの現場もあると。
そのリニアのトンネルの現場につきましては、これまたですね、JR東海の部長さん、執行役員の部長さんまでがお出ましいただきまして、広河原の、いわゆる本線とは違って、そこから非常口と言うのですかね、それを掘っている現場を見せていただき、そしてまた早川の非常口を見せていただき、そして残土の処理の現場も見せていただき、仮に大きな水が出た場合に、その水の処理をする場所も見せていただき、懇切丁寧に見せていただきまして、本当に心から感謝しています。
おそらく静岡県でですね、大井川の流量がどうなるかということについて、たくさんの市町の方たちが御心配されておられますけれども、トンネル現場を見に行ったのは、今回、鈴木川根本町町長と私が初めてではないでしょうか。現場を見ることで、いかに早川町の方々の御理解を得ながら工事が進んでいるかということは、実見した次第でございました。
それからですね、早川町の一番北側の所に、どん詰まりになっているのですが、そこから甲府盆地に出る道を、今回のリニアのトンネル工事で出る土砂等を上手に活用しながら、国と県と早川町が一緒になりまして、JR東海さんと御一緒に、5キロメートルの道を造ると。そのうちの4キロメートルはトンネルになるのですが、プラス1キロメートルの道を付けまして、一気にですね、甲府盆地に出られるという、そういう道造りに活用されているということで、残土の利用の仕方、あるいは工事と地域発展とを絡めるという、その知恵にも非常に感じ入りました。
そしてそこは奈良県の奈良という字に田んぼ田と書きますのですが、どうして奈良という名前があるか、御存知の方いらっしゃいますか。そこに驚くべき伝承がありまして、孝謙天皇という女帝ですね、聖武天皇の御息女でございますが、聖武天皇が御退位なさった後、孝謙天皇が即位されます、しかし、病を得られるわけですね。そして758年に淳任天皇に位を譲られるのですが、その時に何と、早川町に来られて、そこに温泉があるのですけれども、そこで体を癒されて8年間留まられたということでですね、その伝承を大事にして女帝の湯というのがあるのですよ。入られた方いらっしゃるでしょうか。静岡県で入ったのはですね、知事公室にいる森君だけです。あの、政策企画部長の森ではありませんで。女帝の湯に入ったというので、どうだったと。いやあ、もう眺めが最高でしたと。こういうわけです。そこには、静岡県ではなくて山梨県の企業局がやっているダムがあるのですが、これはですね、もう全部土砂でうずまってですね、あるいはもうダムとしては実質上機能していないに近いというふうに思った次第でございます。そういう、いわば池みたいになっているのですが、湖みたいになっているのですけれども、両側美しい山々でございますので、最高の所です。そこにですね、その孝謙天皇がお越しになられて体を癒されたという伝承のお宮様とかがございまして、それを記念する形で民族資料館などが造られて、また、そこに山岳写真で有名な白籏先生のですね、白旗何とおっしゃったっけ?(白籏史朗先生。)白籏史朗先生ですね、の写真館もあって、これもまた上手にですね、造られておりまして、本当に感動をいたしました。
さらに、ちなみにあの、孝謙天皇というのは、退位された後、道鏡によって病を治されたということになっているわけですが、どうも、女帝の湯に入られたのがその効験がよくてですね、元気になって、それで道鏡と何と言いますか、よい関係を作られたということのようですね。その後もう一度天皇に復帰せられます。重祚(ちょうそ)と言いますけれども、それを称徳天皇ということでございますが、ともかくですね、その同じ頃にですね、スギが植えられているのですよ。天平のスギということで、これは湯島のスギと、湯島の大スギと言われているのですが、御覧になった人いますか。こんなものです。ですから、縄文杉に勝るとも劣らぬ、縄文杉というのは、屋久島の縄文杉、それに勝るとも劣らないですね、天平の古代スギと言うそうですが、天平時代に持って来られたと。まさにパワースポットでですね、そこに来ると、皆、元気になるそうです。スギには男のスギと女のスギがあるのですって。雄スギと雌スギがあるらしい。孝謙天皇が女帝でいらっしゃるので、雌スギは何か、その女帝の働きがあったのでしょうか、燃えてなくなったそうですよ。その雄スギが堂々たる姿を見せて天を仰いでいるわけですね、を見せていただきました。
そしてまた、御案内のようなあれ、赤沢と言いましたかね、このいわゆる身延(みのぶ)にお参りになる方が七面山(しちめんざん)にもお登りになるという、その途中に宿がございまして、その宿もですね、国の指定の伝統、何と言いましたか(伝統建造物。)、伝統建造物の現存するものとして認定されている。静岡県にはですね、焼津に一つあるだけですよ。そこに学生さんなどが来て、また、そばがうまいのですよ。高低差がある宿としては、日本でたった一つだそうですよ、というものがございまして、また、皆さん、習字なさる人には、習字、硯(すずり)、(雨畑です。)雨畑(あめはた)、雨が畑、雨畑の硯の現場もですね、博物館を通して見ることができると。実際に自分で硯も作れるようにしておられまして、わずか1,100人ですけれども、鈴木(川根本町)町長さんもですね、鈴木さんのところは7,000人以上いるのではないですか、感動されてましたね。
それで、これから3人というか、一緒にやっていこうと。南アルプスというのは、緑でしょ。「この環南アルプスの連合体を作るのに何か良い名前がないか。」と言うのでですね、それならエメラルド、つまり緑ですね、エメラルドのネックレスということで、「環南アルプス・エメラルド・ネックレス」構想ということで、その中心を早川町が担うと。その副と言いますか、これを何と言いますか、鈴木、川根本町の町長が担うと。川勝平太がその応援団長になるということで、そこで意気投合したわけです。そしてついては、この南アルプスの山開きを7月16日に静岡市でなさるということなんですが、残念ながら鈴木(川根本町)町長は行けないと言うのですよ。なぜかというと、市道の閑蔵線が土砂で埋まっているということなんですね。行こうと思ったら、一旦静岡市まで下りてきて、また上に上ればいいのですけれども、そういう状態になっているということでですね、本当に残念がっておられました。ですから、静岡の目が、実は南アルプスの麓(ふもと)にまで及んでいないということがあると思います。
ちなみに、田代川第一ダムや第二ダム、さらに早川のダムがあるのですけれども、そうしたこの電源が立地している所には、交付金が出ます。その交付金の額は、早川町だけでも4,000万円の毎年交付金によって潤っているわけですが、年間20数億円の予算でございますのでですね、非常に重要な財源になっているわけです。私はおそらく思うに、今、井川はですね、鈴木(川根本町)町長によると、500人ぐらいの人数になっているそうですね。昨年行った時には7、800人とおっしゃってました。かつて、6,000人とか8,000人いたのが、10分の1以下になって、そして、川根本町の千頭からこの上に行くのに、線路も土砂で覆われていると。井川の駅は、駅を降りて道に出る所に橋がありますが、その橋が流されているのでですね、井川線が不通になっているわけですね。ですからもう、非常に困られているわけですが、井川と言えば、その畑薙のダムがあります。第二ダム、第一ダムがあるでしょ。それから、井川のダムがあるでしょ。これだけで20万キロワットですよ。早川町は、田代川ダムが4万キロワットで、それで4,000万円もらっているわけです。ですから、私はですね、辻(早川)町長さんがおっしゃってましたけれども、電源立地しているのだから、井川は、その交付金があれば、十分にさまざまなことができるというふうに言われてたのですが、もっともなことだと思いましたね。そうすると、その早川町と川根本町の間にこの井川があるわけですが、その閑蔵線という、道もですね、土砂に覆われているし、いろいろな脇道が土砂に覆われたまま、ずっと今日まで来ているのですが、こうしたことはですね、独立する以外ないのではないかと思って、そういうことで、エメラルド、ネックレスは県境を越えて長野県と、それから静岡県とそれから山梨県の県境を越えておそらく作っていかれるのがいいと。これは、言ってみればですね、三遠南信の運動であるとか、近年注目されている、土屋君も、土屋副知事も頑張っていただいておりますけれども、神奈川県の箱根、そして静岡県の伊豆や富士といった所が一体になると。小山町さんもお隣の山北町他ですね、足柄の町々と一緒になって、むしろ静岡県を向いているよりも、神奈川県を向いてさまざまな行事をされておられるわけですが、こういう県境を越えた試みの一つとして、南アルプスの「環南アルプス・エメラルド・ネックレス」構想を私は本気で応援をしたいと。そして、井川はですね、その電源がありますので、それだけでも2、30万キロワットありますから、十分に交付金が出てくるので、それでですね、今、たった1人しか市会議員いないでしょ。彼は浮いてますね、気の毒に。だけれども、そういう弱い所にですね、一番必要なのは道造りであり、インフラ整備です。今、救急車が行かないのではないですか?だからもう、非常に厳しい状況になって、高齢者率も高くなっていますので、今回訪問をいたしまして、水のことで訪問をした、トンネルのことで訪問をしたのですけれども、最終的にはですね、将来につなげるためには、南アルプスを活用した形での連合を作っていくと、連携を作っていくことが、井川であるとか、川根本町の生きる道ではないかという実感を強くいたしまして、両町長様もですね、そのことに賛成いただきました。
それからさらにですね、これもやはり辻(早川町)町長さんから伺ったことなんですが、間ノ岳(あいのだけ)という、登られた方、いらっしゃいますか?静岡県の南アルプスの山でございますが、これは早川町と本県の最北端、こう、まさに南アルプス市にもまたがっているのですが、この間ノ岳、北岳、農鳥岳、これがまあ「白峰三山(しらねさんざん)」と呼ばれて、日本百名山にも選定されている名峰なわけでございますが、平成26年4月に国土地理院が全国の主な山々等を最新の衛星測位システムに基づき再測量した結果、間ノ岳は従来より約1メートル高くなったと。そして、これによってですね、3,190メートルになったと。これは3,190メートルというのは、奥穂高と同じです。奥穂高は北岳についで3位です。北岳は3,193メートルですから、この北岳は残念ながら山梨県にございますけれども、ゴールドメダルの富士山と銅メダルの間ノ岳が3位になったと。これもですね、考えてみればすごい話です。山がですね、知らぬうちに1メートルも隆起していたと。これは、年間4ミリメートル隆起している南アルプスが作り上げた造山活動の帰結であるということでございますけれども、そこにトンネルを掘るということなのでですね、トンネルの問題は早川町のように、この残土を上手に利用して地域発展している所と、ただただ、安全に環境を保全してくださいと言って頭を下げているだけの静岡県側のですね、態度とに、天地の開きがあるなと思いますが、今、畑薙の方から向こうに行くのにもですね、私は、そこで道を造っていただくということがあり得るかと思っていたのですね、工事に入るのに。道がふさがれていれば、トラックも入って行けないでしょ。そういう状況があるということを、もうぜひ静岡県民の方々、特にですね、大井川の恩恵をこうむられている方々は、知っていただきたいというふうに思った次第でございます。
早川町から学んだ2日間でございました。あらためて、辻一幸町長に厚く御礼を申し上げたいと思っております。また、2日間ですね、御一緒に山仲間として同行していただきました川根本町の鈴木町長様にも厚く御礼を申し上げたいと思います。
私の発表は、以上でございます。 |