令和3年度以前知事記者会見

2023年10月10日(火)


冒頭発表(世界クラスの資源・人材群)
幹事社質問(給与減額条例案、リニア中央新幹線関係)
幹事社質問(リニア中央新幹線関係)
一般質問(県議会議長就任祝賀会への出席、浜松市新野球場の構想、ジャニーズ所属タレントの起用)

冒頭発表(世界クラスの資源・人材群)

(知事)

どうぞよろしくお願いいたします。今日のお花の名前でありますけれども、赤と緑の実ですね。これがヒペリカムであります。それから背の高い植物、これがホトトギスと言うそうであります。以上であります。

さて、発表項目はですね、1つございまして、世界クラスの資源・人材群が148件になったというものであります。UCI自転車世界選手権大会で窪木一茂選手並びに杉浦佳子選手がメダルを獲得されました。窪木一茂選手は、伊豆ベロドロームを拠点に活動をなさっておられますけれども、イギリスのグラスゴーで開催されたUCI、自転車世界選手権大会に出場されまして、トラック種目の男子スクラッチで銀メダルを獲得されました。杉浦佳子選手は、同じ大会のパラサイクリングの個人パシュートで金メダルを獲得されるなど、他にも4種目(正しくは、「3種目」)出場をされましたが、全てでメダルを獲得されました。この窪木選手、また杉浦選手をはじめ本県関係選手が来年開催されるパリオリンピック、またパラリンピックにご出場なさって活躍されることを期待いたします。今回のお2人の選手の活躍を加え、本県の世界クラスの資源・人材群は2013年6月の富士山世界遺産登録から数えますと148件となりました。1か月に1件以上のハイペースが続いております。なお、昨年フランスで開催された世界選手権で窪木選手が銀メダルを獲得されていることが判明いたしましたので、今回併せて登録をいたしました。私の方からは以上であります。




幹事社質問(給与減額条例案、リニア中央新幹線関係)

(幹事社)

幹事社の中日新聞です。知事の発表項目について質問のある社はありますでしょうか。では、幹事社質問に移ろうと思います。大きくですね、給与の減額条例案と、リニアについてお伺いしたいと思います。まず給与減額条例案ですが、先の総務委員会で集中審議を経て、附帯決議付きで可決されました。これに対する受けとめをまず教えてください。

(知事)

はい、御質問ありがとうございます。これは10月13日金曜日の閉会日まで審議中ということでございますので、議会の動きを尊重いたしまして、コメントを差し控えたいと、差し控えさせていただきたいと存じます。ただ、議会終わりましたらば、この件について御質問があればお答えいたしますので、その旨も併せて申し上げておきたいと思います。以上であります。

(幹事社)

分かりました。ありがとうございます。では、リニアの質問に移ろうと思います。リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事による生態系への影響を議論する国の有識者会議が示した報告書案に対して、県は、重要種や指標種の影響分析、評価が不足していると指摘しています。一方で静岡市の難波市長は、9月27日に県の主張に理解を示したうえで、報告書案には、工事開始前の影響回避・低減措置が書かれていないと指摘しました。こうした難波市長の意見への受けとめをお尋ねします。

(知事)

はい。生態系についての難波市長さんと県の考えとは、また懸念等も、基本的に同じであると私は受けとめております。9月27日の静岡市長さんの記者会見資料を見ますと、生態系について工事施工前に十分な調査が必要である、生態系への影響の予測・評価が必要である、水が減ってからでは遅い、ということが示されております。県が意見書などで、これは森貴志本部長の方から国交省の鉄道局長に宛てた文書でございますけれども、それとどう、平仄を合せててですね、質問文を出されておりまして、まだ回答いただいてないということでございます。県が意見書などで求めていることは基本的には回避・低減を適切に評価するために必要な生態系への影響予測・評価をしっかりと行って、県民の皆様が安心できるレベルの報告書をまとめていただくということでございます。南アルプスの自然環境を保全する、生態系を保全するっていうのは、これは国策というべきものであります。なぜかというとそれが国立公園であり、またユネスコのエコパークに認定されているからであります。そういう点を考慮いたしましても、この難波市長さんの生態系に関する御懸念は、また、御指摘はもっともなことであるというふうに受けとめております。以上であります。

(幹事社)

ありがとうございます。また別の質問なんですが、リニア問題の現在地についてお伺いします。川勝知事は2021年3月の定例会で、県がJR東海との合意を求めている47項目を含めた総合的なリニア問題の議論での現在地を聞かれ、国の有識者会議で議論してるのは水量だけ。水質の問題がある、それから土捨て場の問題がありますし生態系の問題もあります、などと答えてですね、したがって「1合目」という感じ、と御回答されています。それからこの2年半で国の有識者会議は水についての、水資源についての中間報告を出し、環境保全の有識者会議の議論も現在行われています。こうしたことを踏まえ、全体の議論は現在何合目まで来たとお考えでしょうか。

(知事)

はい。この2年半の間、令和3年3月の定例記者会見から状況は変化しているなという印象を持っております。議論が着実に前に進んでいると受け止めております。例えば、この水資源問題に関しまして、有識者会議の中間報告を受けて田代ダム取水抑制案に関しまして、現在、JR東海さんと東京電力RPさんとの間で具体的な協議が行われていると。また発生土置き場について本格的な議論が始まったことなども挙げられます。しかし引き続き対話を要する事項として県が示した47項目、これは全て議論をするというのが、当時の鉄道局長であった、現在審議官をされている方と合意したものでございますので、そうしたことから見ますとですね、1合目よりは少し進んだかなという感じですね。ですから、引き続き、県民の立場から、持っている懸念が、1つ1つ丁寧に御説明されて、科学的・技術的にもちゃんと根拠付けて納得できるというところまで持っていくようにですね、私どもとしても協力をし、またJR東海さんに国交省の方からしっかりと御指導願いたいというふうに思っております。

(幹事社)

何合目までというのはなかなかお答えづらいですか。

(知事)

そうですね、まだ水のこの流量の問題ですね、これどの程度進んでいるのか。協議されてるってことはわかってますけど、まだ解決されてませんね。ですからこれが解決されればですね、1合目から前に進んだってことなりますから、1合目の次は何合目でしょうか。

(幹事社)

2合目。

(知事)

ああなるほど。そういう認識になるでしょうね。

(幹事社)

だいぶまだ低い位置にあるという認識ですか。

(知事)

そうですね、まだ47項目の、本当に入り口という感じを持っております。

(幹事社)

報告書案、今、国の有識者会議で議論されている、あるいは水資源での報告書で、今度出る生態系での報告書をもって、それでもって47項目を全て含んでいるというような、国交省としては考えかなと思うんですけど、知事はそういう認識ではない。

(知事)

それは乱暴ですね。今回森副知事の名前で出したものを見ましてもですね、例えば、このモニタリングに関わることですけども、沢の抽出については上流部の動植物の状況が反映されていないと、流量減少の傾向が見られる沢7か所全てについて現時点では、重点的なモニタリングを実施する沢として抽出するようにJR東海に有識者会議がですね、御指導いただくように、国交省から御指導いただくように求めております。さらにですね、重点的なモニタリングによる動植物の生息・生育状況調査等を開始する時期は、「工事着手前段階」から実施するように、JR東海に合わせて指導していただくように求めているものであります。さらに、適切な保全措置、モニタリング方法等の計画を策定するためには、あらかじめ生態系、動植物の生息・生育環境への影響を想定しておかなければなりません。このために、事前にトンネル掘削による沢の流量変化により、動植物の生息・生育環境にどういう事態が生じる可能性があるのか、分析・評価する必要があります。これはできておりません。さらにまた、表層部の帯水層、中間の帯水層、地下水の帯水層など断層や破砕帯との関連性も含めて、どこから供給されてるものなのかも明らかにされておりません。そうしたこと、若干あげましたけれども、ございますし、それ以外にもですね、土捨て場の問題もございますし、土捨て場の問題も、特に藤島沢は条例によって、あそこは基本的に駄目だということは、もう基本的なわれわれの認識でございますので、その点についてどうされるのかということもまだわかってませんので、議論はまだまだこれからしっかりやっていかなくちゃいかんと思っています。

(幹事社)

わかりました。幹事社からは以上です。ありがとうございます。今の質問に対して質問のある社はありますでしょうか。




幹事社質問(リニア中央新幹線関係)

(記者)

読売新聞と申します。リニア問題の現在地について、1合目よりは少し進んだかなという感じというふうにおっしゃいましたけれども、登頂は何年ぐらいを目指してらっしゃるんでしょうか。

(知事)

それはですね、当初は様々な状況に照らして、2027年までに東京品川間(正しくは、「品川名古屋間」)というふうに言われておりましたね。それが果たしてできるのかどうかということが問われてますし、最終的には2035年(正しくは、「2037年」)に大阪まで繋げるという案でございました。それからまた、いわゆる長期債務残高ですね。これも一定額に抑えなければ難しいとされてました。さらにまた、当初、品川名古屋間は5.5兆円で作ると言っておられましたけれども、それが1.5兆円追加されて7兆円になっております。こうした事態はですね、これは公共事業じゃないので、審査対象になりませんけども、しかしながらこれは公共事業でないにしても、国策というふうに、あるいは国家的プロジェクトと言われているものでありますから、したがってですね、JR東海さんとしては、こうした新たな事態、さらにまた今、資材が高騰しております。こうした中で、どのようにタイムスケジュールを管理されていくのかというのはですね、されねばならないと。ですから、何か2027年が最終ゴールになっていて、そこにこの静岡県のゴールが、静岡県の設定するゴールがですね、どこあたりかと言われてもですね、ちょっと困るところがあって、われわれとしましては、2010年に突然あのルートが提示されまして、それで初めて、われわれは通過県になったわけですね。通過県になったことによって、したがってわれわれとしてはこのいわゆる建設促進期成同盟会にですね、入る権利を持ったと思うんですが、それに入れていただいたのはもうつい最近のことです。それを入れていただいて、調査研究・広報啓発もしなくちゃなりません。また同時に、それが規定になってるからですが、請願とか要請も期成同盟会としてやることになっておりますので、私は副会長としてですね、そうしたことをできる限り皆さんに納得いただけるようにしてやっておりますけれども、もう1970年代からある期成同盟会が、ようやく私達が入ったのは、異常事態ですよね。2010年に突然ルートに入れてこられたからです。したがってそれ以前にずっと調査されたようなものがですね、同じぐらいの調査がされていないことが、47項目のこの検討項目になっているわけですね。70年代からあったということはルートがはっきり決まっていて、それらについて当然調査されてきたわけです。したがって、仮に1980年ぐらいから調査を始めたとしてもですね、われわれは30年以上遅れて、参加する形に、国がお決めになったということでございまして、全幹法によって決まったということでありますから、それぐらいの時間間隔がですね、前のルートにおいては、元のルートにおいてはあったんだということは、皆さんにもですねしっかり理解していただきたいと思います。

(幹事社)

他にありますでしょうか。

(記者)

すいません、テレビ静岡です。同じくリニアについての質問なんですけれども、1合目から少し進んだというお話がありましたけれども、なかなか山頂まではまだ長い道のりで、知事の任期は残り2年を切っていると思いますけれども、知事の任期中にこの問題をある程度方向性をつけるというのは、2年半で1合も進んでないという状況から見るとなかなか難しいというように客観的に思うんですけれども、そこはもう知事の任期中にこの問題の方向性を、静岡工区の問題に対して解決するというのは不可能だとお考えでしょうか。

(知事)

静岡空港のことを言われましたね。

(記者)

静岡工区です。静岡工区の問題を知事の任期中に解決するのは不可能という認識でしょうか。

(知事)

これはですね、私、聞き間違って静岡、富士山静岡空港のことだと思ったんですが、あの問題は、反対者が当時ですね、私が知事になった時には、ライフワークとしてこの木は切らないと。木ではなくて今度は竹が生えてきたわけですけども、それはですね、信頼が出来た途端に、一丁にして解決しました。8月16日にお目にかかりに行きまして、平成21年8月16日、それまでこの竹は木の高さまでなってたわけですね。それを切らないとおっしゃったわけですが、お話をいたしまして、そして20日までにですね、ブルドーザーが入って全部切っていただいたわけです。その結果、2,500mの全長で飛行機が離着陸できるようになったと。それまで2,000mでしたから、木々あるいは竹が邪魔してたわけですね。ですからですね、人の心というものもありますし、現実が今どうなってるかということについては皆共有してるわけですから、意思決定者は今、基本的にこれは民間会社で、しかも交通政策審議会小委員会におきまして、当時のJR東海の宇野さんもあそこにいらっしゃったと思いますし、金子さんもいたかもしれませんが、そこでですね、はっきり明言されてるわけです。JR東海は民間会社であると、経営の自由と投資の自立性、これを貫徹するのはもう金科玉条であるという旨をですね二度ばかり言われております。ですからその意思決定者がこの今の事態をどのように考えてるかですね。私はJR東海の当時の社長に、皆さんが見てらっしゃる前でですね、もし厳しくなったと、つまりちょうど山に登っていて、天候が悪化したとき、引き戻さなくちゃいけないということがあります。そういう状態なったときにどうなさいますかって言ったら、そういう状態は考えていないとおっしゃいましたですね。それは僕は間違ってると思います。ですから、やはり国策である南アルプスの自然環境の保全、国家的な責務である、あるいは国際的な責務であるユネスコのバイオスフィアリザーブ、日本語で言うエコパークですが、これをですね、保全するというのは、これはですね文字どおり国家が関与してることなわけです。ですから、これとですね、この民間会社がやっている経営の自由、投資の自主性という自由ですね、ここをどう両立させるかというのの、このボールはですね、JR東海さんの方にあると僕は思っております。決してこれは、決定はですね、鉄道局も国交大臣も、あるいは総理大臣もですね、なされる形では、法律上なってないわけです。民間企業がやってるわけですから。ですから、そのあたりのところはですね、新しい、私は丹羽社長さんには柔軟性があると、信頼できる方だと思っておりまして、今回流域の首長さんもリニアの技術を体感されたわけですね、乗られて。ですから、いかにその技術が日本にとって重要なものであるかということはですね、私も含めて、流域市町の首長の大半の方たちもですね理解してるはずです。と同時にやはり、この命の水の源泉になっている南アルプスも、それからそこに息づいている動植物も保全するのはですね、これは国策であり、国際的責務であると。そのことをJR東海はどう考えてるのかと。この47項目についても、これぐらいの時間がかかってると。決して私達が遅らせてるんではありませんから。ですから、民間企業の、いわば決定のですね、自主性みたいなものを明確に出していただきたいと。ただただ足を引っ張ってるというふうな言い方をですね前の社長さんがされておりましたけど、そういう議論は通じません。そういう考えでおります。

(記者)

ちょっと質問の角度を変えますけれども、知事4期目に当選されたときに、報道の質問に対して、リニアに対してはある程度の道筋をつけたいということをおっしゃったと記憶しておりますが、残り2年切っている、任期としては2年切っているわけで、その中で現状その道筋は、議論は一定程度進めてる進んでいるとさっきおっしゃいましたけれども、道筋はたっていない状況だと考えます。残りの2年弱の間で、道筋は当初の知事がおっしゃった通り、道筋を立てれるのでしょうか。それとも、それは不可能でしょうか。

(知事)

もし私が、これ大きなビッグイフですけど、JR東海の意思決定者であればですね、現在の川勝と膝を突き合わせて話してですね、その場で解決策を出せるという自信はあります。

(記者)

その自信はどこから来るのでしょうか。

(知事)

現状を分析しているからです。

(記者)

わかりました。今、例えばいろんな問題ある中で、丹羽社長と、丹羽社長の方も知事と一度面会しましたけれども、今後トップ同士での交流を密にして、話の着地点を探るみたいなことを頻繁にやるとかですね、そういうリニアの早期実現に向けた、足並みを揃えていくということも、もちろん下の議論は下の議論であるとしてですね、そういうことも考えてらっしゃいますでしょうか。

(知事)

もちろんです。考えておりますし、実行して、水面下でではありますけれども、インフォーマルな形でのですね、意見交換などもですね、1つずつ重ねていきたいと思っております。

(幹事社)

他にありますでしょうか。

(記者)

静岡新聞と申します。すいません、リニアの関係でちょっと質問させてもらいたいんですが、9月の26日に国の有識者会議が開かれまして、そこで国土交通省がこれまでの議論のまとめと評するような報告書案というのを出しましたけども、先ほど知事としてはその森副知事が出した意見書の中身を述べられて、応えられてないっていうふうにおっしゃったので、現状あのまま、その報告書案がまとまることについては、知事としても反対というお考えでしょうか。

(知事)

いやこれは有識者会議の中村委員長、座長さんの、また委員の皆様方の同意によるものじゃないでしょうか。これはですね、基本的に有識者会議は、われわれが懸念を持っております47項目全部を議論するってことなっております。そこの議論は尊重するっていうのが基本です。それを持ち帰ります。そして、この47項目の懸念を出した専門部会で改めて議論をすると、こういう筋道になっております。ですから、その有識者会議では、それなりの見解を出されると、はい分かりましたというものではないということです。

(記者)

ある程度有識者会議には、これまで静岡県の専門部会で県側とJR東海が議論してきてなかなか議論が前に進まないっていう状況があったので、それを前に進めるような役割も求められているかと思うんですが、そういったものにかなうような報告書案ではできそうだっていうような現状、期待はあるんでしょうか。

(知事)

今の中村先生のまとめ方は、いかにも中村先生流だなと。良い意味でも悪い意味でもですね、そういう、ともかくまとめていこうという姿勢は明確ですから、それが、細部を落としてても、ともかく全体をまとめていこうという、そういう姿勢が見えますね。それは先生流ですからそれでよろしいんじゃないでしょうか。しかしそのことは問題点が解決したこととは全然違います。そこで出てきた報告書を、今度は県で、JR東海と向かい合って、このいわゆる地質構造の委員会と、それからこの生物の多様性に関わる委員会で、もんでいくということに相成ります。そしてまた、それらを関係者にお見せして、そして理解するだけじゃなくて、それを納得するということになって初めてですね、工事ができるということになります。そういう手続きはですね、決して今、私が勝手に言ってるんではなくて、一番最初にまだ私自身がいわゆる期成同盟会に認められて、加入が認めなかった時にですね、自民党さんの特別委員会に招かれまして、それは秘密だったわけですね。こう書いてなかったわけです。そこで委員長、今も委員長である古谷先生がですね、有識者会議の意見を尊重するかと言われたので、もちろん尊重しますと。それと同時にあわせて、これは、そこで出たまとまりを、まとまった意見を、専門部会に持って帰ってそこで議論するというふうに申し上げたんですが、その当時、記者会見で、古谷委員長が専門部会の、失礼しました、有識者会議の結論を尊重すると川勝知事は言ったと。これが最高の成果だというふうに言われたので、ありがたいことに、テープが取られていたんですね。ですから正確に申し上げまして、ですからこれは特別委員会のリニア推進の自民党さんの委員会の委員の先生方も、今申しましたことは共有されてるはずです。

(記者)

これまで森副知事が、国土交通省に対して鉄道局に対して出した意見書の内容が、反映してくれと言いつつも反映されないまま、報告書案がまとまってしまう可能性もあるかと思うんですが、その場合でも、そのまとまった報告書案っていうのは、その県とJRの議論を進めるのに資するような内容になるっていうような御認識でしょうか。

(知事)

これを無視することはできませんね。前の流量の件に関する、全量戻しに関する意見もですね、それなりに皆読んで、それに関して議論をしていくうちに、田代ダム案というのが出てきたわけです。ですから、田代ダム案は中間報告で出てきてませんよ。ですから、これは持って帰ってきて、果たして本当に大丈夫なのかというところから出てきたものですから、同じようにですね、今回の中村座長さんの、この有識者会議のどういう形で出されるか知りませんけども、同じような対応がなされる、そういう有識者会議の案になるであろろうと見ております。

(記者)

水問題の方では田代ダム案というものは書いてなかったけども結局田代ダム案っていうことが専門部会で出てきて、それが議論の前進にも繋がってるわけですよね。同じようなことが南アルプスの自然環境の保全に関する議論でも、期待できるっていうことですか。

(知事)

そうですね、その可能性はありますね、もちろん。有識者会議ではここまでしかできなかったと、あるいはここまでしていただいたとそれを専門家が時間をかけて資料を見ながらやっていただいたものですから、それを尊重する姿勢は全く変わりありません。一貫してます。それはしかし、解決っていうことにならないということですね。有識者会議の位置付けは、専門部会に戻してきて、もう1回、先ほど申しました繰り返しですけれども、そこで議論をし、これは公開でやってやっておりますから、利水関係者、また利水関係者だけじゃなくて、生態系は声なき声を発してるですね、生き物にも関わるものですからですから、ここは丁寧にしなくちゃいけないと。流量だって、水質の問題がありますからね。濁水をどうするんですかと。これを化学物質で固めるといっても、化学物質は化学物質ですから、それでこの水質も変わりますので、ですからですね、実際10kmだぞということが横行してますけど、静岡工区だけでもですね、そこに導水路トンネル11.4kmとか斜坑とか、あるいは工事用トンネルとか、本坑と先進坑と合わせると40kmを超えるトンネルな訳ですね。ですからトンネル本体の工事はあるかもしれないけど、それに関わるトンネルを掘らないとですね、静岡工区っていうのは完成しないんですよ。そうしたことをわれわれ知ってますから、ですから1つ1つですね、懸念を払拭していかなくちゃいけないと。その議論が今までの有識者会議でなされているとは思っておりませんので。

(記者)

すいません、最後ですけど、確認ですけど、なので国の有識者会議の報告書案で、難波市長とかがおっしゃってるような、重要種とか指標種、生物に対するその影響の評価が十分されていないとしても、それは報告書がまとまった後に県の専門部会で議論すればいいというふうにおっしゃってる。

(知事)

まだまとまってませんのでね。ですから、難波市長さんがおっしゃるように、まとめる前に、これどうなってるのかなってるのかというようなこと言われるのは当然で、われわれの方も対策本部長の名前でですね投げかけてるわけです。ですから、国交省は仕切ってられてるわけですから、ぜひ丁寧に、何て言いますか、対応していただき、御指導いただきたいと。5項目のお約束をしたわけですね。これは全47項目を議論すること。それからですね、全面公開すること、それから、座長は中立であること、委員も中立であること、こういうわけです。ですからですね、これ約束なわけですよ。しかし生態系ですから、本来なら環境省が関与しなくちゃいけないのにオブザーバーだと。それからまた更に言うならですね、これは国家的プロジェクトで、特に岸田首相がですね、年頭の記者会見で、夏までにそれなりのことを発表すると言われましたが、もう10月です。言ってみれば、あれはどうなってるのかと。前回、朝日の方からその質問が出ましたけれども、そういうこともありまして、やはりあの、いろんなことが遅れてるのはわれわれの方ではなくて、政府の方であり、環境省であり、国交省であり、そしてですね、JR東海であるというふうに思っています。

(幹事社)

他にいかがでしょうか。すいません私から1点。中日新聞です。先ほどのテレビ静岡さんの質問の関連なんですけど、先ほど知事、もし私がJR東海の意思決定権者であれば、川勝と膝をつき合わせて、解決策を話す、というような主旨のことをおっしゃったと思うんですけど、その前には南アルプスの保全というのは、文字通り国策であって、民間の経営の自由というのと、どう両立するかということを決める、そのボールがJR東海にあるということから考えると、やはり、そこから導き出されるのは、ルート変更か、部分開業かというこれまで知事が主張されたところかと思うんですけど、そのような解釈を私はしたんですがいかがでしょうか。

(知事)

ともかくですね、意思決定者というのが、従来は、葛西さんであったわけですね。固有名詞があるわけです。あるいは山田社長、柘植社長、金子社長、現在の森社長(正しくは、「丹羽社長」)と。もちろん取締役会等々でお決めになるでしょうけども、記者会見などでですね、社長さんの言われることは極めて大きな影響力を持ちます。そういう中で、大きな推進者であった葛西さんが逝去されまして、それを後押しされた安倍元首相もですね、悲劇に遭われたということで、そして、またこういう資材も高騰していると。しかしこの技術は、やっぱり継承しなくちゃいけないと、この様々なことを勘案しながらですね、やるときに、本当に必要なのはリーダーシップじゃないでしょうかね。だから、従来の決めたことをそのまま、もう、脇目も振らず邁進してですね、場合によっては●●(音声不明瞭)が前に崖があるのを知らないでですね、突き進んでいって崖下に落ちるようなことにならないように、私自身ももちろん静岡のことを一番に考えておりますけれども、日本のことをずっと考えてきた人間の1人です。しかも、特に、国土審議会の委員をですね20年も勤めまして、日本の国土はどうあるべきかということも考えてきました。したがってですね、非常にこの件については憂慮しております。一貫して。そんなこともありまして、今、ボールは丹羽社長、あなたにあるということで、期待するところは大です。

(記者)

最後に1点ですけど、今知事の方から国土審議会の話も出まして、知事の著作を読ませてもらうと、分散化という方向に日本を向かうべきだというような、大雑把に言うとですね、かと思うんですけど、そこに対して、そのリニアというのは、その東京と名古屋の台形を結ぶ、あるいは大阪までですね、結ぶ、一時期はスーパーメガリージョンといった地域をつくるということだと思うんですけど、その集中というものと、知事の考える、その分散というところは、根本的に違うんじゃないかなと思うんですけど、そこはいかがですか。

(知事)

そうですね、集中と分散はですね、二者択一ではありません。例えば、われわれの歴史で言えば、幕藩体制と。幕府というのは国防、あるいは外交、通貨の管理。こうしたことに専権を持つわけですね。だけど、その他もろもろの国内の行政に関わること、財政に関わることは300諸侯がやってたわけです。ですから、これを幕藩体制といって二元体制とも言いますが、この日本は、明治以降ですね、一極集中型でやってきて、それの弊害も出てきてるわけですね。だけど、その一極集中のメリットもあります。それをどのように、どの方面で生かしていくかということがあります。やはりインフラというのはですね、生活の基本で、分散化して、それが孤立すると良くありませんので、今はその孤立させない方向で、もちろんこうしたスーパーメガリージョンをつくる巨大なインフラっていうのもありますと同時に、新しくデジタルトランスフォーメーションということで、このネットワーク化ということで、この何て言いますか、分散化と集中が両立できると。ただし、やっぱりネットワークであってもですね、やっぱりフェイス・トゥー・フェイスっていうのの重要性は相変わらず変わりません。ですから、この両立をさせるということが問われているというふうに思います。どちらかの側に立っているという、そういうことで私は、私の立場はそういうものではありません。はい。

(幹事社)

ありがとうございます。その他の質問に移ろうと思います。他に質問ある方。




一般質問(県議会議長就任祝賀会への出席、浜松市新野球場の構想、ジャニーズ所属タレントの起用)

(記者)

静岡新聞です。知事は10月4日の総務委員会の集中審査の中で、自民党の委員の方にお答えする形で、9月の末に議長の就任パーティーに出席された際に、公務として行かれたっていう認識だっていうことで伺ってるんですけれども、通常、多くの首長さん、その他にも参加されてましたが、多くの方が政務として参加されてる方が多い中で、今回公務として参加された理由と、それから公務と政務の切り分けの中で、どういう判断されてるのかっていうのを今一度お聞かせください。

(知事)

はい。この件も含めてですね、総務委員会で審議いただいたわけですね。そういう御質問ございました。ですからこの件に関しましては、冒頭で申しました通り、今、どう判断されるかということが、10月13日のこの採決に至るまではわかりません。したがって、お答えは差し控えたいと思います。

(記者)

給与の返上と違った観点なんだと思うんですが、それでもお答えできないということで。

(知事)

議会の一般質問は、危機管理、あるいは政治姿勢と。川勝の政治姿勢について、全般で議論されたものでありますから、そうした中で様々な質問等がですね、総務委員会に出されました。その中の1つでありますので、この件については今、審議中と。まだ決定されていないということで、議会を尊重したいということであります。以上です。

(記者)

わかりました。

(幹事社)

他にいかがでしょうか。

(記者)

すいません、日本経済新聞と申します。いくつかあるので、お1つずつお答えいただければと思うんですが、1つ目が10月3日に浜松市の中野市長がですね、県庁を訪れまして、浜松の新野球場構想に関する要望書を提出されました。それに答えた川勝知事が、来年の、来年度中の議会ですかね、で素案を示したいというような、そのように動きたいというようなお答えをされていました。それに関して2点なんですけれども、1つが、昨年示されたドーム型の2万2000人規模の場合の建設費として370億円というのがあったんですが、何かリニアのときもちょっとお話ありましたけど、それ以降、おそらく円高の影響とか、人手不足とか、すいません円安ですね、円安とか、人手不足とかの影響でさらに推定の建築費が上がっている可能性があると思うんですが、今後、建設に向けて積極的に動く中でもう一度試算などを取られる可能性があるのかというのが1点目、もう1点が、県議会の方で示したいというふうにお答えいただいたんですけれども、現状を見ていると、県議会議員とのコミュニケーションで、少し不調があるように思うんですけれども、どのようにコミュニケーションを、この新野球場構想を進めるうえでとっていきたいのかというのを2点伺えたらなと思います。

(知事)

はい。地元からの要請は、長い年月を経て今に至ってるわけですね。ですから、これは先延ばしにしない方がいいということで、県の考えとしては、できれば今年度中にということで、交通基盤部の方でですね、調整をしているとということでございます。もちろん円安によって、また、物流が世界的な形で大変化をしてですね、従来通りにはいかないということも共通の認識としてなってると思いますね。これらを全部考慮に入れながら、交通基盤部の方で考えているというふうに思っております。そのことはもちろん経済界の方と御一緒に中野さんも来られたのでですね、彼らも100も承知のことであると。こうした中で、前に進めようというそういう流れになっているということなので、私としましては、事態を前に進める方向で見守っていきたいと思っております。

(記者)

前に進めるうえでのこの議会とのコミュニケーションについてはいかがでしょうか。

(知事)

これは、この件について議員さんと直接話をしてませんけれども、都市公園課ですか(正しくは、「公園緑地課」)、あそこを通じてですね、議会で丁寧に御説明をしているということです。

(記者)

ありがとうございます。今の内容ですと、もしかすると当初想定、昨年の想定370億円を超える可能性はありうる。

(知事)

全てのことはオープンですね。何か決まってるじゃないってことです。

(記者)

わかりました、ありがとうございます。あと、もう1点がすいません。先ほどのリニアの話で再度掘り返してしまって恐縮なんですけれども、環境に関する有識者会議で先ほど関係者の納得が必要だというお話がありました。水の場合だと、利水関係者、いわゆる流域自治体ですね、これは何となくわかるんですが、この環境問題に関して、県以外の具体的に納得させないといけない利害関係者ってどんな人ですか。

(知事)

南アルプスを未来につなぐ会というのはですね、南アルプスを愛する方たちがいらっしゃいますのでその方たちは大変強い関心を持ってらっしゃると思いますね(※)。

※県は「南アルプスを未来につなぐ会」を、利害関係者として想定していない。

(記者)

それは、具体的にどんな方達ですか。

(知事)

顧問には県立大学学長の尾池先生ですし、あの全体の会長は山極壽一さんです。

(記者)

ありがとうございます。それらの納得を得るうえで、環境保全が責務だというふうな御発言があったんですけれども、民間事業者のJR東海が環境問題、環境保全に対して責務を負うというのは一般論としてはわかるんですが、おそらくそこまでの、なんていうんすかね、法的な責任、環境保全に関する法的な責任はないように思うんですが、そのうえで県として、国の責務として、南アルプスの保全でもこれ前も聞いたかもしれないですけど具体的に何かやっているうことがあるんでしょうか。

(知事)

いやこれはもう具体的にですね、方針は環境大臣への意見として出ているわけですね。南アルプスの、その時はまだ南アルプスがエコパークに認定される前だったわけです。これが認定される可能性があると、その南アルプスの自然を保全することは、環境行政の使命というか、責務ということは、かなり力の入った言葉で言われてます。環境行政の使命と言ってたっけ。

(職員)

環境行政の使命。

(知事)

南アルプスの自然を保全することは環境行政の使命であると、しっかり言ってられるんですね。ですから、先ほども申しましたように、なぜ環境大臣あるいは環境省の担当者がですね、ここにコミットしないのか不思議でなりません。

(記者)

この問題はというよりも、環境行政の使命である南アルプスの保全として、今、県が取り組まれていることが、もし、ここまで県がやってるんだったら、JR東海にこうしろというのはなんとなく筋が通るような気がするんですけど、特にやってないのであれば、これはちょっと違うかなと。

(知事)

南アルプスに入るのはなかなか難しいところですから、ですから高校生の、磐田の高校だったかな、にそういうクラブがありまして、そこに県の職員が関与して、希少植物が崖に生えているようなものを取ってきてですね、それを繁殖させることをやったりして、若い世代に、その南アルプスの自然の厳しさと同時に、希少性を教えてるというようなことは、新聞にも報道されていたことがあります。それと同時にやっぱり大きくはですね、いろんな南アルプスを愛する方たちからなっている、やっぱり「南アルプスを未来につなぐ会」というところも大きいでしょう。それからまた、山岳会の関心も非常に高いのでですね、そういう方達がやっぱり納得しないと、具合が悪いと思いますね。今、この利水団体のような明確な形での、どの団体ってことは言えませんけども、南アルプスを愛する内外の全ての人と言ってもいいと思います。

(記者)

ありがとうございます。

(幹事社)

他にいかがでしょうか。

(記者)

すいませんNHKです。ちょっとジャニーズ事務所のことで伺いたくてですね、昨今のジャニーズ事務所の件で問題になってますが、隣県の愛知県については大村知事は先月の記者会見で、事実解明と被害者救済に区切りがつくまで県としてジャニーズ事務所との契約は行わない方針の明らかにしたとあります。静岡県に関してはこの問題に関して、今後どのように取り組まれていくか、これ一部の報道ですが、去年の観光キャンペーンでジャニーズ事務所のタレントさんを起用されているということで、実績があるということなんですが、この件に関しての県の方針もし今決まっているものがありましたらお願いします。

(知事)

いえ、何も決まっておりません。

(記者)

わかりました。

(幹事社)

他にありますか。

(記者)

静岡第一テレビです。よろしくお願いします。リニア工事の残土の置き場について伺いたいんですけども、ちょっと少し前の話で恐縮ですが、知事の静岡市と連携して協力していきたいと呼びかけに対して、先月27日の市長会見で難波市長が、市の協議会の方で深層崩壊が起きた場合の影響について、協議して、改めて県に提案するという考えを示しました。市長の協力の要請については前向きな姿勢を示したかと思いますが、改めて知事の受け止めをお願いします。

(知事)

はい、難波市長さんは、この方面の技監としてのキャリアもございまして、何らかのシミュレーションもですね、御自身でなさってるんじゃないかと思いまして、非常にありがたいご発言であると受け止めております。ですから一緒にやっていけるっていうか、共同してやっていきたいというふうに思っております。

(記者)

ありがとうございます。

(幹事社)

他にいかがですか。

(職員)

恐縮ですけれど、知事スケジュールもございまして、恐縮なんですけど、ここで最後の質問とさせていただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか。

(幹事社)

ありますか。

(知事)

幹事社さんどうもありがとう。いや仕切っていただいてありがとう。

(幹事社)

いえ。ありがとうございました、これで終わります。

(知事)

どうもありがとうございました。今日はちょっといろんな時間がありまして申し訳ありません。