(記者)
産経新聞でございます。ちょっとこれ確認になるのでございますけれども、リニアの件ですね、先の会見でも、難波市長がですね、利水協議会に参加する意向を示されたりとか、あと、同じように会見の中では、水のことについては、B案が有力だというようなことも、難波さんがおっしゃっていたと。こういう中で、専門委員会なんかが開かれると、これ、まだまだなかなか溝が埋まらないという状況があるという状況だと思うんですが、こうした中で、JR東海であるとか、あるいは国交省の関係者からは、知事が、現行のルートよりも、例えばリニア中央新幹線の現行のルートがありますけども、これより100km北側の松本を通るルートにするべきだという案ををお話になられたりとか、それから、大阪までの一括での開業、名古屋までまず開業して、という案ではない、大阪までの一括開業するべきだとの案を、最近よくお話になってるということを、という声がですね出ていると。これJR東海と国交省からで。この案というのはですね、現状においても、提言、提案という形でお話になってらっしゃるということでしょうか。
(知事)
いいえ、違います。現状はですね、私ども、いわゆる専門部会2つございますけれども、そこで詰めるべき項目が47項目ありまして、これをスムーズに進めるべく、国交省の方から有識者会議を開いていただきまして47項目のうち、全量戻しについて、まず、それなりの中間報告、実質最終報告を出されたわけですね。
そしてまた、今は、この全量戻しの方法として、JR東海さんが東電さんと連携しなくちゃならないわけですけれども、いわゆる取水抑制案を出されていまして、これの実現性について、利水関係協議会で議論していただいております。そしてこの、これがですね、県の基本的な姿勢なわけです。ですからあの、公式上、それ以上のことを私はしておりません。
(記者)
ということ、という意味では、現状のB案とかも含めまして、議論になっている部分を着実に進めていくという方向性には変わりは今のところはない。
(知事)
そうです。JR東海の今回、社長が交代いたしまして、先般、金子社長(正しくは、「金子会長」)、丹羽新社長がお越しになられて、そのことを確認しました。科学的・工学的に議論をしていきましょうということでございます。私どもとしましてはですね、前提にあるのは、昨年の6月に閣議決定された内容ですね、静岡工区における南アルプスの自然保護と、南アルプスを水源とする命の水、これの保全と。これを前提にした形でのリニアの推進と。これが基礎でありまして、それが、保全ができるかどうか、これから盛土であるとか、あるいはその、生態系、今、やっていただいておりますけれども、こうした議論、全然、まだ結論出てませんのでね。この結論をしっかりとJR東海は、資料、環境影響評価に関わる資料をお出しいただいて、関係協議会で、利水協議会(正しくは、「利水関係協議会」)で議論していただき、その代表として、われわれは専門部会でですね、しっかり議論を詰めると。これが今のわれわれの基本的な姿勢であります。
(記者)
わかりました。
(知事)
はい。
(記者)
NHKです。よろしくお願いします。大きく2点あるんですけれども、まず杉尾・日向の盛土についてなんですけれども、その砂防指定地管理条例の措置命令で、今、知事が5月12日に工事着手を命じていて、強い指導を行っているというお話があったんですけれども、3月の盛土対策会議の中でですね、行政代執行も早期に行うことを視野に入れるというようなお話があったかと思いますが、行政代執行については、今も視野に入れているというところは変わらないのか、そのあたりの今の考えを教えてください。
(知事)
はい、視野に入っております。
(記者)
それは、強い指導をしたうえで。
(知事)
もちろんです、はい。
(記者)
応じなかったら、行政代執行を行うということでよろしいですか。
(知事)
はい。
(記者)
わかりました。ありがとうございます。あとリニアの関連なんですけれども、先日、島田市長と藤枝市長と、あと牧之原市長が、国土交通省の上原鉄道局長を訪れて、田代ダムの協議における国の積極的な関与を要望しました。これについての知事の受け止めと、今、国への期待していることを教えてください。
(知事)
はい。国が有識者会議を開催するというふうになさいまして、そのときに、国と5つの約束をいたしまして、合意していただいたわけですね。そのうちの1つがですね、このJR東海に対して、指導官庁として、御指導を賜ると。全面公開と、それから47項目全部議論するということで、今、申し上げました、この国の関与、これをしっかりしていただきたいと。この流れに沿った、今回の流域市長の方々の、しびれを切らした要請だったのではないかということで、われわれと基本的なスタンスは一緒であるというふうに受けとめております。
(記者)
わかりました。その要望の後の、ぶら下がりの取材の中で、流域のある市長さんがですね、JRと県の協議について、ああ言えばこう言うという状況が続いているというような評価をされる発言もありました。去年7月に県が早期着工を目指す期成同盟会に入ったことが、なかなか評価されていないように見受けられるんですが、そのあたりはどう見てらっしゃいますか。
(知事)
はい、むしろ入っていなかった方が異常だったわけですね。ルート上の全ての都府県は入ってるわけです。われわれのところにルートが決まりましたのが、2010年のことで、つい最近のことですね。ルートは、大まかには、実は1970年代ぐらいから決まってたわけです。ですから期成同盟会も1970年代からあるわけです。そうした中でですね、われわれ新参者でありますけれども、期成同盟会というのは3つの事柄をするというふうに規約でうたわれてるわけですね。1つは調査・研究、広報・啓発であります。それから、様々な陳情請願を行うということ。第3点は、それに類することということでございまして、われわれは実際にはですね、影響評価に関しまして、様々な調査を、専門部会、あるいはJR東海さんとの御協力を得ながら、県の担当者がやってるわけですね。こうしたことを、やはり、この1つの調査でございますので、多くの方々、関係者の方々に知っていただくべきであるというふうに思っておりまして、それが、この規約に則ってできるということのメリットがございます。
(記者)
その規約をのんだうえで既成同盟会に入ったにも関わらず、流域の自治体さんから、ああ言えばこう言うと評価されたことはどうしてだとお考えですか。
(知事)
これはですね、議事録をきちっと御覧いただければ、あるいは、その会議の模様をですね、御覧いただければわかりますけれども。全部公開でやってるわけですね。ですから、喧嘩をしてるんではなくてですね、疑問点に対して、しっかりとこの疑問を晴らしていくという、この手続きをやっているわけでございます。したがってですね、何かこの、言い争いをしてるんではないんですね。1つ1つ、その疑問点を、解消していく作業をしてるわけですね。これはあの、流域市町の人たちの生活や、産業や、あるいはこの水資源、これそれ自体をですね、守り、かつ、そこに息づいている生きとし生けるもの、こうしたものを守ると。これは広い意味で国策ですから、すなわち、南アルプスは国立公園です。そしてまた、ユネスコのエコパークでありますから。この国立公園、これを保存していくと。特別保護区としてですね、保存すると。Biosphere Reserveと言われるものが、ユネスコの、南アルプスへの、中身なわけです。biosphere、すなわち生命権、生物圏をリザーブすると。保存すると。これを日本政府が約束して認定されたわけですね。ですから、これはもう明確な国策です。だから、こうした国策に悖るようなことをしてはいけません。ですからですね、私どもは、言わば富士山が父、南アルプスが母だと。この両親の体に傷つけるっていう場合にはですね、よほどでなければなりません。ですから、この場合はどうですかと。例えば、盛土の場合ですね、370万立米を大井川の上流に置くというわけですけれども、これについては、1000立米以上は、これは盛土条例の規制対象になりますから、こうしたことが平気でそのままですね、工事進めるわけ行かないでしょう。こうしたことを、きちっと、どう処理されるのですかということはですね、公開の場で、JR東海は事業者として、説明するべき義務があるわけです。それは、環境大臣意見、あるいは国交大臣意見、2014年だったと思いますけれども、にですね、出されております。ユネスコのエコパークに抵触する可能性があるから、この点については重々に注意しなくちゃいかんというようなことが、環境大臣からも出されております。ですから、こうした観点に立って議論を進めているわけでございますので、そうした中でですね、十分なる環境影響評価がなされていなかったということが明らかになってるんで、一見、時間がかかってるようでありますけれども、これはあの、1970年代からやっている地域とは事情が違います。ですから、その辺のところはですね、ああ言えばこう言うっていうのは、ぜひ、もう少し丁寧にですね、議論の中身を見ていただいて、何がまだ解決するべき論点として残されているのかという、そういう観点でですね、見ていただきたいと思いますね。
(記者)
わかりました。最後にしますけれども、まさにそういう、じっくりとした協議が続いている今の状況を、知事が見ていらっしゃる中で、その知事がかねておっしゃってる、その流域自治体の意見を尊重するっていう状態に今なっているというふうにお考えですか。
(知事)
はい、もちろんです。今回の、いわゆる田代ダムの取水抑制というのは、去年の4月、すなわちもう丸1年前にですね、JR東海さんが出されたものです。これはもちろん取水抑制をする権利を持っているのは、東電さん、東電BP(正しくは、「RP」)ですから、東電BP(正しくは、「RP」)との話が終わったものだと普通思うじゃないですか。ところが話を聞いていくと、東電BP(正しくは、「RP」)の方は承知してないということがわかりまして、東電BP(正しくは、「RP」)の方から様々な要件がJR東海に突きつけられて、これを私どものところに持ってこられてですね、そして、この流域の人たち全てに、20団体ぐらいのところに1つ1つ当たって、そしてですね、全員の御了解を得たうえで、しかも、例えば焼津さんの場合には、自分の立場はこうだと、それも合わせて書き込みまして、県の意見としてではなくてですね、利水関係協議会全体の意見として、これをJR東海さんに返したわけですね。これに対して、確か、昨日の朝かな、突然返事が来たということで、この返事についてですね、今日、渡邉参事が来ておりますので、ちょっと聞いてください。この返事は全て利水関係協議会に対して配りました。ですから、私どもが、なにか利水関係協議会の人々と別個に行動してるんではありません。どうぞ。
(くらし・環境部南アルプス担当参事)
くらし・環境部参事の渡邉でございます。いわゆるJR東海の東京電力RPさんと協議を開始することの前提条件について、それの協議会での検討と、それから昨日のJR東海の方から出ました文書について御説明させていただきます。まず約1年前に出たB案のですね、それの前提条件というのがようやくここに出てきたわけです。それで、この条件についてどうするかということで、3月27日に利水関係協議会を開きまして、3月27日開いた利水関係協議会の目的というのは、協議を開始することの了解ではなくて、協議を開始する前提条件を了解するかということだったんですね。そのことについては、前提条件、当日もですね、修正意見が出たりであるとか、様々な質問が出ました。ということでその前提条件についてどのように修正するかという取りまとめを、利水関係協議会、全体で22名いますけども、その中で取りまとめを行い、ようやく先月4月14日に協議会の意見、意見ではなくて、すみません、協議会での決定事項があったということで、それを協議会の規約に基づいて、県からJR東海にお伝えしたということでございます。それにつきまして、昨日、たまたまだと思いますけれども、専門部会9時半から開くという当日26日の朝、8時半にですね、JR東海さんからメールが来ております。そのメールの中で、JR東海さんとしては、県に対してその修正部分の内容について確認したいという文書の発出がありました。ただこの文章についてはですね、ちょっと私達との認識とは事実の認識に相違がありますのでまずその部分を確認したいと今考えております。先ほども言いましたけども、私どもが4月14日に出した文書というのは、県が勝手に作って出した文書ではなくて、あくまでも、協議会規約に基づいて協議会での決定事項をJR東海にお伝えしたものです。ところがJR東海さんの文章においては貴県が修正された箇所とかですね、貴県の見解を御教示くださいと、まるで県だけが言っているかのように書かれておりますが、この修正については先ほども申し上げました通り、調整の段階で、会員から様々な意見があった中で、その意見を踏まえて協議会として修正して、その意見をお伝えしたものであり県が単独で修正したものではありません。また、協議会というのはですね、各会員が全て平等の立場ということで、県が代表ではないわけですから、この問題について、貴県の、本県の回答、見解だけを申し上げるべきではなくて、あくまでも、そういう意見があれば、協議会で諮る必要があるというふうにこれまでも何度もお伝えしているところですが、そこがJR東海さんには認識されていないのではないかというふうに感じております。それから、2つ目としまして、これもありますけども、3月27日の大井川利水関係協議会において、貴県を除く協議会会員は、JR東海が説明した3つの前提に対して特段の異論はなく、貴県のみが結論を保留されたと認識しております、と記載されております。しかしながらですね、当日、前提条件を了解するかどうかの協議会において、前提条件の修正意見があって、それから様々な質問があり、さらにはですね、今回その協議会として意見をまとめるにあたり、様々な意見が出されて、それでその上で修正した意見を皆さんの決定事項として出しており
ますので、本県のみが、本県以外の会員は全て異論がなかったであるとか、またはですね、本県のみが結論を保留されたというのは、明らかにその認識は当たらないというように考えております。まずはこの辺りをですね、JR東海さんの認識をまず合わさせていただきまして、文書でいただいておりますので、このことについては、文書でいただいたことについては文書で回答をすることになるかというふうに考えております。以上であります。
(記者)
ありがとうございました。
(記者)
すみません、中日新聞です。今のNHKさんの質問に絡んで、リニアのことなんですが、先ほど知事、議論の中身を丁寧に見てもらってというお話をされたかと思います。
(知事)
はい。
(記者)
昨日の県の専門部会ではですね、高速長尺先進ボーリングを巡る議論がされてですね、山梨県内の地下水は静岡の水なのかどうかというような議論にも発展していきました。これ、何をもって静岡の水かという定義もあると思いますし、どこまでいってもなかなか静岡の水と特定するっていうのは、難しいところなのかなと個人的には感じております。で、こうした議論の前提には、高速長尺先進ボーリングで流出する可能性、流出する可能性のある静岡県の水を全て静岡県内に戻すというお考え、これが根底にあるかと思います。ただ、大事なのはその南アルプスの環境であったり、大井川の表流水、あるいは地下水などに影響があるかどうかという点だと私は思っておりますが、その高速長尺先進ボーリングで流出する可能性のある水を、全て県内に戻すということが大前提なんでしょうか。つまりその影響よりも、全ての水を返してもらうという方を優先されているのでしょうか。そのスタンスを確認させてください。
(知事)
はい。水を利用している中下流域の人が多いですし、もちろん上流域にも生物が生息してるわけですね。したがって、その生態系を守るということがございますが、さしあたってその流量が減るとですね、あるいは水質が変わると、生活や産業に影響いたしますので、その意味でですね、流量はこれは全量戻さなくちゃならんということで、JR東海さんと合意ができてるわけですね。ただし、それをどのようにして戻すかということについて、われわれはまだ明確な御説明をいただいておりません。さしあたって、出ているのは、取水抑制ということだけでございまして、その意味でですね、両方は関係しておりますが、自然、生態系を守ると。それから、その流量が減ると、これは、それこそ生活や産業に関わりますので、これは減らさないようにしなくちゃならんということなのでですね、両方とも関係してるということです。
(記者)
全量を戻さなければいけないということで合意しているというのは、工事期間中の話かと思うんですが、今回、あの高速長尺先進ボーリングであって、山梨県側で行われているものです。これに対しても、その全量を戻さなければいけないという考えは譲らないということでしょうか。
(知事)
ともかく行政区の、この境界でですね、自然は分かれているわけじゃないんですね。静岡県内に1km分ぐらい入ったところまでですね、山梨工区とされているわけですね。その山梨工区というところはですね、破砕帯があるってことがほぼ確実に、JR東海さんの公開された資料によってわかってるわけです。しかもそれがですね、山梨県側にまで連続している可能性が極めて高いということも、JR東海さんの資料によってわかっているわけですね。したがってですね、これは破砕帯が地下で連携しているということからですね、この水がですね、どちらのものであるかというのは行政の問題ではないので、われわれとしては深い関心があるということです。そして、工事中に出る、その水の、山梨県側に流出するものを戻すということですから、ですから今、今んとこ出てないと、あんまりしか出てないってことですけども、それがどっから出てるかっていうのはですね、専門部会の丸井先生から明確に、山梨県側の高速長尺先進ボーリングの湧水が、静岡県の地下水である根拠を科学的に示す方法があるというふうに言われておりますので、これをきっかり科学的工学的にやるというのが、丹羽新社長も、明確に言われて、かつ、また私も同意した中身ですので、これをしてもらわんといかんというふうに思っております。
(記者)
わかりました。ありがとうございます。
(知事)
はい。 |