(記者)
ありがとうございました各社さんいかがでしょうか。
(記者)
テレビ静岡です。リニアについてお伺いします。
県は2019年の6月に示した水資源の確保及び水質保全に関わる中間意見書の中で、上流部の河川水はその一部が東京電力管理の田代ダムから早川へ分岐し、山梨県側へ流れている、このことを踏まえて、静岡県の水は静岡県に戻す具体的な対策を示す必要があると述べています。
これを受けて県の専門部会の中で、大石委員が田代ダムの取水について言及したり、利水協議会で染谷市長が水利権の購入、3つの案に言及するなどしています。
確かにこの当時振り返ってみるとJR側は取水抑制の交渉に後ろ向きな姿勢を示していましたけれども、このたび東電側に一定の打診をした上で、田代ダムの話を提案したと思われます。
実現の可能性についてはもろもろの権利ですとか法律とかあると思いますから一旦横に置くとして、ただこの案を出したこと自体については、副知事のほか島田市長や、焼津市長、掛川市長さらには、山梨県の長崎幸太郎知事なども、評価していますけれども、知事だけはあのときの会見で、「乱暴な議論」と一蹴しました。
知事は常々、流域の声を代弁しているという趣旨の発言をされていますけれども、この状況で本当に代弁できているんでしょうか。
(知事)
もちろんですよ。
これはですね、田代ダムに流れている水を、もっと戻して欲しいというのが住民側の意見でございますから、ですからこれはですね、私はもう肌身で知っております。
しかしながら、これJR東海のリニアトンネル工事とは別の話です。
言ってみれば、エビでタイを釣る形ですね。しばらくの間、取水制限をしてその間、こっちに戻すからトンネルを掘らせろという話ですから。ですからですね、そういう意味では、乱暴な議論だと思いますね。
(記者)
であるとするならば、この中間意見書にですね、なぜあえてこの田代ダムに踏み込んだ、その意図は、しかもこれ、知事が覚えてるかどうかわからないですけれども、何項目に分かれているんですけれども、個別項目の、水量全量戻しのところの、いの一番に書かれてるわけですね。この田代ダムへの言及がいの一番に書かれている意図は何なんでしょうか。
(知事)
それは本来、掘削中に戻すという、これが全量戻しの中身で、中間報告書でも、有識者会議は明確に述べていることでありますね。
それができなくなったとうことから、あえてですね、言ってみれば、工事と関係ないところで、水を差し上げますよと、その調整は自分たちがしますよという、そういう意図ではないかと思います。
(記者)
いや、だからこれ県側がその3年前に出してるわけですよね、その時はそこまでの話は言ってなかったと思うんですけれども、いの一番にこれを書いてるってことは県側だって「よもやそれができたらいいな」という期待感があったということではないんじゃないですか。
(知事)
それはそうです。これはもうは80年間ずっと向こうに流れたわけですね。それのうち、この渇水期以外一番多い時には、1秒で1.5トン弱ですね、こっちに戻してもらえるっていう、こういう譲歩をしてもらったわけでしょ、東電側にね。譲歩してもらったわけですよ。
で、それ以上はできないと言ってたわけですね。
ですからそういう、背景にあるのはですね、この田代ダムは、なるほど、これは早川町にとっては電源立地の交付金も入りますし、さらにこの田代ダムで使われた後に日軽金のダムでも使われてるわけですね。
そして向こうの理屈では、富士川という静岡県に戻してるんだから、静岡県の水を静岡県に戻してんだからいいだろうという話なわけですよ。
だけど大井川の流域と。富士川の流域では、生活も産業も違います。
ですから大井川に戻して欲しいというのはですね、住民の悲願ですよ。
しかし、これは水利権の話ですから、ですからもうトンネルの話と関係ないです。
トンネルを掘削中に出る、その全量を戻すという約束をなさって、それはトンネル掘削中に出る湧水は全量を戻すというのがですね、中間報告における有識者会議の理解でもあるわけですね。それができないからこれをしてるんだということで、しかし、これができるんだと、田代側にですね、流している水が、本県に戻すことができるんだという、そういう情報ですから、ですからこれはもう極めて我々にとっては朗報とも言えるわけです。
ですからこれはですね、しっかりと議論をして、戻せるものなら戻していただきたいと。
これは、トンネルを掘るか掘らないかは別個にしてですね、戻せるものは戻していただきたいという話です。
(記者)
そうなると、このあいだの4月の28日だったと思いますけれども、知事が言ってた乱暴な議論っていうのと、この話の整合性が全くつかない気がするんですけれども。
(知事)
そんなことはありませんよ。
トンネル工事で出る水と関係がないところから水を持ってくるというのは乱暴だと思いますね。
(記者)
ちょっと理解できないですね。
(知事)
自分が借金返せないから自分の影響力の行使できる人にですね、「おい、俺に代って、その借金、立て替えてくれ」と言ってるようなものですね、私はこれは乱暴だと思います。
(記者)
共同通信といいます。今の関連質問ですけども、ちょっと整理させて欲しいんですが、結局、知事がB案をJRが提示した、そのB案そのものについては、これは評価してるのか、してないのか、どっちなんでしょうか。
(知事)
そうですね、これは、もう、長い日本のですね、最先端の技術を駆使しながら、もう数十年間にわたり、やってきたものですね。私自身も、1999年に、乗ってるわけですよ。それ以降、さらに技術の進化もございました。ですからですね、リニアそれ自体には反対していません。しかしながら、このルートはですね、どうして決まったのかということも含めまして、不分明なところがあります。もともと、このリニアのルートにつきましては、この建設期成同盟会というのも作られているくらいでございまして、これは東京、神奈川、山梨、長野、岐阜、愛知、三重、奈良、大阪ですね。静岡県、入ってないでしょ。ですからですね、そういう、もう、私は、国土審議会で、もう十分に聞かされてるし、実際にも乗ってるし、説明を受けてますし、JR東海との関係も良うございましたので、実際にいろいろ説明を受けておりますし、さらにJR東海のウェッジという雑誌で、愛・地球博があった時にですね、ウェッジに、これは空飛ぶ新幹線だとして、宣伝までしてるわけです。ですから、私はこれ自体はですね、反対してないです。
(記者)
B案の、その、今、田代ダムの取水を制限制限して、中下流域の水量を維持するという、その案に対しては、どう思うのかと聞いてるんですけど。
(知事)
ありがたいですね、これは。
(記者)
ありがたい。じゃ、評価は。
(知事)
それは、水が戻ってくるってことでは、ありがたいですよね。
(記者)
いや、その、全量戻しじゃないかもしれないけれども、中下流域の水問題の解決策の1つとしては、評価するということですか、B案を。
(知事)
解決策といいましても、これは、まだまだ詰めなくちゃいけないことがあるんじゃないですか。そもそも、実現できるのかどうかっていうのもですね、入口のところでわかりませんね。
(記者)
JR東海が、そういう案を出してきたということに対しては、これは評価されるのか。それとも、それすら、受け入れないので、こんなの検討しても、そしたら、もう実現可能性もないんで、無駄ですっていうことなのか…。
(知事)
検討に値すると申し上げてるわけです。だけど、これはですね、全量戻しという中身について、実際、全量戻し、つまり、本来の掘削中に出る湧水は全量を戻すということができないという意味では敗北宣言ですね。
(記者)
敗北宣言ですけど、そのB案自体は、議論して、実現の可能性は探る…。
(知事)
いやいや、リニアについては、私たちは、あの
(記者)
いや、B案。B案ですけど。
(知事)
え?
(記者)
JR東海が出してきた今回の対策案のB。
(知事)
あ、B、B案ね。
(記者)
リニアじゃなくて、B。すみません。
(知事)
B案はですね、これは面白いですよ。ともかく、しかし、これはトンネル工事とは、別個にしてですね、議論することのできる問題だと。別次元の問題だと。
ですから、もし、戻すことができるなら、東電さんが、実は、血の一滴だと。あれ、一滴も譲れないと。言ってるものが、譲れるってことですから、JR東海と東電さんとの間でどういう相談がなされているのか、これも正確に知りたいですね。
ですから、そういうことも含めて、これは議論をしなきゃならないと。
それを知りたがってる人がたくさんいると思います。
(記者)
全量戻しは破綻したとおっしゃいますけども、知事としては、やはり全量戻しというのは、譲れないってところ…。
(知事)
約束ですし、有識者会議で1年6ヶ月(正しくは、「1年8か月」)かけてですね、出た結論でしょ。これをしなくちゃいけない、それができないってことが、今回わかったということですね。ただしですね。この水量だけではなくて、他に、この南アルプスというのは生態系ってのは極めて大きい課題です。ですから、このテーマについても議論しなくちゃいけないということがございますのでですね、別にこの全量戻しの議論が破綻したからといってですね、この議論はやめることではなくて、この盛土の問題、生態系の問題、それから、また、水質の問題、水脈の変化の問題。
あるいは、さらに言えばですね、今回、初めて出てきた問題があります。それは資料4ですね、JR東海さんが出された資料4。ここにですね、環境影響評価について、資料が紹介されてます。それをご覧になりますと、これは平成25年に、つまり、ルートが決まった後に出てきた資料なんですね。その資料によればですね、平成23年段階では、その巨摩山地につきましては、土被りがある。つまり、トンネルが深いということですね。それから、地質が脆弱である。それから、大量湧水の可能性があると。それゆえ、巨摩山地のルートは回避しなくちゃならないと書いてあるわけです。回避して、南アルプスルートにするって書いてあるわけですよ。
そして、それが決まった後、南アルプスルートについて、平成25年にですね、これは、破砕帯があると。突発湧水がしょっちゅう起こる可能性があると。それから、切羽の崩壊は十分に考えうると。さらに、このトンネルの、この形、内空がですね、変形する可能性があると。ですから、巨摩山地を通るルートを回避した以上にですね、回避しなければならない理由がザーッと並べてあるわけですよ。ですから、これをどうして回避しないんですかということをですね、JR東海さんは答えなくちゃいけないと思いますね。
回避した理由は、その明快なわけですから。その回避するべき理由が挙げられていながら、どうして回避しないんですかと、いうことについては、まだ、回答いただいてません。
それをですね、こういう件につきましても、これ国の方もですね、ご関心を持っていただいて、果たしてこのルートが、環境影響評価の面において、しっかりと踏まえられて、定められてるかどうかっていうことは、見直すべき。それがこの間の資料4の中身です。そういう考えです。
(記者)
わかりました。ありがとうございました。 |