令和3年度以前知事記者会見

2009年10月5日(月)


質疑応答1
質疑応答2
質疑応答3

質疑応答1

<知事>

     特段私の方から申し上げることはありませんが、幹事社から質問ありましたらどうぞ。

    <記者>
     幹事社からの質問は2点です。1点は、沼津駅周辺の鉄道高架事業の現状と課題について、知事の見解をお聞かせください。2点目は、JALの経営再建問題について、前原国土交通大臣とお会いになったことを踏まえての所感をお聞かせください。

    <知事>
     沼津駅の高架工事に関しまして、栗原沼津市長とは何度かお目にかかってお話を聞きました。市と協力してやっていくということですが、3割の地権者の方が反対しています。一方で、7割の地権者の方が賛成されているという現状です。私は、二度ばかり沼津に行きました時に現場を通りましたが、まだ地権者の賛成者とも反対者ともお目にかかっておりません。現状は、この目で見る限りにおいて知っていますが、特に反対者の方にお目にかかっていないまま進めるのはどうかと思っています。JALの再建策ですが、9月末というところが11月末まで延びたということで、かなり凄腕のタスクフォースのメンバー達がJALの執行部に入り込んで再建策を打ち立てるということで、前原大臣は建て直しにかなりの力を入れて、できるという自信を持っていらしたように思います。私の方といたしましては、11月末までに、西松社長ともう一度お目にかかって、お話をしたいと思っています。今度は私の方から出掛けていく番です。この咳が治って、議会が明けましてから、タイミングを見計らってお目にかかりに行こうと思っています。

    <記者>
     西松社長とは二回目の対談になりますが、どのような申し入れをしますか。

    <知事>
     西松ファンクラブを作らせてくださいということを申し上げたいと思っています。今、四面楚歌ですし、非常に厳しい再建策を求められていますので、そうした中で本県にJALを飛ばしていただいたこともありますし、飛ばすについて搭乗率保証というものを、当時としては必要とせざるを得なかったかと思います。そのことを重々理解した上で、しかし現状において、単に福岡便だけでなくて、例えば札幌便は84パーセント位の搭乗率を誇っているのですが、それも廃止すると言われていますので、そういうことも含めて静岡とJALが就航している札幌、福岡についてお話をし、福岡便に関しては、西松社長の意思決定力に信頼を申し上げまして、県民のために、自分のふるさとのために、飛行機を飛ばしてくださった、それが結果的にふるさとの人達からは非常に大きな負担だという声が上がっている訳ですから、社長在任中にもう一度ふるさとの声に耳を傾けてくださいということを申し上げるつもりです。

    <記者>
     具体的には、今年度の搭乗率保証はもう一度契約を見直すと言うことですね。

    <知事>
     契約の背景にある精神が大事です。両方とも静岡発のJAL便が赤字にならないようにということで結ばれているのですが、当初予想されたよりもはるかに期待が高いという状況を踏まえますと、JALやANAだけでなくて、国際便としては台湾からチャーター便が何度もお越しになられて定期便にしたいという動きがあるくらいです。そしてアシアナ航空、大韓航空というところも、お茶畑に降りる富士山静岡空港への期待も高いです。さらに地元に拠点を置くFDAという航空会社も今年になって就航することになりましたので、言ってみれば縮小と言うよりも拡大の方向に向かっているのが現状です。ですから、JALが当初飛ばすかどうかということについて悩まれた時、静岡空港それ自体が要る、要らないという原則論の中で、JALを飛ばそうと御決心くださった時と状況が違います。JALの応援を、西松JALである限りにおいて、私といたしましては、(応援を)して差し上げたいという気持ちを持っております。それは、契約の精神に適うものでありまして、JAL側も静岡県側も共に努力をして、皆様に喜ばれるようなJAL便になるということが背景にある精神ですので、その精神に則って臨むということですので、基本的な合意はできると思っています。この間お目にかかった時にも、西松社長が私に期待されていた対決姿勢というものとは180度違う、温かい応接を受けられて、静岡県の西松社長に対する感謝の念というものを私は体現する形で出しましたので、もう一回行かないと答礼にならないので、今度お目にかかった時には、それなりの見通しが出るのではないかと期待しております。

    <記者>
     前回お会いした時に、知事はお受けになっていないとおっしゃっていましたが、西松社長から来年度以降の搭乗率保証は継続してほしいという話があったと伺っていますが、来年度以降、搭乗率保証を延長することは知事は想定されていないということでしょうか。

    <知事>
     私にそういう話は直接ありません。

    <記者>
     仮定としてそういうことは想定していますか。

    <知事>
     ありとあらゆることを想定していますが、西松社長も大きな会社の責任者ですから、おひとりだけの判断ではできないと。しかし一方、おひとりだけでできる判断もあるということでございまして、JALの執行部としてこうしてほしいということと、御自身として何ができるかということがありますので、私としては、西松社長の社長としての御決断に期待しています。

    <記者>
     知事のマニフェストの実現、実行という観点からお話を伺いますが、知事が御就任されてから3ヶ月経ちましたが、御自身がマニフェストに掲げられた事業の中で、これは既に実行着手できているなというところと、まだちょっとここは着手できていないなというところがあればお伺いします。特に、マニフェストの筆頭に挙げられた事業仕分けですが、今、事業仕分けの対象にする事業の洗い出し作業をしているところだと思いますが、この進捗状況は順調に事業が各部局から出されているかというところをお伺いします。

    <知事>
     マニフェストには冒頭に、行財政改革を掲げました。それと共に、教育改革、食と農の改革を掲げた訳ですが、行財政改革に関しましては、事業仕分けという言葉を、この優秀な県庁の長の付く方々ですら御存知なかったという事実が、9月10日に加藤秀樹構想日本代表をお招きして10時から12時位まで御後援を賜った訳ですが、その時に聞いていらした県の幹部は150人程でありましたが、「事業仕分けを知らない人」と加藤代表が尋ねられたところ、それなりの数があった訳です。それは正直でいいなと思いましたが、一方で、何も知らないものをどうするかということがあったと思います。講演と質疑応答で事業仕分けというのはどういうものであるかということは分かったと思います。それから、これまで県から始まったと。秋田県、岩手県、岐阜県といった改革派知事と言われたところから始まって、実績を上げてきた講演内容に接せられて、さらに国でもなさってこられたということ、小さな自治体でもなさってこられたということを踏まえて、やる気というものが出てきたと思います。それで、日程も10月末から11月初めということになり、かつ、全事業の仕分けというものに対して、それは必要ではないと、数千もありますから、100程ということになって、なるべく大きな事業に関して部局から上げていただいている訳です。別に100という数字にこだわる必要はないのですが、代表的な事業を取り上げるということでスタートした訳です。そうこうしているうちに、政府が加藤さんを事業仕分け人として、あるいは事業仕分けという仕事の責任者として要職に就けられるということが起こって、静岡が変わると日本が変わるでしょう、ここからやっていることは決して後追いではないということがお分かりいただいているのではないかと思います。これは地方主権とか地域分権とか、なるべく自分達でできることは自分達でやるという、それはNPOはじめ市民県民の皆様方の自覚を促すものであり、同時にまた、お上に頼るというふうなこれまでの姿勢を一から正すということになります。私は、行財政改革は、この年末にかけて動いていくというふうに見ております。それから、教育改革の中で、一に勉強、二に勉強、三に勉強と申しまして、特に生き方というか芸術に触れることはとても大切だということで、夏休みに、常設展示だけではなく特別展示も美術館の方の御協力を賜って、大学生以下の入場料を無料にしたところ、4倍以上の入館者を得たということで、今その総括をしていただいておりますが、4倍以上ということよりも、今まで触れたことの無かった、行ったことの無かった人も、そういう話題を提供されて行ったということで、日本の幕末までに持っていた美術の世界がヨーロッパに影響を与えたということを知って、きっと新しい発見をして自信を持った人もいたに違いないと思っています。それから、35人学級のことはお金がかかってくるので、すぐにという訳にはいきません。食と農の改革については、遊休農地を解消したいということで、遊休農地は1万2千ヘクタールありますが、そのうち6千ヘクタール弱が不在地主、手が付けられない訳です。誰が地主か分からない、分かっていても手が付けられない状況です。そして残りの6千ヘクタールのうち、半分余りが荒れ放題になっているということで、使える農地は2千ヘクタールしかないということが分かり、これを当初の産業部の計画では、そのうちの4分の1くらいを4年間でやるというのが現実的であろうと思われていたようですが、しかし、それを思い切りペースを上げていただいて、この私の在任中に2千ヘクタール全部を、少なくとも4年間の間に遊休地としてではなく農耕地として使えるようにできるはずです。そういうふうな形で言わば助走の段階ですが、着実にマニフェストで申し上げたことを実行しているということです。

    <記者>
     情報公開に関して、4年以内に情報公開度日本一を実現するということでしたが、先日の空港の立ち木を切り過ぎたという問題もあり、まだそういうところに関しては情報公開ができるところがあるのではないかと思いますがいかがでしょうか。

    <知事>
     そうですね。情報公開は当たり前です。それで、情報公開度は昨年度は37位だったでしょうか、かなり低いものでした。ところが、その前の年は10位以内に入っていたのです。ですから、市民オンブズマンの設定する透明度の評価基準が動くと、点数が動くのです。しかし、私は自分にできる範囲のところは全部公開したいと思っています。それから空港部に関しても、公開の度はだいぶ高まったのではないかと思っています。まだ、不十分なところも出てきましたが、それも地権者の方と少なくとも私とは信頼関係を築くことができたと思っています。正直に勝る政策は無いと思っていますので、そういう考え方は、現在空港部を預かっている職員の皆様にも共有されていると思っています。

    <記者>
     立ち木問題についてお伺いします。先日、知事が「私が調査する」とお話しされましたが、具体的にどう形で調査をするのですか。

    <知事>
     地権者のお一人の木を無断で伐採したという問題があるのを知っているかという御指摘を(8月)16日に受けて、そして、知らなかったので、その件について、必ず協議をしてくださいと、協議事項にしてくださいということで、17日に協議事項に挙げていただいて、そして、いったい何が起こったのかということを正確に地権者に報告するという約束をしたと思うのですが、どういう報告をするか知らないうちに、私に、地権者から弁護士を通じて「これこれこういうことがあったのでございます」という報告を受けて、そして、また10月2日には県から出された報告に対して「それは正確でない」という御報告を10月2日に初めて知りまして、それで、ともかく地権者の言い分と県側の説明とに齟齬があるので、水掛け論になってもいけないので、そこに名前の出ている方と近くお会いしたいと思っております。そのことは地権者に申し上げまして、この議会が終わりましたら向こうの御都合もありますでしょうから、都合を合わせて、なるべく早くお目にかかりたいと、直接お話を聞こうと思っております。

    <記者>
     空港部の廃止条例について、最大会派の自民党が反対を表明していますが、少ない期間の中で、知事としてはどういう働きかけ、説得をされているのですか。

    <知事>
    これは議会の御決断次第ですので、私の説明は申し上げたと思っております。最終の御判断を尊重するということで静観しておりまして、特段の働きかけということはいたしておりません。
     
    <記者>
     自民党からは年度途中でやる必要はないと反対しているとのことですが、それについてはどう思いますか。

    <知事>
     全国47都道府県ありますが、空港部を持っているところはどこもありません。局として(空港局を)持っているところもありません。だいたい課ですね。ですから空港部はいかに特殊な形で作られたのか、それだけで分かりますが、しかもそれは年度途中に立ち上げたもので、これは議会で御説明申し上げましたが、年度途中で立ち上げられ、そして建設が終われば見直すということになっていましたから、それに即して今度は利活用にということですので、私としては利活用に向けて6月4日に部分開港しており、7月に就任してすぐに利活用に向けた、いわば陸海空一体となった交通ネットワークの整備という方向に乗り出した訳です。例えて言えば、その昔、建設省と運輸省と国土庁がございました。運輸省は港と空を預かる、建設省は河川を含めて道路を預かる、国土庁は国土計画をやっていると。これが一つになって国土交通省ができた訳です。それはそれなりのインフラ整備ができたと。空も港も道路もできたと。そうした中でネットワークをどのように活かしていくかということで国土庁も入りまして、国土交通省ができた訳ですが、それと同じようなことが今県にも求められているということで、アクセス一つとりましても、道路と鉄道、あるいは道路と港というふうなことがございまして、空港と港と道路、空港と道路と鉄道といったようなことがございます。そして、新しい人の出入りが、内外の人の出入りができる玄関口ができましたので、それ全体をどう活かしていくかということになりますと企画が大事になってまいります。いわば国土計画が大事になっているように、ふじのくにの国土計画が今必要とされているので、それはかつて国土庁が各省庁の代表によって作られていたように、私どもも既に立ち上げている空港の利活用促進会議、魅力を上げるための有識者会議と、これは国土審議会に当たるようなものですが、そうしたものを立ち上げているということで、何も急にしたのではなく、6月4日部分開港という流れを受けて完全開港、そして利活用ということですから、極めて自然な流れの中で御判断をしていただきたいと思っておりますので、しかるべき御判断が出ると思いますが、それを尊重申し上げるという以外にありません、静観しております。




質疑応答2

<記者>
 就任されてから3ヶ月間になりますが、自己採点すると何点ぐらいになりますか。議案が通れば空港部が廃止となる訳ですが、先日のように、隠蔽というか情報公開に問題があるとなれば、県として改まると考えていらっしゃるのか。それと今回の件で処分は考えていらっしゃるか。3点です。

<知事>
 評価は他人がするものだということで、あなたからは何点いただけるでしょうか。それは本当に関心があります。いかがでしょうか。

<記者>
 未知数です。

<知事>
 無限小の未知数でなければよいのですが。無限大も未知数ですからね。主観的評価というのは当てになりません。自己評価と客観的評価は違いますので、それは勘弁してください。それから、処分は一切考えません。システムの中で人は動いていますので。個人の判断でよほど犯罪的な行為をしたのであれば別ですけれども。システムとして動いていると理解しています。その立場に立った方がその歯車を回すために、そういう仕事をするというような組織の体質ということがあるとすれば、それを改めるということで。空港部に関しましては廃止というよりは、発展的な再編なんですね。いわば、これまでの空港部の全ての業務、建設が終わりましたから、あとは維持管理になります。それから、いろいろな相談がありますので、その相談口はきっちりと設けておりますし、それからプラスアルファで地域の人、周辺地域だけではなくて、静岡県全体ですね。その利活用に向けたネットワークづくりということで、これは発展的な解消という以外にありません。決して、部という特殊な、異常という意思を持って、空港部を年度途中で立ち上げた。それを空港ができたので、本来そこが収まるべきところに収まっていただいて、しかし、それでも、これまでの経緯がございますので、空港局として残すということでございます。廃止というのは強い言葉ですけれども、名前の上では廃止ですけれども、中身の上では発展的継続というふうにお考えいただいたほうがいいと思います。

<記者>
 何で年度途中に異常な意思を持って空港部を設置したと思いますか。

<知事>
 それは、建設を昨年度中にやりたいと。3月にですね。その不退転の決意というものをお持ちになったからだと思います。それを議会も容認せられた。8月に空港部が設置されたときにも、そういう経緯で作られているので、その目的を果たせば、元に戻すという前提で作り上げられたというふうに思っております。利活用に関して言えば、半年とか1年が、ある意味では勝負なんですね。つまりイメージが固まりますので、あの空港はどうだ、こうだとか。しょっちゅうダイバートが起こっているというふうなことで信用を失いますと、なかなか飛んでもらえないと。それで2,500メートル、ILSで、それもカテゴリー1からカテゴリー3へ向けて、すぐにこれから乗り出すということで、どんどん加速していってイメージを上げ、利用率を上げていくと。皆さんに空港の持っているメリットを生かしていただくというふうにするのが責務でありまして、4月まで放っておくのは先延ばしになって、組織が生きた形で使われていないということになりかねない。空港部に関しては異常な立ち上がりがありましたので、ここで目的を達成したので、その幕を閉じるということでございます。

<記者>
 無断伐採の問題ですが、取材の中で8月17日には知事も御存知だったというふうに地権者の方もおっしゃっていられる訳ですが、その後に知事は笹の問題も触れられましたが、その時に、知事はなぜ一緒に公表されなかったという点と、先ほど今回の問題が組織の問題だと言われましたが、県空港部だけの問題なのか、それとも県全体のシステムの問題なのかということと、それではそれをどのように改善されていくのかをお尋ねします。

<知事>
 笹の問題というか、立ち竹の問題は、(8月)12日に県から聞いていた訳ですが、それ以外の問題はですね、過剰に土地を造成した、あるいは過小に図面と比べて実際の造成が多かった、少なかったという問題があるのを知っているかと言われて、僕は知らないと。もう一つ、地権者の方のお一人が自分の土地が無断で伐採されたと言っているのを知っているかと言われて、知らないということでですね、この二つについては、それをお出し申し上げるという約束をした訳です。後者の無断伐採については事実かどうか分かりませんので、ともかく調べさせていただきますと、それを調べるということを約束しますと、ということだったので、本当にどういうことが起こったのか、私は報告も受けていないし、知らないのです。まあそうしたことをひょっとしたらどなたかの土地を無断伐採したかもしれないと、あるいはそうでないのかもしれないので、それを調べるように約束しますと、ということだったですので、何か実際に無断伐採しているということを正確に文書の形で報告を受けたのは、地権者の方が弁護士を通して、私に文書を出された時が初めてです。それは9月の14日付けになっていましたので、それを見たのはそれから数日後ですね。それで、そういう申入書をもらったということでですね、ただ、間に入った人と言いますか、弁護士さんが、申入書をここで皆さんの前で渡すこともできたんですが、人を介して渡されて、人を介して返事をすればいいということでしたので、私は弁護士さんに、「分かりました。そうさせていただきます。」と、ということでお電話差し上げたと、ということでありまして。特段、何か隠すとか、ということは一切したつもりはありません。

<記者>
 それは結果的には、客観的に見ますと明らかに隠されている事実でしかない訳で、その時にもし公表されていれば・・・

<知事>
 何を公表していればよかったのでしょうか。
 
<記者>
 その時、申入書で事実を把握されている訳ですよね。

<知事>
 それは、地権者の方がそう言ってこられましたね。そして、その件について空港部の方でどう要求したのかを調べるという作業が残っている訳ですよ。それを弁護士の方が、任された方にお委ねするということだったので、それは、あなたも私の立場に立たれるとそういうふうにされると思うんですよ。通常の常識にのっとった形であって、隠すということは全くないですね。それから、隠蔽体質があるということですが、確かに5月にですね、あるいは人様の土地のものを無断で伐採した可能性があるということについての問題を、空港部の方で5月、6月の時点で御存知であったと、立ち笹、立ち竹の問題も知っていたということを言わなかったと、私にですね、あるいは誰も知らなかったと、というのはこれは残念ながら隠蔽体質と言わざるを得ないと思います。ですから、今、それは急速に改めつつあると思います。正直に言うと、いうこと以外に方法はないと、というふうに私は思っておりまして、私自身がそういうふうにいたしますので、どこかで何かごまかされていましても必ず出てきます。ですから、たまたま空港部の問題は大きな事業に関わることで、大きく取り上げられておりますけれど、小さなことでも全て正直に申し上げると、いう態度はですね、3か月の間に伝わっていると、県庁の職員の方々にと信じております。

<記者>
 新政権の政策の関連でお伺いしたい部分があるのですが、新政権の直轄事業負担金の関係で廃止の方向で検討していますが、その関係で例えば地方で和歌山や新潟が県に対する市町の負担金を廃止するということですが静岡県においてはどのような対応をお考えですか。

<知事>
 これも円卓会議で協議して廃止できるものは廃止すると。お任せできるものはお任せするということが基本です。私は基本的な姿勢としてお任せできるものはお任せするという姿勢です。今まで直轄事業負担金というものに関しても、あるいは、いろいろな維持管理費というものもですね、熊本県よりもさらに先にうちは既にやっていたことが分かりまして、相当その点で市町とのコミュニケーションが図られていると思っていますが、円卓会議というものは今までなかったものですので、これを初めて持ちましてこれからはちょっと人数が37市町と多いものですから地域ごとにやっていこうということで。生の声を聞きましてた訳ですね、これは自分たちでできることはしていただこうと思っています。ただ、受益者負担ということもありますので小さな町だけで完結するのではない事業もありますことから、そうした事業はある程度県に任せざるを得ないことがきっとあるでしょう。そのあたりのことをいわばお互い精査し合いまして、基本的には市町にできるものはそこにお譲りするという姿勢で臨みます。それが一律全部負担金を廃止することになるのかどうか、両方の合意のもとでやっていこうということです。

<記者>
 それに関連して直轄事業負担金を廃止するということによる負担減と暫定税率の廃止による減収分とを相殺する考え方が政党の中にあるのですが、このような考え方についてはいかがですか。

<知事>
 それはまず国のほうでやっていただくこと。私の方とは(一義的には)関係がないので。私としましては、無駄な税金の使い方をしないと、そういう姿勢で臨むということに尽きます。

<記者>
 例の立ち木の無断伐採のことですが10月2日に公表を決めたということをいつ決めたのですか。

<知事>
 10月2日じゃないですか。私はそのときに知りましたから。

<記者>
 この前おっしゃっていたのは知事の最後指令があって、通常県と地権者の方で意見が違うことが分かって・・・

<知事>
 そのときに分かったんです。

<記者>
 それは何時ごろですか。

<知事>
 あの日は中小企業団体中央会というのがあって11時ぐらいに出掛けて戻ってきたのは2時ぐらいですから、そして地権者の方がお越しになっていることを聞いたのはその後ですね、多分。それから記者会見をすると言われたのはひょっとすると出発直前だったかもしれません。

<記者>
 10時ですか。

<知事>
 8時から来ていますから出発直前に聞いているかもしれませんね。記者会見する理由は、毎日新聞社さんが夕刊でそれを報道されるということなのでそれは別に構わないと思ったのですが、県としてきっちりと説明しておきたいとおっしゃったのでどうせ夕刊に出るということならば各社の方々にきっちりと説明されたらいいのではないかと思った訳であります。

<記者>
 通常であれば新聞が出た後に発表するというのが普通の筋だと思うのですが、要するに出ると分かったから明らかにしなければならない、先に説明するというのは流れとして違和感があると・・・

<知事>
 そうですね。その辺のところは判断を誤ったかもしれませんが、ともかく正確な情報をお持ちならば出せばいいというふうに思いました。それで戻ってくれば何と二人がいらっしゃるということですので、それはびっくりしましたね。弁護士を通してこちらに申し入れがあったのでなぜ今頃来られたんだろうというふうに思いまして、後でお聞きしたら県の方が一方的に報道されるというのは困るので、県の記者会見の事実を知って急遽、県の方に来て自分たちの言い分を言いに来たんだと私はお二人からお聞きしました。

<記者>
 簡単に言うと後で公表して焦ったことで地権者の方へもある程度迷惑を掛けたところがあるんだと。例えば2日に申入書を受けて、これで意見が違うので今日の定例会見で発表しますというような交渉もなく地権者側としては一方的に言われたという部分があるのではないでしょうか。

<知事>
 まあ、地権者の方が言われることもごもっともと思いました。県の言うことももっともだと思いました、私は。あれは貴社が署名入りで書かれたと思いますのでそのあたりのところ一番詳しいところだと思いますので同じ会社ですので中で聞いてください。

<記者>
 先ほどの話や議会の答弁では、ILSの高度化を目指すという話でした。ある空港では30億や80億円の費用かかったという話もありますが、安全のためには費用の問題ではないという答弁でした。これだけ厳しい状況の中で、県民に負担を強いるILS高度化について、県民の理解が得られるとお考えでしょうか。

<知事>
 霧が多いとダイバートが生じるという事実は、前もって知られていました。従って、ILSの導入は、初めから想定せざるを得なかったと思います。「ふじのくに交流団」として熊本に行った際に、熊本の空港関係者から経験をお聞きしました。富士山静岡空港の標高132mと同様に熊本空港は標高193mの台地で霧が多く、ダイバートが多いという悪評が立ったことからカテゴリー3という一番高度なものにした、と言われました。今は、ダイバートした飛行機が来るぐらいであるということでした。どうして富士山静岡空港ではカテゴリー1から3のうち1なのですか、と空港部に聞いたところ、費用が安いからという説明でした。それで十分だと言われた訳ですが、これは費用の問題でしょうか。霧の中を着陸するかどうか最終的に決めるのは、パイロットの判断です。もしも大事故があったらどうするかを考えざるを得ません。全ての空港のILSのあり方を見れば、熊本空港が最も富士山静岡空港と状況が近いので、私はそこを目指さなければ安全を保障できないと思っています。ILS(カテゴリー)1で50億ぐらい、ILS(カテゴリー)3で80億円ぐらいですが、事故があったときの機会費用を考えてみてください。一番小さい飛行機でも76人乗りですから、ぶつかった際には大惨事になります。その際の補償を考えた場合、1からやっていくというのが正攻法なのかどうか、という疑問を持ちました。ですから、熊本空港の事例に即して、ILS(カテゴリー)3を目指すべきだという考えを持っています。

<記者>
 それによって、追加負担が生じる30億から80億が、県民の理解を得られるかどうか、お答えください。

<知事>
 安全が第一と思っています。(就航率が)96%(ないし97%)という数字は、決して自慢すべき数字ではありません。県民が使うものであり安全を最優先するということからすれば、30億円で県民の安全が買えるなら、という気持ちがあります。



質疑応答3

23
<記者>
 事業仕分けが、今月の31日から3日間にわたって全面公開で行われます。結果をそのまま当初予算に採用する訳ではないと思いますが、そこでの結果や第三者の意見をどのように反映するのか、具体的な考えを聞かせてください。

<知事>
 これは出た後ということになりますが、アクションを採りますということ以上は、申し上げられません。出た結果に応じて事業の見直しをいたします。必ずそれを予算に反映することは、お約束できます。

<記者>
 全てそのまま反映するという訳ではないですか。

<知事>
 短期間に判断されることですが、衆目の中でやるものですから、それなりの客観性と理屈がきちっと通っているものであり、その結論を尊重するのが筋です。そのためにやります。それを更に精査して、全部町に委ねるのか、国に持っていくのか、県が継続するのか、あるいは廃止するのか、慎重に時間をかけてやります。しかし、当初予算あたりには反映させなければならないと考えています。

<記者>
 例えば、知事が承認する場を設けるということですか。

<知事>
 そうですね。どういう場面になるか分かりませんが、事業に応じた会議がございましたときに、その時点で事業仕分けの結果を政策に反映していく、ということはお約束します。

<記者>
 誤伐採の件に戻りますが、空港部と地権者の意見が対立しているが、地権者側の言い分として今年の1月に建設事務所の職員と境界について確認をした、その後に伐採が行われているのでわざとじゃないかとおしゃっているみたいですが、建設事務所の職員と地権者が確認したという事実を知事は確認していますか。

<知事>
 事実は、9月の中旬の申入書を読んで初めて知りました。ですから、そこにいろいろ名前の出ている職員に会ってどういうことが起こったのかということを聞こうと思っています

<記者>
 伐採が行われたのは3月だが、1月の時点で地権者と建設事務所の職員が、私有地と県有地の境界について確認したのは事実ですか。

<知事>
 それはまだ確認していません。申し訳ありません。

<記者>
 似たような質問がありましたが、就任3か月ということで、野党が多数の議会について、特に議会対策についていいか悪いかは別ですが、事前に根回しがないという話を聞いています。それはそれを踏まえて、議会対応と言うか知事のスタイルについてお伺いします。

<知事>
 そうですね。ど素人なので、いろいろしきたりを無視しているところがあると自覚しています。事前の御説明をしなかったと言われれば、そういう面があったかもしれません。ただ私の方も思い込みがあって、議会の先生方は空港部について、設立の経緯から今日に至るまでよく御存知のものだという思い込みがあったとしますと、そういう思い込みはなしにして1つ1つこういう事情でこういうことをすると、やり方を勉強しました。そのために副知事もいると思いますので、議場ではいろいろ教えていただいていますが、その辺のコミュニケーションをとりたい。条例案を出すときに、どの人にどのように前もって説明する必要があるかということをあまり考えていませんでした。

<記者>
 勉強されるというのは、前の石川知事のように事前に説明なりをして、円滑に条例が可決されるようにもっていくという意味ですか。

<知事>
 石川知事はそうされていたんですか。すべてのやり方をマスターしないと、どういうやり方がいいのか分からないかと思いますので。議会の質問も答弁も限られている中で、すべて決定することの限界はよく分かりました。なかなか議員の先生方とお目にかかる時間がないので、背景にある私が持っている事実認識についてもう少し知っておいていただいた方が良かったかなと。石川流と言うか、いわばプロのやり方を早くマスターして、その型にはまって、その型を守って、型を破ると。そういうきっちりとしたやり方を学んでみたいとは思っております。