(記者)
中日新聞です。先ほど中日新聞のインタビューで、染谷市長が「知事は流域の代弁者ではない」と厳しい発言をされてたんですが、率直にそのことをどう受け止めますか。
(知事)
そういうご意見が、染谷市長が持ちであるということはよくわかりました。染谷さんとはお目にかかる機会よくあるのでですね、意思疎通は図れていると思っておりましたけれども、代弁していないというのは、おそらく、先ほどのいわゆる実験線に関わる話であるとか、この27年以降に名古屋開業が延びたので、これに関わる意見をしてると、これは流域の皆様方、発言されてることじゃないことはよくわかっております。そのことを指しておられるというならですね、確かにそこのことだけを発言するということからは外れてるかもしれない、そこのことってのは流域に関わること以外のことを言っているという点ではですね、これは日本全体に関わる交通体系のことなので、この交通体系全体を論じるのはこの推進委員会のですね、期成同盟会の仕事の1つでもありますので、この辺のところは御理解いただければとは思いますが。
(記者)
ありがとうございます。染谷市長は、おそらく、そのリニア全体の知事の考えだけではなくて、県の専門部会の議論の仕方にも疑念を抱かれてると思うんです。そのことについて、どう、そのことを受けて「代弁者じゃない」と厳しいことを言ってるんですが。
(知事)
専門部会、水資源とそれから生態系と2つあるわけですけれども、ここをぜひですね、流域市町の代表なり、あるいは特に島田市の関係者が入ってこられてですね、その都度、その議論に対してコメントがあるなら、聞かれた担当者なり、あるいは市長さんがですね、その都度言われるといいと思うんですね。一般論として、おかしいというふうに言われる前に、話は極めて具体的ですから、常にこの問題についてはどうですかということをJR東海にお聞きし、それに対して応答があって、それについて議論をしているわけですから、決してですね、何か一般論としてここはごちゃごちゃになってるとかっていうような形での議論ではないというふうに思っています。JR東海の方もそのように心得ておられていると。社長さんの方もですね、JR東海として残されてる話を続けていくということを伝えてほしいというふうに、うちの部局に連絡があったと聞いております。
(記者)
もし流域の総意として、静岡県専門部会の議論の仕方であるとか、そういったものに否定的な意見が出た場合、知事は、お考えを改める考えはありますか。
(知事)
そうですね、今のところ記者会見の報道でしか知りませんけども、何しろ、なんて言いますか、クローズドでされた議論でしょ。ですからそこを関係者の方々にですね、今、聞き取りをしているというところでございます。
(記者)
ありがとうございます。あと1つだけ、流域の市町の1つの首長である染谷市長から「代弁者じゃない」と厳しい県の専門部会に対する否定的な意見だとかも出ているんですが、そういった流域の市町の代表から意見が出ることに対して、そうなると知事は誰のためにリニアに関して慎重な立場を取られているのかという疑念が、そういう意見も出てくると思うんですが、知事は改めて誰を代表として、こう発言されてるのかというお尋ねしたいんですが。
(知事)
そうですね、まず南アルプスが国立公園であるということが大きいですね。これは昭和39年だと思いますけれども。したがって国民の総意として、南アルプスの自然を保全するというのは、国策であるというふうに思っています。それから、10年前のユネスコのエコパークに認定されておりますので、その生態系を保全するというのは国際的な責務であるというふうに考えております。したがってですね、南アルプスの生態系、自然の保全というのはですね、多くの人々の総意というふうに受け止めております。一方、JR東海のリニア中央新幹線の建設はですね、国家的事業ではありますけれども、あくまで営利事業なわけですね。したがって、国の、いわゆる中央新幹線の委員会におきまして、JR東海株式会社は、民間企業であり、経営の自由、投資の自主性を貫徹すると。国からの資金の援助は一切求めないとまで言われてるわけです。実際、3兆円の財投を受けられたわけですけれども、それがゆえに国家的事業というふうにもなっておりますけれども、基本的にそういう営利事業ということでありまして、私はそれが国家的事業であるということは十分わかったうえでですね、期成同盟会も作られていると、しかもそこに私も入ってるってことですけれども、基本的には南アルプスの自然、それから生態系、水資源、これを守るというのはですね、使命であるというふうに思っています。
(記者)
流域市町の首長全員が知事の立場を否定したとしても、知事は今の立場を堅持される考えですか。
(知事)
いやそんな仮定の話は。
(幹事社)
その他リニアに関する質問はありませんでしょうか。
(記者)
すいません、日本経済新聞と申します。いくつか質問が出ていたボーリング調査に関してなんですけれども、そもそも国が発足を検討しているモニタリング委員会であったりですとか、工事期間中10か月の田代ダムの取水抑制案であったりですとか、あるいは流量の計測というものが、基本的には先進坑や本坑、いわゆるトンネル本体の工事に関する議論だったかと思うんですけれども、いわゆる高速長尺先進ボーリングをやるかどうかということも、モニタリング委員会の発足を待つというお考えなんでしょうか。
(知事)
もうおそらく、2月中と言っておられましたからね。今日もう26日でしょう。ですからもう数日後に発表されますので、先の話じゃないわけですね。しかもこれをやるというのは、有識者会議で出た意見で、国交省としても本腰を入れてやるということですから、いよいよ本当に国交省が本腰を入れて正面から出てきたと。これまでは有識者会議を仕切ってらっしゃるだけだったわけですけれども、モニタリングは、これは国交省を挙げて鉄道局を挙げてですね、しっかりとやっていくんだとおっしゃってますから、この辺のところは、いわゆるお目付け役ですね、この工事の南アルプストンネル工事に関わるお目付け役ということになるわけですから、極めてこれは何て言いますか、重要で、3月にはですね、これを前提にした話になっていくんじゃないかと思います。
(記者)
すいません。2023年、昨年の水資源を巡る県専門部会の議論などを見ていても、ボーリングをするべきか否かという議論において、水が出るんじゃないかという懸念を示す声がある一方で、そもそもボーリング調査をしないと水が出るかどうかもわからないというような委員の意見もあり、なんだか議論が堂々巡りしてるようだったんですけれども、その点に関してモニタリング委員会で、ボーリング調査の有無を検討すると、おそらく、また堂々巡りの議論になるような気がするんですが、知事としては、どこがどうなればボーリング調査していいよという話になるんでしょうか。
(知事)
ともあれ、県境まで達するのに、去年の7月だったのが、6か月7か月8か月遅れてるわけですね。これはちゃんとした事由があると思うんですけども、当然、昨日おそらくですね、ボーリングの話が9市町(正しくは、「10市町」)と共通の話題になったということであれば、その事情が今、どうなってるのかと、現場がどうなってるのかというのは、私ども知りません。なぜ4百数十メートルで止まってるのか、なぜですかね。
(記者)
JR東海が、ボーリングの機械の、定期的なのかわかんないけど、オーバーホールが必要なんで、今オーバーホールしてる状況なんですよね、まもなく、いつかわからないですけど、終わって、多分またボーリングができるような状態になると思います。
(知事)
そうですね、そのオーバーホールの状態などをですね、実際ジャーナリストの人たちは足を運んで、汗かかないといけないですよね。その辺ところは、皆様方が取材してくださるのが一番いいと思いますけれども、ともかくJR東海は、これは国家的事業で、しかもこの問題が流域の方たちの大きな関心事になってますから、現状ですね、なぜオーバーホールするに、しかもなぜ8か月もかかってるのかというのは関心のあるところです。
(記者)
すいません。私が質問したのが、何がどうなれば、ボーリングを県は認めるのかというところだったんですが、おそらく流域市町の総意として早くやってくれっていう声が出たのかと思いまして、県専門部会や国有識者会議の委員会の中でも、そもそもボーリング調査をしてみないとわからないという状況で、おそらく、するなというふうに反対してるのは県だけだと思うんですが、これはなぜなんですかね。
(知事)
まず、確かに調査しないとわからないわけですね。調査のためのボーリングだということだったわけですけれども、今、先ほどのやりとりを聞いてると、流域市町の皆様方もボーリングの調査が水抜きの調査であると、その水が流出した分は、返さなくていいというふうにおっしゃってたということで、水抜きであるってことが共通認識であるということが、大きいですね。ですから、どのぐらいの水が出るのかということはこれもちろん調査しないとわからないということがありますので、こうした水抜きの調査であることを前提にしたうえでですね、さて、その水について、どういうふうにするかということについてはですね、やっぱり客観的なデータが必要です。したがって、もう数日中に発足するであろうモニタリング委員会、お目付け役の委員会のですね、最初の仕事がそれになるんではないかというふうに思いますね。
(記者)
裏を返すと、まもなく発足するモニタリング委員会でボーリングはすべきで問題は無いというふうになった際には、県としてはボーリング調査を認める。
(知事)
そうですね、国家としてそれを安全であると、あるいは合理的であると判断されるってことであればですね、もちろん私どもの専門部会でこれまで議論されたこともございますので、そこを踏まえないといけないと思いますけれども、特段ですね、反対のための反対してるわけではもちろんないわけです。従来は調査のためだけと言われていたのが、これが水抜き工事であるということが今、認識されて抜かれる水の量については一切問わないというふうに、一部の人が言われたと聞いておりますが、その辺のところはですね、抜かれる水がどのぐらいのものになるのか、この辺のところは知りたいところですね。それはモニタリングに任せる以外ないでしょう。そこはわれわれが現場でデータ集めるんじゃありませんので、JR東海が実際、それを計るわけですね。それを客観的に正しいかどうかというのを、この監査するのがモニタリング委員会でしょう。そういう立ち位置になると思います。
(記者)
わかりました。ありがとうございます。
(幹事社)
この他リニアに関する質問はございませんでしょうか。 |