令和3年度以前知事記者会見

2024年5月9日(木)


知事発表項目(退任挨拶)、一般質問(知事退任関連)
一般質問(退任関連、リニア中央新幹線関連)
一般質問(退任関連)
一般質問(知事退任関連)

知事発表項目(退任挨拶)、一般質問(知事退任関連)

(知事)

私は、本日、令和6年5月9日をもって、15年間預かってまいりました、知事職を辞することにあいなりました。この記者会見を通じまして、県民の皆様方に対しまして、これまで、慣れない仕事でございまして、いろいろと御心配などをおかけしたと存じますけれども、にも関わらず、御協力、また御支援、御理解賜りました県民の皆様に対しまして、深甚よりありがたく、厚く、御礼を申し上げるものであります。ありがとうございました。

さて私が知事に就任いたしましたのは、15年前の2009年7月のことでした。知事の最大の任務は、県民の皆様の生命と財産の保全であります。就任した、翌8月の11日に駿河湾沖地震がございました。そして、1名の方が命を落とされました。それを機に、危機管理を最優先にすると決めまして、県政に取り組んでまいりました。そうした中、2011年の台風15号(正しくは、「19号」)で3名の方、2012年の台風4号で1名の方、2013年の台風26号で1名の方、2014年の大雪で2名の方、2019年の台風19号で3名の方、2020年の豪雨で1名の方、また2021年7月の熱海土石流で、災害関連死1名(正しくは、「3名」)の方を含む28名の方、2022年の台風15号では、災害関連死3名の方を含む6名の方(正しくは、「6名の方」(災害関連死ではない))、そして2023年の台風2号で、2名の方が尊い命を亡くされました。不慮の災害で尊い命を失われました、48名の御霊に対しまして、衷心より哀悼の誠を捧げるものであります。御冥福をお祈りいたします。被害に遭われ、復旧復興の途上の皆様には、1日も早く日常生活を取り戻してくださるように心から願っております。さて任期3期を全うした後、現在は4期目で来月で丸3年目となります。これまでほぼ丸15年もの間、県民の皆様に懸命に御奉仕できたことは一生の思い出でございまして、光栄の一語に尽きるものであります。私は富国有徳の美しいふじのくに作りを理念に掲げ、その実現のために、現場主義に徹する努力を重ねてまいりました。現場に出かけた回数は、15年間で県内3500回を超えておりますけれども、県内各地で仕事に打ち込めましたのは、ひとえに、それぞれの現場でお目にかかりました皆様の御協力、また御支援の賜物でございます。これまでのそれぞれの場における御厚情に対しまして、改めて深甚の感謝の意を捧げるものであります。誠にありがとうございました。

4期目の最大の公約は、南アルプスの自然環境の保全と水資源の確保であり、それとリニア工事を両立させることでございました。辞職の理由と重なりますので、お別れの挨拶の最後に、この件について申し述べておきます。南アルプスは国立公園であります。昭和39年に国立公園に認定されました。それゆえ、その自然環境の保全は、日本政府の国策でなければなりません。また南アルプスはユネスコのエコパークに認定されております。したがいまして、南アルプスの生態系を保全することは、日本政府の国際的責務であります。国の生態系に関する、いわゆる有識者会議は、昨年暮れに最終報告書をおまとめになりました。それによりますと、南アルプス山中のトンネルの上を流れる沢、渓流は、工事によって例外なく、水位が下がると報告されています。水位が下がりますと、水際に生きる生物などは、そこに水がきませんので、生死に関わる厳しいマイナスの悪影響を受けます。また、工事で出る濁った水を透明にするためには、凝固剤の使用を報告書は提案されております。凝固剤を使いますと、水質は確実に悪化いたします。この報告書の内容を一読いたしまして、一言で言いますればトンネル工事によって、南アルプスの自然環境はマイナスの悪影響を受けると。言い換えますと、工事によって南アルプスの自然環境には黄色の信号がつく、という認識を私は持ちました。それでもなお工事を敢行するということであれば、工事による南アルプスの自然環境への悪影響を、いかに小さくするかが課題であります。沢の水位が下がることで、死滅しかねない生物の保全などのために、有識者会議はモニタリング会議を提案なさいました。モニタリング会議は政府主導で、今年2月に発足をいたしました。モニタリング会議、その第1回会合2月29日、2か月前のことでございますが、基本方針がそこで確認されました。そして第2回会合が先月、失礼しました、3月29日のことでございまして、その会合で、丹羽氏を新社長とするJR東海は、南アルプストンネル静岡工区の事業計画について、これまで知られていなかったデータを公表されました。世間はあっと驚きました。私も同様であります。曰く、高速長尺先進ボーリングに、3か月から6か月。工事ヤードの整備に、3か月。トンネル掘削に10年、ガイドウェイ設置に2年という事実の公表でございます。その数日後に、曰く、岐阜県は恵那市のトンネル工事に40か月、すなわち3年と6か月(正しくは、「3年と4か月」)、長野県は飯田市の高架橋の工事に70か月、すなわち5年と10か月、山梨県は駅の工事に80か月、6年と8か月がかかるという公表をなされました。昨年までのJR東海の、前の社長の体制のもとでは、一貫して静岡県の工事の遅れだけが繰り返し強調されていました。そのことからいたしますと、隔世の感がございます。今回の2度にわたる事実の公表で、静岡県のみならず、岐阜県、長野県、山梨県でも工事が遅れていることがはっきりといたしました。これらは、いわば不都合な事実と言うべきものであります。臭いものに蓋をするといった感のある従来のJR東海の姿勢が一新したというふうに思います。不都合な真実とはいえ、正直に、事実を、有り体に公表された現在のJR東海の丹羽社長の姿勢には感じ入っております。正直に

勝る徳目はありません。正直な丹羽社長に対しまして、敬意を表するものであります。さて、南アルプストンネル工事について、工事に要する年数を単純に足しますと、12年から13年ということになります。重なるということなので、11年というふうになっているようでありますが、しかしながらそれをモニタリングをしながら、言い換えますと、順応的管理で工事を進めるというということです。順応的管理、すなわち工事中に何か問題が生じますと、もう1回その工事が良かったかどうか、フィードバックして考え直して、計画を立て直すということでありますが、こういうやり方が、順応的管理というものであります。したがってこういうモニタリングをしながらの工事となりますれば、ここで挙げられている工事年数を超えることが十分に予想されます。それは何を意味するんでしょうか。南アルプストンネル工事自体に、黄色信号がともったことを意味すると思います。工事をすれば、南アルプスの自然環境に黄色信号がつくというのが、有識者会議の最終報告書の内容だというふうに私は認識しております。そしてまた今回、工事自体にも最低10年以上かかるということでございますので、これも青から黄色に信号の色が変わったというふうに捉えております。信号が黄色になれば、道路交通法に従いますれば、進んではいけませんけれども、中には強引に突っ込む方もいらっしゃいます。強引に進むのか、あるいはとどまるのか、まさに岐路に立ったということでございます。それをどうするかについては、モニタリング委員会(正しくは、「リニア中央新幹線静岡工区モニタリング会議」)の御見識次第であります。私は以上のことをもちまして、4期目の公約に関わる仕事に、1つの区切りがついたと判断いたしました。これまでJR東海さんに対しまして、かなり厳しいことも言ったことに対しましては、改めて申し訳なく存じますけれども、同時に丹羽社長の正直な姿勢に改めて敬意を表する次第でございます。御立派でした。なお2018年6月、今から6年前ですが、JR東海さんと静岡市との間で締結なされました、いわゆる三ツ峰落合線の5kmのトンネル工事は、丸6年経ちました現在、掘削すら始まっておりません。丹羽社長は、ぜひ、この約束は、約束通り実行してくださるようにお願いをいたします。富士山と南アルプスは、いわば父と母のような存在であります。この霊峰と、赤石山脈とは、生命の水を供給することで、静岡県民を、またそこに息づく生きとし生けるもの全てを、何世代にも渡って養ってまいりました。水資源を保全するためにも、南アルプスの自然環境は保全しなければなりません。そこに住む私達の、それは使命ではないかと思います。県民の皆様を信頼申し上げております。私はこれをもちまして、ふじのくに、愛するふじのくにを後にすることになります。ありがとうございました。皆様方の御多幸をお祈り申し上げます。

 

(当局)

知事ありがとうございました。それでは質疑に入ります。幹事社様、よろしくお願いいたします。

 

(幹事社)

はい、よろしくお願いします。ただいまの、本日、幹事社質問ございませんので、各社様に御質問を、今後していただきたいと思います。ただいまの知事の発表に関しまして、質問のある社はお願いいたします。また時間が限られておりますので、1社様なるべく1問で、簡潔によろしくお願いいたします。では質問のある社様お願いします。

第一テレビさんお願いします。

 

(記者)

第一テレビです。15年間本当にお疲れ様でございます。川勝県政の15年振り返りますと、まず最初に知事になられたときに、今の発表にもありましたけれども、ここを日本の理想郷にするとおっしゃいました。ふじのくに理想郷という言葉もすごく印象に残っていまして、実際この15年が経って、ここは、静岡県はそのふじのくに理想郷になったのか、知事が実現できたとお思いでしょうか。いかがでしょうか。

 

(知事)

理想郷というのは、理念なんですね。ですからそれを、その旗をですね、下ろしてはなりません。そして、このふじのくに静岡県は、今は山梨県も入っておりますけれども、ふじのくにと、両者が称してますので。これは十分に日本の顔、そうなれる。したがって、富士山が世界文化遺産でありますように、世界クラスの地域になれる可能性を持っております。そういう可能性、この場の力が、それまでからも徐々に出てきましたけれども、この15年間にも顕著に表れたというのは、世界クラスの地域資源の人材群が、この丸11年ですね、富士山が世界遺産になってから丸11年になりますけれども、確か150件を超えてるんじゃないかと思います。だから11年間というのは月数に直すと132件(正しくは、「132月」)ですから、1月に1件以上の割合で、世界クラスになっているというのはですね、かなり理想的なのではないかと思いますし、またウクライナ、あるいはガザにおける、ああいうひどい惨状に比べますと、ここは人々が訪れてよし、住んでよしということで、移住希望地も、3年続いて日本一ということでございますから、そういう意味ではですね、多くの人がここがいいなと思ってくださると。理想郷とは心の中にあるんですね。ですから、それを私は一貫して持ち続けておりまして、それを持ち続けられたってことは、この場において、仕事してきて、それができるからという確信があるからだと思います。

 

(記者)

ありがとうございます。富士山の名に恥じないような県政運営をということもよくおっしゃっていたかと思うんですけれども、その富士山の名に恥じない、その成果、今おっしゃっていただきましたが、一方でもし富士山に何かこれができなかったこれを反省しているということを言うとすればどんなことでしょうか。

 

(知事)

まあともかく、28名の方がですね、突然、土石流に命を奪われたと。このことは痛恨の極みであると。厳しい反省でございます。私個人に即して言いますれば、その現場近くに複数回行っているにもかかわらず、七尾団地にお邪魔したわけですけれども、そのすぐ左手に川が流れてるわけですね。そこに違法の盛土がなされたわけですね。現場を見る機会をどうして持たなかったのかっていうのは、悔いても悔いきれないところがございます。

 

(記者)

ありがとうございます。

 

(幹事社)

はい。冒頭の発言以外に関する御質問でも大丈夫です。各社様いかがでしょうか。

はい、静岡朝日テレビさんお願いします。

 

(記者)

はい。静岡朝日テレビと申します。15年間お疲れ様でした。先日、リニアを争点にする会が、川勝知事再出馬を求める署名活動を行って、1987名の署名が、実際に川勝知事のもとに届けられて、アポイントメントはありませんでしたが、知事もお会いになったと思います。改めてそういった署名が集まることへの思いも含めて、これまでですね、県民に多くの負託を得たというところでの県民への思いも聞かせてください。

 

(知事)

はい。 有言実行ということでございますので、1つ区切りがついて、リニアの工事に黄色信号がともっていると。これどうするかというのはですね、多くはやはり、その南アルプスの恵みを享受してこられた県民の皆様の意思にかかってると思います。今回、その署名活動、私は辞任するってことをおそらくですね、確実に再出馬することがないってことがおわかりになりながら、なおかつですね、このことは重要であると、それを訴えるためにもですね、署名をされたのではないかと思いまして、その方たちの使命感に対しましては、立派ですと。志を同じくしてくださってる方たちがいたのだなと、わずか10日あたりでですね、街頭に立っての署名活動ですから、健康を害された人がいなかったらよかったなと思いますが、その方たちに対しまして、お1人お1人ですね、御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 

(記者)

改めて多くの県民の方々に支持もされてきたと思いますけれども、県民への思いもいかがでしょうか。

 

(知事)

すごいですよ。やはり僕は学問をしてきました。どちらかというと、座学だったわけですね。僕は実学の重要性を、一貫して、15年間、訴えかつ実践してきたつもりです。実学すなわち農業とか、あるいは工業とか水産業とか、第一次産業、こうしたところで人材を養成されてる方々にしか知事賞を出さなかったんですね。そういう意味でですね、自らも実学をするという意味で、静岡県、これを自分の、言ってみれば、愛する対象にしてですね、人は愛していると、やはりもっと理解したくなるんじゃないですか。もっと知りたくなりますよね。知りたければ知りたくなるほど、また何をして差し上げればいいかということもわかってまいります。そういう関係だったわけですね。ですから、非常に深い愛情をですね、ふじのくに静岡県に、思っておりまして、今はそのふじのくにが奥座敷、表玄関のふじのくにの静岡県と奥座敷の山梨県にまで広がっておりまして、そうした心が1つになってることも含めてですね、いやいいところだというのが、勉強した、勉強したというか、自分なりのフィールドワークをしてきた今の考えであります。

 

(幹事社)

各社様、いかがでしょうか。読売さんお願いします。

 

(記者)

読売新聞です。先ほどの冒頭の知事の話で、あのリニア問題についての言及があったかと思うんですけども、その中で強引に突っ込むか、あるいは留まるかどうかの岐路に立っているというような表現をされていましたけれども、今回、今日、知事選が知事の辞職に伴って、告示されてですね、主な候補の中には推進の立場を取る方もいれば、反対の立場をとる方もいるんですが、この辺の論戦、リニア問題についての論戦について、知事どのように見てらっしゃいますか。

 

(知事)

はい。モニタリング会議っていうのは、これまで2つの水資源に関わる有識者会議、それから生態系に関わる有識者会議、委員の中身を変えてですね、論じてこられました。したがってそれはよく勉強していただくことが大事ですね。おそらく一番いい形にしてくださるであろうと。選ぶのは主権のある有権者、県民ですから、よく主張をお聞きになってですね、同時にまたモニタリング会議の行方をこれから注視するという、そういうきっかけにもしていただければと思います。

 

(記者)

すいません。それであの告示された知事選なんですけれども、今のところですね、史上最多の6人が立候補を届け出てるんですけれどもいろいろ報道されてですね、何か気になる候補とかがいれば、お話を聞きたいのと、あと何ていうかその、知事選に向けて、出馬される方に何かエールとか、そういったものがあれば、お話を。

 

(知事)

はい。皆、有権者、同時にまた被選挙権を持ってる方がですね、自由に立候補できるってのは、日本ならではの、民主主義の国柄でありますので、そのことは非常に、多くの方が立候補されたというのを大変喜んでおります。あとは、できれば50%を超える投票率になればいいというふうに願っております。やはりどんな会議でも、やっぱり2分の1以上出席してないと会議成り立たないんじゃないですかね。そういう原点に戻って、やっぱりあの5割以上の方たちが関心を持って投票されると。仮にいない場合には、適当な人がいなければいないと書けばいいわけですね。それも無効票になるじゃないですか。だけど投票率の中には、それは入りますのでね、自分の意思を表示するというきっかけであると。大事な大事なきっかけで、ある意味でそれしかですね、一般庶民は政治的意思を表明する機会がないと、それは言えます。あるいは、最も重要な意思表明の機会であるということなので、いない場合でも、いないって自分の意思を書けばいいと。これすごく大事なことだと思います。




一般質問(退任関連、リニア中央新幹線関連)

(幹事社)

各社様、いかがでしょうか。朝日さんお願いします。

 

(記者)

朝日新聞と申します。よろしくお願いします。知事は政治家や官僚出身ではない、民間から出た知事として15年間務められたわけですけれども、この15年間意識してきたことや、だからこそ成し遂げられたと思っていることなどありましたらお伺いできればと思います。

 

(知事)

そうですね。偶々、ふじのくにという広報誌があるわけですが、春夏秋冬、いわゆる季刊なわけですね。年間に4冊出すわけですけれども、その知事対談というのがございまして、最後がですね、武士道と武道になりましたね。それはありがたいことだと。私は日本の規範は、もちろん儒教や神道や、仏教あるいはキリスト教、いろいろとあると思いますけれども、武士道というのがですね、あると思います。いわゆるセブンサムライで侍の言葉が世界語になりましたけれども、侍と武士道と、同時に武道というのは三位一体じゃないかと。それが偶々、なりましたのでね、ふじのくにの最後の55号と56号の対談の内容になったということで、私は自分が武士道というのを大事にしてるんだっていうことをですね、15年間で気付かされました。

 

(記者)

わかりました。あと15年間、先日の会見では、一番嬉しかったのは富士山が世界遺産になったこととおっしゃられてましたけれども、15年間振り返って、何か1つ思い出に残るお仕事など、少し詳しく伺えればと。

 

(知事)

全部富士山絡みですね。夢テラスができて、あそこから吟望台というのが、徳富蘇峰がですね、ここが世界トップの景勝地、場所だというふうに言われたわけですが、それを単に吟望台が立っているだけだったわけです。そこに隈研吾さんの、いわゆる法隆寺の夢殿から本歌取りをした、この8つの、このなんて言いますかね。4羽の鶴か雁かがね、こう羽を広げて、グーッと富士山に飛んでいくような、そういうスタイルになってるわけですね。そこができて、そこから見た景色がすごく綺麗なので、大事な人が来たときには、必ず私はそこに連れて行ったということがありますので、やっぱりその富士山がらみですね。それからあの、公務員8箇条という、マニュアルっていうのがあるじゃないですか、こんなものじゃないですか、おそらく誰もお読みにならないんじゃないかと思うんですが、それを8箇条にまとめたのは、富士山が、そのなんていうんですかね、8の形をしていると。それで8箇条にまとめたと。それから公人三則ってのは、パターン化して富士山を3つの三角形にして書くじゃないですか。あれも、富士山から出てきてるかなと後でそのことを思ってですね、いかに僕が富士山に深く傾倒してきたかと、また影響を受けてきたかと。この数年間、私は朝、今日もそうですけれども、まだ、4時半ぐらいなると明るくなりますけれども、なんて言ったっけ、その公園ですね、城北公園に行きまして、そこから一番綺麗に富士山見えるとこあるんですよ。見ようと見えまいと、そこで手を合わせるんですけどね。毎日それやってるわけです。雨にも、風の日も、そういう意味でもですね、毎日毎日富士山だなと。また知事室の机を、元々この西側の方にあったわけです。私それ東に行ったら富士山が見えたので、東に移しました。窓際族になったわけですけど、富士山が、見えるのが嬉しいと、そのうち見ているんじゃなくて見られてるんだと。だから富士山に恥ずかしくないようにっていうのがですね、自然に心の中に入りましたので。誰ですか、「晴れて良し曇りても良し富士の山、元の姿は変らざりけり」という鉄舟さんの歌じゃありませんけど、まさにそういう感じですね。元の姿というのをですね、常に心の中にイメージして、15年間やってきたと。本当に富士山のあるところにですね、来て、仕事ができたというのは、本当にありがたいことだと改めて思う次第です。

 

(記者)

ありがとうございます。

 

(幹事社)

他、いかがでしょうか。

中日新聞さんお願いします。

 

(記者)

すいません、中日新聞です。先日、白紙とされていた今後についてですね、何かやりたいことや、プランがありましたら教えてください。

 

(知事)

仙人になることですね。

 

(記者)

仙人、具体的には。

 

(知事)

今日、おそらく11時59分59秒まではですね、まだ公人なのではないでしょうか。ですから常時公人であります。しかし、10日の日が明けますと、常時自由人になるわけですね。自由は、しかし規律と抱き合わせてないとですね、いわば自由奉仕な形になります。ですから常在道場は変わらないと。1に修行、2に修行、3に修行ということで、山の中でですね、そういう生活に入ろうと思っております。

 

(記者)

すいません。あと、事務的な手続きで退職金とボーナスですね、こちらは受け取られる予定ですか。

 

(知事)

受け取ります。

 

(記者)

わかりました。

 

(幹事社)

静岡新聞さんお願いします。

 

(記者)

静岡新聞と申します。リニアの関係でちょっとお伺いしたいんですけれども、先ほど知事が、この南アルプストンネル工事は、岐路に立ったと。強引に進むのか止まるのかっていうことは、モニタリング委員会の見解次第だとおっしゃったんですけども、その、この南アルプストンネル工事を行うのか行わないのかってこの判断は次の知事には求めないですか。

 

(知事)

これは長い歴史がありますからね、このモニタリング委員会(正しくは、「リニア中央新幹線静岡工区モニタリング会議」)っていうのを無視することはできないんじゃないでしょうか。

 

(記者)

そのモニタリング委員会が何らかの結論を出したら、次の知事はその判断に従ってほしいというふうに思っているっていうことですか。

 

(知事)

モニタリング委員会(正しくは、「リニア中央新幹線静岡工区モニタリング会議」)は、3つの基準を出されました。第1回の会合におきまして。第1はですね、モニタリングと、それから事業の日程、時系列とは一体であると、それを明らかにしてくださいと。明らかになりましたね。2つ目はですね、当事者はJR東海と静岡県だけではないと。南アルプストンネル工事に関して、静岡工区に関しての当事者は、この2つだけではないと。国家的事業と言われる以上、国も関与するべきであると。したがって、この3者が、トップ会談をして、常に膝を突き合わせながら信頼関係を深め、3者でその課題の解決を図るべきだと。これが2つ目の条件でした。3つ目の条件が、自然が相手ですので、静岡だ、山梨県だ、長野県だ、という、そういう行政区にこだわるべきではないと。そのうちですね、この2つ目が大事です。この3者で合意、やんなくちゃいけないと。そこに静岡県のトップが入っているわけですね。私は自分のことだと思ったわけです。そしたら私じゃないんですって。つまりJR東海の社長が出てくるわけではないと。大臣が出てくるわけでもないと。したがってその事務におけるですね、意思決定にほとんど近い、その方たちが、膝を突き合わせて三者合意をすると。やっぱりこれはすごく大きな、これを合意してやってますので、モニタリング会議ってのは3者が全然関係ないところではなくて、それぞれ意思決定者がそこに入っておりますので、私の役割は、つまり知事の役割は、と座長に聞きましたところ、その3者がこの膝を突き合わせて、合意をしたとなれば、そこでですね、しかるべき社長、知事、それから国交省のトップが来て、それでやろうというふうにするときに出てきてくれと。そのときまで私の仕事は何ですかって言ったら、待ってればいいということでございました。ですから、私は、それはなるほど第三者的なものとして、非常によくできた、公正で。それをモニタリング会議の全ての人たち、大臣閣下、JR東海の関係者、社長含めてですね、うちも森副知事をトップとする関係者が全てそこにいて、同意したことでございますので、このモニタリング会議は、単なるこれまでの有識者会議とは同列ではないと思っております。

 

(記者)

ごめんなさい、最後ですけど、その3者でその協議する内容っていうのは、基本的にはその、この南アルプストンネルのこの環境に関する問題を、いかにして解決して、ここを着工まで持ってくかってことを話し合うっていうふうなことだと思ってるんですけど、その選択肢の中にこの工事を止めるということも含まれてるっていうふうに知事はおっしゃってるんですか。

 

(知事)

いえいえ、止めるっていうよりもですね、これはJR東海が事業主体ですから。国ですら、大臣ですら、JR東海にこれをやめろとかという権限はありません。民間企業です。JR東海は民間企業として経営の自由と投資の自主性の貫徹を大原則とすると。当初は国から一銭のお金ももらわないとまで啖呵切ってられたわけですね。だからその民間企業ですから、その御判断がどうなるかというのがですね、この3者の会議の中で、醸成されてくるんじゃないかと思います。




一般質問(退任関連)

(幹事社)

毎日新聞さんお願いします。

 

(記者)

毎日新聞といいます。15年間大変お疲れ様でした。1点、今後ですね、選挙に出たりだとかですね、何らかの誰かの応援をするとかですね、政治活動をされる予定は、予定とかつもりはあるのかどうかということを教えてください。

 

(知事)

ありません。

 

(記者)

もう一切ないということで、政治の世界とは関わらずにもうこれから生きていかれるという。

 

(知事)

仙人になるわけですね。どういうふうに言ったらいいかしら。「平太のおじさん、平太のおじさん あなたの住まいはどこですか。はい、はい、私の住まいはのう、信州信濃の山奥の、浅間の山の森の中、小鳥とお話して過ごす」という、それが私のイメージしている仙人の姿でございます。

 

(記者)

ありがとうございます。出典は、今のお歌の出典は何なんでしょうか。

 

(知事)

あの小学校一年生のときに学芸会でですね、一茶の役を命じられまして、

 

(記者)

すみません、もう一度。

 

(知事)

だから、小林一茶。「一茶のおじさん一茶のおじさんあなたの生まれはどこじゃいな」っていうのがですね、原曲です。

 

(記者)

ありがとうございました。

 

(幹事社)

産経新聞さんお願いします。

 

(記者)

産経新聞です、よろしくお願いします。今日告示された知事選で、立候補されている方が複数人おられますが、どの候補を支持されるとか、応援されるということは、今のところお考えはないということでよろしいんでしょうか。

 

(知事)

はい、その通りです。

 

(記者)

次に、どなたが知事になるかはわかりませんけれども、次の知事にリニア問題でどういった対応をすることを望まれますでしょうか。

 

(知事)

はい、それぞれの知事さんの見識、これはあの、選挙中に御披露されると思いますが、それをお聞きになると、また選ばれるのは有権者ですから、選ばれた方はですね、言ったとおりのことを実行するというのが、お仕事になるだろうと思います。ですから有権者の方々はよく意見を聞いて、この件、重要な問題だというふうに、世間でも取り上げておりますので、候補者の方は、それぞれ明確な見解を出してごまかさないことが大事ですね、と思います。

 

(幹事社)

他ありますでしょうか。NHKさんお願いします。

 

(記者)

NHKです。先日、島田市の定例会見で染谷市長がリニアの専門部会の廃止を確か提言されたと思うんですが、この受けとめを如何か。県の専門部会は引き続き存続するべきかとかその点いかがでしょうか。

 

(知事)

JR東海さんが専門部会でですね、きちっと説明したいというふうにおっしゃってるわけですね。残されてる課題も、JR東海さんも専門部会も両方共有してますので、したがって、もうこれはきちっとやり遂げるっていうのがですね、これまで先生方に勉強してもらいながらやってきてもらってますのでですね、お仕事ではないかと思います。

 

(記者)

また、川勝知事、これまでのリニアの取り組み、批判も多くあったと思いますが、将来ですね、このリニアを振り返ったときに、後世からの評価に、これまでの御自身の行動が耐えられる、評価されるものという、そういった自信というか、認識はいかがでしょうか。

 

(知事)

そういうことは考えませんが、やっぱり「山懐に抱かれる」っていう言葉があるじゃないですか。で、その山懐に当たるのが静岡県では、富士山と赤石山脈だと思いますね。ですから、ここはですね、それに抱かれて、祖先からずっとこれから将来世代にわたって命を繋いでいくわけですね。ですから、そこを大切にするという当たり前のことをですね、私はしてきたつもりであります。ですから、皆様もそのあたりのところは共有してる方が多いというふうに、僕は思って、この4期まで務めてまいりましたが、やはり、まず、今の事実を明らかにしなくちゃいけないという、正直にですね、丹羽さんがデータをですね、言われたのはですね、感心しました。偉いと思います。だから、彼は偉いと思いますよ。

 

(記者)

御自身としたら、その南アルプスのためを思って、あるいはその流域のためを思って、これまで活動行動されてきたということでよろしいでしょうか。

 

(知事)

そうですね、ただ、もちろん人の命も大切ですが、あの人の命を育む、様々なもの、お茶もそうですね、お酒もそうですね、様々な花も農作物、また生き物がいます。ですからそうしたものを、守るというのがですね、人間活動と生態系とのバランスを考える、エコパークのBiosphere Reserveというのが基本的なコンセプトです。あのエコパークって日本語、和製の言葉使いな訳ですね。ですからBiosphere、すなわち生物圏、生物の生きてる地域ですね、圏域をReserve、守ると保存するということですが、そこに人も生きてるから、人だけってわけではなくて、生きとし生けるものを考えるというのはですね、お茶を栽培してる人とか、お花を栽培してる人とか、お酒をですね作ってる人たちはですね、人間だけのこと考えてないですね。お茶に聞く、土に聞く、そういう、先生はその他の生き物なわけですね。私もそういう考えは共有してるわけです。

 

(記者)

繰り返しですが、南アルプスであったりそれを思っての行動だったということですね。

 

(知事)

そうですね、はい。おっしゃる通りです。

 

(記者)

承知ました、最後に、

 

(幹事社)

すいません。ちょっと時間の問題があるんで、次の御質問、日経新聞さんお願いします。




一般質問(知事退任関連)

(記者)

日本経済新聞と申します。時間もあるので手短に2本、お伺いするんですけれども、1点目が通常の首長の交代であれば、次の知事が決まって、引き継ぎ式等をやられると思うんですが、静岡県でも、今、現在進行中の経済産業ビジョンであったりとか、津波アクションプランとかあると思うんですが、引継ぎなどはどうされる予定なんでしょうか。

 

(知事)

これは任せます。新しい首長さん、また県の職員もですね、それで動いておりますので、上手い形での最適な決定がなされると、私は確信しています。

 

(記者)

そうすると、知事自身がその引き継ぎ式をやったりっていう考えは今のところは。

 

(知事)

ありません。

 

(記者)

はい、わかりました。最後もう一点が先ほど歌の中でもあったんですけど、信州とか信濃のお話が出てましたが、今後はあれですか、その静岡県民として生活するということではない。

 

(知事)

まあどこで生活するかは、あの、人間到るところ青山有り、という言葉がありますけれども、どこで死ぬかわからんですよね。ですけど、たまたま私は膨大な書が、本がありまして、それを納める場所がですね、マンションじゃ入らないわけですね。ですから、山小屋の中にあるので、そこで、万巻の書と向き合いながら、もうほとんどもう読んでるわけですけども、もう一度読み直すといいますか、まとめ返すというような意思はございます。

 

(記者)

その静岡県で仙人になる可能性もあれば、それ以外でもあるということですね。

 

(知事)

もうちょっと言いますとですね、標高1000mのところに住むんですよ。

 

(記者)

はい、はい。

 

(知事)

浅間山の方、標高1000m、1000m林道が走っているわけです。その傍らに住んでる、住むことになると。だから1000mのところに住む人間、仙人と。失礼しました。いや、文字通り、そうなんですよ。1000m林道という、その林道の傍らに山小屋がありまして、そこで、森の中で住んでいくということであります。

 

(記者)

はい分かりました、ありがとうございます。

 

(幹事社)

はい、どうぞ。はい、お願いします。

 

(記者)

共同通信と申します。よろしくお願いいたします。リニアをはじめ、様々な問題にこれまで取り組んでこられたかと思うんですけれども、任期途中での退任ということで、やり残したことがあれば、教えてください。

 

(知事)

はい、たくさんありますね。あるいはやりたいことっていうのはですね、この場の力を考えますと、潜在力を考えますと、これを顕在化するためにいろんなことがある。例えば医療を充実させるために社会健康医学大学院大学、これが総合医科大学院大学に、ぜひなってほしいと思っております。その委員会が立ち上がってますから。あるいはまた、東部には加藤学園(正しくは、「加藤学園暁秀中学校・高等学校」)って言いましたかね。英語で授業する、中学、高校があります。中部には今、難波市長さんがインターナショナルスクールを作ると言われている。西部にはバカロレアの高等学校ができると。だけど、大学に行く人が多いですからね。ですから、英語で授業ができるって、しかも実学を。企業内大学ってのがありますけれども。内ではなくて、企業外で企業の方たちが英語で講義をすると。それをマウント富士の麓でできれば、マウントフジインターナショナルユニバーシティーとすれば、AIUという秋田国際教養大学、それからAPUというアジア太平洋大学。このど真ん中に、ないんですよそういうの。ここに作ればですね。もう場所がもう、マウントフジって言えばすぐわかりますから。ですから、そういうものをですね。県民一緒になってですね。だから英語で講義するから、誰もが英語喋れると、その大学出れば。それから日本人だけじゃなくていろんな人が来られるから、現地語を喋ると。それから日本語ができないと、やっぱり不便ですからね。だもんで弁があの共通語なんじゃないでしょうか。だから、三角、だもんで弁、それから英語、それから現地語ができるですね、そういう人が、マウントフジインターナショナルユニバーシティーで人材育成ができると。こういうのはですね、やりたいということの1つですね。

それから、あるいは山の洲ですね。東京とか中京にね、挟まれて股裂きだとかっていうなことを、私が知事にになったことを、なった時に言っておられましたけど。そうじゃないですよ、こここ真ん中です。縦に飛んだら、もう絶景でしょう。

だから、「バイ・ふじのくに」、「バイ・山の洲」になって、ああいう中央4県サミットみたいのができ上がってですね、お互いに交流が始まっている。880万人ですよ。さらに三霊山。富士山、立山、白山。これも入ってるので、富山県とか、その今厳しい状態にある石川県も入ってるので、1000万をはるかに超えますからね。こういうところでですね、絶景空間、スーパービュー、スーパーマウンテンビュー、リージョンですね。こういう地域をですね、作るというのはですね、やりがいがあるじゃないでしょうかね。今、黄金街道なんてのは、そういうものの一環なんじゃないかと思いますよ。佐渡と土肥を結ぶね、佐渡フェリー(正しくは、「佐渡汽船」)と土肥フェリー、駿河湾フェリーが兄弟関係になってるでしょう。間に金山がありますから。ですからいろんな、この可能性が秘められているのでですね。県内が県内でとどまらないで、箱根富士箱根伊豆、あるいは三遠南信と、こういう県境を超えた、そういう地域作り、これがですね、できるような状況になってるから、それをやりたいっていうか、やってほしいなとかですね、という気持ちは、やり残したというよりも、可能性があるなということを感じながら、今いるのはですね、大変、夢を持って辞られるなって感じですね。はい。

 

(幹事社)

はい。すいません。時間の問題もありますので、これにて記者会見の方を、終わらせていただきたいと思います。あの記者会と知事との間では、この会見の場で、いろいろと意見をぶつけ合うこともあったかと思いますが、あの15年間、知事生活お疲れ様でした。以上で、あの記者会見を終了したいと思います。ありがとうございました。

 

(知事)

ありがとうございました。またお花を毎回生けてくださってる方々に対しても、お礼申し上げます。皆様お気づきだったでしょ。今日は何でしょう。芍薬。立てば芍薬、座れば牡丹、芍薬です。それと、カーネーションですね。はい。以上でございます。ありがとうございました。