(記者)
中日新聞です。今の質問に関連してなんですが、ちょっと議論を整理するとですね、そもそも10月10日の会見での質問は、テレビ静岡さんだったと思うんですが、知事選の当選後に4期のうちにリニアに対して道筋をつけたいという発言をしていたけども、もう任期は2年を切っていて、その道筋というのは立てられるのかという質問に対して、知事は「私がJR東海の意思決定権者であれば、現在の川勝と膝を突き合わせて話して、その場で解決策を出せる自信もある」と答えられました。おっしゃってる内容の解決策が部分開業というのはちょっと理解ができないんですが、御説明いただますか。
(知事)
はい。元々のJR東海の大方針があります。葛西さん以下、山田社長、柘植社長、金子社長に受け継がれてきた方針、これがですね、今、行き詰まっているので、したがってなかなか建設が進まないと。今回、2027年までの開業をしたうえで、それから18年かけて、大阪までやっていくというのも事情が変わりました。そして、もう環境影響評価に入ると。だからここでですね、自分たちのしていることと、JR東海さんが2010年5月に皆さんの前で公開的にどういう事業計画を持ってることかってことと違うってこと。今やってることと違うということでございますので、現状に合わせた形で、事業計画をどういうふうにしていくのか、これを言われる必要があると。そうした中で一番わかりやすいのは、できるところからやっていくことだと。そういう方針をとられていないんですね、できるところからやっていくというのが。私は新社長にですね、前の社長さんはそういうお考えを全く受け付けられませんでしたので、新社長さんにはそういう考えを持っていかれれば、事業も進捗するし、わずか20数km、実際上おそらくもう10km切ってると思いますけれども、そこでですね、変電所1つ作れば営業も可能であると、こういうことはですね、やり方を変えるってことですので、大きいと思いますね。
(記者)
10月10日の会見の質問というのは、聞いているみんながですね、静岡工区に関することを想定して聞かれていたと思うんですが、静岡工区の課題の解決策が部分開業というのは繋がらないっていう、おっしゃっている。
(知事)
静岡工区の解決は、JR東海さんとそれから国と私どもとの関係でですね、この環境影響に関わるこれをじっくりやっていくというのが今の申し合わせで、そういう形で有識者会議が継続し、また専門部会もやってるわけで、それ自体について、それ以外のことをやるってことを考えておりません。
(記者)
そのときに「解決策を出せる、自信がある」と言ったのは、リニアの計画について知事の考えを述べられたということでしょうか。
(知事)
リニア中央新幹線のですね、建設促進期成同盟会というのは、全体に関わることであって、自国、自分の県のことだけではありません。調査研究・広報啓発というのが、全体に決められている大きな柱の2つの1つですね。ですからそれをやってるわけです。そうしたうえで議論するということはですね、何も山梨県は山梨県のことだけとかですね、そういうことはないと思います。この間、中津川の市長さんが、わざわざ現在の進捗状況を報告するために来られました。青山市長さんが。それに対して私の意見を言って、これはいい意見だということで持ち帰られました。そうしたことはですね、期成同盟会の、私が副会長であるからこそ、わざわざこられたんだと思いますけれども。ですからこれは、私は日本のためのリニア中央新幹線の活用方法について考えているのであって、そのうちの南アルプストンネル工事につきましては、これ有識者会議、国が関与されて、JR東海もコミットし、私ども専門部会とコミットし、こういう立て付けになってますから、何か南アルプストンネル工事についてだけ言ってるわけでは、言うべき筋のものではないと思っております。
(記者)
一方で昨日の議会の答弁で、「私は意思決定権者じゃないので言っても失礼に当たる、無駄になる」というような発言もあったかと思うんですが。
(知事)
そうでしょう。意思決定者じゃないのでですね、こうしろああしろなんてことは言えませんね。だけどどうしても言えとおっしゃるから。ですから昨日のように答えたわけです。
(記者)
そこが矛盾というか、食い違いがあって、静岡工区についての解決策だとおそらくあらゆる人が思っていたと思うんですけど、知事はそうではなかったということですよね。
(知事)
静岡工区の解決策については、今、有識者会議・JR東海・県やっているじゃありませんか。これが解決策であります。それは当然のことでしょう、それ以外の方法がありますか。
(記者)
いえいえ、当然のことでしょうと言われましても質問に対する答えが、「その場で解決策を出せる、自信がある」と答えられていたので、皆さん気になってそれを聞いているという状況です。
(知事)
皆さん静岡にだけ関心があるというからかもしれませんね。私は東京から大阪までのリニア中央新幹線全体に関心がありますから、それは副会長として私の仕事の1つだと思っております。
(記者)
わかりました。じゃあ別のことをお伺いしますが、12月5日に環境省に行かれた際にですね、別添の資料を出されておりまして、そこに部分開業とも思われる資料も入ってます。で、「山梨県駅、神奈川県駅の距離であれば、車両基地なしで運行可能である」と資料には明記されてあるんですが、しかもこれ静岡県として出されている資料なんですが、「運行可能だ」というのはJRに既に確認した、技術的に確認しているということですか。
(知事)
これはもう皆様方に半年以上前から配ってるものであります。ですからもう当然、JR東海さんも御存知だと思います。JR東海の資料に基づいて書いてるわけですから。
(記者)
JR東海は技術的というか、法令的にこれはできないんじゃないかとも言ってまして。
(知事)
それは聞きました。変電所がないからということで。
(記者)
変電所というかですね、車両基地で検査をするんですが、それが法令によって決まっているということで、これはなかなか現実味がないという話もしてますが。それを御存知のうえでこれを書かれているのか。
(知事)
車両基地については現場を見ましたのでね。その後11年かかると、用地を全部取得してからですね、取得できてないということが、去年のリニア中央新幹線特別委員会という自民党の委員会で、神奈川県の副知事さんが答えられていました。ですから取得の見込みは90%ぐらいだけど、現在は半分ぐらいだとおっしゃってました。取得してから11年かかるというのがJR東海の何て言いますか、資料でございますので、厳しいなと思ってましたが、金子社長が、社長の時代にですね、2027年までには車両基地ができるというふうにおっしゃってましたので、どういう工程表でなさるのか非常に関心があります。
(記者)
わかりました。あと先ほどおっしゃってたんですが、リニアの実験線の完成、延伸・完成が、営業線になることだと知事おっしゃってたと思うんですけど、実験線の完成というのは、もう既に完成してるんですけど。JRの見解では。
(知事)
驚きましたね。実験線の完成は、実験線が実験線でなくなることであるというふうに私はとりました。だからそのように申し上げたのです。そして、それはできるけれども、変電所がないからできないというのが、幹部を前にしての金子社長の僕に対する、都留実験線駅における幹部の皆様方との対話の中で出てきたことです。
(記者)
実験線の完成というのが営業線になるというのは、知事のお考えということですね。
(知事)
それはJR東海がその資料にそう書いてるわけですね。実験線の延伸・完成から間断なく東京・名古屋間の仕事をしていくんだというふうに書かれているので、実験線の延伸・完成とは、当然これはですね、営業線としてその営業実績を積んでいくってことだというふうに、十分取れると思います。私はそう取りました。
(記者)
わかりました。当然とおっしゃいましたが、そうは取れないこともあると思うので、はい。
(知事)
私に言われてもわかりませんよね。国交省に出されてる資料に基づいて言ってるわけですから。
(記者)
わかりました。
(記者)
はい、静岡新聞です。リニアに関して1点お伺いします。県はJRの環境保全措置の合意には地元の理解が必要との立場を以前から示していますけども、大井川上流の南アルプスにおける環境保全に関する合意といった場合は、地元というのは何を指して、何をもって理解したと判断するんでしょうか。
(知事)
利水協議会の皆様方というのが、基本的に地元ということじゃないかと思います。彼らはその大井川を供給源とする水に依存して生活されていますから。
(記者)
大井川の中下流域といった場合に、大井川利水関係協議会で地元ということは理解できるんですけれども、上流部の南アルプスといった場合にも同じく大井川利水関係協議会が地元ということになるんでしょうか。
(知事)
大井川協議会は大井川の水に関わるこの取水のですね、ことについて、ずっとこれまで議論されてきた方ですから、その方達が一番大切じゃないかと思ってます。しかしその中には、中部電力や県も入っておりますのでね。ですから流域の皆様方と、それの河川の管理に関わるわれわれ、また中部電力また東電もですね一時期入っていたんじゃないかと思いますが、そうしたところが理解をし、納得をするということが重要だと思います。理解することはできるわけですね。
(知事戦略局長)
補足があるようです。
(くらし環境部参事)
今の御質問あれですね、生態系といいますか、自然環境に関わる利害関係者っていうのはどういう判断するのかということかと思います。そこにつきましては基本的な法令的な部分としては所有者とか、それに関与することが直接的な利害関係者になるかと思うんですけれども、やはり、環境影響評価の手続きなんかを進める中ではですね、まずそれに関わる方々の合意形成を図るっていうことは、やはり手続きとして、手続きっていいますか、やり方としてですね皆さんが御理解いただけるようにやっていくってのは大切かというように考えてございます。
(記者)
ありがとうございます。
(知事)
ごめんなさい、彼が言ってくれたことが正しいです。
(記者)
共同通信と申します。すいません。先日、静岡市のリニアの協議会で、燕沢の残土置き場の環境影響評価について協議されました。難波市長が深層崩壊で盛土、JRの盛土と関係なく、危険な土砂ダムが形成される可能性があるということを指摘されて、河川管理者である県はJRに対応を求める前に主体的に対応しなければならないということもおっしゃってました。8月にこのことを知事にお伺いしたときは、対応は事業者がやるべきだということをおっしゃってましたが、この難波市長の意見に対して知事の受けとめを教えていただけますでしょうか。
(知事)
そうですね。もし深層崩壊、山体崩壊が起こりますと9000万立米という、巨大な量ですね、それの大きさ、熱海の土石流が5.5万立米ですから、9000万というのはどれぐらいの巨大なものかということはおわかりいただけると思います。これがこの2000年の間に4回起こったというのが、明星大学の長谷川先生の地質調査の結果ですね。ですから、それによってそこの段丘が作られているということです。しかしながら、事業者はですね、100年に1回起こる、そういうものに対応した形で、その仕事すればいいという立て付けになっておりますから、それを踏まえて難波市長が発言されたんではないかと思っております。
(記者)
そうすると知事は、今もやっぱり業者の方が主体的に対応すべきだと思うのか。
(知事)
山体崩壊するとですね、もうこれはもう県も、それから中部電力、その他の関係者、国も含めてでしょうけれども、全体でそれに対応しなくちゃいけないというのは当然であると思います。シミュレーションについてはですね、これできる力がある人が必要でありますが、JR東海にはそれをシミュレーションする力のある人はいますわね。つまり燕沢に360万立米を盛った場合に、仮に、これこれの部分的な崩壊が起こった場合、大丈夫かどうかということについてはシミュレーションをしてるわけです。たしか85万立米か何かという数字ではなかったかと思いますけど。それをですね、850万立米、あるいは8500万立米9000万立米だったらどうなりますかっていう計算は、難波市長さんもできるかもしれませんけれども、JR東海さんから示していただくと、一番、専門家が当然いらっしゃるので、手っ取り早いかもしれませんね。今うちの専門部会にですね、シミュレーションができる方がいるかどうか、覚束ありません。ただ、地質について、どういうものかってことの専門家がいらっしゃると。長谷川先生もそちらの方でシミュレーションの方ではないかと思っております。質問の趣旨をもう一度言ってください。
(記者)
8月に私が知事にお伺いしたときは、一応、深層崩壊が起こった場合、盛土と関係なく、何か大きな災害が起こった場合でも、県ではなくて事業者が主体的に対応すべきだということをおっしゃっていて、対応はどちらになるのか。
(知事)
JR東海が対応できる筋のもんじゃないですね。9000万立米のものを対応して、それが起きた場合にどうするかということを考えていくというのがですね、JR東海さんはやっておかなきゃいけないと思うんですけど。つまり起きたとき、いわゆるリスク管理の1つとして、そこの段丘で出来上がっている、その燕沢の地質がですね、どういうものかってことをわかってる方がいらっしゃるわけです。つまりそれは燕沢、ごめんなさい、千枚岳の崩壊によってできた段丘ですね。したがって、そのことを知ってる方がいらっしゃいますので、そうであればですね、また起こるかもしらんと。これは単に1000年に1回だけのシミュレーションするだけです、対応しろといったこと言ってるんじゃない。それを、リスク管理の一つとしてやっておくということは、余計な仕事かもしれないけれども、我々にとっては長谷川先生が意見出されているわけですから、それに誠実に対応するというのも仕事ではないかと思います。山体崩壊したときにどうするかっていうのはですね、事業者だけじゃなくて全体で助けなきゃいけないというふうに思ってます。起こった後はですね、起こった後の対応と、起こる前にどういうその、何て言いますか、ことが起こるかっていうことのシミュレーションとはまた別ですから。 |