<記者>
来月で就任1年になりますが、これまで簡単に振り返って実績として強調できる政策、あるいはこれからの課題と思っているところを挙げてください。
<知事>
実績は、やはり空港の全面開港を予定どおりできたと。昨年の今頃は、部分開港の中でよたよたと離陸する形になって、しかも8月になってから地震が起こり、そうした極めて厳しい環境の中で、完全開港ができないというそういう状況を知りまして、途方に暮れたように覚えております。私は8月16日が誕生日ですので、その日忘れないのは、午後思い立って、地権者の方にお目にかかりに行って、そして、それまで持っていた県と地権者との溝の深さを実感すると同時に、これは両方にとって良くないと、県民にとっても地権者の方にも、何としてでもこれを解決したいというふうに思って、8月27日、ある意味予定どおりではありますけれど、開港できたというのは本当にうれしかったです。
それからまた、大学を私は辞任して知事選に出たのでですね、大学のことは非常に気にしていた訳です。学生の理解は得ているという思いはありましたけれど、途中で学長職を投げ打って、知事選に出たということで気にしていた訳ですけれど、しかし、素晴らしい理事長、学長、またセンター長を頼んで引き受けていただいてですね、そして、今年の倍率は12倍近いと、志願倍率が12倍近いと、まあ素晴らしい業績を、今、残した形で県立大学に船出いたしましたので、これも本当にうれしいことですね。
その他、県立美術館が無料になってですね、この間、伊藤若沖の時などは大学生無料にして、ひょっとしたら入場者、あるいは売り上げが減るんじゃないかといったのが、2万人くらいしか来ないだろうと思っていたところ5万人来たとかですね、大学生だけが増えた訳じゃなくて全体が増えて、皆様方がそれを歓迎してくださっていることがよく分かったということもございました。
食と農に関しましても、食材の王国ということが分かったことだとか、食の都を目指せるという気運が出来上がってきただとか、ということもうれしいことです。
やろうとしている課題は、たくさんございます。これは理想郷をつくるということでございまして、現在、その青写真といいましょうか、総合計画の中に落とし込んでおりますが、一応マニュフェストは3月末で、知事戦略室を中心にした方々がまとめてくださった訳ですが、95%マニュフェストで約束したことは出来上がった。優・良・可・不可で言えば、優の上の秀という評価もいただいて、文字どおり、県民全体の知恵の結集、県庁全体のプロの英知と実績を踏まえた計画である総合計画に、全力で傾注するということが最大の課題です。
<記者>
特に優先して取り組みたいことは。
<知事>
経済が厳しいので、高校や大学を卒業した青年たちが夢を失うことがないようにすることはどうしたらよいかということですね。もっと厳しいのは外国人で、日本で生活している方々です。これから日本の国際化とか、世界の中の日本、世界の中の「ふじのくに」というときに、恵まれない状況の方々、青年たちと労働するために外国からお越しになった方やその家族の方々、その方々が困らないようにするためにどうしたらよいか。今、懸命にその対策を考えているところでございます。
それからもうひとつは、ついに「3776」を切ったと。(静岡県の推計人口は)4月に3,776,198人、5月に3,776,100人だったのですが、6月に入って900人弱ガクンと落ちまして、3,775千何百人ということになってしまったのは、危機を持って考えておりまして、男女共同参画が子供をつくるということに不可欠でございますので、この点は健康福祉部が中心ですけれども、教育も経済も含めて、全庁を挙げて、子供を生み育てやすい環境がどこの地域にあるか。合計特殊出生率が市町において、かなりの地域差があります。パフォーマンスのいい地域とそうじゃない地域を明確に名指しをしまして、いいところを励ましていくことから始めてまいりたいというのも大きな課題として自ら課しているところであります。 |